M&Aの相談先を探していると、仲介会社、FA、経営コンサルティング会社、会計・財務の専門家が同じ一覧に並びます。知名度や「成功報酬」という言葉だけで選ぶと、相手探しは依頼できても、必要な調査や契約確認が料金に含まれていないことがあります。
会社の売却・事業承継・買収を検討する経営者が、まず比べたいのは自社の目的に合う支援の立場、業務範囲、担当体制、総費用です。この記事では10の相談先と確認する質問を整理し、見積もりを同じ条件で比べる手順を紹介します。
掲載先には、当社・合同会社SFSが運営するM&A HACKを含みます。掲載順は優劣のランキングではありません。各社の公式情報を2026年10月9日に確認した比較候補であり、全社に同じ支援範囲や料金があるという意味ではありません。受任可能な案件や契約条件は相談時に確認してください。
目次
M&Aコンサルティング会社を探す前に、必要な支援を決める
M&Aコンサルティングは、方針の検討から候補探索、条件交渉、調査、買収後の統合などに関わる支援の呼び方です。すべての事業者が、すべての工程を担当するわけではありません。会社の種類より、自社が困っている工程を先に整理しましょう。
- 売却先がまだいない:候補探索と情報開示の手順、業界・規模に合う紹介方法を確認する。
- 既に相手から提案がある:価格や補償条件を、自社の立場で検討・交渉する支援が必要かを考える。
- 買収候補の数字を検証したい:財務DDや企業価値評価の担当者・調査範囲・成果物を確認する。
- 買収後の運営が不安:PMI(買収後の統合)の担当、開始時期、対象業務、別途料金を確認する。
例えば、買収先が決まっていて財務調査だけが必要なら、候補探索を含む一括契約だけが選択肢ではありません。必要工程を専門家へ依頼する方法も検討できます。ただし、複数の支援者に依頼する場合は、作業の重複や調整の責任者を決める必要があります。
検討段階なら、目的・希望時期・迷っている点をM&A HACKの初回無料相談からお知らせください。相談時には、本件の支援形態と業務範囲も確認しましょう。
相談先を比べる6つの基準
比較する条件をそろえると、会社の規模や広告表現だけでは見えない違いを確認できます。以下は、初回面談や提案書で確認したい項目です。自社の必須条件を満たさない候補は、費用が安くても依頼を急がないでください。
| 比較基準 | 確認する内容 | 質問例 |
|---|---|---|
| 支援の立場 | FAか仲介か、契約相手、相手方からの報酬・利害関係 | 本件では誰の立場で支援し、誰から報酬を受けますか。 |
| 対象案件 | 業種・規模・地域・取引目的、自社に近い経験 | 自社に近い案件で、担当者はどの工程を経験しましたか。 |
| 業務と成果物 | 探索、評価、交渉、DD、契約、PMIの分担 | 料金に含む業務と含まない業務を一覧で示せますか。 |
| 担当体制 | 実際の担当者、専門家との分担、進捗報告、変更時の引継ぎ | 契約後の窓口は誰で、進捗をどのように報告しますか。 |
| 費用 | 計算基準、最低手数料、支払時点、実費、専門家費用 | 成立・不成立・中途終了の各場合に何を支払いますか。 |
| 契約と情報管理 | 秘密保持、開示同意、専任、直接交渉、テール、解約・責任 | 他の専門家への相談と、契約終了後の費用を説明してください。 |
FA・仲介・FASを同じ役割として比較しない
FAは売り手か買い手の一方と契約し、その依頼者の意向に沿った条件を目指します。仲介は双方と契約し、両者の意向を把握して合意へ向けて調整する形態です。FASは会計・財務に関する専門サービスの呼び方で、調査や評価等の業務を指します。名称だけで判断せず、本件で誰と契約し、何を担当するかを確認してください。
会社が独立系であることや金融機関であることだけで、利益相反がないとは判断できません。相手方との契約や報酬、別のサービスとの関係も説明を受けましょう。詳しくはFAと仲介の違いをご覧ください。出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」39・42ページ。
比較候補となるM&Aの相談先10選
以下は、公式サイトで確認できる支援内容と、依頼前に聞きたい点をまとめたものです。料金の安さ、成約の確実性、全業界への対応を評価・保証する表ではありません。質問欄は記事独自の比較質問です。
| 相談先・確認元 | 公式情報で確認できること | 相談時に確かめる点 |
|---|---|---|
| M&A HACK/合同会社SFS | 当社が運営するM&A相談窓口。初回相談は無料 | 本件の支援形態、対象業務、担当者、相談後に発生する費用と条件 |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 仲介を専業とし、株式価額を基準とする株価レーマン方式と中間報酬・成功報酬を説明 | 自社案件の計算対象、最低手数料、中間報酬の条件、不成立時の扱い |
| fundbook(ファンドブック) | 譲渡・譲受向けサービス、アドバイザーや複数の仕組みによる候補探索を案内 | 自社業界の探索方法、契約上の費用範囲。公式注記にある組織再編等の費用や中間金の扱い |
| フーリハン・ローキー | 国内・海外のM&Aアドバイザリー、業界別チームやグローバルネットワークを案内 | 自社の規模・目的で受任可能か、担当拠点、海外対応の範囲、報酬と専門家の分担 |
| 山田コンサルティンググループ | 事前検討、FA、DD・価値評価、仲介、実行後の統合支援を案内 | 本件の契約形態、必要業務の組み合わせ、DD・統合支援の成果物と別途料金 |
| 日本M&Aセンター | M&A仲介サービスと、グループによるPMI支援等を案内 | 本件の担当体制、仲介とPMIの契約・費用の区分、自社に近い案件への対応経験 |
| レバレジーズM&Aアドバイザリー | グループの顧客接点を活用した候補選定、売却前の採用支援等を案内 | 自社案件で利用できる支援、採用等の別サービスの費用・契約、候補探索と情報開示の手順 |
| アカウントエージェント | 財務DD、価値評価、財務モデリング、M&Aアドバイザリー等のFASを案内 | 調査・評価だけか、探索・交渉も含むか。単体依頼の可否と報告書、他の専門家との分担 |
| インターリンク | 提案型M&A仲介を掲げ、対話を重視する支援と成約実績を案内 | 候補先の探索方針、双方の意向が対立した場合の説明・調整、担当者と報酬条件 |
| CRGインベストメント | 自己勘定投資とM&A仲介・アドバイザリーを事業として案内 | 本件では投資する当事者か、支援者か。契約相手、報酬、利害関係をどのように説明するか |
確認日:2026年10月9日。サービスの掲載は、自社の案件が受任されることや、上記の全業務が一つの料金に含まれることを意味しません。各社の現在の提案書・見積もり・契約書を確認してください。
実績は「件数」だけでなく、対象と担当工程を確認する
全社の累計成約件数と、今回の担当者が自社に近い案件を扱った経験は別の情報です。実績を比べるときは、業種・規模・売り手か買い手か・取引段階・担当業務・集計期間をそろえて見ましょう。成立事例だけでは、不成立の割合や担当者の適性までは分かりません。
「同じ業種・規模で、候補探索から決済までのどこを担当したか」「今回の論点に誰が対応するか」を聞くと、必要な支援との接点を確認できます。守秘義務のある他社資料の開示を求めず、公開事例や説明可能な範囲で確認してください。
費用は一律の相場より、同じ支援範囲で比較する
料金は支援形態・業務・案件・契約によって異なり、「取引額の何%」だけでは総額を比べられません。レーマン方式でも基準となる価額が異なり、最低手数料が適用されることがあります。成功報酬のみでも、情報開示や契約上の負担がなくなるわけではありません。
- 着手金・月額報酬・中間金・成功報酬・実費の有無と支払時点。
- 成功報酬の計算基準、最低手数料、税金を含む表示か。
- 既に払った金額を成功報酬へ充当するか、返金や中途終了時の扱い。
- 財務・法務・税務の調査、契約確認、統合支援の費用が含まれるか。
- 追加業務の料金と、依頼者の承認を取る手順。
- 仲介の場合は相手方の手数料と、条件が変わる場合の説明。
例えば、A社は候補探索と進行管理、B社はそれに財務DDを加えた見積もりなら、合計金額だけでA社が割安とは判断できません。含まれない業務を依頼する場合の追加費用も聞き、同じ範囲にそろえて比べてください。この例は比較方法を示す仮想例で、実在会社の料金ではありません。
仲介者によるDDの支援は、資料整理や日程管理等、調査の評価・判断に直接影響しない範囲に限るとされています。調査を誰が実施し、誰が判断するかも確認しましょう。出典:第3版39・63・95ページ。計算基準の確認例は仲介手数料と成功報酬の解説、評価の前提は売却価格の算定方法をご覧ください。
契約前に防ぎたい3つの失敗
説明が曖昧なまま、契約を急ぐ
「すべて対応」「必ず売れる」という言葉だけでは、担当業務も責任範囲も分かりません。希望価格・期間・融資・取引成立を保証するような説明があれば、条件と根拠を書面で確認してください。納得できる説明がない場合は、その場で契約を決めず、別の支援機関や専門家の意見を求めましょう。
秘密保持契約があれば、漏えいは起こらないと思う
秘密保持の約束は必要ですが、情報管理のリスクが消えるわけではありません。情報の受け手、企業名を開示する同意手順、資料の保管・共有方法を確認してください。初回の問い合わせに顧客名簿・従業員の個人情報・契約書全文を貼る必要はありません。
解約すれば、後の費用もなくなると思う
専任条項や直接交渉の制限は、他社への依頼や自分で見つけた相手との交渉に影響することがあります。テール条項は、契約終了後の一定期間に対象の取引が成立した場合の手数料を定めます。対象、期間、請求条件、解約・免責を確認してから判断してください。個別契約の意味や有効性に疑問がある場合は弁護士等に確認します。
出典:中小企業庁「仲介契約・FA契約締結時のチェックリスト」。既に契約がある場合、他の相談先へ資料を共有する前に専任・秘密保持等の条件を確認しましょう。
初回相談から依頼先を決めるまでの手順
- 相談メモを作る。売却・承継・買収の別、業種、売上規模、希望時期、優先条件、現在の相手・契約の有無を一枚にまとめる。
- 必要な支援から候補を選ぶ。候補探索、条件交渉、調査・評価、統合支援のどこで困っているかを伝える。
- 同じ質問をする。上記6基準について業務説明・担当体制・費用を確認し、回答を並べる。
- 不足を確かめる。金額が未提示、成果物が不明、他社相談の扱いが曖昧なら、契約前に書面で補足してもらう。
- 条件に納得して判断する。自社の必須業務が満たされるか、契約上の負担を受け入れられるかを確認する。
比較メモには「質問・回答・確認した書面・残る疑問」を記すと、面談の印象だけで決めることを防げます。価格や最終契約等で中立的な助言が必要なら、M&Aに詳しい士業等の専門家や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談も選択肢です。出典:第3版43ページ。工程全体はM&Aの流れと準備をご覧ください。
相談先選びでよくある質問
地方や小規模の企業でも相談できるか
受任できる地域・業種・規模や最低手数料は相談先ごとに確認が必要です。オンライン面談、訪問の有無と実費、地域の情報を扱う担当者も確認してください。所在地や知名度だけで自社に合うと決めないでください。
売却するか決めていなくても相談できるか
選択肢を整理する段階でも、検討状況を伝えて相談できます。ただし、初回相談と正式な支援契約は分けて考え、無料の範囲と費用が発生する時点を確認しましょう。希望条件が未定なら、未定の項目も伝えてください。
大手か独立系か、どちらがおすすめか
規模や資本関係だけで決めることはできません。自社に必要な業務を実際に担当する人、契約形態、費用、情報管理を比較してください。紹介網の広さも、候補の適合性や成立を保証するものではありません。
まず必要な業務と、相談時の質問をまとめる
今日の準備は、目的・希望時期・現在の契約状態と、必要な支援を一枚に書くことです。その内容をもとに、相談先へ「本件の立場・業務・担当・費用・契約条件」を聞き、回答と書面を比べましょう。
M&A HACKの初回相談は無料です。検討中の段階でも、現在の状況と迷っている点を相談フォームからお知らせください。


