M&Aを検討すると、「顧問税理士だけで進められるか」「税務調査と相手探しを別に頼むべきか」「顧問料のほかにいくら掛かるか」が気になります。事務所の名前や料金表だけでは、今回の取引で必要な支援が含まれるかは分かりません。
税理士を選ぶときは、売り手・買い手のどちらの立場で、どの業務を、誰に依頼するかを先に決めます。この記事では税理士の役割、公式情報を確認した相談先、報酬の見方と契約前の質問をまとめます。売却・事業承継・買収を考える経営者が、同じ条件で相談先を比較するための内容です。
以下の掲載順は優劣のランキングではありません。事務所のサービス情報と料金例は2026年10月10日に確認しました。個別案件の受任・成果を保証するものではなく、契約条件は各窓口で確認してください。M&A HACKは当社・合同会社SFSが運営しています。
目次
M&Aで税理士に相談する業務と、別に確認する業務
税理士の基本的な業務には、税務代理、税務書類の作成、税務相談があります。会計業務等にも関わりますが、税理士の資格があれば、候補探索・交渉・調査・統合まで全部対応するとは限りません。M&Aの追加支援は、事務所と担当者の経験、今回の受任範囲を確認します。
出典:日本税理士会連合会「税理士とは」。税務代理・税務書類作成・税務相談を行える者について、国税庁は税理士・税理士法人のほか、国税局長への通知をした弁護士・弁護士法人を挙げています。個別の税務判断を依頼する際は、担当する資格者を確認してください。出典:国税庁No.9204(2026年4月1日現在法令等)。
| 相談したいこと | 依頼時に確かめる範囲 | 質問例 |
|---|---|---|
| 税負担・申告 | 取引方法ごとの税務検討、納税者、申告・届出の担当 | 誰の税金を、どの前提・時点で試算し、申告まで対応しますか。 |
| 税務DD | 対象税目・期間・資料、指摘事項の説明、調査の限界 | どこまで調べ、未確認事項を報告書にどう記載しますか。 |
| 財務DD・価値評価 | 利益・資産負債の検証、評価目的、方法・前提・成果物 | 税務調査とは別に誰が担当し、評価の前提を説明しますか。 |
| 相手探し・交渉 | FA・仲介の契約形態、候補探索、進行管理、他者との分担 | 自社案件で探索・交渉まで受任しますか。紹介先とは別契約ですか。 |
| 契約・統合 | 弁護士等による契約確認、実行後の会計・税務と他の統合業務 | 法務確認や人事・IT等は誰に依頼し、追加費用はどうなりますか。 |
例えば、税務DDを頼んだだけで、価格交渉や法務の契約審査まで含まれるとは判断できません。業務ごとに「担当者・成果物・期限・料金」を決め、未担当の工程が残らないようにします。FAと仲介の違いはFAの役割と契約前の確認事項も参考にしてください。
顧問税理士と、M&Aの専門家をどう組み合わせるか
顧問税理士には、日常の会計・申告資料の整理や、今回の取引で対応できる業務を最初に相談できます。ただし、既存の顧問契約にM&A支援が含まれるかは契約ごとに確認が必要です。新しい顧問契約が必ず必要になるとも限りません。
- 売却方針が未定:会社売却・事業譲渡等を検討していることを伝え、税務面で比較に必要な前提を整理する。
- 買収候補が決まっている:税務DD・財務DDの担当と範囲を決め、資料不足や未確認の論点を価格・条件の検討へつなぐ。
- 相手を探す必要がある:探索・交渉も受任する事務所かを確認し、別のFA・仲介者に依頼する場合の連携と契約を決める。
- 実行後の申告・管理を整えたい:実行前の助言から申告や会計対応まで、引継ぎ先と追加契約を確認する。
一つの窓口にまとめると調整を進めやすい場合がありますが、すべての専門業務が同じ料金に入るとは限りません。別々に依頼する場合は、資料の共有範囲・説明の責任者・意見が違ったときの確認方法を決めます。資格名や事務所の大きさだけで、対応力を一律に判断しないでください。
必要な支援がまだ整理できていない場合は、検討目的と現在の状況をM&A HACKの初回無料相談からお知らせください。個別の税務相談・申告等は、担当する資格者と受任範囲を確認して依頼します。
M&Aに強い税理士を選ぶ6つの確認事項
- 自社に近い経験。業種・規模・売り手か買い手か・担当工程を聞く。事務所全体の件数と、今回の担当者の経験を分ける。
- 税務業務の担当者。税務判断や申告を誰が受任するか、資格者と契約主体を確認する。
- 業務と成果物。DD、評価、交渉、申告を分け、報告書・試算表・前提説明等を合意する。
- 立場と利害関係。誰の依頼で助言するか、相手方や紹介先との関係、報酬の受け手を確認する。
- 期限と対応体制。資料提出、質疑、報告の予定、担当変更時の引継ぎを確認する。
- 費用・情報管理・終了条件。追加業務、不成立・中途終了、秘密保持、資料共有の承認方法を聞く。
税理士であるかは税理士証票や日税連の情報検索等で確認できると、前掲の国税庁No.9204は案内しています。登録の確認とM&A経験の確認は別です。守秘義務のある他社の資料を求めず、公開事例や説明可能な範囲で担当工程を聞きましょう。
公式情報を確認した税理士・会計事務所の比較候補
旧記事の掲載先を見直し、当日公式サイトで関連サービスを確認できた8候補を紹介します。サービスの掲載と、自社の業種・規模で受任できることは別です。表の質問は記事独自の比較項目であり、各社の契約条件を調査済みとするものではありません。
| 相談先・確認元 | 公式情報で確認できる支援 | 相談時に確かめる点 |
|---|---|---|
| 税理士法人KJグループ | 事業承継・M&Aに関する支援とコンサルティング | 今回の担当業務、税務顧問との料金区分、相手探索の対応範囲 |
| 村木良平税理士事務所 | グループ内組織再編・M&Aの助言 | 税務・会計の助言と実行支援の分担、報告や試算の成果物 |
| オリオン税理士法人 | 事業承継・相続のためのM&A・企業再生支援 | 承継の目的に合う支援、売却・買収の各工程、相続業務との見積もり区分 |
| あいゆう税理士法人 | M&Aコンサルティング。公式サイトで事業分析・探索・条件調整・実行支援を案内 | 本件のFA・仲介の別、担当者、税務調査・専門家費用の内包範囲 |
| 倉橋税理士事務所/戦略M&A研究所 | M&Aの助言・仲介、DD、価値評価等の個別支援 | どの法人・事務所と契約するか、調査と仲介の担当区分、追加費用 |
| 服部康太郎税理士事務所 | 組織再編相談、売却・買収の提案、価値算定の支援 | 自社案件の受任範囲、税務とその他専門家の分担、顧問契約との区分 |
| 宮口公認会計士・税理士事務所 | 財務・税務DD、株価算定、取引構造の検討、申告対応等 | 調査の対象・前提・成果物、公式料金目安から変わる条件 |
| M.Partners税理士法人 | 売り手・買い手へのM&A支援、取引方法の比較、税務・財務DD等 | 連携する支援者と自社の担当、契約・手数料の分担、取引後の税務対応 |
確認日:2026年10月10日。m-taxpro.jpは現行公式サイトの「M.Partners税理士法人」という名称で掲載しています。自社の依頼先は、面談で担当者と正式な契約名義を確認してください。一般的な支援会社の比較はM&Aコンサルティング会社の選び方へまとめています。
報酬相場は、顧問料・個別業務・取引支援を分けて見る
通常の税務顧問料や申告料を、そのままM&A支援の料金と比べないでください。財務・税務DD、株価算定、取引の助言は、対象会社・資料・期限・成果物等で受任条件が変わります。全国共通の最低価格や、全事務所に当てはまる報酬率としては示せません。
公式料金は「一つの事務所の掲載例」として確認する
宮口公認会計士・税理士事務所の公式報酬体系では、株価算定は個別見積もりで目安100万円から、財務・税務DDは個別見積もりで目安200万円からと掲載されています。各種コンサルティングには個別見積もりまたは時間単価による料金が示されています。
これは2026年10月10日に確認した当該事務所の掲載目安であり、市場全体の相場ではありません。案件の範囲、最低料金の適用条件、消費税・実費の扱い、現在の受任価格を直接確認します。同じページの月額顧問料・申告料とは業務を区別してください。
見積もりでそろえる7項目
- 売り手・買い手の別、対象会社数、調査する期間・税目。
- 使用する資料、現地調査や質疑の有無、資料不足時の対応。
- 成果物、説明会、修正・追加質問の範囲。
- 固定額・時間単価・成功報酬等の計算方法と支払時点。
- 仲介・FA・DD・申告・法務等の契約と費用の区分。
- 追加作業の条件、事前承認、消費税・旅費等の実費。
- 成立しない場合や中途終了時に発生する料金。
例えば、A事務所が税務DDだけ、B事務所が財務DDと価値評価も含むなら、総額だけで安い方を決められません。Aへ不足工程を依頼する費用も確認し、同じ範囲にして比較します。このA・Bは比較方法の仮想例です。仲介者の料金は仲介手数料の計算基準、価値評価の前提は売却価格の算定方法で確認できます。
初回相談から依頼までの4ステップ
- 相談メモを作る。検討目的、売却・買収の別、希望時期、候補の有無、顧問や仲介等との契約状況を一枚に書く。
- 必要工程を分ける。税務相談・DD・評価・探索・交渉・申告について、現在の担当と未担当の業務を整理する。
- 同じ条件で見積もりを聞く。対象・資料・期限・成果物をそろえ、回答、金額、別途作業、未確定項目を比較表にする。
- 不明点を解消して契約する。資格者、契約主体、秘密保持、共有相手、終了時の費用を確認し、説明を書面で残す。
詳細調査では決算書、税務申告書、月次試算表等が必要になる場合があります。初回のフォームへ書類全文や従業員・顧客の個人情報を貼らず、まず必要資料と安全な共有方法を確認してください。工程全体はM&Aの流れと準備をご覧ください。
税理士への依頼で避けたい3つの失敗
資格や知名度だけで、全工程を任せる
「税理士だから評価も交渉もできる」「仲介者なら税務もすべて含む」と決めると、必要業務が未担当のまま進むことがあります。担当業務を一覧化し、法務・人事・IT等で別の専門家が必要かを確認します。税理士かコンサル会社かという二択ではなく、今回の論点に合う分担で考えてください。
税負担・価格・成立が確実だという説明を、そのまま受け入れる
試算や評価では、前提・資料・検討日を確認し、不明な条件や調査できなかった範囲も説明してもらいます。「必ず安くなる」「必ず売れる」といった言葉だけで契約せず、何が未確定かを整理します。個別の税制の適用や申告方法は、取引内容に即して税理士等へ確認してください。
紹介先や追加業務の費用を確認しない
専門家の紹介がある場合、誰と契約するか、紹介・調査・交渉の報酬を誰が受けるかを確認します。業務を途中で増やすときは、金額と成果物を合意してから依頼しましょう。顧問契約を終了・変更する場合も、資料の引継ぎや既存契約の情報共有条件を先に確認します。
税理士選びでよくある質問
顧問税理士を必ず変更しなければならないか
変更を前提にする必要はありません。既存契約の対応範囲を確認し、足りないDDや取引支援を別途依頼できるか検討します。複数に依頼する場合は、情報共有の条件と調整役を決めてください。
決算書だけで正確な税額や売却価格を決めてもらえるか
何の判断を求めるかによって、追加資料や条件の確認が必要です。資料不足で断定せず、試算の前提、評価の目的、確定に必要な情報を担当者へ聞きます。
まず税理士と仲介会社のどちらに相談すればよいか
税負担・申告・税務調査の論点は担当する税理士等へ、相手探索や交渉の体制はそれを受任する支援者へ確認します。どの工程が必要か分からない段階なら、検討状況を伝え、各業務の担当と契約の範囲を整理するところから始められます。
今日の準備は、必要業務と現在の契約を一枚にすること
検討目的・希望時期・相手の有無・現在の契約と、税務・DD・評価・探索・交渉の未担当項目を書き出してください。そのメモを使い、資格者・業務範囲・見積もり・期限を同じ条件で比較しましょう。
M&A HACKでは初回無料相談を受け付けています。会社売却・事業承継・買収を検討中の方は、現在の状況と確認したい点を相談フォームからお知らせください。税務・申告等の個別業務は、資格者と受任条件を確認して進めます。


