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スポーツクラブ・フィットネスクラブのM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aの成功事例を知りたい」
「スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aに成功するためのポイントは?」

この記事をご覧の方は、こんな疑問を持っている方が多いのではないでしょうか。

「スポーツクラブ M&A」や「フィットネスクラブ 事業承継」と検索しても、詳細な情報が見つからなかったり、難解な内容が多く、悩んでいる方も多いはずです。

そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、スポーツクラブやフィットネスクラブのM&Aと事業承継について、分かりやすく丁寧に解説します。

この記事では、売却相場や成功ポイントに加えて、具体的な事例も紹介しますので、スポーツクラブやフィットネスクラブのM&Aに興味がある方はぜひご覧ください。

目次

スポーツクラブ・フィットネスクラブとは

このセクションでは、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の定義と特徴から始め、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の歴史やビジネスモデルについて解説していきます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の定義と特徴

スポーツクラブ・フィットネスクラブとは、会員制の施設で、運動やトレーニングを目的とした設備やプログラムを提供する事業体のことです。

主な特徴として、各種のトレーニングマシンやスタジオ、プールなどの設備を備え、会員は自由に利用できます。

また、専門のトレーナーやインストラクターによる指導やプログラムが用意されており、個人の目的やレベルに合わせたサポートを受けられるのが魅力です。

スポーツクラブ・フィットネスクラブは、単なる運動施設ではなく、会員の健康増進や体力向上、ストレス解消などを目的とした総合的なサービスを提供しています。

近年では、高齢者向けのプログラムや、子供の運動習慣づくりを支援するサービスなども充実してきており、幅広い年齢層のニーズに対応しています。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の歴史と発展

日本におけるスポーツクラブ・フィットネスクラブの歴史は、1980年代に遡ります。当時は、アメリカで流行していたエアロビクスなどのプログラムが日本に上陸し、都市部を中心に会員制のクラブが誕生しました。

1990年代になると、大手企業の参入により業界が拡大し、より多様なプログラムやサービスが提供されるようになりました。

2000年代に入ると、健康志向の高まりを背景に、スポーツクラブ・フィットネスクラブは急速に発展しました。単なる運動施設からトータルな健康サポートを提供する施設へと進化し、会員数は年々増加傾向にあります。

また、近年ではAIやIoTなどの技術を活用した新しいサービスも登場し、業界のさらなる発展が期待されています。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のビジネスモデル

スポーツクラブ・フィットネスクラブのビジネスモデルは、主に会費収入に依存しています。会員は入会金と月会費を支払うことで、施設やプログラムを利用できます。

会費は、施設の規模や立地、提供されるサービスの内容などによって異なりますが、一般的に月額5,000円~20,000円程度が相場です。

また、会費以外にも、プライベートレッスンやパーソナルトレーニングなどの個別指導サービス、スポーツ用品の販売、プロテインなどのサプリメントの販売など、様々な収入源があります。

近年では、コーポレート会員の獲得にも力を入れており、企業の福利厚生の一環としてスポーツクラブ・フィットネスクラブが利用されるケースが増えています。

さらに、大手チェーンでは、複数の施設を展開することでスケールメリットを活かし、効率的な運営を実現しています。

一方、地域密着型の中小クラブでは、きめ細やかなサービスや会員との繋がりを重視するなど、それぞれの強みを活かしたビジネスモデルが構築されています。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の市場動向と市場規模

株式会社帝国データバンク「「フィットネスクラブ・スポーツジム」業界動向調査(2023年度)」より

M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界が持つ課題

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界は、健康志向の高まりを背景に成長を続けてきましたが、同時にいくつかの課題を抱えています。主な課題は以下の通りです。

  • 大手チェーンの展開による会員獲得競争の激化
  • 会員の定着率の問題と退会防止策の必要性
  • 優秀なトレーナーやインストラクターの確保と人材育成の課題
  • 1980年代から1990年代に開業した施設の老朽化への対応
  • 会員の高齢化への対応とITを活用した新サービスの開発

業界が持続的に発展していくためには、これらの課題に真摯に向き合い、魅力的なプログラムやサービスの開発、人材育成や処遇改善、計画的な設備投資などの解決策を模索していくことが欠かせません。

市場規模と成長率

帝国データバンクによると、フィットネス市場は、コロナ禍の影響から回復傾向にあり、2023年度の市場規模は6500億円前後に達する見込みです。これは前年度比で10%超の増加であり、コロナ禍以前の2019年度の市場規模の約9割まで回復することが予測されています。

主要な大手15社の店舗数推移を見ると、2023年度末には5900店舗前後に到達すると見られ、市場規模と同様に10%前後の高い伸び率で推移しています。過去10年間で店舗数は3000店舗以上増加し、2.3倍に拡大しました。

特に、コロナ禍の影響を受けた2020年度末以降は1000店舗以上増加しており、急速な拡大が続いています。この拡大をけん引しているのが、「chocoZAP」に代表される少額・小規模ジムの出店増加です。

市場拡大の背景には、在宅勤務の長期化に伴う運動不足から健康意識が高まったことがあります。月額3,000円前後の割安なフィットネス業態が、1週間当たりの滞在時間が短く、価格に敏感な若年層を取り込んだことが成長につながりました。また、運動初心者や女性をターゲットにしたパーソナルジム業態など、新たな利用者層を取り込んだ業態の拡大も進んでいます。

一方で、損益面では企業間で二極化が鮮明となっています。2022年度の損益が判明した約70社のうち、41.7%が増益となった一方で、赤字や減益など業績が悪化した企業も全体の5割を占めました。

電気代や水道代、人件費の上昇によるコストアップを会員費の値上げで吸収できなかったことや、格安ジムの台頭による顧客獲得競争の激化が収益力低下の要因となっています。

今後は、利用者層の拡大・多様化に伴い、「低頻度利用」や「低価格」への対応が業界の戦略的な課題になると予想されます。高齢者層の取り込みを得意としてきた総合型フィットネス業態がどのような戦略を打ち出すかが注目されます。

2024年度には、フィットネス市場がコロナ前の水準である7000億円に到達する可能性もあり、業界の動向が注目されます。

競合他社の動向

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界の競合他社の特徴と動向をまとめると以下のようになります。

事業者タイプ 特徴 具体例
大手チェーン 全国に多数の施設を展開・スケールメリットを活かした価格競争力・豊富なプログラムの提供・ 他業種との提携による新サービス開発 コナミスポーツ・ルネサンス・セントラルスポーツ
中小の独立系クラブ 地域密着型の運営・会員との密接なコミュニケーション・きめ細やかなサービス提供・固定ファンの獲得 地域の個人経営クラブなど
特定ニーズ特化型クラブ 24時間営業ジム・女性専用クラブ・パーソナルトレーニング特化型ジム・大手とは異なる切り口で差別化 エニタイムフィットネス・カーブス・ライザップ

競合他社の主な動向として、大手事業者による中小クラブのM&A(合併・買収)や、異業種からの参入が見られます。また、オンラインサービスの強化にも力を入れている事業者が増えています。

コロナ禍での業績悪化を受け、今後は業界再編の動きが加速する可能性もあります。このような市場環境の変化に対応するためには、各事業者が自社の強みを活かしつつ、競争力を高めていく必要があるでしょう。

トレンドと将来展望

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界には、高齢者市場の拡大、オンラインサービスの普及、企業の健康経営への関心の高まりなど、いくつかの主要なトレンドがあります。

超高齢社会の進展に伴い、高齢者向けプログラムやきめ細やかなサービスの需要が高まっています。また、コロナ禍を契機に、自宅で気軽に参加できるオンラインプログラムが人気を集めており、新たな顧客層の獲得にもつながると期待されています。

さらに、従業員の健康管理を重視する企業が増加していることから、法人会員の獲得など、新たなビジネスチャンスが生まれつつあります。

将来的には、これらのトレンドを踏まえた新サービスの開発や、他業種との連携が加速すると予想されます。医療機関や食品メーカーとの協力によりトータルヘルスケアサービスの提供が可能になるほか、AIやIoTを活用した革新的なサービスの登場も期待されます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界は、単なる運動施設から付加価値の高いヘルスケアサービスの提供へと進化していくと考えられます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業の動向と今後

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界における動向について解説します。これからスポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

新型コロナウイルス感染症が与えた影響

新型コロナウイルス感染症の拡大は、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界に大きな打撃を与えました。緊急事態宣言下での休業や、感染リスクへの懸念による会員の利用頻度の低下など、収益が大幅に減少しました。

一方で、コロナ禍は業界の変革を加速するきっかけともなりました。オンラインサービスの導入や屋外でのプログラム開催など、新しい形態でのサービス提供が進み、健康意識の高まりを背景に、免疫力向上や体力維持を目的とした運動への関心が高まりました。

コロナ禍からの回復過程では、感染防止対策と事業継続の両立が課題となり、会員の安全・安心を最優先しつつ、魅力的なサービスを提供し続けることが求められます。

オンラインフィットネスの台頭と業界の対応

オンラインフィットネスは、インターネットを通じてライブ配信やオンデマンド配信でフィットネスプログラムを提供するサービスで、コロナ禍で急速に普及が進みました。

自宅で気軽に参加でき、豊富なプログラムから選べる自由度の高さが魅力です。オンラインフィットネスの台頭は、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界にとって脅威であると同時に、新たな収益源となる可能性を秘めた大きな機会でもあります。

多くのクラブがオンラインプログラムの提供を始めており、会員の利用頻度向上やクラブへの帰属意識の強化につなげる取り組みが進められています。ただし、ITインフラの整備や魅力的なコンテンツの開発など、差別化戦略が必要です。

今後、オンラインと対面サービスを融合させた新しいサービスモデルの構築が業界の発展につながるでしょう。

高齢化社会における役割と可能性

日本の超高齢社会が進む中、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界には、高齢者の健康維持・増進を支援する重要な役割が期待されています。

多くのクラブが、関節への負担が少なく無理なく続けられる高齢者向けプログラムを拡充しています。高齢者の運動習慣づくりを支援するには、安全面への配慮や、高齢者の特性に合わせたきめ細やかな対応が求められます。

また、高齢者が利用しやすい施設環境の整備や、介護予防、地域コミュニティの活性化など、高齢者の生活の質の向上につながる取り組みも期待されます。

高齢化社会におけるスポーツクラブ・フィットネスクラブの役割は今後ますます大きくなり、高齢者の健康と生きがいを支える地域の拠点としての存在価値を高めていくことが求められます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aの動向

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aの動向について解説します。これからスポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

M&Aの背景と目的

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界では、近年、M&Aの動きが活発化しています。その背景には、業界の成熟化と競争激化、事業拡大と市場シェア拡大の必要性、コロナ禍による業績悪化と財務基盤の脆弱化、後継者不在による事業承継問題などがあります。

特に大手事業者は、M&Aを事業拡大の有力な手段と位置づけており、積極的に買収を進めています。

M&Aの主な目的は、事業規模の拡大とスケールメリットの追求、新規顧客の獲得と利用者数の拡大、施設網の拡充と地域カバー率の向上、事業ポートフォリオの多角化とリスク分散、優秀な人材や競争力のあるプログラムの獲得などです。

業界では、大手事業者による中小クラブの買収が増加傾向にあります。大手事業者は、M&Aにより事業基盤を強化し、競争力を高めることを狙っています。

一方、中小クラブにとっては、大手の傘下に入ることで、資金面や経営ノウハウの支援を受けられるメリットがあります。また、ヘルスケア関連企業や不動産業、フィットネス機器メーカーなどの異業種からの参入も見られ、業界の勢力図が変化しつつあります。

M&A事例と特徴

フィットネス業界のM&A事例と特徴について、大手フィットネスクラブチェーンのルネサンスを例に解説します。

2023年8月、ルネサンスは東急不動産傘下の東急スポーツオアシスを完全子会社化すると発表しました。3月に40%を出資し持ち分法適用会社としていましたが、残り60%の株式を追加取得することで、連携を一段と深め、運営の効率化を図るとしています。これにより、ルネサンス傘下のスポーツクラブは計140店規模に拡大します。

東急スポーツオアシスは、大都市圏を中心に31店舗を展開し、プールやスタジオ、温浴施設を備えた総合型スポーツクラブを運営しています。ルネサンスとの事業統合により、ブランドの統一や料金体系の見直しなどが検討されることでしょう。

この買収の背景には、建設コスト高騰を受けて、ルネサンスが既存施設のM&Aを増やしていることがあります。新規出店よりもM&Aによる事業拡大を選択することで、効率的な成長を目指しています。

また、東急スポーツオアシスが強みとしているオンラインフィットネス事業やトレーニング機器の販売事業を取り込むことで、ルネサンスは既存事業との相乗効果を狙っています。オンラインサービスの拡充や、関連事業の強化により、競争力の向上を図ることができるでしょう。

このように、ルネサンスによる東急スポーツオアシスの完全子会社化は、フィットネス業界におけるM&Aの特徴的な事例と言えます。大手事業者による中堅クラブの買収により、事業規模の拡大と競争力の強化を実現しています。

また、既存事業とのシナジー効果を追求することで、更なる成長を目指しています。今後も、業界再編の動きが加速する中で、こうしたM&Aの動きが注目されるでしょう。

M&A市場の今後の見通し

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&A市場は、今後も拡大していくと予想されます。その背景には、業界再編の加速、異業種からの参入増加、事業承継問題の深刻化、オンラインフィットネスの普及などの要因があります。

コロナ禍で業績が悪化したクラブが事業売却を検討するケースが増加する一方、大手事業者はM&Aを成長戦略の柱に位置づけており、買収を加速する見込みです。

また、ヘルスケア関連企業や不動産業など、異業種からのM&Aが増加しており、フィットネス領域を成長市場と捉え、参入を目指す企業が増えています。

創業者の高齢化が進み、後継者不在に悩む中小クラブが増加していることから、M&Aによる事業譲渡が有力な選択肢となる可能性があります。

さらに、オンラインフィットネスの急速な普及を受け、関連事業者によるM&Aが活発化し、オンラインサービスとのシナジーを狙った買収が増加すると予想されます。

今後、スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&A市場は、コロナ禍からの回復過程で大きな転換点を迎えるでしょう。

スポーツクラブ・フィットネスクラブのM&Aをするメリット

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にしてスポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 事業継続と成長の機会の獲得
  • 財務状況の改善と債務の解消
  • 経営リソースの最適化とコスト削減
  • 後継者問題の解決と従業員の雇用維持
  • 新たな事業展開やイノベーションの可能性
  • 市場シェアの拡大と競争力の強化
  • 新規顧客の獲得とクロスセルの機会
  • スケールメリットによるコスト削減
  • ノウハウや人材の獲得による事業の強化
  • 新たな事業領域への進出と多角化

売却側のメリット

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界における売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 事業継続と成長の機会の獲得
  • 財務状況の改善と債務の解消
  • 経営リソースの最適化とコスト削減
  • 後継者問題の解決と従業員の雇用維持
  • 新たな事業展開やイノベーションの可能性

それぞれ詳しく解説していきます。

事業継続と成長の機会の獲得

中小クラブが大手事業者の傘下に入ることで、安定的な事業基盤を確保できます。買収先の資金力やノウハウを活用し、設備投資や新サービス導入など、成長の機会を獲得できます。単独では困難だった事業展開が可能になります。

財務状況の改善と債務の解消

M&Aによる売却で得た資金を債務の返済に充てることで、財務状況の改善が期待できます。特にコロナ禍で業績が悪化し、債務が増加したクラブにとって、財務リスクを低減するための有効な手段となります。

経営リソースの最適化とコスト削減

買収先との間で、重複する業務や拠点の統合を進めることで、経営リソースの最適化が図れます。また、スケールメリットを活かした仕入れの効率化や、間接部門の共有化などで、コスト削減効果も期待されます。

後継者問題の解決と従業員の雇用維持

創業者の高齢化に伴う後継者不在に悩むクラブにとって、M&Aは事業承継の有力な選択肢となります。事業を買収先に引き継ぐことで、従業員の雇用を維持できる可能性があります。組織の存続と従業員の生活の安定につながります

新たな事業展開やイノベーションの可能性

買収先との協業により、新たな事業展開やイノベーションの可能性が広がります。買収先の経営資源を活用し、サービスの高度化や差別化を図ることで、競争力の強化が期待されます。単独では実現困難だった取り組みも可能になるかもしれません。

買収側のメリット

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界における買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 市場シェアの拡大と競争力の強化
  • 新規顧客の獲得とクロスセルの機会
  • スケールメリットによるコスト削減
  • ノウハウや人材の獲得による事業の強化
  • 新たな事業領域への進出と多角化

それぞれ詳しく解説していきます。

市場シェアの拡大と競争力の強化

M&Aにより、市場シェアの拡大と競争力の強化を図ることができます。新たな顧客基盤を獲得し、サービス提供エリアを拡大することで、業界内でのプレゼンスを高められます。事業拡大を活かし、価格競争力を高めることも可能です。

新規顧客の獲得とクロスセルの機会

買収したクラブの既存顧客を取り込むことで、新規顧客の獲得が期待できます。既存の顧客基盤に対し、買収先のサービスをクロスセルすることで、収益の拡大につなげられる可能性があります。顧客単価の向上や、利用頻度の増加が見込めます。

スケールメリットによるコスト削減

M&Aにより事業規模が拡大することで、スケールメリットを活かしたコスト削減が可能になります。仕入れの効率化や、拠点の統廃合、間接部門の共通化など、様々な面でコストの最適化が図れます。その結果、利益率の改善につながることが期待されます。

ノウハウや人材の獲得による事業の強化

買収先が持つ優れたノウハウや人材を獲得することで、自社の事業を強化できます。買収先の強みを自社に取り込み、サービスの質を高めることができます。また、優秀な人材を獲得することで、イノベーションの促進や、新たな事業展開にもつながります

新たな事業領域への進出と多角化

M&Aにより、新たな事業領域への進出と事業の多角化が可能になります。買収先が持つ事業基盤を活用し、自社にはない商品やサービスを展開できます。また、異業種の企業を買収することで、事業ポートフォリオの分散を図ることもできます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブのM&Aの注意点

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aを行う際の注意点を解説します。スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

デューデリジェンスの重要性と着眼点

M&Aを成功させるためには、デューデリジェンスが重要です。スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界特有の着眼点として、以下のような点が挙げられます。

  1. 会員数の推移と構成
    • 会員数の推移は、クラブの業績や成長性を評価する上で重要な指標です。新規入会者数や退会者数、平均在籍期間などを詳細に分析する必要があります。
    • 会員の年齢構成や属性も重要です。高齢者が中心の場合、将来的な会員数の減少リスクがあります。
  2. 設備の状態と更新計画
    • クラブの設備は、会員獲得や満足度に直結する重要な要素です。老朽化した設備はクラブの評判を下げる恐れがあります。
    • 設備の更新計画と、それに必要な投資額を精査することが欠かせません。
  3. インストラクターやトレーナーの質と定着率
    • 優秀なインストラクターやトレーナーは、クラブの競争力の源泉です。指導の質や人気を評価することが重要です。
    • 離職率の高さはクラブ運営の不安定さを示唆しています。定着率の高さも評価ポイントとなります。
  4. 契約内容と法的リスク
    • 会員との契約内容や、クラブ運営に関わる法的リスクも見落としてはいけません。
    • 消費者契約法や個人情報保護法への対応状況は重要なチェックポイントです。

これらの点を詳細に調査・分析することで、買収対象クラブの実態と潜在的なリスクを把握することができます。デューデリジェンスの結果を踏まえ、買収価格の妥当性を検討することが求められます。

買収後の統合プロセスにおける課題と対策

M&A実行後の統合プロセスでは、様々な課題が発生します。スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界特有の課題として、会員データの移行と活用、指導スタッフの融和と研修、業務プロセスの統一と効率化、ブランドの統一と発信などが挙げられます

買収先の会員データを自社のシステムに円滑に移行し、分析することで、効果的なマーケティング施策に活用し、クロスセルや顧客単価の向上につなげることができます。

また、買収先のインストラクターやトレーナーとの融和を図り、一体感のある指導体制を構築するために、自社の指導方針や価値観を浸透させるための研修プログラムを用意することが効果的です。

買収先の業務プロセスを自社の方式に統一することで運営の効率化を図ることができますが、現場の混乱を避けるために段階的な移行プロセスを設計することが重要です。

さらに、買収先のブランドを自社ブランドに統一することでブランド力の強化を図ることができますが、買収先の会員に対しては丁寧な説明と継続的なコミュニケーションが欠かせません。

これらの課題に的確に対応することでPMIをスムーズに進め、買収効果を最大化することができます。PMIの進捗状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて対策を講じることが重要です。

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界特有のリスクと対応策

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界には、他の業界にはない特有のリスクが存在します。

会員の高齢化が進むと、健康リスクへの対応がより重要になります。緊急時の対応マニュアルを整備し、スタッフに徹底することが求められるほか、保険の充実化も検討すべきでしょう。

また、トレーニング機器の故障やプールでの事故など、設備に起因する事故が発生するリスクもあるため、定期的な設備のメンテナンスと安全管理体制の構築が欠かせません。

優秀な指導スタッフの確保は業界共通の課題であり、自社の魅力を高め、積極的な採用活動を展開することが重要です。さらに、スタッフの育成と定着を図るための研修制度や評価制度の整備も求められます。

経済環境の変化により会員数が減少するリスクもあるため、会員の満足度を高め、退会率を抑制することが重要です。加えて、固定費の削減などのコスト管理の徹底も欠かせません。

これらのリスクを認識し、適切な対応策を講じることがクラブ運営の安定性を高めるために不可欠です。定期的にリスクの評価を行い、必要に応じて対策を見直すことが求められます。

スポーツクラブ・フィットネスクラブにおけるM&Aを成功させるためのポイント

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立
  • 相場価格の把握
  • PMI(統合後プロセス)の確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&Aを成功させるためには、明確な戦略の立案が不可欠です。自社の強みと弱み、市場環境などを踏まえ、M&Aの目的を明確化することが重要です。

例えば、市場シェアの拡大なのか、新サービスの獲得なのか、コスト削減なのかによって、買収対象の選定基準も変わってきます。

また、買収後の統合プロセスをどのように進めるのかについても、事前に検討しておく必要があります。

買収先の企業文化や業務プロセスをどの程度統一するのか、ブランドをどのように扱うのかなど、PMIの方針を明確にしておくことが欠かせません。

相場価格をよく理解しておく

M&Aを検討する際は、業界の相場価格を十分に理解しておくことが重要です。スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界における企業価値評価(バリュエーション)では、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法や年倍法が一般的に用いられます。

DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算出する手法で、最も正統的とされています。ただし、高度な知識が必要なため、通常は会計事務所などの専門機関に委託します。

一方、年倍法は中小企業の売却でよく用いられる簡便な手法です。「企業価値=時価純資産+直近年度における営業利益×2〜5」という算式で求められます。

時価純資産は過去から現在までの価値を、営業利益の数倍は現在から将来への価値を表します。売却側の収益力や買収企業とのシナジー効果の大きさにより、営業利益に乗じる数値を調整します。

ただし、クラブの価値は会員数や立地、設備の状態など、様々な要因によって異なります。類似クラブの買収事例を参考にしつつも、画一的な価格設定ではなく、個々のクラブの特性を踏まえた評価が求められます。

適正な買収価格の水準を把握するためには、業界の相場感覚を身につけることが不可欠です。M&Aの経験豊富な仲介会社や専門家の意見を参考にしながら、慎重に判断することが重要でしょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aを成功させるためには、買収後の統合プロセスが非常に重要です。しかし、多くの企業がM&Aを単独で行ってしまい、PMIの実行が上手くいかないケースが少なくありません。

会員データの移行や指導スタッフの融和、業務プロセスの統一など、クラブ運営に直結する課題への対応は容易ではありません。

こうした課題を解決するためには、M&A仲介会社の力を借りることをおすすめします。M&A仲介会社は、豊富な経験と専門知識を持ち、PMIの実行体制の確立から進捗状況のモニタリングまで、一貫したサポートを提供してくれます。

M&A仲介を利用することで、買収効果を最大限に引き出すことが可能になるのです。

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スポーツクラブ・フィットネスクラブ業のM&Aにおける成功事例

スポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aの成功事例を紹介します。これからスポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ルネサンスによる東急スポーツオアシスのM&A

2024年3月に、フィットネス大手のルネサンスが東急不動産傘下の東急スポーツオアシスを完全子会社化した事例です。

ルネサンスは総合型スポーツクラブの運営を行っており、プール、スタジオ、温浴施設を備えた施設を展開しています。現在、全国に140店舗規模のスポーツクラブを運営しており、効率的な運営とサービスの多様化を図っています。

東急スポーツオアシスは、主に大都市圏を中心に31店舗を展開する総合型スポーツクラブを運営しています。プールやスタジオ、温浴施設を備えるほか、オンラインフィットネス事業やトレーニング機器の販売事業にも力を入れています。

このM&Aの主な目的は、ルネサンスが東急スポーツオアシスを完全子会社化することで、運営の効率化とサービスの強化を図ることです。また、オンラインフィットネス事業やトレーニング機器の販売事業を取り込むことで、既存事業との相乗効果を高め、総合的なフィットネスサービスの提供を強化することです。

参考:ルネサンス、東急スポーツオアシスを完全子会社化

株式会社ルネサンスによる菱紙株式会社のM&A

2023年10月に、株式会社ルネサンスが菱紙株式会社のスポーツクラブ事業「KSC wellness フィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブ」を譲り受けた事例です。

株式会社ルネサンスは、「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」として、主力のスポーツクラブ事業を通じて地域の健康づくりを支える活動を行っています。出店戦略では、初期投資を抑えながら短期間での開業を実現する事業継承や施設継承を重点施策としています。

菱紙株式会社は、三菱製紙株式会社の100%子会社で、1972年に「金町スイミングクラブ」をオープンし、2010年にフィットネスクラブ機能を付加した大型のスポーツクラブ施設「KSC wellness」を運営しています。KSC wellnessは、長きに渡って地域に根ざした事業活動を行い、コミュニティのシンボルとして地域社会に貢献してきました。

このM&Aの主な目的は、株式会社ルネサンスがKSC wellnessの事業を継承することで、地域における健康ソリューション拠点としての役割を強化し、今後も地域社会の健康づくりに貢献することです。これにより、ルネサンスのフィットネス事業の拡大とKSC wellnessのさらなる発展を目指しています。

参考:KSC wellness フィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブの 事業及び固定資産(信託受益権)の譲受に関するお知らせ

株式会社THINKフィットネスによる株式会社ジョイフルアスレティッククラブのM&A

2021年2月に、株式会社THINKフィットネスが株式会社ジョイフルアスレティッククラブの株式67.0%を株式会社ジョイフル本田から譲受した事例です。

株式会社THINKフィットネスは、1986年の創業以来、フィットネスに関連する商品、場所、情報を提供する総合フィットネス企業です。フィットネスクラブの運営をはじめ、トレーニングマシンや健康器具の販売、フィットネスイベントや情報誌の発行など、幅広い事業を展開しています。

株式会社ジョイフルアスレティッククラブは、スポーツクラブの運営及びコンサルティング、レストラン経営、スポーツ関連商品の販売などを手がける企業です。ジョイフル本田の子会社として、幅広い顧客ニーズに応える事業展開を行ってきました。

このM&Aの主な目的は、株式会社ジョイフルアスレティッククラブの収益改善とシナジー効果を期待し、フィットネス事業の総合的な強化を図ることです。THINKフィットネスの多角的な事業展開とジョイフルアスレティッククラブの既存の事業基盤を融合させることで、より高い顧客満足度と事業成長を実現することを目指しています。

参考:株式の一部譲受に関するお知らせ

センコーグループホールディングス株式会社による株式会社オージースポーツのM&A

2022年7月に、センコーグループホールディングス株式会社が大阪ガス株式会社の100%子会社である株式会社オージースポーツの全株式を譲受した事例です。

センコーグループホールディングス株式会社は、国内物流最大手の一つであり、「健康」「生活」「食」をテーマにしたライフサポート事業の拡大を図っています。具体的には、介護や老人ホーム、保育、家事代行、外食などの生活関連サービスを提供しており、100%子会社である株式会社ブルーアースジャパンを通じてフィットネス事業を展開しています。

株式会社オージースポーツは、1981年の設立以来、「コ・ス・パ」「FITBASE 24」「30peak」といったブランド名で直営フィットネスクラブ、スイミングスクール、テニスク
ラブを運営しており、関西圏を中心に62施設を展開しています。また、ヘルスケア関連事業も手掛け、多くの顧客から支持を受けています。

このM&Aの主な目的は、株式会社オージースポーツの成長を促進し、センコーのライフサポート事業の一環としてフィットネス分野を強化することです。フィットネス事業のエリア拡大や介護事業との連携による新サービスの開発を通じて、より多くの人々の生活を支援することを目指しています。

参考:株式会社オージースポーツの株式譲渡について

アトラグループ株式会社による株式会社One Third ResidenceのM&A

2021年7月に、アトラグループ株式会社が株式会社One Third Residenceの全株式を取得し、子会社化した事例です。

アトラグループ株式会社は、鍼灸接骨院支援事業を中心に、フィットネスクラブのフランチャイズ展開やオンライントレーニングデバイス「Fitness Mirror」の事業を展開しています。「Fitness Mirror」は、ミラー型のオンライントレーニング用デバイスで、鏡に映る自分の姿を見ながらトレーナーの指示に従ってトレーニングを行うことができる商品です。

株式会社One Third Residenceは、東京都千代田区に本社を構え、フィットネスクラブの運営や「Fitness Mirror」に関する事業を行っている企業です。同社は、フィットネス分野において多様な事業を展開しており、特にフランチャイズビジネスにおいて実績があります。

このM&Aの主な目的は、アトラグループ株式会社がOne Third Residenceを完全子会社化することで、事業展開のスピードアップを図り、強固な協力関係を構築することです。また、「Fitness Mirror」を通じた在宅でのオンライントレーニング事業をさらに拡大し、フィットネスクラブのフランチャイズ展開を加速させることを目指しています。

参考:株式会社 One Third Residence の買収に関するお知らせ

株式会社ルネサンスによる株式会社BEACH TOWNのM&A

2021年2月に、株式会社ルネサンスが株式会社BEACH TOWNの株式の過半数を取得する基本合意書を締結した事例です。

株式会社ルネサンスは、「生きがい創造企業」として全国でスポーツクラブや介護リハビリ施設の運営、健康づくり支援、地方自治体の介護予防事業や地方創生事業など、幅広い健康サービスを提供しています。

株式会社BEACH TOWNは、日本におけるアウトドアフィットネスの第一人者である黒野崇氏が代表を務め、全国で24か所のアウトドアフィットネスクラブやP-PFI(公園の整備を行う民間事業者を公募し選定する制度)をプロデュースし、直営または運営受託で展開しています。

このM&Aの主な目的は、株式会社ルネサンスが株式会社BEACH TOWNを子会社化することで、アウトドアフィットネス事業のさらなる拡大を図り、企業価値の向上を目指すことです。これにより、ルネサンスのフィットネス事業の一環として、屋外でのフィットネスプログラムの提供や地方創生事業への参入を強化し、健康で快適なライフスタイルを提供することを目指しています。

参考:アウトドアフィットネスを展開する株式会社 BEACH TOWN の株式取得について基本合意書を締結したことに関するお知らせ

日新製糖株式会社による株式会社エヌエーシーシステムのM&A

2018年12月に、株式会社中村屋が株式会社エヌエーシーシステムの発行済普通株式の全株式を日新製糖株式会社へ譲渡した事例です。

日新製糖株式会社は、砂糖その他食品の製造販売を行う企業です。住友商事株式会社を主要株主とし、安定した事業基盤を有しています。

株式会社エヌエーシーシステムは、スポーツクラブの運営を中核事業とし、「エグザス笹塚」や「NAスポーツクラブA-1」などのスポーツ施設を運営しています。小型フィットネスジム「A-1 EXPRESS」を展開するなど、幅広い事業を手がけており、保険代理店事業や駐車場事業なども行っています。

このM&Aの主な目的は、株式会社エヌエーシーシステムが日新製糖グループのサポートを受けることで、株式会社ドゥ・スポーツプラザとの協力体制を構築し、事業成長を加速させることです。これにより、エヌエーシーシステムのさらなる発展と日新製糖グループ全体の事業強化を図ることを目指しています。

参考:連結子会社の異動に関するお知らせ

まとめ

M&Aは、事業拡大や競争力強化の有力な手段であり、業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。一方で、買収価格の妥当性や統合プロセスの難しさなど、様々な課題も存在します。

M&Aを成功させるためには、明確な戦略の下、適正な価格での買収を行い、PMIを着実に進めることが重要です。また、業界特有のリスクを認識し、適切な対応策を講じることも欠かせません。

M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考にスポーツクラブ・フィットネスクラブ業界におけるM&Aを検討してみてください。

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