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M&Aの目的とM&Aする理由を買い手・売り手別に徹底解説

「M&Aにはどんな目的があるの?」
「M&Aの目的について買い手側と売り手側の双方から詳しく知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に「M&A 目的」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難しい記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、M&Aの目的について分かりやすく簡潔に解説します。

またM&Aにおけるスキーム別の目的についても詳しく解説するので、M&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

M&Aの主な目的

M&Aは、企業の経営戦略として非常に有効な手法のひとつです。そんなM&Aは、買い手・売り手に関わらず、主に以下のような目的で実行されます。

  • 相乗効果(シナジー)の発揮
  • 市場変化への対応
  • 事業選択肢の拡大

それぞれ詳しく解説していきます。

相乗効果(シナジー)の発揮

M&Aの主な目的として挙げられるのが、相乗効果(シナジー)の発揮です。M&A)における相乗効果(シナジー)の発揮とは、統合された企業が単独で運営していた場合よりも大きな価値を生み出すことを指します。

M&Aによって発揮されるシナジー効果には、様々なものが存在し、発揮したいシナジーの種類によって相手企業が選定される場合も多いです。M&Aにおけるシナジー効果の種類には、以下のようなものがあります。

  • コストシナジー:人員整理による人件費削減やスケールメリットの活用など
  • 売上シナジー:買収先の顧客基盤を活用したクロスセル・アップセルの促進など
  • 財務シナジー:税務戦略の最適化による節税効果など
  • 技術・知的財産シナジー:知的財産権の活用による競争優位性の確立など
  • 組織・人材シナジー:買収先の専門人材やノウハウの活用など

M&Aによるシナジーを最大限に発揮するためには、適切な統合戦略とマネジメントが必要です。M&Aは単なる企業の組み合わせではなく、相乗効果を生み出すことで初めて成功したと言えます。

市場変化への対応

インターネットやSNSの普及により、現代の市場は目まぐるしく変化している状況にあります。そんな変化の激しい時代において、M&Aを実行することは、市場変化に対応するために適した戦略のひとつです。

M&Aを実行することで、買収(合併)先企業が持つ商品・サービスはもちろん、ノウハウやテクノロジーを自社に取り入れることができます。これまで自社にはなかった要素を新しく外部から取り入れることで、自社をアップデートすることが可能です。

M&Aは、市場変化への対応として有効な戦略であり、競争力の強化、新技術の獲得、新市場の開拓などに役立ちます。これから更に市場変化は活発になることが予想されており、M&Aを実行する企業も増えていくことでしょう。

事業選択肢の拡大

M&Aは単なる事業拡大のためだけでなく、事業選択肢を拡大するためにも有効な手段のひとつです。実際に拡大目的ではなく、事業における選択肢を増やすためにM&Aを実行する企業も多く存在します。

例えば、M&Aを実行することで、新規事業参入のための時間とコストを削減することが可能です。ゼロから事業を立ち上げるよりも、すでに市場で実績のある企業を買収するほうが、時間とコストを大幅に削減できます。

またM&Aを実行することで、今ある経営資源を最適化することにも繋げられるでしょう。不要な事業を売却し、成長が期待できる事業に経営資源を集中させることも、M&Aの一つの活用方法です。これにより、企業全体の収益性を向上させることができます。

M&Aにおける買い手側の目的と理由

M&Aの買い手における目的と理由について解説していきます。M&Aにおける買い手側の主な目的と理由は、以下の通りです。

  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保
  • 事業拡大のチャンス
  • ノウハウと人材の獲得
  • 節税対策

それぞれの目的について詳しく解説していきます。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに業界への早期参入が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

従業員の確保

経営悪化・少子高齢化などの問題を抱える日本では、多くの中小企業が人手不足に悩まされています。M&Aによって会社を買収することで、確保が難しい人材を一気に獲得することが可能です。

特に建設業や製造業など特定の技能を要した人材の存在は、会社の運営において欠かせません。これらの人材を一から採用するのは非常にハードルが高いですが、M&Aによって国家資格を保有する人材を引き継ぐことができれば、採用コストを削減することもできます。

またM&Aによって人材を引き継ぐことは、業界におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、ビジネスもより優位に進めることが出来るでしょう。

事業拡大のチャンス

M&Aを実行することによって、買収側の企業は、これまでよりも事業拡大のチャンスを得ることが可能です。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

M&Aにおいては、売り手となる企業が持つ設備や建物のような有形資産に加え、顧客・取引先情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に、「取引先」「顧客情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また多くの国内業界では大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小企業同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

ノウハウと人材の獲得

企業経営において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「ノウハウ」と「人材」です。これら2つが揃っている企業は、市場において高い競争力を得ることができます。競争が激化している現代の市場において、競争力の獲得は重要な要素でしょう。

もしM&Aによって企業の買収もしくは合併を検討しているのであれば、まずは買収先(合併先)企業が持つノウハウと人材に目を向けることが先決です。買収(合併)によって現在の自社が持たないノウハウや人材が手に入るか否かをチェックしましょう。

またM&Aによる買収に関しては、買収先が持つ市場規模の如何によって、取引額に大きな差が生じます。より巨大な商圏エリアを所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

節税対策

M&Aにおいて企業を買収することは、自社の節税対策の一環となるケースも多いです。M&Aにあたって買収対象企業が赤字を抱えていた場合には、選択したスキーム次第では買い手の企業がそのまま負債を引き継ぐことになります。

赤字は発生した年から7年間は繰越可能です。翌年に繰り越された赤字は「繰り越し欠損金」と呼ばれるものになります。繰り越し欠損金は黒字売上と相殺することが可能なので、結果的にマイナス分だけ法人税を削減することが出来るのです。

実際に赤字企業を黒字の大手もしくは中小企業が買収するケースは多くみられます。赤字を引き継ぐことにより、自社にとっての大きな節税対策の一環とする企業は多いです。

M&Aにおける売り手側の目的と理由

M&Aの売り手における目的と理由について解説していきます。M&Aにおける売り手側の主な目的と理由は、以下の通りです。

  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 収益性の改善
  • 借入における個人保証の解除
  • 競争力の獲得
  • 後継者問題の解決

それぞれの目的について詳しく解説していきます。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

収益性の改善

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。業界・業種に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模事業者の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

競争力の獲得

M&Aを通じて、売り手側の企業が競争力を獲得することは十分に可能です。実際にM&Aによって市場規模の大きい企業より買収を受けた企業が、市場において高い競争力を発揮するケースは多々あります。

M&Aにより、売り手側の企業の競争力が高まる要因のひとつは、規模の経済の発揮です。買収企業との統合によって規模の経済を享受することができれば、製造コストの削減、物流の効率化、大量調達によるコストダウンが可能になります。特に競争の激しい業界では、規模を拡大することで競争力を大きく強化できる場合があります。

また売り手企業が買収企業と統合することで、買収企業が持っている既存の市場や顧客基盤にアクセスすることが可能です。これにより、地理的な拡大や新しいターゲット市場への参入が可能となり、競争力が高まります。

後継者問題の解決

現代に生きる多くの企業が抱えているのが、後継者不在による問題です。実際に後継者が不在であるため、経営状態が悪くないにも関わらず、やむなく事業廃止に追い込まれる会社も少なくありません。

特に地方の中小規模もしくは個人経営の企業は後継者不在問題を抱えているケースが多いです。日本は大都市集中型の人口構造であることも起因して、地方の中小規模以下の会社には人が集まりにくいという特徴があります。

後継者不在を抱える企業にとって、M&Aによる売却は後継者不在問題を解決できるチャンスです。また大手企業とのM&Aによる取引であれば、優秀な人材が後継者となり、これまでより更に事業が拡大される可能性もあります。

M&Aにおけるスキーム別の目的と狙い

M&Aにおけるスキーム別の目的と狙いについて解説していきます。

株式取得の目的

株式取得とは、ある企業の株主が自分が所有する株式を、他の個人や法人に譲渡することです。M&Aにおいては、最も一般的なスキームのひとつでもあります。株式取得の主な目的は、以下の通りです。

  • 資本間提携や支配権の移動
  • 資金調達
  • 株主の移動

株式取得は、特に企業の経営権に関連する場面で用いられやすいスキームです。株式取得によって3分の2以上の株式を取得すれば、反対する株主を「スクイーズアウト」により強制排除することもできます。

株式取得の狙い

株式取得における主な狙いは、以下の通りです。

  • 経営権の獲得
    株式を一定割合以上取得することで、被買収企業の経営方針に影響を与えることができ、経営権を掌握することが可能となる。
  • シナジー効果の実現
    製品やサービスの統合、顧客基盤の拡大、マーケットシェアの増加など、相互に補完し合う効果が得られる。
  • 成長機会の拡大
    買収企業は新しい市場や事業分野へのアクセスを得ることができる。特に、被買収企業が持つ技術やノウハウ、ブランド力、市場シェアなどは、買収側の成長戦略において重要な資源となる。
  • リスク分散
    被買収企業のリスクを共有し、分散することができる。異なる地域や業界に進出する場合、リスクを分散することで、経済環境や市場の変動による影響を軽減することが可能。
  • キャッシュフローの向上
    株式取得を通じて、買収企業が有利な取引条件を得ることができれば、買収企業の株主価値を向上させることができる。

事業譲渡の目的

事業譲渡とは、ある企業のすべての事業、あるいは一部の事業を買い手企業に譲渡するスキームです。事業譲渡では、事業そのものを譲渡するため、譲渡される対象には、通常、事業に関連する資産、負債、契約、従業員などが含まれます。事業譲渡の主な目的は、以下の通りです。

  • 事業リスクの軽減
  • 資金の調達
  • 事業の集中と効率化

事業譲渡では、買い手側は特定の事業のみを引き継ぐことができるため、自社の事業成長に繋げやすいというメリットがあります。また株式取得や会社分割とは異なり、簿外債務などの不要な資産の承継を避けることが可能です。

事業譲渡の狙い

事業譲渡の狙いは、以下の通りです。

  • 経営資源の最適化
    事業譲渡によって、企業は自社の経営資源を効率的に再分配ができる。不要な事業を譲渡することで、経営資源(人員、資金、時間)を本業や成長事業に集中させることができ、企業の戦略的な方向性に沿った事業の強化が可能。
  • 経営の柔軟性
    事業譲渡は、企業が戦略的に進むべき方向を迅速に変更するための手段となる。例えば、業績が不振の事業を売却し、より収益性の高い分野に注力することで、事業のポートフォリオを改善できる。
  • 規模の経済の追求
    譲渡先の企業が事業の統合を行うことで、規模の経済が働く。例えば、事業譲渡によって両社が重複する資源やインフラを最適化し、コスト削減が実現することがある。

資本提携の目的

資本提携とは、対象企業同士が出資を行い、株式を保有し合うことで、経済的・戦略的に協力する関係を結ぶことです。資本提携における主な目的には、以下のものが挙げられます。

  • シナジー効果の発揮
  • 共同戦略の立案と実行
  • 資金調達の効率化

資本提携では、企業は外部から出資を受けることができるため、資金調達をより容易にすることが可能です。また資金だけでなく、技術力や開発力なども共有することができるため、高いシナジー効果を創出することができます。

資本提携の狙い

資本提携の狙いは、以下の通りです。

  • リスクの分散
    資本提携により、企業は互いに出資し合うことで、リスクを分散させることが可能。新しい市場への参入や新技術の開発において、両社が持つリソースやノウハウを共有することで、単独でのリスク負担を減らすことができる。
  • シナジー効果の創出
    資本提携を通じて、両社が互いの強みを活かし、シナジー効果を最大化することが可能。製品開発や販売チャネルの拡大において、提携先の企業の強みを活かし合うことができ、相互に利益を得ることができる。
  • 資金調達の効率化
    資本提携により、企業は提携先から資金を調達できるため、事業拡大や新規事業開発のための投資を効率的に行うことができる。資本提携は、直接的な買収とは異なり、既存の株主に対する影響を最小限に抑えつつ、必要な資金を調達できる点が魅力。

M&Aにおける従業員の目的

M&Aは会社の経営人だけでなく、そこで働く従業員にも大きな影響をもたらす出来事です。そこで、ここでは、M&Aにおける従業員の目的を買い手・売り手の双方から解説していきます。

買い手側・従業員の目的

買い手側企業の従業員にとってのM&Aの目的は、以下の通りです。

  • キャリアの成長機会
    買収後、従業員は新しい市場や事業、技術に関わる機会を得ることができる。これにより、スキルや知識を拡張し、キャリアの成長が促進される可能性が高くなる。
  • 安定した雇用環境
    買収された企業が安定した財務基盤を持っている場合、買い手企業の従業員は雇用の安定性が増す可能性が高い。特に買い手企業が規模やリソースの面で強い場合、従業員にとって安心感が得られることが多い。
  • 待遇や福利厚生の向上
    買い手企業が大手企業や上場企業である場合、給与や福利厚生が改善されることがある。健康保険、年金、ストックオプションなどの制度が含まれる。
  • 新しいプロジェクトへの挑戦
    買収により新しい事業領域や市場が開拓されることがあり、従業員にとっても新しいチャレンジが生まれる可能性がある。これにより、仕事のやりがいを感じることができることもある。
  • 新しいテクロノジーやツールの導入
    買い手企業が最新のテクノロジーやツールを使用している場合、買収後にその技術やリソースを利用することができ、従業員はスキルアップを図ることができる。

買い手側企業は、基本的に事業成長や拡大を視野に入れてM&Aに踏み切ることが多いです。そのため、従業員にもポジティブな要素が得られることを目指して取引が実施されます。

売り手側・従業員の目的

売り手側企業の従業員にとってのM&Aの目的は、以下の通りです。

  • 雇用の安定性
    M&Aによって買収された場合、買収後も引き続き従業員として雇用されることが一般的で。特に買収先企業が従業員の維持に意欲的な場合、仕事を失うリスクが軽減される。
  • キャリアの成長機会
    M&Aにより、新たなリーダーシップや経営資源が加わることになる。これにより、従業員は新しいプロジェクトや責任ある役職に挑戦する機会を得る。
  • 給与・福利厚生の改善
    M&Aを契機に、売り手企業の従業員に対して給与や福利厚生の改善が行われることがありる。特に買収先企業が資本力を持っている場合、給与水準の向上や、追加の福利厚生)が提供される可能性が高い。
  • 新しい文化・環境での経験
    M&Aを通じて新しい企業文化や職場環境に触れることができるため、従業員にとっては新しいスキルや考え方を学ぶ機会となる。
  • 株式オプションやボーナスの提供
    買収の際に、売り手企業の従業員に対して株式オプションや特別ボーナスが提供されることがある。これにより、買収が成功した場合に金銭的なメリットを享受できる。

売り手側の従業員にとってM&Aの実行は、非常に大きな影響を及ぼす出来事です。特に経営難によりM&Aが実行された場合には、今後の雇用形態が大きく変わる可能性もあるため、より慎重な目的設定が必要となります。

M&Aのプロセス毎の目的

M&Aのプロセスは多岐に渡り、かつプロセス毎に果たすべき目的も異なるのが特徴です。そこで、ここではM&Aのプロセス毎の目的について解説していきます。

検討・準備

M&Aにおける第一フェーズとして挙げられるのが、検討・準備のフェーズです。検討・準備のプロセスでは、M&A取引における成功に向けた基盤を築く役割を果たすことになります。検討・準備のフェーズでおこなう具体的な動きは、以下の通りです。

  • 戦略的目標の明確化:企業の経営陣は、M&Aがどのように自社の戦略に適合するかを明確にし、その目的を達成するための方向性を決定する。
  • ターゲット企業の選定:M&Aの目的に合致するターゲット企業を選定する。ターゲット企業は、規模や業界、地理的な位置、財務状況などを基に評価される。
  • 財務状況の確認と評価:M&Aを実行するための資金調達方法(自己資本、借入、株式発行など)を決定する。ターゲット企業についても、財務諸表や過去の業績を詳細に分析し、買収後に予想されるシナジー効果やリスクを評価する。
  • 法的・規制の確認:各国・地域の反トラスト法、競争法、外国投資規制などを確認し、M&Aが合法的に行えるかを評価する。
  • デューデリジェンスの準備:ターゲット企業の詳細な調査(デューデリジェンス)を行う準備。財務、法務、税務、労務、契約などさまざまな側面の調査を行う。
  • 組織の統合計画の策定:統合計画(PMI:Post-Merger Integration)を事前に策定する。組織構造の統合、人事の取り決め、文化の統合、システムの統合、業務の流れの調整などが含まれる。
  • ステークホルダーとのコミュニケーション計画:M&Aに関するステークホルダー(従業員、株主、取引先、顧客など)への情報提供とコミュニケーション計画を立てる。
  • リスク管理の検討:M&Aにおけるリスク(財務リスク、法的リスク、文化的リスクなど)を予測し、リスク管理策を検討する。
  • プロジェクトチームの編成:M&Aに関わる社内外のメンバー(経営陣、財務部門、法務部門、外部アドバイザーなど)をまとめたプロジェクトチームを編成する。

検討・準備のフェーズは、M&A取引における基盤づくりです。検討・準備フェーズの検討が不十分であると取引が失敗に終わる可能性もあるため、より慎重に行うことも重要になります。

打診・交渉

M&Aにおける第2のフェーズとして、打診・交渉が挙げられます。打診・交渉とは、その名の通り、第一フェーズで選定した取引先と具体的な交渉を行うことです。M&Aにおける打診・交渉のフェーズでは以下のようなことを行います。

  • 対象企業へのアプローチ:直接的な接触(CEOや役員への手紙、電話、メールなど)や間接的な方法(仲介者やアドバイザーを通じて)で行われる。
  • 秘密保持契約書の締結:渉が進展し、双方が情報を交換する段階になる前に、秘密保持契約(NDA)が結ばれる。
  • 基本条件の合意:主に取引の条件(価格、支払い方法、スケジュール、役員体制、契約内容など)に関して合意を得る。
  • 契約書の素案作成:交渉の終息を迎え、基本的な取引条件について合意が得られると、次に具体的な契約書の草案が作成される。

打診・交渉のフェーズでは、より具体的なM&A取引の内容に関して協議されます。M&A取引の全容を決定する非常に重要なフェーズです。

最終契約

M&Aにおける「最終契約」とは、買収プロセスの最後の段階で、両者が合意した条件に基づいて交わされる正式な法的契約です。この契約は、M&Aの取引を正式に成立させ、実行に移すために不可欠となります。最終契約のフェーズでは具体的に以下のことが行われます。

  • 売主(ターゲット企業)と買主(買収側)の明記: 両者の法的名称、所在地、その他の基本情報を契約書に記載する。
  • 株式の売買(または事業の譲渡): 売買対象となる株式や資産、負債を具体的に明記する。
  • 価格設定: 取引の総額(価格)を明記する。価格は交渉を通じて決定され、場合によっては、金額が調整されるため、価格の調整方法(例えば、財務状況に基づく調整)を記載することがある。
  • 支払い方法: 支払い方法(現金、一部株式での支払い、負債の引き受けなど)や支払い時期、分割払いの有無についても詳細に記載する。

最終契約のフェーズでは、M&A取引における最終決定事項が明記されます。本フェーズではより正確に両者間の取引内容が網羅されることが必須です。

契約後

M&Aの取引は、株式売買や企業間合併が実施されて終わりではありません。契約後に臨んだ結果を得ることがM&Aの最終ゴールとも言えます。M&A契約後のアフターケアでは、以下のようなことを行います。

  • 統合計画の立案と実行: 組織構造、業務プロセス、ITシステム、ブランド、企業文化などの統合計画を立案し、実行する。
  • 組織の再編成: 組織構造の変更や役員の再配置を行う。特に経営層や重要ポジションでの調整が求められることがある。
  • 業務プロセスの統一: 販売戦略や製品開発、マーケティング活動などを統合し、重複や無駄を削減するためのプロセス改革を進める。
  • ITシステムの統合: 会計システムや顧客管理システム、サプライチェーンの管理システムなどを統合し、効率化を図る。

第一フェーズで検討した目標や目的を実際に得ることができるかは、契約後のアフターケアにかかっています。契約後のアフターケアの仕方次第で明暗が分かれるといっても、過言ではありません。

M&Aコンサルティング会社を活用する目的

M&Aを実行する場合には、コンサルティング会社を活用するケースも多いです。そこで、ここでは、M&Aコンサルティング会社を活用する目的について解説していきます。

M&A戦略の立案

M&Aコンサルティング会社による戦略の立案・策定は、企業がM&Aを実施する際に成功を収めるための計画や方針を作成するプロセスです。M&Aを行う目的に基づいて、適切なターゲット企業の選定、買収方法、統合後のシナジー創出など、戦略的な側面が含まれます。

M&A戦略の立案は、M&A取引成功の有無を決定する重要なフェーズです。M&A戦略の立案においては、以下のようなポイントが重要視されます。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを踏まえたうえで、自社に合ったM&A戦略を立案してくれることでしょう。より詳細な分析を行ったうえで戦略を立案することができれば、その後のM&A取引も順調に進めることができます。

対象企業のリストアップと照会

M&Aにおける対象企業のリストアップは、戦略的な目標を達成するための重要なステップです。このプロセスでは、買収または提携の目的に合致する企業を特定し、その後の評価・交渉を円滑に進めるための基盤を作ります。

M&Aコンサルティング会社は、依頼主企業が持つM&Aの目的を元に対象企業のリストアップを行うことが一般的です。例えば、「市場シェアの拡大」が目的であるならば、同じ業界で競合する企業や市場シェアの大きい企業をターゲットにします。

またM&Aコンサルティング会社による対象企業のリストアップでは、コンサルティング会社が得意とする領域に応じてリストアップ内容が異なるのも特徴です。M&Aコンサルティング会社が、得意とする領域・ジャンル・業界であれば、より多くの対象企業をリストアップ出来るでしょう。

デューデリジェンスの実施と交渉サポート

戦略の立案と対象企業のリストアップが完了すれば、いよいよデューデリジェンス(対象企業に関する詳細な調査を行い、財務状況・法的事項・ビジネスリスク・税務状況・環境要因などを評価する工程)の実施と交渉に移ります。

M&Aコンサルティング会社によるデューデリジェンスでは、「財務・法務・税務・オペレーション・環境」など個々の項目にデューデリジェンスを行うことが一般的です。それぞれの項目に応じた詳細なデューデリジェンスを行うことで、契約進行の有無を決定します。

さらにデューデリジェンス後は、対象企業との交渉をサポートしてくれます。デューデリジェンスで得た情報を活用することで、契約対象企業とより円滑にM&A取引を進行させることが可能です。

統合後のプロセスサポート

M&Aは契約が締結されたからといって、終わりを迎えるわけではありません。契約後に臨んだ結果を得ることがM&Aの最終ゴールとも言えます。M&A契約後のコンサルティング会社によるサポートでは、以下のようなことを行います。

  • 統合計画の立案と実行: 組織構造、業務プロセス、ITシステム、ブランド、企業文化などの統合計画を立案し、実行する。
  • 組織の再編成: 組織構造の変更や役員の再配置を行う。特に経営層や重要ポジションでの調整が求められることがある。
  • 業務プロセスの統一: 販売戦略や製品開発、マーケティング活動などを統合し、重複や無駄を削減するためのプロセス改革を進める。
  • ITシステムの統合: 会計システムや顧客管理システム、サプライチェーンの管理システムなどを統合し、効率化を図る。

第一フェーズで立案した目標や目的を実際に得ることができるかは、契約後のアフターケアにかかっています。契約後のアフターケアの仕方次第で明暗が分かれるといっても、過言ではありません。

おすすめのM&Aコンサルティング会社

最後におすすめのM&Aコンサルティング会社を紹介します。

M&A HACK

M&A HACK
会社名 合同会社SFS
設立 2022年12月
本社所在地 東京都台東区千足1-14-9 レアライズ浅草2 4F
公式サイト https://sfs-inc.jp/ma/

M&A HACKは、当社「合同会社SFS」が運営するM&Aコンサルティング会社です。2022年の設立から既に多くのお客様に依頼をいただいています。

当社は「スピード対応」「完全成功報酬制」「リスクなし」の3つをコンサルティングの軸としているのが特徴です。M&A取引をスムーズにすすめながらも、完全成功報酬制を採用することで、お客様の負担を最小限に抑えることをモットーとしています。

M&Aの複雑なプロセスも、当社であれば一気通貫して徹底サポートすることが可能です。もちろん相談は無料で行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。

無料相談のご予約:https://sfs-inc.jp/ma/contact

M&Aキャピタルパートナーズ

M&Aキャピタルパートナーズ
会社名 M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
設立 2005年10月
本社所在地 東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲八重洲セントラルタワー36階
公式サイト https://www.ma-cp.com/

M&Aキャピタルパートナーズは、2005年の設立以来、譲渡株価総額2,565億円、じょうときぎょうの売上高4,462億円などの実績を誇るM&Aコンサルティング会社です。

「株価レーマン方式」を採用しており、取引価格に応じて手数料を設定しています。そのため、支払い手数料がリーズナブルであることが魅力です。余計なコストを抑えながら、コンサルティングを依頼することができます。

また同社には仕業を所有するコンサルティングが多数在籍しているのも特徴です。それぞれの分野に特化したコンサルタントが在籍しているので、幅広い分野の案件に対して柔軟に対応することができます。

日本M&Aセンター

日本M&Aセンター
会社名 株式会社日本M&Aセンター
設立 2021年4月
本社所在地 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
公式サイト https://www.nihon-ma.co.jp/

日本M&Aセンターは、東京都千代田区に本社を置く大手M&Aコンサルティング会社です。豊富な実績と優れたコンサルタントを抱えており、業界でも高い知名度を誇ります。

日本M&Aセンターの成約数は、8500件超となっており、3年連続でギネス記録「M&Aファイナンシャルアドバイザー業務の最多取り扱い企業数」に認定されているほどです。

豊富な実績からも分かる通り、取り扱うジャンルの幅が非常に広く、あらゆる業界・取引におけるノウハウを所有しています。またM&Aコンサルティング会社でありながら、金融機関とも連携しているため、M&Aにおける資金面でも確実なサポートをおこなってくれます。

レバレジーズM&Aアドバイザリー

レバレジーズM&Aアドバイザリー
会社名 レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社
設立 2020年4月6日
本社所在地 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 24F・25F
公式サイト https://leveragesma.jp/

レバレジーズM&Aアドバイザリーは、東京都に本拠を置く2020年創業のM&Aコンサルティング会社です。設立から間もないものの、既に多くの取引実績を誇っています。

レバレジーズM&Aアドバイザリーの強みは、約30,000件にも及ぶ独自顧客データベースを所有していることです。これにより、取引における相性最優先の最適なマッチングをかなえてくれます。

また母体である「レバレジーズ株式会社」は、人材業界大手の企業です。人材業で培われた取引ルートをフル活用することで、どんなジャンルのM&A取引にも柔軟に対応してくれます。

山田コンサルティンググループ

山田コンサルティンググループ
会社名 山田コンサルティングブループ株式会社
設立 1989年7月
本社所在地 東京都千代田区丸の内1丁目8番1号丸の内トラストタワーN館10階
公式サイト https://www.yamada-cg.co.jp/

山田コンサルティンググループは、1989年の設立以来長きにわたってM&Aコンサルティングを行ってきた老舗企業です。創業30年以上経過していることから、業界トップクラスの取引実績を持ちます。

山田コンサルティンググループの特徴は、大企業のM&Aのみならず、中小規模のM&A依頼も柔軟に請け負ってくれる点です。全国に支店を展開しているため、地域を問わず相談を行うことができます。

またM&Aコンサルティングの依頼以外にも、アドバイザりー業務も展開しているのが特徴です。コンサルティングとアドバイザリーの両視点から、より適切で確度の高いサポートを行ってくれます。

まとめ

今回はM&Aの目的とM&Aをする理由について、買い手・売り手の双方から解説しました。M&Aは経営戦略として非常に有効な手段であり、実際にM&Aを実施することによって、大きく事業を発展させたり、経営を立ち直らせた企業は多く存在します。

そしてM&Aの成功には、M&Aコンサルティング会社の存在が欠かせません。M&Aコンサルティング会社を活用することで、M&Aに知見や経験がない企業も自社にメリットのあるM&A取引を結ぶことができます。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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