「理化学機器会社のM&Aにおける動向は?」
「理化学機器会社のM&Aについて知りたい」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
実際に現状「理化学機器会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。
そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、理化学機器会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。
理化学機器会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、理化学機器会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
理化学機器会社とは
理化学機器会社とは、理学・高額の研究や教育に用いられる理化学機器を製造・販売する会社のことです。理科化学機器には、試験管・ビーカー・フラスコなどの「器具類」をはじめ、乾燥機・電気炉・遠心機などの「汎用機器」、電子顕微鏡などの「解析装置」などがあります。
理化学機器業界は、扱う製品・技術における分野が多岐に渡るため、製造業・販売業・輸入業など業界内でも様々な事業形態が存在します。日本における理化学機器会社の代表的な企業は以下の通りです。
- 株式会社アズワン
- ケニス株式会社
- 株式会社三商
- 株式会社東海ヒット
- 株式会社成茂科学器械研究所
- 伯東株式会社
- モレキュラーデバイスジャパン株式会社
上記以外にも様々な理化学機器会社が存在し、市場を形成しています。大手企業から中小企業まで展開するビジネスモデルは様々です。今後は技術の発展と共に新たな形態を持った理化学機器会社が生まれることも期待されています。
理化学機器会社の事業内容
理化学機器会社の事業は、主に製造・販売・輸入の3つに分類されます。それぞれの事業内容における概略は、以下の通りです。
- 理化学機器製造
試験管・ビーカー・フラスコなどの「器具類」、乾燥器・電気炉・遠心機などの「汎用機器」、電子顕微鏡などの「解析装置」、クロマトグラフ、X線分析装置、実験台、クリーンルームなどの「設備機器」を製造する。 - 理化学機器販売
理化学機器製造会社が製造した機器を販売する。大手から中小企業まで、得意先の規模は様々。また得意先の特徴によって販売する機器の種類も異なる。大手の理化学機器会社は、製造業と販売業の両方を展開するケースが多い。 - 理化学機器輸入
科学研究や医学の現場で使用される器具や汎用機器を海外から日本に輸入する。理化学機器の輸入代行サービスを利用することで、日本国内に代理店がない製品や、購入できない製品を輸入することができる。
大手の理化学機器会社の中には、製造・販売・輸出入など全てを自社で一貫して展開する企業も多いです。一方で中小規模の理化学機器会社は、製造業もしくは販売業のみを限定して展開するケースもあります。
理化学機器会社に必要な業許可・資格
理化学機器会社に必要な業許可・資格について詳しく解説していきます。
理化学機器会社に必要な業許可
理化学機器の製造・販売・輸入を行うには、いくつかの事業許可を取得することが必要です。事業許可の取得無しでは、理化学機器会社を運営することはできません。理化学機器会社に必要となる代表的な業許可は、以下の通りです。
- 特定計測機器販売
特定計量器の製造事業を行おうとする場合は、あらかじめ事業の区分に応じ、工場又は事業場の所在の都道府県知事(電気計器は経済産業局長)を経由して経済産業大臣に届出が必要(法第40条)。この届出をした事業者を「届出製造事業者」という。 - 医療機器製造販売
医療機器を日本国内市場に出荷する業者(元売り業者)、市場に対する最 終責任を負う業者に対する許可。ただし、医療機器を製造するすべての工程に製造業登録が必要なわけではなく、登録が必要な工程(設計・主たる組立て・滅菌・最終保管)が定められている。 製造業者は製造販売業者の管理監督の下、適切な製造管理および品質管理を行い製品を製造する。
それぞれの事業許可には有効期限も定められており、行政からの査察に基づいて業許可の更新を行うことが必要です。許可基準に定められた基準を下回る場合には、業許可の取り消しが発生するケースもあります。
理化学機器会社に必要な資格
理化学機器会社においては、研究員をはじめ様々な資格を所有した人材の雇用が必要です。理化学機器会社に必要な資格には、以下のものがあります。
- 化学分析技能士
化学製品の安全性や環境への影響などをチェックし、物質を化学的に分析するための資格。3~1級まであり、等級ごとに設定されている受検資格を満たしている人が受験できる。 - 器械保全技能士
機械の劣化や故障の予防やメンテナンスなどの保全業務を行うために必要な技能・知識を認定する資格。機械の修理やメンテナンス、設備診断など、工場の設備を正常に稼働させるために重要な役割を担っている。 - 公害防止管理者
工場から出る汚染物質を取り除いて排出したり、騒音や振動による影響がでないように配慮したりするよう、企業活動を監督するための資格。該当する企業は、公害防止管理者の設置が法律で義務付けられている。 - 毒物劇物取扱責任者
毒物や劇物を取り扱う企業内で、人々の健康が損なわれることがないように管理するために必要な資格。臨床検査業務や工業薬品の製造、販売、使用の業務などに役立つ。 - 特定化学物質作業主任者
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を受け、修了試験に合格すると取得できる。特定化学物質を使った危険性や有害性の高い作業をする際は、特定化学物質作業主任者が指揮のもとおこなわなければならない。
どの資格を取得すべきかは、自社が展開する理化学機器業のビジネスモデルによって異なります。また業許可の取得において必須となる資格も存在するため、自社のビジネスモデルにあった資格の取得が必要です。
理化学機器会社の市場動向
理化学機器会社の市場動向について詳しく解説していきます。
拡大が期待できる成長市場
理化学機器業界は、不景気とされる日本においては珍しく成長が見込める数少ない業界のひとつです。現在の理化学機器業界においては、科学技術の進歩に伴って、さまざまな分野での需要が高まっています。理化学機器業界の主な成長要因は、以下の通りです。
- 製品の品質に対する関心の高まり
- 研究開発への投資の増加
- 新興地域における顧客意識の高まり
- 複数の分野にまたがる分析機器のニーズ
科学技術の進歩は年々起こっており、同時に理化学機器分野においても、新たなニーズが生まれ続けている状況です。理化学機器会社も優秀な研究員を雇用し、需要の高まりに応える製品の研究・開発・製造に力を入れています。
技術革新が目覚ましい業界
理化学機器業界は、他の業界に比べて類を見ない程に技術革新が目覚ましい業界です。そのため、大手の理化学機器製造会社を中心に、次々と新たな製品の開発・販売に着手しています。
理化学機器会社では、主に実験用、測定用、観測用、解析用に使用される機器装置を製造、販売しますが、これらの機器は技術革新による性能向上が見込まれやすいのが特徴です。そのため、新たな技術を取り入れることで、性能・安全性を飛躍的に改善できる可能性を秘めています。
今後も理化学機器業界においては、新技術が発展していく予測です。大手理化学機器会社はもちろんのこと、スタートアップベンチャーも参入することで、更に業界も変革していくことでしょう。
海外市場への積極参入
近年の理化学機器業界において最も注目されているのが、海外市場への積極的参入です。少子高齢化などにより、経済が右肩下がりにある国内だけに踏みとどまらず、積極的に海外進出を目指す理化学機器会社は増えてきています。
技術的要素の大きい理化学機器分野は、日本の技術力を大きく海外にアピールできる分野です。そのため、政府とメーカーが協力して効果的な機器を開発することにより、後押しされると予想されています。
政府側も積極的に海外に対して日本の技術力をアピールしたい立場にあるため、場合によっては海外進出に向けた資金的補助が認可されやすいケースもあります。さまざまな国の法規制や文化の違いなどもあるため、時間と労力を要するものの、今後は海外進出が一層高まっていく予想です。
理化学機器会社が抱える課題
理化学機器会社が抱えている課題について解説していきます。
市場競争の激化
近年の理化学機器会社が抱えている大きな課題として、市場競争の激化が挙げられます。理化学機器業界の市場競争が激化している主な要因は、以下の通りです。
- 技術革新とデジタル化の進展
研究や産業分野での効率化や精度向上が求められるため、技術革新が急速に進んでいる。特に、デジタル技術や自動化技術の導入が進むことで、機器の性能が向上し、より高度な分析や測定が可能になっており、新しい技術や製品を投入する企業が増え、市場に多様な選択肢が登場し競争が激化している。 - 新興市場の成長
アジアやラテンアメリカをはじめとする新興国市場が拡大。これらの地域では、研究開発や製造業が急成長しており、理化学機器の需要が増加している。グローバルな市場機会が増える一方で、これに伴って多数の企業が参入し、市場シェアを巡る競争が激化している。 - コスト競争の激化
高性能で高価な機器が求められる一方で、企業や研究機関はコスト削減のプレッシャーを受けている。特に、予算の限られた研究機関や教育機関において、低価格で性能の良い機器が求められるため、コスト面での競争も激化している。また、廉価な製品を提供する新興国企業が増え、これも競争の一因となっている。
上記に加え、顧客のニーズも多様化してきており、これまでの標準的な製品ではなく、特定の用途に特化した付加価値の高い製品が求められていることも市場競争が激化している大きな要因のひとつです。
資金調達が難しい
理化学機器会社の現状として、資金調達が非常に難しいという課題があります。理化学機器会社の多くは、特定の市場セグメントに依存していることが多いです。特定の市場が不況に陥った場合、需要が大きく減少し、業績が悪化する可能性があり、同時に資金調達を困難にする要因となり得ます。
また理化学機器業界は、専門的な技術と知識が必要なため、一般投資家やベンチャーキャピタルが理解しにくい分野です。特に、ソフトウェアや消費者向けのテクノロジーに比べて派手さが少ないため、投資家の関心が集まりにくい傾向があります。そのため、特定の分野に精通した投資家を見つけるのが困難となり、資金調達が制約される可能性が高いです。
特に中小企業にとっては、技術開発や市場展開に必要な資金を確保することが大きな課題となっています。市場競争が激化している一方で、資金調達が困難な状態となっており、疲弊し続けている理化学機器会社も少なくありません。
研究員の不足
理化学機器会社の抱えている大きな課題として、研究員の不足が挙げられます。理化学機器会社における研究員は、自社の製品を開発し製造するためには欠かせない存在ですが、多くの理化学機器会社が研究員不足に悩まされている現状です。
研究員が不足している最たる要因として、業界の特性が挙げられます。理化学機器の研究開発には、物理学、化学、バイオテクノロジーなど、専門的かつ高度な知識が必須です。高度なスキルを持つ人材は数が限られており、競合他社や他分野(バイオテクノロジー、医療、ITなど)との取り合いが発生します。
また理化学機器市場は、バイオテクノロジー、製薬業界、環境科学、化学産業など、多くの分野での成長に伴い、需要が拡大しています。このような業界の成長によって、研究開発に対する需要が急増している一方で、それに対応できるだけの研究者が市場に供給されていない状況が続いています。
理化学機器会社におけるM&Aの動向
理科化学機器会社におけるM&Aの動向について解説していきます。
大手企業による中小企業へのM&A
建設コンサルタント業界のM&Aで多いのが、大手建設コンサル会社による中小規模建設コンサル会社の買収です。建設コンサル会社が中小規模の建設コンサル会社を買収することで、勢力の拡大を狙っています。
大手企業と中小企業のM&Aでは、建設コンサル会社が中小規模の建設コンサル会社が持つ人材・ノウハウ・顧客などを獲得することが目的です。中小規模の建設コンサル会社を買収すれば、一度のM&Aで複数のメリットを獲得することが出来るので、効率よく規模の拡大を図ることができます。
また近年では大手企業による中小企業の買収だけでなく、中小規模の建設コンサル会社同士が合併するケースも多いです。勢力を拡大する大手建設コンサル会社に対し、中小企業同士が合併することで競争力を高めることを狙いとしています。
クロスボーダーM&Aの高まり
理化学機器製造会社におけるM&Aの動向として挙げられるのが、クロスボーダーM&Aの活性化です。クロスボーダーM&Aとは、譲渡企業または譲受企業のいずれかが海外企業であることを指すものになります。
理科化学機器業界においては、国内市場における競争の激化が大きな課題です。この課題の対策として、大手理化学機器会社を筆頭に、国内市場だけでなく海外家具市場に目を向ける家具製造会社が増えてきています。
国内の理化学機器会社がクロスボーダーM&Aを実施し、海外企業とのタイアップを行うことで、海外市場における早期進出を図ることが可能です。今後は大手理化学機器会社のみならず、生き残りのために中小規模の理化学機器会社も積極的に海外市場へ参入していくことでしょう。
異業種とのM&A
理化学機器会社では、異業種分野に属する企業とのM&Aも活発です。異業種企業とM&Aを実施することで、ノウハウの共有によるシナジー効果の創出を図っています。理化学機器会社がM&Aを実行する異業種分野の業界は以下の通りです。
- バイオテクロノジー業界
- 医療機器業界
- 製薬業界
- 化学分析業界
- 環境科学および環境計測機器業界
- ラボオートメーション業界
これらの業界や業種は、理化学機器会社が技術力や市場シェアを強化するために戦略的にM&Aを行いやすい分野です。特に、既存の技術や顧客基盤とのシナジーを生み出す企業をターゲットにすることで、持続的な成長を支えることができます。
理化学機器会社のM&Aにおける成功事例
理化学機器会社のM&Aにおける成功事例を紹介していきます。
三洋貿易と古江サイエンスによるM&A
2017年2月に、三洋貿易株式会社が子会社である三洋テクノス株式会社を通じて、古江サイエンス株式会社の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「三洋貿易株式会社」は、東京都千代田区に本社を構え、合成ゴムや化学品などの原材料、副資材をはじめ、機械や各種測定装置を取り扱い理化学機器関連商社です。一方の譲渡企業である「古江サイエンス株式会社」は、ローラーポンプとマイクロフィーダーの開発および製造と販売に携わっている企業になります。
本件M&Aは、ともに理化学機器会社同士の取引事例です。本取引により、譲り受け企業である三洋貿易は、三洋テクノスと古江サイエンスの合併によるシナジー効果により、三洋グループ全体の企業価値の上昇に貢献し、科学機器事業部としての本格的なスタートとなると位置づけています。
日立製作所と日立ハイテクによるM&A
2023年10月に、株式会社日立製作所と株式会社日立ハイテクは、日立ヘルスケア事業本部を会社分割のスキームにより、同社子会社である日立ハイテクに承継することを決定したM&Aの事例です。
譲り受け企業である「株式会社日立製作所」は、大手総合電機メーカーで、情報・通信システムや社会・産業システムなど様々な製品・サービス群を手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「株式会社日立ハイテク」は、医用分析装置・バイオ関連製品・半導体製造装置・分析機器・解析装置の製造・販売、および社会・産業インフラ・モビリティ等の分野における高付加価値ソリューションの提供を行っている。
本件M&Aは、大手総合電機メーカーと理化学機器会社による取引事例です。日立ハイテクで積み重ねた研究開発力やモノづくり力、日立の放射線治療システム事業で培ったグローバル KOL(Key Opinion Leader)との関係や、診断と治療をつなぐデジタルソリューションなど互いの強みがあることから、両社の事業を統合することが、ヘルスケア事業の成長を加速するために最適と判断しています。
ジェイテックコーポレーションと電子科学によるM&A
2021年5月に、株式会社ジェイテックコーポレーションが電子科学株式会社の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「ジェイテックコーポレーション」は、世界の放射光施設、X線自由電子レーザー施設で使用される高精細ミラーや、再生医療および創薬の分野で用いられる3次元培養装置を主力製品としている理化学機器会社です。一方の譲渡企業である「電子科学株式会社」は、超微量の水素・水を観測可能である独自の昇温脱離分析装置で国内トップを誇る企業になります。
本件M&Aは、ともに理化学機器事業を手掛ける企業同士の取引事例です。本取引により、ジェイテックコーポレーションと電子科学の両社は、半導体・液晶・有機EL分野での新製品開発などの相乗効果を期待しています。
理化学機器会社にてM&Aを行うことのメリット
理化学機器会社がM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。理化学機器会社のM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。
売却側のメリット | 買収側のメリット |
|
|
理化学機器会社でM&Aの売却を行うことのメリット
理化学機器会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。
市場競争力の確保
理化学機器会社がM&Aにて、自社の売却を行うことで、市場競争力を獲得することが可能です。M&Aによって他社と資本提携もしくは業務提携を行うことは、市場における競争力を獲得することに直結します。
特に中小規模の理化学機器会社が、M&Aによって大手企業の傘下に入ることで、資金・人材・ノウハウなどの経営資源を潤沢にすることが可能です。大手企業が持つ潤沢な経営資源を活用することで、これまで実施できなかった新規プロジェクトにも着手することができます。
特に市場競争の激しい理化学機器業界では、M&Aの売却による経営基盤拡大は非常に有効な戦略のひとつです。経営資源の獲得はもちろん、ノウハウの共有などによるシナジー効果創出の恩恵を受ければ、高い市場優位性を獲得することが出来るでしょう。
資金調達・オーナーのEXIT
M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。
- 残っている借入金の返済に充てる
- オーナー自身の引退後の生活資金とする
- 新規事業における資金源とする
一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。
借入における個人保証の解除
借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。理科化学機器会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。
特に中小規模の理化学機器会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。
M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。
事業の選択と集中
景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。
M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。
M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。
理化学機器会社でM&Aの買収を行うことのメリット
理科化学機器会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。
- 事業拡大のチャンス
- 新規事業への進出
- 従業員の確保
- 事業の内製化が可能
それぞれ詳しく解説していきます。
事業拡大のチャンス
M&Aにおいて買収側が得られる大きなメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。
理化学機器会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物のような有形資産に加え、顧客・取引先情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に理科化学機器会社においては、「取引先」「顧客情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。
また理科化学機器会社においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。
新規事業への進出
M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに理科化学機器業界への早期参入が可能となります。
景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。
また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。
従業員の確保
理科化学機器会社は専門職の一種であるため、専門技術を要した職人の確保が必須です。M&Aによって理化学機器会社を買収することで、理化学機器業のノウハウを持った従業員を確保することができます。
理科化学機器会社の運営において特に必要となる人材は、「研究員」「開発員」などの人材です。これらの人材を一から採用するのは非常にハードルが高いですが、M&Aによって専門知識を保有する人材を引き継ぐことができれば、採用コストを削減することもできます。
またM&Aによって人材を引き継ぐことは、理科化学機器業界におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、理化学機器会社のビジネスもより優位に進めることが出来るでしょう。
事業の内製化が可能
M&Aによる企業買収では、事業の内製化を図ることが可能です。M&Aによる事業の内製化とは、外部から企業や事業を買収・合併することで、自社が持っていなかった技術、ノウハウ、リソースなどを内部に取り込み、社内でそれを活用して事業活動を行うことを指します。
例えば、自社が持っていない重要な技術や製品、サービスを提供している理化学機器会社を買収することで、それらを自社のものとして市場で活用することが可能です。希少性の高い技術や製品であれば、高い市場競争力を獲得できるでしょう。
また外部委託していた業務やプロセスを内製化することで、コストを削減し、業務の効率を高めることも可能です。理科化学機器の製造における外部プロセスを取り組みことで、高いシナジー効果の創出が期待できます。
理化学機器会社のM&Aにおける注意点
理化学機器会社のM&Aにおける注意点を解説します。理化学機器会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。
- M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
- 避止義務に関して
- 事業許可や人材の引継ぎ
それぞれ詳しく解説していきます。
M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。
買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。
そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。
避止義務に関して
M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。
M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。
会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に理化学機器会社を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。
事業許可や人材の引継ぎ
理化学機器会社を運営するうえで重要なのが「特定計測機器販売」や「医療機器製造販売」などの事業許可です。事業許可を持たないうえでの製造・販売行為は、法律違反に該当します。
もし事業譲渡をする際に買収側の企業が、特定計測機器販売や医療機器製造販売業を有していなければ、理科化学機器の製造・販売を行うことは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は事業許可を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。
許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、理化学機器会社の売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。
理化学機器会社のM&Aを成功させるためのポイント
理化学機器会社におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。理化学機器会社におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
- M&A戦略の立案
- 相場価格をよく理解しておく
- 統合後のプロセス確立
それぞれ詳しく解説していきます。
M&A戦略の立案
M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。
M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。
M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。
- M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
- 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
- いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
- 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
- M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)
上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。
また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。
当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
無料相談のご予約:
https://sfs-inc.jp/ma/contact
相場価格をよく理解しておく
M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。
理化学機器会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。
- 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
- 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分
当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。
また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。
統合後のプロセス確立
M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。
PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。
- 新経営体制の構築
- 経営ビジョン実現のための計画策定
- 両社協業のための体制構築・業務オペレーション
上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。
またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。
理化学機器会社におけるM&Aのまとめ
今回は理化学機器会社におけるM&Aについて、理化学機器業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。
理化学機器業界は市場競争が激しいこともあり、M&Aが活発化している業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している理化学機器会社も数多く存在することから、理化学機器会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。
しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
無料相談のご予約:
https://sfs-inc.jp/ma/contact