ヒューリックは2026年10月13日、連結子会社であるリソー教育グループを完全子会社化する目的で、同社株式などに対する公開買付け(TOB)を開始すると発表しました。買付期間は10月14日から11月26日までです。10月14日時点では買付期間が始まった段階で、成立は確認されていません。
今回のTOBで決まったこと
ヒューリックは発表時点でリソー教育グループ株式の50.87%を保有しています。今回は残りの株式と新株予約権を取得し、完全子会社化を目指します。普通株式の買付価格は1株295円。買付予定数の下限は26,646,601株で、上限は設けていません。下限に届かなければ応募株券等の全部を買い付けない条件です。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 買付者・対象会社 | ヒューリック・リソー教育グループ |
| 目的 | 完全子会社化 |
| 普通株式の価格 | 1株295円 |
| 買付期間 | 2026年10月14日〜11月26日 |
| 発表時点の保有割合 | 50.87% |
| 買付予定数の下限 | 26,646,601株 |
| 状況 | 買付期間中(2026年10月14日時点) |
買付期間後も株式が残る場合、ヒューリックは株式等売渡請求または株式併合による完全子会社化の手続きを予定しています。東京証券取引所は10月13日、リソー教育グループ株式を「監理銘柄(確認中)」に指定しました。これは上場廃止が確定したという意味ではなく、TOB成立後に予定される手続きによって上場廃止となる可能性を確認する指定です。
詳細はリソー教育グループの公式開示資料とJPXの指定公表で確認できます。案件の発見元は日本M&Aセンターの速報です。
子会社化後の連携を、完全子会社化へ進める背景
ヒューリックは2024年にリソー教育グループを連結子会社化しており、今回の発表時点ですでに過半数を保有しています。今回のTOBは、初めて支配権を得る取引ではなく、残る株主の株式を取得してグループ内の所有を一本化する段階です。
両社は、子ども向け教育施設「こどもでぱーと」への出店やDX投資などの協働を進めています。ヒューリックは教育事業者との連携や不動産ノウハウの活用を事業方針に掲げています。今回の完全子会社化により、こうした施策をグループ全体の投資・運営計画として進めやすくする狙いがあると読めます。これは公表された連携方針に基づく見立てであり、施策の成果が確定したことを示すものではありません。ヒューリックのこども教育事業にも事業方針が掲載されています。
中小企業の経営者が見るべき3つの点
大企業のTOBでも、経営者が資本提携や会社売却を考える際に参考になる論点があります。
- 提携の成果と完全子会社化の目的を分ける。業務提携や子会社化で得た成果を確認し、追加取得によって何を実現するのかを別に定義します。投資判断、拠点展開、人材配置など、意思決定のどこが変わるのかを具体化します。
- 少数株主への説明と価格決定の過程を残す。本件では対象会社が特別委員会を設置し、価格交渉などの検討過程を開示したうえで賛同意見と応募推奨を決議しました。支配株主との取引では、価格だけでなく、交渉の独立性や情報開示の過程が信頼を左右します。
- 買付後の統合計画を先に作る。完全子会社化自体をゴールにせず、追加投資、業務連携、組織・権限の変更をいつ誰が進めるのかを定めます。計画が曖昧なままだと、所有構造を変えても事業上の効果を検証できません。
株式譲渡の基本的な仕組みや、事業譲渡との違いは株式譲渡の解説で確認できます。自社の株式譲渡や資本提携を検討する場合は、譲渡範囲・希望条件・相手に引き継ぐ経営資源を整理してから、M&Aの相談窓口へご相談ください。


