SAKIGAKEホールディングスは2026年9月29日、連結子会社の魁力屋が営む中食事業を新設会社へ移し、その全株式を三昌物産へ譲渡する契約を締結したと発表しました。対象は「からたま屋」「とりサブロー」を中心とする9店舗の事業です。新設分割は2026年11月、株式譲渡は同年12月1日の実行予定で、譲渡価額は3億1,000万円です。
発表時点で契約は締結済みですが、事業の切り出しと株式譲渡は完了していません。以下は2026年9月29日の発表内容に基づく当時の計画です。
発表された取引の内容
| 項目 | 発表内容 |
|---|---|
| 売り手側 | SAKIGAKEホールディングスの連結子会社・魁力屋 |
| 対象 | 「からたま屋」「とりサブロー」を中心とする中食事業 |
| スキーム | 新設分割で新会社へ事業を承継後、新会社の全株式を譲渡 |
| 買い手 | 三昌物産 |
| 譲渡価額 | 3億1,000万円 |
| 実行予定 | 新設分割は2026年11月、株式譲渡は12月1日 |
| 事業規模の開示 | 2025年12月期の売上高7億1,500万円、9店舗 |
新会社「からたまや株式会社(予定)」が承継するのは、中食事業に関する資産・負債、契約上の地位などのうち、新設分割計画で定める権利義務です。譲渡前は魁力屋が新会社の全株式を保有し、譲渡後の保有割合は0%となる計画です。発表では、売却対象事業の営業利益は示されていません。
売り手と買い手が公表した狙い
SAKIGAKEホールディングスは、成長をけん引してきたラーメン事業へ経営資源を集中するために譲渡を決めたと説明しています。中食事業は2025年12月期に7億1,500万円を売り上げ、魁力屋の全事業売上高の4.8%でした。この比率は売上規模を示すもので、利益貢献や事業価値そのものを示す数値ではありません。
買い手の三昌物産は、飼料用油脂・配合飼料のほか、生鮮チキンの加工、畜産加工品や冷凍食品の製造販売を手がけています。売り手は、鶏肉加工などの事業を持つ三昌物産のもとで対象事業のさらなる発展を目指せると判断したと説明しています。実際の店舗運営やブランド方針がどう変わるかは、発表資料では明らかにされていません。
事業を会社分割で切り出すときの確認点
事業譲渡では、株式だけでなく、どの資産・負債・契約を新会社へ移すかが実行後の運営を左右します。今回の発表も、承継対象を新設分割計画で定めるとしています。売り手・買い手が同様の取引を検討する場合は、契約書と分割計画を照合し、少なくとも次の点を個別に確認します。
- 店舗賃貸借、仕入れ、決済、フランチャイズ等の契約が承継対象か。相手方の同意や再契約が必要か
- 商品レシピ、ブランド、商標、顧客情報、予約・販売データを誰がどの範囲で使えるか
- 従業員の所属・処遇、引継ぎ時期、採用・教育を誰が担うか
- 食品衛生、営業許可、設備保守、在庫・品質管理の責任がどの法人に移るか
- 譲渡価額の前提となる運転資金、在庫、設備、未払債務、税務処理をどう確定するか
契約の承継や許認可の扱いが曖昧なまま実行日を迎えると、売上の計上主体、仕入れ、従業員配置など日々の運営に支障が出る可能性があります。一方、買い手が既存の仕組みへ一律に切り替えると、店舗や商品ごとに蓄積した運営ノウハウを損なうこともあります。実行前に「初日から変える業務」と「一定期間は現行運用を残す業務」を分け、責任者と移行期限を決めておくことが現実的です。
経営者が譲渡条件を点検する手順
- 売却目的を、経営資源の集中、後継者問題、資金回収などに分け、譲渡後に残す事業との関係を整理する。
- 対象事業の売上だけでなく、利益、季節性、店舗別採算、必要な設備更新、運転資金を確認する。
- 移す資産・負債・契約・人員・知的財産を一覧化し、移転に第三者の同意が要る項目を特定する。
- 譲渡価額の調整条件、実行前提、未達時の対応、引継ぎ支援の期間と範囲を契約に落とす。
- 実行後の顧客対応、従業員説明、仕入れ、会計処理について、双方の担当者と開始日を決める。
特に売上高と譲渡価額だけを並べて価格の妥当性を判断するのは避けましょう。利益、資産・負債、契約の継続性、必要な追加投資を確認し、価格の前提を説明できる状態にする必要があります。
食品・惣菜事業の譲渡で対象範囲や進め方を整理する際は、お弁当・惣菜屋のM&A・事業承継ガイドも参考になります。自社の会社売却・事業譲渡について検討中の方は、資料を整理したうえでM&Aの相談窓口からご相談ください。
まとめ:価格だけでなく引き継ぐ事業の範囲を決める
SAKIGAKEホールディングスは、魁力屋の中食事業を新設会社へ移した後、全株式を三昌物産へ3億1,000万円で譲渡する契約を締結しました。発表時点では実行前の計画で、対象事業の営業利益や店舗ごとの採算は公表されていません。
自社で事業譲渡を進める場合は、価格の検討と並行して、契約・人員・許認可・ブランド・運営手順の承継範囲を明確にしましょう。実行後の責任分担まで合意しておくことが、譲渡後の顧客対応と事業継続を支えます。
出典:SAKIGAKEホールディングス「連結子会社による会社分割(簡易新設分割)および新設会社の株式譲渡に関するお知らせ」(2026年9月29日)/日本M&Aセンター M&A速報(対象案件)


