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人材派遣会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「人材派遣会社のM&Aにおける動向は?」
「人材派遣会社のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「人材派遣会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、人材派遣業のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

人材派遣会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、人材派遣会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

人材派遣会社とは

人材派遣業とは、派遣元の事業主が雇用する労働者を他者へ派遣し、派遣先企業の指揮命令の元、派遣社員が労働に従事する事業です。法律上における人材派遣会社の名称は「労働者派遣事業」となっています。

少子化の加速により、日本国内における若年層人口は年々減少している状態です。しかし厚生労働省の調査(労働経済の推移と特徴)によれば、2012年以降は人々の労働参加が進み、労働力人口・就業者数・雇用者数は増加傾向にあります。これは、国内における労働意欲の増加が読み取れる事項です。

共働き世帯が増えたこと等の恩恵を受け、現代の日本人における労働意欲は増長しており、同時に人材派遣会社の社会意義も増大しています。派遣社員自身はもちろんのこと、人手不足に悩む中小企業にとっても人材派遣会社が担う役割は非常に重要と言えるでしょう。

人材派遣会社に類似した業種

人材派遣会社は、人材派遣会社に登録された(派遣)社員を「派遣先企業」に派遣する業種で、大枠では「人材サービス業界」に分類されます。

人材サービス業界は、人材派遣業を含む複数の種類によって分類されており、その主な種類には下記のようなものがあります。

  • 人材請負
  • 人材紹介
  • 求人メディア
  • 再就職支援
  • 採用コンサルティング

それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

業務請負

業務請負は、人材派遣と混同しやすい類似業種の一つです。業務請負とは、クライアント企業が発注する業務に対し、請負企業が「請負契約」を締結し、請負企業に属するスタッフが業務を完遂させる事業です。

業務請負と人材派遣では、労務提供者(スタッフ)に対する指揮・命令関係が異なるのが特徴です。人材派遣では派遣先企業が派遣スタッフに直接指示・命令をしますが、業務請負では請負企業がスタッフに指示・命令を下します。

業務請負では雇用主に当たるのは請負企業であるため、企業と労働者(請負会社に属する)が雇用関係にありません。そのため依頼企業側に発生する人件費を削減することができます。

人材紹介

人材紹介業とは、求職者と企業(求人側)の間に入り、両者が雇用契約を結ぶためのサポートや仲介を行う事業です。こうした人材紹介業者は、「人材サービス業界」に分類されます。

人材紹介業とは、いわゆる俗語であるため、正式には「有料職業紹介事業」といい、有料職業事業を行うには厚生労働省の許可が必要です。

また人材紹介業では、「求人企業側のニーズに合わせて求職者を紹介する」「求職者をスカウティングして企業側に斡旋する」という2つの事業方法が一般的となっています。

求人メディア

求人メディアとは、Webサイト上における「転職サイト」を運営し、労働者と企業の雇用関係仲介を手掛けるサービスです。主要なやり取りは、インターネット上で行われるため、人材派遣や人材紹介とは大きくサービス概要が異なります。

近年では求人メディアの需要が非常に高まっており、人材紹介会社を介さず、求人メディアのみの利用で転職を果たす人も多いです。複数の求人情報がひとつのメディア媒体で閲覧出来るため、転職におけるハードルが求人メディアの登場によって一気に低下しました

ただし求人メディアは、あくまで求人広告の掲載を請け負うのみであるため、人材派遣会社や人材紹介会社のように、採用におけるアドバイスや採用後フォローは基本的に行いません。充実したサポートを受けたい就職希望者にとっては、ややサポートが不足するケースが発生するのも事実です。

再就職支援

再就職支援とは、会社都合によって退職する人材の再就職を支援するための事業です。この事業は、ハローワークや人材紹介企業が請け負ったり、専門の再就職支援企業も存在します。

人材派遣業と再就職支援の主な違いは、求人企業との関係性です。人材派遣では企業からの要請をもとに派遣事業を展開するため、求人を展開する企業がなければ派遣労働者の就職先を斡旋することができません。

一方で再就職支援では、求職者の希望や経験、スキルに合わせて再就職支援企業が求人を開拓する事業です。広義の意味では同一性が高いですが、再就職支援は求職者ありきのビジネス形態となります。

採用コンサルティング

採用コンサルティングとは、企業の人材採用における課題を分析し、課題解決に向けたコンサルティングを請け負う業種です。「人材サービス業界」に属するものの、求職者と求人企業を結び付ける人材派遣会社とは大きく事業形態が異なります。

採用コンサルティングは近年非常に需要の高まっているサービスです。採用業務の複雑化・中小企業の人材不足・働き方の多様性などの影響により、人材確保に苦労する企業が増えていることが要因になります。

ただし採用コンサルティング事業は、コンサルタント個人の能力に大きく依存する業種であるため、M&Aの難易度は非常に高いのが特徴です。独自のノウハウやビジネス手法を確立していない場合には、買い手企業を見つけるのは非常に困難となります。

人材派遣会社の運営に必要なもの

人材派遣業を運営するうえで必要な業許可・資格・その他の要件について解説していきます。

派遣元責任者

人材派遣会社を運営するうえでは、各事業所ごとに派遣元責任者の資格を有した人物を選任・配置することが必須です。派遣元責任者は、派遣者労働者100人ごとに1人以上を設置することが義務付けられています。

派遣元責任者は、誰でも出来る訳ではなく、一定の要件を満たしておくことが必須です。派遣元責任者における欠格事由と必要要件は、以下の通りです。

欠格事由 必要要件
  • 禁固刑又は労働基準法違反などにより懲役・罰金の刑に処され、その執行を受ける事ができなくなってから5年を経過しない者
  • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
  • 労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
  • 未成年者である者
  • 外国人で一定の在留資格のない者
  • 派遣元責任者の業務に専任できること
  • 3年以上の労務管理経験があること
  • 3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること

上記の「欠格事由を満たしておらず」かつ「必要要件を満たしている」人物のみが派遣元責任者の任に付くことができます。

派遣元責任者の業務は、派遣先企業や派遣労働者からの苦情・相談があった場合、いつでも対応ができるよう体制を整えることです。そのため、派遣元責任者自身が派遣労働をしたり、他会社の役員や従業員が派遣元労働者の任に付くことはできません。

労働者派遣事業許可

人材派遣会社は、派遣元責任者を設置することに加えて、厚生労働省から「労働者派遣業許可」の認可を受けなくてはなりません。労働者派遣事業許可無しでの人材派遣会社の運営は、法律で禁止されています。

労働者派遣事業許可を取得するために満たすべき要件は、以下の通りです。

  • 該当する事業が、労働者派遣の役割を特定の者だけに提供する事を目的として行われるものではない事
  • 申請者が、該当する事業の派遣労働者に関わる雇用管理を、適正に行える能力がある事
  • 個人情報を適正に管理し、労働者の秘密を守れる措置がある事
  • 申請者が、該当する事業を的確に遂行できる能力がある事
  • 民営職業紹介事業を兼業する場合、許可要件を満たしている事
  • 海外派遣を予定する場合、許可要件を満たしている事

この他にも申請手数料や各種申請書類の準備が必須です。労働者派遣業許可の取得には、専門的な知識が必要ですので、専門的な知識や経験が無いのであれば、労務士などの専門家に依頼することが推奨されます。

その他の要件

派遣元責任者を設置し、労働者派遣事業許可の取得ができれば、人材派遣会社の運営を行うこと自体は可能です。しかし実際には、その他にも満たしておくべき要件がいくつかあります。

人材派遣会社の運営に必要とされる、その他の要件は以下の通りです。

  • 運転資金
    開業費用・人材派遣会社に勤務する従業員や派遣労働者に支払う賃金・事務所の運営費(家賃・光熱費)などの支払いに掛かる費用など
  • 事務所設置における要件
    派遣事業に使用できる面積が20㎡以上あること。また風俗営業や性風俗特殊営業などが密集するなど、事業の運営に好ましくない位置に設置されていないこと。
  • 派遣労働者に対する教育訓練機会の提供
    人材派遣会社は、派遣労働者に対する教育機会を提供しなくてはならない。また教育訓練は、派遣労働者全員が対象であり、有給かつ無償で労働者のキャリアアップに繋がるものであること

上記の他にも様々な要件を満たしていなくては、人材派遣会社を運営することはできません。他業種・業界に比べても、人材派遣会社の運営におけるハードルは高いと言えるでしょう。

人材派遣会社の市場動向

人材派遣会社の市場動向について詳しく現状と今後を解説します。現在および今後の人材派遣会社市場における動向は、以下の通りです。

  • 市場は拡大傾向にある
  • コロナ禍による影響
  • 多様性への理解と取り組む
  • 雇用構造の変化に対する対応
  • グローバル人材の需要は増加傾向にある

それぞれ詳しく解説していきます。

市場は拡大傾向にある

厚生労働省が毎年発表している「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」によると、2021年度の人材派遣事業者全体における売上高は、8兆2,363億円で、対前年比(2022年比)からは7.7%の増収です。

日本全体で見れば少子高齢化が進んでいるため、以前として労働者確保が難しいのが現状です。人材派遣会社を含む人材サービス業も市場自体は拡大傾向ですが、求人者の働き方が多様化していることも要因となり、事業内容には工夫を求められています。

また人材サービス業界全体としては、以前として人材派遣の市場規模が大きく、2021年度の人材派遣業の市場規模は9兆2000億円(前年比6.6%増)です。人材派遣業者のM&Aも年々増加しており、中小の人材派遣業者が大手人材派遣業者に吸収合併される事案が増加しています。

コロナ禍による影響

2019年より発生したコロナウィルスによる影響は、人材派遣会社を含む人材サービス業界にも多大な影響を与えました。コロナ禍の影響にとり、人材派遣会社の中には経営難に陥った中小規模業者も多く存在します。

コロナ禍によって最も多大な影響を受けた業界は、飲食業・宿泊業・イベント業などの業界です。コロナ禍による外出自粛の流れが作用し、市場規模が停滞。同時に労働者の需要も大きく低下し、求人数が減少しました。

特に宿泊業・飲食サービス業の休業者数は79万人(2020年時点)となっており、これは昨年比(2019年)にすると7倍超の低下率です。派遣切りも多く発生し、リーマンショック以来の大幅な人員削減となりました。

多様性への理解と取り組み

人材派遣会社は、「人」に関与する業界であるため、時代における風潮を大きく受けやすい業界でもあります。特に現代の人材派遣会社に求められるのが、「多様性」に対する理解です。現代の日本では、仕事において「多様性」が認知されています。これは政府による「働き方改革」の提唱が大きな要因と言えるでしょう。

2016年9月に「働き方改革実現会議」が設置され、2017年3月には「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9分野における具体的な方向性を示した「働き方改革実行計画」がまとめられました。

これにより、国民の中には「働き方の多様性」が認知され、これまでの労働形態が根底から覆される事態になっています。正社員として働くことは最早一般的なことではなく、フリーランスや独立経営者としての働き方も認知される時代です。

今後更に働き方に多様性が認められる時代が来ることは簡単に予測することができます。労働時間・勤務体制・職場の人間関係など、常に変化する働き方に対応する柔軟性が人材派遣会社にも求められるでしょう。

雇用構造の変化に対する対応

現代の日本における人材派遣会社には、雇用構造の変化に対する対応力が求められています。人材派遣会社に大きな影響を与えたのが、「求人メディア」と「転職エージェント」の存在です。

求人メディアは、求人広告をオンライン上にて掲載することで、求人応募者と求人募集企業をマッチングさせるサービス。就職希望者は、オンラインでのやり取りのみで面接まで辿り着くことが出来るため、派遣会社を介さずパート・アルバイト先を個人で容易に見つけられる時代となりました。

また転職エージェントも、人材派遣会社に大きな影響を与えています。マンツーマンで転職をサポートしてくれる転職エージェントの需要は非常に高まっており、転職におけるハードルを下げる立役者的な存在となりました。人材派遣会社が持つ「求人紹介」という役割を転職エージェントも担っていると言えるでしょう。

今後の人材派遣会社にとって、求人メディアや転職エージェントとの差別化戦略は非常に重要なテーマです。人材派遣会社を利用するメリットを提示できなければ、他媒体や手法を求人応募者や募集企業が積極的に採用することが予想されます。

グローバル人材の需要は増加傾向にある

グローバル人材の雇用増加も人材派遣会社が持つ大きな課題です。グローバル人材とは、その名の通り、複数の国をまたがるビジネスにおいて活躍する人物を指します。

少子高齢化・景気悪化が続く日本では、現在企業がこぞって海外進出を実行・検討している時代です。グローバル化という言葉が生まれて久しいですが、ここ数年で日本企業の海外進出はより顕著となっています。

海外進出を目指す企業にとって、海外コミュニケーションに特化したグローバル人材は、是が非でも欲しい人材です。しかし能力の高いグローバル人材を発掘し斡旋することは容易ではなく、人材派遣会社にとっても大きな課題の一つとなっています。

人材派遣会社における課題

現代の人材派遣会社において課題とされる点について解説していきます。人材派遣会社における課題は、以下の通りです。

  • DXへの対応
  • アフターコロナへの働き方への対応
  • 派遣労働者の要望に応える義務

それぞれ詳しく解説していきます

DXへの対応

近年のあらゆる業種で進められている動きが、DXへの対応です。DXとは、「デジタル・トランスフォーメーション」の略語で、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革することを指します。

ビジネスの世界におけるDX化には様々な概念がありますが、大枠の定義は「最新のデジタル技術を活用して、業務フロー改善や新たなビジネスモデル創出を成すこと」です。これを人材派遣会社に置き換えると、具体例として以下のようなものが挙げられます。

  • 人材データの一元管理と活用
    派遣労働者の登録情報をデータベースにて一元管理するDX。登録者の住所やスキルなどの基本情報をデータベース化して管理し活用することで、派遣先企業への紹介や手続きを簡略化できる。
  • 顧客管理の効率化
    顧客である派遣先企業の情報をデータベースにて管理する手法。希望する求人内容・人数・労働者の年齢などを一括管理することで、スムーズな営業対応を実現することができる。
  • 電子契約によるペーパーレス化
    派遣先企業との契約書類や派遣労働者の履歴書・職務経歴書などを電子契約することで、ペーパーレス化することで書類保管の手間を簡略化できる。保管場所を減らすことが出来るだけでなく、コスト削減も可能。

上記の他にも様々なDX化が進んでおり、人材派遣会社はこれに対応することが求められています。DX化の導入には手間とお金が発生しますが、上手に活用すればメリットが大きいことも事実です。

アフターコロナの働き方への対応

人材派遣業界におけるコロナ禍による影響は凄まじく、総務省の調査によれば、2020年4月の非正規の職員・従業員数は97万人の大幅減となっています。つまり派遣労働者の数が激減していることを意味します。

中でも製造業における人員削減は、人材派遣業会社にとって大きな打撃を与えた要因のひとつです。コロナ禍による受託製造依頼の減少は、そのまま「派遣切り」という現象に直結しています。コロナ禍が収束しつつある現在も、一部の業界においては派遣切りが多発しているのも実状です。

またコロナ禍によるリモートワーク体制の確立も、派遣会社にとって大きな影響を与えました。派遣先企業のなかにはリモートワークの確立を推進している企業も多いため、これらの企業のニーズに応える対応が求められています。

派遣労働者の要望に応える義務

人材派遣業に身を置く企業にとって、派遣労働者の要望に応えることは非常に重要です。しかし実際には派遣労働者と募集企業とのニーズには乖離があり、これを解消するのが人材派遣会社の役目となります。

しかし現代では「派遣労働者者>募集企業」という偏ったパワーバランスが発生しており、人材派遣会社はこれに応えることが目下の課題です。派遣労働者から求められる要望が一昔前よりも増え、難易度も高まっているため、要望に応えられる企業を発掘すること自体に多大な労力がかかります

例えば「ワークライフバランス」という言葉がここ数年で一気にトレンド入りしましたが、これも労働者側の要望の一つです。長時間労働や残業を避け、プライベートと仕事の両取りが出来る企業を労働者は求めています。

今後も労働者側の要望は非常に高くなっていくことが予想されるため、募集企業との更なる乖離が発生することも予測されます。人材派遣会社は、これまでより一層、派遣労働者のニーズを円滑に汲み取ることが求められるでしょう。

人材派遣会社のM&Aの動向

人材派遣会社のM&Aの動向について解説します。これから人材派遣会社のM&Aを検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

  • 大手事業者による中小規模事業者の買収が増加
  • 別業界の大手企業による参入
  • 後継者不在が要因のM&Aも多い

それぞれ詳しく解説していきます。

大手事業者による中小規模事業者の買収が増加

現在の人材サービス業界では、大手人材派遣会社による中小規模事業者の買収が相次いでいます。人材派遣企業のなかでも、大手に属する企業の代表例は以下の通りです。

  • リクルートスタッフィング
  • パーソナルテンプスタッフ
  • リクルートスタッフィング
  • マンパワーグループ
  • スタッフサービス

上記の企業が人材派遣会社のなかでも高いシェアを占めており、その他の市場シェアを他の人材派遣会社で取り合うのが現在の市場動向です。大手人材派遣会社は、更なる規模の拡大の為に、中小規模の人材派遣会社を買収している現状があります。

また大手派遣会社との競争で負けないため、中小規模クラスの人材派遣会社同士がM&Aを行うケースも増加中です。中小規模企業同士が合併するのは、顧客情報やノウハウの共有を行うのが目的となります。

別業界の大手企業による参入

人材派遣業界は、他業界と比べてもM&Aによる事業効果が非常に高いとされている業界です。そのため、昨今では資金力のある別業界の大手企業が、中小規模の人材派遣会社をM&Aするケースが増えてきています。

資金力のある大手企業が中小規模の人材派遣会社を買収することで、一からノウハウを築く必要がないため、新規参入のハードルを下げることが可能です。また買収される中小規模事業者も大手企業からの融資により、事業継続に望みをかけることができます。

また人材サービス業界同士のM&Aも盛んで、人材初回企業が人材派遣会社を買収するケースも多いです。類似分野の業界同士が合併することにより、ノウハウの共有による相互作用で事業拡大を狙うことができます。

後継者不在が要因のM&Aも多い

特に中小規模の人材派遣会社で多発しているのが、後継者不足という問題です。実際に後継者不在による事業継続が難しく、別人材派遣会社にM&Aを依頼するケースも増えてきています。

経営者の周りに後継者候補がいない場合でも、M&Aによる事業承継であれば買い手企業が後継者(新たな経営者)となるため、自社の存続が可能だからです。M&Aをすることで廃業を免れることが出来るため、既存従業員の雇用継続をすることもできます。

また後継者不在によるM&Aにて事業規模が拡大した人材派遣会社も多く存在します。特に人材派遣会社では、M&A後に買い手が人材育成方針を変えて売上が伸びたケースも多いです。

人材派遣会社がM&Aをするメリット

人事ア派遣会社がM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。人材派遣会社のM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除
  • 人材派遣業界への新規参入
  • 優秀で経験豊富な人材の確保
  • 事業拡大のチャンス
  • 株式譲渡の場合、必要な業許可を引き継げる

それぞれ詳しく解説していきます。

人材派遣会社でM&Aによる売却を行うメリット

人材派遣会社のM&Aにおける売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に中小規模の人材派遣会社における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む人材派遣会社が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

従業員の雇用継続

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。

M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。人材派遣会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の人材派遣会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

人材派遣会社でM&Aによる買収を行うメリット

人材派遣会社のM&Aにおける買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 人材派遣業界への新規参入
  • 優秀で経験豊富な人材の確保
  • 事業拡大のチャンス
  • 株式譲渡の場合、必要な業許可を引き継げる

それぞれ詳しく解説していきます。

人材派遣業界への新規参入

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに人材派遣業界への早期参入が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

優秀で経験豊富な人材の確保

少子高齢化が問題となっている現代では、優秀な人材の確保はどの業界においても必須の課題です。優秀な人材を確保することは、そのまま企業の行く末に作用します。

M&Aを行うことによって、売却側企業に所属する従業員をそのまま雇用すれば、優秀な人材をそのまま自社に引き入れることができます。もちろん業界におけるノウハウも既に所有しているため、研修を行う手間も省くことが可能です。

ただし売却側企業に所属する従業員全員が優秀であることの保証はないことに加え、M&A後の企業文化の変化に付いてこられず、離職する従業員が発生する可能性もあります。M&Aによって従業員を引き継ぐ場合には、非常に繊細な注意が必要です。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

人材派遣会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や不動産のような有形資産に加え、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に人材派遣会社にとって、「派遣労働者名簿」や「派遣先企業顧客リスト」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また人材派遣業においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

株式譲渡の場合、必要な業許可を引き継げる

M&Aにて人材派遣会社を買収し、自社事業として人材派遣会社を営む場合には、必要な業許可を取得することが必須です。無許可での人材派遣会社の運営は法律で禁止されています。

株式譲渡で人材派遣会社をM&Aにて買収すれば、「労働者派遣事業許可」を引き継ぐことが可能です。一から許可取得までのプロセスを踏む必要がないため、非常に効率的と言えます。

また業許可だけでなく、買収先企業の人材を引き継ぐことが可能です。承継された人材に「派遣元責任者」がいれば、そのまま事業所に配置し、人材派遣業を運営開始することができます。

人材派遣会社のM&Aにおける注意点

人材派遣会社のM&Aにおける注意点を解説します。人材派遣会社のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 事業許可の引継ぎに注意する
  • 競業避止義務に関して

それぞれ詳しく解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

事業許可の引継ぎに注意する

人材派遣会社の運営で必須となるのが「労働者派遣事業許可」の許可です。人材派遣業を行ううえで必須の許可であり、労働者派遣事業許可が無ければ人材業を営むことはできません。

もし事業譲渡をする際に買収側の企業が労働者派遣事業許可を有していなければ、人材派遣事業を行うのは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は労働者派遣事業許可を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。

許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、人材派遣会社の売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。

競業避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来、人材派遣事業を再度、手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

人材派遣会社におけるM&Aを成功させるためのポイント

人材派遣会社におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。人材派遣会社におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

人材派遣会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

人材派遣会社のM&Aにおける成功事例

人材派遣会社のM&Aにおける成功事例を解説していきます。

パナソニック子会社とテンプスタッフによるM&A

2015年4月にパナソニックの子会社である「パナソニック エクセルスタッフ」の株式のうち、66.1%を「テンプスタッフ」に譲渡し子会社としたM&Aです。

「パナソニック エクセルスタッフ」は、大手電気機器メーカー「Panasonic(パナソニック)」の子会社で、事務および技術者の人材派遣業を運営している企業です。一方の「テンプスタッフ」は、人材派遣・アウトソーシング・キャリア支援サービスなど、人材サービス業を多角的に運営している企業になります。

このM&Aの主な目的は、「企業価値の向上」にあると見られ、双方の有するノウハウやネットワークを共有することで、成長性や収益性の基盤強化を図るのが狙いです。人材サービス業界でも大きな話題を生んだ、大手企業同士のM&A事例になります。

テンプスタッフとパナソニックエクセルスタッフの株式譲渡に合意

パートナーとウイルテックによるM&A

2020年12月に「パートナー」の新設分割会社によって「ウイルテック」への株式譲渡が行われました。パートナーが持つIT技術者派遣事業を新設分割のスキームで分割し、さらに分社化した会社の全株式をウイルテックが買収し、子会社化したM&Aの事例です。

譲渡企業である「パートナー」は、IT技術者の人材派遣を手掛けている企業。一方の譲り受け企業である「ウイルテック」は、メーカーや建設業を中心とした人材派遣サービスを運営する企業です。

ウイルテックが、取引先として大手製造・建設企業を抱えており、これらの取引先企業がIT人材の派遣に強いニーズを持っていたことが、パートナーとのM&Aに至った理由です。パートナーの目的は、公開されていませんが、他事業への集中や企業経営からのリタイアが目的ではないかと予測されます。

株主・投資家の皆様へ(株式譲渡ウイルテック)

JapanWorkとエン・ジャパンのM&A

2019年7月、「エン・ジャパン」が「JapanWork」の株式のうち51%を2億2,900万円で買収し、連結子会社化したM&Aの事例です。当初は完全子会社化される予定でしたが、新型コロナウィルスなどの影響により頓挫しています。

譲り受け企業である「エン・ジャパン」は、全国の人材派遣会社と派遣社員募集企業とを結ぶマッチングサイトを運営している企業です。人材派遣のみならず、転職や学生向け求人メディアの運営も行っています。一方の「JapanWork」は、外国人向け求人一括サイトを運営する企業で、求人内容の翻訳や集客、面接日程の調整などの代行が主たる事業です。

本M&Aのきっかけは、JapanWorkがエン・ジャパンに投資の打診を行ったことが要因になります。エン・ジャパンがテクノロジー分野の強化を戦略としており、JapanWork社が持つノウハウを吸収することで、更なる事業拡大を狙いとしたM&Aです。

株式会社 JapanWork の株式の取得(子会社化)及び当該株式取得の一部対価としての第三
者割当による自己株式処分、並びに完全子会社化を目的とした株式交換に係る基本合意の
締結に関するお知らせ

サポートシステムとUTグループのM&A

2020年3月に「サポートシステム」は自己株式を除く全株式を「UTグループ」に譲渡することで、M&Aを行いました。人材派遣会社同士のM&A事例です。

譲渡企業である「サポートシステム」は、事務・流通・医療・福祉などの分野で人材派遣事業を展開している企業になります。譲り受け企業である「UTグループ」は、製造工場・IT・建設分野などへの人材派遣事業を運営する企業です。

買い手・売り手双方が人材派遣企業であることから、互いにシナジー効果を期待したM&Aになります。派遣労働者・顧客・人材育成システムなどの基盤を双方が活用することで、市場競争力を高めることが狙いです。

株式会社サポート・システムの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

サポート・エーとオートバックスセブンによるM&A

2017年2月、「オートバックスセブン」は「サポート・エー」の全株式を売却することで、完全子会社化したM&A事例です、株式譲渡による価格は非公開となっています。

譲り受け企業である「オートバックス・セブン」は、オートバックス事業(車検の提供・自動車用品の販売・自動車メンテナンスなど)に加え、海外での卸売事業や輸入車ディーラー事業も運営する企業です。一方のサポート・エーは、人材サービス大手である「テンプスタッフ」の子会社として、人材派遣事業やアウトソーシング事業を運営しています。

このM&Aでオートバックスセブンは、グループ内における人材確保・供給・育成を強化することが狙いです。人材派遣企業が持つノウハウを自社事業にも活用した事例になります。

INTEGRATED REPORT 2023(株式会社オートバックスセブン)

クリエアナブキとライクスタッフィングのM&A

2018年3月に「ライクスタッフィング」が「クリエアナブキ」を事業譲渡によるスキームにより、大阪支店の人材派遣業を買収したM&A事例です。譲渡価格は公開されていません。

譲り受け企業である「ライクスタッフィング」は、社会経験や業界経験がないスタッフに対して独自の研修制度を実施するという特徴を持ち、独自性の高い人材派遣業を営む企業です。一方の「クリエアナブキ」は、人材派遣・人材紹介・アウトソーシングなど、総合的な人材サービスを提供している企業になります。

このM&Aは、人材派遣業を営む企業同士の事例となっており、双方がシナジー効果を得ることが狙いです。主な成果として「ライクスタッフィング」は、「クリエアナブキ」が所有していた近畿圏の商圏エリアを獲得しています。

クリエアナブキ、大阪の人材派遣事業をライク子会社へ譲渡

ライフ・コーポレーションと日輪のM&A

2019年に「日輪」が「ライフ・コーポレーション」の株式を買収し、子会社化したM&Aの事例です。株式譲渡のスキームを用いてM&Aを実施しています。

譲渡企業である「ライフ・コーポレーション」は、愛知県で施設常備警備事業を運営する企業です。一方の譲り受け企業である「日輪」は、人材派遣や人材紹介予定派遣などを運営する人材サービス関連企業になります。

警備会社と人材サービス会社という異業種同士の企業が合併することにより、双方が持ち合わせないノウハウを共有し、経営基盤の強化を成すことが狙いです。人材派遣会社が他業界の企業を買収したことで注目を集めたM&Aの事例となります。

ホールディングス制(持株会社)移行のお知らせ

エヌジェイホールディングスとトーテックのM&A

2018年7月に「デルタホールディングス」が「トーテック」の株式のうち70%を譲渡としたM&Aの事例です。売却金額は1億2,600万円となっており、フリーキャッシュフロー法で算出した株主価値を基準に価格が決定されています。

譲渡企業である「トーテック」は「エヌジェイホールディングス」の子会社で、化学・情報分を専門とするエンジニアの人材派遣を主力としている企業です。一方の「デルタホールディングス」は、人材派遣・人材紹介・請負サービスなど、総合的な人材サービスを提供する企業になります。

トーテックは、M&A以前に少子高齢化による人材不足に悩んでおり、訴求力や認知度の向上に役立つノウハウ等を取得する目的で、ブランディングを得意とするデルタホールディングスとの資本業務提携を決定。一方のデルタホールディングスは、トーテックの持つ顧客ネットワークを活かし経営基盤の強化を狙いとしています。

資本業務提携及び連結子会社の異動(株式の一部譲渡)に関するお知らせ

グロップとアミーゴによるM&A

2020年11月に「グロップ」が所有するペットショップ1店舗を「アミーゴ」に譲渡するスキームで実施されたM&Aの事例になります。

買い手企業である「アミーゴ」は、「アレンザホールディングス」の連結子会社で、全国70店舗のペットショップを運営する企業です。売り手企業である「グロップ」は、人材派遣・ラインソーシング・テレマーケティングなどの事業を運営する多角化企業になります。

アミーゴは日本一のペットショップを目指す経営方針から、犬猫愛護の取り組みを強化していました。そこで、グロップが経営していたペットショップ「chouchou」が持つ里親探しのノウハウを習得し、犬猫愛護の取組みを強化することが狙いです。

当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ

サービス&セキュリティによるトライブのM&A

2021年7月に株式譲渡の手法を用い「サービス&セキュリティ」が「トライブ」を子会社化したM&Aの事例です。全株式を取得し完全子会社化することで発表されました。

「サービス&セキュリティ」は、システム運用/開発・セキュリティ関連のシステムエンジニアリングサービスを手掛け、さらに人材派遣事業・セキュリティ製品の研究開発・販売、保守事業を手掛ける企業です。

「トライブ(現AnyKan)」は、ゲーム・メディア業界を中心にIT人材の紹介・派遣・コンサルティングなどを手掛けています。トライブを完全子会社化することで、サービス&セキュリティはゲーム・メディア業界向けの市場シェアを獲得し、さらなる事業拡大に成功している事例です。

参考:SSKが株式会社トライブの株式を100%取得し子会社化

まとめ

今回は人材派遣会社のM&Aについて、人材派遣会社の市場動向・課題・M&Aの動向などを交えて解説しました。

人材派遣業界は、右肩上がりの市場となっていることもあり、大手から中小までのM&Aが盛んにおこなわれている業界です。他業界の大手事業社の新規参入によるM&Aも盛んで、子会社化・吸収合併のニュースが度々取り上げられています。

M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考に人材紹介におけるM&Aを検討してみてください。

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