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美容院・美容室のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「美容院・美容室のM&Aにおける動向は?」
「美容院・美容室のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「美容院・美容室 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、美容院・美容室のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

美容院・美容室におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、美容院・美容室のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

美容院・美容室とは

私たちが日常的に使っている美容院・美容室とは、正しくは「美容所」と称されるものです。厚生労働省が示している「美容師法概念」でも美容所と定義づけられています。

美容院と美容師には明確な違いは存在せず、法的にはいずれも同じ「美容所」です。美容院と美容室の違いは名称のみで提供するサービスにも明確な住み分けはありません。美容院・美容室のどちらを選ぶかは、個々の美容所が独自で決定することが可能です。

また美容院・美容室によく似た事業形態に「理容所」がありますが、理容所は美容所(美容院・美容室)とは明確に異なるサービスです。理容所では、剃刀(かみそり)を使って顔のシェービングが可能ですが、美容所では剃刀の使用が認められていません。

美容院・美容室のビジネスモデル

厚生労働省の「衛生行政報告例」によれば、2023年度の美容院・美容室の数は269,889軒とされています。しかし美容院・美容室によってビジネスモデルは様々です。

ここでは、美容院・美容室の代表的なビジネスモデルを解説します。美容院・美容室で一般的とされているビジネスモデルは、以下の通りです。

  • チェーン展開型
  • 個人経営型
  • 専門分野特化型

それぞれ詳しく解説していきます。

チェーン展開型

美容院・美容室で最も大きな市場勢力を持つのが、チェーン展開型のビジネスモデルです。中堅~大手企業が多店舗展開にて美容院・美容室を運営しています。日本におけるチェーン展開型の美容院・美容室で有名なサロンの代表例は、以下の通りです。

  • 阪南理容店(ブラージュ)
  • キュービーネットホールディングス(QBハウス)
  • アルテロンサロン
  • カットツイン
  • イレブンカット(11cut)
  • 田谷グループ(HAIR TAYA・HAIR TAYA&CO.・HAIR Shampoo・MICHEL DERVYN PARIS)

チェーン展開型の美容院・美容室の多くは、「低価格」でのサービス提供を得意としているケースが多いです。豊富な資金力と人材力を武器に低価格サービスの提供による差別化戦略を得りに運営を行っています。

個人経営型

約27万軒におよぶ美容院・美容室業界で最も数が多いのが、個人経営型とされるビジネスモデルです。個人経営型の美容院・美容室とは、その名の通り、一人のオーナーが中心となって経営を行っている美容院・美容室を指します。

個人経営型の美容院・美容室は、オーナーが一人で美容師として施術サービスを提供している場合も多いです。お店の経営はもちろんのこと、施術を一人で全て行うため、オーナーにかかる負担は大きいですが、人件費をカットできるため利益を上げやすいことが特徴です。

また個人経営型の美容院・美容室は年々減少傾向にあります。大手チェーン展開型の美容院・美容室による影響だけでなく、オーナーの高齢化による廃業も多いです。一方で若手美容師が個人美容院・美容室を開業し、好調な業績を残すケースも珍しくありません。

専門分野特化型

専門分野特化型の美容院・美容室とは、髪のカット・シャンプーなどの施術ではなく、「マツエク」「ネイル」など、特定の施術サービスを提供する事業者のことです。「サロン」と表現されるケースも多いですが、広義の意味では美容院・美容室に分類されます。

専門分野特化型の美容院・美容室は、美容業界において年々増加しているビジネスモデルのひとつです。他社との差別化が可能なうえに、初期投資のコストも抑えることが出来るため、個人経営のマツエクサロンやネイルサロンをオープンする事例が増えてきています。

これまでネイルやマツエクは、髪のカット・シャンプーと併せて行うことが一般的でした。しかし市場ニーズの変化により、髪のカット・シャンプーとは別に、エクステやネイルに通う時間を捻出する人が増えたことが、専門分野特化型の美容院・美容室が増加している理由の一つです。

美容院・美容室に必要な業許可・人材・資格

美容院・美容室の運営に必要な業許可・人材・資格について解説していきます。

美容院・美容室に必要な業許可

美容院・美容室は国家資格である「美容師免許」を取得している人材さえいれば、美容院・美容室の運営自体は可能です。ドラッグストアや食品製造工場のように特殊な業許可を取得せずとも、美容院・美容室の運営を行うことができます。

但し運営する美容院・美容室に2名以上の美容師が勤務する場合には、美容師法(によって「管理美容師」を置くことが義務付けられているので注意が必要です(美容師法第12条の3項)。管理美容師の主な役割は、美容所の衛生面の管理を担うことになります。

また美容院・美容室のオーナーが必ずしも美容師免許を取得せずとも運営は可能です。実際に美容院・美容室で施術を行う従業員が免許を取得していれば、美容院・美容室の施術サービスを提供することができます。

美容院・美容室に必要な人材

美容院・美容室に必要な人材として最初に挙げられるのが「美容師」の存在です。美容師が居なければ、美容院・美容室の運営は成り立たないため、経営陣は真っ先に美容師の雇用が優先事項となります。

前述した通り、美容院・美容室に2名以上の美容師が勤務する場合には、美容師法(によって「管理美容師」を置くことが義務付けられているので注意が必要です(美容師法第12条の3項)。管理美容師の主な役割は、美容所の衛生面の管理を担うことになります。

また近年では美容院・美容室に勤務する美容師の役割も変化しつつあるのが現状です。単にカットやシャンプーを行うだけでなく、ネイルやマツエクなど提供するサービスも多様化しているため、より優れた技術を持つ美容師人材が求められています。

美容院・美容室に必要な資格

美容院・美容室で施術サービスを提供するためには、美容師の国家資格が必須です。しかし美容師免許以外にも、取得が推奨される資格が存在します。美容院・美容室で働く人材に推奨される資格は、以下の通りです。

  • 管理美容師
    2人以上の美容師が在籍する美容室で必須となる資格。美容師免許取得から3年以上美容業を行っていることが受講資格。管理美容師としての所定の講習を受けると、修了証を受け取ることができる。
  • ヘアケアマイスター
    日本ヘアケアマイスター協会が主宰する資格。「毛髪の健康」「ヘアケア剤」といったベーシックなものから「カラーパーマ」「スキャルプ・皮膚化学」まで幅広い技能を学ぶことができる。資格は3段階構成となっている。
  • ビューティー・コーディネーター
    JBCAが実施しており、美容・エステティック・メイク・ブライダルなど「美」に関するさまざまな職業を目指す人が、実務に必要な知識や問題解決力を身につけることを目的とした検定。

「ヘアケアマイスター」や「ビューティー・コーディネーター」のように、美容師に関連する民間資格もいくつか存在します。美容師の免許と併せて取得することができれば、技能習得や信頼性向上に繋がるでしょう。

美容院・美容室の市場動向

美容院・美容室業界における市場動向について解説していきます。現在の美容院・美容室市場における特徴は以下の通りです。

  • 市場規模はやや縮小傾向
  • 店舗数や美容師は増加傾向
  • SNSを活用したマーケティングが活性化

それぞれ詳しく解説していきます。

市場規模はやや縮小傾向

出典:矢野研究所「理美容サロン市場規模推移・予測

矢野研究所の「理美容サロン市場規模推移・予測」における調査結果によれば、2018年から2023年にかけて美容院・美容室における市場売上は、若干の縮小傾向をたどっていることが分かります。

2020年に発生した新型コロナウィルスによる影響で市場規模は2兆円を切ることになりましたが、2023年には2兆円台を取り戻す予測です。しかし2018年が2兆1,382億円であったことから見れば、市場規模は縮小傾向にあると判断せざるを得ないでしょう。

今後においても引き続き美容院・美容室における市場規模は縮小されることが予測されます。大手チェーン店による低価格サービスと高付加価値型の二極化が加速し、市場競争率は益々高まる予測です。

店舗数や美容師は増加傾向

出典:厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例の概況」(2020年)

厚生労働省が実施した「令和2年度衛生行政報告例の概況」によれば、美容院・美容室を含む「美容所」の数は年々右肩上がりで上昇している状況です。理容所の数が減少している一方で、美容所の数が上昇していることが分かります。

2020年度の美容所の数は実に約25.7万軒あるとされており、日本のコンビニエンスストアの約5倍の数です(日本のコンビニエンスストアの事業者数は約5.5万軒)。これは個人経営の美容院・美容室が非常に多いことを表しています。

また2019年度の「従業美容師数」は53万人を突破しており、前年比1万271人(2.0%)の増加で過去最多の数字です。美容院・美容室の市場規模は縮小傾向にありながらも、事業者数と美容師は増え続けており、市場競争が激化していることが分かります。

SNSを活用したマーケティングが活性化

美容院・美容室業界において最も大きな影響を与えたのが、SNSを活用したマーケティングの活性化です。これまでの「ホットペッパービューティー」や「OZmall」といったポータルサイトでの集客だけでなく、SNSを活用した集客が活性化しています。

ポータルサイトは美容院・美容室における重要な集客プラットフォームであることに変わりはありませんが、「拡散力」という視点だけを見ればSNSの方が優れていると言えるでしょう。中でも「Instagram」を活用した集客は、美容院・美容室の集客率に大きな影響を与えています。

SNSマーケティングが最も優れている点は、完全無料で自社の広告宣伝ができる点です。ユーザーの興味を引く投稿をすれば、どんなに資金力の乏しい美容院・美容室であっても、全国に投稿を拡散させ、自店舗の認知度を高めることができます

特に高付加価値を提供する個人または中小の美容院・美容室は、今後どのようにSNSによるマーケティング戦略を展開するかが業績に大きく影響するでしょう。美容院・美容室のM&A事例においてもデジタル化が影響する事例が増えてきています。

美容院・美容室が抱える課題

現在の美容院・美容室が抱える課題について解説していきます。美容院・美容室が抱える課題は、以下の通りです。

  • 慢性的な人手不足
  • 集客数の減少
  • トレンドや情勢による影響

それぞれ詳しく解説していきます。

慢性的な人手不足

美容院・美容室が抱える最大の課題は、「美容師の不足」です。美容院・美容室業界では、以前から慢性的な人手不足が発生しており、美容師の不足によって廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

前述した通り、厚生労働省の「令和2年度衛生行政報告例の概況」によれば、美容師の数は増加傾向です。しかし同時に美容所の事業者数も並行して増加していることから、1店舗あたりに必要な美容師が確保出来ていない状況にあります。

もともと美容院・美容室はスモールスタートによる開業がしやすいこともあり、独立志向の強い人材が多いのが特徴です。それに近年の「起業」ブームが拍車をかけ、益々個人経営型の美容院・美容室が増加しています。今後は更に1店舗あたりに必要な美容師が不足していくことでしょう。

集客数の減少

美容院・美容室業界には慢性的な人手不足と併せて、集客数の減少という大きな課題があります。集客数の減少は店舗の売上に多大な影響を与え、集客数が減少し続ければ、当然の如く廃業する美容院・美容室も増えていきます。

美容院・美容室の集客数が減少している最大の理由は、競合店の増加です。美容院・美容室の事業者数は増加し続けているため、サロン同士での顧客の取り合いが発生しています。同商圏エリア内に複数の美容院・美容室が立ち並ぶエリアも多く、各々が集客に四苦八苦している状況です。

特に美容院・美容室の市場競争率は凄まじく、「安ければ集客できる」という段階を大きく超えています。「付加価値が高く、リーズナブルな美容院・美容室」をユーザーが求めているため、個人・チェーンサロンを問わず、ユーザーのニーズに応える企業努力が求められている状況です。

トレンドや情勢による影響

美容院・美容室はトレンドや情勢による影響を多大に受けやすい業界です。そのため各事業者は、トレンドや情勢に応じたサービスの対応を臨機応変に行っていくことが重要になります。

経済産業省の「第3次産業(サービス業)活動指数」によると、美容業界を含む「生活娯楽関連サービス」は新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けた業種とされました。コロナ禍前(2015-2019年)のカット代月額平均は5,500円でしたが、コロナ禍が発生した2020年のカット代月額平均は3,500円にまで落ち込んでいます。

またトレンドによる影響も受けやすく、2000年代・2010年代・2020年代と世代によって男女ともにトレンドが大きく変わるのが特徴です。カット技術もトレンドに合わせて洗練していく必要があるため、美容師の施術スキルもトレンドに影響を受けることになります。

美容院・美容室におけるM&Aの動向

美容院・美容室におけるM&Aの動向について解説していきます。これから美容院・美容室のM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

投資ファンドによるM&A

美容院・美容室業界では、2010年後半あたりから、投資ファンドによる大手美容室グループのM&A事例が目立つようになっている状況です。2018年3月には、美容室大手のAguグループが、香港系投資ファンド「CLSAキャピタルパートナーズ」に売却されています。

本件M&Aの目的は、投資ファンドの資金力を活用し、サロンの多店舗展開を目指すことです。積極的な経営戦略を実施する価値があると投資ファンドが判断し、大手美容室企業を買収したことになります。

美容院・美容室業界の売上高は徐々に減少傾向であるものの、低価格サービス型と高付加価価値型のビジネスモデルに二極化が進んでいる状態にあり、それぞれのビジネスモデルで事業成長を遂げている企業も多いです。M&Aを活用することで、有効な経営戦略を打つことができれば、事業成功を収められる可能性は十分にあると言えるでしょう。

中小規模事業者同士のM&A

美容院・美容室業界のM&Aにおいて最も多発しているケースは、美容院・美容室同士のM&A事例です。同業者同士がM&Aによって合併や事業譲渡をするケースが多くあります。

特に多いのが、中小規模の美容院・美容室同士のM&Aによる合併です。資金力が不足し、設備・人材投資が難しい場合には、美容院・美容室同士が合併し、経営基盤強化のための投資を共同で行うケースもあります。

また中小規模事業者同士のM&Aでは、双方の持つ美容院・美容室におけるノウハウを共有することによる、シナジー効果の発揮も狙いです。双方の持つノウハウを共有することで、資金力のある大手美容院・美容室企業に対抗することが目的となります。

異業種企業によるM&A

美容院・美容室業界では、同業者間のM&Aだけでなく、異業種企業による美容院・美容室企業の買収事例も多いです。美容院・美容室業界へのM&A参入が多い業種には、以下のようなものがあります。

  • アイラッシュサロン
  • 投資ファンド
  • 小売事業者
  • 不動産企業
  • 複数事業者(HD企業)

資金力のあるファンド・HD企業が積極的に美容院・美容室のM&Aを実施しているのが特徴です。また店舗展開型のビジネスノウハウを既に持ち合わせている小売事業者も美容院・美容室のM&Aを実施するケースがあります。

美容院・美容室のM&Aにおける成功事例

美容院・美容室のM&Aにおける成功事例を紹介します。

アルテサロンホールディングスとダイヤモンドアイズによるM&A

2014年12月にアルテサロンホールディングスが、ダイヤモンドアイズの全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得対価は1億2,400万円となっています。

譲り受け企業である「アルテサロンホールディングス」は、独自ののれん分けシステムにより複数の美容室チェーンを展開している企業です。一方の「ダイヤモンドアイズ」は、アイラッシュサロン(まつげエクステなど)を運営する企業になります。

本件M&Aでは、アルテサロンホールディングスがアイラッシュサロン分野への進出を果たすことが狙いです。アイラッシュサロンのノウハウと人材を承継することにより、新規事業への進出を果たしています。

アルテサロンHD、ダイヤモンドアイズを子会社化

ジャフコグループ・AZ-StarとヘッドライトによるM&A

2021年2月に、ジャフコグループが管理・運営する「ジャフコSV6投資事業有限責任組合・ジャフコSV6-6投資事業有限責任組合」と、AZ-Starが管理・運営する「AZ-Star3号投資事業有限責任組合」が、ヘッドライトを子会社化したM&Aの事例です。取得対価は非公開となっています。

譲り受け企業である「ジャフコグループ」は、日本最大のベンチャーキャピタル。「AZ-Star」は、あおぞら銀行・東京スター銀行・兼松・エストネットワークの4社が参画する企業投資ファンド運営会社です。一方の「ヘッドライト」は、美容師・施術者との業務委託契約をベースにした運営モデルで全国140店舗以上を展開する美容室・アイラッシュサロン運営企業になります。

本件M&Aは、ヘッドライトが業務委託型経営モデルにより多様なワークスタイルを可能にする体制を確立し、安定した成長を実現していることから、投資対象としての価値が高いと判断されたことがきっかけです。ジャフコグループとAZ-Starとの参画による更なる経営基盤強化が見込まれます。

株式会社ヘッドライトの株式取得について

ヤマノホールディングとL.B.GによるM&A

2019年10月に、ヤマノホールディングスがL.B.Gの株式を取得し、議決権比率52%の株主となり同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得対価は非公表となっています。

譲り受け企業である「ヤマノホールディングス」は、美容室運営・和装宝飾専門店運営・生活健康関連商品の訪問販売などの事業を手がけている企業です。一方の「L.B.G」は「La Bonheur」のブランドで20~30代の女性をターゲットとした中価格帯美容室を展開している企業になります。

本件M&Aは、ヤマノホールディングスがL.B.Gの多角的で積極的な経営戦略とノウハウに価値を感じ、両者にとってのシナジー効果を期待したことがきっかけです。今後はノウハウ提供や人材教育強化などの支援により「La Bonheur」の全国展開を後押していくとしています。

ヤマノホールディングス、美容室La Bonheurを展開しているL.B.Gの株式取得、子会社化

CLSAキャピタルパートナーズとAGUグループによるM&A

2018年3月に、CLSAキャピタルパートナーズが運営する「Sunrise Capital(サンライズキャピタル)」が、Aguグループの運営する「株式会社ロイネス」及び「B-first 株式会社」の株式を取得したM&Aの事例です。本取引における取得対価は約100億円となっています。

譲り受け企業である「サンライズキャピタル」は、2006年に設立された日本の中堅優良企業の成長支援に特化した投資ファンド企業です。一方の「Aguグループ」は、「Agu Hair Salon」のブランド名で全国に約330店舗を展開する大手美容室チェーン運営企業になります。

本件M&Aは、世界的投資ファンドである「CLSAキャピタルパートナーズ」が、「Aguグループ」の多店舗展開型のビジネスモデル・ノウハウに将来性を感じたことがきっかけです。本取引における投資ファンドからの融資により、さらなる経営基盤強化と事業戦略の拡大が見込まれます。

株式会社ロイネス、B-first 株式会社とサンライズ・キャピタルの資本提携について

剣豪集団・潤首有限公司とエム・エイチ・グループによるM&A

2015年5月に、剣豪集団と潤首有限公司が、エム・エイチ・グループ株式の公開買付を行い、同社株式の50.81%を取得した事例です。本取引における取得対価は約19億円となっています。

譲り受け企業である「剣豪集団」は、日中間での機械部品調達や、日本企業向けに中国進出・拠点工業団地開発などを行っている企業。「潤首有限公司」は、中国・大連市を拠点にして大型ショッピングモール数店舗を展開する大連幸福家居世界有限公司が海外の不動産開発・有価証券投資を目的として香港で設立した子会社です。

一方の「エム・エイチ・グループ」は、美容室「モッズ・ヘア」の直営店運営・フランチャイズ事業に加え、モッズヘアの商品開発、ファッション業界向けヘアメイク、美容室支援などの事業を手掛ける企業になります。

本件M&Aは、剣豪集団と潤首有限公司の共同出資によって実行された事例です。エム・エイチ・グループが持つノウハウを中国市場での店舗開発や顧客獲得などの面で活かすことが狙いとされています。

剣豪 1 号投資事業有限責任組合による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ

美容院・美容室のM&Aを行うことのメリット

美容院・美容室がM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。美容院・美容室のM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 従業員の雇用維持
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 人材の確保

それぞれ詳しく解説していきます。

美容院・美容室でM&Aの売却を行うことのメリット

美容院・美容室でM&Aの売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 市場競争力が高まる

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に個人経営または中小規模の美容院・美容室における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む美容院・美容室が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。美容院・美容室事業者に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の美容院・美容室の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

従業員の雇用維持

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

美容院・美容室でM&Aの買収を行うことのメリット

美容院・美容室でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • ノウハウと人材の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は、システム開発業における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

美容院・美容室のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物事務所のような有形資産に加え、顧客・取引情報などの無形資産を手に入れることも可能です。美容院・美容室にとって、既存顧客などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また美容院・美容室業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

ノウハウと人材の獲得

システム開発業において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「店舗運営ノウハウ」と「美容師人材」です。これら2つが揃っている美容院・美容室は高い業績を上げることができます。

M&Aによって美容院・美容室の買収を検討しているのであれば、まずは買収先企業が持つノウハウと人材に目を向けることが先決です。買収によって現在の自社が持たないノウハウや人材が手に入るか否かをチェックしましょう。

また美容院・美容室の買収に関しては、買収先が持つノウハウ(プログラム)の如何によって、取引額に大きな差が生じます。特殊で価値のあるプログラムを所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

美容院・美容室のM&Aにおける注意点

美容院・美容室のM&Aにおける注意点を解説します。美容院・美容室のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 既存従業員の離職対策

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に美容院・美容室事業を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

既存従業員の離職対策

M&Aにおいては、譲り受け企業・譲渡企業ともに既存従業員の離職に関して、細心の注意を払うことが必須です。特に美容院・美容室業界のような人材の確保が困難な業界であれば、尚更注意を払いましょう。

M&Aでは譲り受け企業・譲渡企業ともに組織変動が生じるケースがほとんどです。組織内における経営方針・人員変更は、既存従業員の離職を促すきっかけになりかねません。実際にM&Aによって、経営者側が意図しない程に多くの人材が離職するケースは多いです。

既存従業員の離職を防ぐためには、M&Aにおける今後の方針をより簡潔に既存従業員に通達することが重要になります。専門家の意見も取り入れながら、既存従業員が離職しない対策を立てましょう。

美容院・美容室のM&Aを成功させるためのポイント

美容院・美容室におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。美容院・美容室業界におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

美容院・美容室のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

美容院・美容室におけるM&Aのまとめ

今回は美容院・美容室におけるM&Aについて、美容院・美容室業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

美容院・美容室業界は、市場規模が大きいこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している美容院・美容室関連企業も数多く存在することから、美容院・美容室関連企業にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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