ニチリンは2026年9月29日、国内製造事業の組織再編を決議したと発表しました。2027年1月に完全子会社「ニチリンジャパン」を設立し、日輪機工とニチリン・サービスを同社に吸収合併するほか、ニチリン本体の姫路工場の製造関連部門を会社分割で移す計画です。合併・分割の効力発生日はいずれも2027年4月を予定しています。
これは第三者への売却ではなく、ニチリングループ内で製造機能を集約する再編です。発表時点では実行前であり、資産・負債や契約の移転内容も今後の契約で定めるとされています。
再編の対象と予定日
| 区分 | 対象・方法 | 発表時点の予定 |
|---|---|---|
| 新会社 | ニチリンが100%出資するニチリンジャパン | 2027年1月設立予定 |
| 子会社統合 | 日輪機工・ニチリン・サービスを新会社へ吸収合併 | 契約は2027年1月、効力は4月予定。無対価 |
| 親会社部門 | 姫路工場の製造関連部門を吸収分割で移管 | 契約は2027年1月、効力は4月予定 |
| 先行する部門 | 組立3課(主に自動車用パワーステアリングホース) | 2027年4月移管予定 |
| その後の部門 | ブレーキ組立、ホース製造、ゴム生地製造 | 準備が整った部門から段階移管 |
会社は、製造機能をまとめて指揮命令系統を統一し、国内生産基盤の維持・強化につなげると説明しています。2025年12月期の売上高として、先行移管する組立3課は19億9,800万円、その他の製造関連部門は104億9,800万円を公表しました。資料は、これらが顧客への販売実績であり、移管後に新会社がニチリンへ計上する売上高とは異なると明記しています。
段階移管で生産継続と統合を両立する
今回の計画では、子会社2社の統合と親会社部門の移管を一つの受け皿会社へ集約します。ただし、親会社の製造部門は一括で移さず、まず組立3課を移管し、その後の部門は準備が整った段階で移す方針です。工場全体を同じ日に切り替えるより、製品・工程ごとに移行準備を確認しやすい進め方です。
一方、段階移管では、移管済み部門と未移管部門の間に一時的な二重運営が生じます。製造指示、品質記録、原材料の購買、設備保全、在庫計上、顧客への納期回答について、どの法人が責任を持つかを工程ごとに決めないと、現場の判断が止まるおそれがあります。
製造機能を移す前に決めること
同様の再編を進める場合、法的な合併・分割手続きだけでなく、工場が稼働し続ける条件を具体化します。
- 工程と移管単位:製品、ライン、設備、担当者を分け、先行・後続の境界を明示する
- 契約と取引先:顧客・仕入先との契約、品質保証、変更通知、承認が必要な条件を確認する
- 人員と技能:労働契約、就業条件、資格、熟練者の配置、教育計画を整理する
- 資産と負債:設備、金型、仕掛品、在庫、保全記録、リース、債務の承継対象を確定する
- 移行判定:品質・生産量・納期・安全の基準を定め、未達時に移管を延期できる条件を決める
ニチリンの開示でも、吸収分割で承継する資産・負債・契約上の地位・労働契約などは契約で定め、金額は効力発生日の前日を基準に確定するとされています。売上高だけを見て移管規模を判断せず、移行後の設備負担や人員配置、品質責任まで見積もる必要があります。
自動車部品製造業の会社売却・事業承継の論点は自動車部品製造会社のM&A・事業承継ガイドも参考になります。組織再編や事業承継を検討中の方は、対象部門と移行時期を整理したうえでM&Aの相談窓口からご相談ください。
まとめ:移管の順番と稼働条件を同時に決める
ニチリンは、子会社2社の統合と姫路工場の製造関連部門の移管を、2027年設立予定の完全子会社に集約する計画です。親会社部門は組立3課から先行し、他の製造部門は準備が整った段階で移すとしています。
自社で複数法人の製造機能を統合するときは、移管先や契約日だけでなく、工程ごとの責任者、品質・納期の判定条件、資産・人員・契約の境界を決めましょう。移行の条件が整わない場合に延期できる仕組みも、生産継続を守るうえで重要です。
出典:ニチリン「子会社間の合併及び当社の会社分割による国内製造事業の組織再編に関するお知らせ」(2026年9月29日)/日本M&Aセンター M&A速報(対象案件)


