「M&AのIMって何なの?」
「M&AにおけるIMの目的を知りたい」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
実際に現状「M&A IM」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。
そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、M&AのIMについて分かりやすく簡潔に解説します。
またM&AのIMにおける作成方法や目的についても詳しく解説するので、M&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 M&AのIMとは
- 2 IMとノンネームシートの違い
- 3 IMの記載内容
- 4 IMの作成を成功させるためのポイント
- 5 IMの作成における注意点
- 6 M&Aの成功事例
- 6.1 三菱UFJ銀行とPT Bank Danamon Indonesia,Tbk.によるM&A
- 6.2 ハウスコムによる宅都とのM&A
- 6.3 ヤマタホールディングとコナン住建によるM&A
- 6.4 クスリのアオキホールディングとスーパーマルモによるM&A
- 6.5 ニチイ学館と西日本ヘルスケアによるM&A
- 6.6 野村総合研究所とASG GRoup LimitedによるM&A
- 6.7 電通グループとShift7 Digital, LLC.によるM&A
- 6.8 元気な介護とコンセックによるM&A
- 6.9 三井物産とAWE LimitedによるM&A
- 6.10 積水ハウスと岐阜造園によるM&A
- 6.11 高松建設と大昭工業によるM&A
- 7 M&Aにおすすめのコンサルティング会社
- 8 まとめ
M&AのIMとは
M&AにおけるIMとは、「Information Memorundom」の略語であり、売却企業や事業の情報が詳細に記載された資料のことです。M&Aなどの取引においては、「企業概要書」などの日本語で表現されるケースもあります。
IMは、買い手候補が対象会社や事業を評価し、買収意思を判断するための重要な資料です。M&Aの取引においては欠かせない資料であり、買い手にとっては第一印象を決定づける資料となります。
またIMに記載される情報は、「秘密保持契約(NDA)」が締結された後に提供されるのが一般的です。両社が秘密保持契約書を締結することにより、情報の漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
M&AにおけるIMの目的と役割
M&Aの取引にとって、IMは買い手・売り手ともに欠かせない資料です。M&AにおけるIMの目的と役割には、以下のようなものがあります。
- 買い手候補の魅力を伝える
売却対象となる会社の詳細な情報を提供する文書であり、買い手候補に対してその会社の価値や魅力を効果的に伝える役割を果たす。 - 買収プロセスの効率化
IMを通じて買い手候補に必要な情報を体系的に提供することで、デューデリジェンスや意思決定のプロセスを円滑に進める。 - 情報の統一と透明性の確保
買い手候補に対して同じ内容の情報を一斉に提供するため、情報の透明性と公平性を確保する。これにより、誤解や情報の偏りを防ぐことができる。
IMは、M&A取引の初期段階で重要な文書であり、交渉の基礎となる情報を提供する資料です。IMを基に、買い手はさらに詳細な調査や交渉を進めることができます。IMはM&Aにおける中核的なツールです。
M&AにおけるIMの重要性
M&AにおいてIMは、買い手と売り手をつなぐ重要なツールです。そのため、IMの作成が不十分であることは取引そのものに多大な悪影響を及ぼします。不十分なIMは、M&Aプロセス全体に重大なリスクをもたらし、最終的な成功を妨げる可能性が高いです。
IMが不十分だと、提供される情報の正確性や信頼性が疑われる可能性があります。情報が不足していると、買収候補者が意思決定をするために追加情報を要求する必要があり、プロセスが遅延するでしょう。
また重要な財務情報やビジネス上の強み・弱みが適切に提示されていないと、買い手側としても、適正な評価が難しくなります。十分な情報がないと、買収候補者がリスクを過大視して交渉を中断する可能性が高いです。
IMとノンネームシートの違い
IMと混同しやすいツール(資料)に「ノンネームシート」があります。ノンネームシートとは、売却対象となる企業や資産についての匿名の情報を記載した簡易的な資料です。主に買い手候補に興味を持たせることが目的の資料となります。
ノンネームシートでは、売り手企業の具体的な名前や詳細は記載されていません。基本的な事業内容・市場ポジション・財務概要などが簡単にまとめられており、初期のマーケティング段階で、広く潜在的な買い手候補に配布される資料です。
ノンネームシートは、買い手候補に配布して「興味を引く」ことが狙いとなります。一方のIMは、買い手側に対して公開することで、「意思決定をサポート」することが主な目的です。M&Aの取引では、ノンネームシートとIMの両方を活用するケースもあります。
開示時期
IMとノンネームシートでは、買い手側に情報が提供される「開示時期」に違いがあります。IMとノンネームシートの開示時期は、それぞれ下記の通りです。
- IM:売り手側の企業と買い手側の企業とが秘密保持契約(NDA)を締結した後
- ノンネームシート:秘密保持契約書の締結前に開示
ノンネームシートでは、買い手候補の興味関心を引くことが目的であるため、基本的に自社名が特定されるような情報は公開されません。一方のIMでは、NDAを締結後に開示することになるため、自社の企業情報の詳細が記載されます。
開示内容
IMとノンネームシートでは、買い手側に情報が提供される「開示内容」に違いがあります。IMとノンネームシートの開示内容は、それぞれ下記の通りです。
IM | ノンネームシート |
|
|
ノンネームシートでは、事業の推移を確認することができる「PL(損益計算書)」や「BS(貸借対照表)」が今回されるケースがあるものの、住所や事業外用の詳細は公開されません。そのため、実質匿名での情報公開が可能です。
IMの記載内容
IMは、M&A取引における売り手企業の情報を詳細に記した資料です。そのため、IMには様々な情報が記載されます。IMに記載される内容は、主に以下の通りです。
- エグゼクティブサマリー(企業概要)
- 事業内容
- 組織
- 財務状況
- 譲渡理由
- 許認可・法規制
- 固定資産・設備
- 今後の事業計画
それぞれ詳しく解説していきます。
エグゼクティブサマリー(企業概要)
IMにおけるエグゼクティブサマリー(企業概要)とは、売り手企業の概要をまとめた項目で、IMの1ページに記載されるものです。エグゼクティブサマリーでは、以下の項目が記載されることが一般的です。
- 企業の名称
- 所在地
- 資本金
- 株主構成
- 役員
- 従業員数
- 業務フロー
- 市場環境
- M&Aの希望条件など
エグゼクティブサマリーは、買い手側の役職が見たときに、1分程度で対象企業のアウトラインや魅力を伝えるための項目です。一般的には写真やグラフを用いて売り手企業の魅力を伝えるよう構成されます。
事業内容
IMでは、売り手側の事業内容を詳細することが必須です。事業内容とは、つまり売り手企業のビジネスモデルを詳しく解説したものになります。ここでは、自社の市場におけるポジションなどを買い手に伝えることが目的です。
事業内容の項目では、自社が所属する業界・市場でのシェア率やポジションを開示します。業界内において特定のシェア率を示していることを買い手側にアピールすることで、買い手側の意思決定をサポートすることが可能です。
また本項目では、主要な取引先・仕入先・関係者などの情報を記載することで、どのような事業を行っているのかを把握することも目的となります。もしも関係者が多い場合には、フローチャートや図を用いて分かりやすく説明するのがポイントです。
組織
M&AのIMにおける「組織」の項目では、売り手側企業の組織詳細を詳しく解説します。組織の項目で記載される内容は、主に以下の通りです。
- 組織図
- 代表者のプロフィール
- 役員情報
- 株式情報(持株比率や顕在・潜在なども含む)
- 従業員概要
特に「株式情報」の項目は、買い手側企業が特に注目するポイントです。株式情報は買い手側が疑問を抱きやすい項目でもあるため、特に詳細に示しておくことが重要となります。
財務状況
財務状況の項目は、買い手側企業が売り手側企業とのM&A取引における実行の有無を決定する重要な項目です。財務状況の項目では、買い手側に不安を与えないよう、より詳細に、かつ正確に情報を記載することが必須となります。
IMにおける財務状況の項目では、過去3年程度のBL(貸借対照表)とPL(損益計算書)を掲載するのが一般的です。過去に比べて現在の財務状況が大きく異なる場合には、変動した理由を明確にすることが重要となります。
また財務状況の項目では、BLやPLと合わせて、自社製品・サービスにおける販売数や単価、購入者データなどのKPI推移を掲載することも有効です。自社の製品やサービスが市場でどのように評価されているのかを数字に落とし込んで買い手に伝えます。
譲渡理由
M&Aの取引においては、譲渡理由を買い手候補に明確に示すことが非常に重要です。譲渡理由が不明瞭であると、買い手候補は売り手企業に対し不安感を抱くため、取引が破談となってしまいます。
IMにおける譲渡理由の項目では、譲渡を検討した理由・譲渡後のビジョンなどを明確にすることがポイントです。文書での表現だけでなく、図や数値を使用することで、より分かりやすく買い手候補に自社の譲渡理由を伝えることができます。
許認可・法規制
M&Aの取引では、許認可や法規制などに着目することが非常に重要です。場合によっては、許認可や法規制などによって取引内容が大きく変動することもあります。IMでは、許認可や法規制の詳細を記載することがポイントです。
特に医薬品や建設業などの業界では、売り手の事業を買い手がそのまま引き継ぐ場合には、同様の許認可を買い手側が新たに取得する必要があります。どのような許認可の取得が必須かは、業界やM&Aのスキームによっても異なるので、よくチェックしたうえでIMに詳細に記載しましょう。
また許認可や法規制の情報は非常に専門性が高い項目です。万が一に誤った情報を買い手側に伝えてしまうと後々にトラブルに発展するケースもあります。可能な限り弁護士や行政書士などの専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。
固定資産・設備
M&Aにおける取引では、売り手側が持つ固定資産や設備なども、取引金額そのものに大きく関係する要素です。IMに記載する固定資産や設備の情報は、下記のようなものがあります。
- 固定資産名
- 所在地
- 所有形態
- 面積
- 取得価格
- 固定資産税評価額
- 遊休固定資産である場合はその旨を記載
- 大規模工事などが将来的に予定されている場合は、その旨を記載
- レイアウト図
固定資産は買い手側が引き継ぐ資産の一部であるため、齟齬が無いよう詳細に記載することが必須です。車両やリース資産、非事業用資産についても記載しておくことがポイントになります。
今後の事業計画
IMでは、現在における経営状況や財務状況だけでなく、今後の事業計画についても詳細に記載します。買い手候補にとっては、現況だけでなく、将来的な事業の運営が非常に重要であるからです。
この項目では、買い手企業が引き継ぐ可能性が高い高い事業計画についての詳細を記載しておくことも重要となります。引き次ぐ事業の計画期間・進捗率・実現可能性・計画達成時のゴールなどを記載しておくことがポイントです。
IMの作成を成功させるためのポイント
IMはM&Aの取引において非常に重要な資料であるため、よりクオリティの高いIMを作成することが重要です。そこで、ここでは、IMの作成を成功させるためのポイントを解説していきます。
情報収集と分析を詳細におこなう
IMの作成においては、情報収集と分析を詳細におこなうことが大切です。自社における正確な情報を収集し、収集した情報の分析をおこなったうえで、IMに記載することが重要になります。
IMの作成をおこなううえでは、以下のような情報を収集・分析します。
- 財務データ:過去数年の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など
- 事業内容:提供する商品やサービス、競争優位性、顧客基盤など
- 運営状況:人材、設備、サプライチェーンなど
- リスク要因:規制、訴訟リスク、業界特有の課題など
- 将来予測:売上や利益の予測、成長戦略、新製品や市場拡大計画など
上記のような情報をより正確に収集し、的確に分析することがポイントです。分析結果のデータは図や表で分かりやすく表現することも重要になります。
内容をよく精査・整理する
IMは売り手企業の詳細を記した資料であるため、誤記や不備は極力避けるべきです。そのため、IMの作成においては、記載されている内容をよく精査・整理することが重要になります。
内容の精査では、自社で収集・分析した情報の精度にこだわることがポイントです。収集したデータが最新かつ正確であるかはもちろんのこと、出所が明確なデータを使用し、不確かな情報は記載しないようにしましょう。
また各章で提示されるデータや情報が矛盾しないよう注意することも大切です。特にIMを閲覧する買い手企業側は、財務データや市場分析の部分で整合性を求めるため、これらのデータはよく精査しておきましょう。
デザインとレイアウトにこだわる
M&AのIM作成ではデザインとレイアウトにこだわることが大切です。記載する情報が正確かつ詳細であることはもちろんですが、デザインやレイアウトにこだわることで、より買い手企業の意思決定にプラスの要因を与えることができます。
IMのデザイン面においては、適切な色使いやフォント選択により、資料全体が信頼感を醸し出すようにしましょう。データや情報を視覚的に簡潔に伝えるため、グラフや図表を効果的に使用こともポイントです。
また各セクションを明確に分け、重要なポイントを簡単に見つけられるようにしましょう。行間や余白、段落構成で文章の読みやすさを高めるなど、文書校正にこだわることで、より読みやすいIMを作成することができます。
IMの作成における注意点
IMはM&Aにおいて非常に重要な資料であるため、作成においては十分に注意することが需要です。そこで、ここでは、IMの作成における注意点を売り手・買い手の双方から解説していきます。
売り手側 |
買い手側 |
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IMの作成における売り手側の注意点
IMの作成における売り手側の注意点は下記の通りです。
- 専門家の協力のうえで作成する
- 正確な情報を記載する
- アピールポイントを明確に伝える
それぞれ詳しく解説していきます。
専門家の協力のうえで作成する
IMはM&Aの成功可否を決定する重要な資料です。そのため、より高いクオリティのIMを作成する必要があります。そこで、IMを作成する際には、専門家の協力を仰ぐことが非常におすすめです。
特に中小企業のようにM&Aの実績が乏しい企業のほとんどは、M&A仲介業者などにIMの作成を依頼するケースがほとんどです。IMの作成経験豊富な専門家が作成することで、より専門的な視点からIMを作ることができます。
ただし専門家にIMの作成を依頼する際には、専門家自身のIM作成経験や実績をよく確認しておくことが重要です。経験の乏しい専門家であると、M&A取引成約率に悪影響を及ぼす可能性があります。
正確な情報を記載する
M&AのIM作成では、正確な情報を記載することが大切です。IMは、買収候補先に対して会社の価値や可能性を正確に伝えるための重要な資料であるため、高い正確性が求められます。
IMの情報が不正確だと、買収候補先の信頼を失い、取引が破談になる可能性が高いです。正確な情報提供は、信頼関係を築くための第一歩となります。
また正確な財務データや事業情報が提供されなければ、買収候補先は適切な企業価値を算出することができません。不正確な情報は誤解を招き、価格交渉や条件設定に悪影響を及ぼすでしょう。
アピールポイントを明確に伝える
M&AのIMにおいて、対象企業のアピールポイントを明確に伝えることは、買収候補先に対して企業の魅力や競争優位性を正確に伝える上で非常に重要です。アピールポイントを伝えられるか否かは、買い手側の意思決定に大きく影響します。
IMは、最初に買収候補先が目にする資料であり、「この会社に投資する価値がある」と思わせるための最初の接点です。魅力的なアピールポイントを明確にすることで、関心を引き、次のプロセス(デューデリジェンスや交渉)へと進む可能性が高まります。
また対象企業の独自性や強みを強調することで、競合他社との差別化が可能です。これにより、「なぜこの企業を選ぶべきか」を明確に伝えることができます。買収候補先に対し、対象企業の潜在的な成長性や収益力を効果的に伝えることで、企業価値を高く評価してもらえる可能性も高まるでしょう。
IMの作成における買い手側の注意点
IMの作成における買い手側の注意点は下記の通りです。
- 情報の守秘を徹底する
- 質疑応答を行う
- 専門家に確認を依頼する
それぞれ詳しく解説していきます。
情報の守秘を徹底する
M&AにおけるIMは、売り手企業の詳細な情報が記載されており、その中には機密性の高い情報が含まれることが一般的です。買い手側が守秘を徹底することは、極めて重要になります。
売却対象企業の財務情報、顧客リスト、戦略的計画などが漏洩すると、競合他社に悪用される可能性が高いです。またNDA(秘密保持契約)に違反すると、法的措置や損害賠償請求を受ける可能性があります。
守秘義務を守ることで、売り手と買い手の間に信頼が築かれ、取引が円滑に進む可能性が高まります。M&Aプロセス全体の信頼性と透明性を確保し、将来的なトラブルを防ぐことができるでしょう。
質疑応答を行う
IMは売り手企業の財務情報や事業内容、リスクなどが記載されていますが、限られた情報だけで全体像を把握するのは難しい場合があります。そのため、買い手が質疑応答を行うことは非常に重要です。
質疑応答を通じて、売り手側が提供している情報の正確性や誠実性を評価することが可能です。また、売り手の意図やM&Aを進める背景(資金調達、経営課題の解決など)についても深く知ることで、交渉における戦略を立てやすくなります。
積極的な質疑応答は、買い手としての関心度の高さを売り手に示す手段ともなるでしょう。これにより、売り手が買い手を優先的に選ぶ可能性が高まることもあります。
専門家に確認を依頼する
M&Aにおける情報提供資料は、対象会社の財務状況、事業内容、成長可能性などが詳細に記載されていますが、買い手がその情報を正確に理解し、判断するには専門的な視点が必要です。
IMに記載されている情報が正確であるか、また記載内容に隠れたリスクがないかを確認するためには、専門家の助言が不可欠となります。たとえば、財務データが粉飾されていないか、事業計画が現実的かなどの検証が必要です。
また買い手が持つ知識だけでは判断が難しい法務、税務、財務、業務運営に関する事項について、専門家の意見を求めることで、より深い理解が得られます。これにより、買収後のリスクや潜在的な問題を事前に把握することが可能です。
M&Aの成功事例
M&Aにおける成功事例を紹介していきます。これからM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
三菱UFJ銀行とPT Bank Danamon Indonesia,Tbk.によるM&A
2019年4月に、三菱UFJ銀行が、インドネシアのPT Bank Danamon Indonesia,Tbk.(バンクダナモン)の発行済株式総数の54.0%を追加取得し、同社株式の94%を取得することにより子会社化したM&Aの事例です。本取引による取得価額は約3,970億円となっています。
譲り受け企業である「三菱UFJ銀行」は、国内に565、海外に110の店舗を有する国内の大手銀行です。一方の譲渡企業である「PT Bank Danamon Indonesia,Tbk.」は、インドネシアにおける大手商業銀行になります。
本件M&Aは、ともに銀行業を手掛ける企業同士の取引事例です。本取引は、譲り受け企業である三菱UFJ銀行が、東南アジアでのビジネスプラットフォーム構築に向けた戦略出資を目的としたものとなっています。
インドネシア大手商業銀行バンクダナモンへの戦略出資について(第三段階)
ハウスコムによる宅都とのM&A
2020年12月に「ハウスコム」と「宅都ホールディングス」にて業務提携契約が成されました。その後、「宅都」の不動産仲介以外の事業を宅都ホールディングスのグループ会社に会社分割により譲渡。さらに2021年3月にハウスコムが宅都の全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。
譲渡企業である「宅都」は「宅都ホールディングス」の子会社で、大阪市を中心に関西圏にて不動産仲介・売買・賃貸事業などを展開している企業です。一方の譲り受け企業である「ハウスコム」は全国188店舗にて不動産賃貸仲介業の展開、及び不動産売買仲介・リフォーム事業を展開しています。
ハウスコムの本M&Aの狙いは、関西圏への進出とシェア拡大、さらに不動産仲介業事業の競争力強化です。さらに宅都ホールディングスは不動産テック事業も展開していることから、次世代を見据えた不動産テック分野の強化を目的としています。
ハウスコム株式会社と株式会社宅都ホールディングスの業務提携並びに子会社である株式会社宅都の株式譲渡のお知らせ
ヤマタホールディングとコナン住建によるM&A
2021年7月に、ヤマタホールディングがコナン住建の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「ヤマタホールディングス」は、注文住宅・不動産売買・カフェレンタルスペースの運営・アパレル雑貨販売などの事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「コナン住建」は、建築資材販売や内装工事などの直接施工などを行っている企業になります。
本件M&Aは、建築関連会社と内装・リフォーム会社による取引事例です。譲り受け企業であるヤマタホールディングは、業多角化と顧客生涯価値(LTV)の向上を図る戦略の一環としてリフォーム事業の強化を目指しており、建築資材の仕入れ力強化と施工力の確保を目的としてコナン住建の買収を行いました。
クスリのアオキホールディングとスーパーマルモによるM&A
2021年6月に、アオキホールディングスがスーパーマルモを分割会社とする会社分割により、アオキホールディングスの子会社であるナルックスにスーパーマルモのスーパーマーケット事業等に関する権利義務等を承継させる吸収分割契約を締結することを決定したM&Aの事例です。
譲り受け企業である「ナルックス」は、アオキホールディングスの子会社で、石川県金沢市にてスーパーマーケット事業を展開する企業です。一方の譲渡企業である「スーパーマルモ」は、スーパーマーケット事業および「うまいもん処」の看板にて飲食事業を手掛ける企業になります。
本件M&Aは、大手ドラッグストア企業とスーパーマーケット運営企業による取引事例です。譲り受け企業であるアオキホールディングスは、スーパーマルモの食品スーパー事業等を承継することにより、食品スーパーの持つ新鮮な食材の品揃えとドラッグストアの持つヘルス&ビューティーや日用品の品揃え、また処方箋を取り扱う調剤薬局を組み合わせることを狙いとしています。
当社子会社の会社分割(吸収分割)による株式会社スーパーマルモの一部事業承継に関するお知らせ
ニチイ学館と西日本ヘルスケアによるM&A
2021年6月に、株式会社ニチイ学館と株式会社LeTechの間で、株式会社西日本ヘルスケアの株式に関する株式譲渡契約が締結されたM&Aの事例です。本取引により、LeTechの介護事業は吸収分割により西日本ヘルスケアに承継され、同日に西日本ヘルスケアの全株式をニチイ学館が取得することになります。
譲り受け企業である「株式会社ニチイ学館」は、医療事務事業、介護事業(訪問介護・居住系介護サービス・ケア用品販売)、保育事業など、多角的な事業を展開している大手企業です。一方の譲渡企業である「株式会社西日本ヘルスケア」は、株式会社LeTechの子会社で、LeTechの介護事業(住宅型有料老人ホーム・グループホームなどの運営)を担う法人として設立されました。
本件M&Aは、医療・介護関連を多角的に展開する大手企業と介護事業者による取引事例です。LeTechは経営資源の最適配置のため介護事業を担う法人として西日本ヘルスケアを設立することにしましたが、中核事業とのシナジーが見込みづらいことから、介護関係の豊かなノウハウと強固な財政基盤を有するニチイ学館への譲渡を決定しました。
野村総合研究所とASG GRoup LimitedによるM&A
2016年12月に、野村総合研究所がASG Group Limited(オーストラリア)の全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得金額は、269億2,500万円となっています。
譲り受け企業である「野村総合研究所」は、顧客企業の課題発見・戦略立案を行うコンサルティング業に加え、システム開発・運用までを手掛ける日本有数のITコンサルティング・システム開発会社です。
一方の「SG Group Limited」はオーストラリアのパースに拠点を置き、クラウド型の統合基幹業務システムや経営データ分析システムのマネージドサービスを展開している企業になります。
本件M&Aは、野村総合研究所がオーストラリアにおける顧客や事業基盤を獲得することが目的です。ASG Group Limitedも野村総合研究所の財政基盤や各種製品・ソリューションの活用による事業成長に期待しています。
電通グループとShift7 Digital, LLC.によるM&A
2023年3月に、株式会社電通グループが、アメリカのShift7 Digital, LLC.の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「株式会社電通グループ」は、日本を代表する大手広告代理店です。一方の譲渡企業である「Shift7 Digital, LLC.」は、アメリカに本拠を置き、B2B企業のマーケティングと販売プロセスの支援を行っています。
本件M&Aは、国内大手広告代理店と海外マーケティング会社による取引事例です。譲り受け企業である電通グループは、B2B企業のエクスペリエンス領域のリーディングパートナーとしてのマーケティング業界での地位を更に高めることができるとしています。
電通グループ、米国のB2Bエクスペリエンス&コマース・エージェンシー「シフトセブン社」を買収し、顧客体験マネジメント事業を強化
元気な介護とコンセックによるM&A
2024年9月に、株式会社元気な介護が株式会社コンセックの連結子会社である株式会社サンラックの所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「元気な介護」は、北海道を中心に介護・福祉事業を展開するグループ企業です。一方の譲渡企業である「株式会社サンライフ」は、通所介護、居宅介護支援、訪問介護、有料老人ホーム及びサービス付高齢者向け住宅の経営等を行っている企業になります。
本件M&Aは、ともにサービス付き高齢者向け住宅住宅を含む介護・福祉関連事業者同士の取引事例です。譲渡企業であるコンセックは、経営資源の選択と集中を推進し、経営効率を高め収益性の向上、事業運営の安定化を図ることを検討した結果、介護業界のリーディングカンパニーを目指して、全国規模で介護事業を展開している元気な介護社に、サンライフの株式を譲渡することとしました。
三井物産とAWE LimitedによるM&A
2018年2月に、三井物産がオーストラリアのAWE Limitedの所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式公開買い付け(TOB)のスキームが用いられ、取得価額は約512億円となっています。
譲り受け企業である「三井物産」は、エネルギーや資源開発分野での強みを持つ企業で、特に海外の石油やガス関連企業のM&Aを積極的に行っている企業です。一方の譲渡企業である「AWE Limited」は、オーストラリアを本拠とし、原油・ガス生産を主とするエネルギー事業を行っている企業になります。
本件M&Aは、貿易事業も手掛ける日本の大手総合商社と海外のエネルギー関連会社による取引事例です。本取引により、三井物産は、豪州国内の優良原油・ガス資産のポートフォリオの拡充を図るとともに、豪州石油・ガス生産事業においてより活動領域を広めるためのオペレーター機能の獲得を目指しています。
豪州石油ガス資源開発会社AWE Limitedの公開買付け終了に関するお知らせ
積水ハウスと岐阜造園によるM&A
2020年6月に、積水ハウス株式会社が株式会社岐阜造園の所有する株式を取得することを発表したM&Aの事例です。本取引は第三者割当増資のスキームが用いられ、株式取得後、岐阜造園は積水ハウスの持分法適用関連会社となっています。
譲り受け企業である「積水ハウス株式会社」は、戸建住宅事業を中心に、街づくりや開発事業・国際事業など幅広い事業展開を行っている企業です。一方の譲渡企業である「岐阜造園」は、公共施設・公園等の造成・造園緑化工事、個人住宅の庭園・外構工事等を行っている企業になります。
本件M&Aは、総合建築関連会社と造園工事会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業である積水ハウスは、岐阜造園の安定株主となり、積水ハウス物件の施工を担う積水ハウス建設各社との連携をはじめ、取引関係の強化を目的としています。
第三者割当による新株式発行及び主要株主の異動に関するお知らせ
高松建設と大昭工業によるM&A
2021年2月に、高松コントラクショングループが、連結子会社である高松建設を通して、大昭工業の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「高松建設」は、高松コントラクショングループの連結子会社で、大阪市に本拠を置き、土地活用提案事業・賃貸マンション・商業ビルの施工・工事などを手掛ける総合建築工事企業です。一方の譲渡企業である「大昭工業」は、大阪府北摂・高槻地域を中心に土木・建築事業を営む会社になります。
本件M&Aは、建設コンサルタント業を手掛ける大手総合建築会社と、とび工事業も手掛ける建築・建設関連会社による取引事例です。譲り受け企業である高松コントラクショングループは、本取引により、髙松建設および大昭工業のそれぞれが保有する営業情報を活用して、互いに得意とする規模の建築工事受注の増加を目指すとともに、大昭工業が保有する不動産の有効活用を推進して、投資成果の向上をはかるなど、シナジー効果の発揮によりグループ全体での企業価値の向上を目指しています。
M&Aにおすすめのコンサルティング会社
IMの作成は、M&Aコンサルティング会社がおこなうケースも多いです。そこで、ここでは、おすすめのM&Aコンサルティング会社を紹介していきます。
M&A HACK
会社名 | 合同会社SFS |
設立 | 2022年12月 |
本社所在地 | 東京都台東区千足1-14-9 レアライズ浅草2 4F |
公式サイト | https://sfs-inc.jp/ma/ |
M&A HACKは、当社「合同会社SFS」が運営するM&Aコンサルティング会社です。2022年の設立から既に多くのお客様に依頼をいただいています。
当社は「スピード対応」「完全成功報酬制」「リスクなし」の3つをコンサルティングの軸としているのが特徴です。M&A取引をスムーズにすすめながらも、完全成功報酬制を採用することで、お客様の負担を最小限に抑えることをモットーとしています。
M&Aの複雑なプロセスも、当社であれば一気通貫して徹底サポートすることが可能です。もちろん相談は無料で行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談のご予約:https://sfs-inc.jp/ma/contact
日本M&Aセンター
会社名 | 株式会社日本M&Aセンター |
設立 | 2021年4月 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 |
公式サイト | https://www.nihon-ma.co.jp/ |
日本M&Aセンターは、東京都千代田区に本社を置く大手M&Aコンサルティング会社です。豊富な実績と優れたコンサルタントを抱えており、業界でも高い知名度を誇ります。
日本M&Aセンターの成約数は、8500件超となっており、3年連続でギネス記録「M&Aファイナンシャルアドバイザー業務の最多取り扱い企業数」に認定されているほどです。
豊富な実績からも分かる通り、取り扱うジャンルの幅が非常に広く、あらゆる業界・取引におけるノウハウを所有しています。またM&Aコンサルティング会社でありながら、金融機関とも連携しているため、M&Aにおける資金面でも確実なサポートをおこなってくれます。
レバレジーズM&Aアドバイザリー
会社名 | レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社 |
設立 | 2020年4月6日 |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 24F・25F |
公式サイト | https://leveragesma.jp/ |
レバレジーズM&Aアドバイザリーは、東京都に本拠を置く2020年創業のM&Aコンサルティング会社です。設立から間もないものの、既に多くの取引実績を誇っています。
レバレジーズM&Aアドバイザリーの強みは、約30,000件にも及ぶ独自顧客データベースを所有していることです。これにより、取引における相性最優先の最適なマッチングをかなえてくれます。
また母体である「レバレジーズ株式会社」は、人材業界大手の企業です。人材業で培われた取引ルートをフル活用することで、どんなジャンルのM&A取引にも柔軟に対応してくれます。
M&Aキャピタルパートナーズ
会社名 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 |
設立 | 2005年10月 |
本社所在地 | 東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲八重洲セントラルタワー36階 |
公式サイト | https://www.ma-cp.com/ |
M&Aキャピタルパートナーズは、2005年の設立以来、譲渡株価総額2,565億円、譲渡企業の売上高4,462億円などの実績を誇るM&Aコンサルティング会社です。
「株価レーマン方式」を採用しており、取引価格に応じて手数料を設定しています。そのため、支払い手数料がリーズナブルであることが魅力です。余計なコストを抑えながら、コンサルティングを依頼することができます。
また同社には仕業を所有するコンサルティングが多数在籍しているのも特徴です。それぞれの分野に特化したコンサルタントが在籍しているので、幅広い分野の案件に対して柔軟に対応することができます。
fundbook
会社名 | 株式会社fundbook |
設立 | 2017年8月 |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ森タワー25F |
公式サイト | https://fundbook.co.jp/ |
fundbookは、2017年に設立され、東京都虎ノ門に本社を置くM&Aコンサルティング会社です。豊富なネットワークとプラットフォームマッチングを武器に多くのコンサルティング実績を持ちます。
fundbookの最大の特徴は、完全成功報酬型を採用していることです。着手金・中間金・買い手相談料・株価診断などの費用は全て無料となっています。余計な費用を抑えながら、コンサルティングを依頼することが可能です。
またfundbookには、M&A支援実績が豊富なコンサルタントが100名以上在籍しています。分野に応じて専門的なノウハウと経験を有したコンサルタントが担当してくれるので、よりM&A取引をスムーズに進めることが可能です。
まとめ
今回はM&AにおけるIMの目的や買い手に刺さる作成方法について詳しく解説しました。M&Aは経営戦略として非常に有効な手段であり、実際にM&Aを実施することによって、大きく事業を発展させたり、経営を立ち直らせた企業は多く存在します。
そしてM&Aの成功には、M&Aコンサルティング会社の存在が欠かせません。M&Aコンサルティング会社を活用することで、M&Aに知見や経験がない企業も自社にメリットのあるM&A取引を結ぶことができます。
当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
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