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M&Aの売却価格目安!利益の何倍で売れる?価格算定や評価方法を解説

「M&Aは利益の何倍で売れるのが相場なの?」
「M&Aにおける会社の価格算定や評価方法を知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「M&A 価格目安」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、M&Aにおける売却価格の目安について分かりやすく簡潔に解説します。

またM&Aにおける価格算定や評価方法ついても詳しく解説するので、M&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

M&Aにおける売却価格の目安について

一般的にM&Aは、M&Aコンサルティング会社などの仲介業者やFA(ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家によって企業価値を判断し、最終的に売り手と買い手の交渉によって売却価格が決定されるものです。

企業価値の評価基準は専門家によって様々であり、買い手と売り手の交渉によっても売却価格は大きく変動します。そのため、M&Aの売却価格には、明確な相場は存在しません

ただし、企業価値評価や価格算定方法は定まった方式に当てはめて実行されるものです。そのため、あらかじめ売却価格の予想をしておくことは可能でもあります。

時価純資産額+営業利益2年~5年が目安

前述した通り、M&Aにおいて明確な相場は存在しません。しかし一方で、中小企業のM&Aや事業承継においては、「時価純資産額+営業利益2年~5年」が価格の目安と言われているのも事実です。

例えば、純資産が10億円・年間営業利益が2億円の会社の売却価格目安は「10億円+2億円×2年~5年=14億円~20億円」となります。ただし、財務状況や将来性、売却先との交渉によって価格が変動するのが実際です。

またM&Aの目安価格の算出方法は、専門業者(M&Aコンサルティング会社など)やFA(ファイナンシャルアドバイザー)によって異なる場合もあります。専門業者やFAに売却価格の算出を依頼する際には、用いられる計算方式も確認しておきましょう。

買い手の提示価格

M&Aにおける売却価格は、買い手の提示価格によって決定されます。もちろん買い手の言い値で一方的に決定されるわけではなく、売り手の交渉力や戦略、そして売り手自身の企業価値の向上努力も大きな要素です。

買い手は、企業価値を評価するために、さまざまな指標や方法を使用します。代表的な評価方法には、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法や比較企業分析(Comparable Company Analysis)、取引事例分析(Precedent Transaction Analysis)などです。

また買い手は、企業の財務状況や契約、法的なリスク、顧客基盤、運営状況などを詳細に調査するために「デューデリジェンス」を実施することがほとんです。デューデリジェンスにて問題が見つかると、提示価格が引き下げられる場合もあります。

売り手の提示価格

M&Aでは、買い手だけでなく、売り手からも売却価格を提示することが可能です。売り手が初めに設定する売却希望価格(または提示価格)は、交渉の出発点となり、最終的な売却価格に大きな影響を与えることがあります。

売り手は、事業の価値を自社で評価し、初期の売却希望価格を設定することが多いです。しかし希望価格は、あくまで交渉の出発点に過ぎないため、市場状況・買い手の評価・企業のリスク要因などによって、最終的な価格は大きく変動します。

また売り手が希望する売却価格と、買い手が提示する価格の間には差があることが多いです。提示価格に差があることで、交渉が行われ、売り手は提示価格を引き上げるためにさまざまな戦略を取ることがあります。

M&Aにおける価格算定基準

M&Aにおける価格は、自社が持つ資産価値や市場価値に基づいて算出されるのが一般的です。M&Aにおける価格算定基準には、以下のものがあります。

  • 取引先や顧客リスト
  • 従業員
  • 技術力
  • 市場価値やブランド価値
  • 経営者の人間性や将来的なビジョン

それぞれ詳しく解説していきます。

取引先や顧客リスト

企業の経営において、取引先や顧客リストは非常に価値のある資産です。そのため、取引先や顧客リストは、M&Aにおいて大きな価格算定基準となる要素となります。より価値の高い取引先や顧客リストを所有している企業ほど、売却価格は高くなるでしょう。

売却対象企業が持っている既存の顧客層は、買収後も収益を安定的に生み出す可能性が高いです。そのため、取引先や顧客が安定しており、長期的な契約や良好な関係がある場合、これらの顧客基盤が売却価格を押し上げる要因となります。

また単に顧客の数が多いだけでなく、その質も重要です。例えば、大口顧客や成長性の高い業界に所属する顧客が多い場合、買収者はその顧客を引き継ぐことで、さらに成長の機会を得ることができると判断することがあり、売却価格を高く評価します。

従業員

M&Aにおいては、自社で働く従業員の数や技能によっても、売却価格が変動する可能性があります。自社が持つ建物や取引先だけでなく、実際に働いている従業員も会社の資産の一部として評価されるためです。

従業員数が多い場合、その規模に伴って企業の運営や生産能力も高くなる可能性があります。従業員数が多ければ、業務の規模が大きくなり、一定の収益が期待できると考えるためです。そのため、従業員数の多さは企業の成長力や市場での競争力を反映し、売却価格を高くする要因となります。

また従業員が持つ技能や専門知識は、特に技術系企業やサービス業、研究開発などの分野では、売却価格に大きく影響を与える要素です。高い技能を持つ従業員が多い企業は、買収後に技術的な優位性や新しい製品・サービスの開発に役立つため、資産価値を高める要素となります。

技術力

M&Aでは、自社の技術力によって売却価格が変動します。特に、テクノロジー関連の企業や、特許や独自の技術を有する企業にとっては、技術力は重要な評価要因となります。

技術力は、企業が市場で競争優位性を持っているかどうかを示す指標です。独自の技術や技能は、その企業が他社に対して優位な立場を取れることを意味し、それが売却価格を高める要因となります。

技術が独自であり、スケーラブルである場合、その企業の価値は高く評価されるでしょう。独自の技術が他社にとって差別化のポイントとなる場合、買収側はそれを取り込むことで自社の競争力を高められると考え、価格にプラスの影響を与えます。

市場シェアやブランド価値

M&Aでは技術や設備、従業員などの有形資産だけでなく、市場シェアやブランド価値も価格算定基準における重要な要素です。市場において高いシェアとブランド知名度を誇るほど、より高い売却価格を得ることができます。

企業の市場シェアは、その企業が業界内でどれほどの影響力を持つかを示す指標です。高い市場シェアを持つ企業は、競争力があり、将来的な成長の可能性も大きいため、売却価格が高くなるでしょう。

またブランドは消費者の認知度や信頼性、価値感を反映する重要な資産です。強力なブランドを持つ企業は、顧客の忠誠心や価格のプレミアム、安定した収益を確保しやすく、これが売却価格に大きく反映されます。

経営者の人間性や将来的なビジョン

M&Aの売却価格は、有形・無形資産のみで決定されるわけではありません。経営者の人間性や将来的なビジョンも、買収先企業が売却先企業を評価するために重要な要素です。

買収側は、売却企業の経営者との信頼関係を重視することがあります。特に、売却後も経営者が一定期間、会社に残って経営をサポートする場合、経営者の人間性が重要です。信頼できる経営者が引き続き活躍することが期待される場合、買収側はその企業の価値を高く評価する可能性があります。

また経営者が持つ将来的なビジョンや成長戦略が企業の価値に直結する要素です。買収側は、売却企業の経営者が描く将来像や、今後の成長をどう見込んでいるのかを重視します。革新的なビジョン持つ経営者の場合、そのビジョンが売却価格に反映されることがあります。

M&Aにおける代表的な価格算出方法

M&Aにおける代表的な価格算出方法を紹介します。M&Aにおける代表的な価格算出方法は、以下の3つです。

  • 時価純資産法
  • マルチプル法(類似会社比準法)
  • DCF法

それぞれの手法について詳しく解説していきます。

時価純資産法

M&Aにおける価格算出方法のひとつが、「時価純資産法」です。時価純資産法とは、企業の資産と負債の時価を基に、その企業の純資産(資産-負債)の価値を算出する手法になります。

時価純資産法は、その名の通り、「企業が保有する全ての資産(不動産、機械設備、在庫、知的財産など)の時価を算定する手法」です。資産の時価は、市場価値や取引価格など、最新の評価額を基に決定されます。

時価純資産法は、企業が保有する資産や負債の現状に基づく評価を行うため、企業の資産構成や財務状況を反映した評価ができるのが特徴です。そのため、特に資産が重要な役割を果たす企業(例えば不動産業や製造業など)のM&Aにおいてよく使用されます。

マルチプル法(類似会社比準法)

マルチプル法(類似会社比較準法)は、自社と同一業種で類似する事業規模の上場企業の株価をもとに、相場価格を決定する価格算出方法です。マルチプル法は、3つの価格算出方法のなかでも、客観性に優れた手法になります。

マルチプル法は、市場データや財務データを基に、比較的短時間で企業価値を推定できる点が大きな利点です。市場の投資家がどのように企業を評価しているかを反映できるため、現実的な評価が得ることができます。

ただし、完全に同じ条件の企業は存在しないため、適切な比較対象を見つけるのが難しいことがデメリットです。また市場全体が過大評価や過小評価している場合、その影響を受ける可能性があります。

DCF法

DCF(Discounted Cash Flow)法は、3つの価格算出方法のなかで最も多く使用される手法です。企業買収後に予想されるキャッシュフローを加味して、それを現在価値に割り引いて価格を決定します。

DCF法は、市場価格に依存せず、企業の将来のキャッシュフローに基づいて価値を評価するため、企業本来の価値を見極めるのに有用です。予測されたキャッシュフローを通じて、企業の成長性や収益性を反映することができます。

しかし、DCF法は将来のキャッシュフローを予測することに依存するため、予測が不正確であると評価結果に大きな影響を与えるのが難点です。WACC((加重平均資本コスト、Weighted Average Cost of Capital)を適切に設定するのは難しく、誤った割引率を使用すると価値評価が歪む可能性があります。

M&Aにおける企業価値の評価方法

M&Aの売却価格算出においては、価格決定の目安となる「企業価値(バリュエーション)」が非常に重要です。M&Aにおける企業価値は、以下の3つのいずれかで算出されます。

  • コストアプローチ
  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

それぞれの手法について詳しく解説していきます。

コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の「純資産額」をベースに企業価値を算出する方法です。具体的な算出方法には、「簿価純資産法」や「時価純資産法」などがあります。コストアプローチにおけるメリット・デメリットは、それぞれ以下の通りです。

メリット デメリット
  • 評価の平等性を担保できる
  • 計算がしやすい
  • 破産リスクの評価が可能
  • 価格変動が考慮されない
  • 将来的な収益が反映されない
  • 無形資産の評価が困難

コストアプローチは、企業の資産の価値をベースにするため、評価の過程が比較的シンプルで理解しやすいことが最大のメリットです。特に、建物や設備などの有形資産や不動産の評価が重要な場合に有効です。

一方で、ブランド力や人材の能力、顧客基盤などの無形資産を評価する際に難しさがあります。これらの無形資産の価値が十分に反映されない場合、企業価値が過小評価される可能性が高いです。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローや利益を現在価値に割り引いて評価を行う算出方法です。企業の将来の成長性や利益創出能力を重視するため、成熟した企業や安定した収益を持つ企業の評価に適しています

メリット デメリット
  • 将来の収益性を反映できる
  • 長期的な価値を重視しやすい
  • 利益創出能力を測定しやすい
  • 主観的な評価になりやすい
  • 将来の予測は不確実
  • 短期的な財務状況を反映しにくい

インカムアプローチは、企業の将来の利益創出能力を基にした評価を行うため、企業の実際の経済的な価値を反映しやすいです。特に成長企業や収益性の高い企業に対して有効な手法となります。

一方で、 企業の将来の収益力を予測することは難しく、予測が外れると企業価値に大きな影響を与える可能性が高いです。特に新規事業や急速に変化する業界においては予測が難しく、リスクが伴います。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、市場で成立する価格を目安にして企業価値を算定する方法です。具体的には、「市場株価法」「類似会社比較法(マルチプル法)」「類似取引比較法」などがあります。

メリット デメリット
  • 客観性が高い
  • 計算がしやすく透明性が高い
  • 類似企業との比較が容易
  • 市場環境に依存する
  • 類似企業がない場合には適用できない
  • 市場特有の調整が必要

マーケットアプローチは、市場での取引や株式市場での価格を参考にするため、現実の市場の評価を反映することができます。これにより、企業価値が市場参加者によってどのように評価されているかを把握でき、客観性が高い評価が可能です。

マーケットアプローチは市場の動向に大きく依存するため、景気や市場のセンチメントによって企業価値が大きく変動する可能性があります。市場が過熱している時期には過大評価されるリスクがあり、逆に市場が冷え込んでいる時期には過小評価される可能性が高いです。

M&Aにおける価格交渉方法

M&Aの売却価格では、企業価値評価・価格算出方法等によって決定されます。しかし実際の取引では、譲り受け企業と譲渡企業の双方が納得できる金額まで交渉をすり合わせなければなりません。

そこでM&Aにおける価格交渉では、主に「個別交渉方式」と「オークション方式」の2種類が存在します。それぞれの手法について詳しく解説していきます。

個別交渉方式

M&Aにおける「個別交渉方式」とは、買収者と売却者が直接交渉を行い、条件や価格を個別に決定する手法です。 売却側と買収側が個別に交渉を進め、双方が合意できる最適な取引条件を探ります。

個別交渉方式では、入札者や交渉相手が限られており、交渉内容は外部に公表されません。これにより、競争を避け、取引の機密性を保つことができます。入札方式よりも交渉がスムーズに進む場合があり、取引の迅速化させることが可能です。

ただし個別交渉方式では、複数の買収者が競争する入札方式とは異なり、競争原理が働かないため、最適な価格や条件が得られないことがあります。交渉過程が非公開であるため、取引の公正性や透明性に疑問を持つ関係者がいる場合も多いです。

オークション方式

M&Aにおけるオークション方式とは、買収対象企業(ターゲット企業)を複数の買収希望者に対して公開し、競争的な入札プロセスを通じて最も条件が良い買収提案を選定する方法です。

オークション方式は、複数の買収希望者による競争を促進し、売り手が最良の条件を引き出す可能性が高くなります。特に、売り手が市場価値を最大化したい場合や、買収に関する情報を幅広く公開することでより多くの選択肢を得たい場合に有効です。

一方で、オークション方式にはいくつかのデメリットも存在します。例えば、競争が過熱しすぎると、買収希望者が過剰なプレミアムを支払うリスクがあることや、売り手側で十分な情報管理や交渉のバランスを取るのが難しいことがデメリットです。

M&Aの売却価格を高めるための方法

M&Aの価格交渉では、売り手企業側は売却価格をできるだけ高めることが求められます。そのため、売り手側は売却価格を出来るだけ高めるための工夫が必須です。

M&Aの売却価格を高めるための方法は、以下のようなものがあります。

  • コンサルティング会社などの専門家に依頼する
  • 自社情報を整理しておく
  • オークション方式を採用する
  • 事業の成長性を強調する
  • ブランド価値や知名度を強化しておく

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

コンサルティング会社などの専門家に依頼する

M&Aで売却価格を高めるために最も有効な手段は、コンサルティング会社などの専門家に依頼することです。専門家に依頼することで、専門的な知識と経験を活かして、企業の価値を最大化するためのアプローチをすることができます。

M&Aの際に最も重要なのは、売却企業の価値を正確に評価することです。コンサルティング会社やM&Aアドバイザーは、業界動向や市場データを基に、企業の評価額を適切に算出できます。これにより、売却価格を過小評価したり、過大評価したりするリスクを回避することが可能です。

またM&A後に発生するシナジー効果を明確に示すことが、売却価格を高めるポイントです。コンサルティング会社は、企業の業務フローやマーケティング戦略を分析し、どの部分でシナジー効果が発生するかを予測し、買収側に対して説得力のある提案を行います。

自社情報を整理しておく

M&Aにおいて売却価格を高めるためには、自社の財務情報を整理し、透明性のある状態にしておくことは非常に重要です。自社情報を整理しておくことで、買収側が安心して評価を行えるようになります。

M&Aの取引では、自社の競争優位性や差別化要素を明確に伝えることが重要です。これには、独自の技術、ブランド力、顧客基盤、市場シェアなどが含まれます。買収側が自社の強みを理解し、買収後にシナジー効果を見込めると判断できれば、高い価格での売却が可能です。

また今後の成長可能性や市場のトレンドに対する適応力を示すことも重要になります。具体的には、事業計画や新規市場の開拓戦略、プロジェクトの進捗などを明確にして、将来的な成長が見込まれることをアピールすることが大切です。

オークション方式を採用する

M&Aの売却価格を高めるための方法として、オークション方式を採用することがポイントです。オークション方式を取り入れることで、買収希望者間で競争を促進し、最終的により高い売却価格を引き出すことができます。

オークション方式では、売却プロセスが比較的迅速に進むことが多いです。複数の買収希望者が競り合っているため、入札の締め切り日を設けて一度に評価を行うことができ、交渉が長期化するリスクを減らすことができます。

買収希望者が多い場合、企業の価値が多角的に評価されるため、売却側は一社だけでなく複数の視点からの評価を得ることが可能です。これにより、価格の妥当性が確認され、最も適切な価格帯が見極めやすくなります。

事業の成長性を強調する

M&Aの売却価格を高めるためには、事業の成長性を強調することは非常に重要です。買収側は、単に過去の実績に基づく評価だけでなく、将来の成長性を見越して企業を買収しようとするため、成長の潜在力をしっかりとアピールすることが、より高い売却価格に繋がります。

事業の成長性を強調する際には、自社がターゲットとしている市場や業界が今後どのように成長するかを示すことが重要です。業界の成長率、市場の規模、技術革新の影響、新しいトレンドなどを根拠に、どのように自社がその成長を取り込むかを明確にしましょう。

また今後の収益源を示すことも重要です。新規事業の立ち上げ予定や、新たな営業チャネルの開拓など、成長を具体的に描写することで、買収者に自社の将来性を強く印象づけることができます。

ブランド価値や知名度を強化しておく

M&Aの売却価格を高めるために、ブランド価値や知名度を強化することは非常に重要です。ブランド価値や知名度の高さは、統合後のプロセスにおいて多大な影響を及ぼすため、買い手側はブランド価値や知名度を非常に重要視します。

ブランド価値や知名度が強い企業は、買収後にシナジー効果を発揮しやすいです。例えば、買収企業が新しい市場に進出する際や、既存のブランドポートフォリオを強化する場合に、既に知名度があるブランドが加わることで迅速に結果を出しやすくなります。

また市場におけるリーダーシップや、競合他社との比較でも優位に立っていることは、買収側にとっての大きな魅力です。市場でのポジションを強化し、業界内でのリーダーシップを確立することで、売却時に高評価を受けやすくなります。

M&Aの成功事例

ここでは、実際の売却(譲渡)価格が公開されいる事例に絞って、M&Aの成功例を紹介していきます。

野村総合研究所とASG GRoup LimitedによるM&A

2016年12月に、野村総合研究所がASG Group Limited(オーストラリア)の全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得金額は、269億2,500万円となっています。

譲り受け企業である「野村総合研究所」は、顧客企業の課題発見・戦略立案を行うコンサルティング業に加え、システム開発・運用までを手掛ける日本有数のITコンサルティング・システム開発会社です。

一方の「SG Group Limited」はオーストラリアのパースに拠点を置き、クラウド型の統合基幹業務システムや経営データ分析システムのマネージドサービスを展開している企業になります。

本件M&Aは、野村総合研究所がオーストラリアにおける顧客や事業基盤を獲得することが目的です。ASG Group Limitedも野村総合研究所の財政基盤や各種製品・ソリューションの活用による事業成長に期待しています。

野村総合研究所グループ、豪州ASG社をNRIブランドに統合

エイム・ソフトとケア・ダイナミクスによるM&A

2020年5月に、エイム・ソフトがケア・ダイナミクスの全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得金額は、7,200万円となっています。

譲り受け企業である「エイム・ソフト(現:クシムソフト)」は、高度IT人材の育成・派遣、システム開発、セキュリティコンサルティングなどを手掛ける企業です。一方の「ケア・ダイナミクス」は、介護事業者向けASPシステムの提供、介護ロボット・介護ICTシステム導入支援などを手掛けています。

本件M&Aは、利益率の高いシステム受託開発案件の獲得や非稼働エンジニアの有効活用などにより経営安定化を図ることが狙いです。システム開発企業と介護ICT企業によるM&Aの事例となります。

ハウスドゥによる小山建設グループ3社のM&A

2019年8月、「ハウスドゥ」は、「小山建設」の全株式・「小山不動産」株式の55%・「草加松原住建」の全株式を取得し、3社を完全子会社化しました。本M&Aによる取得対価は26億5,000万円です。

「ハウスドゥ」は、全国に1,000店舗の不動産仲介フランチャイズチェーンを展開、さらに不動産売買・リースバック・リフォーム事業を展開しています。譲渡企業である「小山建設」「小山不動産」「草加松建設」の3社は、埼玉県草加市を拠点とし、小山建設を中核とするグループにて、不動産仲介業全般を展開しています。

このM&Aは、後継者問題・競争率激化などを抱える不動産業界で、自社とより親和性の高い企業同士が合併し、基盤強化を果たすことが出来た事例です。ハウスドゥによる事業承継プログラムの一環としてM&Aが実行されています。

ハウスドゥ(3457)、小山建設グループの全株式取得、子会社化

高松建設とタミツプランニングによるM&A

2019年5月に、高松建設がタミツプランニングの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は約14億円となっています。

譲り受け企業である「高松建設」は、土地活用提案事業をベースとし、賃貸マンションや工場・物流施設・ホテル・医療施設などの建設を請け負っている企業です。一方の譲渡企業である「タミツプランニング」は、横浜エリアを中心に注文住宅とリフォームを手がけ、不動産開発事業やメガソーラー事業にも進出していた企業で、2016年からRIZAPグループの子会社となっていました。

本件M&Aは、総合建設会社と工務店による取引事例です。譲り受け企業である高松建設は、2018年に買収した不動産会社ミブコーポレーションとの連携も図りながら戸建て住宅事業を本格的に展開することを目的として本取引を実施しました。

大手企業出身のスペシャリスト達による「タカマツハウス」が本格始動!

パワーソリューションズによるエグゼクションのM&A

2021年4月に「パワーソリューションズ」が「エグゼクション」の全株式を買収する株式譲渡によって完全子会社化したM&Aです。譲渡金額は3億1,500万円となっています。

「パワーソリューションズ」は、金融機関向けにシステム受託開発や運用保守・業務コンサルティングを展開する企業です。譲渡企業である「エグゼクション」は、SES事業(クラウド基盤構築・運用保守など)の譲渡開発を行う企業になります。

このM&Aでは、パワーソリューションズが、市場・顧客ニーズへの対応力向上、サービスの付加価値向上、売り手・買い手両社の取引拡大を狙いとしたものです。譲渡企業である「エグゼクション」も、パワーソリューションズの人事制度ノウハウの適用による従業員のモチベーション・定着率の向上を目的としています。

パワーソリューションズ、日本創発グループの連結子会社エグゼクションの全株式取得、子会社化

ミックウェアによるエイチアイのM&A

2021年3月、「ミックウェア」が「エイチアイ」の全株式を株式譲渡によって取得し、完全子会社化したM&Aの事例です。取得金額は4億5,000万円となっています。

買収企業である「ミックウェア」は、カーナビソフトや車載ソフトウェアの開発事業を運営している企業です。売却企業である「エイチアイ」は、「アートスパークホールディングス」の連結子会社として、システムの受託開発事業を運営しています。

このM&Aによって「ミックウェア」は、高度な組込系技術を有する「エイチアイ」を買収すことで、車載ソフトウェア事業の強化を達成。また一方の「エイチアイ」は、これまでの受託開発事業から一線を画し、自社製品を強みとした経営方針へ転換しています。

参考:ミックウェアが株式会社エイチアイを買収・完全子会社化

ハウスフリーダムによるアイデムホームのM&A

2017年8月に「ハウスフリーダム」が「アイデムホーム」の全株式を購入し、同社を完全子会社化したM&Aです。M&Aによる取得金額は3億円となっています。

「ハウスフリーダム」は大阪・福岡・愛知を中心に不動産仲介業や新築戸建分譲などの事業を展開する企業です。一方の「アイデムホーム」は名古屋周辺エリアにて、不動産仲介業を中心とする事業を展開しています。

ハウスフリーダムは2015年に「シティホーム」を子会社化し、中部地域に進出。さらにアイデムホームを完全子会社化することで、中部地域における経営基盤をより強固なものとしたM&Aの実例です。

株式会社アイデムホームの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

エヌジェイホールディングスとトーテックのM&A

2018年7月に「デルタホールディングス」が「トーテック」の株式のうち70%を譲渡としたM&Aの事例です。売却金額は1億2,600万円となっており、フリーキャッシュフロー法で算出した株主価値を基準に価格が決定されています。

譲渡企業である「トーテック」は「エヌジェイホールディングス」の子会社で、化学・情報分を専門とするエンジニアの人材派遣を主力としている企業です。一方の「デルタホールディングス」は、人材派遣・人材紹介・請負サービスなど、総合的な人材サービスを提供する企業になります。

トーテックは、M&A以前に少子高齢化による人材不足に悩んでおり、訴求力や認知度の向上に役立つノウハウ等を取得する目的で、ブランディングを得意とするデルタホールディングスとの資本業務提携を決定。一方のデルタホールディングスは、トーテックの持つ顧客ネットワークを活かし経営基盤の強化を狙いとしています。

資本業務提携及び連結子会社の異動(株式の一部譲渡)に関するお知らせ

デジタルアイデンティティとぱむのM&A

2021年10月に「デジタルアイデンティティ」が、「ぱむ」の全株式を買収し完全子会社化したM&Aの事例です。譲渡金額は5億5,700万円となっています。

譲り受け企業である「デジタルアイデンティティ」は、「Orchesta Holdings」の連結子会社としてデジタルマーケティングを運営する企業です。一方の譲渡企業である「ぱむ」は、金融業界を中心としたデジタルマーケティング事業を運営しており、WEB制作とコンテンツ制作事業を得意としています。

デジタルマーケティング企業とWEB制作会社がM&Aを行うことにより、双方の強みを共有し経営基盤を強化することが狙いです。デジタルアイデンティティは、金融業界におけるデジタルマーケティング支援事業の強化だけでなく、ぱむの持つWEB制作のリソースを獲得し、事業全体の基盤強化を果たしました。

デジタルアイデンティティ、吸収分割に関するお知らせ

MCJとMJGによるM&A

2020年5月に「MCJ」は「MJG」の運営する整骨院・整体院19店舗と研修所1箇所を事業譲渡したM&Aの事例です。譲渡金額は1億3,000万円となっています。

譲り受け企業である「MCJ」は、複合カフェ(コミック&インターネットカフェ)の運営・フランチャイズ展開事業を中心に、24時間フィットネスジム・タイ古式マッサージ店の運営も行っている企業です。一方の「MJG」は、関東・中部地方で整骨院・整体院チェーンを約180店舗運営していましたが、2020年4月に破産手続きを行っています。

本件M&Aは、経営難による整骨院・整体院の運営存続が難しくなったMJGの店舗をaprecioが買収することによって、整骨院・整体院の運営事業強化を図ったものです。新規事業開発による収益基盤強化戦略の一環となります。

MCJ、接骨院・鍼灸院経営のMJG(破産手続き開始決定)の事業を取得

M&Aにおすすめのコンサルティング会社

これからM&Aの実施を検討しているオーナーや経営者のなかには、M&Aコンサルティング会社への依頼を考えている人も多いはずです。

そこで、ここでは、M&Aにおすすめのコンサルティング会社を紹介していきます。

M&A HACK

M&A HACK
会社名 合同会社SFS
設立 2022年12月
本社所在地 東京都台東区千足1-14-9 レアライズ浅草2 4F
公式サイト https://sfs-inc.jp/ma/

M&A HACKは、当社「合同会社SFS」が運営するM&Aコンサルティング会社です。2022年の設立から既に多くのお客様に依頼をいただいています。

当社は「スピード対応」「完全成功報酬制」「リスクなし」の3つをコンサルティングの軸としているのが特徴です。M&A取引をスムーズにすすめながらも、完全成功報酬制を採用することで、お客様の負担を最小限に抑えることをモットーとしています。

M&Aの複雑なプロセスも、当社であれば一気通貫して徹底サポートすることが可能です。もちろん相談は無料で行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。

無料相談のご予約:https://sfs-inc.jp/ma/contact

山田コンサルティンググループ

山田コンサルティンググループ
会社名 山田コンサルティングブループ株式会社
設立 1989年7月
本社所在地 東京都千代田区丸の内1丁目8番1号丸の内トラストタワーN館10階
公式サイト https://www.yamada-cg.co.jp/

山田コンサルティンググループは、1989年の設立以来長きにわたってM&Aコンサルティングを行ってきた老舗企業です。創業30年以上経過していることから、業界トップクラスの取引実績を持ちます。

山田コンサルティンググループの特徴は、大企業のM&Aのみならず、中小規模のM&A依頼も柔軟に請け負ってくれる点です。全国に支店を展開しているため、地域を問わず相談を行うことができます。

またM&Aコンサルティングの依頼以外にも、アドバイザりー業務も展開しているのが特徴です。コンサルティングとアドバイザリーの両視点から、より適切で確度の高いサポートを行ってくれます。

M&Aキャピタルパートナーズ

M&Aキャピタルパートナーズ
会社名 M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
設立 2005年10月
本社所在地 東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲八重洲セントラルタワー36階
公式サイト https://www.ma-cp.com/

M&Aキャピタルパートナーズは、2005年の設立以来、譲渡株価総額2,565億円、じょうときぎょうの売上高4,462億円などの実績を誇るM&Aコンサルティング会社です。

「株価レーマン方式」を採用しており、取引価格に応じて手数料を設定しています。そのため、支払い手数料がリーズナブルであることが魅力です。余計なコストを抑えながら、コンサルティングを依頼することができます。

また同社には仕業を所有するコンサルティングが多数在籍しているのも特徴です。それぞれの分野に特化したコンサルタントが在籍しているので、幅広い分野の案件に対して柔軟に対応することができます。

日本M&Aセンター

日本M&Aセンター
会社名 株式会社日本M&Aセンター
設立 2021年4月
本社所在地 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
公式サイト https://www.nihon-ma.co.jp/

日本M&Aセンターは、東京都千代田区に本社を置く大手M&Aコンサルティング会社です。豊富な実績と優れたコンサルタントを抱えており、業界でも高い知名度を誇ります。

日本M&Aセンターの成約数は、8500件超となっており、3年連続でギネス記録「M&Aファイナンシャルアドバイザー業務の最多取り扱い企業数」に認定されているほどです。

豊富な実績からも分かる通り、取り扱うジャンルの幅が非常に広く、あらゆる業界・取引におけるノウハウを所有しています。またM&Aコンサルティング会社でありながら、金融機関とも連携しているため、M&Aにおける資金面でも確実なサポートをおこなってくれます。

CRGインベストメント

CRGインベストメント
会社名 CRGインベストメント株式会社
設立 2021年2月
本社所在地 東京都新宿区西新宿2-1-1
新宿三井ビルディング37F
公式サイト https://crg-ivm.co.jp/

CRGインベストメントは、東京・新宿区に本社を置く、2021年創業のM&Aコンサルティング会社です。親会社である「CRGホールディングス」は、東証グロース上場を果たしている企業でもあります。

CRGインベストメントの強みは、親会社であるCRGホールディングスの持つ独自のビジネスルートを活用したM&Aコンサルティングです。グループ全体での後方支援を行ってくれるため、取引成立まで手強くサポートしてくれます。

またM&A関連の事業以外にも、自己勘定投資を行っているため、自己勘定投資で培ったネットワークを持つことも特徴です。独自の繋がりとネットワークを活かすことで、最適な譲り受け先とのマッチングを行ってくれます。

まとめ

今回は、M&Aにおける売却価格の目安について詳しく解説しました。

M&Aにおける売却価格は、中小企業のM&Aや事業承継の場合、「時価純資産額+営業利益2年~5年」が一般的な目安です。

しかし、これはあくまで一般的な基準であり、売り手企業の資産価値や財務状況、買い手企業との交渉によって変動します。

M&Aにおいて売り手側企業がより高い価格で売却を受けるためには、より精度の高い取引が必須です。そこで、M&Aコンサルティング会社を活用することで、M&Aに知見や経験がない企業も自社にメリットのあるM&A取引を結ぶことができます。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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