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M&Aのソーシングとは?意味ややり方を徹底解説

「M&Aのソーシングって何なの?」
「M&Aのソーシングについて詳しく知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「M&A ソーシング」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、M&Aのソーシングについて分かりやすく簡潔に解説します。

またM&Aのソーシングのステップについても詳しく解説するので、M&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

M&Aソーシングとは

M&Aソーシング(Mergers and Acquisitions Sourcing)は、企業の合併において、買収先や合併先となる企業を見つけるプロセスのことです。買収候補企業の発掘、ターゲット企業との接触、交渉の開始に至るまでの一連の活動を指します。

M&Aソーシングは、買収側の企業が適切なターゲットを見つけ、戦略的に価値を提供できる企業と取引を行うために極めて重要なプロセスです。潜在的なターゲット企業の市場における位置付けや競争力、成長の可能性などを評価するための調査を行います。

M&Aの目的は、買収先企業とのシナジーを創出し、双方の価値を最大化することです。ソーシングが適切に行われることで、買収側の企業が戦略的に価値を加えることができるターゲット企業を見つけることができます。

ソーシングとデューデリジェンスの違い

M&Aのソーシングと混同しやすいプロセスに「デューデリジェンス」が挙げれます。ソーシングとデューデリジェンスは類似した部分はあるものの、プロセスとしては全く異なるので注意が必要です。

ソーシングは、M&Aプロセスの初期段階で行われるものです。買収を検討している企業がどのような企業をターゲットにするのかを明確にし、候補となる企業をリストアップします。

一方のデューデリジェンスは、ターゲット企業が決定した後のプロセスで、買収が進む前に企業の詳細な調査を行う段階です。この調査は、企業の財務状況、法的リスク、業務運営、契約関係、税務、環境問題など、多岐にわたる分野で行われます。

ソーシングは、M&Aのターゲット企業を選定し、買収候補を探す活動。デューデリジェンスは、選定されたターゲット企業の詳細な調査を行い、取引のリスクを評価する活動です。

M&Aソーシングの種類

M&Aソーシングには、主にプル型ソーシングとプッシュ型ソーシングの2種類が存在します。それぞれの特徴について解説していきます。

プル型ソーシング

M&Aソーシングにおける「プル型ソーシング」とは、買収先(ターゲット企業)を積極的に探し、買収の提案や交渉を行う手法です。具体的には、買い手(バイヤー)が自ら企業を調査・選定し、その企業に対してアプローチをするという方法になります。

プル型ソーシングでは、買い手が特定の業界や市場に関心を持ち、その分野で成長やシナジーを期待している場合に採用される手法です。買い手は自社の戦略的なニーズや目標に基づき、特定の企業や市場に焦点を当てます。

短期的・長期的な戦略に基づき、ターゲット企業の選定やアプローチ方法を決定するのが特徴です。例えば、新規市場の開拓、技術の獲得、人材の補充など、買い手の目的に応じたターゲット選定が行われます。

プッシュ型ソーシング

M&Aにおける「プッシュ型ソーシング」は、買収対象企業を積極的に探し、ターゲット企業に対してアプローチをする手法を指します。具体的には、買い手(企業)が自らのニーズや戦略に基づいて買収候補を選定し、その企業に対して買収の意向を伝えるという方法です。

プッシュ型ソーシングは、特定の業界、地域、または技術に関連したターゲット企業を選ぶ際に行われることが多いです。これにより、買収が戦略的に有利となるように計画されます。

プッシュ型ソーシングは、買い手が積極的に自らの戦略に沿った企業を見つけ、交渉をリードするため、特に競争が激しい市場や、ターゲット企業が売却意向を示していない場合に効果的な手法です。直接アプローチを行うことで、買い手はターゲット企業との長期的な関係構築を視野に入れることが多く、単なる取引以上の意味を持つことがあります。

M&Aソーシングの基本的なステップ

M&Aソーシングの基本的なステップについて解説していきます。M&Aソーシングにおける基本的なステップは、以下の通りです。

  • 目的と戦略の明確化
  • 候補企業の選定・情報収集
  • ロングリスト・ショートリストの作成

それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

目的と戦略の明確化

M&Aの目的を明確にすることは、取引の進行方向を決定するための基本的なステップです。目的が不明確だと、企業が求める価値を明確にすることができず、意思決定が曖昧になるリスクがあります。

M&Aソーシングにおける戦略とは、目的を達成するための具体的なアプローチや計画のことです。M&A戦略の明確化は、どのような種類の企業や市場をターゲットにするか、またそのプロセスをどのように進めるかを決定します。

業界、規模、成長性、財務状況、地理的な位置、競争優位性など、ターゲット企業に求める条件を明確にすることが大切です。戦略が明確であれば、M&A活動は効率的に進み、ターゲット企業の選定や交渉がスムーズになります。

候補企業の選定・情報収集

M&Aソーシングでは、目的と戦略を明確化した後に、候補企業の選定と情報収集を行います。企業がM&Aの目的を達成するために、適切なターゲット企業を特定し、その企業に関する情報を詳細に収集するステップです。

候補企業の選定では、目指す市場への進出や既存市場の強化のため、業界や市場が重要な選定基準です。ターゲット企業の収益性、成長性、財務健全性(負債比率、キャッシュフローなど)が重要になります。

また組織文化や経営スタイルの相性も、M&A後の統合の成功に大きな影響を与えるため、慎重に評価することがポイントです。より製品やサービス・財務状況だけでなく、企業文化も踏まえ慎重に候補企業を分析することになります。

ロングリスト・ショートリストの作成

M&Aソーシングにおける「ロングリスト」と「ショートリスト」は、企業買収や合併のターゲットを特定するプロセスで使われる重要な概念です。

ロングリストは、買収候補や合併候補となる企業の初期リストです。この段階では、広範囲にわたる企業を対象として、業界、規模、地域、成長性、財務状況などの基本的な基準を元にリストアップします。

一方のショートリストは、ロングリストから選ばれた、より絞り込まれた候補企業のリストです。ロングリストの中で詳細な分析や調査を行い、最も有望なターゲットを選び出し、絞り込んだ企業群になります。

候補企業の選別

M&Aソーシングでは、ショートリストで自社の条件に合う候補企業をピックアップした後に、最終的な候補企業の選別に至るのが一般的です。ショートリストに挙げられた企業から、最適な企業を選定するために、さらに深堀りした分析と評価を行います。

候補企業の選別では、主にデューデリジェンスに移行することが一般的です。デューデリジェンスは、候補企業の詳細な調査を行うプロセスで、財務、法務、業務、戦略、契約状況、リスク要因などを徹底的に確認します。

ただし、ショートリストで自社の条件に見合う候補企業が多すぎてしまうとデューデリジェンスに至らないため、最終的な候補企業数は数社から数十社に縛ることが必須です。

相手企業との交渉

ショートリストの作成からデューデリジェンスに移行し、候補企業が決定すれば、いよいよ相手企業との交渉に移行します。対象企業へのアプローチに移行するため、より取引が具体化されます。

相手企業との交渉では、秘密保持契約書や基本条件の合意が必須です。このプロセスでは徹底的に情報漏洩のリスクに考慮することが重要になります。万が一に重要な情報が外部に漏れると多大な影響を及ぼすことになります。

また交渉は「ノンネームシート」と呼ばれる秘匿性の高い資料を用いられるのが一般的です。候補企業がM&Aに前向きな場合には、より具体的な情報開示に進んでいくことになります。

M&Aソーシングにおける戦略

M&Aソーシングは明確な戦略を立てて実行することが大切です。そこで、ここでは、M&Aソーシングにおける戦略の観点について解説していきます。

戦略的ソーシングと純粋な金融的ソーシングの違い

M&Aソーシングにおいて理解しなければならないのは、戦略的ソーシングと純粋な金融的ソーシングの違いです。この2つの違いを理解しておくことは、ソーシングをより正確に実行するためにも不可欠となります。

戦略的ソーシングは、単なるコスト削減だけでなく、長期的な価値創出を目的とした調達戦略です。企業の全体戦略と一致する形でサプライヤー選定や調達先の決定を行います。サプライヤーとの協力関係を築き、共に成長できるような関係を築くことが目的です。

一方の金融的ソーシングは、主にコスト削減や短期的な財務的利益を追求する調達アプローチになります。そのため、最も重要なのは、調達コストの削減です。選定基準として価格が大きな比重を占めることになります。

戦略的ソーシングは企業全体の戦略や目標と整合性を持ち、長期的な価値を追求するのに対し、純粋な金融的ソーシングは財務的な観点から短期的なコスト削減を重視します。企業の状況や目的に応じて、どちらのアプローチが適切かを選択することが重要です。

企業文化の適合性

M&Aにおける企業文化の適合性は、取引の成功にとって非常に重要な要素です。企業文化の違いがうまく統合できない場合、組織の摩擦や従業員の離職、パフォーマンス低下といった問題が生じる可能性があります。

M&Aソーシングでは、企業文化の適合性を重視することが重要です。M&Aを進める前に、両社の企業文化を診断し、価値観、コミュニケーションスタイル、意思決定プロセス、リーダーシップのスタイルなどを比較します。

また従業員の意識調査を通じて、各企業での仕事の進め方、価値観、職場の雰囲気などを把握する手法も一般的です。このデータをもとに、統合後に発生しうる文化的な摩擦を予測します。

成長戦略との連携

M&Aのソーシングにおける成長戦略との連携は、企業の成長を加速させるために非常に重要です。M&Aは、単に新しい市場に進出する手段や競合を排除するための手段ではなく、企業の成長を実現するための戦略的なツールとなります。

成長戦略は、企業が市場での地位を拡大し、収益を増加させるための計画です。M&Aのソーシングでは、企業が新しい市場に進出したい場合、その市場での強みを持つ企業をターゲットとして選びます。

M&Aのソーシングにおいて成長戦略との連携は、企業が長期的に競争力を強化し、収益を増加させるための鍵です。成長戦略に基づいたターゲット選定やシナジー効果の最大化、リスク管理などを通じて、M&Aは企業の成長を加速する重要な手段となります。

M&Aソーシングでのリスク管理

M&Aソーシングは、法的リスクに大きく関わる行為であるため、より慎重に行うことが大切です。ここでは、M&Aソーシングでのリスク管理に関して解説していきます。

情報リスク

M&Aのソーシングでは、情報におけるリスクに配慮することが大切です。情報リスクとは、M&A取引を進める過程で関与する情報が不正確、不完全、または不明確であることによって生じるリスクを指します。

企業の財務諸表や会計データが不正確である場合、買収後に隠れた負債や予想外の財務問題が明らかになるリスクが高いです。これには、誤った収益予測、過剰な資産評価、未開示の負債などが含まれます。

M&Aソーシングにおける情報リスクを適切に管理することは、取引の成功と価値を最大化するために不可欠です。不正確な市場分析や競争環境の誤認識が、M&A戦略に誤った影響を与える可能性があります。

法的リスク

M&Aソーシングにおける法的リスクとは、企業の買収や合併の過程で法的な問題が生じるリスクのことです。法的リスクは、取引の成否や、その後の事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

特に買収対象企業が結んでいる契約が、合併や買収後に継続できるかどうかが不明な場合、法的なリスクが発生する可能性が高いです。特に、契約に「譲渡不可」や「事前同意が必要」といった条項が含まれている場合、買収後にその契約が履行できないことがあります。

また買収や合併が競争法に違反している場合、合併が承認されない、または取引後に反競争的な行為と見なされることもあるので注意が必要です。特に、企業の規模が大きく、業界内での競争を大きく制限する恐れがある場合、独占禁止法に抵触する可能性があります。

文化的リスク

M&Aソーシングにおける文化的リスクとは、異なる企業文化が合併や買収の過程で問題を引き起こすリスクを指します。企業文化は、組織の価値観、行動様式、働き方、意思決定プロセス、組織の内部で形成される特有の慣習などです。

文化の違いでは、情報伝達の方法やコミュニケーションのスタイルが異なる場合があります。例えば、オープンな議論を重視する文化と、階層的な意思決定を行う文化が融合すると、意見交換や意思決定プロセスで摩擦が生じる可能性が高いです。

他には職場環境や働き方の違いに配慮することも重要になります。M&Aのソーシングでは、文化的リスクを適切に認識し、管理することは、統合プロセスを成功に導くために不可欠な要素です。文化的なリスクへの配慮は、M&Aを成功させるために不可欠になります。

M&Aの成功事例

M&Aソーシングにおける成功事例について紹介していきます。これからM&Aのソーシングを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

パナソニック子会社とテンプスタッフによるM&A

2015年4月にパナソニックの子会社である「パナソニック エクセルスタッフ」の株式のうち、66.1%を「テンプスタッフ」に譲渡し子会社としたM&Aです。

「パナソニック エクセルスタッフ」は、大手電気機器メーカー「Panasonic(パナソニック)」の子会社で、事務および技術者の人材派遣業を運営している企業です。一方の「テンプスタッフ」は、人材派遣・アウトソーシング・キャリア支援サービスなど、人材サービス業を多角的に運営している企業になります。

このM&Aの主な目的は、「企業価値の向上」にあると見られ、双方の有するノウハウやネットワークを共有することで、成長性や収益性の基盤強化を図るのが狙いです。人材サービス業界でも大きな話題を生んだ、大手企業同士のM&A事例になります。

テンプスタッフとパナソニックエクセルスタッフの株式譲渡に合意

メディパルホールディングスとJCRファーマによるM&A

2017年9月に、メディパルホールディングスとJCRファーマが、業務資本提携契約を締結したM&Aの事例です。本取引の発行済株式総数割合は22.46%となり、JCRファーマはメディパルホールディングスの持分法適用会社となります。

譲り受け企業である「メディパルホールディングス」は、子会社27社と関連会社18社で構成され、医薬品・化粧品・日用品・動物用医薬品などの販売やサービスを提供する業界最大手の医薬品卸会社です。一方の譲渡企業である「JCRファーマ」は、バイオ医薬品の研究から製造まで一貫対応できる製薬企業になります。

本件M&Aは、業界最大手の医薬品卸会社と製薬メーカーによる取引事例です。本取引により、メディパルホールディングスは、製薬メーカーとしての機能を獲得。一方のJCRファーマもメディパルホールディングスの持つ物流機能と販売力の獲得に成功しています。

2027メディパル中期ビジョン

高松建設とタミツプランニングによるM&A

2019年5月に、高松建設がタミツプランニングの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は約14億円となっています。

譲り受け企業である「高松建設」は、土地活用提案事業をベースとし、賃貸マンションや工場・物流施設・ホテル・医療施設などの建設を請け負っている企業です。一方の譲渡企業である「タミツプランニング」は、横浜エリアを中心に注文住宅とリフォームを手がけ、不動産開発事業やメガソーラー事業にも進出していた企業で、2016年からRIZAPグループの子会社となっていました。

本件M&Aは、総合建設会社と工務店による取引事例です。譲り受け企業である高松建設は、2018年に買収した不動産会社ミブコーポレーションとの連携も図りながら戸建て住宅事業を本格的に展開することを目的として本取引を実施しました。

大手企業出身のスペシャリスト達による「タカマツハウス」が本格始動!

東洋運輸倉庫とSBSホールディングスによるM&A

2021年1月に、SBSホールディングスが東洋運輸倉庫の保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は72億円にのぼっています。

譲り受け企業である「SBSホールディングス」は、運輸業を主体とした総合的な物流サービスを手掛ける大手運送会社です。一方の譲渡企業である「東洋運輸倉庫」は、通関業・倉庫業・貨物運送取扱業などを手掛ける企業になります。

本件M&Aは、運送会社同士の取引事例です。譲り受け企業であるSBSホールディングスは、東京臨海エリアにおける最先端倉庫への投資を積極的に進めており、東京臨海部の東大荻島と若洲に大型倉庫を保有する東洋運輸倉庫の買収が実施されました。

SBSロジコム/SBSロジコムと東洋運輸倉庫が合併

スズケンとヤマト科学によるM&A

2017年9月に、スズケンとヤマト科学が資本業務提携による契約を締結したM&Aの事例です。本取引は資本業務提携のスキームが用いられ、スズケンはヤマト科学の発行済株式の2.7%を取得しています。

譲り受け企業である「スズケン」は、全国47都道府県に営業所を設置しており、医薬品卸業界で第3位の規模を誇る大手企業です。一方の譲渡企業である「ヤマト科学」は、理科学機器・試験研究設備・分析計測機器・産業試験検査機器・医療機器などの製造メーカーになります。

本件M&Aは、大手医薬品卸会社と医療機器製造メーカーによる取引事例です。本取引により、スズケンは両社の相互の信頼関係を基盤とし、革新的な製品とサービスの開発を協力して推進することで、新たなソリューションの創出を図っています。

株式会社スズケンとの業務提携締結について

ロート製薬とカフェ・カンパニーによるM&A

2021年8月に、ロート製薬がカフェ・カンパニーとの間に資本業務提携の契約を締結したM&Aの事例です。また同時にロート製薬は、カフェ・カンパニーの株式を取得し、持分法適用会社としています。

譲り受け企業である「ロート製薬」は、一般用医薬品(OTC医薬品)・化粧品・機能性食品などの製造販売事業を展開している大手製薬会社です。一方の譲渡企業である「カフェ・カンパニー」は、飲食店舗の企画運営事業、地域コミュニティ事業、海外店舗企画運営事業を行っている会社になります。

本件M&Aは、大手一般用用医薬品製造販売会社とレストラン運営会社による取引事例です。本取引により、両企業は双方の持つノウハウを共有し、両社にとっての事業成長とシナジー効果の創出を目的としています。

カフェ・カンパニー株式会社との資本業務提携を締結

エバラ食品工業子会社とヤマキンによるM&A

2022年5月に、エバラ食品工業の子会社であるエバラビジネス・マネジメントがヤマキンの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「エバラビジネス・マネジメント」は、食品業界大手であるエバラ食品工業の子会社で、国内外グループ会社の経営戦略立案・経営管理などを担う中間持株会社です。一方の譲渡企業である「ヤマキン」は、小袋製品を中心に液体調味料などを製造している会社になります。

本件M&Aは、ともに調味料製造業を手掛ける食品会社同士の取引事例です。譲り受け企業であるエバラ食品工業は、高齢化・世帯人数減少などを背景に今後需要拡大が見込まれる小容量製品の製造・供給体制強化を図っています。

当社子会社によるヤマキン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ハウスコム株式会社によるエスケイビル建材株式会社のM&A

2019年6月に、ハウスコム株式会社がエスケイビル建材株式会社の株式を取得し、子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「ハウスコム株式会社」は、「住まいを通して人を幸せにする。」というミッションを持ち、主に不動産の賃貸仲介事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「エスケイビル建材株式会社」は、塗装工事や金属建具工事、マンションリフォームなど幅広い建設工事を手がける企業になります。

本件M&Aは、リフォーム事業において両社の強みを活かし、より良いサービスを顧客に提供することが主な目的です。ハウスコム株式会社は、エスケイビル建材の技術力をリフォーム事業に活かすことで、サービスの質を向上させ、シナジー効果を期待しています。

エスケイビル建材株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ニチイ学館と西日本ヘルスケアによるM&A

2021年6月に、株式会社ニチイ学館と株式会社LeTechの間で、株式会社西日本ヘルスケアの株式に関する株式譲渡契約が締結されたM&Aの事例です。本取引により、LeTechの介護事業は吸収分割により西日本ヘルスケアに承継され、同日に西日本ヘルスケアの全株式をニチイ学館が取得することになります。

譲り受け企業である「株式会社ニチイ学館」は、医療事務事業、介護事業(訪問介護・居住系介護サービス・ケア用品販売)、保育事業など、多角的な事業を展開している大手企業です。一方の譲渡企業である「株式会社西日本ヘルスケア」は、株式会社LeTechの子会社で、LeTechの介護事業(住宅型有料老人ホーム・グループホームなどの運営)を担う法人として設立されました。

本件M&Aは、医療・介護関連を多角的に展開する大手企業と介護事業者による取引事例です。LeTechは経営資源の最適配置のため介護事業を担う法人として西日本ヘルスケアを設立することにしましたが、中核事業とのシナジーが見込みづらいことから、介護関係の豊かなノウハウと強固な財政基盤を有するニチイ学館への譲渡を決定しました。

株式会社西日本ヘルスケアの統合に関するお知らせ

電通グループとShift7 Digital, LLC.によるM&A

2023年3月に、株式会社電通グループが、アメリカのShift7 Digital, LLC.の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社電通グループ」は、日本を代表する大手広告代理店です。一方の譲渡企業である「Shift7 Digital, LLC.」は、アメリカに本拠を置き、B2B企業のマーケティングと販売プロセスの支援を行っています。

本件M&Aは、国内大手広告代理店と海外マーケティング会社による取引事例です。譲り受け企業である電通グループは、B2B企業のエクスペリエンス領域のリーディングパートナーとしてのマーケティング業界での地位を更に高めることができるとしています。

電通グループ、米国のB2Bエクスペリエンス&コマース・エージェンシー「シフトセブン社」を買収し、顧客体験マネジメント事業を強化

M&Aソーシングにおける今後のトレンド

M&Aソーシングにおいてはトレンドが存在し、トレンドに応じた手法を活用することが有効になります。M&Aソーシングにおける今後のトレンドは、以下の通りです。

  • テクロノジーの活用
  • グローバルな視点
  • ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識したソーシング

それぞれ詳しく解説していきます。

テクロノジーの活用

M&Aソーシングにおけるトレンドとして、近年のテクロノジーの活用が注目視されています。ソーシングにおけるテクノロジーの活用は、取引のターゲット企業の特定、評価、選定プロセスを効率化し、精度を高めることが可能です。

例えば、AIや機械学習アルゴリズムを活用して、膨大な企業データを効率的に分析し、買収候補となる企業を抽出することが可能です。例えば、過去のM&Aのデータ、業界の動向、財務データ、企業の成長性などを元に、最適なターゲット企業を見つけることができます。

またオンラインプラットフォームや市場で利用可能なツールを利用して、買収候補企業と投資家、M&Aの仲介者をつなげることが可能です。これらのツールでは、AIが自動的に最適なマッチングを行い、M&Aプロセスのスピードを加速します。

グローバルな視点

M&Aのソーシングにおいて、グローバルな視点が重要視されるようになっています。これは、企業が市場での競争優位性を確保し、成長機会を追求するために、国内市場だけでなく、国際的な市場にも目を向ける必要があるためです。

世界的な経済統合が進む中で、企業は新興市場や成長が見込まれる地域に対して積極的に投資するようになっています。特に、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど、発展途上または急成長している地域において、新たな買収対象を見つけることが重要です。

グローバルな視点を持つことにより、企業は地域ごとの特性を理解し、異なる市場でシナジーを生み出すことが可能です。技術力やブランド力、供給網の強化など、グローバルにシナジーを生み出す機会を増やすことができます。

ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識したソーシング

ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識したソーシングもトレンドです。ESGがトレンドとなっている背景には、企業が持続可能な成長と社会的責任を重視するようになったことがあります。

近年では、投資家や株主が企業の財務業績だけでなく、その企業のESGの取り組みや成果に対する注目を高めているのが現状です。企業がM&Aを進める際、ESG基準を満たすことが投資家に対して良いシグナルとなるため、ESGに配慮したソーシングが重要になっています。

またESGを意識したソーシングは、企業が持続可能な成長を追求するための重要な要素です。特に、環境問題や社会的責任を重視する企業文化を持つ企業をターゲットにすることで、長期的な成長を見据えたM&Aが行われています。

M&Aソーシングを依頼する際のポイント

M&Aソーシングを依頼する際のポイントを解説していきます。M&Aソーシングを依頼する際のポイントは、以下の通りです。

  • 秘密保持契約書(NDA)の締結
  • 必要資料の準備と正確な情報の開示
  • 業界精通した業者選び

それぞれ詳しく解説していきます。

秘密保持契約(NDA)の締結

M&Aのソーシングを依頼する際には、業者(M&Aアドバイザーや仲介業者)と秘密保持契約書を締結することが非常に重要です。M&Aでは秘匿性の高い情報を扱うため、秘密保持契約を結ぶことが必須となります。

M&Aのプロセスでは、対象企業の財務情報や戦略、取引条件、株主情報など、機密性の高い情報がほとんどです。秘密保持契約書を締結することで、業者がこれらの情報を外部に漏らすことなく、取引に関わる他の関係者や競合企業に対して情報を守る義務を負います。

業者が提供するサービスにおいて得た情報が、誤った目的で使用されたり、取引に不利益をもたらすような利用をされないようにするためにも、秘密保持契約書が重要です。例えば、業者が得た情報を自社の利益に利用するリスクを減らすことができます。

必要資料の準備と正確な情報の開示

M&Aのソーシングにおいて、必要資料の準備と情報開示は非常に重要です。これらのプロセスが適切に行われることで、取引の成功率が高まり、潜在的なリスクや問題を早期に特定することができます。

M&Aのソーシングを行う際には、特定の資料や情報を開示することが必須です。M&Aのソーシングにおいて開示が必要となる資料や情報には、以下のものがあります。

  • 過去の財務諸表: 収益性、資産、負債、キャッシュフローなどの詳細
  • 契約書や合意書: 主要な商業契約、雇用契約、知的財産権に関する情報
  • 訴訟や争議の履歴: 現在進行中の訴訟、過去の裁判結果、未解決の法的問題
  • 事業運営の詳細: 主要な事業プロセス、経営戦略、競争優位性
  • 知的財産: 特許、商標、ライセンス契約

他にも顧客データや人材情報などの開示も必要です。M&Aソーシングをより正確に行うためにも、事前に開示する情報や資料を準備しておきましょう。

業界に精通した業者選び

M&Aソーシングを依頼する際に、業界に精通した業者を選ぶことは非常に重要です。業界特有の知識やネットワークを持つ業者は、M&Aの成功に大きな影響を与えるため、適切な業者選びが取引の成否に関わります。

特定の業界における情報やネットワークに精通した業者は、業界における最近のトレンドや将来的な変化についての理解を深めているため、売却または買収のタイミングを適切に判断することが可能です。

また業界に精通した業者は、ターゲット企業を迅速に特定する能力が高いです。業界特有のプレイヤーや競合、潜在的な買収対象をより効果的に識別することができるため、買収候補の選定やアプローチがスムーズに進みます。

M&Aにおすすめのコンサルティング会社

M&Aのソーシングは、一般的に自社ではなく専門の会社を通して行うケースがほとんどです。そこで、ここでは、M&Aにおすすめのコンサルティング会社を紹介していきます。

M&A HACK

M&A HACK
会社名 合同会社SFS
設立 2022年12月
本社所在地 東京都台東区千足1-14-9 レアライズ浅草2 4F
公式サイト https://sfs-inc.jp/ma/

M&A HACKは、当社「合同会社SFS」が運営するM&Aコンサルティング会社です。2022年の設立から既に多くのお客様に依頼をいただいています。

当社は「スピード対応」「完全成功報酬制」「リスクなし」の3つをコンサルティングの軸としているのが特徴です。M&A取引をスムーズにすすめながらも、完全成功報酬制を採用することで、お客様の負担を最小限に抑えることをモットーとしています。

M&Aの複雑なプロセスも、当社であれば一気通貫して徹底サポートすることが可能です。もちろん相談は無料で行っているので、ぜひお気軽にご相談ください。

無料相談のご予約:https://sfs-inc.jp/ma/contact

M&Aキャピタルパートナーズ

M&Aキャピタルパートナーズ
会社名 M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
設立 2005年10月
本社所在地 東京都中央区八重洲二丁目2番1号東京ミッドタウン八重洲八重洲セントラルタワー36階
公式サイト https://www.ma-cp.com/

M&Aキャピタルパートナーズは、2005年の設立以来、譲渡株価総額2,565億円、じょうときぎょうの売上高4,462億円などの実績を誇るM&Aコンサルティング会社です。

「株価レーマン方式」を採用しており、取引価格に応じて手数料を設定しています。そのため、支払い手数料がリーズナブルであることが魅力です。余計なコストを抑えながら、コンサルティングを依頼することができます。

また同社には仕業を所有するコンサルティングが多数在籍しているのも特徴です。それぞれの分野に特化したコンサルタントが在籍しているので、幅広い分野の案件に対して柔軟に対応することができます。

山田コンサルティンググループ

山田コンサルティンググループ
会社名 山田コンサルティングブループ株式会社
設立 1989年7月
本社所在地 東京都千代田区丸の内1丁目8番1号丸の内トラストタワーN館10階
公式サイト https://www.yamada-cg.co.jp/

山田コンサルティンググループは、1989年の設立以来長きにわたってM&Aコンサルティングを行ってきた老舗企業です。創業30年以上経過していることから、業界トップクラスの取引実績を持ちます。

山田コンサルティンググループの特徴は、大企業のM&Aのみならず、中小規模のM&A依頼も柔軟に請け負ってくれる点です。全国に支店を展開しているため、地域を問わず相談を行うことができます。

またM&Aコンサルティングの依頼以外にも、アドバイザりー業務も展開しているのが特徴です。コンサルティングとアドバイザリーの両視点から、より適切で確度の高いサポートを行ってくれます。

日本M&Aセンター

日本M&Aセンター
会社名 株式会社日本M&Aセンター
設立 2021年4月
本社所在地 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
公式サイト https://www.nihon-ma.co.jp/

日本M&Aセンターは、東京都千代田区に本社を置く大手M&Aコンサルティング会社です。豊富な実績と優れたコンサルタントを抱えており、業界でも高い知名度を誇ります。

日本M&Aセンターの成約数は、8500件超となっており、3年連続でギネス記録「M&Aファイナンシャルアドバイザー業務の最多取り扱い企業数」に認定されているほどです。

豊富な実績からも分かる通り、取り扱うジャンルの幅が非常に広く、あらゆる業界・取引におけるノウハウを所有しています。またM&Aコンサルティング会社でありながら、金融機関とも連携しているため、M&Aにおける資金面でも確実なサポートをおこなってくれます。

レバレジーズM&Aアドバイザリー

レバレジーズM&Aアドバイザリー
会社名 レバレジーズM&Aアドバイザリー株式会社
設立 2020年4月6日
本社所在地 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 24F・25F
公式サイト https://leveragesma.jp/

レバレジーズM&Aアドバイザリーは、東京都に本拠を置く2020年創業のM&Aコンサルティング会社です。設立から間もないものの、既に多くの取引実績を誇っています。

レバレジーズM&Aアドバイザリーの強みは、約30,000件にも及ぶ独自顧客データベースを所有していることです。これにより、取引における相性最優先の最適なマッチングをかなえてくれます。

また母体である「レバレジーズ株式会社」は、人材業界大手の企業です。人材業で培われた取引ルートをフル活用することで、どんなジャンルのM&A取引にも柔軟に対応してくれます。

まとめ

今回はM&Aにおけるソーシングについて、ソーシングの意味ややり方等を解説しました。M&Aにおいてソーシングは非常に重要な項目であり、M&Aの成功には欠かせない要素です。

M&Aのソーシングを的確に行うことで、その後のM&A取引を成功に導くことができます。M&Aソーシングの精度が、M&A取引の成功可否に直結するといっても過言ではありません。

そしてM&Aの成功には、M&Aコンサルティング会社の存在が欠かせません。M&Aコンサルティング会社を活用することで、M&Aに知見や経験がない企業も自社にメリットのあるM&A取引を結ぶことができます。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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