「造園工事会社のM&Aにおける動向は?」
「造園工事会社のM&Aについて知りたい」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
実際に現状「造園工事会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。
そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、造園工事会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。
造園工事会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、造園工事会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
造園工事会社とは
造園工事会社とは、庭園・公園・緑地などの苑地を築造する工事を行う業者のことです。造園工事会社とは建築業法で定義されており、その事業内容には、主に以下のものがあります。
- 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け
- 街路樹などの植栽工事
- 屋上緑化、壁面緑化
- 公園の築造
造園工事会社は、私有地庭園から公共緑地まで幅広い分野の庭園において業務を行います。整地(土地や庭を平らにならして整える作業)から始まり、樹木の植栽・景石(庭園の景観を構成する重要な材料として用いられる観賞用の庭石)の設置が主な業務です。
また造園工事会社は、私有地庭園だけでなく、公園設備工事や広場工事・園路工事などを手掛けるという特徴があります。つまり造園工事会社の顧客には、国や自治体といった行政機関も含まれることになります。
造園工事会社に関連するビジネスモデル
造園工事会社の主なビジネスモデルについて解説していきます。
造園業者
造園業者とは、庭園・公園・緑地などの苑地を築造する工事を行う業者のことです。道路や建築物の屋上を緑化したりする専門の工事会社を指しています。造園業者の主な業務内容は、以下の通りです。
- 整地、樹木の植栽、景石の据え付け
- 芝や下草、草花の植え込み
- 除草や清掃などの仕上げ
- 樹木の剪定や芝の手入れ
- 病虫害の防除や施肥などのメンテナンス
造園工事業者は、個人宅の庭だけでなく、マンションやホテル、公共施設などにおける庭園づくりやエクステリア工事、街路樹の剪定などを行うのが特徴です。
造園業と似た仕事に植木屋がありますが、植木屋は樹木の植栽や移植、剪定などの樹木の選定や手入れを中心に行う業者が多いのに対し、造園業者は造園に関するトータルサービスを扱っている業者になります。
植木屋
植木屋とは、主に庭木の剪定を専門分野として行っている業者のことです。植物の育成や手入れを行う専門職であり、植物の健康状態を維持し、美しい景観を創出することが主な役割となります。
造園工事会社と植木屋は混同されやすいですが、造園工事会社と植木屋では専門性にやや違いがあるので注意が必要です。造園工事会社は樹木の剪定だけでなく、庭園内のエクステリアや景石の据え付けなども行います。
一方の植木屋は、主に樹木の植栽や移植、剪定などの樹木の選定や手入れを中心に行う専門業者です。植木屋はより植物に限定した業務を請け負っているため、造園工事会社よりも請け負う業務の幅は限られています。
庭師
庭師とは、庭や緑地の整備・造成・管理などを行う専門家のことです。個人宅の庭や公園・オフィス街・ゴルフ場などの公共空間の景観造りまで、幅広い業務を行います。庭師の主な業務は、以下の通りです。
- 木を植える場所や庭石の配置を決めたり、芝生や砂利を敷いたり、花壇を作る
- 樹木の剪定を行う
- 庭全体のお手入れを行う
- 地形や土壌に適した植木の選定を行う
- 多くの人が利用するスペースや歩道の確保を行う
庭師は造園工事会社における業務内容のひとつを専門的に行う職種です。庭師は造園業の総合職として、庭の設計や植栽などを行います。造園工事会社のなかには、庭師の業務内容に該当する業務のみを専門的に行う会社も多いです。
造園工事会社に必要な業許可と資格
造園工事会社の運営において必要な業許可と資格について解説していきます。
造園工事会社に必要な業許可
造園工事会社の運営において必要となる代表的な業許可に「建設業許可」と呼ばれるものがあります。建設業許可は、工事の請負総額が、税込500万円以上(建築一式にあたるなら税込み1500万円以上)になる場合には建設業許可が必須です。
建設業許可とは、国土交通省が発行する建設産業における許可制度で、基本的に造園工事の実施には建設業許可の取得が必要になります。建設業許可に該当する造園工事の内容は、以下の通りです。
- 植栽工事
- 地被工事
- 景石工事
- 地ごしらえ工事
- 公園設備工事
- 広場工事
- 園路工事
- 水景工事
- 屋上等緑化工事
- 緑地育成工事 等
もしも建設業許可を取得せず、さらに上記にあるような造園工事以外の内容を請け負った場合、建設業法違反として最大で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されれるので注意が必要です。さらに向こう5年間は新たに建設業許可を取得できなくなる可能性もあるなど、重い罰則が定められています。
造園工事会社に必要な資格
造園工事の内容は様々ですが、工事内容によっては、国家資格所有者が必須となるケースも多いです。造園工事会社にとって必要となる資格には、以下のものが挙げられます。
- 造園施工管理技士
造園工事に関する管理、監督の立場の資格者であることを証明する国家資格。建設業に該当する造園業務において必須となる。1級と2級が存在し、1級は造園工事の施工計画や工程管理、安全管理など工事全般の管理を実施。2級は主任技術者として現場の工事業務に携わる。 - 土木施工管理技士
土木工事に関する工程管理や安全管理、品質管理、予算管理など、工事全体のプロジェクトを監督するための国家資格。資格は1級と2級があり、建設コンサルタントとしての資格取得であれば、大規模土木工事の施工管理が行える1級資格が必要となる。 - エクステリアプランナー
公益社団法人「日本エクステリア建設業協会」が定めた民間資格。1級と2級が存在し、造園技能士が造園を中心とした庭造りを専門とするのに対し、エクステリアプランナーは外構全般を担当する。取得することで、外構全般の設計と工事管理に関する知識と技術を有していることを証明できる。
上記はいずれも造園工事会社において重宝される資格です。ただし造園工事の内容によっては、別途資格保有者の在籍が必須となるケースもあるので、必ず必要となる資格は事前に把握しておきましょう。
造園工事会社の市場動向
造園工事会社の市場動向について解説していきます。
市場規模は拡大の兆し
造園工事業における2020年度の市場規模は、公共で約2,023億円(52.8%)、民間は約1,811億円(47.2%)の計約3834億円でした。しかし2022年度の総務省のまとめによると造園工事業の工事高は約5353億円と2年ぶりに増加に転じるなど市場規模に関して増加傾向にあります。
造園工事業の需要が高まっている要因のひとつは、公園や緑地の整備依頼が増加しているためです。都市部の緑化と地球温暖化対策という観点により、2004年頃から公共の造園工事が積極的に行われています。
特に、日本の都市部が海外の主要都市に比べて公園の整備が遅れていたことから、国、自治体、民間事業者が中心となって「緑化事業」が推進されてきました。今後、更に公共の緑地整備における依頼は増加していく見通しです。
住宅分野の造園工事は減少傾向に
2024年から公共の造園工事が積極的に行われている一方で、住宅分野における造園工事の需要は減少している状況です。2022年度には新設住宅着工戸数が前年度比0.6%減の868,828戸となり、増加から減少へと転じています。
住宅分野の造園工事における需要が減少している理由のひとつは、戸建て住宅数の減少です。国土交通省が発表した2023年度「建築着工統計調査(全国)」によると、2023年の新設住宅着工戸数は前年比4.6%減の81万9623戸で、3年ぶりに減少に転じました。
戸建て数が減少しているということは、戸建て住宅に存在する庭園も減少することを意味します。つまり造園工事会社に依頼する案件そのものが減少することを意味しており、今後はこの傾向が続く見込みです。
海外からの注目が高まっている
国内の住宅分野における造園工事の需要が減少している一方で、海外市場から日本の造園業に関しての注目が高まっています。海外から日本の造園業が注目されている理由は、以下の通りです。
- 美的価値
日本庭園は美しいデザイン、バランス、そして自然との調和を特徴としており石、水、植物などの要素が組み合わさり、季節ごとに異なる景色を楽しむことができる。 - 自然への尊重
日本庭園は自然環境への尊重が根底にあり、そのデザインは風景を模倣し、自然の要素を最大限に活用している。また、環境への影響を最小限に抑えるために、持続可能な設計原則が広く適用されている。 - 文化的背景
日本文化と深い関連があり、日本の歴史、宗教、哲学、芸術と結びついている。しばしば仏教や神道の宗教的な意味を持ち、瞑想や精神的な体験を促す場所としても利用されている。
海外にはない独特の美的価値観や文化的背景を取り入れているのが、日本の造園業の特徴です。今後はさらに海外市場から注目が集まることも予想されています。
造園工事会社が抱える課題
造園工事会社が抱えている課題について解説していきます。
人手不足と後継者不在
造園工事会社が抱える最大の課題のひとつとして、人材・後継者不足があります。これは造園工事会社を含む、建設業界全体が抱える最大の課題のひとつです。
造園工事会社が人材不足にある理由のひとつが、「職業イメージ」にあるとされています。造園工事会社での仕事は、現場での施工作業がクローズアップされやすいため、肉体労働を避ける傾向にある現代人にとっては積極的な就職先候補とはなり得ないのです。
また造園工事業界の中核を担うのが、中小規模事業者ですが、その多くが後継者不足の課題を抱えています。経営者自身も高齢化しており、経営手腕を持った後継者を育成することも困難な状況です。
大都市集中型人口による影響
現代の造園工事会社が抱えている大きな課題のひとつが、住宅分野における造園工事の需要減少です。2022年度には新設住宅着工戸数が前年度比0.6%減の868,828戸となり、増加から減少へと転じています。
住宅分野における造園工事の依頼が減少している理由のひとつが、大都市集中型による戸建て住宅の減少です。人口が集中しやすい東京や大阪などの都市部に人口が集中し、反対に地方部の戸建て住宅が減少していく現象が発生しています。
また少子高齢化による人口減少が加速していくことも鑑みれば、さらに今後は戸建て住宅の造園工事依頼は減少していくはずです。今後は住宅分野における造園業の動きが大きく変動していくことでしょう。
多重下請け構造
現在の造園工事業界は、大手企業から中小事業者への下請け構造が出来上がっている市場状態です。そのため下請け側の中小事業者には利益があまり残らないという現象が発生しています。
現在の造園工事会社における顧客集客方法は、依頼を受けた業者がさらに別の業者に依頼をかけるケースであることが多いです。集客側である大手事業者が利益を抜いた後、残った利益で中小規模事業者へ下請け依頼を出すことになるため、中小規模事業者は利益が余り出ません。
また中小規模事業者は低利益率で運営をし続けることになるため、必然的に従業員の給料も薄給になってしまいがちです。結果として人材不足に悩む中小規模事業者が多くなってしまいます。中小規模事業者が高い利益を得るためには、自社で受注から施工完了を完結させる仕組み作りが必要となります。
造園工事会社におけるM&Aの動向
造園工事会社におけるM&Aの動向について解説していきます。
M&Aは活性化している
現在の造園工事業界は、社会的な背景も伴い、市場規模は拡大が予測されています。同時に造園工事業界におけるM&Aの活動は激化している状況です。造園工事業界でM&Aの活動が激化している理由には、以下の要因が挙げられます。
- 成長市場における新規参入
- 規模の拡大
- 新しいノウハウと技術的能力の獲得
- マーケットの調査とノウハウの蓄積
今後はM&Aの活性化により、さらに造園工事業界のマーケットは拡大していく予測です。M&Aの活性は、業界の健康な成長と持続可能性を促進し、熱絶縁工事業界に好影響を与えることでしょう。
後継者不足解消のためのM&A
特に中小規模の造園工事会社で多発しているのが、後継者不在という問題です。実際に後継者不在により事業継続が難しく、別の造園工事会社にM&Aを依頼するケースも増えてきています。
経営者の周りに後継者候補がいない場合でも、M&Aによる事業承継であれば買い手企業が後継者(新たな経営者)となるため、自社の存続が可能だからです。M&Aをすることで廃業を免れることが出来るため、既存従業員の雇用継続をすることもできます。
また後継者不在によるM&Aにて事業規模が拡大した造園工事会社も多く存在します。特に造園工事業界のM&Aでは、M&A後に買い手が持つ浚渫工事事業の戦略として取り入れ、売上が伸びたケースも多いです。
中小企業同士のM&A
造園工事業界のM&Aにおいて最も多発しているケースは、造園工事会社同士の事例です。同業者同士がM&Aによって合併や事業譲渡をするケースが多くあります。
特に多いのが、中小規模の造園工事会社同士のM&Aによる合併です。資金力が不足し、設備・人材投資が難しい場合には、造園工事会社同士が合併し、経営基盤強化のための投資を共同で行うケースもあります。
また中小規模事業者同士のM&Aでは、双方の持つ造園工事業におけるノウハウを共有することによる、シナジー効果の発揮も狙いです。双方の持つノウハウを共有することで、資金力のある造園工事会社に対抗することが目的となります。
造園工事会社のM&Aにおける成功事例
造園工事会社のM&Aにおける成功事例を紹介していきます。
前田工繊とサングリーンによるM&A
2019年10月に、前田工繊株式会社が株式会社サングリーンの所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「前田工繊株式会社」は、土木資材に用いられる合成繊維「ジオテキスタイル」のパイオニアで、近年では鉄や木材などの土木関連製品を開発している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社サングリーン」は、北海道で植生製品や間伐材製品の製造・販売を手掛け、全国の代理店を通じて官公庁向けの緑化工事や造園工事資材を販売している企業になります。
本件M&Aは、土木関連多角化企業と造園工事会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業である前田工繊は、主力である環境資材事業の取扱商品を多様化し、ビジネスの強化を図ることを目的としています。
株式会社サングリーンの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
オリエンタル白石と山木工業ホールディングスによるM&A
2021年2月に、オリエンタル白石が山木工業ホールディングスの所有する株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は3,730百万円となっています。
譲り受け企業である「オリエンタル白石」は、OSJBホールディングスの連結子会社で、プレストレストコンクリートの建設工事および製造販売、ニューマチックケーソンの建設工事、補修補強の建設工事、耐震補強建築工事の設計・施工、建設資材の販売などを手掛ける企業です。
一方の譲渡企業である「山木工業ホールディングス」は、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、しゅんせつ工事業、塗装工事業、防水工事業、造園工事業、建具工事業、水道施設工事業、解体工事業を行っている企業になります。
本件M&Aは、建設コンサル会社と建築関連会社による取引事例です。本取引により、オリエンタル白石の親会社であるOSBJホールディングスは、山木工業株式会社の福島県やいわき市での工事実績を活用することにより、オリエンタル白石が得意とする橋梁工事の受注機会の拡大を目指しています。
ナカノフドー建設とトライネットホールディングスによるM&A
2023年3月に、ナカノフドー建設がトライネットホールディングスの所有する株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「ナカノフドー建設」は、国内・海外建設事業、不動産事業を行うゼネコン企業です。一方の譲渡企業である「トライネットホールディングス」は、一般土木工事、造園工事、建築工事、土地販売、リフォーム工事等を行うグループの持株会社になります。
本件M&Aは、ともに建築・建設関連事業を手掛ける会社同士の取引事例です。本取引によって、譲り受け企業であるナカノフドー建設は、トライネットグループのノウハウを土木事業の拡大に役立てるとともに、自社の建築ノウハウをトライネットグループの建築事業強化に活用し、相乗効果を見込んでいます。
株式会社トライネットホールディングス及びそのグループ子会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
佐藤渡辺とあすなろ道路によるM&A
2023年5月に株式会社佐藤渡辺があすなろ道路株式会社の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。
譲り受け企業である「株式会佐藤渡辺」は、東京都港区に本社を置き、道路舗装工事、一般土木工事、建築工事、造園工事などの事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「あすなろ道路株式会社」は、北海道札幌市に本社を構え、道路舗装工事、一般土木工事設計・施工・監理、アスファルト合材の製造・販売などを行っている企業になります。
本件M&Aは、ともに建設関連多角化企業同士の取引事例です。本取引により、佐藤渡辺は、あすなろ道路を子会社化することで、北海道エリアにおける事業基盤の強化を図っています。あすなろ道路の持つ技術力や施工実績、地域に根差した営業力を活かし、シナジー効果を発揮することで、北海道での受注拡大と収益力の向上が目的です。
積水ハウスと岐阜造園によるM&A
2020年6月に、積水ハウス株式会社が株式会社岐阜造園の所有する株式を取得することを発表したM&Aの事例です。本取引は第三者割当増資のスキームが用いられ、株式取得後、岐阜造園は積水ハウスの持分法適用関連会社となっています。
譲り受け企業である「積水ハウス株式会社」は、戸建住宅事業を中心に、街づくりや開発事業・国際事業など幅広い事業展開を行っている企業です。一方の譲渡企業である「岐阜造園」は、公共施設・公園等の造成・造園緑化工事、個人住宅の庭園・外構工事等を行っている企業になります。
本件M&Aは、総合建築関連会社と造園工事会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業である積水ハウスは、岐阜造園の安定株主となり、積水ハウス物件の施工を担う積水ハウス建設各社との連携をはじめ、取引関係の強化を目的としています。
第三者割当による新株式発行及び主要株主の異動に関するお知らせ
造園工事会社にてM&Aを行うことのメリット
造園工事会社にてM&Aを行うことのメリットについて解説していきます。
売却側のメリット | 買収側のメリット |
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造園工事会社でM&Aの売却を行うことのメリット
造園工事会社会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。
後継者不足の解消
特に中小規模の造園工事会社における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む造園工事会社が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。
実際に中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。
また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。
資金調達・オーナーのEXIT
M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。
- 残っている借入金の返済に充てる
- オーナー自身の引退後の生活資金とする
- 新規事業における資金源とする
一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。
借入における個人保証の解除
借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。造園工事会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。
特に中小規模の造園工事会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。
M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。
事業の選択と集中
景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。
M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者に売却する企業は多くあります。
M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。
造園工事会社でM&Aの買収を行うことのメリット
造園工事会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。
- 事業拡大のチャンス
- 新規事業への進出
- 従業員の確保
- 安定した受注確保
それぞれ詳しく解説していきます。
事業拡大のチャンス
M&Aにおいて買収側が得られる大きなメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。
造園工事会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物のような有形資産に加え、顧客・取引先情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に造園工事会社の運営においては、「取引先」「顧客情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。
また造園工事業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。
新規事業への進出
M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに造園工事業界への早期参入が可能となります。
景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。
また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。
従業員の確保
造園工事会社は専門職の一種であるため、専門技術を要した職人の確保が必須です。M&Aによって造園工事会社を買収することで、造園工事のノウハウを持った従業員を確保することができます。
造園工事会社の運営において特に必要となる人材は、「土木施工管理技士」や「造園施工管理技士」などの人材です。これらの人材を一から採用するのは非常にハードルが高いですが、M&Aによって国家資格を保有する人材を引き継ぐことができれば、採用コストを削減することもできます。
またM&Aによって人材を引き継ぐことは、造園工事業界におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、造園工事会社のビジネスもより優位に進めることが出来るでしょう。
安定した受注確保
現在の造園工事会社が抱える課題として、安定した受注の確保が困難であるという点が挙げられます。これは特に中小規模の造園工事会社によくある課題のひとつです。
造園工事業界においては、大手企業から中小規模事業者への案件紹介が一般的となっています。そのため大手企業からの案件紹介がなければ、案件受注が止まってしまい事業が立ち行かない状態になりかねません。
M&Aによって大手企業の傘下に入る、もしくは吸収合併を受けることで、安定した案件確保が可能です。親会社である大手企業の持つブランド力と資金力を活用できるので、受注は非常に安定したものになることでしょう。
造園工事会社のM&Aにおける注意点
造園工事会社のM&Aにおける注意点を解説します。造園工事会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。
- M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
- 避止義務に関して
- 事業許可や人材の引継ぎ
それぞれ解説していきます。
M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。
買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。
そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。
避止義務に関して
M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。
M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。
会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に造園工事会社を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。
事業許可や人材の引継ぎ
造園工事会社を運営するうえで重要なのが「建設業許可」です。500万円以上の造園工事案件を請け負うためには、建設業許可の取得が欠かせません。
もし事業譲渡をする際に買収側の企業が建設業許可を有していなければ、500万円以上の造園工事案件を請け負うことは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は建設業許可を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。
許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、造園工事会社の売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。
造園工事会社のM&Aを成功させるためのポイント
造園工事会社におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。造園工事会社におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
- M&A戦略の立案
- 相場価格をよく理解しておく
- 統合後のプロセス確立
それぞれ詳しく解説していきます。
M&A戦略の立案
M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。
M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。
M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。
- M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
- 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
- いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
- 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
- M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)
上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。
また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。
当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
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相場価格をよく理解しておく
M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。
造園工事会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。
- 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
- 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分
当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。
また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。
統合後のプロセス確立
M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。
PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。
- 新経営体制の構築
- 経営ビジョン実現のための計画策定
- 両社協業のための体制構築・業務オペレーション
上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。
またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。
造園工事会社におけるM&Aのまとめ
今回は造園工事会社におけるM&Aについて、造園工事業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。
造園工事業界は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している造園工事会社も数多く存在することから、造園工事会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。
しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
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