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OA機器・卸業M&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「OA機器・卸業のM&Aの売却相場は?」
「OA機器・卸業のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「OA機器・卸業 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

「OA機器・卸業」などの一般的な知識や専門用語を調べることができても、業界内のことやM&Aに慣れていない方が理解するのは難しいでしょう。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、OA機器・卸業のM&Aについて、M&Aのことを初めて耳にする方でも分かりやすく簡潔に解説します。

OA機器・卸業におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、OA機器・卸業のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

OA機器・卸業界とは

OA機器とは、office Automation(オフィスオートメーション)機器の略で、今まで紙中心の手作業で行っていた事務業務を、OA機器により効率化自動化するために利用しています。

OA機器が普及する1990年代前までは、紙・鉛筆と電卓を用いて手作業で仕事を行ってきましたが、PCの急激な普及により、大幅に業務の効率化が進みました。

まず、OA機器・卸業界とはどのような業界なのか、業界の定義、現状、ビジネスモデル及び業界シェアなどを解説していきます。

OA機器・卸業界の定義

OA機器の卸業界は、OA機器は主にオフィスで利用するPC、電話、FAX及びコピー機のことで、OA機器の販売・卸売を行う業界のことであります。

現状、これらのOA機器は、業界や企業規模の大小にかかわらず、ほぼすべての会社に導入されています。特に、国内のOA機器・卸業界は、その優れた品質と導入後の保守サポートまで一貫して行うことから、単に販売して終わりではなく、継続的に取引を行うことでビジネスを展開しています。

しかしながら、最近のIT技術の発展に伴い、ペーパレス化を本格化する企業が増えてきており、OA機器業界は、厳しい状況と言わざるをいえません。

OA機器・卸業界の現状

2022年におけるOA機器業界は約7.6兆円ほどの事業規模であり、2020年までは緩やかな減少傾向にありましたが、2021年以降は若干増加傾向に転じて2022年も増加傾向でかわりありません。

(出典:OA機器業界の推移と基本情報|OA機器業界の動向や現状、ランキング&シェアなど(2023/9/15|業界動向リサーチ

2022年以降、事業規模が拡大しておりますが、コロナ禍による働き方改革で実施した在宅勤務からオフィス勤務への回帰、半導体不足による電子部品の製品化遅れが解消されたことでオフィス向けのOA機器の販売が増加しています。

しかしながら、OA機器市場の規模が拡大したわけではありません。

大手ののOA機器メーカは、従来のOA機器の販売・卸業中心から新たなビジネスモデルに転換を図っていることにより増収傾向にあります。

OA機器・卸業のビジネスモデル

OA機器・卸業界のビジネスモデルは、競争が激しいため利益率が高くないOA機器自体を販売するよりは、トナー(インク)・紙などの消耗品の販売、保守・メンテナンスサービスなどのランニングコストで収益をあげる構図となっています。

特に、インクであるトナーは、製造が簡単なので低コストでかつ利益率が高い商品となっています。そのため、お客様がランニングコストを下げるために純正品以外の低価格のトナーを使用すると、メーカ保証の対象外にする措置をとることが業界の標準となっています。

このように、OA機器・卸業界では、利益率の低いOA機器自体を低価格で販売し、利益率の高い消耗品販売や保守・メンテナンスサービスによるランニングコストで収益を上げるビジネスモデルとなっています。

OA機器・卸業の業界シェア

屋内におけるOA機器・卸業のシェアはどのようになっているのでしょうか。

(出典:OA機器業界 売上トップ5(2022-2023年|OA機器業界の動向や現状、ランキング&シェアなど(2023/9/15|業界動向リサーチ

  • キャノン

創業は1937年で、世界的に有名な電子機器製造販売メーカです。OA機器では、オフィス向けの複合機やレーザプリンターなど、また産業向けのインクジェットプリンターやネットワークカメラがメインとなっています。また、カメラでは、国内の5割強の販売シェアを誇るのが一眼レフカメラです。新たな成長を目指すため「戦略的大転換」に全社的に取り組んでおり、さらに2021年からは産業別グループへ組織を再編成し、技術や人材の連携を深めて、事業競争力を高めて、新たなイノベーションを創出していきます。

  • リコー

創業は1936年で、オフィス向けの複合機や商用印刷機を主力としており、他に車載用のカメラなどの産業用製品、ディジタルカメラや時計などの消費者向けの精密機器などです。海外約200か国に事業展開しており、海外展開にも積極的ですが、国内でも各都道府県に支社を設置して、中堅中小企業を中心に営業展開しています。お客様の働き方に対応したディジタルサービスを提供し、従来のオフィス向けだけでなく、現場や在宅、企業間取引における業務効率化、DXの推進など、企業が抱える課題解決に貢献していきます。

  • セイコーエプソン

創業は1942年ですが、「セイコーエプソン」の社名となったのは1985年です。1975年に小型軽量ディジタルプリンターの「エプソン」ブランドが誕生し、今では家庭用のインクジェットプリンター分野ではキャノンとシェアを二分する業績を上げています。2025年に向けた長期ビジョンを策定し、「環境」、「DX」、「共創」を重点に置き持続可能な社会に貢献していきます。「環境」では、脱炭素と資源循環に取り組み、「DXの取り組み」強固なディジタルプラットフォームを構築し、「人・モノ・情報」をつなげてお客様ニーズに寄り添ったサービスを提供いたします。

  • コニカミノルタ

創業は1873年でコニカの創業者が写真材料の販売を開始したのが始まりで、ミノルタは1928年創業で翌年に自社製写真フィルムを発売し、1936年にコニカ株式会社を設立しました。2003年の経営統合により「コニカミノルタ」として発足しました。フィルムメーカのコニカとカメラ・複写機器を得意とする精密機器メーカーのミノルタが合併したことでOA機器業界での存在感が増してきました。現在、コロナ禍に伴う働き方改革でのリモートワークの浸透でプリンター事業が減少する一方、DX化やビジネスの変化に伴う新たなビジネス機会を創造するなど事業ポートフォリオの転換期にあります。主力のオフィス事業の収益力を堅持し、成長が見込める事業領域への投資を集中させることで事業の収益構造を変え、企業の成長を促していきます。

  • 富士フィルムHD

設立は1934年で、創業以来、写真フィルムで培った独自技術を進化させながら事業運営を行ってきました。当初は、写真フィルム、カメラを中心にビジネス展開してきましたが、1970年代にオフィス分野に世界最小の複写機発売、アプリケーションにも注力し、ソリューションビジネスにも取り組み始めました。1980年代には、医療分野のディジタル化、ロサンゼルスオリンピックでの画像処理業務を通じて海外市場での認知度も高まりました。2000年をピークに写真フィルム事業が急速に悪化し、危機的な状況となりましたが、事業の多角化に向けた投資やM&Aにも積極的に行い、化粧品・サプリ分野や医療品事業にも本格的に参入しています。

 

OA機器・卸業界の動向

OA機器は、業務効率化のツールとして心需品ですが、時代の変化により業界全体が非常に厳しい状況となってきています。

それでは、その原因で思われる、ペーパレス化及び市場の成熟化について詳しく解説していきます。

ペーパレス化による需要減

高度成長下において、事務業務の生産性向上を図るために、PC、複合機、プリンターなどのOA機器が導入され、一気に業務効率化が進みました。簡単に、印刷、コピーが可能となったため、会議では大量の紙資料の配布、資料や帳簿などは印刷して紙媒体として保管するなど、紙資源が大量に使用されることになりました。そのため、OA機器業界では、複合機やプリンターなどのインクや紙の補充など導入後の保守メンテナンス需要が草加市、収益に貢献してきました。

しかしながら、環境問題、OA機器のダウンサイジング、スマートフォンやクラウドサービスの普及などにより、ペーパレス化による印刷需要が減少し、さらにコロナ禍を契機に働き方改革がすすみ「在宅勤務」が促進されたことでオフィス内での印刷需要減少に拍車がかかりました。

現在の状況を考えると、オフィス需要に関しては、中小企業から大企業まである一定のOA機器の導入が進み定着化しているため、OA機器本体の減少傾向は避けられません。従来型のビジネスモデルでは成長が期待できない中で、クラウドサービスやDX化などのITソリューション提案など、新たなオフィス環境下での経営課題解決に向けた新たなビジネスモデルに転換できるかがカギと言えます。

市場の成熟化

OA機器市場は、業務効率化を推進するために急速に需要拡大しましたが、現在は、新規開拓よりはすでに設置しているOA機器の更改又は他社からのリプレイスを中心とした営業スタイルでOA機器本体の販売台数は減少傾向にあります。

また、国内や先進諸国でのOA機器販売台数を見ても、経済成長とともに若干の増加は期待できますが、爆発的な成長は期待できないでしょう。このため、中国・インドをはじめとした新興国市場を中心に市場を開拓していく必要があります。

今後、IT技術の進化によりOA機器の需要は減少傾向であり、現状の営業スタイルのままでは、OA機器・卸業界で競争に打ち勝つのは容易ではなく、業界自体の転換期になっているといえます。

顧客ニーズの変化

多くのOA機器・卸業の企業が関わっている、中小企業における顧客ニーズは単に事務作業の効率化が中心で多様性はありませんでした。

しかしながら、近年では、顧客情報流出を防止するセキュリティに関するニーズの高まり、国税関係の帳簿や書類が紙の保存から電子データによる保存への対応、2023年10月から始まるインボイス制度への対応及びITソリューションの進化に伴いほかのOA機器との連携をはかるためのクラウドサービスに関するニーズなどがあげられます。

OA機器・卸業界の各社において、OA機器の販売・紙・インクなどの保守メンテナンスのビジネスから顧客ニーズに適応した商品やサービス開発の重要性が高まっています。

営業提案の転換期

従前のOA機器・卸業の営業方法は、事務作業の効率化・紙媒体の印刷・複写の高品質・高速化に適した商品開発及びサービスを開発し、お客様に提案し、供給していくスタイルが一般的でした。

しかしながら、顧客ニーズの多様化により、必ずしも現在のOA機器販売のスタイルでは対応できない状況であり、OA機器業界が顧客ニーズに適合した商品・サービスを開発して、それを顧客のニーズに合わせたソリューション提案をする営業提案に転換する必要がでてきました。

また、OA機器・棚卸業界だけの取り組みではなく、他業界と連携することにより、従前とは異なった、経営者や現場の課題解決をするためのソリューション提案にも関心が高まってきています。

OA機器・卸業界のM&Aの動向

OA機器・卸業界におけるM&Aの動向について解説します。これから、OA機器・卸業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

後継者不足に悩む経営者

OA機器・卸業界でも、経営者の高齢化が深刻化しており、なかなか後継者が決まらない企業が多くなってきています。このため、事業継続、新たな顧客開拓、従業員の確保をするために、M&Aするケースがあります。

市場の成熟化に伴う業界再編成

人口減少による労働者の減少と需要縮小が継続している国内市場では、OA機器・棚卸業界全体として、販路の拡大を図るために同業者同士の買収や提携が進めれれています。また、事業の多角化の一環で販売網や顧客基盤を確保するために異業種によるM&Aをするケースがあります。

また、独自技術や新たなサービス提供など新規に開発が難しくとも、買収によって新しい技術・サービスを吸収したり、販路を拡大したりすることは可能です。小規模同士のM&Aで会社規模を拡大して経営状況を改善したり、業務効率化によるコストダウンで経営効率化による事業運営を安定・発展させることもできます。

市場開拓(アジアなどの市場)

海外市場特にアジア市場は、人口増加による労働人口増加、新規産業創出や経済発展が見込めることから海外企業とのM&Aにより事業規模拡大を実現するケースもあります。

また、環境問題に関心の高い海外では、OA機器の新規需要よりも、ITソリューションによる事業転換を目指すOA機器・卸業者にとっては、顧客基盤をベースに新たなビジネス展開するために、海外企業とのM&Aによる事業拡大を実現するケースもあります。

OA機器・卸業のM&Aをするメリット

OA機器・卸業のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にしてOA機器・卸業のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 廃業・倒産の回避
  • 大手資本による事業拡大
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 優秀な人材の確保

 

売却側のメリット

OA機器・卸業でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 廃業・倒産の回避
  • 大手資本による事業拡大
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に中小規模のOA機器・卸業にある問題として、後継者不足による廃業が挙げられますが、M&Aを進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋げるケースが多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

従業員の雇用継続

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

廃業・倒産の回避

OA機器・卸業界では地元に根付いている中規模・小規模の企業が多く存在しています。市場が成熟化し、市場規模が縮小傾向にあるなか、M&Aにて業績悪化による廃業・倒産を回避することが可能となります。

縮小する市場での競争は、総じて価格競争となり、その競争に勝てない企業は淘汰され業績が低迷し企業活動の存続自体が危ぶまれているケースもあります。

M&Aにより、売り手、買い手のニーズが合えば、会社を売却することで、特に資金面での不安解消につながり、次の事業への再投資など事業を継続させるうえで大きなメリットになります。

大手資本による事業拡大

OA機器・卸業界は、市場規模が縮小傾向にあるため生き残りをかけた価格競争が激化しています。このような価格競争下においては、売上TOP5企業などの大手企業の資金力は販売シェアが大きい企業が有利になるケースが多く、中規模小規模の企業にとっては大変厳しい経営環境にあります。

このような状況のなかで、大手企業へM&Aを行うことで、大手企業の資本力や販売網を生かした事業拡大を図ることが可能となります。

市場規模が縮小傾向にあり、価格競争による競争環境にあるOA機器・卸業界においては、大手資本によるM&Aを行うことは大きなメリットになります。

資金調達・オーナーのEXIT

当然ながらM&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。

M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、生き残りのために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。人材紹介業に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の人材紹介会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

買収側のメリット

OA機器・卸業でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 優秀な人材の確保

それぞれ詳しく解説していきます。

事業規模拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業はOA機器・卸業における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

A機器・卸業のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物事務所のような有形資産に加え、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特にOA機器・卸業にとって「顧客情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

またOA機器・卸業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

優秀な人材の確保

少子高齢化が問題となっている現代では、優秀な人材の確保はどの業界においても必須の課題です。優秀な人材を確保することは、そのまま企業の行く末に作用します。

M&Aを行うことによって、売却側企業に所属する従業員をそのまま雇用すれば、優秀な人材をそのまま自社に引き入れることができます。もちろん業界におけるノウハウも既に所有しているため、研修を行う手間も省くことが可能です。

ただし売却側企業に所属する従業員全員が優秀であることの保証はないことに加え、M&A後の企業文化の変化に付いてこられず、離職する従業員が発生する可能性もあります。M&Aによって従業員を引き継ぐ場合には、非常に繊細な注意が必要です。

OA機器・卸のM&Aの注意点

OA機器・卸業のM&Aを行う際の注意点を解説します。OA機器・卸業のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での売買
  • 従業員の離職防止

それぞれ詳しく解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での売買

M&Aでは買い手と売り手の情報格差(買い手のM&A知識・経験が圧倒的に豊富)が大きいため非常に危険です。

特に、買い手側の知識や経験が豊富な場合では、買い手有利な条件(買収金額が小さくなってしまう)になってしまいがちで、最悪の場合では、不利な条件でM&Aをすることになり、非常に大きな損害を蒙ることもありえます。

そこで、M&Aに経験豊富なアドバイザーを入れることで、自社にとって有利な条件でM&Aを成功させることができるでしょう。

従業員の離職防止

買収先の既存従業員による離職対策は、M&Aを成功させるために必要なポイントのひとつです。既存授業員の離職を防ぎ、優秀な人材を雇用し続けることが重要になります。

経営者視点から見ればM&Aは立派な経営戦略であり、大きなシナジー効果を生むものです。しかし従業員にとっては、今後の働き方や会社との雇用関係に大きな変化をもたらす為、M&Aによって雇用条件や働き方が悪化すると離職を招きます

M&Aによる離職を防ぐためには、従業員の働き方や雇用関係の変化に対し、敏感に配慮することが重要です。既存従業員が不安となる要素はあらかじめ取り除いておくことが、M&Aによる離職を防ぐ手段として有効になります。

OA機器・卸におけるM&Aを成功させるためのポイント

OA機器・卸業のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。OA機器・卸業のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格への理解
  • PMI(統合後プロセス)の確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、M&Aの専門会社に依頼することで、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

無料相談のご予約:https://sfs-inc.jp/ma/contact/

相場価格の理解を図る

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

OA機器・卸業のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

OA機器・卸業のM&Aにおける成功事例

OA機器・卸業界におけるM&Aにおける成功事例を紹介します。これからOA機器・卸業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

株式会社フォーバルによるえすみのM&A

2020年4月に、島根県に本社を構える株式会社えすみの全株式を取得した事例です。

フォーバルは、「情報通信」、「海外」、「環境」、「人材・教育」、「起業・事業承継」の5分野に特化したコンサルティング事業を行っています。日本全国の中小・小規模企業にDX化を促進しています。

えすみのは、OA機器の販売・保守、消耗品の販売及びネットワークインフラの設計から保守までの業務も実施しております。

また、子会社に東芝テックの中核代理店として山陰地域に顧客基盤をもつ「テック販売山陰」を抱えています。

このM&Aの目的は、えすみのが持つ山陰地方の顧客基盤を獲得することで、中核事業である「アイコンサービス」の潜在顧客の増加にも期待できると見込めるため、完全子会社化を決定しました。

参考:株式会社えすみの株式を取得! ~山陰地域の顧客基盤の獲得~

株式会社フォーバルによる株式会社三知のM&A

2023年5月に、山口県光市を中心にOA機器・オフィス用品等を卸売を行っている株式会社三知の全株式を取得した事例です。

フォーバルは、「情報通信」、「海外」、「環境」、「人材・教育」、「起業・事業承継」の5分野に特化したコンサルティング事業を行っています。日本全国の中小・小規模企業にDX化を促進しています。

三知は、山口県光市を拠点として、OA機器・オフィス用品等を卸売を主軸として保守メンテナンスやオフィスデザインなどを手掛けています。また、市役所や自治体などの行政機関とも取引があり、フォーバルの施策ともシナジー効果が期待できます。

フォーバルは、今回、中国地方における顧客基盤の拡大と中小・小規模企業向けコンサルティングサービスの展開拡大を目的に、三知の全株式取得し完全子会社化を決定しました。

参考:株式会社フォーバル OA機器・オフィス用品等を販売を主軸とした株式会社三知をグループ化!

富士ゼロックス社による豪オフィスITサービス企業CSG社の子会化

2020年2月に、富士ゼロックス社の子会社である富士ゼロックスアジアパシフィックは、オーストラリア及びニュージーランドを拠点に約10,000社の企業を顧客に持ち、オフィス向けにプリンターやITサービスを提供しているCSG社を買収し、富士ゼロックスアジアパシフィックの完全子会社した事例です。

富士ゼロックス社は、言わずと知れたオフィス向けの複合機や複写機事業をメインとして、OA機器の保守・メンテナンスなども実施していますが、商圏はアジア圏となっています。

CSG社は、オーストラリアとニュージーランドの中小企業と30年以上の継続した取引関係にあり、販売や保守メンテナンスサポートなどを提供してきています。

富士ゼロックスアジアパシフィック社は、オーストラリア及びニュージーランドの中小企業に対して、富士ゼロックスが持つ、様々な革新的な商品群やITソリューションを提案し、企業の事業運営の全体最適化をサポートすることにより、経営課題の早期解決やさらなる事業成長機会及び新たなビジネス商圏の拡大するためにCSG社の完全子会社化を決定したしました。

なお、富士ゼロックス株式会社は、2021年4月1日付で「富士フィルムビジネスイノベーション株式会社」に社名変更となっています。

参考:「富士ゼロックス、豪オフィスITサービス企業CSG社の買収

みずほリースによるインドリース会社買収について

2023年2月に、みずほリース株式会社は、インドのムンバイを拠点とするエクイップメントリース会社のの Rent Alpha Pvt.Ltd. (以下「Rent Alpha 社」の51%の株式を取得し、連結子会社にする案件です。

みずほリース株式会社は、2019年からスタートした中期経営計画の「グローバルビジネスにおけるビジネスフィールドの拡大」を掲げて、アジア・米国・豪州におけるリース事業の拡大に取り組んできており、今回は、人口増加、経済成長や市場の拡大が期待できるインド市場への参入を目的としております。

みずほリース株式会社は、Rent Alpha 社を連携子会社化することで中期経営計画におけるグローバルビジネスの知見、規模、ブランド力を生かして、インド市場でのリース事業のさらなる成長を目指しています。

Rent Alpha 社は、2013年設立で、インドにおける大手企業及び中堅中小企業向けに対して、IT機器・オフィス家具、工場設備機器などのリース事業を展開しています。10年以上にわたって、経験豊富なリース専門家などを擁しており、インド国内におけるリース企業としてはトップレベルのシェアを誇っています。

今回、みずほリース株式会社によりインドのRent Alpha 社の連結子会社化については、みずほリースとRent Alpha 社における、お互いの事業成長や企業価値向上を実現するためであり、みずほリースにとっては、中期経営計画における「グローバル展開拡大」を実現するために、今後、高い成長率は期待できOA機器をはじめとするIT系のリースやオフィス系物件の拡大が見込めるインド市場への参入と、Rent Alpha 社においてはOA機器などのリース事業以外のIT系ソリューション提案によりビジネス拡大のニーズがマッチした案件で、両企業のとって相乗効果が期待できることから、M&Aが実現しました。

参考:「みずほリース株式会社によるインド・リース会社「Rent Alpha Pvt. Ltd.」の買収について

スターティアホールディングス社による丸正事務器の事業承継

2023年11月にスターティアホールディングス株式会社の連結子会社であるスターティア株式会社が愛知県名古屋市に本社がある丸正事務器のITインフラ関連事業の事業譲渡した事例です。

スターティアホールディングス株式会社は、2021年からの5か年中期計画達成に向けて事業拡大に取り組んでいます。デジタルマーケット事業の収益改善を図るために、ITインフラ関連事業のM&Aによる顧客基盤の拡大や事業アライアンスによる成長性を高め、IT事業の総合サービス企業として事業の発展・成長を図り、継続的な利益拡大を目指しています。

また、丸正事務器としては、愛知県を中心としたOA機器事業を中心としたITインフラ事業を展開しており、約440社の顧客基盤を確保しています。

連結子会社であるスターティアは、名古屋市内に営業拠点である支店を設置しており、今回の事業譲渡により、名古屋市を中心とした東海地区の新規顧客を確保しつつ、新規顧客への新たな営業展開しつつ、自社の顧客への丸正事務器のソリューション提案を行うなど、お互いの顧客に対するクロスサービス提案による相乗効果が期待でき、事業譲渡によるスケールメリットの効果が期待できるとことから丸正事務器のITインフラ事業譲渡を受けることを決定しました。

参考:「当社連結子会社による事業譲渡に関するお知らせ

スターティアと富士フィルム子会社による合弁会社

2024年4月より、スターティアホールディングス株式会社の連結子会社であるスターティア株式会社と富⼠フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社は、合弁会社「富⼠フイルムBI奈良株式会社」を設⽴し、2024年1月に設立した事例となります。

スターティアホールディングス株式会社は、2021年からの5か年中期計画達成に向けて事業拡大に取り組んでいます。デジタルマーケット事業の収益改善を図るために、ITインフラ関連事業のM&Aによる顧客基盤の拡大や事業アライアンスによる成長性を高め、IT事業の総合サービス企業として事業の発展・成長を図り、継続的な利益拡大を目指しています。今回、奈良県内における事業拡大をするために、新規顧客獲得による県内販売シェア拡大、既存の顧客に対する得意のDX化ソリューション提案による関係性維持強化を目的として合弁会社を設立しました。

富⼠フイルムビジネスイノベーションジャパンは、合弁新会社として奈良県内に根差した営業・保守拠点として活動し、顧客企業や新規開拓企業に対してDXソリューション支援を通じて今まで培ってきた顧客との信頼関係の維持・向上・拡大を図りことを目指しています。

今回の合弁会社設立の案件は、商圏拡大による事業規模及び顧客基盤の拡大強化したい一方で、得意なITサービス提案拡大を図るとともに、既存販売拠点の顧客との関係性維持・強化を図りたいなどの両企業のニーズがマッチした案件といえます。

参考:「【スターティア】富⼠フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社様との合弁会社、「富⼠フイルムBI奈良株式会社」営業開始のお知らせ

 

OA機器・卸業におけるM&Aのまとめ

今回はOA機器・卸業におけるM&Aについて、OA機器・卸業業の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

OA機器・卸業界はペーパレス化、働き方改革による在宅勤務の拡大や環境問題など、事業規模拡大が難しい業界でありますが、各企業のオフィスにはOA機器は浸透し、顧客基盤は確保できているため、新たなビジネスモデルへの転換、ITソリューション提案、新たな事業展開やアジアをはじめとした経済成長発展の向上が期待できるアジア商圏の拡大を目的としたM&Aが行われています。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では、M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考に人材紹介におけるM&Aを検討してみてください。

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