「カフェのM&Aについて詳しく知りたい」
「カフェのM&Aを成功させるコツは何?」
今回の記事では、このような疑問にお答えしていきます。
また、記事の本文では、カフェのM&Aに関する売却相場や注意点なども解説させていただきます。
M&Aの専門家である「M&A HACK」がお答えさせていただきますので、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、1つずつみていきましょう。
目次
- 1 カフェとは
- 2 カフェ業界の市場動向と市場規模
- 3 カフェ業の動向と今後
- 4 カフェ業界のM&Aの動向
- 5 カフェのM&Aをするメリット
- 6 カフェのM&Aの注意点
- 7 カフェにおけるM&Aを成功させるためのポイント
- 8 カフェ業のM&Aにおける成功事例
- 8.1 サンマルクが倉式コーヒーを吸収合併
- 8.2 ドトールが日本レストランシステムと経営統合
- 8.3 ロングリーチが「カフェ・ベローチェ」事業を取得
- 8.4 ダイヤモンドダイニングが商業藝術を完全子会社化
- 8.5 C-Unitedがポッカクリエイトを買収
- 8.6 MCJがアイエスコーポレーションを完全子会社化
- 8.7 フジオフードシステムがはらドーナッツを完全子会社化
- 8.8 コロワイドがフレッシュネスの「FRESHNESS BURGER」事業を取得
- 8.9 ロート製薬がカフェ・カンパニーの株式を取得
- 8.10 アント・キャピタル・パートナーズがイノダコーヒの株式を取得
- 8.11 MBKパートナーズがコメダ珈琲を買収
- 8.12 ランシステムがINCユナイテッドの全発行済株式を取得
- 8.13 エディアがティームエンタテインメントを完全子会社化
- 8.14 シダックスがB&Vと資本提携
- 8.15 JBイレブンがハートフルワークの全発行済株式を取得
- 8.16 クリアストーンが「アフィリア・マジカルグループ」事業を取得
- 9 まとめ
カフェとは
カフェのM&Aについてみていく前に、まずはカフェ自体について理解を深めていきましょう。
カフェについてより理解を深めることによって、カフェのM&Aをうまく行かせる一因になる可能性があります。
カフェの具体的な定義
「カフェ」とは、コーヒーや軽食を提供する飲食店のことを指します。
現在は上記の意味で用いられていますが、元は違う意味で用いられていました。すなわち、「カフェ」とはフランス語で「コーヒー」を意味していたのです。
「コーヒー」を意味するカフェでしたが、次第に「コーヒーを提供する店」の意味で用いられるようになり、現在に至ります。
よって現在は、「コーヒーや軽食を提供する飲食店」という意味で用いられているのです。
カフェの歴史
カフェは、元はエジプトやエチオピアなどのアフリカ東北部の地域が発祥とされています。
その後ヨーロッパとの貿易を経て、1868年にカフェ興隆のきっかけとなる「ル・プロコップ」がフランスでオープンしました。
日本に初めてカフェが誕生したのは1888年で、東京上野の「可否茶館」が最初とされています。
その後は、戦争でコーヒー豆が輸入できないなどの紆余曲折もありましたが、現在では、たくさんの人が利用するポピュラーな事業となっています。
喫茶店との違い
厚生労働省 「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」より
結論から言うと、カフェと喫茶店の具体的な違いはありません。
ただ、2021年の食品衛生法の改正までは、取得すべき営業許可に下記のような違いがありました。
営業許可の種類 | 調理方法 | アルコール提供の可否 | 店舗設備の要件 | |
カフェ | 飲食店営業 | 幅広い調理方法が可能 | 可 | 給油設備や冷凍設備など |
喫茶店 | 喫茶店営業 | 加熱調理のみ可能 | 否 | 清潔な店舗設備や、給水とおすいの処理が分かれているなど |
しかし、2021年の食品衛生法の改正を受けて、喫茶店を開業する人も「飲食店営業許可証」の取得が必要になりました。
よって、2024年4月現在、カフェと喫茶店の法的な違いはないのです。
カフェ業界の市場動向と市場規模
次に、カフェ業界の市場動向や市場規模を見ていきましょう。
カフェ業界の市場動向をまとめると、下記のようになります。
- 参入障壁の低さによって、競争が激化している
- 市場規模はコロナ前まで回復した
- 店舗数は減少が続いている
- 喫茶代への支出は増加している
1つずつみていきましょう。
カフェ業界が持つ課題
カフェ業界が持つ課題は、「参入障壁の低さに伴う競争の激化」です。
カフェ業は参入障壁が低く、コンビニやファストフード店、自動販売機とも顧客を取り合います。よって、常に激しい競争にさらされている業界なのです。
また廃業するカフェも多く、厚生労働省の発表では、2008年〜2021年の間に約9万件のカフェが潰れました。
これだけ競争が激しい業界であるため、堅調に売り上げを上げることは至難の業と言えるでしょう。
市場規模はコロナ前まで回復した
矢野経済研究所 「国内外食市場規模推移と予測」より
カフェ業界の市場規模は、コロナ前の水準まで回復しています。
実際、矢野経済研究所の発表によると、2020年は売上高が15%落ちていますが、2020年には約20%上昇しています。もはや、コロナ前の水準よりも高水準であるため、「カフェ業界の市場規模は、コロナ前の水準まで回復した」と言って良いでしょう。
厚生労働省「喫茶店数と市場規模の推移」より
また、今後のカフェ業界の市場規模については、おおむね横ばい傾向が続くように思われます。
上記のグラフにもあるように、ここ20年間ほどは横ばいで推移しているため、今後も同水準で推移することが予想されるためです。
店舗数は減少が続いている
カフェの市場規模は回復傾向にありますが、店舗の数は減少傾向が続いています。
実際、厚生労働省の発表によると、2008年をピークに店舗数が減少しており、2017年までに9万軒減の約20万軒までに減少しています。よって、カフェ事業はかなり厳しい状態だと言えるでしょう。
店舗数が減少している原因として考えられるのは、コンビニやファストフード店で提供するコーヒーのクオリティが上昇していることです。セブンイレブンやマクドナルドが高品質なコーヒーを提供するようになったため、その流れに押されて、他の店舗が売り上げを伸ばせずにいます。
よって、上記のような大型チェーンと差別化することが、カフェ業界で成功するためには必要と言えるでしょう。
喫茶代への支出は増加している
総務省統計局「喫茶代への支出-家計調査(二人以上の世帯)結果より-」より
競争の激しいカフェ業界ですが、消費者の喫茶代への支出は増加しています。
総務省の発表によると、2012年ごろを皮切りに、ほぼ毎年喫茶代への支出が増加しています。
現在は、「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒーブームの時代であるため、他社との差別化が図れれば、しっかりと消費者の需要を取り込めるでしょう。
カフェ業の動向と今後
次に、カフェ業の動向と今後の動きについてみていきましょう。
カフェ業の動向をまとめると、下記のようになります。
- 業界の二極化が進んでいる
- コーヒー以外の商品も活発に販売されている
- セカンドオフィスとしての需要が増している
1つずつみていきましょう。
業界の二極化が進んでいる
まず最初に挙げられるカフェ業界の動向は、業界の二極化が進んでいる点です。
近年は、スターバックスやドトールを代表するカフェ・チェーンが猛威を奮っており、店舗数も年々上昇しています。
実際、スターバックスは2023年12月時点で全国に1901店、ドトールは2024年2月時点で1063店を展開しています。
参照:https://www.starbucks.co.jp/company/summary/
https://www.doutor.co.jp/about_us/ir/report/fcinfo.html
一方、上記の流れを受けて徐々に勢力を伸ばしているのが、「サードウェーブ」と呼ばれるこだわり派のカフェです。代表的なもので言うと、2015年に日本に上陸した「ブルーボトルコーヒー」などが挙げられます。
よって、上記の2つの流れから、カフェ業界の二極化が進んでいるのです。
コーヒー以外の商品も活発に販売されている
次に挙げられるカフェ業の動向は、コーヒー以外の商品が活発に販売されている点です。
カフェは本来、コーヒーを提供する店を意味しますが、近年は、商品メニューのマンネリ化や他店の差別化から、コーヒー以外の商品を販売する店舗が増えています。
特に多いのは、紅茶や日本茶を提供するカフェです。スターバックスやドトールでも紅茶などが販売されており、コーヒーを飲めない顧客の獲得に成功しています。
よって、近年のカフェ業界の動向として、コーヒー以外の商品が活発に販売されている点が挙げられるのです。
セカンドオフィスとしての需要が増している
新型コロナウィルスの蔓延を受けて、カフェをセカンドオフィスとして利用する人が増えています。
在宅勤務や、テレワークを義務付けられた人が多くいたコロナ禍でしたが、家で仕事が捗らない方も大勢いたことでしょう。そのような方達の受け皿となったのが、セカンドオフィスとしてのカフェでした。
そして、コロナが明けた現在でも、利便性や金銭的な面から、テレワークを推奨する企業が増えています。
よって、カフェに対するセカンドオフィスとしての需要が増加しているのです。
カフェ業界のM&Aの動向
次に、カフェ業界のM&Aの動向について見ていきましょう。
カフェ業界のM&Aの動向をまとめると、下記のようになります。
- 大手コーヒーチェーンの寡占状態が続いている
- 個人店の利用は減少傾向が続いている
- ICTの活用が活発になってきている
1つずつ見ていきましょう。
大手コーヒーチェーンの寡占状態が続いている
厚生労働省「喫茶店・カフェの利用状況」より
カフェ業界は、大手コーヒーチェーンの寡占状態が続いています。実際、厚生労働省の発表によると、3年以内にカフェを利用した人の約1/3が、大手カフェチェーンのみの利用でした。
特に、以下の4社は「4強」と呼ばれており、カフェ業界を席巻しています。
- スターバックス
- ドトールコーヒー
- コメダ珈琲店
- タリーズコーヒー
カフェ利用客の1/3もの人が、大手コーヒーチェーンのみの利用であるため、どのように大手と対抗するのかが重要です。
個人店の利用は減少傾向が続いている
大手コーヒーチェーンによる業界の寡占化に伴い、個人店の利用客は減少しています。
コロナ前から、個人店のカフェはかなり厳しい状態でしたが、コロナを受けて多くの個人店が最後の一撃を受けました。よって、コロナ禍に潰れなかった個人店も、かなり厳しい状態が続いているのです。
お店のコンセプト作りや個人店ならではの接客を通して、大手コーヒーチェーンとの差別化を図る必要があります。
ICTの活用が活発になってきている
厚生労働省「飲食店やその他サービス全般のお店に期待する対応(単一回答)」より
カフェ業界は、新型コロナウィルスが蔓延した影響もあり、ICTの活用が活発になってきています。特に、キャッシュレス決済や、POSレジの導入を決断する企業が多く出ています。
上記の事柄は、利用者の需要にもマッチしており、厚生労働省の調査では、キャッシュレス決済やPOSレジの利用を期待する声が多く見られました。
今後も、ICT化の流れは続くと思われるため、適切にICTに投資をしていく必要があります。
カフェのM&Aをするメリット
次に、カフェをM&Aするメリットについて見ていきましょう。
カフェをM&Aするメリットをまとめると、下記のようになります。
売却側のメリット | 買収側のメリット |
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1つずつ見ていきましょう。
売却側のメリット
売却益や譲渡益を獲得できる
まず最初に挙げられるメリットは、売却益や譲渡益を得られる点です。
M&Aにおいては、土地や建物だけでなく、ノウハウや設備なども継承できるため、店舗の評価が高いと、それだけ高額で取引することができます。
よって、売却側の最も大きなメリットとしては、売却益や譲渡益を得られる点が挙げられます。
売却益や譲渡益を獲得することによって、新しい事業に参入したり、借入金を返済したりできるでしょう。
後継者問題を解決できる
株式会社帝国データバンク情報統括部「後継者不在率 推移」より
次に挙げられるメリットは、後継者問題を解決できる点です。
帝国データバンクの調査によると、2023年の後継者不在率は、過去最低の53.9パーセントでした。
M&Aのみが、後継者問題を解消しているわけではありませんが、重要な一因になっていることには間違い無いでしょう。実際、同調査の「就任経緯別 推移」では、M&Aが20%を占めています。
株式会社帝国データバンク情報統括部「就任経緯別 推移」より
よって、売却側がM&Aをするメリットとして、後継者問題を解決できる点が挙げられます。
ブランドを継承できる
次に挙げられるメリットは、ブランドを継承できる点です。
M&Aは、土地や建物だけでなく、ノウハウや設備を継承することもできます。よって、それまで会社が培ってきた歴史やブランドを、廃れさせることなく存続できるのです。
よって、売却側がM&Aをするメリットとして、ブランドを継承できる点が挙げられます。
顧客の立場からしても、良いブランドが廃れることなく存続するのは、大いにメリットと言えるでしょう。
従業員の雇用を守れる
次に挙げられるメリットは、従業員の雇用を守れる点です。
M&Aは、土地や建物だけでなく、事業をそのまま継承する譲渡形態であるため、従業員もそのまま雇われることが多いです。よって、事業の廃業によって、従業員を路頭に迷わせることがありません。
よって、カフェをM&Aするメリットとして、従業員の雇用を守れる点が挙げられます。
個人保証から解放される
次に挙げられるメリットは、個人保証から解放される点です。
M&Aは、事業をそのまま継承する手法であるため、借入金などの返済義務も同時に譲渡されます。
よって、売却側のメリットとして、個人保証から解放される点が挙げられます。
個人保証から解放されることによって、より伸び伸びとした生活が送れるようになるでしょう。
買収側のメリット
次に、買収側のM&Aをするメリットについて見ていきましょう。
コストをかけずに参入できる
まず最初に挙げられるメリットは、コストをかけずに参入できる点です。
カフェの経営を始める際は、人的投資や設備投資が欠かせません。
しかし、M&Aによって事業を継承すると、それらの費用を抑えて参入することができます。
よって、買収側がM&Aをするメリットとして、コストを抑えて参入できる点が挙げられます。
ノウハウや設備を継承できる
次に挙げられるメリットは、ノウハウや設備を継承できる点です。
もし、自分で1からカフェを始める場合、ノウハウを蓄積したり、設備を全て揃えたりする必要があります。
その点、M&Aを利用して事業を継承すれば、すでにあるノウハウや設備を活用することができます。よって、事業の早い段階から黒字化を目指せるのです。
従って、買収側がカフェをM&Aするメリットとして、ノウハウや設備を継承できる点が挙げられます。
シナジー効果が期待できる
次に挙げられるメリットは、既存事業とのシナジー効果が期待できる点です。
もし自身がカフェと関係のある事業をおこなっている場合、カフェをM&Aすることによって、シナジー効果が期待できます。
例えば、コーヒー豆の輸入事業をおこなっていれば、買収したカフェに安く卸すことができるでしょう。
よって、カフェをM&Aすることによって、複数の事業を抱えられるだけでなく、既存事業とのシナジー効果が期待できるのです。
スケールメリットを期待できる
次に挙げられるメリットは、スケールメリットを期待できる点です。
カフェのスケールを計画する場合、エリア調査や人材の育成など、手間のかかる工程が多いです。
その点、M&Aによって既存事業を買収すれば、スピーディーに事業をスケールできる可能性があります。スピーディーに事業をスケールさせることによって、市場での認知度をより上昇できるでしょう。
よって、買収側がカフェをM&Aするメリットとして、スケールメリットを期待できる点が挙げられます。
好立地の物件を入手できる
最後に挙げられるメリットは、好立地の物件を入手できる点です。
通常、駅前や路面などの好立地の物件は、同業他社が店舗を構えていることが多いです。
その点、M&Aによって事業を継承すれば、その好立地の物件をそのまま継承することができます。
よって、買収側がM&Aをするメリットとして、好立地の物件を入手できる点が挙げられるのです。
カフェのM&Aの注意点
次に、カフェをM&Aする際の注意点について見ていきましょう。しっかりと注意点を把握しておくことによって、よりM&Aを成功させる確率が高くなります。
カフェをM&Aする際の注意点としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 相性の良い相手を選ぶ
- 財務状況をしっかり確認する
- オーナーの属人性を考慮する
1つずつみていきましょう。
相性の良い相手を選ぶ
まず最初に挙げられる注意点は、相性の良い相手を選ぶことです。
「カフェをM&Aするメリット」の見出しでも述べた通り、M&Aは、相性の良い相手を選ぶことが重要です。相性の良い相手を選ぶことによって、事業同士のシナジー効果が期待できます。
逆に相性の良くない相手を選んでしまうと、お互いに足を引っ張り合うことになってしまい、最悪の場合、共倒れになる危険性もあります。
よって、上記のようなリスクを避けるためにも、相性の良い相手を選ぶことが重要なのです。
財務状況をしっかり確認する
次に挙げられる注意点は、財務状況をしっかり確認することです。
M&Aによってカフェを買収する際、相手の財務状況をしっかり確認することはとても重要です。なぜなら、相手の財務状況をしっかり確認しておかないと、予想外の負債や訴訟リスクが発生する可能性があるから。
よって、カフェの買収を検討する際は、専門家の力も借りながらしっかり相手の財務状況を確認していきましょう。
オーナーの属人性を考慮する
最後に挙げられる注意点は、オーナーの属人性を考慮することです。
カフェや飲食店の場合、オーナーの人柄や技術によって、ファン化している人たちがいます。
もし、M&Aによって雰囲気が変わったり、味が変わったりなどすれば、そのような固定客が離れる一因になる可能性があります。よって、カフェのM&Aを検討する際は、オーナーの属人性をよく考慮する必要があるのです。
属人性が特に強いカフェは、継承後にうまく行かせるのが大変であるため、M&Aの相手としては避けたほうが無難かもしれません。
カフェにおけるM&Aを成功させるためのポイント
次に、カフェのM&Aを成功させるポイントについて見ていきましょう。
カフェのM&Aを成功させるポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
- M&A戦略の立案
- 相場価格をよく理解しておく
- PMI(統合後プロセス)の確率
1つずつ見ていきましょう。
M&A戦略の立案
まず最初に挙げられるポイントは、M&A戦略の立案です。
M&Aは、多額のお金が動くものであるため、事前の慎重な準備が欠かせません。よって、M&A戦略を立てていきましょう。
M&A戦略としては、以下の工程を行うことが多いです。
- 自社分析
- M&Aの目的の決定
- 市場調査
- 戦略のまとめ
- 財務や会計などの最終チェック
時間がかかるものではありますが、期待した成果を得るには必要な過程であるため、1つずつ進めていきましょう。
また、もし社内にM&Aに精通した方がいなければ、専門業者に依頼することも1つの手です。
当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。
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相場価格をよく理解しておく
次に挙げられるポイントは、相場価格をよく理解しておくことです。
一般的にM&Aにおいては、売却側は事業を高く見積もり、買収側は安く見積もる傾向にあります。よって、しっかりと相場を理解しておかないと、適切な価格で取引できないのです。
ただし、M&Aは相手との交渉による部分が大きいため、明確な相場価格は存在しません。
ただ、そうは言っても会社の価値を算出する方法は存在するため、自社や相手の会社の価値を算出する際に使用してみてください。以下に、会社の価値を算出する代表的な方法を記載させていただきます。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- コストアプローチ
PMI(統合後プロセス)の確立
M&Aにおいて、PMI(統合後プロセス)の確立はとても重要です。
なぜなら、M&A直後の社内はとても混乱しているからです。これまでの体制と変わる部分が多くあるため、社内は混乱する傾向にあります。
よって、「経営統合」「業務統合」「意識統合」の3つからなるPMIの確立が重要なのです。
カフェ業のM&Aにおける成功事例
サンマルクが倉式コーヒーを吸収合併
2024年1月19日、株式会社サンマルクホールディングスが、完全子会社である株式会社倉式珈琲を吸収合併したと報じました。
サンマルクホールディングスは、国内外で外食チェーンを展開する大手企業です。今回の合併では、商品開発や店舗開発の効率化を目的にしています。
一方の倉式珈琲は、収益が低迷しており、倉式珈琲事業部として再構築することによって、業績の回復を見込んでいます。サンマルクに吸収合併されたことにより、倉式珈琲は解散し、新たに倉式珈琲事業部としてスタートしました。
今回の吸収合併によって、サンマルクの国内事業連結子会社は、合計3社となっています。
参考:https://static.saint-marc-hd.com/upload/irnews/235/完全子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ.pdf
ドトールが日本レストランシステムと経営統合
2007年4月26日、株式会社ドトールコーヒーは、日本レストランシステム株式会社との経営統合を報じ、新たにドトール・日レスホールディングスが誕生しました。
株式会社ドトールコーヒーは、「ドトールコーヒーショップ」を展開する大手コーヒーチェーンです。2007年時点では、全国に1400店舗以上の「ドトールコーヒーショップ」を展開していました。
参照;https://www.doutor.co.jp/ir/jp/news/pdf/20070426_ppt.pdf
一方の日本レストランシステムは、「洋麺屋 五右衛門」を展開する人気レストランチェーン。2007年の時点では、全国に300店以上の「洋麺屋 五右衛門」を展開していました。
今回の統合の目的は、「飲」と「食」の統合によって、飲食業界でさらに業績を伸ばすことです。
具体的には、「飲」と「食」の掛け合わせによる新モデルの開発や、ノウハウの共有による既存ブランドの再構築を目的にしていました。結果、同統合はうまくいき、ドトール・日レスホールディングスとして新たなスタートを切りました。
参考:https://www.doutor.co.jp/ir/jp/news/pdf/20070426_ppt.pdf
ロングリーチが「カフェ・ベローチェ」事業を取得
2020年1月7日、独立系投資会社ロングリーチ・グループが、株式会社シャノアールの「カフェ・ベローチェ」事業を取得したと発表しました。
ロングリーチ・グループは、日本と香港を拠点に活動する投資会社です。今回のベローチェ事業の買収は、2016年の「ウェンディーズ」や、2018年の「珈琲館」の買収に続くものでした。
一方の「カフェ・ベローチェ」を展開していたシャノアールは、全国に190店舗を展開する日本を代表するカフェチェーンです。今回の買収によって、戦略の立案や、ノウハウの共有を目的にしています。
先述した通り、ロングリーチ・グループには、国内のフルサービス業態のカフェで2番の規模を誇る「珈琲館」や、国内のファストフード店として高いブランド力を誇る「ヴェンディーズ」への投資実績があります。
ロングリーチのこれまでのノウハウを共有しながら、ベローチェの高品質なカフェサービスを展開していくことを目的にしています。
https://www.longreachgroup.com/jp/portfolio-jp
ダイヤモンドダイニングが商業藝術を完全子会社化
2017年4月27日、株式会社ダイヤモンドダイニングは、カフェチェーン「chano-ma」を展開する株式会社商業藝術を完全子会社化したことを発表しました。
株式会社ダイヤモンドダイニングは、飲食店やアミューズメント施設を手掛ける外食産業会社です。今回の統合によって、これまで参入してこなかった商業施設でのノンアルコール提供や、中国地方での直営飲食店の展開を目標にしています。
一方のカフェチェーン「chano-ma」を展開する商業藝術は、飲食店や結婚式場を80店舗展開する会社。今回の統合によって、企業価値の向上やコストの削減を目標にしています。
なお今回の統合を受けて、株式会社ダイヤモンドダイニングは持ち株会社体制へと移行し、社名を新たに株式会社DDホールディングスとしました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000541.000007303.html
C-Unitedがポッカクリエイトを買収
2022年2月10日、C-United株式会社が、「カフェ・ド・クリエ」を展開する株式会社ポッカクリエイトを買収したと報じました。
C-United株式会社は、2018年に買収した「珈琲館」と、2020年に買収した「カフェ・ベローチェ」を運営するカフェチェーン会社です。今回の買収によって、これまで以上に幅広い年齢層にアプローチしたり、目的や立地に最適なサービスを展開したりすることを目標にしています。
一方の株式会社ポッカクリエイトは、全国に200店を展開する「カフェ・ド・クリエ」を運営するカフェチェーン。今回の買収によって、「珈琲館」や「カフェ・ベローチェ」との補完的な機能を担うことを目標にしています。
「珈琲館」、「カフェ・ベローチェ」、「カフェ・ド・クリエ」は、それぞれターゲットや価格帯が異なるため、C-Unitedのマルチブランド戦略に一石を投じることになるでしょう。
MCJがアイエスコーポレーションを完全子会社化
2013年8月14日、株式会社MCJが株式会社アイエスコーポレーションの全発行済株式を取得し、完全子会社化したことを発表しました。
株式会社MCJは、パソコン関連の事業を手がける持株会社です。国内のパソコン市場が縮小する中、アイエスコーポレーションが展開するインターネットカフェ事業に参入し、業績を回復させることを目標にしています。
一方の株式会社アイエスコーポレーションは、インターネットカフェ「アプレシオ」を展開する複合カフェ会社。今回の統合によって、より高い企業価値の創出を目標にしています。
すでにインターネットカフェ事業に乗り出していたMCJですが、アイエスコーポレーションの完全子会社化によって、本格的にインターネットカフェ事業に乗り出すことになります。
参考:https://pdf.irpocket.com/C6670/o1Tt/sXqI/m19G.pdf
フジオフードシステムがはらドーナッツを完全子会社化
2016年3月25日、株式会社フジオフードシステムは、株式会社はらドーナッツの全発行済株式を取得し、完全子会社化したことを発表しました。
フジオフードシステムは、「喫茶店ピノキオ」や「デリス・タルト・カフェ」を展開する外食チェーン会社です。
一方のはらドーナッツは、ドーナッツの製造や販売を行う会社。今回の統合によって、カフェとドーナッツの掛け合わせによる、シナジー効果が期待されています。
また、株式会社フジオフードシステムは、2015年に株式会社博多ふくいちの発行済株式を35%取得しており、同社の主力商品である辛子明太子とのシナジー効果を実現しています。
今回も、博多ふくいちとの統合のようなシナジー効果が期待されています。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/2752/tdnet/1339063/00.pdf
コロワイドがフレッシュネスの「FRESHNESS BURGER」事業を取得
2016年10月14日、株式会社コロワイドが、株式会社フレッシュネスの全発行済株式を取得したと発表しました。
株式会社コロワイドは、「牛角」や「温野菜」を展開する、株式会社レインズインターナショナルの持株会社です。今回の買収によって、事業規模を拡大したり、MD機能をさらに活用したりすることを目標にしています。
一方の株式会社フレッシュネスは、全国に150店舗以上を展開する「FRESHNESS BURGER」の運営会社。今回の買収によって、さらなるエリアの拡大と、出店数の増加を目標にしています。また、コロワイドMDをフル活用することによって、コストの削減も目標の一つにしています。
※MD機能:商品の流通や開発を一貫して行う機能
参考:https://www.colowide.co.jp/ir/ir_file.php?ir_no=270
ロート製薬がカフェ・カンパニーの株式を取得
2021年8月10日、ロート製薬株式会社はカフェカンパニー株式会社の株式を取得し、主要な株主及び持分法適用会社になったことを発表しました。
ロート製薬は、機能性食品やサプリメントの製造・販売を行う製薬会社です。他にも、農畜産物の生産や、健康をテーマにしたカフェの運営なども行っています。
一方のカフェ・カンパニーは、全国に100店舗以上のカフェや飲食店を展開する会社。今回の資本締結によって、ロート製薬の生産技術力と、カフェ・カンパニーの店舗運営力がシナジーをもたらすことを目標にしています。また、両社の強みが合わさることによって、より多くの人の食を通じた健康の実現も目標にしています。
参考:https://www.rohto.co.jp/news/release/2021/0810_01/
アント・キャピタル・パートナーズがイノダコーヒの株式を取得
2022年9月27日、アント・キャピタル・パートナーズ株式会社が、株式会社イノダコーヒの株式を取得したことを発表しました。
アント・キャピタル・パートナーズは、国内の未上場株式を取り扱う投資会社です。今回の買収によって、イノダコーヒの理念継承と、さらなる事業の発展を目標にしています。
一方のイノダコーヒは、京都を中心に全国に9店舗を展開するコーヒーチェーン。今回の買収によって、事業を継承することを目的にしています。
なお、イノダコーヒの代表取締役社長は、以前から就任していた前田利宜社長が続投します。
参考:https://www.antcapital.jp/wp-content/uploads/2022/09/6a8d3473a0f07caa989992bb931b814b.pdf
MBKパートナーズがコメダ珈琲を買収
2013年1月15日、株式会社アドバンテッジパートナーズは、保有する株式会社コメダの全株式を、株式会社MBKパートナーズの投資目的会社であるMBKP3に譲渡したことを発表しました。
買収したMBKパートナーズは、日本を始めとした東アジアを中心に活動するプライベート・エクイティ・ファンドです。
一方、買収された株式会社コメダは、「コメダ珈琲」を中心に全国に400店舗以上の喫茶店を展開するコーヒーチェーン。すでに、2008年にアドバンテッジパートナーズに買収されていた株式会社コメダですが、今後のより大きな成長を見据えて、MBKパートナーズに全株式を譲渡する形となりました。
また、今回MBKパートナーズが取得した株式は、全発行済株式の約80%ですが、今後は残りの20%も買収予定としています。
参考:https://www.advantagepartners.com/news/2013_01_15/
ランシステムがINCユナイテッドの全発行済株式を取得
2017年4月10日、株式会社ランシステムは、INCユナイテッド株式会社の全株式を取得することを発表しました。
買収したランシステムは、複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」を展開するアミューズメント企業。
一方のINCユナイテッドは、インターネットカフェ「Moopa(ムーパ)」や、ボディーケアサロンを展開する会社。
今回の買収によってランシステムは、好立地の物件を取得したり、運営ノウハウを共有したりすることを目標にしています。そして上記の事柄から、認知度の向上と、さらなる企業価値の創出も目標にしています。
参考:http://www.runsystem.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/04/eea4eaf21bdcc4902ec5f2acc190346f.pdf
エディアがティームエンタテインメントを完全子会社化
2018年2月15日、株式会社エディアが、株式会社ティームエンタテインメントの全発行済株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。
買収した株式会社エディアは、スマートフォンアプリの開発や運営を行うエンターテインメント企業です。他にも、多角的な収益の柱を作るべく、M&Aや提携に取り組んでいます。
一方のティームエンタテインメントは、ゲームやアニメのドラマCDを手掛ける独立系レーベル。また、ゲーム事業との関連から、コンテンツコラボレーションカフェなども運営しています。
今回の買収の目的は、多角的な収益の柱を作ることと、ティームエンタテインメントのレーベル事業とコラボカフェ事業を有効活用すること。
レーベル事業とカフェ事業を活用することによって、クロスメディアの展開やIPの創出なども目標にしています。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3935/tdnet/1558539/00.pdf
シダックスがB&Vと資本提携
2018年5月30日、株式会社シダックスは、連結子会社である株式会社シダックス・コミュニティーの持分株式81%と、債権を株式会社B&Vに譲渡することを発表しました。
譲渡した株式会社シダックスは、レストランカラオケやトータルアウトソーシングサービスを提供する会社です。今回の株式譲渡によって、レストランカラオケ事業から撤退することを目的にしています。
一方の株式会社B&Vは、カラオケボックス事業やインターネットカフェ事業を手掛ける会社。今回の株式授受によって、カラオケの運営ノウハウの共有や、シダックスからの食材の提供を目的にしています。また上記の事柄から、株式会社シダックス・コミュニティーの店舗売上の拡大と、減価率の低下も目標にしています。
同取引では、全発行済株式の81%のみの株式譲渡でしたが、2020年7月には残りの19%も譲渡され、株式会社シダックス・コミュニティーは、株式会社B&Vの完全子会社となりました。
参考:https://disclosure.tokyo/file/tdnet/20180530/140120180530451189
https://karaokekan.jp/company/history
JBイレブンがハートフルワークの全発行済株式を取得
2018年7月31日、株式会社JBイレブンが、株式会社ハートフルワークの発行済全株式を取得したと発表しました。
株式会社JBイレブンは、名古屋を中心にラーメン専門店やチャーハン専門店を展開するラーメンチェーンです。
一方の株式会社ハートフルワークは、東京と埼玉に「コメダ珈琲」のフランチャイズ店舗を運営する会社。
今回の買収でJBイレブンは、周辺事業、及び新たな業態への事業拡大を目的にしています。また上記の結果から、ニッポンのおいしさ、楽しさをさらに提供していくことも目標にしています。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3066/tdnet/1615881/00.pdf
クリアストーンが「アフィリア・マジカルグループ」事業を取得
2019年10月31日、株式会社クリアストーンが、株式会社9thの「アフィリア・マジカルグループ」事業を授受したことを発表しました。
株式会社クリアストーンは、コスチュームやパーティグッズの製作や販売を行う会社です。
一方の株式会社9thは、コンセプトカフェ「アフィリア」を8店舗運営する会社。
今回の事業授受によってクリアストーンは、ミュージックエンタテインメント事業部を加えることによって、さらに同事業を拡大させることを目標にしています。またその結果、コスプレカルチャーを愛するお客様に、新たな価値を提供していくことも目標の1つとしています。
参考:https://www.clearstone.co.jp/news/20191101-6145/
まとめ
今回は、カフェ事業のM&Aに関する、市場動向や成功のポイントを解説させていただきました。
先述した通り、カフェ業界の市場規模は横ばいであり、今後も今以上に成長する可能性は低いと思われます。しかし、総務省の調査結果にもある通り、1世帯あたりの喫茶代は上昇してきています。
よって、上記のような消費者の需要を取り込めれば、厳しいカフェ業界でも戦っていけるでしょう。
そして、そんな厳しいカフェ事業のM&Aを成功させるには、専門家のサポートが欠かせません。当社ではM&Aに関するサポートを全面的に行なっているため、カフェ事業のM&Aをお考えの方は、ぜひ当社にご相談ください。
皆様のM&Aが成功することを祈っております。