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人材紹介会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「人材紹介業界のM&Aの売却相場は?」
「人材紹介業界のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「人材業界 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、人材紹介業界のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

人材紹介業界におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、人材紹介業界のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

人材紹介業とは。類似業種との違い

人材紹介業の定義と事業形態について、類似する業種の内容を踏まえて解説します。

人材紹介

人材紹介業とは、求職者と企業(求人側)の間に入り、両者が雇用契約を結ぶためのサポートや仲介を行う事業です。こうした人材紹介業者は、「人材サービス業界」に分類されます。

人材紹介業とは、いわゆる俗語であるため、正式には「有料職業紹介事業」といい、有料職業事業を行うには厚生労働省の許可が必要です。

また人材紹介業では、「求人企業側のニーズに合わせて求職者を紹介する」「求職者をスカウティングして企業側に斡旋する」という2つの事業方法が一般的となっています。

人材派遣

人材派遣業者とは、人材派遣会社に登録された(派遣)社員を「派遣先企業」に派遣する業種です。人材紹介企業と同じく「人材サービス業界」に分類されます。

人材派遣の特徴は、登録者の雇用主は人材派遣会社であることです。登録者は派遣先企業で勤務しますが、給与の支払いや有休休暇の付与などは人材派遣会社が労務管理を行います。

人材派遣会社は、人材サービス業界のなかでも特にM&Aが積極的に行われている業態です。頻繁にM&Aが実施されているため、比較的売却が容易な業種でもあります。

業務請負

業務請負は、人材派遣と混同しやすい類似業種の一つです。業務請負とは、クライアント企業が発注する業務に対し、請負企業が「請負契約」を締結し、請負企業に属するスタッフが業務を完遂させる事業です。

業務請負と人材派遣では、労務提供者(スタッフ)に対する指揮・命令関係が異なるのが特徴です。人材派遣では派遣先企業が派遣スタッフに直接指示・命令をしますが、業務請負では請負企業がスタッフに指示・命令を下します。

業務請負では雇用主に当たるのは請負企業であるため、企業と労働者(請負会社に属する)が雇用関係にありません。そのため依頼企業側に発生する人件費を削減することができます。

再就職支援

再就職支援とは、会社都合によって退職する人材の再就職を支援するための事業です。この事業は、ハローワークや人材紹介企業が請け負ったり、専門の再就職支援企業も存在します。

人材紹介業と再就職支援の主な違いは、求人企業との関係性です。人材紹介では求人をもとに事業を展開するため、求人を展開する企業がなければ求職者の就職先を斡旋することができません。

一方で再就職支援では、求職者の希望や経験、スキルに合わせて再就職支援企業が求人を開拓する事業です。広義の意味では同一性が高いですが、再就職支援は求職者ありきのビジネス形態となります。

求人広告代理店

求人広告代理店とは、求人広告を出したい企業と掲載するメディアを仲介する事業です。求人広告を取り扱う事業であり、求職者を個別に企業へ斡旋する人材紹介とは大きくビジネススタンスが異なります。

求人広告代理店はクライアントとなる企業の顧客層が非常に広く、取り扱う求人メディアも多岐に渡るのが特徴です。そのため、各事業社の特徴や採用活動の目的に合致する求人メディアの紹介・提案を得意としています。

求人広告代理店の事業はクライアントの層が多岐に渡るため、M&Aの売却に向いている事業です。戦略の幅も広くなるため、競合先との戦略バッティングを避けることができます。

採用コンサルティング

採用コンサルティングとは、企業の人材採用における課題を分析し、課題解決に向けたコンサルティングを請け負う業種です。「人材サービス業界」に属するものの、求職者と求人企業を結び付ける人材紹介とは大きく事業形態が異なります。

採用コンサルティングは近年非常に需要の高まっているサービスです。採用業務の複雑化・中小企業の人材不足・働き方の多様性などの影響により、人材確保に苦労する企業が増えていることが要因になります。

ただし採用コンサルティング事業は、コンサルタント個人の能力に大きく依存する業種であるため、M&Aの難易度は非常に高いのが特徴です。独自のノウハウやビジネス手法を確立していない場合には、買い手企業を見つけるのは非常に困難となります。

人材紹介業界の市場動向と市場規模

株式会社矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2022年)」より

人材紹介を含む「人材サービス業界」の市場規模は拡大傾向です。人材紹介業だけに絞って見ると2021年の市場規模は、2960億円(前年比17.5%増)となっています(。コロナ前の2019年度の市場規模は3,080億円なので、コロナ前に近しい市場規模に戻りつつある状態です。

人材紹介業は、人材派遣業と比較すると人材業界での売上高は小さい市場でもあります。しかし2009年度以降、右肩上がりで市場拡大が続いており、市場性を見れば成長産業に該当する業種です。

日本全体で見れば少子高齢化が進んでいるため、以前として労働者確保が難しいのが現状。人材紹介業を営む企業も市場自体は拡大傾向ですが、求人者の働き方が多様化していることも要因となり、事業内容には工夫を求められています。

また人材サービス業界全体としては、以前として人材派遣の市場規模が大きく、2021年度の人材派遣業の市場規模は9兆2000億円(前年比6.6%増)です。人材派遣業者のM&Aも年々増加しており、中小の人材派遣業者が大手人材派遣業者に吸収合併される事案が増加しています。

人材紹介業界が持つ課題

人材紹介業界の市場規模は拡大傾向にありますが、人材紹介業界には様々な課題があります。人材紹介業界が持つ主な課題は、以下の通りです。

  • 雇用構造の変化
  • グローバル人材の雇用増加
  • 職業の変化と多様性

それぞれ詳しく解説していきます。

雇用構造の変化

人材紹介にとって最も大きな影響力を持つ他業種は「求人メディア」です。近年では特に「有料職業紹介事業(人材紹介)」と「募集情報提供事業(求人メディア)」との境界線が無くなってきています。

人材紹介と求人メディアとの境界線が無くなった最たる原因は、求職者の働き方に多様性が生まれたためです。終身雇用制の終焉・リモートワークの浸透・ワークライフバランスの重要視など、正社員として働くことのメリットが薄れてきているのが現状です。

以前として正社員雇用を望む求職者は多いですが、それでも求職者のニーズは2010年代と比べ、大きく変化しています。人材紹介業者は求人メディアとの垣根を越え、求職者のニーズに応えるサービスを提供する必要がある現状です。

また技術の進展によりIT化やAI導入も進んでおり、求人企業側も業務効率化や業務代替を検討しておいるため、求人数自体も年々減っていくことが予測されます。素早い雇用構造の変化に対応する柔軟性が求められている業界です。

グローバル人材の雇用増加

グローバル人材の雇用増加も人材紹介業界が持つ大きな課題です。グローバル人材とは、その名の通り、複数の国をまたがるビジネスにおいて活躍する人物を指します。

少子高齢化・景気悪化が続く日本では、現在企業がこぞって海外進出を実行・検討している時代です。グローバル化という言葉が生まれて久しいですが、ここ数年で日本企業の海外進出はより顕著となっています。

海外進出を目指す企業にとって、海外コミュニケーションに特化したグローバル人材は、是が非でも欲しい人材です。しかし能力の高いグローバル人材を発掘し斡旋することは容易ではなく、人材紹介業社にとっても大きな課題の一つとなっています。

職種の変化と多様性

現代の日本においては、職種の変化と多様性に適応することが必須です。人材紹介業者においても職種の変化と多様性を理解し、適用出来るかが大きな課題となっています。

職種の変化においては、youtubeやSNSの普及による影響が非常に大きく、「Youtuber」や「インフルエンサー」は、若者にとって立派な職業の一つです。一方で、コンビニレジの完全自動化やレストランのオートロボット化が加速したことにより、単純労働の需要は一気に低迷しています。

目まぐるしく状況が変化する現代において、人材紹介業社は常に求人応募者と求人募集企業の両者が求めるニーズを察知することが重要です。それぞれの需要に合わせた提案を行うことが、目下の課題となっています。

人材紹介業の動向と今後

M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは、人材紹介業の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

求人応募者の要望に応える義務

人材業界に身を置く企業にとって、求人募集者の要望に応えることは非常に重要です。しかし実際には求人応募者と求人募集企業とのにーずには乖離があり、これを解消するのが人材紹介業社の役目となります。

しかし現代では「求人応募者>求人募集企業」という偏ったパワーバランスが発生しており、人材紹介企業はこれに応えることが目下の課題です。求人応募者から求められる要望が一昔前よりも増え、難易度も高まっているため、要望に応えられる企業を発掘すること自体に多大な労力がかかります

例えば「ワークライフバランス」という言葉がここ数年で一気にトレンド入りしましたが、これも求人募集者側の要望の一つです。長時間労働や残業を避け、プライベートと仕事の両取りが出来る企業を求人応募者側が求めています。

今後も求人応募者側の要望は非常に高くなっていくことが予想されるため、求人募集企業との更なる乖離が発生することも予測されます。人材紹介企業は、これまでより一層、求人応募者のニーズを円滑に汲み取ることが求められるでしょう。

多様性への理解と取り組み

現代の日本では、仕事において「多様性」が認知されています。これは政府による「働き方改革」の提唱が大きな要因と言えるでしょう。

2016年9月に「働き方改革実現会議」が設置され、2017年3月には「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9分野における具体的な方向性を示した「働き方改革実行計画」がまとめられました。

これにより、国民の中には「働き方の多様性」が認知され、これまでの労働形態が根底から覆される事態になっています。正社員として働くことは最早一般的なことではなく、フリーランスや独立経営者としての働き方も認知される時代です。

今後更に働き方に多様性が認められる時代が来ることは簡単に予測することができます。労働時間・勤務体制・職場の人間関係など、常に変化する働き方に対応する柔軟性が人材紹介業者にも求められるでしょう。

転職エージェントに頼る人の増加

時代の変化に伴い今後は雇用の柔軟性が求められる時代です。これにより転職者は更に増加すると予想されます。その中で、需給調整機能の担い手として人材企業の重要性が増していくのは必然でしょう。

需給調整が求められる要因としては、人々の就業観やライフスタイルが大きく変容したことにより、企業の人材活用ニーズと労働者の就業ニーズを両立させることが難しくなってきているためです。企業の都合に関係なく、労働者側はライフスタイルを確立させたい意欲が強くなっているため、企業と労働者の間に大きな隔たりが生まれています。

実際に一昔前に比べて、一つの会社に在籍する期間は圧倒的に短くなっている時代です。これにより転職エージェントの需要は益々増加し、人材紹介業者にとっては大きな追い風となることでしょう。

人材紹介業界のM&Aの動向

人材紹介業界におけるM&Aの動向について解説します。これから人材紹介企業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

中小規模企業のM&Aが増加

現在の人材サービス業界では、大手人材紹介企業による中小企業の買収が相次いでいます。人材紹介企業のなかでも、大手に属する企業の代表例は以下の通りです。

  • パーソルホールディングス
  • リクルートホールディングス
  • パソナグループ

上記の企業が人材紹介業界のなかでも高いシェアを占めており、その他の市場シェアを他の人材紹介企業で取り合うのが現在の市場動向です。大手人材紹介企業は、更なる規模の拡大の為に、中小規模の人材紹介企業を買収している現状があります。

また大手人材紹介企業との競争で負けないため、中小規模クラスの人材紹介企業同士がM&Aを行うケースも増加中です。中小規模企業同士が合併するのは、顧客情報やノウハウの共有を行うのが目的となります。

後継者不在が要因のM&Aも多い

特に中小規模の人材紹介企業で多発しているのが、後継者不足という問題です。実際に後継者不在による事業継続が難しく、別人材紹介企業にM&Aを依頼するケースも増えてきています。

経営者の周りに後継者候補がいない場合でも、M&Aによる事業承継であれば買い手企業が後継者(新たな経営者)となるため、自社の存続が可能だからです。M&Aをすることで廃業を免れることが出来るため、既存従業員の雇用継続をすることもできます。

また後継者不在によるM&Aにて事業規模が拡大した人材紹介企業も多く存在します。特に人材紹介業界では、M&A後に買い手が人材育成方針を変えて売上が伸びたケースも多いです。

別業界の大手企業による参入

人材紹介業界は、他業界と比べてもM&Aによる事業効果が非常に高いとされている業界です。そのため、昨今では資金力のある別業界の大手企業が、中小規模の人材紹介企業をM&Aするケースが増えてきています。

革新的な事例として「人手不足が顕著な業界」に属する大手企業の参入です。例えば情報通信大手である「じげん」が建設業界の人材紹介に特化した「Struct」を買収した事例が挙げられます。これにより、人手不足による人材確保ニーズが高い分野である建設領域において、新たに事業展開が可能となりました。

また人材サービス業界同士のM&Aも盛んで、人材派遣企業が人材紹介企業を買収するケースも多いです。類似分野の業界同士が合併することにより、ノウハウの共有による相互作用で事業拡大を狙うことができます。

人材紹介のM&Aをするメリット

人材紹介のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にして人材紹介のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業拡大のチャンスになる
  • 新規事業へのハードル削減
  • 優秀な人材の確保
  • 株式譲渡の場合、有料職業紹介免許を引き継げる

売却側のメリット

人材紹介における売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に中小規模の人材紹介企業にある問題として、後継者不足による廃業が挙げられますが、M&Aを進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収をすることで、後継者問題の解消に繋げるケースが多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

従業員の雇用継続

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

資金調達・オーナーのEXIT

当然ながらM&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。

M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、生き残りのために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。人材紹介業に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の人材紹介会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

買収側のメリット

M&Aにおける買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンスになる
  • 新規事業へのハードル削減
  • 優秀な人材の確保
  • 株式譲渡の場合、有料職業紹介免許を引き継げる

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

人材紹介のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や不動産のような有形資産に加え、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に人材紹介企業にとって無形資産は企業の実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また人材紹介業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業参入へのハードル削減

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

優秀な人材の確保

少子高齢化が問題となっている現代では、優秀な人材の確保はどの業界においても必須の課題です。優秀な人材を確保することは、そのまま企業の行く末に作用します。

M&Aを行うことによって、売却側企業に所属する従業員をそのまま雇用すれば、優秀な人材をそのまま自社に引き入れることができます。もちろん業界におけるノウハウも既に所有しているため、研修を行う手間も省くことが可能です。

ただし売却側企業に所属する従業員全員が優秀であることの保証はないことに加え、M&A後の企業文化の変化に付いてこられず、離職する従業員が発生する可能性もあります。M&Aによって従業員を引き継ぐ場合には、非常に繊細な注意が必要です。

株式譲渡の場合、有料職業紹介免許を引き継げる

M&Aにて人材紹介業者を買収し、自社事業として人材紹介業を営む場合には、必要な業許可を取得することが必須です。無許可での人材紹介業の運営は法律で禁止されています。

株式譲渡で人材紹介業者をM&Aにて買収すれば、有料職業紹介免許を引き継ぐことが可能です。一から許可取得までのプロセスを踏む必要がないため、非常に効率的と言えます。

ただし有料職業紹介免許の新規取得後の有効期間は3年、更新後は5年です。更新の際には、有料無料職業紹介事業許可有効期間更新申請書の記入が必要になるので、早めに準備するようにしましょう。

人材紹介のM&Aの注意点

人材紹介のM&Aを行う際の注意点を解説します。人材紹介のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

  • 競業避止義務
  • 事業許可の引継ぎ
  • 登録者の個人情報における取り扱い
  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

それぞれ詳しく解説していきます。

競業避止義務

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来、人材紹介事業を再度、手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

事業許可の引継ぎ

人材紹介業を行ううえで必須となるのが「有料職業紹介事業」の許可です。人材紹介業を行ううえで必須の許可であり、有料職業紹介事業の許可が無ければ人材業を営むことはできません。

もし事業譲渡をする際に買収側の企業が有料職業紹介事業の許可を有していなければ、人材紹介事業を行うのは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は有料職業紹介免許を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。

許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、人材紹介会社の売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。

登録者の個人情報における取り扱い

人材紹介業において求人応募者とクライアント企業(求人募集企業)のプライバシーを厳守することは必須事項です。万が一に情報が漏洩した場合には、刑事罰を処せられる可能性もあります。

特にこれまで個人情報の取り扱い経験がない業態の企業が、人材紹介のM&Aを行う際には個人情報の漏洩に十分な管理基準を設けることが必須です。売却先の従業員を管理者に充てるなどして、個人情報の漏洩には十分配慮しましょう。

また「求人募集者やクライアント企業の個別情報を安易に自社の他ビジネスに役立てる」なども禁止されています。個人・法人ともに顧客リストの管理には十分な対策を実施することが大切です。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)であるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

人材紹介におけるM&Aを成功させるためのポイント

人材紹介におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。人材紹介におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

人材紹介業界のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

人材紹介業のM&Aにおける成功事例

人材紹介業のM&Aにおける成功事例を紹介します。これから人材紹介業におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

じげんによるイーエイチアイ・タイズとのM&A

2022年10月に情報通信業を手掛ける「じげん」が製造業向け人材紹介業者である「イーエイチアイ」及び「タイズ」を買収したM&Aの事例です。

タイズは関西全エリアを商圏とし、大手機械・電気・半導体・科学メーカーなど大手製造メーカーと取引を有している企業。大手顧客の中途採用数に占める紹介成約実績において上位を獲得しているのが特徴です。

じげんは人材紹介業におけるM&Aを盛んに実施しており、このM&Aにおいては製造業の人材紹介分野に進出したことを示しています。既に複数の人材紹介企業との合併を果たしており、今回の合併でさらに人材紹介業におけるシェアを拡大させる結果となりました。

参考:株式会社イーエイチアイ及び株式会社タイズの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

じげんによるStructとのM&A

2022年5月に情報通信大手である「じげん」と人材紹介業を手掛ける「Struct」にてM&Aが発表されました。じげんがStructの株式を取得し、子会社化したと発表されています。

Structは、「建設JOBs」と呼ばれる建設業界に特化した人材紹介を得意としている企業です。人材紹介業の市場シェア拡大を目指す一環としてM&Aを実施。建設業界の人材紹介シェアの獲得を目指しています。

建設業界では慢性的な人手不足が行っており、建設業社からの人材需要が非常に高いのが特徴です。人材ニーズの高い特定領域に進出することで、ユーザー獲得単価の逓減ならびにオペレーション効率化によって、同社の更なる業績拡大に注力するとしています。

参考:株式会社Structの完全子会社化に関するお知らせ

日総工産によるベクトル伸和のM&A

2021年8月に愛知や広島を拠点とし製造業への人材派遣事業・外国人材紹介事業などを手掛けるベクトル伸和と、製造業向け人材サービスの大手である日総工産の完全子会社となったM&Aです。

これにより日総工産は、ベクトル伸和の持つ技術力・人材育成ノウハウと自社ノウハウを組み合わせ、事業基盤強化と事業拡大に成功しています。対するベクトル伸和は、日総工産グループの顧客基盤・採用基盤・教育基盤などを活用してサービス提供体制強化・事業拡大を図ることが狙いです。

M&Aの手法としては株式譲渡を採用。譲渡金額においては秘密保持契約により非公開とされています。人材サービス業界同士のM&A成功の事例です。

参考:株式会社ベクトル伸和の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

サービス&セキュリティによるトライブのM&A

2021年7月に株式譲渡の手法を用い「サービス&セキュリティ」が「トライブ」を子会社化したM&Aの事例です。全株式を取得し完全子会社化することで発表されました。

「サービス&セキュリティ」は、システム運用/開発・セキュリティ関連のシステムエンジニアリングサービスを手掛け、さらに人材派遣事業・セキュリティ製品の研究開発・販売、保守事業を手掛ける企業です。

「トライブ(現AnyKan)」は、ゲーム・メディア業界を中心にIT人材の紹介・派遣・コンサルティングなどを手掛けています。トライブを完全子会社化することで、サービス&セキュリティはゲーム・メディア業界向けの市場シェアを獲得し、さらなる事業拡大に成功している事例です。

参考:SSKが株式会社トライブの株式を100%取得し子会社化

ツナググループ・ホールディングスによるツナグ・スタッフィングのM&A

2021年6月に「ツナググループ・ホールディングス」が子会社である「ツナグ・スタッフィング」を株式譲渡により取得したMBOです。親会社による子会社の譲渡事例になります。

「ツナググループ・ホールディングス」は、アルバイト・パートを中心とする人材採用・定着支援サービス事業を手掛ける企業です。一方の「ツナグ・スタッフィング」は、物流・サービス業を中心とする人材派遣・請負とアルバイト人材紹介サービスを展開しています。

本M&Aでは、ツナググループによる抜本的構造改革が狙いです。アルバイト・パートに特化した採用代行サービスに同社が経営資源を集中することが狙いとされています。

参考:連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)に関するお知らせ

デジタルハーツホールディングスによるアイデンティティーのM&A

2021年6月に「デジタルハーツホールディングス」が「アイデンティティー」を株式譲渡・吸収分割により子会社化したM&Aです。譲渡金額は16億円とされています。

「アイデンティティー」はIT人材プラットフォーム事業・ITリソースサポート事業・IT人材採用支援事業など、ITにおける人材サービスに特化した企業です。一方の「デジタルハーツホールディングス」は、ゲーム・アミューズメント機器を対象とするデバック・ローカライゼーションや企業向けITサポート事業を手掛けています。

このM&Aの最たる目的は、デジタルハーツホールディングスが手掛ける「法人向けITサポート事業」の拡大です。ITサポートで実績を持つアイデンティティーを子会社化することで、ITサポート分野における基盤強化を狙いとしています。

参考:株式会社アイデンティティーの株式会社取得に関するお知らせ

クラウドワークスによるコデアルのM&A

2021年9月に「クラウドワークス」が「コデアル」を株式譲渡により子会社化しました。譲渡金額は譲渡企業の要請により非開示となっています。

「クラウドワークス」は、クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」を中心としたオンライン人材マッチング事業を手掛ける企業です。一方の「コデアル」は、人材と採用企業を直接結び付けるマッチングプラットフォーム「CODEAL」を中心とした即戦力型人材紹介を手掛けています。

コデアルの持つエンジニア人材と顧客基盤を獲得し、新たに月額課金型サービスモデルを拡大することがクラウドワークスの狙いです。これによりマッチング事業の中長期的な収益性確保と成長強化を図っています。

参考:コデアルを子会社化

UTグループによるプログレスグループ及びプログレスのM&A

2021年5月に「UTグループ」が「プログレスグループ」及び「プログレス」を株式譲渡により子会社化したM&Aです。本M&Aの譲渡金額は30億8,500万円とされています。

「UTグループ」は、製造・設計・開発・建設分野などを対象とした無期雇用派遣事業を展開する企業です。「プログレス・グループ」と「プログレス」は、不動産賃貸事業や国内外の人材紹介・派遣サービスを手掛けています。

人口減少やコロナ禍などの影響で雇用ニーズの大きな変化が予想されるなか、中核事業領域である大手製造業向け人材派遣におけるシェアの拡大が本M&Aの最たる狙いです。

参考:株式会社プログレスグループの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

サツキャリによるウィズのM&A

2021年3月に「サツキャリ」が「ウィズ」の人材サービス事業を承継したM&A事例です。譲渡金額は不明となっています。

「サツキャリ」は北海道全域で小売店向けの人材紹介・派遣、催事・展示会イベントの現場運営、店舗巡回による売場構築(ラウンダー業務)などを手掛ける企業です。

一方の「ウィズ」は、北海道旭川地域で試食マネキン(宣伝販売促進員)の人材紹介サービスを中心に事業を展開していました。ウィズの会社解散に伴ってスタッフ・ノウハウをサツキャリが承継したM&Aの事例です。

参考:ウィズより人材サービス事業を承継

エム・エイチ・グループによるオンリー・ワンのM&A

2020年7月に「エム・エイチ・グループ」が「オンリー・ワン」を株式譲渡により子会社化したM&Aです。エム・エイチ・グループがオンリー・ワンの全株式を取得し完全子会社化としています。

「オンリー・ワン」はファッション・コスメ業界のラグジュアリーブランドを主要取引先として、販売・サービス業を中心とする人材紹介・派遣事業を展開する企業です。「エム・エイチ・グループ」は直営およびフランチャイズでの美容室チェーン運営事業・プライベートブランド美容品開発・美容室支援事業などを展開するグループ企業になります。

このM&Aでは、譲渡企業である「オンリー・ワン」は、財務基盤・経営体制・採用力強化により事業拡大を。一方の「エイチ・グループ」は、オンリー・ワンのノウハウ・リソースを資源として、キャリアデザイン事業への成長戦略の組み立てを目的としています。

参考:連結子会社の異動(株式取得)に関するお知らせ

スカラによるグリットグループホールディングスのM&A

2020年4月に「スカラ」が「グリットグループホールディングス」を株式譲渡によりM&Aした事例です。スカラがグリットグループホールディングスの全株式を取得し完全子会社化しました。

「グリットグループホールディングス」は、体育会系人材の就職支援事業からスタートし、国内において総合的な人材紹介・キャリア支援事業、地方創生事業などを展開。海外においては、子ども教育・FinTech事業を展開する企業グループの持株会社です。

一方の「スカラ」は、SaaSアプリケーションプロバイダー事業を中心に、国内およびミャンマーにおいてIT・AI・IoTによるDX・自動化サービス事業、国内において官民連携プラットフォーム開発事業を展開しています。

このM&Aにおいては、地方創生事業・海外事業・人材事業において協業によるシナジー実現と事業成長を図ることが目的です。譲渡金額は5億円となっています。

参考:株式会社スカラとの業務資本提携について

建設システムによるルイーダアカデミーのM&A

2020年12月に「建設システム」が「ルイーダアカデミー(現:ウィズテック)」を株式譲渡によりM&Aした事例です。建設システムがルイーダアカデミーの全株式を取得し同社を完全子会社化しました。

譲渡企業である「ルイーダアカデミー」は、プログラミング教育、システムエンジニアリングサービス、有料職業紹介、人材派遣の事業を展開している企業です。一方の「建設システム」は、建設業向け各種業務システム・管理ツールの開発事業などを展開しています。

このM&Aでは、譲渡企業である「ルイーダアカデミー」は建設システムとの連携による事業拡大を。譲り受け企業である「建設システム」は、開発エンジニア育成を推進することで体制強化を狙うことが目的です。

参考:株式会社ウィズテックの株式取得(子会社化)について

パソナグループによるMore-SelectionsのM&A

2021年4月・9月に「パソナグループ」が「More-Selections」を株式譲渡・吸収合併によりM&Aした事例です。パソナグループがMore-Selectionsの全株式を取得して同社を完全子会社化したのち、パソナグループ子会社のパソナがMore-Selectionsを吸収合併しました。

「パソナグループ」は、人材派遣・BPO・人材コンサルティング・教育研修・人材紹介・キャリア支援などの事業を展開する企業グループの持株会社です。「More-Selections」は、法務分野に特化した人材派遣・紹介事業と情報サイト運営事業を展開しています。

このM&Aでは、パソナグループがMore-Selectionsを子会社化及び吸収合併することで、グローバル化による法務人材需要の拡大に伴い、専門的なニーズに対するサービス体制強化とオペレーション効率化を目指すことが狙いです。

参考:株式会社パソナグループ及び同社グループ会社に対する弊社の株式譲渡に関するお知らせ

まとめ

今回は、人材紹介M&A・事業承継の全知識ということで、人材紹介のM&Aにおける売却相場・事例・成功ポイントを解説しました。

人材紹介の業界は、右肩上がりの市場となっていることもあり、大手から中小までのM&Aが盛んにおこなわれている業界です。他業界の大手事業社の新規参入によるM&Aも盛んで、子会社化・吸収合併のニュースが度々取り上げられています。

M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考に人材紹介におけるM&Aを検討してみてください。

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