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建具工事会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「建具工事会社のM&Aにおける動向は?」
「建具工事会社のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「建具工事会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、建具工事会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

建具工事会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、建具工事会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

建具工事会社とは

建具工事会社とは、建設業における業種の一種で、木星や金属製の建具の取り付け工事を行う会社です。建具工事会社の主な業務内容には、以下のようなものがあります。

  • 住宅の開口部に用いられる建具の製作や吊り込み
  • 建具金物の取り付けや調整
  • 金属製の建具取り付け工事
  • 金属製カーテンウォール取り付け工事
  • サッシ取り付け工事
  • 自動ドア取り付け工事

建具工事会社は、建設業における29種類のうちの1種です。建設業者は「総合建設業」と「識別工事業」の2種類に分かれていますが、建具工事会社は「識別工事業」に分類されます。識別工事業とは、工事の一部分を請け負う業者を指し、建具工事以外には、内装工事や大工工事などの業者も該当します。

建具工事会社の種類

建具工事会社と一言に表しても、その事業内容には様々なものがあります。建具工事会社の種類として主に挙げられるのは、以下の通りです。

  • 金属製建具取付け工事
  • サッシ取付け工事
  • 金属製カーテンウォール取付け工事
  • シャッター取付け工事
  • 自動ドアー取付け工事
  • 木製建具取付け工事
  • ふすま工事

建具工事会社は、建設業における29種類のうち「土木一式工事」「建築一式工事」を除く27種類の専門工事のひとつです。住宅の開口部に用いられる建具の製作や吊り込み、建具金物の取り付け、調整などの工事の総称でもあります。

建具工事会社に必要な業許可・資格・人材

建具工事会社に必要な業許可・資格・人材について解説していきます。

建具工事会社に必要な業許可

建具工事会社の運営において必要となる代表的な業許可に「建設業許可」と呼ばれるものがあります。建設業許可は、工事の請負総額が、税込500万円以上(建築一式にあたるなら税込み1500万円以上)になる場合には建設業許可が必須です。

建設業許可とは、国土交通省が発行する建設産業における許可制度で、基本的に建築・建設業の実施には建設業許可の取得が必要になります。但し一部例外があり、軽微な建設工事のみを請け負う場合に許可は必要ないとされています。

もしも建設業許可を取得せず、さらに上記にあるような軽微な建設工事以外の内容を請け負った場合、建設業法違反として最大で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されれるので注意が必要です。さらに向こう5年間は新たに建設業許可を取得できなくなる可能性もあるなど、重い罰則が定められています。

建具工事会社に必要な資格

建具工事会社会社の業務は誰でもこなせる訳ではありません。そのため、建具工事会社で雇用する人材を選定する際には、取得している資格内容を把握することが必須です。建具工事会社で役立つには以下のようなものがあります。

  • 建具制作技能士
    建具の製作に必要な技能を持っていることを認定する資格。木製建具手加工作業・木製建具機械加工作業・アルミ製室内建具製作作業の三つに分かれており、それぞれ一級と二級の等級がある。
  • 施工管理技士
    現場の主任技術者もしくは監理技術者になるための資格。主任技術者や監理技術者は工事現場の配置が義務付けられている。一級と二級の等級がある。
  • 土木施工管理技士
    土木工事に関する工程管理や安全管理、品質管理、予算管理など、工事全体のプロジェクトを監督するための国家資格。資格は1級と2級があり、建設コンサルタントとしての資格取得であれば、大規模土木工事の施工管理が行える1級資格が必要となる。

上記はいずれも建具工事会社において重宝される資格です。ただし工事の内容によっては、別途資格保有者の在籍が必須となるケースもあるので、必ず必要となる資格は事前に把握しておきましょう。

建具工事会社に必要な人材

建具工事会社の運営においては、複数の職種が組み合わさることで事業運営が可能となります。建具工事会社の運営において必要とされる職種は、主に以下の通りです。

職種 業務内容
施工管理 「現場監督」の役割を担う人材。品質を保ち、安全を確保しながら予定通りに工事が進むように、監督や管理を行う。国家資格である「建築士」の資格保有者が担当する。
コーディネーター 別名「プランナー」とも呼ばれる人材。お客様の要望に合わせて建具工事のプランニングを担当する。
オペレーター コーディネーターが設計したプランをより綿密にするための人材。CAD作成・図面構築などを担当する。
営業員 自社の工事を宣伝・提案するための人材。企業によっては、コーディネーターを同時に手掛ける場合も。
事務職 事務作業全般を担う。受付・会計・事務連絡などの業務を担当する

建具工事会社の運営には、上記のような人材を確保することが必須です。また建具工事業以外のビジネスも手掛ける場合には、他の職種人員の確保も必要となります。

建具工事会社の市場動向

建具工事会社の市場動向について解説していきます。

市場は回復傾向

建具工事会社は、その業務内容において建設・建築業界にとって欠かせない存在です。国土交通省によれば、1976年以降、建設工事額は右肩上がりに増え、1992年には約82兆円にも及びました。

しかしそれ以降は、公共工事の減少・景気悪化による民間工事の減少などの影響を受け、2010年には約41兆円にまで市場規模が縮小したのが現状です。これは1992年時と比べると市場規模が約半分になったことを意味します。

しかし2020年には東京オリンピックに向けた事業開発やアベノミクスなどの影響を受け、市場規模は約63.1兆円にまで回復。今後も災害復興・対策需要が加速していくことから更に市場規模は回復を見せていく兆しです。

新設住宅の着工数減少による影響

出典:住生活関連産業や新技術等を巡る状況について(国土交通省)

上記は、国土交通省による「建築着工統計調査」による統計結果です。上記の通り、新設住宅(持家=注文住宅と分譲戸建て)の着工数は平成8年度以降は概ね減少傾向にあります。また新設住宅に占める分譲戸建ての比率が年々上昇しているのも特徴です。

国内における新設住宅の主な要因は、少子高齢化による人口減少です。今後も少子高齢化現象は加速していくことが予測されており、同時に新設住宅建築における需要も減少していくことでしょう。

また日本では「大都市集中型」の人口構造が年々加速していることが、戸建て住宅減少の理由です。都心部で戸建て住宅を建築する人はごく僅かで、都心部に居住する多くの人は分譲もしくは賃貸物件を選択します。今後は更に都心部でのマンション建設が加速していく見通しです。

テクノロジーによる生産性の向上

現在の建設業界では、生産性向上を目的としたテクノロジー化が進んでいるのが特徴です。ITを中心とした最新技術の導入により、人材不足解消や労働環境改善といった建設業界が抱える課題への解決が期待されています。

一例として挙げられるのが、業界大手の「清水建設株式会社」による次世代生産システム「Shimiz Smart Site」の構築です。本システムでは、作業を調整する水平スライドクレーンや、溶接トーチを操るロボット、建材を施工する多機能ロボットなどが実装されています。これにより、70〜75%の省人化に成功しており、大幅な生産性向上が期待される取り組みです。

他にも「3Dプリンタ導入」「点検や測量におけるドローン活用」など、様々な最新テクノロジーの導入が進んでいます。これからを生きる建具工事会社にとって、テクノロジーの導入は欠かせない要素のひとつです。

建具工事会社が抱える課題

建具工事会社が抱える課題について解説していきます。

慢性的な人手不足と後継者不在

建具工事会社が抱える最大の課題のひとつとして、人材・後継者不足があります。これは建具工事会社を含む、建設業界全体が抱える最大の課題のひとつです。

建具工事会社が人材不足にある理由のひとつが、「職業イメージ」にあるとされています。建設会社での仕事は、現場での施工作業がクローズアップされやすいため、肉体労働を避ける傾向にある現代人にとっては積極的な就職先候補とはなり得ないのです。

また建設業界の中核を担うのが、中小規模事業者ですが、その多くが後継者不足の課題を抱えています。経営者自身も高齢化しており、経営手腕を持った後継者を育成することも困難な状況です。

多重下請け構造

現在の建設業界は、歴とした大手企業から中小事業者への下請け構造が出来上がっている市場状態です。そのため下請け側の中小事業者には利益があまり残らないという現象が発生しています。

現在の建設会社における顧客集客方法は、大手事業者のポータルサイト経由であることが多いです。集客側である大手事業者が利益を抜いた後、残った利益で中小規模事業者へ下請け依頼を出すことになるため、中小規模事業者は利益が余り出ません。

また中小規模事業者は低利益率で運営をし続けることになるため、必然的に従業員の給料も薄給になってしまいがちです。結果として人材不足に悩む中小規模事業者が多くなってしまいます。中小規模事業者が高い利益を得るためには、自社で集客から施工完了を完結させる仕組み作りが必要となります。

資材高騰による影響

現在の建具工事会社を含む建具工事会社が抱えている大きな課題のひとつが、資材高騰による利益圧迫です。2024年2月時点で、建設関連の資材価格は2021年1月以降、約30%上昇していると言われています。建設関連資材の価格が高騰している主な理由は、以下の通りです。

  • ウッドショック
  • アイアンショック
  • 円安
  • 原油価格の高騰
  • ロシア・ウクライナ戦争
  • コンテナ料金の高騰

中でも「アイアンショック」は建設業界に多大な影響を及ぼした要素のひとつです。アイアンショックとは、鉄の輸入価格が急上昇した現象を指します。アイアンショックの背景にはアメリカや中国での住宅需要が急増したことにより、鉄の価値が高まったことが主な要因です。今後もこの状況は暫く続くことが予測されています。

建具工事会社におけるM&Aの動向

建具工事会社におけるM&Aの動向について解説していきます。

競争力獲得のためのM&A

近年の建具工事業界においては、M&Aが積極的に行われており、この状況は暫く続く予想です。そして近年の建具工事業界において、M&Aが積極的に行われているのは、市場における競争力を高めることが目的とされます。

建設業界では、アイアンショックや円安などの影響により、厳しい経営状態にある建具工事会社も多いです。そのためより多くの案件を獲得するために建具工事会社間の競争は激化しています。

M&Aによって建具工事会社同士、もしくは関連企業と結び付くことで、市場における競争力を獲得することが可能です。また新たなシナジーを生み出すことができれば、他社との差別化を図ることにも繋がります。

中小規模企業同士のM&A

建具工事会社のM&Aにおいて最も多発しているケースは、建具工事会社同士の事例です。同業者同士がM&Aによって合併や事業譲渡をするケースが多くあります。

特に多いのが、中小規模の建具工事会社同士のM&Aによる合併です。資金力が不足し、設備・人材投資が難しい場合には、建具工事会社同士が合併し、経営基盤強化のための投資を共同で行うケースもあります。

また中小規模事業者同士のM&Aでは、双方の持つ建築業運営におけるノウハウを共有することによる、シナジー効果の発揮も狙いです。双方の持つノウハウを共有することで、資金力のある建具工事会社に対抗することが目的となります。

後継者問題解決のためのM&A

特に中小規模の建具工事会社で多発しているのが、後継者不在という問題です。実際に後継者不在により事業継続が難しく、別の建具工事会社にM&Aを依頼するケースも増えてきています。

経営者の周りに後継者候補がいない場合でも、M&Aによる事業承継であれば買い手企業が後継者(新たな経営者)となるため、自社の存続が可能だからです。M&Aをすることで廃業を免れることが出来るため、既存従業員の雇用継続をすることもできます。

また後継者不在によるM&Aにて事業規模が拡大した建具工事会社も多く存在します。特に建具工事業界のM&Aでは、M&A後に買い手が持つ建築事業の戦略として取り入れ、売上が伸びたケースも多いです。

建具工事会社のM&Aにおける成功事例

建具工事会社のM&Aにおける成功事例を紹介していきます。

キムラと東洋ガラス工業によるM&A

2018年1月に、株式会社キムラが東洋ガラス株式会社の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社キムラ」は、北海道札幌市で住宅総合商社として、住宅資材の卸売・不動産事業、住宅足場リース、子会社のホームセンター経営などの事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「東洋ガラス株式会社」は、北海道石狩市に本社を構え、新築や改修のビル・住宅のガラス、サッシ工事の設計から施工まで一貫して行っています。

本件M&Aは、ともに北海道に本拠を持つ建具工事会社同士の取引事例です。M&Aによるグループの一体化により、従来外部に委託していた各種施工が、グループ内で対応できるようになりました。これにより、迅速な対応とサービス幅の拡大を目指します。

キムラ、北海道のガラス工事・建具工事会社の東洋ガラス工業を子会社化

オリエンタル白石と山木工業ホールディングスによるM&A

2021年2月に、オリエンタル白石が山木工業ホールディングスの所有する株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は3,730百万円となっています。

譲り受け企業である「オリエンタル白石」は、OSJBホールディングスの連結子会社で、プレストレストコンクリートの建設工事および製造販売、ニューマチックケーソンの建設工事、補修補強の建設工事、耐震補強建築工事の設計・施工、建設資材の販売などを手掛ける企業です。

一方の譲渡企業である「山木工業ホールディングス」は、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、しゅんせつ工事業、塗装工事業、防水工事業、造園工事業、建具工事業、水道施設工事業、解体工事業を行っている企業になります。

本件M&Aは、建設コンサル会社と建築関連会社による取引事例です。本取引により、オリエンタル白石の親会社であるOSBJホールディングスは、山木工業株式会社の福島県やいわき市での工事実績を活用することにより、オリエンタル白石が得意とする橋梁工事の受注機会の拡大を目指しています。

当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

高松建設と大昭工業によるM&A

2021年2月に、高松コントラクショングループが、連結子会社である高松建設を通して、大昭工業の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「高松建設」は、高松コントラクショングループの連結子会社で、大阪市に本拠を置き、土地活用提案事業・賃貸マンション・商業ビルの施工・工事などを手掛ける総合建築工事企業です。一方の譲渡企業である「大昭工業」は、大阪府北摂・高槻地域を中心に土木・建築事業を営む会社になります。

本件M&Aは、建設コンサルタント業を手掛ける大手総合建築会社と、建築・建設関連会社による取引事例です。譲り受け企業である高松コントラクショングループは、本取引により、髙松建設および大昭工業のそれぞれが保有する営業情報を活用して、互いに得意とする規模の建築工事受注の増加を目指すとともに、大昭工業が保有する不動産の有効活用を推進して、投資成果の向上をはかるなど、シナジー効果の発揮によりグループ全体での企業価値の向上を目指しています。

髙松コンストラクショングループ

ハウスコム株式会社によるエスケイビル建材株式会社のM&A

2019年6月に、ハウスコム株式会社がエスケイビル建材株式会社の株式を取得し、子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「ハウスコム株式会社」は、「住まいを通して人を幸せにする。」というミッションを持ち、主に不動産の賃貸仲介事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「エスケイビル建材株式会社」は、塗装工事や金属建具工事、マンションリフォームなど幅広い建設工事を手がける企業になります。

本件M&Aは、リフォーム事業において両社の強みを活かし、より良いサービスを顧客に提供することが主な目的です。ハウスコム株式会社は、エスケイビル建材の技術力をリフォーム事業に活かすことで、サービスの質を向上させ、シナジー効果を期待しています。

エスケイビル建材株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

ラックランドと静清装備によるM&A

2017年6月に、株式会社ラックランドが静清装備株式会社が保有する全事業を譲り受けたM&Aの事例です。本取引は事業譲渡のスキームが用いられ、ラックランドが新たに興した同盟会社に全事業を譲渡しています。

譲り受け企業である「株式会社ラックランド」は、店舗の企画や設計・施工をはじめ、商空間の総合サービス提供事業を行っている企業です。一方の譲渡企業である「静清装備株式会社」は、静岡県に本拠地を構え木工を中心とした内装仕上工事、建具工事の設計施工・受託を中心に展開しています。

本件M&Aは、建設・建築関連総合サービス会社と建具工事会社による取引事例です。今回の事業取得で新会社は、木工を中心に建具工事や家具・什器の製造事業を勧め静岡地区での営業力強化を目指しています。

新設子会社 静清装備株式会社にて全事業を譲受

シナモンとオカムラによるM&A

2023年7月に、株式会社シナモンが株式会社オカムラを引受先とする資本業務提携を行った事例です。本取引は、第三者割当増資によるスキームによって資本業務提携が締結されています。

譲り受け企業である「株式会社シナモン」は、機械学習やディープラーニングを活用した人工知能に関連するプロダクトを提供している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社オカムラ」は、スチール家具全般の製造から販売、産業機械などの製造から販売、金属製建具取付工事の請負をはじめ、幅広い事業を展開している企業になります。

本件M&Aは、IT関連プロダクト企業とオフィス家具リーディングカンパニーによる取引事例です。本提携により、オカムラのDX戦略を強化・推進するとともに、新たなビジネスやサービスの開発、さらに生成系AI関連領域業務の検討など広範な視野で、オフィス家具業界への新たな価値創出を目指しています。

オカムラと株式会社シナモンが資本業務提携

日創プロニティといちえホールディングスによるM&A

2022年2月に、日創プロニティ株式会社が同社の連結子会社である日創エンジニアリング株式会社を通じて、いちえホールディングス株式会社の保有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「日創プロニティ株式会社」は、金属製品・ゴム製品・外装/内装タイルなどのの企画、設計、加工、製造、販売事業を手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「いちえホールディングス株式会社」は、建築金物・金属製建具工事を主力事業としている企業になります。

本件M&Aは、ともに建具工事業を手掛ける建設・建築関連企業同士の取引事例です。本取引により、譲り受け企業である日創プロニティは、業容拡大などのシナジー効果を期待しています。

当社子会社によるいちえホールディングス株式会社の株式取得(孫会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ

三井松島産業とコンフォートによるM&A

2014年2月に、三井松島産業株式会社がコンフォート株式会社へ「キッチンカウンター」「木製建具」など「その他の家具備付け事業」をコンフォート株式会社へ事業譲渡したM&Aの事例です。本取引は会社分割により事業承継されています。

譲り受け企業である「三井松島産業株式会社」は、燃料プラントの設計・工事・コンサルティング、鋼材・非鉄金属・パルプ・ゴム製品・電機機器等の製造販売などを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「コンフォート株式会社」は、建築資材の販売や建物の企画・設計・施工、人材派遣事業、 リサイクルトナーの製造・販売などを手掛ける企業になります。

本件M&Aは、ともに建具工事関連会社同士による取引事例です。三井松島産業は建機材事業の業績や事業全体を考慮した結果、住宅用やマンション用の建材部材販売を主力としているコンフォートとの間で事業譲渡することが自社の業績にプラスになると判断し合意しました。

三井松島産業、建機材事業を建築資材販売のコンフォートに譲渡

オカムラとTelexistenceによるM&A

2021年6月に、株式会社オカムラとTelexistence株式会社が、半自立型遠隔操作ロボットを用いた量販店の陳列関連業務用の什器・備品の共同研究および開発を目的とした、資本業務提携契約の締結をしたM&Aの事例です。

譲り受け企業である「株式会社オカムラ」は、スチール家具全般の製造から販売、産業機械などの製造から販売、金属製建具取付工事の請負をはじめ、幅広い事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「Telexistence株式会社」は、遠隔操作と人工知能を搭載したロボットの開発、およびそれらを活用したビジネスを展開するロボット工学企業になります。

本件M&Aは、建具工事関連会社とロボット工学企業による取引事例です。本取引によって譲り受け企業であるオカムラは、人とロボットが協調して働ける理想的な店舗づくりや作業効率の工場を目指しています。

オカムラとTelexistenceが資本業務提携 遠隔操作ロボットによる陳列関連業務に最適化された什器・備品の共同研究・開発

塩見ホールディングスとヤマト建材によるM&A

2008年9月に、株式会社塩見ホールディングスが株式会社ヤマト建材の保有する全株式を取得し、同社の代表取締役社長に譲渡したM&Aの事例です。本取引はMBO(経営陣による買収)のスキームが用いられ、譲渡金額は2,500万円となっています。

譲り受け企業である「株式会社塩見ホールディングス」は、マンション・高層ビルなどの施工管理業、赤外線・超音波・電流センサーの各種製造など幅広い工事事業を手掛ける建設関連ホールディングス企業です。一方の「株式会社ヤマト建材」は、アルミサッシや鋼製建具、ガラスの販売と施工を行う会社になります。

本件M&Aは、建設関連ホールディングス企業と建具工事会社による取引事例です。塩見ホールディングスは、各事業会社の再編により、施工効率や作業効率の向上など、原価を徹底的に下げる施策を実施しています。建築業界を取り巻く環境が一層厳しくなる中で、ヤマト建材を抱え続けることのマイナス面を考慮し、譲渡を決定しました。

子会社株式の譲渡に関するお知らせ

建具工事会社にてM&Aを行うことのメリット

建具工事会社がM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。建具工事会社のM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保
  • 安定した受注確保

建具工事会社でM&Aの売却を行うことのメリット

建具工事会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に中小規模の建具工事会社における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む建具工事会社が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。建具工事会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の建具工事会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

建具工事会社でM&Aの買収を行うことのメリット

建具工事会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保
  • 安定した受注確保

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる大きなメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

建具会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物のような有形資産に加え、顧客・取引先情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に建具会社の運営においては、「取引先」「顧客情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また建具工事業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに建具工事業界への早期参入が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

従業員の確保

建具工事会社は専門職の一種であるため、専門技術を要した職人の確保が必須です。M&Aによって建具工事業者を買収することで、建具工事のノウハウを持った従業員を確保することができます。

建具工事会社の運営において特に必要となる人材は、「建具制作技能士」や「施工管理技士」などの人材です。これらの人材を一から採用するのは非常にハードルが高いですが、M&Aによって国家資格を保有する人材を引き継ぐことができれば、採用コストを削減することもできます。

またM&Aによって人材を引き継ぐことは、建具工事業界におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、建具工事会社のビジネスもより優位に進めることが出来るでしょう。

安定した受注確保

現在の建具工事会社が抱える課題として、安定した受注の確保が困難であるという点が挙げられます。これは特に中小規模の建具工事会社によくある課題のひとつです。

建設業界においては、大手企業から中小規模事業者への案件紹介が一般的となっています。そのため大手企業からの案件紹介がなければ、案件受注が止まってしまい事業が立ち行かない状態になりかねません。

M&Aによって大手企業の傘下に入る、もしくは吸収合併を受けることで、安定した案件確保が可能です。親会社である大手企業の持つブランド力と資金力を活用できるので、受注は非常に安定したものになることでしょう。

建具工事会社のM&Aにおける注意点

建具工事会社のM&Aにおける注意点を解説します。建具工事会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 事業許可や人材の引継ぎ

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に建具工事会社を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

事業許可や人材の引継ぎ

建具工事会社を運営するうえで重要なのが「建設業許可」です。500万円以上の建具工事案件を請け負うためには、建設業許可の取得が欠かせません。

もし事業譲渡をする際に買収側の企業が建設業許可を有していなければ、500万円以上の建具工事案件を請け負うことは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は建設業許可を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。

許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、建具工事会社の売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。

建具工事会社のM&Aを成功させるためのポイント

建具工事会社におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。建具工事会社におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

建具工事会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

統合後のプロセス確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

建具工事会社におけるM&Aのまとめ

今回は建具工事会社におけるM&Aについて、建具工事業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

建設業界は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している建具工事会社も数多く存在することから、建具工事会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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