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ペットショップのM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「ペットショップのM&Aにおける動向は?」
「ペットショップのM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「ペットショップ M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、ペットショップのM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

ペットショップにおけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、ペットショップのM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

ペットショップとは

ペット業界は主に「生体・サービス」「ペット用品」「ペットフード」の3つに分類されています。ペットショップは、3つの内の「生体・サービス」に分類されるビジネスです。

ペットショップは様々なサービスを展開していますが、主とするのは犬・猫などの生体販売です。ペットショップであるか否かは、生体販売の有無で判定されることが多いため、ペット用品販売などの事業のみで、生体販売を行っていない店舗・事業者はペットショップには位置づけされません。

近年ではペット需要が急速に拡大していることもあり、ペットショップの数は急増している状況です。一方で犬・猫などの動物保護の観点から、生体販売における殺処分問題なども取り沙汰されています。

ペット業界のビジネスモデル

ペットショップでも生体販売のみならず、様々なペット関連ビジネスを運営している企業は多いです。そこで、ペット業界のビジネスモデルについて解説していきます。

生体・サービス

ペット業界における代表的なビジネスモデルとして、生体・サービス業が挙げられます。生体・サービス業に分類される事業は、以下の通りです。

  • ペットの生体販売
  • ペット保険
  • ペットシッター
  • 老犬ホーム
  • トリミング

上記の通り、主にペットの生命活動および生活に関わる事業となっています。生体販売やトリミングは以前からある事業形態ですが、最近ではペットシッターやペット保険などの新規サービスが注目を浴びています。

また生体・サービス業は、ペット業界全体における売上のうち約5割の市場規模を占める業態です。多角的な運営が可能なことに加え、サービス単価も高いため、市場規模に占める割合も必然的に高くなっています。

ペット用品

ペット業界におけるビジネスモデルとして、ペット用品の事業形態が挙げられます。ペットショップは、生体・サービス業と並行してペット用品事業も手掛けているケースが多いです。

ペット用品とは、ペットシード・猫砂・シャンプーなどペットの生活用品や玩具など、食品以外の製造・販売を行うことを指します。2021年のペット用品の市場規模は2,880億円です。ペットフードほどの市場規模はないものの、ペット用品の需要も年々拡大傾向にあります。

ペット用品を取り扱う事業者は様々で、ペットショップなどの小売店舗だけでなく、最近ではインターネット専売事業者も急増している状況です。今後はSNSなどを活用した多様な小売チャネルが普及すると予測されているため、ペット用品市場は更に拡大傾向に進むと予測されています。

ペットフード

生体・サービス、ペット用品に加えて、ペットフードもペット業界における大きなビジネスモデルのひとつです。2022年のペットフード市場規模は6,083億円で、生体・サービス業に次ぐ市場規模を誇っています。

特に近年のペットフード市場では、ペットフードのプレミアム志向・健康志向が高まっているのが特徴です。特にドッグフード関連商品では、年齢別、犬種別、体格別、健康目的・症状ケア別などの商品の細分化・多様化が進んでいます。キャットフードにおいても、猫に多い下部尿路用のものが多くの企業から販売されています。

さらに最近では、獣医師の助言に基づいて製品化された「療法食」ニーズの高まりも顕著です。療法食は、特定の疾患症状に合わせて栄養成分が配合されたペットフードであり、ペットの健康管理に関心の高いユーザーから高い注目を集めています。

ペットショップに必要な業許可・人材・資格

ペットショップの運営において必要な業許可・人材・資格について解説していきます。

ペットショップに必要な業許可

生体販売を行うペットショップを開業・運営するためには、「第一種動物取扱業」への登録が必要です。第一種動物取扱業は、以下の種別に分類されます。

  • 販売
  • 保管(ペットホテルなど)
  • 貸出(ペットレンタルなど)
  • 訓練
  • 展示(ふれあいパークなど)
  • 競りあっせん
  • 譲受飼養(老犬ホームなど)

運営するペットショップの事業形態によって申請種別が異なるため注意が必要です。特に近年では販売・保管以外の事業を展開するペットショップが多いため、事業内容と申請内容に齟齬がないか専門家や行政の指導を十分に受けることが重要になります。

ペットショップに必要な人材

「第一種動物取扱業」を取得するためには、「動物取扱責任者」の選任が必須です。動物取扱責任者は常勤職員から選任しなければならず、次の4つのうちいずれかを満たす必要があります。

  • 獣医
  • 愛玩動物看護師
  • 実務経験など+専門学校などを卒業
  • 実務経験など+愛玩動物飼育管理士などの資格を取得

「獣医」と「愛玩動物看護士」は国家資格ですので、専門学校など特定の機関にて勉学を積んだ人材しか取得できません。獣医もしくは愛玩動物看護士の資格を取得している人材がいない場合には、実務経験と併せて専門学校を卒業もしくは愛玩動物飼育管理士などの資格を取得しておく必要があります。

また「実務経験など」とは、半年以上の実務経験か実務と同等の1年以上の飼養経験が必要です。飼養経験とはペットの飼育程度では不十分で、アルバイトやボランティアなどが想定されています。

ペットショップに必要な資格

ペットショップの運営においてペット関連の専門資格を取得した人材を確保することは、非常に重要です。ペットショップの運営において必要(推奨)とされる資格は、以下の通りです。

  • 獣医師
    獣医師国家試験に合格すると農林水産大臣から与えられる国家資格。動物病院やペット医院への就職が一般的だが、獣医師資格を持つ人材を確保できれば実務経験がなくとも「動物取扱責任者」に任命することが可能。
  • 愛玩動物看護師
    農林水産大臣及び環境大臣の免許を受けて、愛玩動物看護師の名称を用いて、愛玩動物の診療の補助や、疾病・負傷した愛玩動物の世話や看護、愛玩動物の飼育者に対する愛護や適正な飼育に関する助言等を業とする者。実務経験がなくとも「動物取扱責任者」に任命することが可能。
  • 愛玩動物飼養管理士
    公益社団法人日本愛玩動物協会が認定するペットの飼養のスペシャリストになるための民間資格。動物の疾病予防や各種動物の飼養管理、犬猫のしつけ等の知識から、動物関係の法令や管理士の社会活動など人と動物が豊かに暮らしていくために必要な知識や技能を身につけたことを証明する資格。

上記の他にも「JKC公認トリマー」や「ペット販売士」などの民間資格を取得した人材を確保することが推奨されます。M&Aにてペットショップ運営企業を買収する際には、譲り受けした企業の従業員がどのような資格を有しているのか把握しておくことも大切です。

ペットショップの市場動向

ペットショップの市場動向について解説します。現在のペットショップ業界における市場動向の特徴は、以下の通りです。

  • 市場は拡大傾向にある
  • 市場競争が激化
  • 新たなサービスの導入

それぞれ詳しく解説していきます。

市場は拡大傾向にある

ペットショップ業界においては、犬や猫の飼育数自体は減少傾向にあるものの、ペットフード・ペット用品の充実、老犬ホーム、ペット保険などの新規サービス普及の影響もあり、市場規模は拡大傾向です。

また2020年に発生したコロナ禍による巣ごもり需要により、ペット飼育に関心を持つ人が増えたことで、今後はペットショップ業界の市場規模が伸びていくことが予測されています。ペット飼育数が増えれば、ペットフードやペット用品の需要も必然的に拡大し、市場規模はより拡大されていくことでしょう。

またペット用品・ペットフード事業に参入する事業者が増えていることもペットショップ業界にとって追い風となっている要素です。ペットフードやペット用品関連事業者が増えることで新規商品等が生み出されれば、ペットショップに足を運ぶ人も増えていくことが予測されます。

市場競争が激化

ペットショップ市場が順調に拡大傾向であることに並行して、市場競争は激化しています。市場競争が激化していることは、市場成長性が高いことを意味する現象です。

ペットショップ業界では知名度の高い大手企業のシェア率が非常に高いですが、中小規模のペットショップも大手企業に対抗するために、M&Aの活用や新規事業への着手など様々な企業努力をこなしています。

またペットフード・ペット用品の市場成長率が著しいため、ペットフード・ペット用品市場の商品数はここ数年で一気に急増しました。各社が独自の技術と企画力を持ってペットフード・ペット用品を開発しているため、ペットショップ側も売れる商品を見極めることが重要となっています。

新たなサービスの参入

ペットショップ市場で顕著なのが、新たなサービスの参入です。近年のペットショップに関連する新サービスの例として、以下のようなものがあります。

  • 犬専用フィットネスクラブ
    犬の体力や体調、性格等にあわせてプログラムを作り、ドッグランナーやバランスボールなどを用いて犬の健康をサポート・維持する。犬の健康維持や老化防止に関心を持つユーザーから人気を集めているサービス。
  • ペットマッチングサービス
    旅行や外出時等で愛犬の世話ができない飼い主とその犬、及び、その間世話をする人(ホスト)を結び付けるサービス。「動物には興味があるけれど、本当にお世話できるか不安」というユーザーから関心を集めている。
  • ペットタクシーサービス
    ウェブサイトから事前に必要な情報を登録することで犬・猫・小動物等と快適に乗車できるサービス。ペットだけの乗車も可能で、ペット及びペット飼育者にとって快適な配車サービスとなっている。

上記の他にも「ペットの健康管理アプリ」や「獣医師とのコラボメディア」など、様々な新規関連事業が参入しています。実際にペットショップのなかでも、自社独自の新サービスを導入する企業は多いです。

ペットショップが抱える課題

現在のペットショップ業界が抱える課題について解説していきます。ペットショップ業界が抱える課題は、以下の通りです。

  • 動物福祉における問題
  • 慢性的な人手不足
  • サービス品質の低下

それぞれ詳しく解説していきます。

動物福祉における問題

ペットショップの主力事業である「生体販売」は、いかに早くケージに入っているペットを販売し、空いたケージにすぐに新たな犬猫を供給するという命の大量生産・大量消費のビジネスモデルです。

特にペットショップでは、生後2~3ヶ月が「売れ時」とされており、少しでもこの期間を超えると売れ残りが発生する可能性が非常に高くなります。売れ残った犬や猫を保健所へ持ち込むことは法律で禁止されていますが、売れ残った動物の処遇に関しては不透明な部分が多いのが現実です。

実際に売れ残ったペットを秘密裏に殺処分し、処分を受けたペットショップ事業者も存在します。こうした動物福祉における問題は、ペットショップが抱える最大の課題であり、今後は倫理観の変化に併せ、法的規制がさらに強まることも予測されています。

慢性的な人手不足

ペットショップを含むペット業界の市場は、ペットブームのあおりを受け、右肩上がりに成長している状況です。しかし市場の成長に対し、人材の確保が追い付いていない状況にあります。

またペットショップ店員には3K(きつい・汚い・危険)のイメージを持つ人も多く、優秀な人材が集まりにくいのも事実です。一方でペットショップ市場は拡大しているため、企業側は新店舗の設立を計画しており、人材の確保と経営陣の意図が噛み合っていない状況と言えるでしょう。

今後のペットショップ業界では、慢性的な人手不足を解消するために、労働環境の改善や賃金の見直しが必要とされています。実際に大手ペットショップなどでは、福利厚生の見直しや労働環境の改善を図る取り組みを実施している企業も多いです。

サービス品質の低下

ペットショップ業界では、慢性的な人手不足を起因として、サービス品質の低下も問題視されています。具体的なサービス品質低下の事例は、以下の通りです。

  • ケージ内が不潔な状態のまま放置されている(排拙物などの放置)
  • ペット用品やペットフードなどの陳列が乱れている
  • 店舗内の清掃が行き届いていない
  • スタッフの対応がずさん
  • 生体販売後のアフターフォローの不足
  • 賞味期限切れのペットフードを陳列している

上記のような問題がペットショップでは度々発生しており、クレームが全国ニュースになることも珍しくありません。企業側も改善に努めているものの、目に見えた結果を得られていないのが現状です。

またサービス品質の低下の要因として、人手不足と併せて、スタッフに対する教育不足も挙げられます。新人スタッフを指導できる人材がそもそも不足している状況にあるため、まずは指導者の育成を図ることが必須事項です。

ペットショップにおけるM&Aの動向

ペットショップ業界におけるM&Aの動向について解説していきます。ペットショップ業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

大手企業によるM&A

ペットショップ業界におけるM&Aの事例数自体は決して多くありません。しかしペットショップ業界のM&Aでは、業界大手企業による事例が目立っています。

ペットショップ業界のM&Aとして最も代表的な事例は、大手ペットショップ事業者が、中小規模ペットショップ事業者を買収するケースです。資金力のある大手ペットショップが資金・人材不足を抱える中小規模事業者を買収するケースは複数発生しています。

ペットショップ関連の大手企業が中小規模事業者を買収する最たる理由は、買収先の中小規模事業者が持つ店舗を自社傘下に加えることにより、事業エリア拡大とノウハウの入手です。競争率が高まっているペットショップ業界では、非常に有効な手段のひとつと言えるでしょう。

異業種からの新規参入

ペットショップ業界のM&Aにおいては、ペットショップ業者同士のM&Aだけでなく、異業種からの新規参入も増加しています。ペットショップ業界に参入してきている主な事例は、以下の通りです。

  • 保険会社
  • 小売販売事業者
  • 健康食品関連メーカー
  • IT関連事業者
  • 不動産関連企業

代表的なのは、「ペット保険」などのサービスにより、既にペット業界と関連を持っていた保険会社の参入です。保険会社がペットショップをM&Aにより譲り受けることで、自社保険の販売にも繋げています。

また「ホームセンター」や「スーパーマーケット」など、小売事業におけるノウハウを持つ小売事業者の参入も盛んです。小売における自社ノウハウを活用し、右肩上がりの成長を見せているペットショップ業界に積極参入しています。

中小規模事業者同士のM&A

ペットショップ業界のM&Aにおいて最も多発しているケースは、ペットショップ同士のM&A事例です。同業者同士がM&Aによって合併や事業譲渡をするケースが多くあります。

特に多いのが、中小規模のペットショップ同士のM&Aによる合併です。資金力が不足し、設備・人材投資が難しい場合には、ペットショップ同士が合併し、経営基盤強化のための投資を共同で行うケースもあります。

また中小規模事業者同士のM&Aでは、双方の持つペットショップにおけるノウハウを共有することによる、シナジー効果の発揮も狙いです。双方の持つノウハウを共有することで、資金力のある大手ペットショップ企業に対抗することが目的となります。

ペットショップのM&Aにおける成功事例

ペットショップ業界におけるM&Aの成功事例を紹介していきます。

アニコムホールディングスとシムネットによるM&A

2019年12月に、アニコムホールディングス株式会社が株式会社シムネットの全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得金額は、一般公開されていません。

譲り受け企業である「アニコムホールディングス株式会社」は、ペット保険「アニコム損害保険」などを保有・運用する持株会社です。一方の「シムネット株式会社」は、ペットに関するインターネットサービスの企画開発・運営等を行っている企業になります。

本件M&Aにより、アニコムホールディングス株式会社は、当該各サービスの事業拡大を果たしました。また、シムネット株式会社が行う自社ペット保険代理店業務についても、両社緊密に連携することで、ペット保険契約件数の増加とシナジー効果の創出を図っています。

株式会社シムネットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

アミーゴとグロップによるM&A

2020年11月に、株式会社アミーゴが株式会社グロップの運営するペットショップを譲り受けしたM&Aの事例です。事業譲渡のスキームにより、グロップが岡山市内で展開するペットショップ1店舗を譲受しています。

譲り受け企業である「株式会社アミーゴ」は、アレンザホールディングス株式会社の連結子会社で、全国に店舗を展開するペットショップ運営企業です。一方の「株式会社グロップ」は、各種アウトソーシング・人材派遣事業・人材紹介事業・テレマーケティング事業・発送サービス・事務サービス・教育事業などを展開しています。

本件M&Aにより、アミーゴはグロップの持つ「里親探しのノウハウ(chouchou)」を活かし、自社ペットショップ事業の拡大を目指すことが狙いです。ペットショップ事業者と人材派遣会社のM&A事例になります。

当社連結子会社における事業譲受に関するお知らせ

イオンペットとニチイ学館によるM&A

2022年7月に、イオンペット株式会社が株式会社ニチイ学館が手掛けるグルーミング事業を買収したM&Aの事例です。ニチイ学館が運営するグルーミングサロン「A-LOVE」の全20店舗の内、19店舗をイオンペットが取得しています。

譲り受け企業である「イオンペット株式会社」は、ペット関連商品の販売、グルーミングサロンやペットホテル、動物病院、しつけ教室や保護犬猫の譲渡施設の運営など、ペットのトータルケアをサポートする多角的な事業を展開している企業です。一方の「ニチイ学館」は、医療・介護・教育関連企業ですが、一部ペット関連事業も手掛けています。

本件M&Aは、犬種ごとの特徴に合わせたグルーミングを可能にする高い専門性・技術を強みとする「A-LOVE」を取得することで、グルーミング事業の基盤強化を図ったものです。ノウハウの承継だけでなく、店舗増加による地域性強化にも成功しています。

株式会社ニチイ学館のグルーミング事業「A-LOVE」の 事業譲受に関するお知らせ

 

SBI少短保険ホールディングスと日本アニマル俱楽部のM&A

2019年3月に、SBI少短保険ホールディングス株式会社が、日本アニマル俱楽部株式会社の全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引における取得金額は、37億円となっています。

譲り受け企業である「SBI少短保険ホールディングス株式会社」は、SBIインシュアランスグループの子会社で、少額短期保険事業などを手掛ける保険会社です。一方の「アニマル俱楽部」は、ペット保険・ペットショップ事業などを運営している企業になります。

本件M&Aにより、SBIインシュアランスグループは、日本アニマル倶楽部とのクロスセルによるペット保険の販売チャネル拡充を図ることで、事業拡大とグループのさらなる成長加速を図ることが目的です。

当社子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

リックコーポレーションとジョーカーによるM&A

2015年9月に、株式会社リックコーポレーション(現:株式会社タイム)が株式会社ジョーカーの全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。取得金額は、約3億8,500万円となっています。

譲り受け企業である「株式会社リックコーポレーション」は、岡山県岡山市に本社を置き、中国・四国地方を中心にホームセンターなどを運営する企業です。一方の「株式会社ジョーカー」は、関東を中心にペットショップを運営する企業になります。

本件M&Aは、株式会社リックコーポレーションがジョーカーを買収することにより、赤字計上しているジョーカーの経営改善を図ることが狙いです。さらにジョーカーのトリミング事業を活かし、さらなる事業発展を目指しています。

リックコーポレーション、ジョーカーを子会社化

ペットショップのM&Aを行うことのメリット

ペットショップがM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。ペットショップのM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 市場競争力が高まる
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保

それぞれ詳しく解説していきます。

ペットショップでM&Aの売却を行うことのメリット

ペットショップでM&Aの売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 後継者不足の解消
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 市場競争力が高まる

それぞれ詳しく解説していきます。

後継者不足の解消

特に中小規模のペットショップにおける問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩むペットショップ関連企業が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。ペットショップ事業者に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模のペットショップの場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

市場競争力が高まる

ペットショップ業界は、右肩上がりの成長産業だけに市場競争率が非常に高いのが特徴です。競争力の高い市場で利益を上げるのは決して容易ではありません。

M&Aの自社譲渡によって、資金力のある大手企業の傘下に入れば、それだけで一気に市場競争力を高めることが可能です。また大手企業は資金力だけでなく、ショップの運営ノウハウにも優れているため、競争が激化した市場でも有効な戦略を立案・実行できることでしょう。

実際にペットショップ業界のM&Aは、市場競争力を高めるための事例がほとんどです。大手企業の傘下に入る事例はもちろんのこと、シナジー効果を得るための企業合併事例も多くあります。

ペットショップでM&Aの買収を行うことのメリット

ペットショップでM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる大きなメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

ペットショップのM&Aにおいては、売手となる企業が持つ商品や店舗建物のような有形資産に加え、顧客・運営ノウハウなどの無形資産を手に入れることも可能です。特にペットショップにおいては、「運営ノウハウ」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

またペットショップにおいては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかにペットショップ業界への早期参入が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

従業員の確保

ペットショップの運営においては、犬や猫の飼育・管理の専門知識を有した人材の確保が必須です。M&Aによってペットショップ事業者を買収することで、ペットショップにおける運営ノウハウを持った従業員を確保することができます。

ペットショップの運営において特に必要となる人材は、「動物取扱責任者」です。動物取扱責任者の要件を満たした人材を一から採用するのは非常にハードルが高いですが、M&Aによって動物取扱責任者の条件を満たした人材を引き継ぐことができれば、採用コストを削減することもできます。

またM&Aによって人材を引き継ぐことは、ペットショップの運営におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、ペットショップ運営もより優位に進めることが出来るでしょう。

ペットショップのM&Aにおける注意点

ペットショップのM&Aにおける注意点を解説します。ペットショップのM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 既存従業員の離職対策

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的にペットショップ事業を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

既存従業員の離職対策

M&Aにおいては、譲り受け企業・譲渡企業ともに既存従業員の離職に関して、細心の注意を払うことが必須です。特にペットショップ業界のような人材の確保が困難な業界であれば、尚更注意を払いましょう。

M&Aでは譲り受け企業・譲渡企業ともに組織変動が生じるケースがほとんどです。組織内における経営方針・人員変更は、既存従業員の離職を促すきっかけになりかねません。実際にM&Aによって、経営者側が意図しない程に多くの人材が離職するケースは多いです。

既存従業員の離職を防ぐためには、M&Aにおける今後の方針をより簡潔に既存従業員に通達することが重要になります。専門家の意見も取り入れながら、既存従業員が離職しない対策を立てましょう。

ペットショップのM&Aを成功させるためのポイント

ペットショップにおけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。ペットショップにおけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

無料相談のご予約:
https://sfs-inc.jp/ma/contact

 

相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

ペットショップのM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

ペットショップにおけるM&Aのまとめ

今回はペットショップにおけるM&Aについて、ペットショップ業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

ペットショップ業界は、市場成長率が高いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功しているペットショップ関連企業も数多く存在することから、ペットショップ関連企業にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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