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病院・診療所、クリニックのM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「M&Aは難しそうだ・考えたことがない」という医療経営者の皆様、是非、この記事を一読ください。

医師や看護師など医療従事者の人出不足や人件費の高騰など、医療関係の経営者にとって、課題が山積していることは皆様、ご承知の通りです。

これらの悩みだけでなく、

「高齢になったが後継者がいない」
「事業承継対策がわからない」
「休廃業だけは避けたい」

多くの医療経営者の皆様は、このようなお悩みや課題を抱えておられるはずです。

特に、昨今、問題となっている「事業承継」。

承継問題がボトルネックとなり、地域社会から医療機関が撤退することだけは必ず避けるべきことです。

また、一般事業会社と違って、地域から社会的公器である医療施設がなくなることは地域住民の生活インフラの危機に直結しかねない問題です。

医業が次の世代に適切に承継され、地域に根ざした診療が維持されていくことは、地域医療構想の持続発展の観点からも重要です。

さらに、近年の経済や社会などの周辺環境の変化に伴い、一般の企業だけでなく、医療施設やクリニック、診療所も従来型の医療経営ではなく、日々、新しい経営戦略が、他の業界と同様に求められているのが現状です。

これらの課題に対応するための効果的な手段の一つとして、医療機関のM&Aによる事業規模の拡大や効率化、事業承継などが、有効な戦略として挙げられています。

また、後継者がいない医療施設にとって、事業承継は存続のための重要な選択肢の一つです。

しかし、M&Aや事業承継は専門的かつ複雑でリスクも伴うため、成功には慎重な準備と戦略が必要です。

そこで、M&Aの専門企業であるM&A HACKが、病院やクリニック、診療所などの医療機関におけるM&Aと事業承継の全体像を三つのパートに分けて、以下の構成で解説していきます。

項 目 内 容
はじめに:
医療機関を襲う休廃業
  1. 病院・診療所の代表者は15年後には交代すべき年齢に
  2. 医療機関・診療所の休廃業は過去最多を記録
  3. 医療法人は事業承継対策が必須条件

  4. 親子承継が難しい時代に

第一部:
M&Aの概要を把握するために(中小企業のM&Aについて説明)
  1. 売り手側と買い手側それぞれのM&Aのメリット
  2. 実際の統計数値を見ながら、中小企業のM&Aの現状を把握
  3. 中小企業のM&Aの工程・流れを知る
第二部:
病院、クリニックや診療所など医療機関の概要
  1. 医療機関の定義と種類
  2. 持分あり医療法人と持ち分なし医療法人
  3. 医療法人の運営・意思決定の流れ(機関設計)
第三部:
病院、クリニックや診療所など医療機関のM&Aの手法・流れ
  1. 医療機関特有のM&Aのメリット
  2. 社員総会の議決権と成立条件
  3. 親族間承継のスキーム(出資持分移転・持分払戻し)
  4. 第三者承継のスキーム(合併・事業譲渡)
第四部:
病院、クリニックや診療所など医療機関のM&Aで欠かせないこと・まとめ
  1. 医療機関のM&Aの注意点としての競業避止義務
  2. 医療機関のM&Aを成功させる3つのポイント
  3. 終わりに

このような流れで、医療機関やクリニック、診療所のM&Aを明らかにし、成功のためのポイントを詳しく解説します。

病院やクリニック、診療所などの医療機関におけるM&Aや事業承継に興味を持つオーナー、理事長や関係者の皆様が、この記事を通じて、M&Aや事業承継に対してさらに良い意思決定を行うきっかけとなることを期待しています。(この部分のすぐ下に「目次」がありますので、お好きなところからお読みいただけます。)

目次

はじめに:医療機関を襲う休廃業

眼科クリニックのM&A

病院・診療所の代表者は15年後には交代すべき年齢に

病院と診療所の開設者・代表者は高齢化の一途を辿っています。「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、病院と診療所の開設者や代表者は、7割近くが既に60歳から70歳以上になっています。

眼科クリニックのM&A
眼科クリニックのM&A
出典:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況から「M&A HACK」作成

換言すれば、あと15年後くらいには、開設者や代表者は誰かと交代しなければならない段階にあるといえるのです。

事業戦略と事業承継の両立に苦慮している医療施設も多く、事業承継の見通しがたたないまま、代表者が高齢化し、経営戦略も明確に決められずに経営状態が悪化していく事例もあるでしょう。

医療機関・診療所の休廃業は過去最多を記録

次に、医療施設の休廃業・解散のデータをみると、医療機関・診療所とも2023年度は過去最多を記録しています。

帝国データバンクのデータでは、後継者不足について以下のようにまとめています。

診療所における後継者は、「後継者候補がおり、承継について意思確認済みである」が21.6%であるのに対し、「現段階で後継者候補は存在しない」が50.8%、「後継者候補はいるが、意思確認していない」が27.7%を占め、過半数の施設において後継者候補が存在しない状況となっている。

また、帝国データバンクの企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)から2024年に40歳~80歳になる「診療所」経営者の数をカウントしたところ、分布はグラフのとおり。ボリュームゾーンは65歳~77歳頃となって、高齢化が顕著だ。

こうした実態を踏まえると、今後、一定期間を経て、代表の高齢化と後継者不在を理由に、事業継続を断念する診療所施設は現在よりもさらに増える可能性が高い。

日本国内は高齢化がさらに深刻化していくが、その一方で「診療所」は相次いで姿を消していくことになるだろう。

出典:医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)| 株式会社 帝国データバンク(太字・赤字は「M&A HACK」による)

このように、医療施設や診療所の開設者や代表者にとって、後継者問題は避けて通れない問題で、近い将来には事業継続を断念する診療所などが続発する可能性があります。

医療法人は事業承継対策が必須条件

医療法人は、非営利法人であるため、剰余金の配当が禁止されています。

第五十四条 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。

出典:医療法第54条(e-gov法令検索)

そのため、時間の経過とともに医療法人の剰余金は留保され、出資持分の資産価値が設立当初よりも高額になる傾向があります。

この結果、医療法人の出資者が死亡した場合、出資者の相続人に多額の相続税が課せられる可能性があります。もし、出資者の相続人が相続税資金確保のために出資持分の払い戻し請求を行った場合、医療法人の経営に大きな影響も与えます。

これらを防ぐために、出資持分を放棄すると、残りの出資者への贈与とみなされ、他の出資者に贈与税が発生する可能性もあります。

逆に、すべての出資者が持分を放棄すると、出資者から医療法人への贈与とみなされ、医療法人に贈与税が生じてしまいます。

持分あり医療法人のリスク
パターン 想定されるリスク
出資者が死亡し、相続が発生
  • 相続人に多大な相続税が発生
  • 医療法人へ高額の払戻請求が発生
出資者の持分の放棄
  • 他の出資者に贈与税が発生
すべての出資者が持分放棄
  • 医療法人へ多大な贈与税が発生

このようなリスクを背景に、厚生労働省は、医療法人が長期的に安定した経営を続けるために「持分なし医療法人への移行」を促しています。これは以下のようなメリットがあるためです。

持分なし医療法人のメリット:

  • 出資持分についての相続税が課されなくなる
  • 出資者から払戻請求を受けることがなくなる
  • 急な出資持分の払戻請求がなくなるため、非営利性の徹底と医療の安定的な継続が図れる

このようなメリットにもかかわらず、令和5年度は医療法人社団総数57,643件のうち、持分あり医療法人が36,844件(63.9%)、持分無し医療法人が20,799件(36.1%)と、持分あり医療法人の件数が上回っています。

医療法人のM&A
出典:厚生労働省統計「種類別医療法人の年次推移」から「M&A HACK」作成

このように、全体の6割以上の37,000件近くが、まだ「持分あり医療法人」です。さらに、これらの多くは一人医師医療法人(出資者=理事長)で、持分の払戻請求をするか否かの判断は、容易に本人が判断できますが、持分あり医療法人では、出資者が死亡した場合、相続人には膨大な相続税が発生します。

親子承継が難しい時代になっている

さて、ここで、事業を引き継ぐものとして、従来型の親子承継について考えてみます。

親が医療施設や診療所を経営している場合、子供が医師であるケースはかなり多く、親子での事業承継が容易に考えられますが、以下の点について一度、お考え下さい。

  1. 子供は、医師としてではなく、経営者としての資質やスキルはあるか?
  2. 今後の地域の将来性に対する不安(特に地方において)から勤務医のほうが、気軽でいいと考えていないか?
  3. 研究に注力している、あるいは既に開業を考えている可能性はないか?

上記の3つの中で1つでも該当する場合、親子承継は困難になる可能性があります。

親子承継においては、後継者・子の「経営手腕や他の医師を統率するマネジメントスキルとカリスマ性がない」・「価値観が大きく違う」というリスクだけでなく、事業承継対策が入念に準備されていない場合、上述したように多額の相続税が発生することが考えられます。

そこで、事業継続を考える手段として、M&Aが有効な戦略となります。

ご承知のように、医療機関の代表者になるためには、医師免許を持っていることが大前提です。また、「持分移転」・「持分譲渡」や「分割」などの医療機関特有のM&Aのスキームが存在します。

しかしながら、これらの点だけが事業会社のM&Aと違うだけで、M&Aにおける基本的な考え、M&Aのメリットやデメリットなどは、基本的に日本の中小企業とほぼ同じです。

そこで、M&Aに対する基礎知識・理解を深めていただくために、まず、日本の中小企業におけるM&Aの概要について説明していきます。

以下から、中小企業に焦点を当てたM&Aの概要を説明していきます。医業に関係ない部分も一部ありますが、医療機関のM&Aを行う場合でも知っておくべき語句や内容が多いため、是非、ご一読ください。

第一部:M&Aの概要を把握する(中小企業のM&Aについて)

中小企業のM&Aの現状

中小企業にとって、M&Aのメリットは何か

まず、下の表のように中小企業のM&Aにおいてのメリットを売り手側・買い手側の両面から、くわしく説明していきます。

売り手側のメリット 買い手側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業拡大のチャンスになる
  • 新規事業へのハードル削減
  • 優秀な人材の確保

 

売り手・売却側のメリット:廃業よりもM&Aを選ぶべき

M&Aにおける売り手・売却側のメリットについて、それぞれ説明していきます。

後継者不在が解消できる

中小企業にとって後継者不足・不在による休廃業は大きな問題です。しかし、M&Aを実施することで休廃業を回避できる可能性があります。

また、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続できる可能性も高くなります。

多くの場合、大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が売り手側の経営者となるため、譲渡した企業の事業規模はこれまでより拡大される場合もあります。

後継者不足に悩んでいる企業にとって、会社の譲渡・M&Aを行うことは廃業を避けるためにも大きな手段のひとつなのです。

従業員の雇用を継続できる

売り手側の企業が廃業目前であった場合、M&Aを実行することで既存従業員の雇用を継続して守ることができます。

実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで買い手企業によって従業員の雇用が継続されています。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、既存従業員が被る影響は、廃業と比較してかなり大きく抑えることができます。

給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低い水準のままとなります。

また、M&A後に給与・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多くみられます。

このように、M&A後にさらなる好条件で雇用されるケースもあるため、既存従業員にとっては大きなメリットとなります。

資金調達・オーナーのEXIT

当然ながらM&Aによって売却された企業は、買収側の企業から金銭的収入を得ることができます。

この点は、売り手・売却側のオーナーにとっては大きなメリットです。

M&Aによって獲得した現金の使い道としては、以下が考えられます。

  • 残っている借入金の返済
  • オーナー自身の引退後の生活資金
  • 新規事業における資金源

もし、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。

このように、オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、はるかにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化が続いてきた日本では、生き残りのために複数以上の事業を多角展開する企業も珍しくありません。

しかし、事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因になる可能性があります。

M&Aのスキームの一つである事業譲渡」によって、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。

実際に事業譲渡で、特定の事業だけを他社に売却する企業は数多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却し、得意分野に資金や人員を集中することで、経営状態の好転にもつながる事例も多くもあります。

借入における個人保証の解除

借入での資金調達では、当然ながら返済義務が生じ、返済ができない場合は個人資産を失うことになります。これは、経営者にとって大きな精神的負担となります。

特に中小企業の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者の個人保証や個人資産を担保に入れることがほとんどのはずです。

倒産や廃業に陥った場合、オーナー個人の損害は甚大なものとなります。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、債権債務も買い手に引き継がれることが多いため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。

このように、オーナーが持っていた大きな悩みの種をすべて解消することに繋がるのです。

医療機関においても、「後継者不足の解消」・「従業員の雇用継続」・「オーナーのEXIT」・「借入における個人保証の解除」などは大きなメリットです。
中小企業のM&Aのポイント

買い手・買収側のメリット:事業拡大はM&Aで

M&Aにおける買い手・買収側のメリットは、以下の通りです。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買い手・買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることです。

M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を達成することができます。

これは、M&Aにおいては、売り手企業が持つ設備や不動産のような有形資産に加え、顧客・取引先・各種情報などの無形資産を手に入れることも可能だからです。

特に、中小企業双方のM&Aは市場シェアを拡大させ、ライバルに圧倒的な差を付けることにも繋がります。

新規事業参入へのハードル削減

買い手・買収側企業にとって、新規事業や新規分野への参入を迅速に行うための有効な手段の一つであるM&A。

M&Aによって、自社の経営資源だけでは難しい新規分野への進出がスピーディーに実現できるようになります。

内部の資源だけでゼロから新規事業を構築するよりも、買収によって事業そのものを買うことのほうが、はるかに早期の進出が可能となるのです。

さらに、M&Aによって新しい事業を買収し、一つだけの事業展開で生じるリスクを回避することも可能になります。

このように、売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるM&Aは、ここ数年で一気に増加しています。

M&Aを行うことで、新規事業への投資額は減少し、参入コストと時間が削減されることで、結果として、早期の段階で利益を確保できるといえます。

優秀な人材の確保

少子高齢化が問題となっている現代では、優秀な人材の確保がどの業界においても必須の課題です。

M&Aを行うことによって、売り手・売却側企業に所属する従業員をそのまま雇用すれば、優秀な人材をそのまま自社に引き入れることができます。

業界におけるノウハウも既に所有しているため、研修を行う手間も省くことが可能なのです。

中小企業のM&Aの現状

このように中小企業のM&Aは、売り手も買い手もそれぞれ大きなメリットを得ることができます。

次からは、実際の統計数値を見ながら、中小企業のM&Aの現状を説明していきます。

統計で見る中小企業のM&Aの現状

2024年現在の最新データである「2023年版「中小企業白書」全文 | 中小企業」(以下、白書という)の中で、中小企業の事業承継やM&Aに関する部分について、M&Aの専門企業であるM&A HACKの視点から独自に説明していきます。

事業継承が進み、後継者不足は減少傾向に

第2-2-3図(白書)のように、後継者不在率は、2017年の66.5%をピークに減少傾向にあり、2022年は57.2%と、2011年以降初めて60%を下回っています。

これは、後継者不在の課題が改善されつつあることを示しています。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-117

なぜ、後継者不在率は減少傾向にあるのか。

その答えは、2021年以降の50歳代と60歳代における後継者不在率の低下にあります。

第2-2-4図(白書)を見ると、50代(緑色)と60代(水色)の後継者不在率が2021年から低下していることがわかります。

これは、休廃業する50代から60代の経営者が減少していることを意味します。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-118

その一因として、白書では、以下のように述べています(太字は「M&A HACK」による)

今回の調査だけでは一概にいえないものの、50 歳代・60 歳代における後継者不在率が低下した要因の一つとして、同年代において事業承継が進み、後継者不在による休廃業の動きを鈍らせた可能性が考えられる。

引用:中小企業白書 2023 Ⅱ-118

このように、年齢的に次の10年を考える50代から60代の経営者層が、実際に事業承継を行っているために後継者不在率は低下傾向にあるわけです。

昨今、一般事業会社では、事業承継が活発化しています。これらのノウハウが蓄積され、医療機関の事業継承も、今後、活発化すると予測しています。

事業承継の類型と現状

このように、増加傾向にある事業承継ですが、ここでは、その類型と現状を説明します。

まず、以下の表(「中小企業白書 2023 Ⅱ-127 第2-2-10図 事業承継の類型」を一部変更を加えて引用)のように、白書が示している事業承継の類型は3つあります。

類 型 概 要
親族内承継

 

 

  • 現経営者の子をはじめとした親族に承継
  • メリット:1)内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。2)後継者の早期決定で十分な準備期間が確保できる。3)相続等で財産や株式を後継者に移転できるため所有と経営の一体的な承継が期待できる。
従業員承継

 

  • 「親族以外」の役員・従業員に承継させる方法
  • メリット:1)経営能力のある人材を見極めて承継できる。2)長期間働いた従業員は経営方針等の一貫性を保ちやすい。
社外への引継ぎ(M&A)

 

 

  • 株式譲渡や事業譲渡等により社外の第三者に承継(M&A)
  • メリット:1)親族や社内に適任者がいない場合でも、事業継承が可能。2)現経営者は会社売却の利益を得ることができる。3)M&Aが企業改革の好機となり、更なる成長の推進力となることもある。

この3つの類型の中で実際にどれが多いのかについての調査結果が以下の第2-2-11図(白書)です。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-128

このグラフを見ると、従来型の親族内承継(青色)は減少傾向にあり、2022年は従業員承継(オレンジ色)と同率となっています。また、いわゆるM&A(赤色)は、2020年から増加傾向にあります。

このように、親族内継承は減少し、従業員承継とM&Aが昨今、増加傾向にあるのです。

事業承継後は売上が増加する

上述したように、事業承継そのものが増加傾向にあり、その中でも従業員承継とM&Aが主役となっています。

そこで、実際に事業承継後の企業成長について分析したものが、第2-2-12図(白書)です。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-128

これは、売上高成長率を同業他社との差で示したものです。

事業承継後、2年間は同業他社と比較してマイナス成長ですが、5年目以降は事業承継実施企業の成長率は上回っています。

このように事業承継は企業の新たな成長機会であることが明確に数値として示されているのです。

M&Aは活発化:2022年は過去最多

事業承継の3つの類型の中で、社外への引継ぎ(いわゆるM&A)の件数推移が、第2-2-42図(白書)となります。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-173

2022年は過去最多の4,304件となっており、非公表のデータも考慮すれば、近年のM&Aは極めて活発化しているといえます。

ここまでのまとめ

ここまで説明してきた中小企業のM&Aの現状をまとめたものが以下となります。

  1. 50代から60代の経営者は、企業の持続的成長のために積極的に事業承継を実施している。
  2. その事業承継のパターンとして従業員承継とM&Aが増加している。
  3. M&A実施企業は、同業者よりも成長率が高い傾向にある。

このように、中小企業にとってM&Aは、企業の持続的な成長にとって欠かせない戦略になっていることが数値としても明確に現れているのです。

参考:買い手側から見た中小企業M&A

以下は、参考資料として「買い手側のM&Aに対するニーズや目的」を白書から紹介します。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-175

第2-2-44図(白書)から、以下のような買い手側の特徴がみられます。

  1. 買い手側は自社よりも小規模の会社が買収対象となっている
  2. 異業種ではなく、同業種の買取りを望んでいる
  3. 仕入先や協力会社が対象となっている
  4. 同一の都道府県か近隣の企業が対象としている
  5. 水平統合型M&Aを目的としたものが多い

次に、買い手側企業の買収目的の分析結果が、第2-2-45図(白書)です。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小企業白書 2023 Ⅱ-176

この結果から、M&Aを実施する主な目的は、「売上やシェア拡大」、「新規事業・異業種参入」のほか、「優秀な人材の確保」や「専門技術やノウハウの獲得」などとなっています。

中小企業のM&Aの現状

ここまで、中小企業のM&Aの現状について「2023年版「中小企業白書」全文 | 中小企業庁」から実際の数字で確認してきました。

最後に、中小企業のM&Aの工程・流れについて説明していきます。

中小企業のM&Aの各工程・流れ

中小企業のM&Aの現状

中小企業のM&Aの全体の工程・流れが下図です。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小M&Aガイドライン(第2版) P30

このフロー図は、中小企業庁が作成した中小M&Aガイドライン(第2版)に掲載され、以下のように説明されています(太字・赤字はM&A HACKによる)

一般的に、中小M&Aは、以下のフロー図の「中小企業の動き」に記載の流れに沿って進むことが多い。また、同図の各工程においては、「主な支援機関」に記載の支援機関が中小M&Aの支援を行うことが多い(実際には、個別の事例において、これら以外の支援機関が支援を行うケースもある。)。

出典:中小M&Aガイドライン(第2版) P29

ここで指摘されているように、中小M&Aの大半はこの流れで行われると同時に、各工程それぞれにM&A専門業者が助言・支援を行っているのが現状です。

では、それぞれの工程の概要を「中小M&Aガイドライン(第2版)P30-46」に準じて説明します(注:下の表の見出しは、上のフロー図記載の見出しに準じています。例.「(1)意思決定」)。

 医療機関の事業継承・M&Aも、ほぼ同様の流れ・ステップとなります。

以下の表で、大まかな中小企業のM&Aの各ステップが理解いただけるはずです。

工程・流れ 内容
(1)意思決定

 

  • 経営者がM&Aを行うかどうかの決定は容易ではなく、支援機関への相談も行う。
  • その後、最後の意思決定を経営者自らが行う。
(2)ー1 仲介者・FA(※)を選定する場合

 

 

 

  • まずは、M&A専門業者のような仲介者・FAを選定し、仲介契約・FA契約を締結する。
  • 仲介者・FAの選定は、報酬だけでなく業務形態や業務範囲・内容、M&A取引の実績などを確認し、複数から比較検討して決定する。

※FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは、買い手側・売り手側それぞれ一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関のこと。

(3)バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
  • 企業価値評価は事例ごとに異なるため、適切な方法の選択には支援機関やM&A専門業者への相談が望ましい。
(4)譲り受け側の選定(マッチング)
  • 相手を探すマッチングは、最も重要な工程。
  • 信頼できるM&A専門業者などにマッチング支援を依頼して進めることが有用。
(5)交渉
  • 売り手・買い手の経営者同士の面談(トップ面談)は、特に重要。
(6)基本合意の締結
  • 基本合意は、その時点における売り手・買い手の主な了解事項を確認して締結。
(7)デュー・ディリジェンス(DD)
  • 買い手が、売り手の財務・法務などの観点から第三者専門家に依頼して調査。
(8)最終契約の締結
  • DDで発見された点や基本合意で留保していた事項について再交渉を行い、最終的な契約を締結する。
  • 株式譲渡か事業譲渡が用いられることが多い
(9)クロージング
  • 株式や事業の譲渡、譲渡代金の支払を行う。
(10)クロージング後(ポストM&A)
  • クロージング後、売り手側は、PMI(M&A 実行後における事業の統合に伴う作業)として、買い手側への円滑な引継ぎに誠実に対応する。

中小企業のM&Aでは、専門業者も必要

中小企業のM&Aの現状

ここまで、中小企業の観点からのM&Aについて、売り手・買い手双方のメリット、数値による概況やM&Aの類型、各工程について説明してきました。

また、M&Aを円滑に進めるためには、数多くの事例を取り扱っている我々のようなM&A専門企業の必要性もご理解いただけたと思います。

今までの説明で、もしご不明な点、さらに深く知りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。ご相談は無料です。

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さて、次からは、クリニックや診療所などの医療機関のM&Aについてくわしく説明していきます。

第二部:病院、クリニックや診療所など医療機関の概要

クリニック・診療所のM&A

M&A戦略には機関設計(経営において意思決定を行う機能)の把握が重要です。次からは、医療機関の定義や形態、意思決定の流れについて簡単にまとめます。

医療機関の定義と種類

病院と診療所の定義

医療法第1条第5項において、病院と診療所は以下のように定義されています。

第一条の五 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。

2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

出典:医療法第1条第5項(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK

このように、入院施設がない、あるいは入院上限が19人以下なら、その医療機関は診療所(医院・クリニック)に分類されます。

よって、運営主体が個人か法人かに関係なく、施設の規模で「病院」か「診療所」に区分されます。

個人か医療法人か:医療機関の運営主体

以下のグラフは、病院と診療所の運営主体を示したものです。

クリニックのM&A
クリニックのM&A
出典:令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況|厚生労働省から「M&A HACK」作成

2022年の統計では、病院運営者の約70%が医療法人、診療所運営者は、医療法人・個人いずれも約40%となっています。

また、個人経営と法人経営の区分については、医療法第39条第1項において、医療法人を以下のように定義しています。

「医療法人とは、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団で、都道府県知事の認可を受けたものをいう。」

出典:医療法第39条(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK

つまり、医療法人とは以下の要件を満たす社団または財団のことを指します。

  • 病院、診療所、介護老人保健施設、または介護医療院を開設しようとすること
  • 都道府県知事の認可を受けていること

ここでは、社団・財団の区別については説明しませんが、平成22年3月末現在では、全医療法人のうち99.1%以上が社団たる医療法人となっています。

ここまで述べてきたように、病院・診療所(医院・クリニック)とも大多数は、個人か、医療法人(社団が大多数)のいずれかで運営されているといえます。

持分あり医療法人と持分なし医療法人

この点については、医療法人の基礎知識 ー 厚生労働省がうまくまとまっているため、以下に引用します(太字・赤字はM&A HACKによる)

  • 出資持分のある医療法人

社団医療法人であって、その款に出資持分に関する定め(通常は、①社員の退社に伴う出資持分の払戻し、及び、②医療法人の解散に伴う残余財産の分配に関する定め)を設けているものをいいます。
平成19年施行の第五次医療法改正により、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりましたが、既存の出資持分のある医療法人については、当分の間存続する旨の経過措置がとられており、これらは「経過措置型医療法人」と呼ばれることもあります。
このような経過措置型医療法人は、平成22年3月31日現在、社団医療法人の93.3%を占めています。

  • 出資持分のない医療法人

社団医療法人であって、その定款に出資持分に関する定めを設けていないものをいいます。平成19年施行の第五次医療法改正により、社団医療法人を新規設立する場合は、出資持分のない医療法人しか認められないことになりました

出典:医療法人の基礎知識 P2 ー 厚生労働省(太字は「M&A HACK

このように、現在、医療法人は、持ち分あり社団医療法人が大多数を占めているといえます。

社団法人の運営・意思決定の流れ(機関設計)

社団法人の機能や運営について、下記のイメージ図に沿って説明します。

医療機関のM&A
出典:医療法人の基礎知識 P5 ー 厚生労働省

社員(イメージ図①):
社団医療法人では、出資額や出資持分の割合にかかわらず1人につき1個の議決権を行使できる。

株式会社における株主とは異なり、出資者でなくても社員になることが可能。医療法人の非営利性から、株式会社などの営利法人は医療法人の社員になることはできない。

社員総会(同上②):
株式会社の株主総会に相当する最高意思決定機関で、役員である理事および監事の選任解任や報酬の決定、貸借対照表・損益計算書の承認,、新たな社員の加入(入社)の承認などを行う。

第四十六条の五の二 社団たる医療法人の役員は、いつでも、社員総会の決議によつて解任することができる。

出典:医療法第46条5の2(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」)

第五十一条の二 社団たる医療法人の理事は、前条第六項の承認を受けた事業報告書等を社員総会に提出しなければならない。

2 理事は、前項の社員総会の招集の通知に際して、厚生労働省令で定めるところにより、社員に対し、前条第六項の承認を受けた事業報告書等を提供しなければならない。

3 第一項の規定により提出された事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)は、社員総会の承認を受けなければならない。

4 理事は、第一項の規定により提出された事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書を除く。)の内容を社員総会に報告しなければならない。

出典:医療法第51条の2(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

理事会(同上③):
社団医療法人の役員は理事(原則として3名以上)と監事(1名以上)からなり、理事全員により理事会が組織される。理事は、社員総会によって選任される。

第四十六条の五 医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。

2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によつて選任する。

出典:医療法第46条(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

理事長(同上④):
理事のうち1人を理事長として、原則として医師・歯科医医師である人のなかから選ぶ。 理事長は、医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する。

第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。

出典:医療法第46条の6(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

第四十六条の六の二 理事長は、医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

出典:医療法第46条6の2(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

第三部:病院、クリニックや診療所など医療機関のM&Aの手法・流れ

クリニックのM&A

医療機関特有のM&Aのメリットは何か

第二部で説明した中小企業のM&Aにおいての売り手側・買い手側のメリットに加え、病院、クリニックや診療所など医療機関のメリットを赤色で示したものが下の表です。

売り手側のメリット 買い手側のメリット
  • 経営難の事業や老朽化した施設の再生
  • 創業者利益の獲得(医療法人の出資者・基金拠出者が、出資・拠出額を上回る対価を得ること)
  • 後継者不足の解消
  • 従業員の雇用継続
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 借入における個人保証の解除
  • 開業にかかる初期費用が削減できる
  • 医師・看護師などの専門職人材の確保
  • 法人設立・医療施設開設の許認可手続きの省略(一部のスキームでは手続きが必要)
  • 病床増加が困難な地域(病床過剰地域)での病床確保
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業へのハードル削減

 

ご承知のように、病床数は各自治体の医療計画に基づいて適正配置がなされることになっています。買い手側にとっては、病床数が上限に達している地域では自力では病床を拡大することは難しく、M&Aが病床拡大の数少ない手段の一つといえます。

売り手側にとっては、後継者不在の問題の解消だけでなく、従業員の雇用確保も実現できることになり、こちらも大きなメリットであるといえます。

M&Aのポイント:社員総会の議決権と成立条件を知る

医療法人の社員総会は以下のように規定されています。

  1. 社員の議決権:
    社員は各1個の議決権を有する。
  2. 社員総会の成立要件:
    社員総会は、定款に別段の定めがない限り、総社員の過半数の出席がなければ、議事を開き、決議をすることができない。
  3. 社員総会の議決方式:
    社員総会の議事は、法律や定款に別段の定めがない限り、出席者の議決権の過半数で決する。- 可否同数の場合は、議長の決するところによる。

出資持分が100%であっても、自身の社員としての議決権は1個であるため、他の社員の賛成を得なければ、役員の選任ができず、経営権の掌握はできないことに留意しておく必要があります。よって、社員の過半数を買い手側が占めることで、社員総会が開催され議事を決議できることとなります。

また、医療法人の名称を変えるためには定款の変更で、この場合、総社員の3分の2以上の出席と出席者の3分の2以上の賛成が必要です。この点も考慮した設定が必要です。

この規定は持分なし医療法人と持分あり医療法人の両方に共通して適用されるものです。

第四十六条の三の三 社員は、各一個の議決権を有する。

2 社員総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、決議をすることができない。

3 社員総会の議事は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

出典:医療法第46条第3項3(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

ここまで、医療法人の機関設計について説明してきました。

これらを前提として、以下から、具体的なM&Aのスキームを説明していきます。

親族間承継のスキーム

医療法人の理事長が、後継者に持分を譲渡するなど、親族間での事業承継の方法です。

出資持分移転:親族間で出資持分譲渡契約を締結し、持分を譲渡

まず、当事者間(現理事長と後継者である子など)で、持分譲渡契約を締結します。

現在の社員が、後継者に好ましい議決権を行使する(役員解任などを決議しない)と想定される場合は、以下に示す社員の入れ替えは必要ありません。
クリニックのM&A
親族間承継のイメージ(作成:「M&A HACK」)

事業会社では、株式を譲渡することで、経営権は移転しますが、医療法人の場合、医療法人における出資持分は、定款に定めた場合に認められる出資の払戻請求権および残余財産分配請求権の財産権だけで、経営権は伴いません。

そこで、社員の入れ替えが必要となります。

医療法は、社員の入退社に関する規定を置いていません。しかし、通常は「社員は、社員総会の承認により入社」・「社員は、除名、死亡または退社によってその資格を失う」と定款に規定される場合が多いです。

よって、新社員の入社には、旧社員で構成される社員総会の承認決議が必要となります。また、旧社員は、除名事由がなければ除名できないため、旧社員を退社させるには、自主的な退社を促すしか方法はありません。したがって、社員の入退社には旧社員の協力が不可欠で、旧社員に対して十分な説明や相応の退職金を支払うだけでなく、丁寧な協力の依頼などが必要となります。

出資持分移転のメリット・デメリット

出資持分の移転は、持分譲渡契約書を締結し、社員を入れ替えるだけで、手続きが容易です。医療法人の法人格も何も変わらないため、許認可だけでなく、雇用や取引関係も原則として影響を受けません。

基本的には保健所・法務局・税務署に所定の届出を行うのみで、容易に診療を開始できます。また、役員退職金は、適正な金額(在任期間・役員報酬額・功績倍率から算出)であれば医療法人の経費にできます。

一方、デメリットとしては、承継者が「相続または贈与」で出資持分を承継した場合は、承継者に「相続税または贈与税」が課せられます。

譲渡によって承継した場合は、譲渡した側に譲渡価額と帳簿価額との差額に対して譲渡所得税が課せられます。

さらに、出資者に、後継者以外の相続人が存在する場合、他の相続人との調整が必要となります。出資者の財産が出資持分だけの場合、後継者に出資持分すべてを承継させるとトラブルの原因となります。

メリット デメリット
  • 手続が容易である
  • 新たに許認可を取る必要がない
  • 雇用関係に影響を与えない
  • 原則として、取引の相手方の同意・承諾は不要
  • 退職金は損金扱いとなる

 

  • 相続人・受贈者にそれぞれ相続税または贈与税が発生する可能性がある
  • 譲渡人に譲渡所得税が発生する可能性がある
  • 出資持分を譲渡する場合、後継者は買取資金が必要となる
  • 後継者以外の相続人がいる場合は、それぞれの調整が必要
  • 持分移転後、簿外債務やトラブルが露呈する可能性がある

持分払戻し:現理事長の退社・持分払戻しと新理事長の入社・持分出資

こちらについても現在の理事長などの出資者が、医療法人を退社し、出資持分の払戻しを受け、後継者が、出資するとともに入社するという手法。

クリニックのM&A
持分の払戻しのイメージ(作成:「M&A HACK」)

この場合も、社員の入れ替えを行い、経営権を掌握する必要があります。

持分払戻しのメリット・デメリット

出資持分譲渡スキームと同様に手続きが簡易、医療法人の法人格がも何も変わらないため、許認可だけでなく、雇用や取引関係も原則とし提示される点は同じです。さらに、出資持分譲渡スキームと違い、他の相続人がいても調整が不必要な点がメリットといえます。

しかし、出資持分払戻しに対して所得税が課せられる、新理事長は出資の費用負担が必要となるといったデメリットがあります。

メリット デメリット
  • 手続が容易である
  • 新たに許認可を取る必要がない
  • 雇用関係に影響を与えない
  • 原則として、取引の相手方の同意・承諾は不要
  • 後継者以外に相続人がいても調整は不必要

 

  • 出資持分払戻詩しの際に所得税が発生する可能性がある
  • 新たに出資が必要となるため後継者は資金をねん出する必要がある

 

 

次からは、第三者が承継するスキームについて説明していきます。

クリニックのM&A

第三者承継のスキーム

第三者承継の場合、出資持分は相続や贈与といった移転ではなく、第三者への譲渡となります。

出資持分譲渡:第三者との間で出資持分譲渡契約を締結し、持分を譲渡

現理事長と第三者との間で出資持分を譲渡するもので、上述した、出資持分移転スキームと手続きは同じです。

医療法人の譲渡価格は、「純資産(資産と負債の差額)にのれん代を加算」した金額となります。のれん代とは、ブランドや付加価値(将来性、土地の利便性、集患力、ノウハウ、従業員の質の高さ、医療器具設備など)のことです。

譲渡価格の算出方法は規定されておらず、M&A仲介会社によって算出方法は異なります。

ただし、譲渡前のデューデリジェンス(詳細は後述)で財務・法務・労務のリスク(従業員の未払い給与・患者トラブルなど)が見つかった場合は、譲渡価格が減額される可能性があります。

逆に、算定された譲渡価格が高値の場合、買い手が見つからず、役員退職金などで過年度利益を調整して評価額を下げるという手法もあります。この場合、退職金に対して所得税が課せられるため、出資持分を譲渡した場合の譲渡所得税も勘案したうえで、最終的な譲渡額を決定する必要があります。

持分払戻しスキーム

現理事長が退社し持分払戻しを行うと同時に、第三者側の理事長が持分出資を行い入社するスキームで、こちらについても、親族間承継の持分払戻しスキームと同じです。

合併

複数の医療法人が1つの法人に一体化するという手法で、吸収合併と新設合併という2つのスキームがあります。

クリニックのM&A
新設合併・吸収合併のイメージ(作成:「M&A HACK」)

上記イメージのように、新設合併では、例えばA社とB社が合併し、新設のC社という医療法人を設立します。同時にA社とB社は法人格が消滅します。合併によって消滅するA社とB社の権利義務の全部を合併によって設立されたC社に承継させるものです。

吸収合併では、A社はB社に吸収され、B社が存続し、A社は消滅します。この場合、合併により消滅するA社の権利義務の全部を合併後存続する医療法人B社に承継させます。

第一款 合併
第一目 通則
第五十七条 医療法人は、他の医療法人と合併をすることができる。この場合においては、合併をする医療法人は、合併契約を締結しなければならない。
第二目 吸収合併
第五十八条 医療法人が吸収合併(医療法人が他の医療法人とする合併であつて、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併後存続する医療法人に承継させるものをいう。以下この目において同じ。)をする場合には、吸収合併契約において、吸収合併後存続する医療法人(以下この目において「吸収合併存続医療法人」という。)及び吸収合併により消滅する医療法人(以下この目において「吸収合併消滅医療法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。

第三目 新設合併
第五十九条 二以上の医療法人が新設合併(二以上の医療法人がする合併であつて、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併により設立する医療法人に承継させるものをいう。以下この目において同じ。)をする場合には、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 新設合併により消滅する医療法人(以下この目において「新設合併消滅医療法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地
二 新設合併により設立する医療法人(以下この目において「新設合併設立医療法人」という。)の目的、名称及び主たる事務所の所在地
三 新設合併設立医療法人の定款又は寄附行為で定める事項
四 前三号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項

出典:医療法第57条から第59条(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」) 

医療法人の合併は、医療法人同士であれば、異なる種類の医療法人間でも合併が可能です。

存続医療法人または新設医療法人が社団医療法人の場合、原則として持分なし医療法人となります。例外的に、持分あり医療法人同士の吸収合併の場合は、持分あり医療法人とすることができます。

合併の流れは以下の通りです。

  1. 当事者間で合併契約を締結
  2. 総社員の同意(社団医療法人の場合)、または理事の3分の2以上の同意(財団医療法人の場合)
  3. 合併について都道府県知事への認可申請
  4. 債権者保護手続き(認可後2週間以内に財産目録・貸借対照表を作成して主たる事務所に備え置き、債権者に開示)
  5. 4と同じ期間内に、合併に異議があれば申し出るように債権者に対し公告、判明している債権者へは個別に催告する(申出期間は2か月以上設ける)
  6. 申出期間内に異議が述べられなかった場合は合併が債権者に承認されたものとし、異議が述べられた場合は弁済や担保提供などで対応する
  7. 合併契約書に規定された効力発生日に合併が成立し、消滅する医療法人の権利義務(資産・債務・雇用契約など)が存続する法人(または新設法人)に承継される
  8. 合併の登記を行う

合併のメリット・デメリット

合併は、買い手側は新たな許認可を取る必要はありません。同時に、買い手側は、存続医療法人または新設医療法人の持分を対価とすることができるため、買収資金を準備する必要がありません。

また、合併は、コスト削減・業務の効率化といった経営基盤の強化・拡大が見込めます。

しかし、合併は、対象医療法人の事業、資産、負債等を包括的に承継するため、簿外債務などの潜在債務を承継するリスクがあります。

また、都道府県知事による認可、債権者保護手続きなどの法定手続が必要で、一定の時間を要することに留意が必要です。

さらに、消滅医療法人の出資者は、合併によって取得した存続医療法人の出資持分を継続して保有する必要があります。

メリット デメリット
  • 新たに許認可を取る必要がない
  • 買い手側は、買収資金を準備する必要がない
  • コスト削減や業務の効率化など経営基盤が強化される

 

  • 買い手側は、簿外債務や潜在債務を引き受けるリスクがある
  • 法定手続を経るため時間がかかる
  • 適格合併の要件を満たすためには、消滅医療法人の出資者は、合併により取得した存続医療法人の出資持分を処分できない

事業譲渡

医療法人の事業の一部または全部を譲渡する手法が事業譲渡です。分割や合併とは異なり、医療法には特に規定がなく、一般的な譲渡取引を通じて権利義務を個別に相手法人に移転するスキームです。

下図のように、医療法人の事業部門の一部あるいは全部を第三者に譲渡するものです。

クリニックのM&A
事業譲渡のイメージ(作成:「M&A HACK」)

事業譲渡の対象となる資産や負債、権利義務は契約によって定めることになります。従業員や債務、契約上の地位は移転しないため、個別に相手方の同意・承諾を取得する必要があります。

また、事業譲渡は、重要な資産の処分に該当することになることが多いため、理事会の決議が必要になります。 また、厚生労働省が策定した「旧制度(平成18年改正前)の持分の定めのある社団医療法人定款例」における「その他重要な事項」(社団医療法人モデル定款24条(10)号)に該当すると考えられているため、同様の規定を設けている場合には、社員総会の決議も必要になる場合があります。

第四十六条の七

3 理事会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を理事に委任することができない。
一 重要な資産の処分及び譲受け
二 多額の借財

出典:医療法第46条の7第3項1(e-gov法令検索)(太字は「M&A HACK」)

第24条次の事項は、社員総会の議決を経なければならない。
(1)定款の変更
(2)基本財産の設定及び処分(担保提供を含む。)
(3)毎事業年度の事業計画の決定及び変更
(4)収支予算及び決算の決定(5)剰余金又は損失金の処理
(6)借入金額の最高限度の決定
(7)社員の入社及び除名
(8)本社団の解散
(9)他の医療法人との合併契約の締結
(10)その他重要な事項

出典:旧制度(平成18年改正前)の持分の定めのある社団医療法人定款例(太字は「M&A HACK」)

さらに、事業譲渡においては、許認可は承継されず、売り手法人がその病院・診療所をいったん廃止し、買い手側で改めて開設するという許可申請の手続きが必要です。

また、病床についても、買い手側が新たに病床の設置許可等を取得する必要がありますが、病床過剰地域においては引き継ぎが認められない場合がありますので、事前に行政に確認しておく必要があります。

さらに、病院等の開設主体が変わるため、保健医療機関の指定申請も必要となります。指定を受けるまでは保険診療を行えないため、そのような事態を避けるために、特定の条件を満たす場合に限り、開設日に遡って保健医療機関の指定を受けることができますが、その要件を満たしていることを事前に確認しておく必要があります。

事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡は、分割よりも細かく承継対象を選別できます。そのため、簿外債務や潜在債務のリスクを回避できる可能性が高くなります。

権利義務の数が多い場合、従業員や契約上・債務上の相手方などとの同意と承諾が必要になるため、移転の手続きが繁雑になります。さらに、許認可も承継できないため、上述した許可申請等が必要になってきます。

メリット デメリット
  • 承継する権利義務を取捨選択できる
  • 簿外債務や潜在債務を引き受けるリスクがない

 

 

 

  • 手続が煩雑
  • 売り手側は、病院等の廃止届を提出する必要がある
  • 買い手側は許認可を取得する必要がある(医療機関番号も引き継げない)
  • 入院継続の場合、入院患者からも同意が必要
  • 継続してかかる患者には初診料がかかる
  • 他のスキームとして「分割」がありますが、ここでは説明しません。

第四部:病院、クリニックや診療所など医療機関のM&Aについて欠かせないこと

中小企業のM&Aの注意点

ここまで、病院、クリニックや診療所など医療機関におけるM&Aの必要性や、親族間事業承継や事業譲渡などの具体的なM&Aのスキームについて説明してきました。

また、冒頭で説明したように医療機関にとってのM&Aの重要性・必要性については、ご理解いただけていると考えています。

そこで、医療機関がM&Aを行う際に留意すべき点として、競業避止義務について説明していきます。

競業避止義務:病院、クリニックや診療所など医療機関のM&Aの注意点

医療機関のM&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。

競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

以下が留意すべき点です。

  1. 情報の非公開化:
    M&Aに関わるものは、取引の過程で得た相手方の機密情報や営業上の秘密を外部に漏らさない義務があります。
  2. 事業活動の制限:
    M&A後、特に売り手側の理事長は、一定期間、新たに病院を開設し運営することが制限されます。また、以前に勤務していた病院等の資源(人材や情報網など)を利用して、新病院等を開設することは、善管注意義務に違反する可能性があります。また、消滅する医療法人の理事や従業員は、一定期間・一定地域での競業行為が制限される場合があります。
  3. 顧客やサプライヤーとの関係:
    M&Aを通じて得た顧客や取引先との関係を利用して、不当な競争優位を得る行為を避ける義務があります。
  4. 従業員の扱い:
    M&Aで発生する可能性がある従業員の解雇や職務の変更に際して、公平な手続きを行う義務があります。これには、適切な通知期間の提供や、必要に応じた再教育・再配置の支援が含まれます。

M&Aを行う際は、事業の継続性や患者の信頼確保、さらには患者の利便性や医療の質の維持・向上を最重要課題と考え、これらの競業避止義務に留意し、適切な契約内容を定めることが重要です。

医療機関のM&Aを成功させる3つのポイント

ガラス製造・土石製品製造会社のM&A

今までのM&A HACKの経験から、医療機関のM&Aを成功させるためには、大きく3つのポイントがあると考えています。

  1. M&A戦略の綿密な立案
  2. 相場価格をよく理解しておく
  3. 統合後のプロセス(PMI)の重要性

これらをそれぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案のポイント

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自らの医療機関の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自身の機関は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになります。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

M&Aについて自らの機関に詳しい人物がいない場合、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用は必要ですが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれます。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

  • 無料相談のご予約は「こちら」から

相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、相手先の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

医療機関のM&Aでは、上述したように株式譲渡か事業譲渡が活用されます。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほど、相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A専門業者などに依頼することになりますが、可能であれば依頼前に自らの機関の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することは、あらかじめ考慮しておく必要があります。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは何か:

PMIは、M&A成立後に行うもので、売り手側と買い手側の統合に向けた作業であり、本来のM&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化するために必要なものです。

以下に、中小企業のPMIについて書かれたものを紹介しますが、医療機関として必要なPMIはほぼ含まれているとご理解ください。

中小企業のM&Aの現状
出典:中小PMIガイドライン P10

この図のように、M&Aの成功にはPMIは欠かせないプロセスといえます。また図のように、PMIは、以下の3つを軸に計画を策定します。

  • 経営統合
  • 信頼関係構築
  • 業務統合

PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させます。

また、PMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間を要することがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

PMIの詳細については、中小企業庁が令和4年に策定した「中小PMIガイドライン」を参照いただくか、M&A専門企業のM&A HACKまで「ご相談」ください。

終わりに

今まで紹介してきたように、開設者や創立者の高齢化、社会環境の変化を考えると、事情承継だけでなく拠点の拡大や関連事業の参入を目的として、M&A戦略を行うことは、今後は必須であるといっても過言ではありません。

まとめとして、ここでお伝えしたいことは、M&A成功のポイントは、明確な成長戦略を持つことがまず必要であるということです。

また、事業譲渡などのM&Aを単なる拡大戦略と捉えるのではなく、長期的な目標達成にどのように貢献するかを考え、戦略を立案しなければなりません。

さらに、M&A後の統合プロセスにおいて、医療機関双方の文化の融合や従業員のモチベーション維持に注意を払うことも、成功への鍵となります。さらに、事前のデューデリジェンス(買収前調査)を徹底することで、リスクを最小限に抑えることも求められます。

このように、M&Aは、大手病院だけでなく、中小の病院やクリニック、診療所にとっても大きなチャンスであると同時に、専門性のある慎重な準備と戦略的なアプローチが必要な取り組みです。

そのためにも、専門的な知見と経験を持つM&Aアドバイザリー企業であるM&A HACKなどの専門家と協力し、適切なサポートを受けながらM&A戦略を立案することが重要であることを最後にお伝えいたします。

病院・診療所・クリニックなどの医療機関におけるM&Aの可能性の検討に、この記事が少しでもお役に立てればと考えております。

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