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電子機器・回路基板・部品製造会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aはどのように進めればいい?」
「電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aの成功事例を知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

「電子機器 M&A」や「回路基板 事業承継」と検索しても、専門的過ぎる記事や信頼性に欠ける情報ばかりで、一般の方には理解が難しい内容が多いです。

そこで今回、「M&A HACK」として、電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aや事業承継について、誰にでも理解しやすいように分かりやすく簡潔に解説します。

この記事では、業界特有の売却相場や事例、そして成功するためのポイントを詳しく説明しますので、業界でM&Aに興味がある方々には必見の内容です。ぜひ参考にしてください。

目次

電子機器・回路基板・部品製造とは

このセクションでは、電子機器・回路基板・部品製造の具体的な定義から始め、電子機器・回路基板・部品製造会社の技術進歩や業界の主要企業などについて解説していきます。

電子機器・回路基板・部品製造業界の定義

電子機器・回路基板・部品製造業界は、電子機器や回路基板、電子部品の設計、開発、製造を行う産業分野です。

この業界は、スマートフォン、パソコン、家電製品など、現代社会に欠かせない様々な電子機器の基盤となる技術を提供しています。

電子機器・回路基板・部品製造業界の事業範囲は幅広く、半導体チップ、プリント基板、コネクタ、センサーなどの個別部品から、それらを組み合わせた機能モジュール、さらには完成品の電子機器まで、多岐にわたります

この業界の企業は、高度な技術力と生産管理能力を駆使し、高品質かつ低コストの製品を大量に供給することで、現代社会のデジタル化を支えているのです。

電子機器・回路基板・部品製造業界の技術進歩

電子機器・回路基板・部品製造業界は、絶え間ない技術革新によって発展を続けています。特に、半導体技術の進歩は目覚ましく、集積度の向上により、より高性能で小型の電子部品の製造が可能になりました。

また、プリント基板の多層化や高密度実装技術の発展により、電子機器の小型化と高機能化が進んでいます。

さらに、IoTやAI、5Gなどの新しい技術トレンドは、電子機器・回路基板・部品製造業界に新たな事業機会をもたらしています。

センサーやアンテナ、高速通信モジュールなど、これらの技術を支える電子部品の需要が高まっており、業界各社は研究開発に注力しています。

主要企業と戦略

電子機器・回路基板・部品製造業界には、以下のような主要企業があります。

  • ソニー
  • パナソニック
  • 東芝
  • 富士通
  • 村田製作所
  • TDK
  • 京セラ
  • 日本電産

これらの企業の中には、総合電機メーカーとして、幅広い製品ラインナップを持ち、大量生産による製造コストの削減を活かした価格競争力を武器にしている企業もあれば、特定の分野に特化し、その分野での高い技術力と品質管理能力を強みとしている企業もあります。

業界の主要企業は、市場の変化に対応するため、様々な戦略を展開しています。例えば、パナソニックや富士通は、製造拠点の海外移転によるコスト削減を進めています。

ソニーやTDKは、センサーや電池などの高付加価値製品に注力し、新興国市場の開拓にも積極的です。村田製作所や京セラは、環境対応製品の開発に力を入れています

また、多くの企業が産学連携やオープンイノベーションにより、外部の知見を取り入れる取り組みを進めています。例えば、東芝は、東京工業大学と共同で、次世代の半導体材料の研究開発を行っていたり、日本電産ではベンチャー企業との協業により、新たな事業機会の創出を図っています

電子機器・回路基板・部品製造業界の市場動向と市場規模

JEITA「電子情報産業の世界生産見通し 2023年12月」より

M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは、電子機器・回路基板・部品製造業の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

電子機器・回路基板・部品製造業界が持つ課題

電子機器・回路基板・部品製造業界が直面する課題は、以下のようなものが挙げられます。

  1. 激しい価格競争
    • 高い技術力と品質管理能力が求められる一方、価格競争が激化
    • スマートフォンや民生用電子機器の分野で製品のコモディティ化が進行
    • 利益率の低下が課題に
  2. 景気変動の影響
    • 業界は景気変動の影響を受けやすい
    • 需要の変動に対応した生産調整が必要
  3. 環境規制と原材料価格の変動リスク
    • 環境規制への対応が求められる
    • 原材料価格の変動リスクが業界全体の課題
  4. 新しい技術トレンドへの対応
    • IoT、AI、5Gなどの新技術が電子部品に新たな機能や性能を要求
    • 研究開発投資の拡大が必要
  5. セキュリティと安全性・信頼性の確保
    • 電子機器のセキュリティ確保が重要な課題
    • 製品の安全性・信頼性の向上に取り組む必要がある

電子機器・回路基板・部品製造業界は、高い技術力と品質管理能力を維持しながら、価格競争力を高めることが求められています。また、景気変動や環境規制、原材料価格の変動などの外部要因にも柔軟に対応していく必要があります。

同時に、IoT、AI、5Gなどの新しい技術トレンドを取り入れ、研究開発投資を拡大することで、製品の付加価値を高めていくことが重要です。さらに、電子機器のセキュリティ確保や安全性・信頼性の向上にも注力し、消費者の信頼を獲得していくことが業界の発展につながるでしょう。

新興技術が市場に与える影響

IoT、AI、5Gなどの新興技術は、電子機器・回路基板・部品製造業界に大きな影響を与えていますIoTの普及により、センサーや通信モジュールなどの電子部品の需要が拡大しています。

また、AIの進化に伴い、高性能な半導体チップの需要が高まっており、業界各社は開発競争を激化させています。

5Gの本格的な導入は、スマートフォンや基地局関連の電子部品の需要を押し上げると予想されます。さらに、5Gの高速・大容量・低遅延の特性を活かした新しいサービスやアプリケーションの登場により、新たな電子部品需要が創出される可能性があります。

これらの新興技術は、電子機器・回路基板・部品製造業界に新たな事業機会をもたらす一方で、技術の変化に対応するための投資負担の増大や、競争の激化など、業界構造にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。

電子機器・回路基板・部品製造業界の成長機会

電子機器・回路基板・部品製造業界は、今後も安定的な成長が見込まれる有望な産業分野です。特に、自動車の電動化や自動運転技術の進展により、車載用電子部品の需要拡大が期待されます。

また、スマートフォンの高機能化や、ウェアラブル端末の普及なども、電子部品の需要を押し上げる要因となります。

産業用途でも、工場の自動化やロボット技術の進歩により、産業用電子機器・部品の需要が拡大している状況です。医療分野でも、電子機器を活用した診断・治療機器の高度化が進んでおり、関連部品の需要増加が見込まれます。

新興国市場も、電子機器・回路基板・部品製造業界の成長機会となっており、中国やインドなどの国々では、経済発展に伴い電子機器の普及が進んでいます。現地市場向けの製品開発や生産拠点の現地化など、新興国市場の開拓が業界各社の重要な戦略です

市場規模の推移と予測

JEITAの資料によると、日本の電子工業(ハードウェア)の国内生産は、2021年に10兆9,543億円となり、前年比10.8%増と4年ぶりのプラス成長を遂げました

この成長は、ITリモートの拡大による通信インフラ機器の増加、医療機器や在宅勤務用機器の需要増、電子部品・デバイスの輸出好調などが主な要因です。

電子部品・デバイスは、国内生産の66%を占める重要な分野であり、ライフスタイルの変化による電子機器需要の増加と輸出の好調が、国内生産の拡大に大きく寄与しました。

電子工業の輸出は、2021年累計で10兆8,224億円、前年比17.2%増と、3年ぶりのプラス成長となり、3年ぶりに10兆円を回復しました。輸出の約82%を電子部品・デバイスが占めています。

電子工業の輸入も、2021年累計で12兆4,050億円、前年比15.5%増と3年ぶりにプラス成長となり、初めて12兆円を超えました。輸入の構成比では、電子機器カテゴリが6割弱を占めており、海外生産品の輸入拡大が顕著です。

今後は、5GやIoT、AI関連の電子部品需要の拡大により、市場規模のさらなる成長が見込まれます。一方で、技術革新のスピードが速く、製品のライフサイクルが短いことから、業界各社は継続的な研究開発投資と、市場動向の的確な把握が求められます。

グローバル市場での立ち位置

日本の電子機器・回路基板・部品製造業界は、高い技術力と品質管理能力で世界をリードしてきましたが、近年は海外企業との競争激化によるシェア低下や、市場自体の縮小の影響を受け、その優位性は徐々に低下しつつあります

JEITAの資料によると、2011年から2021年にかけて、日系企業の世界生産額に占めるシェアは19%から10%に低下しています。

特に、世界で高成長を遂げているスマートフォンやソリューションサービス分野において、日系企業の伸びは低調です。一方で、テレビやプリンタ、医用電子機器などの分野では、日系企業は好調に推移しています。

2021年の日系企業生産額(海外生産分を含む)は、巣ごもり需要を中心に37兆3,194億円(対前年8%増)と見込まれています。

今後は、脱炭素化に向けた環境対応と共に、各種データ連携や自動化など新たな価値を生み出す源泉としてのデジタル変革に伴う需要拡大が期待されます。

こうした状況の中で、日本の電子機器・回路基板・部品製造業界は、高付加価値製品への特化や、研究開発力の強化により差別化を図っています。また、海外企業との協業や、M&Aによる事業強化も進められています。

グローバル市場での競争が激化する中、日本企業は自社の強みを活かしつつ、市場の変化に柔軟に対応することが求められています。

高い技術力と品質管理能力を武器に、付加価値の高い製品・サービスを提供し続けることが、日本の電子機器・回路基板・部品製造業界の持続的な成長につながるでしょう。

電子機器・回路基板・部品製造業の動向と今後

電子機器・回路基板・部品業界における動向について解説します。これから電子機器・回路基板・部品企業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

産業革新における電子機器・回路基板・部品製造業の役割

電子機器・回路基板・部品製造業は、自動車産業におけるEVや自動運転技術、医療機器産業でのIoTやAIを活用した診断・治療機器、製造業全般でのスマート化や自動化など、様々な産業の技術革新を支える重要な役割を担っています

今後も、産業のデジタル化や自動化、環境対応などの技術トレンドを見据えた製品開発や、産業間連携による新たなソリューションの提供が期待されます。

電子機器・回路基板・部品製造業は、あらゆる産業の発展に欠かせない基盤技術として、その重要性がますます高まっていくでしょう。

環境保護への具体的な取り組みと戦略

電子機器・回路基板・部品製造業界は、鉛フリーはんだの使用、有害物質の削減、リサイクル材の活用、製造工程での省エネルギー化、再生可能エネルギーの導入など、環境負荷の低減と資源の有効活用に向けた様々な取り組みを進めています

また、低消費電力の半導体チップやバイオプラスチックを活用した電子部品など、環境に配慮した製品の開発も活発です。

今後は、脱炭素化社会の実現に向けて、より一層の環境対応技術の開発や、サーキュラーエコノミーの推進が求められます。

業界各社は、環境負荷低減と経済性の両立を目指した中長期的な環境戦略の立案・実行が重要となるでしょう。

市場の需要変動に対する効果的な供給管理方法

電子機器・回路基板・部品製造業界は、最終製品の需要変動の影響を大きく受けます。需要変動に対応するため、業界各社は需要予測の高度化、サプライチェーンの可視化による在庫管理の最適化、生産設備の柔軟性向上、複数調達先の確保などに取り組んでいます。

サプライチェーン全体での情報共有や協調体制の強化も不可欠です。さらに、IoTを活用した在庫のリアルタイム監視やAIを用いた需要予測の精度向上など、デジタル技術を活用した供給管理の高度化も進んでいます。

需要変動に柔軟に対応し、無駄な在庫を削減するための効果的な供給管理体制の構築が、業界の重要課題となっています。

電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aの動向

電子機器・回路基板・部品製造業界におけるM&Aの動向について解説します。これから電子機器・回路基板・部品製造企業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

M&A市場における最近のトレンド

電子機器・回路基板・部品製造業界では、大手企業による積極的なM&Aが活発化しており、事業領域の拡大や技術力の強化を図っています。

また、IoTやAIの普及に伴い、ソフトウェアやサービス分野の企業が、ハードウェア分野への進出を目的に電子部品メーカーのM&Aを行うケースが増加しています。

革新的な技術を持つスタートアップ企業に対する大企業の関心も高まっており、先端技術の獲得や新規事業の創出がM&Aの活発化している主な理由です。

さらに、グローバル市場での競争力強化を目的に、国境を越えたクロスボーダーM&Aも増加傾向にあります。

主要なM&A事例と影響

近年、日本の電機業界では、事業の最適化や競争力強化を目的としたM&Aが活発化しています。

例えば、富士通は、非注力領域から撤退しコア事業に経営資源を集中するため、富士通セミコンダクターを吸収合併しました。これによりグループ全体の経営効率化と事業の最適化を図っています。

また、京セラは、インクジェットプリントエンジン市場への新規参入とプリントヘッド事業の拡大を目的に、NIXKA社を完全子会社化しました。両社の技術融合により新製品・新用途開発を推進し、印刷産業の発展とグループの成長を目指すとしています。

これらのM&Aは、各社の戦略的な事業展開と業界の変化への対応を反映したものであり、今後の電機業界の動向に影響を与えると考えられます。

M&Aにおける法的課題と解決策

電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aでは、クロスボーダーM&Aにおける各国の法規制への対応、知的財産権の保護、買収後の統合プロセスにおける雇用契約やサプライチェーンの調整など、様々な法的課題が存在します。

これらの課題に対応するためには、M&Aの計画段階から法務部門を含む専門家チームによる綿密なデューデリジェンスが重要です。買収先の国の法制度や商慣行を理解し、現地の専門家の助言を得ることも有効でしょう。

M&A後の統合プロセスでは、買収先企業との丁寧なコミュニケーションを通じて法的問題を早期に発見・解決し、新しい組織体制や業務プロセスが法令に適合しているかを継続的にモニタリングすることが求められます。

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aをするメリット

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にして電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 業務拡大のチャンス
  • 資金調達の機会
  • 競争力の強化
  • 経営効率の向上
  • 市場シェアの拡大
  • 技術や知識の獲得
  • 市場への迅速な進出
  • リスクの分散
  • ブランド価値の向上
  • 競合他社に対する優位性の確保

売却側のメリット

電子機器・回路基板・部品製造業界における売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 業務拡大のチャンス
  • 資金調達の機会
  • 競争力の強化
  • 経営効率の向上
  • 市場シェアの拡大

それぞれ詳しく解説していきます。

業務拡大のチャンス

電子機器・回路基板・部品製造業界でM&Aを行う売却側のメリットの一つは、業務拡大のチャンスが得られることです。

買収先企業の経営資源や販売ネットワークを活用することで、自社単独では参入が難しかった新規市場や事業領域への進出が可能となります。

また、買収先企業との協業により、新たな製品やサービスの開発にも取り組めます。M&Aを通じて事業規模を拡大することで、売却側企業は成長戦略を加速させ、企業価値の向上を図ることができるでしょう。

資金調達の機会

M&Aは、売却側企業にとって資金調達の有効な手段の一つです。自社株式を買収先企業に売却することで、設備投資や研究開発、事業拡大に必要な資金を確保できます。

特に、革新的な技術を持つベンチャー企業などは、M&Aによって資金調達と同時に、大手企業の経営資源を活用できるメリットがあります。

また、M&Aによる資金調達は、株式公開(IPO)などに比べて、手続きがシンプルで短期間で完了できるというメリットもあります。

新技術や知識の獲得

電子機器・回路基板・部品製造業界は、技術革新のスピードが速く、常に新しい技術や知識の獲得が求められます。

M&Aを通じて、売却側企業は買収先企業が持つ先進的な技術や専門知識を獲得することができます。特に、大手企業による中小企業やベンチャー企業のM&Aでは、革新的な技術の取り込みが主要な目的の一つとなっています。

新技術や知識の獲得により、売却側企業は製品の高付加価値化や新規事業の創出を実現し、競争力の強化につなげることができます。

競争力の強化

M&Aは、売却側企業の競争力強化に役立ちます。買収先企業との事業統合により、事業拡大を活かしたコスト削減や、製品ラインナップの拡充、販売チャネルの拡大などが可能となります。

また、買収先企業が持つブランド力や顧客基盤を活用することで、市場でのプレゼンスを高めることもできます。

さらに、M&Aを通じて獲得した新技術や知識を活用し、差別化された製品・サービスを開発することで、競合他社に対する優位性を確立することができるでしょう。

経営効率の向上

M&Aを行うことで、売却側企業は経営効率の向上を図ることができます。買収先企業との事業統合により、重複する業務の削減や、生産拠点の最適化、調達の効率化などが可能となります。

また、買収先企業の優れた管理手法やノウハウを取り入れることで、業務プロセスの改善や生産性の向上が期待できます。経営効率の向上は、売却側企業の収益力アップにつながり、企業価値の向上に寄与します。

市場シェアの拡大

電子機器・回路基板・部品製造業界では、市場シェアの拡大がM&Aの重要な目的の一つです。買収先企業が持つ顧客基盤や販売チャネルを獲得することで、売却側企業は短期間で市場シェアを拡大できます。

特に、海外企業のM&Aによる市場シェアの拡大は、グローバル競争が激化する中で重要な戦略となっています。

また、買収先企業との事業統合により、製品ラインナップを拡充し、幅広い顧客ニーズに対応することで、市場での存在感を高めることができます。

買収側のメリット

電子機器・回路基板・部品製造業界における買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 技術や知識の獲得
  • 市場への迅速な進出
  • リスクの分散
  • ブランド価値の向上
  • 競合他社に対する優位性の確保

それぞれ詳しく解説していきます。

技術や知識の獲得

電子機器・回路基板・部品製造業界では、M&Aを通じて新たな技術や知識を獲得することが、買収側企業の重要なメリットの一つです。

特に、革新的な技術を持つベンチャー企業やスタートアップ企業をM&Aすることで、買収側企業は自社の技術力を強化し、新製品の開発や新規事業の創出を加速することができます。

また、買収先企業の優れた技術者や研究者を獲得することで、自社の研究開発体制を強化することも可能です。

市場への迅速な進出

M&Aは、買収側企業が新たな市場に迅速に進出するための有効な手段です。特に、海外市場への進出においては、現地企業をM&Aすることで、市場の特性や規制、顧客ニーズなどを短期間で把握できます。

また、買収先企業が持つ販売ネットワークや顧客基盤を活用することで、自社製品の浸透を速やかに図ることができます

新興国市場への進出においても、M&Aは有効な選択肢の一つであり、買収側企業はM&Aを通じて成長機会を取り込むことができます。

リスクの分散

電子機器・回路基板・部品製造業界は、技術革新のスピードが速く、市場の変化が激しい業界です。このような環境下では、特定の事業や製品に依存することはリスクとなります。

M&Aを通じて事業ポートフォリオを多角化することで、買収側企業はリスクを分散し、安定的な成長を実現することができます。

また、買収先企業が持つ事業や技術、顧客基盤などを活用することで、自社単独では参入が難しい新規事業領域への進出も可能となります。

コスト削減

M&Aは、買収側企業のコスト削減にも寄与します。買収先企業との事業統合により、調達の効率化や生産拠点の最適化、間接部門の統合などが可能となり、事業拡大を活かしたコスト削減が期待できます。

また、買収先企業が持つ優れた生産技術や管理ノウハウを取り入れることで、生産性の向上や品質管理の効率化を図ることもできます。コスト削減は、買収側企業の収益力向上につながり、競争力の強化に役立ちます。

ブランド価値の向上

買収先企業が持つ優れたブランドを獲得することで、買収側企業はブランド価値の向上を図ることができます。

特に、グローバル市場での競争力強化を目指す企業にとって、現地で高い認知度と信頼性を持つブランドの獲得は重要な意味を持ちます。

また、買収先企業の持つ技術力やデザイン力、品質の高さなどを自社製品に活かすことで、製品の付加価値を高め、ブランドイメージの向上につなげることも可能です。

競合他社に対する優位性の確保

電子機器・回路基板・部品製造業界では、M&Aを通じて競合他社に対する優位性を確保することが重要な目的の一つです。

買収先企業が持つ独自の技術や特許、顧客基盤などを獲得することで、買収側企業は競合他社に対する差別化を図ることができます。

また、M&Aによって事業規模を拡大し、スケールメリットを活かすことで、価格競争力の向上やシェアの拡大を実現することも可能です。

さらに、買収先企業との協業により、新製品の開発や新規事業の創出を加速し、競合他社に先んじて市場を獲得することができるでしょう。

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aの注意点

電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを行う際の注意点を解説します。電子機器・回路基板・部品製造のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

M&Aプロセス中の法的要件

電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aでは、各国の法規制や手続きに関する深い理解が不可欠です。特に、クロスボーダーM&Aの場合、関連する国々の競争法、労働法、税法などを遵守する必要があります。

また、知的財産権の移転や保護に関する契約も重要な要素です。M&Aプロセスにおいては、専門家チームを組成し、綿密なデューデリジェンスを行うことで、法的リスクを最小限に抑えることが求められます。

法的要件への対応を誤ると、M&Aの進行に大きな支障をきたす可能性があるため、細心の注意が必要です。

異文化理解と対応策

グローバルなM&Aでは、文化や慣習の違いが大きな課題となります。買収側企業と買収先企業の間で、経営スタイルや意思決定プロセス、コミュニケーション方法などに差異がある場合、統合プロセスがスムーズに進まないリスクがあります。

異文化の理解と尊重に基づいた丁寧なコミュニケーションが不可欠であり、両社の文化的な違いを橋渡しできる人材の配置や、異文化トレーニングの実施などが有効です。

また、買収先企業の従業員の不安を払拭し、モチベーションを維持するための施策も重要です。

技術統合の課題

電子機器・回路基板・部品製造業界のM&Aでは、買収先企業の技術や知的財産をいかに効果的に統合するかが重要な課題です。

買収側企業と買収先企業の技術やノウハウに大きな差異がある場合、スムーズな技術統合が困難となる可能性があります。また、買収先企業の技術者や研究者の離職を防ぎ、モチベーションを維持することも重要です。

技術統合を成功させるためには、両社の技術者による綿密なコミュニケーションと協働が不可欠であり、統合後の研究開発体制や知的財産管理体制の構築にも注力する必要があります。

電子機器・回路基板・部品製造におけるM&Aを成功させるためのポイント

電子機器・回路基板・部品製造におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。電子機器・回路基板・部品製造におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格の把握
  • PMI(統合後プロセス)の確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

電子機器・回路基板・部品製造業界でM&Aを成功させるためには、明確な戦略の立案が不可欠です。自社の強みと弱み、市場環境や技術トレンドを踏まえ、M&Aの目的を明確化する必要があります。

また、買収先企業の選定においては、自社の事業戦略や企業文化との整合性を十分に検討することが重要です。

M&A戦略の立案においては、経営陣の強いリーダーシップとともに、社内外の専門家の知見を活用することが有効です。

さらに、M&A実行後の統合プロセスや、シナジー効果の実現に向けたロードマップも併せて策定することが求められます。

相場価格をよく理解しておく

M&Aを成功させるためには、買収先企業の適切な価値評価が不可欠です。

電子機器・回路基板・部品製造業界では、技術力や知的財産、顧客基盤などの無形資産が企業価値の重要な要素となるため、財務諸表だけでは企業価値を適切に評価することが難しい場合があります。

業界の相場価格を深く理解し、買収先企業の強みや将来性を適切に評価することが重要です。また、買収先企業の価値評価においては、デューデリジェンスを通じて、リスクや課題を明らかにすることも重要な要素です。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aを成功に導くためには、買収後の統合プロセスが非常に重要ですが、この過程は多くの困難が伴います

買収側企業と買収先企業では、業務プロセスや組織文化が大きく異なることが多く、統合に向けた綿密な計画を立てなければなりません。特に、技術の統合、人材の融和、顧客基盤の維持などは、重要な課題として挙げられます。

しかし、M&Aを単独で行おうとすると、これらの課題に効果的に対処することが難しくなります。買収側企業と買収先企業の間に立ち、両社の違いを理解し、調整を図ることは、専門的な知識と経験を必要とするためです。

そこで、M&A仲介会社の利用が強く推奨されます。M&A仲介会社は、豊富な経験と専門知識を持ち、買収側企業と買収先企業の間に立って、スムーズな統合を支援します。

彼らは、両社の従業員の不安を払拭し、モチベーションを維持するための効果的なコミュニケーション戦略を提案します。また、統合プロセスの進捗を定期的にモニタリングし、課題に迅速に対応することで、PMIの成功確率を高めます。

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電子機器・回路基板・部品製造業のM&Aにおける成功事例

電子機器・回路基板・部品業界におけるM&Aの成功事例を紹介します。これから電子機器・回路基板・部品業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ソニー株式会社によるBeyond Sports B.V.社のM&A

2022年に、ソニー株式会社がBeyond Sports B.V.社を買収した事例です。

ソニー株式会社は、多岐にわたるエレクトロニクス製品やエンタテインメントサービスを提供する大手企業です。ソニーは、テクノロジーとクリエイティブの融合により、新しい価値を創造し続けています。

Beyond Sports B.V.社は、オランダ・アルクマールに本拠を置き、スポーツデータをリアルタイムでバーチャルコンテンツに変換する技術を持つ企業です。特に、AIを活用したスポーツデータの分析と可視化において高い評価を受けています。

この買収により、ソニーはスポーツ事業の体制を強化し、データを活用したコンテンツ制作ビジネスを拡大することを目指しています。Beyond Sportsの加入によって、ソニーはライブスポーツデータの取得からバーチャルコンテンツの制作まで一連のサービスを提供できるようになり、新しいエンタテインメント形式を創出することが期待されています。

参考:Beyond Sportsを加え、スポーツ事業の体制を強化

パナソニック株式会社によるBlue Yonder社のM&A

2021年に、パナソニック株式会社がBlue Yonderの全株式を取得した事例です。

パナソニック株式会社は、電子製品の製造を主とするグローバル企業で、技術革新と持続可能な社会の実現を目指しています。また、デジタル技術を活用し、サプライチェーンの見える化と最適化を進めています。

Blue Yonderは、アメリカ・アリゾナ州に本拠を置く、AIと機械学習を活用したサプライチェーン管理ソフトウェアの専門企業です。グローバルな顧客基盤を有し、製造、流通、物流業向けにソリューションを提供しています。

このM&Aの主な目的は、パナソニックがサプライチェーン管理の能力を強化し、グローバルでの競争力を高めることを目指すとしています。Blue Yonderの技術と既存の事業を融合させ、自動化されたサプライチェーン管理ソリューションをグローバル市場に展開することが目的です。

参考:Blue Yonderの全株式取得について

富士通株式会社による富士通セミコンダクター株式会社のM&A

2023年1月に、富士通株式会社が富士通セミコンダクター株式会社を吸収合併した事例です。

富士通株式会社は、ソフトウェア・情報処理分野・通信分野の製品の開発、製造、販売ならびにサービスの提供を行っている企業です。技術ソリューションを主要事業とし、経営資源の集中を進めています。

富士通セミコンダクター株式会社は、半導体に関連する事業を統括している会社で、グループ会社の管理を行っています。

このM&Aの主な目的は、富士通が非注力領域の事業から撤退し、コア事業への経営資源の集中を図るためです。これにより、グループ全体の経営効率化を目指し、更なる事業の最適化を進めることが目的としています。

参考:連結子会社(富士通セミコンダクター株式会社)との吸収合併(簡易吸収合併)契約締結のお知らせ

株式会社村田製作所によるResonant社のM&A

2022年に、株式会社村田製作所の米国子会社であるMurata Electronics North America社がResonant Inc.を買収した事例です。

株式会社村田製作所は、電子部品の製造と販売を行う日本の企業です。高周波フィルタ技術やプロセス技術、製造技術に強みを持ち、通信市場でのリーダーシップを目指しています。

Resonant Inc.は、アメリカ・テキサス州に本社を置く企業で、高周波フィルタの設計とシミュレーションソフトウェアの開発に特化しています。特にXBAR®技術を用いた高周波フィルタの開発で知られています。

このM&Aの主な目的は、村田製作所がResonantのXBAR®技術と自社のフィルタ技術を組み合わせることで、さらに優れた高周波フィルタを開発し、通信市場での競争力を強化することを目的としています。この買収により、技術的なシナジーを活かし、市場での地位を確固たるものにする計画です。

参考:米国Resonant社買収に関する契約締結及び株式公開買付けの開始予定に関するお知らせ

ローム株式会社によるラピステクノロジー株式会社のM&A

2023年9月に、ローム株式会社がラピステクノロジー株式会社を吸収合併した事例です。

ローム株式会社は、電子部品の製造・開発・販売を行う企業で、半導体を中心とした製品を取り扱っています。技術の革新と市場ニーズに応える製品開発に注力しており、グローバルな展開を進めています。

ラピステクノロジー株式会社も同様に、半導体を中心とする電子部品の製造・開発に特化した企業です。ローム株式会社の完全子会社として、特定の高技術分野での製品開発を担当していました。

このM&Aの主な目的は、半導体産業のビジネス環境が大きく変化する中で、競争力を向上させるために実施されました。ラピステクノロジーの技術力とローム株式会社のリソースを統合することで、高付加価値製品の開発力を強化し、効率的な経営体制を構築することが目的です。

参考:子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

アルコニックス株式会社による株式会社ソーデナガノのM&A

2022年4月に、アルコニックス株式会社が株式会社ソーデナガノを子会社化した事例です。

アルコニックス株式会社は、東京都に本社を置く企業で、広範な商社機能と製造業を融合する総合企業として活動しています。特に、商流の拡大と新たな価値創造を目指し、多様な産業に対応しています。

株式会社ソーデナガノは、長野県岡谷市に拠点を置く金属精密プレス部品の製造業者です。リチウムイオン電池用機構部品の製造で知られ、その技術力と高い品質管理で業界内で評価を受けています。

このM&Aの主な目的は、アルコニックス株式会社がソーデナガノの技術力と製造能力を取り入れることで、電気自動車(EV)市場における需要拡大に対応し、製品ラインナップを強化することとしています。

参考:株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

日清紡ホールディングスによる新日本無線株式会社とリコー電子デバイス株式会社のM&A

2022年1月に、日清紡ホールディングス株式会社が新日本無線株式会社とリコー電子デバイス株式会社を統合した事例です。

日清紡ホールディングス株式会社は、多岐にわたる事業を展開する大手企業で、特に電子デバイス分野においては、新技術の開発と製品の製造・販売に力を入れています。

新日本無線株式会社とリコー電子デバイス株式会社は、それぞれ電子デバイスの設計および製造に特化した企業で、特にマイクロ波製品や高度な電子デバイスの開発に関連する技術力があります。

このM&Aの主な目的、両社の技術力とリソースを統合することで、電子デバイス分野における製品の競争力を高めるとともに、新しい市場のニーズに迅速に対応する能力を強化することです。新会社「日清紡マイクロデバイス株式会社」として、より一層の事業拡大と市場でのリーダーシップを目指すとしています。

参考:(開示事項の経過)マイクロデバイス事業における連結子会社の統合及び商号変更並びに代表者の異動について

京セラ株式会社によるNIXKA S.A.S.社のM&A

2023年4月に、京セラ株式会社がNIXKA S.A.S.を完全子会社化した事例です。

京セラ株式会社は、京都市に本社を置く大手企業で、多岐にわたる技術と製品を提供しています。特に産業用インクジェットプリントヘッド事業では、高速・高精細なプリントヘッドの開発において高い市場シェアを持ち、産業用印刷のデジタル化に貢献しています。

NIXKA S.A.S.は、フランス・ローヌ県に本社を置く企業で、2020年に設立されました。主にインクジェットプリントエンジンの開発、製造、販売を行っており、特に顧客の要求に応じたインテグレーションサービスに強みがあります。また、プリントエンジンは使用者が容易に操作できるよう最適化されており、小ロット生産が求められる印刷業界での需要拡大が見込まれています。

このM&Aの主な目的は、京セラがNIXKA社をグループに迎えることで、インクジェットプリントエンジン市場への新規参入を果たし、プリントヘッド事業の拡大を図るとしています。両社の技術融合により新製品の開発や新たな用途開発を推進し、インクジェット印刷の普及を促進することで、印刷産業の発展に寄与し、グループのさらなる成長を目指しています。

参考:インクジェットプリントエンジンを手掛けるフランス NIXKA社の完全子会社化について

株式会社フェローテックホールディングスによるRMT社のM&A

2020年10月に、株式会社フェローテックホールディングスがRMT Ltd.の出資持ち分を取得し子会社化した事例です。

株式会社フェローテックホールディングスは、電子デバイス事業を中核とする企業で、特にサーモモジュール製品において世界トップクラスの市場シェアを持っています。同社は高品質で高性能な製品を提供し、グローバルに販売網を展開しています。

RMT Ltd.は、ロシア連邦共和国ニジニ・ノヴゴロド州に本社を置く企業で、サーモモジュールの超小型化と多段化に関する技術力が高いことで知られています。また、高品質のビスマス・テルル材料の開発と少量多品種生産に対応するノウハウを持っています。

このM&Aの主な目的は、株式会社フェローテックホールディングスがRMTの技術力と製品を活用して、サーモモジュール製品ラインの強化を図るとしています。さらに、RMTの開発力と株式会社フェローテックホールディングスの販売網と生産拠点の融合により、新たな市場での成長を目指し、5G通信基地局やEV用センサー、医療検査機器など、高付加価値製品の需要増に対応します。この戦略により、両社の企業価値の向上を目指しています。

参考:超小型サーモモジュールメーカー RMT社の出資持ち分取得(子会社化)に関するお知らせ

テクタイト株式会社による双電産業株式会社のM&A

2019年7月に、テクタイト株式会社が双電産業株式会社の株式を取得し子会社化した事例です。

テクタイト株式会社は、東京都港区に本社を置く企業で、電子部品の商社機能を持っています。同社は、電子部品の販売や電子関連機器の組み立て・検査業務を通じて、業界内でのノウハウと技術力を蓄積しています。

双電産業株式会社は、石川県金沢市に本社を置き、昭和49年に設立された電子部品・製品関連機器業者です。日本圧着端子製造株式会社(JST)の代理店として活動し、北陸3県でコネクタや端子、バンドなどの電子機器関連部品の卸売りや、ワイヤーハーネスなどの電子関連機器の製造、受託加工を行っています。

このM&Aの主な目的は、テクタイト株式会社が双電産業株式会社の販路を活用して電子部品の拡販を図ると同時に、双電産業の製品組立・検査業務のノウハウを生かして電子関連機器の製造、受託加工分野を拡大するとしています。これにより、両社のシナジー効果を最大化し、テクタイト株式会社グループの中部地方での拠点としての機能を強化し、企業価値の向上を目指しています。

参考:双電産業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ソードによる東芝デジタルソリューションズの事業譲受

2019年3月に、株式会社ソードが東芝デジタルソリューションズ株式会社のエンベデッドハードウェア事業を譲り受けた事例です。

株式会社ソードは、千葉県千葉市に本社を置くエンベデッドソリューションメーカーです。開発、製造、保守、販売を一貫して行っています。

東芝デジタルソリューションズ株式会社は、神奈川県川崎市に本社を置き、エンベデッドハードウェアの開発、製造、販売事業を手掛けていました。これにはEmbedded PC、カスタム電源、インデント開発などが含まれています。

このM&Aの主な目的は、株式会社ソードがこの事業譲受を通じて、既存の事業とのシナジーを図り、事業拡大を目指すとしています。さらに、東芝デジタルソリューションズの技術力と製品を組み合わせることで、顧客に対して更なる付加価値を提供し、市場での競争力を強化することを目的としています。

参考:事業譲受に関するお知らせ

大日光・エンジニアリングによる栃木電子工業の事業譲受

2019年2月に、株式会社大日光・エンジニアリングが栃木電子工業株式会社の事業を譲り受けた事例です。

株式会社大日光・エンジニアリングは、プリント配線基板製造事業などを行っている企業です。同社は、事業再生を目的として栃木電子工業のプリント配線基板製造事業を譲り受けました。

栃木電子工業株式会社は、プリント配線基板の製造を主業務としており、昭和47年に設立された歴史ある企業です。しかし、市場の縮小と業績の悪化により事業の再生が必要となりました。

このM&Aの主な目的は、栃木電子工業の資産とノウハウを活用し、大日光・エンジニアリングの既存事業であるEMS事業の価格競争力を高め、収益力の向上を図ることです。また、車載器機向けの売上強化という中期的な目標に対してもシナジー効果が期待されています。

参考:栃木電子工業株式会社の事業再生支援に伴う事業譲渡契約締結に関するお知らせ

日東工業株式会社による北川工業株式会社のM&A

2018年11月に、日東工業株式会社が北川工業株式会社を買収した事例です。

日東工業株式会社は、分配電盤を主力製品とする企業で、電子部品や電磁波保護技術の強化を図るための新しい製品開発に注力しています。同社は、この買収を通じて技術開発と海外事業の拡大を目指しています。

北川工業株式会社は、コンピューター機器や自動車向けの電子部品を製造する企業で、電磁波から電子部品を保護する技術に強みを持っています。

このM&Aの主な目的は、日東工業が北川工業を完全子会社化することで、北川工業の技術を活用し、新たな製品開発を進めることを目的としています。また、北川工業の販売ノウハウと日東工業の製造力を組み合わせることで、両社のシナジー効果を生かし、事業や技術の領域を広げることを目指しています。

参考:日東工業が北川工業買収へ TOBなどに最大281億円

株式会社RS Technologiesによる株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューションのM&A

2018年1月に、株式会社RS Technologiesが株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューションの全株式を取得し子会社化した事例です。

株式会社RS Technologiesは、半導体生産設備の買取・販売事業を主要セグメントとしています。同社は、技術の進展とともに成長しており、今回の子会社化を通じて事業の拡大を図っています。

株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューションは、1967年に設立された総合電機部品商社で、電子部品や機器の販売及び開発・設計を行っています。日立パワーデバイスの特約店としても活動し、多岐にわたる電子機器類の提供を行っています。

このM&Aの主な目的は、株式会社RS Technologiesが、株式会社ユニオンエレクトロニクスソリューションの子会社化を通じて、既存の半導体生産設備事業の拡大を目指すとしています。この子会社化により、製品ラインアップの強化と新たな顧客基盤の確保が期待されています。また、ユニオンエレクトロニクスソリューションの電子部品・機器の販売及び技術開発能力を活用し、シナジー効果を生み出し、双方の事業の強化を図ることが目的です。

参考:株式の取得予定に関するお知らせ

佐鳥電機株式会社によるイノテック株式会社のM&A

2017年9月に、佐鳥電機株式会社がイノテック株式会社のハードディスクドライブ販売事業を譲り受けた事例です。

佐鳥電機株式会社は、電子部品と電子機器の販売を主力とするエレクトロニクス商社です。同社はフラッシュメモリ製品の拡販を推進しており、成長戦略の一環としてストレージ製品の拡充を図ることを目指しています。

イノテック株式会社は、ハードディスクドライブ(HDD)販売事業を含む様々な電子部品の輸入・販売を行っている企業です。同社はその他にも半導体設計用ソフトウェア(EDA)や自社製品の開発・販売を手掛けています。

このM&Aの主な目的は、佐鳥電機株式会社がイノテック株式会社のHDD販売事業を譲り受けることで、自社のストレージ製品ラインを拡充し、新たな顧客獲得とHDDからソリッドステートドライブ(SSD)への移行を取り込むことにより、ストレージ販売事業を強化することを目指すとしています。この譲受は、佐鳥電機の製品提供能力の強化と市場シェアの拡大に寄与することが期待されています。

参考:ハードディスクドライブ販売事業の譲受けに関する事業譲渡契約締結のお知らせ

まとめ

電子機器・回路基板・部品製造業界では、M&Aが事業拡大や技術力強化の重要な手段となっています。

M&Aのメリットを最大限に活かすためには、明確な戦略の立案、適切な買収先の選定、綿密なデューデリジェンス、PMIの確立などが不可欠です。

一方で、M&Aプロセスにおける法的要件への対応、異文化理解と対応策、技術統合の課題などにも十分な注意が必要です。

M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考に電子機器・回路基板・部品製造におけるM&Aを検討してみてください。

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