本記事は、FCEが2026年9月30日に発表した取引を、発表当時の事例として整理したものです。東京インターナショナルスクール勝どき校事業の承継は、発表時点で契約締結済み、実施前でした。
FCEが勝どき校事業を吸収分割で承継
FCEは、東京インターナショナルスクール勝どき校事業に関して持つ権利義務を、株式会社東京インターナショナルスクールグループ(TISグループ)へ吸収分割で承継させる契約を締結しました。効力発生日は2027年4月1日を予定しています。FCEは分割会社、TISグループは承継会社です。
承継の対価としてFCEが受け取る予定の金額は9,000万円です。対象事業の2025年9月期売上高は2億4,700万円ですが、これは事業の売上高であり、対価や企業価値と同じ数字ではありません。株式取得ではないため、取得株式の割合は該当しません。
契約では、対象事業に属する資産・負債、主に従事する従業員の雇用契約、事業に関係する契約その他の権利義務のうち、法令上承継できるものを効力発生日に移すとしています。FCEは2013年から勝どきエリアで校舎を運営しており、複数校舎を運営するTISグループのもとで事業の継続的な成長を目指すと説明しています。
発表時点では契約締結済み、事業承継はこれから
この発表は、事業承継の完了報告ではありません。契約は2026年9月30日に締結されましたが、効力発生日は2027年4月1日の予定です。記事公開時点で実施状況が更新されている場合は、後続の開示で確認してください。
事業の一部を譲る場合、売上高だけで条件を判断すると、引き継ぐ負債や契約、従業員、運営責任の範囲を見落とすことがあります。本件では資産・負債と雇用契約、関連契約等の承継範囲が開示されています。FCEは対価の算定にあたり収益力、投資回収期間、純資産の状況などを総合的に勘案したとしています。
事業を譲る経営者が契約前に整理したいこと
事業譲渡や会社分割を検討するときは、対象範囲を「事業一式」とだけ置かず、次の項目を個別に確認すると、引継ぎ後の認識違いを減らせます。
- 移す資産・負債:対象事業に使う設備、運転資金、未払債務などを一覧化する。
- 人員と役割:誰が承継対象となるのか、雇用条件や引継ぎ期間を確認する。
- 顧客・取引先との契約:承継できる契約、相手方の同意や通知が必要な契約を分ける。
- 実施日までの運営:契約締結後から効力発生日まで、売上・費用・採用・投資の判断をどう行うか決める。
- 対価と資金繰り:算定根拠、支払時期、税務・会計上の扱いを専門家と確認する。
対価が決まっても、顧客や従業員への説明、許認可、契約の切替えが整わなければ、予定日に事業を円滑に移せない可能性があります。一方、すべての契約が承継できるとは限らないため、法務・税務の個別判断は案件ごとに確認が必要です。
事業承継の条件を具体化する
事業の一部を譲る方法や、株式譲渡との違いは事業譲渡の仕組みと注意点で整理できます。自社の状況に合わせて対象範囲や進め方を検討したい場合は、M&A HACKへご相談ください。
出典
- FCE「会社分割(簡易吸収分割)に関するお知らせ」(2026年9月30日)
- 日本M&Aセンター「FCE、東京インターナショナルスクール勝どき校事業を東京インターナショナルスクールグループに承継へ」(案件発見元)


