荏原製作所の戦略的ブラジル進出
株式会社荏原製作所(6361)は、2025年10月31日付で、ブラジル子会社を通じてGEMINI GERMEK HIDROMECÂNICA LTDA.社(以下、ジェルメッキ社)の持分を100%取得する契約を締結しました。この動きは、荏原の中期経営計画の一環であり、建築・産業セグメントの成長を加速させることを目指しています。荏原は、ポンプおよび関連製品の需要が急増する南米市場において、特にブラジルでの存在感を強化する意向を示しています。この戦略的な動きは、荏原の国際的な競争力を向上させ、農業や建築などの分野でのリーダーシップを確立するための重要なステップとなります。
荏原製作所の事業ポートフォリオ
荏原製作所は、建築・産業、エネルギーインフラ、環境、精密・電子の各市場に対して、多様な製品とサービスを提供しています。具体的には、以下のような製品群があります。
- ポンプ
- 送風機
- 冷凍機と冷却塔
- コンプレッサ・タービン
- 都市ごみ焼却プラント
- 産業廃棄物焼却プラント
- 真空ポンプ
この中で特にポンプ製品は、南米市場での需要が増加しており、荏原はこの機会を活かすためにジェルメッキ社の技術力を活用する計画です。
ジェルメッキ社とのシナジー効果
ジェルメッキ社は、ブラジル国内を中心に、消火および農業分野でポンプユニットの設計、製造、販売、サービスを展開しています。荏原は、この会社を通じて、南米市場でのシェアを拡大し、特に消火用ポンプ市場においては、ジェルメッキ社の高度な設計・エンジニアリング力を活用します。これにより、以下のようなメリットが期待されます。
- 消火用ポンプ市場のニーズを的確に捉える
- 農業分野での製品・サービスの競争力を強化
- 新製品開発の加速化
南米市場の成長と荏原の展開
南米地域では、農業、建築、産業向けのポンプ市場が急成長しています。特にブラジルは、南米最大の経済大国であり、インフラ開発と都市化が進む中で、ポンプ製品の需要が増加しています。この地域でのポンプ市場は年々拡大しており、市場規模は2023年時点で約10億ドルと推定されています。荏原は、ブラジルに加え、コロンビアやウルグアイの拠点を活用して、積極的に市場シェアを拡大しています。
今後の展望とM&A戦略
荏原は、グローバルでの市場シェアを高めるために、M&Aを重要な戦略としています。今回のジェルメッキ社の買収は、荏原にとって12回目の海外拠点の設立となります。これにより、荏原はより強固なグローバルネットワークを築くことができ、効率的な製品供給とサービス提供を実現します。さらに、ポンプ市場における競争力を高めるために、技術革新と顧客ニーズに応じた新製品の開発にも注力しています。



