大王製紙の戦略的TOBによる新たな挑戦
大王製紙が三浦印刷の普通株式及び新株予約権を取得するために、金融商品取引法に基づく公開買付け（TOB）を決定しました。この動きは、大王製紙が三浦印刷を完全子会社化することを目指したものであり、三浦印刷の株式はTOB成立後に上場廃止となる予定です。TOBとは何かというと、特定の企業の株式を市場外で買い集める手法であり、今回のように企業買収の一環として用いられることが多いです。大王製紙は、この戦略的な動きにより印刷市場への新たな参入を図り、グループ全体の事業基盤を強化することを目指しています。
TOBの背景と目的
今回のTOBは、大王製紙が三浦印刷の株式を全て取得し、完全子会社化を図るためのものです。大王製紙は、三浦印刷の主要株主等と応募契約書を締結し、所有する三浦印刷株式の全てを本公開買付けに応募することを決定しました。この契約により、買付予定数は所有割合66.67％が下限とされており、上限は設けられていません。これにより大王製紙は、印刷市場でのシェア拡大を狙い、特にデジタルメディア事業への参入を強化する意図があります。
三浦印刷の事業内容と市場展開
三浦印刷は、商業宣伝物を中心とした各種印刷物の製造販売を主な事業としており、首都圏を中心に展開しています。また、近年ではクロスメディア化に対応した事業開発や、Webサイトの制作・運用など、デジタル媒体に関する事業にも力を入れています。これにより、紙媒体だけでなく、デジタルの分野でも存在感を高めています。三浦印刷のこうした取り組みは、今後の市場の多様化に対応するための重要なステップとなっています。
大王製紙の事業多角化戦略
大王製紙は、洋紙事業の構造転換や板紙・段ボール事業の強化、ホーム＆パーソナルケア事業の成長と加速を目指しています。コストダウンや人材活用の効率化も進めており、これらの施策は企業競争力の向上に直結しています。今回のTOBにより、従来取り扱っていなかったユーザーや製品に関わる印刷市場への参入を果たし、事業の幅を広げることが期待されています。これにより、グループ全体の事業基盤が強化され、新たな収益源の確保が可能となります。
印刷業界の現在と未来
印刷業界は、デジタル化の波に飲み込まれつつありますが、その中でも紙媒体の需要は根強く残っています。市場調査によると、印刷業界は今後も一定の成長を見込んでおり、特にデジタル印刷の分野が急成長しています。この背景には、オンデマンド印刷技術の進化や、パーソナライズされた印刷物の需要増があります。大王製紙が三浦印刷を取り込むことで、こうした成長分野における競争力を高めることが可能となります。また、環境に配慮した印刷技術の導入も進められており、持続可能な事業展開が求められています。
TOBのスケジュールと今後の展望
TOBのスケジュールは、平成29年2月28日から平成29年4月11日までとされています。この期間中に、大王製紙は三浦印刷の株式を取得し、迅速な統合を目指します。TOB成立後は、三浦印刷の上場廃止が予定されており、これにより経営の一体化が図られます。大王製紙は、印刷市場への本格参入を果たすとともに、グループ全体の競争力を強化し、持続可能な成長を実現するための基盤を整えています。
