アジア市場を制す:大気社の戦略的子会社化
近年、アジア市場、とりわけインドは急速に経済成長を遂げており、多くの企業がこの地域に注目しています。1979年に創業した株式会社大気社は、インドのNicomac Clean Rooms Far East LLPを子会社化することで、この成長市場における競争力を強化しようとしています。出資額は4,564百万円、議決権所有割合は74.0%とし、大気社の連結子会社となる予定です。このM&Aにより、大気社はインドの医薬品製造環境に特化した高機能空調設備の需要に応えることを目指しています。
大気社の事業概要と強み
大気社は、空気調和設備やクリーンルームの設計・施工・監理を主たる事業としています。これには、関連機器の製造や加工、販売、さらには輸出入も含まれます。特にクリーンルーム技術においては、極めて高い精度と信頼性を誇り、製薬業界や電子機器製造業界など、厳しい環境制御が求められる分野で高く評価されています。また、国内外での豊富な施工実績があり、これが同社の大きな強みとなっています。
インド市場での成長機会
インドは、若年層の人口増加と急速な都市化により、世界でも有数の経済成長を遂げています。特に医薬品市場は、世界の製薬産業の中でも重要な位置を占めています。インドは「世界の薬局」とも称され、ジェネリック医薬品の製造においては世界トップクラスです。こうした背景を受け、大気社はNicomac社を通じて、インド市場でのさらなるシェア拡大を図ることを狙っています。
- インドのGDP成長率は、2022年には8.3%に達する見込み
- ジェネリック医薬品の世界市場シェアは約20%
- クリーンルーム市場の成長率は年平均6%を上回る
Nicomac社の技術力と市場優位性
Nicomac社は、クリーンルーム向けパネルの製造と販売を専門とし、特にインドの製薬メーカーを主要顧客としています。彼らの製造するパネルは、高い品質管理と技術力により、インド国内外で高い信頼を得ています。Nicomac社の技術力は、大気社の空調技術と組み合わせることでシナジーを生む可能性があります。これにより、インド市場におけるクリーンルーム建設の競争力がさらに強化されるでしょう。
今後の展望とスケジュール
今回のM&Aは、2020年7月31日を目処に出資が完了する予定です。これにより、大気社は中長期的にインド市場でのプレゼンスを高め、さらなる事業拡大を目指します。インドの製薬市場は、今後も持続的な成長が見込まれ、クリーンルーム技術の需要も増加することが期待されます。大気社は、この成長を取り込み、技術革新と市場拡大を同時に進めることを計画しています。
この戦略的な一手により、大気社はアジア市場での優位性を確立することを目指します。