戸田建設、ブラジルで風力発電事業を拡大
近年、再生可能エネルギーへの注目が集まる中、戸田建設株式会社はブラジルにおける風力発電事業の拡大を進めています。環境への影響を最小限に抑えつつ、持続可能なエネルギーを提供することを目指すこのプロジェクトは、同社のグローバルなエネルギー事業戦略の一環として重要な役割を果たしています。今回は、ブラジルのRio Grande do Norte州Pedro Avelino市において、TODA Energia 2 Ltda.(以下TEB2社)が開発権を持つ2つの子会社を取得し、増資を通じて事業を拡大する計画です。本記事では、このプロジェクトの背景や詳細、業界動向について詳しく解説します。
戸田建設の再生可能エネルギー戦略
戸田建設は、環境・エネルギー事業を重点管理事業として位置づけ、再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいます。特に、風力発電はクリーンで持続可能な電力源として世界的に注目されており、同社はこの分野での技術力と経験を活かして事業展開を行っています。
- 2019年にTODA Investimentos do Brasil Ltda.(TIB社)を設立し、初の陸上風力発電事業を開始。
- 2022年にはTEB2社を設立し、2件目の風力発電プロジェクトを開始。
- 今回の取得により、ブラジルでの風力発電事業をさらに拡大。
ブラジルにおける風力発電市場の現状
ブラジルは風力発電に非常に適した自然条件を持ち、特に北東部地域は強い風が吹くことで知られています。これにより、同国は風力発電の成長市場として注目されています。2020年には、ブラジル国内の電力の約10%が風力発電によって賄われており、その割合は年々増加しています。
戸田建設がプロジェクトを展開するRio Grande do Norte州は、風力発電ポテンシャルが高く、政府の支援を受けて多くのプロジェクトが進行中です。こうした背景から、同社のブラジルにおける事業拡大は非常に有望とされています。
プロジェクトの詳細と今後のステップ
今回のプロジェクトでは、TEB2社が開発権を有するUsina Eolica Casqueira A Ltda.とUsina Eolica Casqueira B Ltda.の2社を取得し、戸田建設の曾孫会社として位置づけます。取得後に増資を行い、資本金額が戸田建設の資本金額の1/10を超えるため、これらの会社は特定子会社化されます。
- 株式売買契約締結日:2023年12月
- 株式譲渡実施日:2023年12月
- 増資予定日:2024年9月
これらのステップを通じて、戸田建設はブラジルでの風力発電事業をさらに強化し、持続可能なエネルギー供給を目指します。
建築工事業界におけるM&Aのトレンド
建築工事業界では、再生可能エネルギー事業へのシフトやグローバルな市場拡大を目的としたM&Aが活発に行われています。特に、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギー分野は投資が集中しており、多くの企業が新たな事業機会を模索しています。
こうした動きは、環境意識の高まりや政策支援、技術革新によってさらに加速しています。戸田建設のように、海外での事業を拡大することで、国内外でのプレゼンスを高める企業が増えています。これにより、競争が激化する一方で、技術革新やコスト削減が促進され、業界全体の成長が期待されています。