「結婚相談所業界のM&Aの売却相場は?」
「結婚相談所業界のM&Aについて知りたい」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
実際に現状「結婚相談所 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。
そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、結婚相談所業界のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。
結婚相談所業界におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、結婚相談所業界のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 結婚相談所とは
- 2 結婚相談所業界の市場動向と市場規模
- 3 結婚相談所業の動向と今後
- 4 結婚相談所業界のM&Aの動向
- 5 結婚相談所のM&Aをするメリット
- 6 結婚相談所のM&Aの注意点
- 7 結婚相談所におけるM&Aを成功させるためのポイント
- 8 結婚相談所のM&Aにおける成功事例
- 8.1 ブラスがビーラインのブライダル事業を譲受
- 8.2 こころネットによるエルタへの事業譲渡
- 8.3 テイクアンドギヴ・ニーズがグットラック・コーポレーションをケン不動産リースに株式譲渡
- 8.4 くふうカンパニーが結婚式プロデュース会社を完全子会社化
- 8.5 aedamによるラビアンローゼとウィンクルの事業譲受
- 8.6 パートナーエージェントがpmaを子会社化
- 8.7 パートナーエージェントがMクリエイティブワークスを子会社化
- 8.8 エスクリがラヴィマーナ神戸から事業譲渡
- 8.9 平安レイサービスがさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスを子会社化
- 8.10 IBJが海外旅行企画のかもめを完全子会社化
- 8.11 IBJがウインドアンドサンを子会社化
- 8.12 エスクリがフジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアを完全子会社化
- 8.13 藤田観光がかわのを完全子会社化
- 8.14 IBJが完全子会社のエスアイヤを吸収合併
- 8.15 こころネットが郡山グランドホテルを完全子会社化
- 9 まとめ
結婚相談所とは
サービスの概要と歴史
結婚相談所は、結婚を希望する人々をサポートするサービスです。
歴史を遡ると、結婚相談所は古くから存在しており、昔は親や仲人がその役割を果たしていました。しかし時代が変わるにつれプライバシーの重視や自分でパートナーを選びたいというニーズが高まり、専門の機関としての結婚相談所が登場しました。
現代ではインターネットの普及によりオンライン上でのマッチングサービスも増えていますが、結婚相談所では個人の条件や希望を細かく聞き、一人ひとりに合ったパートナー探しを手伝う個別サポートが特徴です。
結婚相談所のビジネスモデル
ほとんどの結婚相談所のビジネスモデルは主に会員制で運営されています。
- 結婚相談所のビジネスモデルの構成要素
・会員制度
ほとんどの結婚相談所は会員制で運営されています。
・初期費用(登録料)
入会時に一度だけ支払う費用です。
・月会費
会員としてサービスを継続利用するための定期的な費用です。
・成婚料
成功したマッチングが結婚に至った場合に支払われる費用です。
・デートセッティング料
相談所によっては、デートのセッティングに対して別途料金を取る場合があります。
・追加サービス
イベントの開催や婚活セミナーなど会員に付加価値を提供するサービス。これらは収益の追加源となることがあります。
結婚相談所の収益は主に上記の会費や料金から得られます。特に初期費用や月会費、成婚料が基本的な収益源となりますが、デートセッティング料や追加サービスによってさらなる収益を上げる相談所も増えています。
近年結婚相談所は会員に対してより多くの価値を提供するため、様々な追加サービスを展開しています。イベントの開催や婚活セミナーは会員にとって魅力的なサービスであり、結婚相談所にとっては新たな収益源となっています。
このように結婚相談所のビジネスモデルは複数の収益源を持ち、それぞれのサービスが会員に対して付加価値を提供することで、結婚相談所は持続可能なビジネスを築いています。
利用者の傾向とニーズ
結婚相談所を利用する人々の傾向には、以下のような特徴があります。
- 年齢層は幅広いが、特に30代後半から40代の利用者が多い
- 独身で初婚を希望する人が大半を占めるが、再婚を望む人も増えている
- 忙しくて自分で相手を探す時間がないプロフェッショナルが多い
- 結婚に対して真剣で、具体的な希望条件を持っている人が多い
利用者のニーズは大きく分けて信頼できるパートナー探しと安心して活動できるサポート体制です。具体的には自分の条件に合った相手を効率的に探したい、プライバシーを守りつつ活動したい、専門家のアドバイスを受けながら婚活を進めたいというものがあります。結婚相談所はこれらのニーズに応えるため、個別のカウンセリングやプロフィールのマッチング、デートのセッティングなど多様的なサービスを展開しています。
結婚相談所業界の市場動向と市場規模
仲人から結婚相談所へと進化した婚活サービスの役割は、日本の社会において長い歴史を持ちます。平安時代の後継人制度から始まり、江戸時代には仲人が一般に普及しました。昭和に入ると形は変われどその役割は結婚相談所として引き継がれ現代に至ります。かつては自由恋愛が主流となり、結婚相談所の役割は低下したように見えましたが成熟化する現在の日本社会では、結婚相談所を含む婚活サービスの重要性が再評価されています。
インターネットを通じた婚活サービスの普及、地方自治体や企業の福利厚生プログラムとしての婚活支援など、多様な形で婚活を後押しする風潮が高まっています。特に注目されるのは、リクルートブライダル総研の報告によると、2018年における婚姻組数に占める婚活サービス利用割合が12.7%に上るというデータです。これは、婚活サービスが多くの人々にとって重要な役割を果たしていることを示しています。
結婚相談所業界が持つ課題
結婚相談所は、多くの人が理想のパートナーを見つけるために利用しています。しかしこの業界は大きな課題に直面しています。まず会員同士のマッチングにかかる時間やコストが大きな問題です。会員が理想とするパートナーを見つけるまでに、多大な時間と労力がかかります。また、コスト面でも高品質なサービスを受け続けるためにはそれ相応の費用がかかり、これが結婚相談所を利用する際の高いハードルとなっています。
また、プライバシーの保護も重要な課題の一つです。会員の個人情報を守りながら同時に効率的なマッチングを実現するためのバランスを取ることは業界全体でも問題ししています。そして、新型コロナウイルス感染症の流行では対面での活動を制限し、オンラインでのサービス提供へと急速にシフトする必要がありました。これにより、オンラインでのマッチングサービスの質を如何に高められるかが業界にとっての新たな課題として上がってきました。
更に、顧客の期待値は年々高まっており、結婚相談所は期待値に応えるため、サービスの質を維持し、さらなる向上をさせる必要もあります。この課題に対処するために、技術進歩の活用や効率的かつ安全、そしてコスト効果の高いサービスを提供することが求められていきます。
結婚相談所市場の成長性
結婚相談所市場は将来的にも成長が続くと見込まれています。その背景にはいくつかの要因があります。まず、結婚に対する人々の意識が変わりつつあることが挙げられます。特に都市部では、独身の成人の割合が増加しており、それが結婚相談所の需要を高めています。この社会の変化は結婚相談所が提供するサービスに対する関心を高めることにも繋がります。
加えて、国際結婚を希望する人の数も年々増えています。異文化間での結婚は多様性を重視する現代の価値観とも合致しており、この傾向は結婚相談所市場の成長を後押ししています。また、テクノロジーの進歩によりオンライン上での新しいマッチングサービスが次々と登場しています。このサービスは従来の対面式のサービスに比べて手軽に利用でき、より幅広い層の顧客を引きつけています。
業界内競争の様相
結婚相談所の業界では日本国内において非常に競争が激しい市場の一つです。多くの事業者が参入しており、それぞれが独自のサービスや特色を前面に押し出しています。この業界で生き残るためには他社と差別化できるサービスの提供が不可欠です。
特に注目されているのは人工知能(AI)を活用した高度なマッチングサービスを提供する企業です。こういった企業は個々の利用者の好みや性格を詳細に分析し、最適なパートナーを提案することで成功率の高いマッチングを実現しています。一方で特定の趣味や価値観を共有する人々をターゲットにしたサービスを展開する企業もあります。例えば、アウトドア活動が好きな人向けや、特定の宗教観を持つ人向けの結婚相談所などがその例です。
このような競争環境の中で大手企業と中小企業の間でも激しい争いが繰り広げられています。大手企業は豊富な資本力とブランド力を背景に広範なサービス展開や大規模なマーケティング活動を実施し、それに対し、中小企業は地域密着型のサービスや特定ニッチ市場への特化を通じて、市場での立ち位置を確立しようとしています。
新規参入と市場の変動
結婚相談所業界は新しい企業でも比較的容易に参入できます。それは起業に必要な初期投資が他の業界に比べて低いためです。新規参入企業は革新的なアイデアや最新の技術を持ち込み、結婚相談所のサービス提供方法に新しい風をもたらします。結婚相談所市場は常に活性化され消費者にとってはより多様な選択肢が提供されます。
しかし、市場のダイナミズムは既存の結婚相談所にとっては大きなチャレンジを意味します。新規参入企業の革新的なサービスは市場における競争を激化させ、既存事業者は自らのサービスの質を向上させるか新しいビジネスモデルを模索する必要に迫られます。つまり、業界全体のサービスレベルの向上を促進するが、一方で市場からの撤退を余儀なくされる事業者も出てきます。
新規参入企業が市場にもたらす変化は消費者にとってはより良いサービスや新しい選択肢を意味しますが、事業者にとっては絶えず進化し続けることの重要性を示します。結婚相談所業界における成功は革新への適応能力と常に顧客のニーズを満たすことへのコミットメントが非常に大事になってきます。この市場環境は結婚相談所業界が今後も成長し続けるために必要なことなのです。
技術進化の影響
結婚相談所業界は技術進化の影響を大きく受けています。
人工知能やビッグデータの活用により、より精度の高いマッチングが可能になりました。また、仮想現実(VR)技術を利用したバーチャルデートなど、新しい形のサービスも登場しています。この技術進化は、顧客体験の向上に貢献し、業界の成長を支える重要な要素となっています。
上記の要素を踏まえると結婚相談所業界は多くの挑戦に直面しながらも進化し続ける市場であることがわかります。また、新しい技術やサービスの登場は市場をよりダイナミックなものにしており、その中で事業者は常に革新を求められています。
結婚相談所業の動向と今後
結婚観の変化と市場への影響
結婚相談所の業界は、近年の人々の結婚観の変化によって大きな影響を受けています。特に若い世代の間で結婚に対する価値観が多様化しており、従来の結婚の形にとらわれない新しい関係性の模索が見られます。このような結婚観の変化は、結婚相談所のサービス内容や提供方法にも影響を及ぼしています。
例えばより柔軟なマッチングシステムの導入や個人の価値観を重視したカウンセリングの充実など利用者一人ひとりのニーズに応えるための工夫が求められています。また、結婚を急がない、あるいは結婚に消極的な人々に対しても友人作りや趣味の共有といった新しいコミュニティ形成の場を提供することで業界のサービス範囲を広げています。
オンラインマッチングサービスの台頭
オンラインマッチングサービスの普及は結婚相談所業界にとって大きな転換点となっています。インターネットの発展により、手軽に多くの人と出会える環境が整い始めました。それにより従来の結婚相談所を利用することなくオンラインで気軽にパートナー探しができるようになったのです。この動きは、結婚相談所のサービス提供方法にも影響を与え、オンラインでのカウンセリングやビデオチャットを利用した初対面など新たなサービスの導入を促しています。また、オンラインマッチングサービスと結婚相談所の連携も進み、より広い選択肢として提供されるケースも増えています。
国際結婚の増加と業界への影響
グローバリゼーションの進展により、国際結婚の数も増加しています。異文化間での結婚が一般的になる中、結婚相談所業界もこの変化に対応しています。国際結婚を専門に扱う結婚相談所が登場し異文化理解や言語のサポートなど国際結婚特有のニーズに応えるサービスを提供しています。さらに、オンライン技術の活用により、国境を越えたマッチングが可能になり世界中の人々と出会う機会が広がっています。この動きは結婚相談所業界に新たな市場を開拓し業界の国際化を促進しています。
上記の動向から結婚相談所業界は社会の変化や技術進化によって常に新たな課題に直面しながらもそれを機会として捉え進化し続けています。結婚観の変化、オンラインマッチングサービスの台頭、国際結婚の増加は業界にとって新たな挑戦でありながら、同時に成長の機会も提供しています。これからも結婚相談所業界は、多様化するニーズに応えるためにサービスの質の向上と革新を追求していくことでしょう。
結婚相談所業界のM&Aの動向
M&A市場の現状と将来性
結婚相談所業界におけるM&A市場は、近年非常に活発化しています。この背景には、市場の成熟とともに競争が激化し、新しい顧客層を開拓するためにはより大きな規模とリソースが必要になってきたからです。また、テクノロジーの進化によりオンラインマッチングサービスとの競争も激しさを増しています。
この状況が、結婚相談所業界内での合併や買収を促進しているのです。将来性に関しては業界のさらなる統合が予想され、大手企業による中小企業の買収や、異業種からの参入者によるM&Aが増加することが見込まれます。これにより、市場はより効率的になり顧客に対してより質の高いサービスが提供されるようになると考えられています。
結婚相談所業界におけるM&Aの特徴
結婚相談所でのM&Aは、業界をさらに大きく進化させています。M&Aは特に、市場シェアの拡大やサービスの多様化を目的とするものが多いです。この動きは買収される側の企業にとっても、買収する側の企業にとっても大きなメリットをもたらします。
買収される側の企業は、資金調達や新たな顧客基盤へのアクセスといった利点を受けることができます。これは特に資金繰りに課題を抱える小規模な結婚相談所にとって、事業を継続し成長させるための大きなチャンスとなります。
一方、買収する側の企業にとっては即座に市場規模を拡大することが可能となります。また、新しい技術やサービスモデルを取り入れることで業界内での競争力を高めることができるのです。特に結婚相談所業界においてはサービス提供のノウハウや専門的なマッチング技術が重要とされるため、技術を持つ企業を買収することは、事業の質を大きく向上させることに直結します。
結論として、結婚相談所業界でのM&Aは市場シェアの拡大やサービスの多様化、新技術の導入といった多角的なメリットをもたらし、業界全体の発展に寄与しています。これは結婚相談所が提供するサービスの質を高め、顧客満足度を向上させることにつながります。
主要なM&A事例とその影響
近年、結婚相談所業界で注目されたM&A事例には大手企業による中堅・中小企業の買収が数多く含まれます。例えば業界のリーダー的存在である企業が特定の技術やサービスに強みを持つ小規模な企業を買収するケースが見られます。このM&Aは買収後にサービスの質の向上や新たな顧客層の獲得につながり、業界全体の成長に貢献しています。
また、異業種からの参入者による買収も見られ新しいビジネスモデルの導入やイノベーションの促進が期待されています。これらのM&A事例は結婚相談所業界がどのように進化し、顧客のニーズに応えようとしているかを示しており、業界の将来に大きな影響を与えています。
結論として、結婚相談所業界のM&A市場は現在も活発であり今後もさらなる成長が見込まれます。M&Aは企業にとって市場でのポジションを強化し、新たな技術やサービスを迅速に取り入れる手段となっています。また、業界全体のサービスの質の向上や効率性の増大にも寄与しており、結婚相談所を利用する顧客にとってもメリットが大きいと言えます。この動向は、結婚相談所業界が今後どのように発展していくかとても重要です。
結婚相談所のM&Aをするメリット
売却側のメリット
資本力の向上
結婚相談所の売却はまず、直接的に「資本力の向上」をもたらします。資本力が向上するとはつまり売却から得られる資金を再投資することで、新たなビジネスチャンスを探求できる余裕が生まれることを意味します。
例えば結婚相談所の売却によって得た大きな資金を使い、別の業種への投資や新事業の立ち上げに挑戦できます。これにより、元々の結婚相談所運営に限定されていた事業領域を拡大し、さらなる収益の機会を追求できるようになります。
経営リスクの分散
結婚相談所の売却は「経営リスクの分散」にも寄与します。どの業界でも事業を継続する上で多くのリスクが存在します。特に結婚相談所業界は経済状況や社会的な価値観の変化によって大きく影響を受ける可能性があります。売却によって得た資金を使い、複数の事業に分散投資を行うことで、一つの事業が直面するリスクに依存しない経営体制を構築できます。これにより、市場の不確実性が高い中でも安定した事業運営が実現できます。
実例として、A結婚相談所が他の業界への投資や新規事業の立ち上げのために売却され、その後、元のオーナーが飲食業やIT業界へ事業を拡大したケースがあります。このように、結婚相談所の売却は経営者にとって新たなスタートの機会を提供し、事業の多角化を促進する重要なステップにもつながるのです。
サービス拡充による市場競争力の強化
M&Aはサービスの拡充を通じて市場競争力を大幅に強化します。買収されることで新しい技術やサービスモデルを取り入れ、顧客に対してより多様な選択肢を提供できるようになります。これにより、結婚相談所は競合他社との差別化を図り、市場での優位性を確立できます。
例えばオンラインマッチングシステムや海外のパートナーとの連携など新しいサービスの導入が顧客満足度の向上に直結し、結果として市場シェアの拡大に繋がっています。
経営資源の最適化
M&Aを通じて結婚相談所は経営資源の最適化を図ることができます。売却によって得られる資金を再投資し経営の効率化や新規事業への拡張に活用することが可能で、買収する側の企業のリソースを活用をすることで、人材や技術などの面で相乗効果を生み出し、事業運営の効率を向上させることができます。これらを通じて、結婚相談所は限られた資源をより価値のある領域に集中させることが可能になり経営基盤の強化に繋がります。
ブランド価値の向上
大手企業に買収されることで、結婚相談所のブランド価値が向上することも大きなメリットです。買収企業のブランド力やマーケティング能力を活用することで、より広範な顧客層にリーチできるようになり、企業イメージの向上にもつながります。また、顧客からの信頼度も高まり、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤリティ向上が期待できます。
つまり、結婚相談所のM&Aには売却側に多くのメリットがあります。資本力の向上や経営リスクの分散、市場競争力の強化、経営資源の最適化、ブランド価値の向上など、これらのメリットを活かすことで企業は新たな成長ステージへと進むことが可能になります。また、M&Aは結婚相談所が抱えるたくさんの課題を解決に導き、未来への大きな一歩を踏み出してくれます。
買収側のメリット
市場シェアの拡大
市場シェアの拡大は、結婚相談所業界における最も目に見えるメリットの一つです。M&Aによって他の結婚相談所を買収することで即座に市場における自社のポジションを高めることができます。これは新規顧客を獲得するためのマーケティングコストや時間を大幅に節約できるため、経済的にも非常に効率的です。例えば、A社が競合のB社を買収した場合、A社はB社の顧客を含めたより広い市場をすぐに手に入れることができます。これにより、業界内での競争優位性を確立し、結婚相談所としてのブランド価値を高めることが可能になります。
顧客基盤の多様化
M&Aによるもう一つの大きなメリットは顧客基盤の多様化です。結婚相談所業界は顧客のニーズが多様化しており、異なるターゲット市場に特化したサービスが求められています。買収を通じて異なる特徴や強みを持つ結婚相談所を手に入れることでサービスの幅を広げ、より多くの顧客のニーズに応えることが可能になります。たとえば、若年層に特化した結婚相談所を持つ企業が、シニア層に強い結婚相談所を買収することで全年齢層にわたってサービスを提供できるようになります。これにより顧客基盤を多様化し市場での競争力をさらに強化することができます。
サービスラインナップの充実
結婚相談所の業界では顧客のニーズが多様化しています。ある人はパーソナライズされた手厚いサポートを求め、ある人はオンラインで手軽に相手を見つけたいと考えています。買収を通じて他社のサービスや技術を取り入れることで、自社のサービスラインナップを一気に拡張し、より幅広い顧客のニーズに応えることができます。これは新しい市場セグメントへの進出や既存顧客への追加サービス提供という形で売上の増加に直結します。
例えば、オンラインマッチングサービスを提供する小規模企業を買収することで、従来の対面式のサービスを提供していた結婚相談所が、新たな顧客層を獲得し、サービスの多様性を高めることができます。
運営ノウハウの獲得
結婚相談所の運営には顧客管理、マッチングアルゴリズムの開発、イベントの企画・運営など、特有のノウハウが必要です。M&Aを通じてこれらの運営ノウハウや専門知識を持つ企業を買収することで短期間で学習でき、効率的に業務を展開することが可能になります。特に新規に結婚相談所事業に参入する企業にとって、買収は市場への迅速な成長を可能にする手段になります。
例えば、成功している結婚相談所を買収することでその運営チームの知識や経験を自社に取り込み、サービスの質を向上させることができます。
事業戦略の多角化
結婚相談所の業界では市場の変動に対応するために事業戦略の多角化が求められています。M&Aは関連分野への進出や新しいビジネスモデルの導入を通じて事業のリスクを分散し、安定した成長を実現する有効な手段です。
たとえば、結婚相談所だけでなく結婚式場の運営会社や旅行会社など、結婚に関連する他のサービスを提供する企業を買収することで顧客にワンストップのサービスを提供できるようになります。これにより顧客満足度の向上とともに、新たな収益源を確保することへもつながります。
つまり、結婚相談所業界でのM&Aは買収側にとって多くのメリットがたくさんあります。市場シェアの拡大や顧客基盤の多様化、サービスラインナップの充実、運営ノウハウの獲得、事業戦略の多角化など、利点を生かし、企業はより競争力のあるポジションを確立し、成長を加速させることができます。このメリットをフルに活用することで、結婚相談所の業界内での成功を実現することができます。
結婚相談所のM&Aの注意点
文化の違いによる摩擦
結婚相談所のM&Aにおいて異なる企業文化の衝突は避けられない問題です。買収後両社の価値観や業務運営スタイルの違いが明らかになると組織内での摩擦が生じやすくなります。
このような文化的な差異は社員のモチベーション低下や業務効率の悪化に直結するため、M&Aを成功させるためには事前に十分なコミュニケーションを取り、企業文化の統合に向けた戦略を練る必要があります。
実際には共通のゴール設定やビジョン設定、チームビルディング活動を通じて、異なる文化の橋渡しを図ることが重要になってきます。
顧客基盤の統合に伴うリスク
結婚相談所同士のM&Aでは顧客基盤の統合も大きな課題となります。
異なるサービスポリシーや価格設定、顧客対応の方法などが統合プロセスで変更されると、顧客の混乱や不満が生じることがあります。
特に個人情報の取り扱いやサービスの質に敏感な結婚相談所業界では顧客からの信頼を損なうことは致命的です。そのため、M&Aを行う際には顧客に対するコミュニケーション計画を慎重に立て、スムーズなサービスの移行を心がけることが大切です。
従業員の不安定感への対応
M&Aは従業員にとって大きな不安をもたらします。職場環境の変化や将来の職務に対する不確実性、従業員の士気や生産性など。ですのでM&Aでは、従業員の不安に対処するために、早期から透明性のある情報提供とオープンなコミュニケーションが大切になってきます。
また、経営陣は従業員の声に耳を傾け、不安や懸念に対して誠実に対応することで組織内の信頼関係を保つことが大切です。
法規制とコンプライアンスの確認
結婚相談所業界のM&Aを進める際には、業界特有の法規制やコンプライアンスの要件を十分に理解し遵守することが不可欠です。特に顧客の個人情報の取り扱いや、サービスの提供方法に関する規制は厳格であるため、これらの要件に違反すると、重大な法的責任やブランドイメージの損失につながるリスクがあります。そのため、M&Aでは専門の法務チームやコンプライアンス担当者を早期に関与させリスクに対する課題と対策の立案を行うことが大切です。
つまり、結婚相談所のM&Aには多くのメリットがありますが、成功させるには上記のような注意点を克服する必要があります。文化の違いによる摩擦の最小化や顧客基盤のスムーズな統合、従業員の不安定感への適切な対応、法規制とコンプライアンスへの厳格な遵守が、M&Aの成功に不可欠な要素となります。この課題を正確に理解し、事前に対策を講じることでM&Aは結婚相談所業界における成長と発展をもたらしてくれます。
結婚相談所におけるM&Aを成功させるためのポイント
M&A戦略の立案
結婚相談所業界におけるM&Aを成功させるためには明確な戦略と立案が必要不可欠です。戦略策定の初期段階では、業界内の現状分析から始め買収対象の選定、買収後のビジョンまでを綿密に計画する必要があります。
買収対象の選定に際しては自社の強みと弱みを客観的に評価し、どのような相談所が自社にとって最適なパートナーになり得るかを検討します。買収後のビジョン策定では、新たな組織が市場でどのようなポジションを目指すのか、また、どのような価値を顧客に提供できるのかを明確にします。戦略の立案には業界の専門家やコンサルタントの意見を取り入れることも有効です。
相場価格をよく理解しておく
M&Aにおける適正な評価額の理解は、交渉における重要な要素です。結婚相談所業界におけるM&A市場の動向や近年の買収事例を分析することで相場価格の傾向を把握します。評価額の算定には財務データだけでなく顧客基盤の質、ブランド価値、市場内でのポジションなど多角的な視点から分析する必要があります。
また、将来的な成長性やシナジー効果の見込みも評価に反映させることが重要です。適正な価格での買収を実現するためには専門の財務アドバイザーと連携し、詳細なデューデリジェンスを行うことが勧められます。
PMI(統合後プロセス)の確立
M&Aは買収後の統合プロセス(PMI)にが重要になってきます。特に結婚相談所のようなサービス業界では顧客満足度の維持が極めて重要です。統合プロセスでは異なる企業文化の融合やシステムやプロセスの統一、そして従業員のモチベーション維持など多岐にわたる課題があります。統合プロセスをスムーズに進めるためには買収前から具体的な計画を立て、買収後は迅速に実行に移すことが重要です。また、関係者間のコミュニケーションを密に取り、変化に対する理解と支援を求めることも統合成功の鍵となります。
結論、M&Aを成功に導くためには、戦略の明確な立案、相場価格の適切な理解、そして買収後の統合プロセスの丁寧な管理が必要です。これらのポイントを押さえ計画的にM&Aを進めることでさらなる拡大、成長が実現できます。
結婚相談所のM&Aにおける成功事例
ブラスがビーラインのブライダル事業を譲受
2017年7月ブラスは静岡のビーラインのブライダル事業「ヴィラエッフェ」を譲受しました。ブラスは、今回の事業譲受により、静岡のブライダル事業の営業基盤を固めるとともに業務効率化を図り、さらなる事業規模拡大を目指すとしています。
こころネットによるエルタへの事業譲渡
2021年1月、こころネットは、連結子会社のこころガーデンが運営する介護事業をエルタに譲渡を発表しました。
売却側は葬祭・石材・婚礼・生花・互助会などの事業を展開しており、顧客の人生の節目における儀式をトータルでサポートしています。買収側は、サービス付き高齢者向け住宅を運営する特定非営利活動法人です。
こころネットはこの譲渡によってM&Aの目的として、ニーズに沿った介護サービスのさらなる充実を図り、安心安全な福祉の実現に期待するとしています。
テイクアンドギヴ・ニーズがグットラック・コーポレーションをケン不動産リースに株式譲渡
2020年9月、婚礼・ウエディング事業を行うテイクアンドギヴ・ニーズは、海外・リゾートウエディング事業を行っている子会社グッドラック・コーポレーションの全保有株式(全体の91.8%)をケン不動産リースに譲渡をしました。譲渡価額は非公表です。
テイクアンドギヴ・ニーズとしては、コロナ禍の影響もあり経営状況が厳しくなった子会社を、取引関係のあったケン不動産リースに譲渡し、経営の選択と集中を行っています。
くふうカンパニーが結婚式プロデュース会社を完全子会社化
aedamによるラビアンローゼとウィンクルの事業譲受
2020年8月、aedamは、ラビアンローゼから「ホテルアークリッシュ豊橋衣装室」、ウィンクルから「スウィートローゼスクラブ岡崎」の事業を譲受しました。
スウィートローゼスクラブ岡崎は、『心に残る、アットホームな結婚式を』を理念に掲げています。aedamは、愛知県で貸衣装事業とフォトスタジオ事業を営んでおり、本件M&Aによって愛知県におけるブライダル事業の拡大を図るとしています。
パートナーエージェントがpmaを子会社化
2020年4月、婚活サービス大手のパートナーエージェントは、挙式披露宴後の二次会プロデュース事業を行うpmaの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は1,000円です。
このM&Aスキームを説明すると、まず挙式披露宴後の二次会プロデュース事業の大手であるオーセモーション・プロダクツが会社分割をしてpmaが設立されました。会社分割時にpmaが承継したのは、東京と神奈川における挙式披露宴後の二次会プロデュース事業です。
つまりパートナーエージェントとしてはオーセモーション・プロダクツの東京と神奈川における挙式披露宴後の二次会プロデュース事業を譲受しています。
パートナーエージェントがMクリエイティブワークスを子会社化
2020年3月パートナーエージェントはフォトウエディング事業を行うMクリエイティブワークスの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は2億1,400万円となっています。
パートナーエージェントは、以前よりMクリエイティブワークスの株式14.9%を所有していましたが、残りの85.1%を追加取得したものです。パートナーエージェントとしては、これまで行ってきていなかったフォトウエディング事業を新たに取得しています。
エスクリがラヴィマーナ神戸から事業譲渡
2020年3月、婚礼・ウエディング事業を行うエスクリは、ラヴィマーナ神戸が運営してきた結婚式場「ラヴィマーナ神戸」と、扇屋が「ラヴィマーナ神戸」内で行ってきた衣装事業を、それぞれ譲受しました。取得価額は公表されていません。
エスクリとしては、神戸市で2軒目の結婚式場を得て、同エリアにおける業績拡大を図る目論見です。
平安レイサービスがさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスを子会社化
2020年1月、冠婚葬祭事業を行う平安レイサービスは、葬祭業のさがみライフサービスと、ホテル経営のシンエイ・クリエート・サービスのそれぞれの全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。
子会社となった両社は、ともに神奈川県小田原地区で事業を行っています。平安レイサービスとしては、同エリアにおける営業力アップを期待してのM&Aです。
関連:平安レイサービスがさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスを子会社化
IBJが海外旅行企画のかもめを完全子会社化
2016年12月、IBJは、海外ツアー企画のかもめの全株式を取得し、完全子会社化しました。かもめは、海外ツアー企画「かもめツアー」「eかも」を主な事業として展開しています。
本件事例により、IBJが提供する「成婚支援サービス」とのシナジー創出が見込まれ、新婚旅行などのニーズに対応できると期待されています。
IBJがウインドアンドサンを子会社化
2016年6月、IBJは、式場送客デスク「ウェディングnavi」を運営するウインドアンドサンを子会社化しました。
ウインドアンドサンは、ウェディングのジャンルや地域など、特化型専門媒体を有し、式場送客デスク「ウェディングnavi」を運営しています。BJは、ウインドアンドサンを子会社化することで、広告による顧客獲得力の大幅強化を見込んでいます。
エスクリがフジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアを完全子会社化
2015年12月、エスクリは、フジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアの全株式を取得し、完全子会社化しました。
エスクリは、挙式・披露宴の企画・運営を行うブライダル事業を展開しており、東京、名古屋、大阪を中心に17の施設を運営しています。また、結婚式場を2つ(東京の南青山と麻布)保有しているストーリアを買収することで、エスクリのブライダル事業のエリア拡大と収益向上を図っています。
関連:エスクリがフジ・メディア・ホールディングスの子会社ストーリアを完全子会社化
藤田観光がかわのを完全子会社化
2015年1月に、藤田観光は広島市にあるかわのの全株式を取得し、これを完全子会社化しました。
ホテルや旅館の運営及びレジャー事業に携わる藤田観光によるこの子会社化により、同社は広島市における結婚式・ウェディング事業へ新たに参入を果たしました。
IBJが完全子会社のエスアイヤを吸収合併
2013年4月IBJは、完全子会社のエスアイヤを吸収合併しました。エスアイアは外部からの受注活動を行っていないため、決算業務や事務処理業務を一本化する目的で吸収合併を行っています。
IBJは、完全子会社のエスアイヤを吸収合併して1つの法人格に統一することで、経営や事業の効率化を図ると発表しています。
こころネットが郡山グランドホテルを完全子会社化
2013年4月、こころネットは福島県郡山市に位置する郡山グランドホテルの全株式を取得し、同ホテルを完全子会社化しました。
郡山グランドホテルが保有する結婚式場2か所と葬儀会館3か所を通じて、こころネットは郡山市での冠婚葬祭事業の強化を目指します。
参考:こころネット、郡山グランドホテルを買収 婚礼事業を強化
まとめ
今回は、結婚相談所のM&A・事業承継の全知識ということで、結婚相談所のM&Aにおける売却相場・事例・成功ポイントを解説しました。
結婚相談所の業界は、多様化するニーズに応えるため、そしてさらなる成長を遂げるために、大手から中小までのM&Aが盛んに行われています。特に、異業種からの新規参入によるM&Aも活発で、この動きは業界内のサービスの質の向上や新たなビジネスモデルの創出に大きく貢献しています。
M&Aは、結婚相談所業界における企業の成長戦略として非常に有効な手段です。しかし、その過程には多くの挑戦が伴います。成功するためには、市場の動向を正確に把握すること、適切な相手とのマッチング、そして細心の注意を払った準備と実行が必要です。今回の記事が、結婚相談所におけるM&Aを検討する際の一助となれば幸いです。