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日立造船、バイオガス市場での積極展開
日立造船株式会社が、スイスに本拠を置く子会社Hitachi Zosen Inova AG(HZI)を通じて、イタリアを拠点とするSchmack Biogasを子会社化しました。この動きは、欧州におけるバイオガス市場の拡大を見据えた戦略の一環です。バイオガスは再生可能エネルギーの一つとして注目されており、欧州では特にその普及が進んでいます。日立造船は、技術力と豊富な実績を背景に、バイオガス事業をさらに強化しようとしています。この記事では、この買収の背景と、日立造船の戦略的な位置づけについて詳しく解説します。
Schmack Biogasの歴史と成長
Schmack Biogasは、2006年にドイツのシュバンドルフで設立され、その後独立してイタリアを中心に事業を展開するようになりました。設立当初からバイオガス事業に注力し、EPC(設計、調達、建設)や運営、保守、事業開発を行っています。2020年にはPLC SpAが同社の株式過半数を取得し、成長を続けてきました。
- 設立:2006年
- 本拠地:イタリア トレンティーノ=アルト・アディジェ州
- 主要市場:イタリア、ギリシャ、エストニア、ベルギー
Schmack Biogasは、これまでに約70件のバイオガスおよびバイオメタンプラントを納入し、業界で確固たる地位を築いています。
バイオガス市場の現状と未来
バイオガスは、有機廃棄物を原料として生成されるガスで、再生可能エネルギーの一つとして注目を集めています。欧州委員会の「REPowerEU」計画により、バイオガス・バイオメタンの利用は今後さらに加速する見込みです。特にイタリアは、バイオガスの導入が進んでおり、今後の市場拡大が期待されています。
- バイオガスの利点:持続可能なエネルギー供給、環境への負荷低減
- 市場の成長率:年間5%以上の成長が予測されている
- 主要市場:ドイツ、イタリア、フランス、オランダ
バイオガスは、化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして、世界的な注目を集めています。
日立造船の戦略的投資
日立造船は、2023年度から2025年度にかけて約400億円を投資し、欧州でのバイオガス事業を拡大する計画です。HZIは、イタリア北西部のPianfeiで新たなバイオガスプラントの建設を決定し、2027年の稼働開始を目指しています。これは、日立造船グループの欧州市場における存在感をさらに高めるものです。
日立造船の強みは、乾式メタン発酵技術「Kompogas®」や湿式メタン発酵技術を持つことにあります。これにより、効率的で環境に優しいエネルギー供給を実現しています。
HZIとSchmack Biogasの協力によるシナジー効果
HZIとSchmack Biogasの協力は、日立造船のバイオガス事業における競争力を一段と高めます。Schmack Biogasの技術とHZIの国際的なネットワークの融合により、より多くのプロジェクトを効率的に実施できます。特に、イタリア市場でのプレゼンス強化が期待されます。
- 共同プロジェクトの増加
- 技術の相互補完
- 市場シェアの拡大
これにより、日立造船は再生可能エネルギー分野でのリーダーシップをさらに強固なものとするでしょう。