新時代の交通・観光プラットフォームが始動
東京地下鉄株式会社(以下「東京メトロ」)とリンクティビティ株式会社(以下「リンクティビティ」)の資本業務提携が、交通業界に新たな風を吹き込もうとしています。この提携は、東京メトロが20%の出資を行うことにより、持分法適用会社となることで実現しました。鉄道業界において、交通・観光プラットフォーム事業を共に推進する取り組みは初めてのことです。この記事では、この提携の背景、意義、そして今後の展望について詳しく解説します。
東京メトロとリンクティビティの歩み
東京メトロは、旅客鉄道事業を主軸としつつ、都市生活の創造を目指して多角的な事業を展開しています。駅構内店舗の運営や不動産賃貸、情報通信インフラの提供など、多岐にわたる活動がその例です。一方、リンクティビティは、交通機関と観光施設を結びつけるBtoB取引プラットフォームを提供し、旅行会社やオンライン旅行代理店にチケットを供給しています。また、交通・観光事業者や自治体向けに効率化サービスも提供しています。
資本業務提携の背景と狙い
この提携の背景には、訪日外国人旅行者向けの企画乗車券「Tokyo Subway Ticket」のオンライン販売を通じた成功があります。2020年3月から、リンクティビティの販売網を通じて、訪日外国人がこの乗車券をオンラインで購入し、駅構内の券売機で引換えできるようになりました。この取り組みは、鉄道業界における先進的な試みでした。今回の提携により、両社はさらに関係を強化し、世界各地での販売強化や、新商品「Tokyo City Pass」(仮称)の開発を進めます。
今後の展望と新時代のインバウンド戦略
東京メトロは、リンクティビティが持つシステム・商品開発力や販売網を活かし、既存の旅行者向け企画乗車券の販売を強化する方針です。特に、コロナ後の観光需要を見据え、東京ならではの観光施設や体験を凝縮したインバウンド向け新商品の開発に力を入れています。また、各種クレジットカードのタッチ決済やQRコードを用いた乗車サービスの実証実験を進め、訪日外国人がよりスムーズに利用できるサービスの拡充を目指しています。
交通・観光産業の未来を切り開く鍵
この提携は、交通・観光産業における新たなモデルケースとなる可能性を秘めています。両社の強みを活かし、訪日外国人旅行者にとって利便性の高いサービスを提供することは、インバウンド市場の拡大に直結します。さらに、交通と観光を融合させた新たなビジネスモデルは、他の交通事業者や観光業界にも影響を与えることでしょう。今後の動向に注目です。