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グループホームのM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「グループホームのM&Aにおける動向は?」
「グループホームのM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「グループホーム M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、中古車販売会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

グループホームにおけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、グループホームのM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

グループホームとは

グループホームとは、主に高齢者や障害を持つ人々が共同で生活を行うための住居設備のことです。日常生活において何らかの障害を抱える人々が、支援を受けながら自立した生活を送れるようサポートするのが主な役割になります。

グループホームは通常、数人(6〜10人程度)の利用者が共同で生活する形態です。これにより、個々の利用者に対するきめ細かい支援が可能となります。担当のスタッフが個々の心身の状態に合わせたサポートを行ってくれるのが特徴です。

またグループホームは家庭的な雰囲気を大切にしており、個々の利用者がプライバシーを守りながらも、他の利用者と協力して生活します。食事や趣味活動なども共に楽しむことができ、社会的なつながりを育む場でもあります。

グループホームのビジネスモデル

グループホームにはいくつかのビジネスモデルが存在し、ビジネスモデルによって収益性も異なるのが特徴です。それぞれのビジネスモデルについて解説していきます。

高齢者向けグループホーム

高齢者向けグループホームは、グループホームのなかでも一般的なビジネスモデルです。認知症や障害を持つ人を対象としないビジネスモデルになります。健常者を対象とし、自立支援を重視しているのが特徴です。

高齢者向けグループホームは、主に日常生活の支援を行い、社会的な交流の場を提供します。日常生活において様々な悩みを持つ高齢者に寄り添い、高齢者が安心してくれせることが目的です。

高齢者向けグループホームは、高齢者人口が年々高まっている日本において非常に重要な存在でもあります。そのため、高齢者向けグループホームへの行政支援も手厚くなっているのが現状です。

障害者向けグループホーム

障害者向けグループホームは、知的障害者や精神障害者などの障害を持つ人々が、自立した生活を営むための支援を受けながら、少人数で共同生活をするための施設です。一般的な高齢者向けグループホームとは違って、障害者の支援を目的としています。

障害者向けグループホームの主な目的は、障害を持つ人々ができるだけ自立した生活を送れるように支援することです。少人数(通常5~10名程度)のグループで生活し、入居者同士が助け合いながら生活します。

障害者向けグループホームでは、知的障害者・精神障害者・発達障害者など、さまざまな障害を抱えた人々の支援をおこなうのが役目です。そのため、勤務するスタッフもより専門的な経験と知識が求められす。障害者向けグループホームは、日本の福祉を支える重要な存在です。

介護予防型グループホーム

介護予防型グループホームは、主に高齢者を対象とした施設で、介護が必要になる前に予防的な支援を行い、入居者の自立した生活を維持・促進することを目的としているグループホームのビジネスモデルです。

介護予防型グループホームは、入居者ができるだけ長く自立した生活を送れるように支援し、介護の必要性を減らすことを目指しています。入居者が介護を必要とする状態になるのを防ぐために、リハビリテーションや生活習慣の改善などをサポートすることが役目です。

介護予防型グループホームは、今後介護が必要となる可能性が高い高齢者を支援するための施設になります。高齢化社会を迎えている現代の日本においては、福祉面でも非常に重要な役目を果たす存在です。

グループホームに必要な業許可・資格

グループホームに必要な業許可・資格について解説していきます。

グループホームに必要な業許可

グループホームの運営するためには、さまざまな業許可が必要です。特に福祉施設に関する法律や規則が関わってくるため、適切に必要な業許可を取得することが必須となります。グループホームの運営に必要とされる業許可は、以下の通りです。

  • 介護保護事業者
    介護を必要とする高齢者や障害者を対象とする場合、介護保険制度を利用して支援を行うためには、地方自治体から「介護保険事業者」の指定を受ける必要がある。
  • 障害者福祉施設
    障害者向けのグループホーム(障害者グループホーム)を運営する場合は、障害者総合支援法に基づいて、障害者福祉施設としての指定を受ける必要がある。

他にも、「消防法」「建築基準法」などにも基づいて行政の許可申請が必要です。また労働基準法に基づいても適切な許可を申請しておくことも重要になります。

グループホームに必要な資格

グループホームの運営においては、さまざまな知見とノウハウを持つ有資格者の存在が欠かせません。グループホームで働くスタッフに必要とされる資格は、以下の通りです。

  • 介護福祉士
    介護を提供するための専門的な資格で、最も一般的な国家資格。グループホームの運営において、介護福祉士はスタッフの指導や管理を行うことができる立場にある
  • 社会福祉士
    福祉全般に関する知識と技能を持つことを証明する国家資格。特に、利用者の生活全般を支援する業務が求められるグループホームでは、福祉相談や生活支援などを行う。
  • 介護支援専門員
    高齢者や障害者のケアプランを作成する専門職。グループホームでの入居者の個別ケアプランを作成するため、ケアマネージャーは重要な役割を果たす。

ほかにも「理学療法士」や「作業療法士」などの資格も推奨されます。どのような資格が必要となるかは、自社のビジネスモデルによっても異なります。

グループホームの市場動向

M&Aをおこなううえでは、業界における市場動向を把握しておくことが必要です。現在のグループホームにおける市場は、以下のような傾向があります。

  • 高齢者増加による需要の高まり
  • 公的支援と補助金制度の充実
  • 地域密着型の運営

それぞれの市場動向について詳しく解説していきます。

高齢者増加による需要の高まり

現在のグループホーム市場は、少子高齢化による高齢者の増加を受け、需要が高まっている状態です。特に65歳以上の人口割合は年々増加しており、2024年の時点では、人口の約30%が高齢者という状況にあります。

高齢者の数が年々増加する日本において、グループホームは社会全体において非常に重要な存在です。特に介護を必要とする高齢者に対して、より家庭的な環境でケアをしてくれるグループホームは、高齢者を抱える家庭においても貴重な存在となっています。

今後ますます日本の高齢化は加速していくことが予想されており、同時にグループホームの需要も高まっていくことでしょう。これからはグループホームの提供するサービスや介護レベルの向上にも期待がかかっています。

公的支援と補助金制度の充実

グループホームは高齢者や認知症患者の生活支援をおこなう施設であるため、グループホームの運営においては公的支援や補助金制度が重要な役割を果たします。日本におけるグループホーム事業者に対する公的支援や補助金制度は、以下の通りです。

  • 介護保険の適用
    介護保険制度に基づいて、要介護認定を受けた高齢者に介護サービスを提供するため、入居者は、介護保険を使って、介護費用の一部を公的な支援で賄うことができる。
  • 介護報酬
    介護サービスを提供するために介護報酬を受け取る。介護報酬は利用者の介護度やサービス内容に基づいて算定され、施設運営に必要な資金の一部となる。
  • 地域包括ケアシステムのための補助金
    地域包括ケアシステムを推進するための補助金制度も存在する。これにより、地域密着型の施設として、地域社会での生活支援を行う施設に対して補助が提供されることがある。
  • 新規開発支援
    グループホームの新規開設時には、施設設置のための建設費や改修費に対する助成金が提供されることがある。国からの補助金や地方自治体独自の支援となる。
  • 消費税免除
    社会福祉法人や非営利法人が運営するグループホームは、消費税の免除が適用されることが多く、これが施設運営のコスト削減に繋がる。

高齢化社会である日本は、他の国とくらべて介護福祉に対する行政補助は手厚いとされています。いかにして公的支援や補助金制度を活用するかが、グループホーム運営の鍵でもあります。

地域密着型の運営

グループホーム市場において、特定地域に根差した地域密着型のグループホームは非常に重要な存在です。地域密着型のグループホームは、地域社会との繋がりが密接であるため、入居者は地域の一員として生活を送ることができます。

地域密着型のグループホームは、地域住民との日常的な繋がりが生まれる場所です。地域ボランティア・福祉団体・学校などと連携を取ることで、入居者が地域のイベントや活動に参加する機会を提供することができます。

高齢者の孤独死が社会問題となっている日本において、地域密着型のグループホームが果たす地域との連携は社会全体にとって非常に重要な事柄です。今後は地域密着型のグループホームの存在がピックアップされる機会も増えていくことでしょう。

グループホームが抱える課題

グループホームは、日本社会において重要な役割を果たす存在です。しかし一方で、グループホーム事業者は様々な課題を抱えています。現代のグループホーム事業者が抱える課題は、以下の通りです。

  • 慢性的な人手不足
  • 民間企業参入による競争の激化
  • 地域差の拡大

それぞれ詳しく解説していきます。

慢性的な人手不足

グループホーム事業者が抱える最大の課題として、慢性的な人手不足が挙げられます。高齢化による影響でグループホームへの入居希望者が増える一方で、働く人材は足りていない状況です。

特に「介護福祉士」や「社会福祉士」などの国家資格人材の雇用が、年々困難な状況となりつつあります。高い専門性とノウハウを有する介護福祉士や社会福祉士がいないグループホームでは、十分なサービス提供が不足している状況です。

グループホームの人材が不足している理由として、労働条件大きく関与しています。 介護職は身体的・精神的に負担が大きく、勤務時間も不規則になりがちです。このため、グループホームでの離職率が高くなっています。

民間企業参入による競争の激化

現代の日本においてグループホームは重要な存在であり、高齢化の拡大により需要は年々増加しています。同時に、福祉・介護分野でのビジネスチャンスと捉えた民間企業が積極的に市場参入を果たしている状態です。

民間企業が参加することで、利用者からすればサービスの選択肢が増え、自分のニーズに合ったサービスを選ぶことができます。しかし一方で、グループホーム同士の価格や人手確保のための競争が激化していることも事実です。

また民間のグループホームは利益追求体質であることがほとんどであるため、利用者に対するサービスの質の低下や、安全性の低さも問題視されています。今後さらに民間企業の参入が増えることが予測されており、グループホーム業界全体が変革を求められている状態です。

地域差の拡大

グループホーム業界では、地域差の拡大が発生している状況です。大都市圏では高齢者のニーズが集中する一方、地方では人口減少により施設の需要が減少しています。これにより都市部と地方部のグループホームのサービスレベルに差が生まれているのです。

グループホームの地域差が発生している要因として、経済格差が挙げられます。地域ごとの経済状況により、介護施設の運営資金やスタッフの賃金に差が出ることがあります。豊かな地域ではより多様なサービスが提供される一方、貧しい地域では限られたサービスしか提供されないことが多いです。

また地方自治体によって介護政策や支援制度が異なるため、サービスの質や内容にも差が生じます。一部の地域では積極的に介護施策を進める一方、他の地域では支援制度が不十分で手薄な場合があります。

グループホームのM&Aにおける動向

グループホームのM&Aにおける動向を解説していきます。

人手不足解消のためのM&A

中小規模のグループホーム事業者の中には、人手不足に悩む会社も少なくありません。実際に業績自体は好調であるにも関わらず、人員の確保ができないために廃業を余儀なくされるグループホームは数多く存在します。

人手不足に悩むグループホーム事業者オーナーにとって、M&Aによる買収は人手不足問題を打開するために非常に有効な手段のひとつです。M&Aによって他社に事業譲渡を行うことで、自社の看板を残しながら運営を継続できる可能性があります。

また人手不足解消を目的として、資本取引が発生するM&Aではなく、「業務提携」による企業間取引が行われるケースも多いです。それぞれの企業が持つ人員を共有することで、人手不足の解消に繋げることを目的としています。

異業種からのM&A

日本においては少子高齢化の影響を受け、グループホームの需要が増加しています。同時に異業種からのM&Aにおける新規参入も行われています。グループホーム事業者に新規参入をする異業種は、以下の通りです。

  • IT・テクノロジー関連
  • 医療・福祉関連
  • ホテル関連
  • リタイアメント関連
  • 不動産関連
  • 教育関連
  • レクリエーション関連

IT・テクロノジー関連企業は、IoTやAIを駆使した健康管理や見守りサービスを提供することで、入居者の生活を支援する新たな価値を創出します。また医療・福祉関連企業も、退院後の生活支援として、医療サービスを組み込んだグループホームを展開する傾向です。

投資ファンドの参入

グループホーム業界におけるM&Aのトレンドとして、投資ファンド企業の参入が挙げられます。投資ファンド企業が、グループホーム市場の成長ポテンシャルを見込んでM&Aや投資をおこなうケースが増加している状態です。

グループホーム事業者が属する介護業界は、公益性の高い分野であり、投資ファンド企業は「社会的責任(ESG)」や「インパクト投資」に興味を持っています。社会的な貢献と利益の両立が求められる中、介護業界への投資がその一環となることが狙いです。

また投資ファンド企業は、効率的な経営や新しいビジネスモデルを導入することを得意としています。資本力を背景に、経営改善やシステムの最適化を進め、グループホームの運営を効率化することが期待されています。

グループホームのM&Aにおける成功事例

グループホームのM&Aにおける成功事例を紹介していきます。

メディカル・ケア・サービスと菱甲産業によるM&A

2021年11月に、メディカル・ケア・サービス株式会社が、菱甲産業株式会社の所有する認知症高齢者グループホームを取得したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「メディカル・ケア・サービス株式会社」は、認知症高齢者対応のグループホーム運営居室数日本一を誇る会社です。一方の譲渡企業である「菱甲産業株式会社」は、建設資材事業、オフィス事業、介護事業など幅広い事業を展開しています。

本件M&Aは、大手グループホーム運営企業とグループホーム事業も運営する多角化企業を運営する企業同士の取引事例です。本取引により、認知症高齢者グループホーム1棟の営業権を譲り受け、「愛の家グループホーム大分花津留」への名称を変更し、リニューアルオープンしました。

11月1日 事業譲受に関するお知らせ

ニチイ学館と西日本ヘルスケアによるM&A

2021年6月に、株式会社ニチイ学館と株式会社LeTechの間で、株式会社西日本ヘルスケアの株式に関する株式譲渡契約が締結されたM&Aの事例です。本取引により、LeTechの介護事業は吸収分割により西日本ヘルスケアに承継され、同日に西日本ヘルスケアの全株式をニチイ学館が取得することになります。

譲り受け企業である「株式会社ニチイ学館」は、医療事務事業、介護事業(訪問介護・居住系介護サービス・ケア用品販売)、保育事業など、多角的な事業を展開している大手企業です。一方の譲渡企業である「株式会社西日本ヘルスケア」は、株式会社LeTechの子会社で、LeTechの介護事業(住宅型有料老人ホーム・グループホームなどの運営)を担う法人として設立されました。

本件M&Aは、医療・介護関連を多角的に展開する大手企業と介護事業者による取引事例です。LeTechは経営資源の最適配置のため介護事業を担う法人として西日本ヘルスケアを設立することにしましたが、中核事業とのシナジーが見込みづらいことから、介護関係の豊かなノウハウと強固な財政基盤を有するニチイ学館への譲渡を決定しました。

株式会社西日本ヘルスケアの統合に関するお知らせ

旭化成ホームズとシマダリビングパートナーズによるM&A

2020年3月に、旭化成ホームズ株式会社がシマダリビングパートナーズ株式会社の保有する高齢者向け住宅の開発・運営と介護サービスの事業に関する業務提携を結び、その実効性を確保する目的で旭化成ホームズがシマダリビングパートナーズの株式の30%を取得したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「旭化成ホームズ株式会社」は、「ヘーベルハウス」などのブランドを展開する大手ハウスメーカーです。一方の譲渡企業である「シマダリビングパートナーズ株式会社」は、都市部を中心に介護施設運営事業を展開している企業になります。

本件M&Aは、国内大手ハウスメーカー企業と介護施設運営事業者による取引事例です。旭化成ホームズは、シニア向け住宅事業を今後の成長の柱としており、シニア層向け安心賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅などの提供体制を強化してきました。シマダリビングパートナーズとの資本業務提携はその一環として行われたものです。

介護施設運営事業者との資本業務提携に関するお知らせ~健康度・家族状況に応じた住まいとサービスのシームレスな提供体制を強化~

リビングプラットフォームとアートアシストによるM&A

2021年11月に、株式会社リビングプラットフォームが有限会社アートアシストの所有する介護事業の一部を譲り受けたM&Aの事例です。本取引は、事業譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社リビングプラットフォーム」は、介護事業・障がい者支援事業・保育事業・グループ会社の経営管理などを展開している企業です。一方の譲渡企業である「有限会社アートアシスト」は、同じく介護事業を手掛けている企業になります。

本件M&Aは、グループホーム事業も手掛ける介護事業運営会社と介護事業者による取引事例です。本取引により、リビングプラットフォームは、新たに拠点ができることで、千葉県内におけるドミナント戦略の強化を図り、今後グループの事業拡充を目指しています。

リビングプラットフォームの連結子会社、アートアシストの介護事業の一部を譲受けへ

メディカル・ケア・サービスとひょうまによるM&A

2024年10月に、メディカル・ケア・サービス株式会社が、株式会社ひょうまが運営していたグループホーム6事業所の営業権を譲り受け、運営をおこなうことを決定したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「メディカル・ケア・サービス株式会社」は、認知症高齢者対応のグループホーム運営居室数日本一を誇る会社です。一方の譲渡企業である「株式会社ひょうま」は、仏壇、お仏具・寺院用お仏具・お墓の製造販売、霊園・樹木葬の運営、葬祭事業、介護保険事業を行っている企業になります。

本件M&Aは、大手グループホーム運営企業とグループホーム事業を含む多数の事業を手掛ける多角化企業との取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるメディカル・ケア・サービスは、新規エリアの進出および事業拡大により、同社のミッションである「認知症を取り巻く、あらゆる社会環境を変革する」の実現に向けて取り組んでいくことを目的としています。

【事業譲受のお知らせ】10月1日、広島県広島市の認知症高齢者グループホーム6事業所を譲受

SOMPOケアとみなけあ新座によるM&A

2018年7月に、SOMPOケア株式会社が、株式会社みなけあ新座の所有する株式を取得し、同社を連結子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「SOMPOケア株式会社」は、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームの運営、居宅サービス事業を行っている企業です。一方の譲渡企業である「株式会社みなけあ新座」は、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス事業、訪問看護事業、訪問介護事業の運営および管理を行っている企業になります。

本件M&Aは、グループホーム運営会社と介護事業運営会社による取引事例です。本取引により譲り受け企業であるSOMPOケアは、相互にノウハウとリソースを共有・活用し、より多くの介護サービス提供につなげていくことを目的としています。

株式会社みなけあ新座の株式取得(子会社化)および代表者変更に関するお知らせ

グッドタイムリビングと舞浜俱楽部によるM&A

2021年4月に、グッドタイムリビング株式会社が、株式会社舞浜俱楽部の保有する株式の99.75%を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「グッドタイムリビング株式会社」は、大和証券グループの子会社で、介護付有料老人ホーム・住宅型老人ホーム・高齢者向け賃貸住宅を運営している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社横浜倶楽部」は、介護付有料老人ホームやデイサービスなどの事業を展開している企業になります。

本件M&Aは、ともに介護・福祉事業を展開する企業同士の取引事例です。舞浜倶楽部の親会社であるエムシーホールディングスは、人材不足が深刻化するなか今後の介護施設運営にはICT導入の設備投資が避けて通れないと判断し、かねてより交流のあるグッドタイムリビングと協議した結果、ICT導入や多職種人材活用などで実績のある同社に舞浜倶楽部の事業を譲り渡すことを決定しました。

株式会社舞浜倶楽部の株式譲渡について

ヒューマンライフ・マネジメントとツクイによるM&A

2018年7月に、株式会社ツクイが株式会社ヒューマンライフ・マネジメントの所有する株式を取得し同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲渡企業である「株式会社ヒューマンライフ・マネジメント」は、在宅医療支援、訪問看護などを手掛ける会社です。一方の譲り受け企業である「株式会社ツクイ」は、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの介護施設運営、在宅介護事業、高齢者向け住宅事業などを運営しています。

本件M&Aは、ともに介護関連事業運営会社同士の取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるツクイは、訪問看護サービスの拡大と医療機関との連携による業界1位のデイサービス事業の強化を目指しています。

ソニー・ライフケアとゆうあいホールディングスによるM&A

2015年4月に、ソニー・ライフケアがゆうあいホールディングスに出資し、ゆうあいホールディングスの保有する株式の一部を取得。加えて、転換社債型新株予約権付社債を取得したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「ソニー・ライフケア」は、ソニーフィナンシャルグループ傘下の企業で、子会社を通して介護付有料老人ホームを運営している企業です。一方の譲渡企業である「ゆうあいホールディングス」は、「はなことば」ブランドの介護付有料老人ホームなどを運営している企業になります。

本件M&Aは、ともに介護・福祉事業運営事業者同士の取引事例です。譲り受け企業であるソニー・ライフケアにとって、ゆうあいホールディングスの買収は、介護事業の拡大とグルプ内リソースの有効活用によるサービス品質向上に繋がると判断されています。

ゆうあいホールディングスの完全子会社化のお知らせ

ナースセントラルとケア21によるM&A

2017年12月に、株式会社ケア21が株式会社ナースセントラルの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社ケア21」は、有料老人ホームやグループホームなどの介護事業・保育園運営・障がい者支援などの総合福祉事業を展開する企業です。一方の譲渡企業である「株式会社ナースセントラル」は、訪問介護事業を運営しています。

本件M&Aは、ともに介護事業運営事業者同士の取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるケア21は、関東エリアでの訪問看護事業展開を進めています。

有価証券報告書

グループホームでM&Aを行うことのメリット

グループホームがM&Aをするメリットを売却・買収側の双方から解説します。グループホームのM&Aにおける売却・買収のメリットは、以下の通りです。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 借入における個人保証の解除
  • 競争力の獲得
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保
  • ノウハウと人材の獲得

グループホームでM&Aの売却を行うことのメリット

グループホームでM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 借入における個人保証の解除
  • 競争力の獲得
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中

それぞれ詳しく解説していきます。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。グループホーム事業者に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模のグループホームの場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

競争力の獲得

グループホーム市場は、日本の高齢化社会による影響もあり、競争が激化している状況です。このような市場で競争力を獲得するためには、M&Aが非常に有効な手段となり得ます。

特に資金力の乏しいグループホーム事業者にとって、競争の激しい市場で生き残ることは容易ではありません。どんなに優れた運営ノウハウを所有していたとしても、資金力に勝る大手グループホーム事業者には太刀打ちできないケースも珍しくありません。

そんな中小規模のグループホーム事業者が、資金力のある同業者もしくは異業種企業の買収を受けることで、市場における高い競争力を獲得することが可能です。買収先から資金的・人的援助を受けることで、市場競争力を高めることが出来るでしょう。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

グループホームでM&Aの買収を行うことのメリット

グループホームでM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 従業員の確保
  • ノウハウと人材の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる大きなメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は規模やシェアの拡大を狙うことができます。

グループホームのM&Aにおいては、売手となる企業が持つ住宅設備や人材のような有形資産に加え、顧客・取引先情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特にグループホームの運営においては、「顧客情報」「人材」などの資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

またグループホーム業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかにグループホーム事業への早期参入が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや取引先をそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

従業員の確保

少子高齢化を辿る日本社会においては、労働者の確保は全ての企業にとって重要な経営要素でしょう。特にグループホーム業界は、数ある業種の中では、慢性的な人手不足が発生している業種のひとつです。

人手不足に陥っているグループホーム事業者が、別のグループホーム事業者を買収することで、従業員を確保することができます。M&Aでは、人的資源を引き継げるケースがほとんどであるため、人手不足解消に大きな一手を打つことができます。

またM&Aによって人材を引き継ぐことは、グループホーム事業におけるノウハウをそのまま獲得することも意味します。承継される人材が持つノウハウを活かせば、グループホームのビジネスもより優位に進めることが出来るでしょう。

ノウハウと人材の獲得

グループホームの運営において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「ノウハウ」と「人材」です。これら2つが揃っているグループホームは、市場において高い競争力を得ることができます。

もしM&Aによってグループホームの買収を検討しているのであれば、まずは買収先企業が持つノウハウと人材に目を向けることが先決です。買収によって現在の自社が持たないノウハウや人材が手に入るか否かをチェックしましょう。

グループホームの買収に関しては、買収先が持つ顧客数や人材などによって、取引額に大きな差が生じます。価値のある資源を所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

グループホームのM&Aにおける注意点

グループホームのM&Aにおける注意点を解説します。グループホームのM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 事業許可の引継ぎ

それぞれ詳しく解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

競業避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的にグループホーム事業を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

事業許可の引継ぎ

グループホームを運営するうえで重要なのが、事業許可です。事業許可の承認なしでのグループホームの運営は法律で禁止されており、事業許可無しでの運営は罰則を受けることになります。

もし事業譲渡をする際に買収側の企業が許可を有していなければ、グループホームの運営を営むことは不可能です。ただし、株式譲渡の場合は事業許可を引き継げるためM&A後も継続して事業を行えます。

許可を取得している同業他社と事業譲渡を実施すれば、グループホームの売却がスムーズに進みます。なお、買い手が許可を持っていれば新しく許可を申請する必要はありませんが、法人の名称など変更にかかわる届出は必要です。

グループホームのM&Aを成功させるためのポイント

グループホームにおけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。グループホームにおけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

グループホームのM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

グループホームのM&Aについてのまとめ

今回はグループホームにおけるM&Aについて、グループホームの現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

グループホーム業界は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功しているグループホーム事業者も数多く存在することから、グループホーム事業者にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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