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マーケティング会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「マーケティング会社のM&Aにおける動向は?」
「マーケティング会社のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「マーケティング会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、マーケティング会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

マーケティング会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、マーケティング会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

マーケティング会社とは

マーケティング会社とは、企業やブランドが自社ブランド・商品・サービスなどを効果的に販売・認知させるための戦略や施策を提供する会社のことです。クライアントのニーズや目標に応じてマーケティング戦略を立案し、実行するのが主な役目になります。

またマーケティング会社といっても、その種類はさまざまです。マーケティング会社の主な種類には、以下のようなものがあります。

  • 広告代理店:広告キャンペーンの戦略策定やメディアバイイング、広告制作を専門とする。テレビ、ラジオ、新聞、デジタル広告など、さまざまなメディアを通じて広告活動を行う。
  • デジタルマーケティングエージェンシー:ウェブサイト制作、SEO、PPC広告、SNSマーケティング、Eメールマーケティング、コンテンツマーケティングなど、オンラインマーケティングの領域に特化。
  • インフルエンサーマーケティング:インフルエンサーとの提携を通じて、ブランドや商品を宣伝するサービスを提供する。

他にも「ブランド戦略コンサルティング」や「マーケットリサーチ」などさまざま種類が存在します。種類によって業務内容はもちろん、収益構造も異なるのが特徴です。

マーケティング会社のビジネスモデル

マーケティング会社のビジネスモデルについて解説していきます。

広告代理店

広告代理店とは、企業や団体が広告を通じて自社が取り扱う製品やサービスの認知度を高めたり、販売促進を図ったりするために、広告の企画・制作・運用・管理を代行する専門の企業のことです。

広告代理店の主な役割は、クライアントとなる企業や個人と契約し、ターゲット市場やメディア選定、キャンペーン目標を明確にし戦略を立案・計画・実行することにあります。クライアントがターゲットとする市場に適した広告施策を実施するのが主な役割です。

広告代理店は、マーケティング会社のビジネスモデルとして最も普及した手法になります。現在も多くの広告代理店企業が多く存在しており、市場競争も激しいのが現状です。これからはテクノロジーなども活用した新しい手法も増えていくことが予想されています。

デジタルマーケティングエージェンシー

デジタルマーケティングエージェンシー(Digital Marketing Agency)とは、オンラインチャネルを活用して企業やブランドのマーケティング活動を支援する専門のマーケティング会社のことです。

デジタルマーケティングエージェンシーは、主にインターネットを介した広告やマーケティング戦略を展開し、デジタル領域での顧客獲得やブランド認知度向上を目指すのが役割となっています。

デジタルマーケティングエージェンシーの業務は非常に多岐に渡りますが、「SEO施策(検索エンジン最適化)」や「PPC広告(Pay-Per-Click)」などの手法を用いることが多いです。いずれもデジタル施策を用いた広告手法であり、サイトやコンテンツの最適化によるマーケティングとなっています。

デジタルマーケティングは非常に技術的で専門的な分野であり、最新のツールやプラットフォーム、マーケティング手法に精通したエージェンシーの知識と経験が重要です。インターネットやSNSが普及した現代では、デジタルマーケティングエージェンシーが果たす役割は、非常に重要となっています。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングとは、影響力を持つ個人(インフルエンサー)を活用して、製品やサービスの認知度を高め、消費者の購買行動を促進するマーケティング手法です。

ソーシャルメディアプラットフォーム(Instagram、YouTube、Twitter、TikTokなど)で多くのフォロワーやファンを持つインフルエンサーに対して、クライアントが認知や販売を高めたい商品やサービスを紹介し、SNS投稿によって商品やサービスを拡散する手法です。

インフルエンサーマーケティングは、現代のマーケティング手法で最も注目されている手法といっても過言ではありません。そのため、大手企業はもちろんのこと、中小・ベンチャー企業も挙ってインフルエンサーマーケティングのビジネスモデルを運用しはじめています。

マーケティング会社の運営に必要な業許可・資格・職種

マーケティング会社の運営に必要な業許可・資格・職種について解説していきます。

必要な業許可

マーケティング会社を運営するうえでは、基本的に特定の業許可を取得する必要はありません。しかし一部特定ジャンルの広告を取り扱うためには、許可が必要になるため注意が必要です。

例えば、「金融商品」の取り扱いにおいては、金融商品や保険、投資などの広告を行う場合、金融庁の登録が必要となります。他にも「医療広告」を取り扱う際には、、医療法や薬機法に基づく規制への注意が必要です。

また顧客データや個人情報を収集・管理する場合、「個人情報保護法」に基づいた取り扱いが求められます。データベースを使用するマーケティングを行う際には、個人情報保護方針の策定や、個人情報保護委員会への報告義務が生じる場合があるので注意が必要です。

必要な資格

マーケティング会社ではたらく「マーケッター」を中心とした人材には特定のスキルが必要であり、実際に多くのマーケッターが特定の資格を所有しています。マーケティング会社で役に立つ資格は、以下の通りです。

  • マーケティング・ビジネス実務検定(マーケティング検定)
    マーケティングに関する基礎的な知識から実務的なスキルまで幅広く学べる資格。企業のマーケティング部門での実務に活かせる知識が身に付く。
  •  Googleアナリティクス認定資格
    Googleアナリティクスの使用方法に関する認定資格。データ解析やウェブサイトのパフォーマンス分析を行う上で、非常に有用な資格。
  • Facebook Blueprint認定資格
    Facebook広告の運用に関する知識を証明する資格です。ターゲット設定、広告キャンペーンの最適化などのスキルを学べる。

他にも、「HubSpot認定資格」や「データサイエンティスト検定」などさまざま資格が存在します。どの資格が自社に適しているかは自社のビジネスモデルによって異なるため、自社に合った資格保有者の雇用が必要です。

必要な職種

マーケティング会社を運営するためには、自社のビジネスモデルにあった職種人材の雇用が必須です。一般的にマーケティング会社の運営には、例として、以下のような職種が必要とされています。

マーケティング関連
  • マーケティングディレクター
  • マーケティングマネージャー
  • ブランドマネージャー
デジタルマーケティング関連
  • デジタルマーケティングマネージャー
  • SEOスペシャリスト
  • PPC広告スペシャリスト
  • ソーシャルメディアマネージャー
コンテンツ制作担当
  • コンテンツマーケティングマネージャー
  • コピーライター
  • グラフィックデザイナー
  • 動画制作担当
データ分析・リサーチ関連
  • データアナリスト
  • マーケットリサーチャー
クライアント対応・営業関連
  • アカウントマネージャー
  • 営業員

上記の通り、マーケティング会社の業務は非常に多岐に渡るため、多くの職種が必要です。中小規模もしくはベンチャー企業などは、一人の人材が複数の職種の役割を果たすケースも多々あります。

マーケティング会社の市場動向

マーケティング会社の市場動向について解説していきます。

デジタルマーケティング業界は成長傾向

数あるマーケティング分野のなかでも、デジタルマーケティング業界は成長傾向です。国内のデジタルマーケティング業界の市場規模は、「矢野経済研究所」の調査によれば、2024年度の市場規模見込みは344,250百万円で、前年比114.4%の成長予測となっています。

デジタルマーケティングは、過去数年間で急速に成長しており、特にインターネットの普及とデジタル技術の進化に伴って、さらに加速しているのが特徴です。特にSNSを使ったマーケティングは、企業の主力戦略の一つとなっています。

SNS広告は、ターゲット層に対して精度高くリーチできるため、広告予算を効率的に活用できる手段として注目されています。他にも「Eコマース」や「AI活用」など、さまざまなコンテンツを活用することで、デジタルマーケティング業界はさらに発展していくことでしょう。

デジタル化とテクノロジーの進化

マーケティング業界では、近年で急速にデジタル化とテクノロジーの進化による業界変動が顕著です。近年急速にデジタル化とテクノロジー化が進んでおり、この変革は業界全体に大きな影響を与えています。

例えば、オンライン広告は、デジタルマーケティングの中心的な要素となっており、ターゲットオーディエンスに合わせた広告配信が可能です。これにより、広告主はROI(投資対効果)を最大化するために、データ分析に基づいて広告運用を最適化できます。

マーケティング業界は、デジタル化とテクノロジーの進化により、ますます高度化し、多様化している状況です。データ駆動型の意思決定が強化され、AIや機械学習、オートメーションツールが普及することで、マーケティング活動はより効率的かつパーソナライズされ、消費者とのエンゲージメントが深まります。

インフルエンサーマーケティングの急拡大

数あるマーケティング手法のなかでも、近年急速に成長しているのがインフルエンサーマーケティングです。インフルエンサーマーケティングとは、影響力を持つ個人(インフルエンサー)を活用して、製品やサービスの認知度を高め、消費者の購買行動を促進するマーケティング手法になります。

現代の消費者は、広告や宣伝に対して敏感で、ブランドからの一方的なメッセージよりも、実際のユーザーや影響力を持つ人物からの意見や推薦を重視する傾向が強くなっているのは特徴です。これにより、インフルエンサーが自らの信頼性や共感を元に推奨する商品やサービスは、消費者の購買意欲を大いに刺激します。

今後は、フォロワー数が比較的小規模なマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサー(フォロワー数1万未満)とのコラボレーションが増加するでしょう。彼らはフォロワーとの関係が非常に密接で、より高いエンゲージメント率を誇るため、ターゲットを絞ったキャンペーンに効果的です。

マーケティング会社が抱える課題

マーケティング会社が抱えている課題について解説していきます。

人手不足

近年のマーケティング会社において顕著になっている大きな課題が、「マーケッター」をはじめとした人材の不足です。マーケティング会社の業務は非常に多岐に渡るため、人材の不足は業績に多大な悪影響を及ぼします。

マーケティング業界では、デジタルマーケティングが主流となり、SNS・SEO・PPC・コンテンツマーケティング・データ解析・AI活用など、非常に専門的なスキルが求められている時代です。

これにより、従来の「マーケティング」という枠を超えて、技術的な知識を持つ人材のニーズが増えましたが、そのような人材が市場に十分に供給されていないのが現状です。今後は更なら技術革新が予想されており、同時に高い技術力をもった人材は不足していくことが懸念されています。

データの活用と管理

マーケティング会社の業務では、多大なデータを活用・管理することが必須です。データの活用と管理は、マーケティング活動において極めて重要な役割を果たしていますが、その取り扱いには慎重さと高度な技術が求められます。

企業が扱うデータの量が増加する一方、そのデータをどのように整理し、効率的に管理するかが大きな課題です。データが散在していたり、異なるフォーマットやシステムで保管されていたりすると、それらを統合して一元管理することが難しくなり、分析に時間がかかり、意思決定が遅れる可能性があります

また膨大なデータを集めることができても、その品質が保証されていなければ意味がありません。データが不正確、古い、あるいは重複している場合、分析結果が誤ったものとなり、マーケティング戦略の決定を誤らせる可能性があります。

変化に対する順応

マーケティング会社の主たる業務は、クライアントの製品やサービスをマーケティング活動により広く認知させることです。しかし時代の変化が激しい現代では、急激な変化に対応しきれていないマーケティング会社も多く存在します。

例えば、インターネットの普及とともに、従来の「マスメディア中心」のマーケティングから、デジタルマーケティングへのシフトが進みました。SNS、検索エンジン、Eメール、モバイルアプリなど、デジタルチャネルを通じて消費者と接触する手法が主流です。これにより、マーケティング活動はよりターゲットを絞った、パーソナライズされたものへと変化しています。

マーケティング業界の変化は非常に速く、テクノロジー、消費者行動、競争環境、マーケティング手法、法規制などが複雑に絡み合うのが特徴です。このような環境においては、柔軟な対応力、データ活用のスキル、消費者のニーズを的確に捉える力が求められます。マーケティング会社は、これらの変化を機会として捉え、常に最新のトレンドや技術を取り入れることが重要です。

マーケティング会社におけるM&Aの動向

マーケティング会社におけるM&Aの動向について解説していきます。

マーケティング会社によるコンテンツ制作会社の買収

マーケティング業界のM&Aにおいて近年増えているのが、マーケティング会社によるコンテンツ制作会社の買収です。特に資金力・人的資源に長けている大手マーケティング会社が中小規模のコンテンツ制作会社を買収する事例が目立ちます。

マーケティング会社がコンテンツ制作会社を買収する主な理由のひとつは、コンテンツ制作の内製化です。これにより、外部の制作パートナーに依存せず、自社でコンテンツ制作を行うことができます。特に、動画コンテンツやグラフィックデザイン、ブログ記事、ソーシャルメディア用のコンテンツなどが重要となる現代のマーケティング活動において、内製化はスピードとコストの両面で利点があります。

さらにコンテンツ制作を内製化することで、マーケティング会社はコンテンツの品質やブランドの一貫性をより厳密に管理できるようになります。外部の制作会社に依頼する場合、期待通りの品質やブランドガイドラインに沿った成果物が提供されるかどうかの不安がありますが、内製化することでリスクを減らすことが可能です。

人手不足解消のためのM&A

中小規模のマーケティング会社の中には、人手不足に悩む会社も少なくありません。実際に業績自体は好調であるにも関わらず、人員の確保ができないために廃業を余儀なくされるマーケティング会社は数多く存在します。

人手不足に悩むマーケティング会社のオーナーにとって、M&Aによる買収は人手不足問題を打開するために非常に有効な手段のひとつです。M&Aによって他社に事業譲渡を行うことで、自社の看板を残しながら運営を継続できる可能性があります。

また人手不足解消を目的として、資本取引が発生するM&Aではなく、「業務提携」による企業間取引が行われるケースも多いです。それぞれの企業が持つ人員を共有することで、人手不足の解消に繋げることを目的としています。

クロスボーダーM&Aの活性化

マーケティング会社におけるM&Aの動向として挙げられるのが、クロスボーダーM&Aの活性化です。クロスボーダーM&Aとは、譲渡企業または譲受企業のいずれかが海外企業であることを指すものになります。

マーケティング業界においては、国内における同業者間競争の激化が大きな課題です。この課題の対策として、大手マーケティング会社を筆頭に、海外企業とのM&Aを実施する企業が増えてきています。

国内のマーケティング会社がクロスボーダーM&Aを実施し、海外企業とのタイアップを行うことで、海外市場における早期進出を図ることが可能です。今後は大手マーケティング会社のみならず、生き残りのために中小規模のマーケティング会社も積極的に海外市場へ参入していくことでしょう。

マーケティング会社のM&Aにおける成功事例

マーケティング会社のM&Aにおける成功事例を解説していきます。

トレンダーズとCARAFULによるM&A

2023年3月に、トレンダーズ株式会社がCARAFUL株式会社の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「トレンダーズ株式会社」は、美容メディアやSNSマーケティング支援を中心に、マーケティング事業をおこなう企業です。一方の譲渡企業である「CARAFUL株式会社」は、TikTokを活用したSNSマーケティング支援として、インフルエンサーマーケティング事業とTikTokクリエイターの活動サポートを行う会社になります。

本件M&Aは、両社ともにマーケティング事業を主力事業として展開する企業同士の取引事例です。本取引により、トレンダーズは、SNSマーケティング支援の分野において、今後更に需要が増加していくTikTokを活用するための専門性を高められるとしています。

CARAFUL 株式会社の株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

電通グループとShift7 Digital, LLC.によるM&A

2023年3月に、株式会社電通グループが、アメリカのShift7 Digital, LLC.の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社電通グループ」は、日本を代表する大手広告代理店です。一方の譲渡企業である「Shift7 Digital, LLC.」は、アメリカに本拠を置き、B2B企業のマーケティングと販売プロセスの支援を行っています。

本件M&Aは、国内大手広告代理店と海外マーケティング会社による取引事例です。譲り受け企業である電通グループは、B2B企業のエクスペリエンス領域のリーディングパートナーとしてのマーケティング業界での地位を更に高めることができるとしています。

電通グループ、米国のB2Bエクスペリエンス&コマース・エージェンシー「シフトセブン社」を買収し、顧客体験マネジメント事業を強化

クロスマーケティンググループとトキオ・ゲッツによるM&A

2023年5月に、株式会社クロスマーケティンググループが、株式会社トキオ・ゲッツの所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社クロスマーケティンググループ」は、デジタルマーケティング・データマーケティング・インサイト事業を行うグループ内の子会社を統合管理している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社トキオ・ゲッツは、エンタテインメントコンテンツを活用して企業プロモーションやイベント、商品化などを行う会社になります。

本件M&Aは、マーケティング会社とコンテンツ・プロジェクト制作会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるクロス・マーケティングは、エンタテインメントの知財コンテンツを活用したプロモーションが可能になるとしています。

クロス・マーケティンググループ、プロモーション事業の更なる強化に向けて、 エンタメコラボ専門エージェンシー 『(株)トキオ・ゲッツ』 の株式を取得

ジーニーとデクワスによるM&A

2023年6月に、株式会社ジーニーは、サイジニア株式会社のグループ会社であるデクワス株式会社の運営するネット広告サービスの事業を譲渡したM&Aの事例です。本取引は、事業譲渡のスキームが用いられました。

譲り受け企業である「株式会社ジーニー」は、広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業、海外事業を行っている企業です。一方の譲渡企業である「デクワス株式会社」は、インターネットメディア事業、インターネット広告代理事業等を行っている企業になります。

本取引は、ともに広告・マーケティング事業を運営する企業同士の取引事例です。本取引により、譲渡企業のジーニーは、Webサイトユーザの興味・関心に合わせた広告のパーソナライズが可能となり、広告主のブランド認知拡大・優良顧客の醸成に貢献する狙いをもっています。

ジーニー、サイジニアグループ/デクワス社のパーソナルアド事業について譲渡契約を締結

ラバブルマーケティンググループとDTK AD Co.,Ltd.によるM&A

2023年4月に、株式会社ラバブルマーケティンググループが、DTK AD Co.,Ltd.の所有する全株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社ラバブルマーケティンググループ」は、現代の情報消費行動に寄り添ったマーケティング活動を展開している会社です。一方の譲渡企業である「DTK AD Co.,Ltd.」は、タイに本社のあるマーケティングエージェンシーで、シンガポール、香港、ラオスなどで事業を展開しています。

本件M&Aは、日本のマーケティング会社と海外マーケティングによるクロスボーダーM&Aの取引事例です。本取引により、譲渡企業であるラバブルマーケティンググループは、海外におけるSNSマーケティング事業や、訪日外国人旅行者向けの企業のプロモーション活動の支援に本格的に取り組めるようになるとしています。

インバウンド向けプロモーションと東南アジアのマーケティング支援に強みを持つタイの企業「DTK AD」の株式取得・子会社化のお知らせ 〜SNSマーケティング事業の海外展開を本格始動〜

マーケティング会社がM&Aをおこなうことのメリット

マーケティング会社がM&Aを行うことのメリットについて解説していきます。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 借入における個人保証の解除
  • 経営基盤の強化
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中
  • 新規事業への進出
  • 事業拡大のチャンス
  • 顧客の獲得における優位性
  • ノウハウと人材の継承

マーケティング会社でM&Aの売却を行うことのメリット

マーケティング会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 借入における個人保証の解除
  • 経営基盤の強化
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 事業の選択と集中

それぞれ詳しく解説していきます。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。マーケティング会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模のマーケティング会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

経営基盤の強化

M&Aにおいては、買い手側だけでなく、売り手側も経営基盤の強化を果たすことが可能です。収益性・シェア拡大・事業領域強化など、様々なメリットを得ることで、売却側の経営基盤も強化されます。

特に中小規模のマーケティング会社は資金力や人的資源が、大手企業に比べて乏しい傾向にあるため、経営基盤強化のための投資が困難になりやすいです。投資がしずらいため、結果的に業績が不安定になりやすいというデメリットが生じます。

中小企業のシステム開発会社が、大手企業または自社よりも規模の大きい企業に売却されることで、買い手が持つノウハウや資金力を自社ビジネスに活用することが可能です。結果として自社の経営基盤強化に繋がるでしょう。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

マーケティング会社でM&Aによる買収を行うことのメリット

マーケティング会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 新規事業への進出
  • 事業拡大のチャンス
  • 顧客の獲得における優位性
  • ノウハウと人材の継承

それぞれ詳しく解説していきます。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は、マーケティング事業における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

マーケティング会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ人手や建物事務所のような有形資産に加え、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特にマーケティング会社にとって「顧客(発注先企業や一次請負先)」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

またマーケティング業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

顧客の獲得における優位性

マーケティング業界は中小企業を含み事業者数が非常に多く、業界自体が右肩上がりの市場であるため優秀なライバル企業が多く、新規参入のハードルが非常に高い業界です。

M&Aによってマーケティング会社の買収をすれば、一から顧客を獲得する労力がなく、一定の成果・実績を最初から狙うことができます。

また下請け開発を主としているマーケティング会社を買収することで、これまで関連性のなかった大手取引業者とのパイプを得ることが可能です。マーケティング事業以外の事業に役立つ戦略を共同で建てられる可能性もあります。

ノウハウと人材の継承

マーケティング会社において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「マーケティングノウハウ」と「マーケッターをはじめとした人材」です。これら2つが揃っているマーケティング会社はクライアントからも高い評価を得ることができます。

もしM&Aによってマーケティング会社の買収を検討しているのであれば、まずは買収先企業が持つノウハウと人材に目を向けることが先決です。買収によって現在の自社が持たないノウハウや人材が手に入るか否かをチェックしましょう。

またマーケティング会社の買収に関しては、買収先が持つノウハウの如何によって、取引額に大きな差が生じます。特殊で価値のあるマーケティングノウハウを所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

マーケティング会社がM&Aを行う際の注意点

マーケティング会社のM&Aにおける注意点を解説します。マーケティング会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 取引先不獲得の可能性

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的にマーケティング事業を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

取引先不獲得の可能性

特にこれまでM&Aに関わった経験のない企業が陥りやすいのが、「良い取引先は直ぐに見つかる」と思い込んでしまうことです。M&Aは買収・売却いずれにしても、相手企業がいなければ成り立ちません。

特に事業不採算(赤字)が出ている企業がM&Aによる売却を成功させるのは至難の業です。業績赤字でも売却する価値のある魅力を相手企業に伝える必要があるため、M&A仲介サイトだけに情報を掲載しているだけでは圧倒的に不十分でしょう。

また取引先候補が見つかったとしても、取引成立のためには複数のステップを踏むことが重要です。取引における進捗段階で相違が生じた場合には、たちまち契約は途中破棄となります。M&Aにおける自社ノウハウがない場合には、専門のアドバイザーに頼むことがおすすめです。

マーケティング会社がM&Aを成功させるためのポイント

マーケティング会社のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。マーケティング会社のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • PMI(統合後プロセス)の確立
  • 相場価格への理解

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。M&A専門業者に委託することで、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

無料相談のご予約:
https://sfs-inc.jp/ma/contact

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

マーケティング会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

マーケティング会社におけるM&Aのまとめ

今回はマーケティング会社におけるM&Aについて、マーケティング会社の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

マーケティング会社は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功しているマーケティング会社も数多く存在することから、マーケティング会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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