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温泉施設のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「温泉施設のM&Aにおける動向は?」
「温泉施設のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「温泉施設 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、温泉施設のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

温泉施設におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、温泉施設のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

温泉施設とは

温泉施設とは、その名の通り、「お湯に体を付けることが可能な施設」を運営する業態のことです。温泉施設には、温泉旅館(ホテル)・スーパー銭湯・健康ランド・スパなどがあります。

温泉施設は、日本の風呂文化にあるように古くから取り入れられてきたものです。庶民の背活文化として深く根付いており、石風呂や釜風呂、寺社の施湯、湯屋、銭湯といった形で発展してきました。

現代においての温泉施設は、日本の伝統文化である風呂文化を体現する貴重な存在です。しかし少子高齢化やコロナ禍による影響など、温泉施設にとって逆風となる事項は数多くあり、これからの温泉施設業界は更に厳しい市場になっていく見通しです。

温泉施設のビジネスモデル

温泉施設のビジネスモデルについて解説していきます。

旅館・ホテル

ホテル・旅行業界とは、施設の利用者に対し、宿泊・飲食・イベントなどのサービスを提供する事業のことです。そして旅館・ホテルのなかには、温泉施設としての運営を行っている企業も多く存在します。

近年のホテル・旅館業界に最も影響を与えたのが、2020年頃に発生した「新型コロナウィルス」による外出自粛です。コロナ禍により、仕事のみならずプライベートによる規制がかけられ、ホテル・旅館業界は多大な打撃を受けました。

しかし新型コロナウィルスの収束が見えはじめた2023年頃から、ホテル・旅館業界も次第に息を吹き返しつつあります。コロナ禍を生き残ったホテル・旅館運営企業は業界の景気回復と更なる市場拡大に向けて、M&Aを含めた様々な事業戦略を展開している状態です。これからはコロナ禍以前よりも更なる市場活性化が予測されています。

健康ランド・スパ

健康ランド・スパとは、大浴場やサウナなどの入浴施設を中心に、休憩室やゲームセンター、レストランなどさまざまな施設を備えた大型娯楽施設です。旅館・ホテルとは異なり、一般的には宿泊を伴わないサービス利用を想定しています。

健康ランド・スパには、温泉施設としてのサービス以外にも、様々なものがあることが特徴です。健康ランド・スパには、次のような施設やサービスが備わっています。

  • 屋内テーマパークや屋内プール
  • 岩盤浴
  • スパエリア
  • 各種レストラン
  • 大小宴会場
  • ゲームコーナー

健康ランドと銭湯の違いは、銭湯が一般公衆浴場であるのに対し、健康ランドは「その他の公衆浴場」とされていることです。そのため、物価統制令の制限を受けないなどの違いがあります。

銭湯・スーパー銭湯

銭湯とは、一般市民が料金を払って入浴できる公衆浴場を指し、正式には「普通公衆浴場」と定められているものです。銭湯の特徴には、以下のようなものがあります。

  • 入浴料金は法令で定められている
  • 物価統制令に基づき、都道府県ごとに金額が異なる
  • 銭湯の施設や配置については、各都道府県で条例で決まっている
  • 銭湯は一定以上増えすぎることを避けるように定められている
  • 水道料金や税制上の優遇措置がある

また銭湯と似た言葉に「スーパー銭湯」があります。スーパー銭湯とは、一般的な銭湯と健康ランドの中間規模の公衆浴場で、厚生労働省の「公衆浴場法概要」では「その他の公衆浴場」に分類されます。

温泉施設に必要な業許可・資格

温泉施設に必要な業許可・資格について解説していきます。

温泉施設に必要な業許可

温泉施設の営業を行ううえで最も重要となる業許可が、「公衆浴場法」です。公衆浴場法とは、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」で、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならないというものになります。

温泉施設を運営する場合、厚生労働省管轄の『公衆浴場法』に定められている構造設備基準や適正配置基準に基づいて設計・施工し、サウナ施設所在地を管轄する保健所長の許可を受ける必要があります。

また温泉施設の中でもホテル・旅館を運営する場合には、「旅館業法」に基づいた運営が必須です。ホテルや旅館はもちろんのこと、有償で宿泊施設を提供する営業形態は全て「旅館業法」の範囲であるため、旅館業法に沿った事業許可を取得することが必須となります。

旅館業法は、「ホテル営業許可」「旅館営業許可」「簡易宿所営業許可」「下宿営業許可」の4つに別れており、宿泊を伴う温泉施設の場合には、自社の事業形態に合った業許可の取得が必要です。

温泉施設に必要な資格

温泉施設の運営においては、医師や美容師のように特殊な技術・国家資格免許を持った人材は必要ありません。しかし温泉施設では、ボイラーや重油といった危険物を扱うこともあり、専門資格・知識を有した人材の雇用が必須です。温泉施設にて重宝される資格には、以下のものがあります。

  • 危険物取扱者
    一定数を超える危険物を貯蔵する施設には、危険物取扱者の有資格者を必ず置かなければならないと法律で定められています。宿泊施設や温泉施設では、浴場の湯を沸かすボイラーの燃料として重油などを使うことが多いため、危険物取扱者の資格を持つ人が必要。

  • 入浴施設衛生管理者
    浴場におけるレジオネラ感染症を防止することに役立つ資格。入浴施設の衛生に関する基礎知識や、レジオネラ汚染を解決する手法等についての知識を得るための認定資格で、レジオネラ属菌対策についての正しい知識を身につけられる。

  • 二級ボイラー技士
    ボイラーの点検・調整を行うための国家資格。二級ボイラー技士は、ボイラー技士の中ではもっとも低い級で、一般的な給湯設備や冷暖房器具を扱うための資格。熱伝導面積が25平方メートル未満のボイラーの点検・整備を主な業務とする。

他にも、「温泉ソムリエ」や「銭湯ソムリエ」など温泉に着目した民間資格も存在します。どのような資格が重宝されるかはビジネスモデルによっても異なるので、自社にあった資格取得が必要です。

温泉施設の市場動向

温泉施設の市場動向について解説していきます。

市場は衰退傾向

温泉施設業界は、市場規模や動向が時代の流行や消費者のニーズにより、大きく変動しやすい業界です。温泉業界の市場規模は、約1兆1,000億円程度と推察されてましたが、徐々にその市場規模は衰退傾向にあります。

実際に、温泉施設のピーク時と言われている1968年には全国に17,642軒の銭湯がありましたが、2015年には4,293軒まで減少しています。温泉施設全体でみても、2007年の28,792軒のピーク時からは大きく減少傾向です。

温泉施設の市場が衰退している背景には、少子高齢化による客数の減少・燃料費の上昇・施設設備の老朽化など、様々な要因が考えられます。今後は更に市場規模が衰退していくことも予測されており、経営方針の明確や独自性の発揮が求められるでしょう。

WEB・SNSマーケティングの活性化

新型コロナウィルスに起因する業界変動に挙げられるのが、WEB・SNSマーケティングの普及です。新型コロナウィルスの影響によりユーザーの情報収集源は、これまでより一層インターネットとSNSの普及が活性化し、温泉施設業界もこの動きに連動するサービス提供を行っています。

なかでも温泉施設業界では、従来のOTA掲載によるマーケティング活動と並行して、自社の特長や魅力をWEBやSNSでPRする動きが活性化しました。WEBやSNSは単なる自社アピールのためのツールではなく、集客において要となるコンテンツであると認識されたのが特徴です。

コロナ禍が収束を見せている2023年以降も、WEBやSNSによるマーケティング施策は活性化しています。ユーザーの動きにより敏感なホテルや旅館は、SNSを通じてイベント情報やキャンペーン情報を巧みに配信しており、実際に大きな成果に繋げているホテル・旅館も多いです。

サウナビジネスモデルの流行

温泉施設業界に追い風となっているのが、近年のサウナブームです。古くから存在したサウナが近年注目された最たる理由は、若者によるクローズドカルチャーへの注目が挙げられます。クローズドカルチャーとはある程度同じような思考を持った人とゆったりと話せる「場」のことです。

若者のクローズドカルチャーへの注目により再度人気が高まっているサウナですが、温泉施設とは根深い関係があります。実際にサウナを併設している温泉施設は非常に多く、サウナブームの到来が温泉施設にとって追い風となっています。

既に多くの温泉施設がサウナブームを皮切りに集客活度へ着手している状況です。サウナスペースを改築したり、サウナを全面的にクローズアップしたマーケティング活動を行っている企業も多くあります。今後もサウナビジネスと温泉施設を掛け合わせたビジネスモデルは着目されていくことでしょう。

温泉施設業界の抱える課題

温泉施設業界が抱えている課題について解説していきます。

施設の老朽化

現在の温泉施設業界が抱える大きな課題の一つが、施設の老朽化です。日本では1980年代から1990年代にかけて、団体旅行の需要が高まった時期に建設された温泉施設が多く存在します。

1990年代頃に建設された温泉施設は、既に建設から30年以上が経過しいるため、顕著に老朽化が見られる現状です。近代的で清潔感のある温泉施設が立ち並ぶ中、老朽化して清潔感の低い温泉施設は、自社の企業イメージダウンにも繋がりかねません。

また老朽化した温泉施設は、顧客満足度の低下だけでなく、事故や災害時のリスクを増大させ、最悪のケースには人命にさえ多大な影響を及ぼします。とはいえ改修や修繕には多額の費用が発生するため、資金力のある大手温泉施設でさえ老朽化した施設の取り扱いに苦慮しているのが現状です。

慢性的な人手不足

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」

温泉施設業界が抱える最大の課題は、慢性的な人手不足です。上記は、帝国データバンクが行った「人手不足に対する企業の動向調査」の結果で、温泉施設が関連する「ホテル・旅館」業界は複数業界のうち、最も正社員の人手が不足しているという結果になりました。

同調査によれば、ホテル・旅館運営会社のうち、75.5%が正社員の人手不足を感じており、非正規社員不足を感じているのは全体の78.0%にも及びます。少子高齢化が進む今後は、さらにホテル・旅館業界の人手不足が加速する見通しとなっています。

温泉施設の人手不足の要因には、休日の少なさ・低賃金など様々です。温泉施設の事業成長には十分な雇用を確保することが必須であるため、各社十分な雇用確保に関する取り組みを強化している段階にあります。

後継者不在問題

多くの温泉施設が抱えている課題として、後継者不在問題が挙げられます。経営から数十年が経過した現在も後継者の手立てが付かず、次代への事業承継が叶わない温泉施設は多いです。

中でも中小もしくは個人オーナー規模の温泉施設が後継者不在に悩んでいる傾向にあります。数人規模、かつ正社員雇用のない温泉施設では、後継者を育成し抜擢することは非常に困難です。

実際に後継者が見つからず、廃業を余儀なくされる温泉施設は多く存在します。業績自体は安定しているにも関わらず、オーナーの年齢的制限により、事業継続を断念する温泉施設は増加傾向です。

温泉施設におけるM&Aの動向

温泉施設におけるM&Aの動向について解説していきます。

ホテル・旅館運営会社とのM&A

温泉施設によるM&Aは、まだまだ活性化されているとは言えません。しかし数少ないM&A事例の中でも、特に多いのがホテル・旅館運営会社とのM&A事例です。

ホテル・旅館運営会社は、温泉施設の設置を運営条件としているため、温泉施設が買収の第一対象となります。また温泉施設のなかには、既に宿泊施設開業のための設備インフラを要している場合も多いため、ホテル・旅館業界とのM&Aにおける相性は非常に良いと言えます。

また温泉施設側がホテル・旅館運営会社を買収するケースもあり、これは温泉事業と宿泊業を兼ね合わせることでの規模の拡大が主な目的です。件数自体は僅かですが、事業規模拡大を目的とした温泉施設運営会社の買収事例もあります。

後継者問題解消のためのM&A

特に中小規模の温泉施設で多発しているのが、後継者不在という問題です。実際に後継者不在により事業継続が難しく、別の温泉施設運営会社にM&Aを依頼するケースも増えてきています。

経営者の周りに後継者候補がいない場合でも、M&Aによる事業承継であれば買い手企業が後継者(新たな経営者)となるため、自社の存続が可能だからです。M&Aをすることで廃業を免れることが出来るため、既存従業員の雇用継続をすることもできます。

また後継者不在によるM&Aにて事業規模が拡大した建具工事会社も多く存在します。特に温泉施設業界のM&Aでは、M&A後に買い手が持つ建築事業の戦略として取り入れ、売上が伸びたケースも多いです。

中小規模企業同士のM&A

温泉施設のM&Aにおいて最も多発しているケースは、温泉施設運営会社同士の事例です。同業者同士がM&Aによって合併や事業譲渡をするケースが多くあります。

特に多いのが、中小規模の温泉施設運営会社同士のM&Aによる合併です。資金力が不足し、設備・人材投資が難しい場合には、温泉施設運営会社同士が合併し、経営基盤強化のための投資を共同で行うケースもあります。

また中小規模事業者同士のM&Aでは、双方の持つ運営におけるノウハウを共有することによる、シナジー効果の発揮も狙いです。双方の持つノウハウを共有することで、資金力のある温泉施設運営会社に対抗することが目的となります。

温泉施設におけるM&Aの成功事例

温泉施設におけるM&Aの成功事例を紹介していきます。

極楽湯ホールディングスとエオネックス&利水社によるM&A

2020年3月に、極楽湯ホールディングスのグループに所属する日本アジアグループ株式会社の子会社で、国際航業株式会社の子会社である株式会社アスナルコーポレーションが、株式会社エオネックスと株式会社利水社の所有する全株式を取得し両社を子会社化したM&Aの事例です。

譲り受け企業である「極楽湯ホールディングス」は、日本と中国で「極楽湯」「RAKU SPA」ブランドの温浴施設を展開している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社エオネックス」は、北陸地域を始めとする全国で温泉掘削や温泉設備工事、地質調査、測量および温浴施設2店舗の運営などを行っていた企業になります。

本件M&Aは、ともに温泉施設関連事業を展開している企業同士の取引事例です。本取引により両社は、既存の温浴施設の運営を効率的かつコスト効率良くサポートする体制を築くことを目的としています。

株式会社エオネックス及び株式会社利水社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

サンフロンティア不動産とホテル大佐渡によるM&A

2021年4月に、サンフロンティア不動産がホテル大佐渡の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、売却金額は公開されていません。

譲り受け企業である「サンフロンティア不動産」は、不動産仲介・土地活用提案・建設ソリューション事業などを展開する会社です。一方の譲渡企業である「ホテル大佐渡」は、佐渡島における有数の景勝地である相川地区春日崎にあり、重厚感ある佇まいと日本海を望む雄大な景観が人気のホテル兼温泉施設になります。

本件M&Aは、不動産関連企業とホテル運営会社による取引事例です。譲り受け企業であるサンフロンティア不動産は、自社グループが運営する「佐渡リゾート ホテル吾妻」と連携し、人事交流や情報共有などの面で協力して事業を進めることを目的としています。

株式会社ホテル大佐渡の株式譲受に関するお知らせ

アルファックスフードシステムとリゾリートによるM&A

2022年11月に、株式会社アルファックス・フード・システムが運営するナチュラルグリーンパークホテルの所有する温泉施設・ホテル関連事業をリゾリート株式会社に譲渡したM&Aの事例です。本取引は、事業譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社リゾリート」は、山口県山陽小野田市に本拠を置く、ホテル・温泉施設関連企業です。一方の譲渡企業である「株式会社アルファックス・フード・システム」は、同じく山口県山陽小野田市に本拠を置き、ASPサービス事業の運営を軸に、ホテル・温泉事業も手掛けていた企業になります。

本件M&Aは、同地域に本拠を置く温泉施設運営関連企業同士の取引事例です。この事業譲渡によって、アルファックス・フード・システムの本業であるASPサービス事業に経営資源を集中する狙いがあります。

アルファックス・フード・システムによる事業譲渡

穴吹興産と祖谷渓温泉観光によるM&A

2020年7月に、穴吹興産が祖谷渓温泉観光の代表取締役である植田氏の所有する株式の98.12%を買収し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「穴吹興産」は、不動産ソリューション事業・ホテル/ビルテナント事業・海外不動産開発事業などを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「祖谷渓温泉観光」は、徳島県にある「和の宿 ホテル祖谷温泉」を運営する会社になります。

本件M&Aは、不動産関連企業と温泉施設・ホテル運営会社による取引事例です。譲り受け企業である穴吹興産は、強く地域に根付いた「和の宿 ホテル祖谷温泉」のブランドを取得することで、大きなシナジー効果創出を目的としています。

祖谷渓温泉観光株式会社及び有限会社祖谷温泉の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ビジョンとこしかの温泉によるM&A

2021年11月に、株式会社ビジョンがこしかの温泉株式会社の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社ビジョン」は、国内外でのモバイルインターネット接続を提供するグローバルWiFi事業と、主に新興法人やベンチャー企業に向けた多岐に渡る情報通信サービスを展開する情報通信サービス事業を展開している企業です。

一方の譲渡企業である「こしかの温泉株式会社」は、鹿児島県で日本でも有数の良質の温泉を全室に完備した「美肌の湯」を運営するほか、グランピング施設を併設して運営している企業になります。

本件M&Aは、情報通信サービス企業と温泉施設運営会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるビジョンは、こしかの温泉が所有するグランピング事業を受け継ぐことによる事業規模の拡大を目指しています。

こしかの温泉株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

丸三と農の郷によるM&A

2021年10月に、株式会社丸三が株式会社農の郷の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得価額は公開されていません。

譲り受け企業である「株式会社丸三」は、出雲市に本社を置き、パチンコ・スロット事業、飲食事業、ホテル・温泉宿事業などを展開している企業です。一方の譲渡企業である「株式会社農の郷」は、「しまね大学発・産学連携ファンド」の出資により設立されたベンチャー企業で、トマト生産事業を展開しています。

本件M&Aは、温泉施設運営を手掛けるレジャー・アミューズメント関連企業と農業ベンチャー企業による取引事例です。本取引により、譲り受け企業である丸三は、以前手がけていたトマト栽培事業への再参入、島根大学との共同研究によるトマト加工品開発、栽培品種・収穫量の拡大による売上増加、観光農園事業の拡大などを目指しています。

島根大発ベンチャー企業 農の郷、LPCグループに トマト栽培の拡充図る

大江戸温泉物語株式会社とアールビバン株式会社によるM&A

2018年5月に、大江戸温泉グループの子会社である大江戸温泉物語株式会社がアールビバン株式会社の連結子会社であるTSCホリスティック株式会社からタラサ志摩ホテル&リゾートを譲り受けしたM&Aの事例です。

譲り受け企業である「大江戸温泉物語株式会社」は、全国で温泉旅館、ホテル、温浴施設、テーマパークの運営を行う企業です。一方の譲渡企業である「アールビバン株式会社」は、リゾート関連事業以外に、アート事業・ヨガ事業・ファイナンス事業などを手掛けている企業になります。

本件M&Aは、大手温泉施設運営企業と多角化事業運営企業による取引事例です。アールビバンは、タラサ志摩ホテルにおいて、宿泊者数、客単価を伸ばすことができず、営業損失が続いていましたが、本事業譲渡により、経営資源の有効活用及び財務体質の強化を図っています。

当社子会社における事業譲渡のお知らせ

温泉施設でM&Aを行うことのメリット

温泉施設でM&Aを行うことのメリットを売却側と買収側の両方から解説していきます。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 後継者不在問題の解消
  • 借入における個人保証の解除
  • 従業員の雇用維持
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • ノウハウと人材の継承

温泉施設でM&Aの売却を行うことのメリット

温泉施設でM&Aの売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 経営基盤の強化と自社看板の継続
  • 借入における個人保証の解除
  • 従業員の雇用維持

それぞれ詳しく解説していきます。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

後継者不在問題の解消

特に中小規模の温泉施設における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む温泉施設が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。温泉施設に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の温泉施設の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

従業員の雇用維持

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

温泉施設でM&Aの買収を行うことのメリット

温泉施設でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は、温泉施設業界における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

温泉施設業界のM&Aにおいては、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産に加え、宿泊施設や施設スタッフなどの人材を手に入れることも可能です。特に温泉施設運営事業にとって温泉施設などの有形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また温泉施設業界においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

運営ノウハウの継承

温泉施設事業者において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「運営ノウハウ」です。高い運営ノウハウを持つ温泉施設は、市場において高い競争力を得ることができます。

もしM&Aによって温泉施設運営会社の買収を検討しているのであれば、まずは買収先企業が持つ施設ノウハウに目を向けることが先決です。買収によって現在の自社が持たないノウハウが手に入るか否かをチェックしましょう。

またホテル・旅館運営企業の買収に関しては、買収先が持つ施設数の如何によって、取引額に大きな差が生じます。より多くの店舗を所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

温泉施設のM&Aにおける注意点

温泉施設のM&Aにおける注意点を解説します。温泉施設のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 競業避止義務に関して
  • 既存従業員の離職対策

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

競業避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に温泉施設運営事業を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

既存従業員の離職対策

買収先の既存従業員による離職対策は、M&Aを成功させるために留意すべきポイントのひとつです。既存従業員の離職を防ぎ、優秀な人材を雇用し続けることが重要になります。

経営者視点から見ればM&Aは立派な経営戦略であり、大きなシナジー効果を生むものです。しかし従業員にとっては、今後の働き方や会社との雇用関係に大きな変化をもたらす為、M&Aによって雇用条件や働き方が悪化すると離職を招きます

M&Aによる離職を防ぐためには、従業員の働き方や雇用関係の変化に対し、敏感に配慮することが重要です。既存従業員が不安となる要素はあらかじめ取り除いておくことが、M&Aによる離職を防ぐ手段として有効になります。

温泉施設のM&Aを成功させるためのポイント

温泉施設のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。温泉施設のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格への理解
  • PMI(統合後プロセス)の確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。M&A専門業者に委託することで、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

温泉施設のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

温泉施設のM&Aについてのまとめ

今回は温泉施設におけるM&Aについて、温泉施設業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

温泉施設業界は事業者の数が減少している業界ではあります。しかしM&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している温泉施設も数多く存在することから、温泉施設にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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