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技術者・エンジニア派遣会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおける動向は?」
「技術者・エンジニア派遣会社のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「技術者・エンジニア派遣会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、技術者・エンジニア派遣会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

技術者・エンジニア派遣会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、技術者・エンジニア派遣会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

技術者・エンジニア派遣会社とは

技術者・エンジニア派遣会社とは、自社の社員又は登録スタッフの中から、条件にあうエンジニアを取引関係にある企業へ派遣する事業のことです。技術者・エンジニア派遣会社の行う事業のことは、一般的に「エンジニア派遣」と表現されています。

技術者・エンジニア派遣会社は、他の人材派遣事業者とは異なり、各種製造業・建設業・IT業における技術者・エンジニアの派遣・教育に特化しているのが特徴です。また技術者・エンジニア派遣は、人材派遣業界全体の25%を占めていると言われています。

技術者・エンジニア派遣会社の昨今における需要は非常に高まっている状態です。IT分野に長けていない企業が即戦力となるエンジニアを採用するのは難しいため、技術者・エンジニア派遣会社を通してエンジニアを派遣してもうらケースが多発しています。IT・ソフトウェア技術は今後も進化していく見通しであるため、比例して技術者・エンジニア派遣会社の需要も高まっていくことでしょう。

技術者・エンジニア派遣会社のビジネスモデル

技術者・エンジニア派遣会社のビジネスモデルについて解説していきます。

登録型派遣

技術者・エンジニア派遣会社の代表的な種類のひとつが、「登録型派遣」といわれるビジネスモデルになります。派遣会社に登録されているスタッフから条件に合う人材を有期雇用にて派遣する形式です。

登録型派遣のビジネスモデルでは、派遣会社と派遣先企業の間には「派遣契約」、スタッフと派遣会社の間では「雇用契約」が結ばれいます。技術者・エンジニア派遣における登録型の利用目的は様々ですが、短期間のスポット的な人材補充や開発プロジェクトにおける詳細設計以降工程などに利用されるケースが多いです。

また登録型派遣では、通常は派遣契約と雇用契約の期間が同一である場合が多く、3ヶ月や半年ごとに契約更新を行います。派遣期間については、「30日以内の派遣(日雇派遣)は禁止、また期間制限により、派遣先の同一事業所では最長3年まで」と規定されているのが特徴です。※例外あり

常用型派遣

登録型派遣と対をなす代表的な種類のひとつが、「常用型派遣」といわれるビジネスモデルです。常用型派遣とは、自社に常用派遣されておるスタッフを取引先企業に派遣させる形式になります。

常用型派遣の特徴は、登録型派遣とは異なり、スタッフと派遣会社が無期限の雇用契約を結んでいることです。そのため派遣先の同一部署への派遣期間を3年に制限する「3年ルール」は適用されません。つまり3年を超えて同じ会社・同じ部署で働き続けることが可能です。

登録型派遣は人材補充やスポット的な戦力補給に用いられるのに対し、常用型派遣は「専門性の高い技術力」を求めて派遣されます。そのため設計や開発などの上流工程に関与できるスキルが求められるのが特徴です。

SESとの違い

技術者・エンジニア派遣会社と似たビジネスモデルに、「SES(システムエンジニアリングサービス)」があります。技術者・エンジニア派遣会社とSESの違いは、以下の通りです。

  • 雇用形態が異なる
    技術者・エンジニア派遣の雇用契約は「派遣契約」。一方のSES契約は「準委任契約」であり、ソフトウェアやシステム開発・保守・運用など、特定の業務に対して技術者が労働を提供する契約となる。
  • 指揮命令権が異なる
    技術者・エンジニア派遣では派遣先の責任・指揮のもとに業務を行うが、SESでは所属するSES企業の業務命令に沿って業務を行う。SESでは派遣先に指揮・命令権がないため、仮に派遣先がエンジニアに対して直接指示を出すと「偽装請負」とみなされる。

技術者・エンジニア派遣とSESでは、主に「雇用形態」と「指揮・命令権」の2つに違いがあります。技術者・エンジニア派遣とSESでは取引企業との契約内容も異なるので注意が必要です。

技術者・エンジニア派遣会社に必要なもの

技術者・エンジニア派遣会社に必要な業許可・資格・人材について解説していきます。

派遣元責任者

技術者・エンジニア派遣会社を運営するうえでは、各事業所ごとに派遣元責任者の資格を有した人物を選任・配置することが必須です。派遣元責任者は、派遣者労働者100人ごとに1人以上を設置することが義務付けられています。

派遣元責任者は、誰でも出来る訳ではなく、一定の要件を満たしておくことが必須です。派遣元責任者における欠格事由と必要要件は、以下の通りです。

欠格事由 必要要件
  • 禁固刑又は労働基準法違反などにより懲役・罰金の刑に処され、その執行を受ける事ができなくなってから5年を経過しない者
  • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
  • 労働者派遣事業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
  • 未成年者である者
  • 外国人で一定の在留資格のない者
  • 派遣元責任者の業務に専任できること
  • 3年以上の労務管理経験があること
  • 3年以内に、派遣元責任者講習を受講していること

上記の「欠格事由を満たしておらず」かつ「必要要件を満たしている」人物のみが派遣元責任者の任に付くことができます。

派遣元責任者の業務は、派遣先企業や派遣労働者からの苦情・相談があった場合、いつでも対応ができるよう体制を整えることです。そのため、派遣元責任者自身が派遣労働をしたり、他会社の役員や従業員が派遣元労働者の任に付くことはできません。

労働者派遣事業許可

技術者・エンジニア派遣会社は、派遣元責任者を設置することに加えて、厚生労働省から「労働者派遣業許可」の認可を受けなくてはなりません。労働者派遣事業許可無しでの技術者・エンジニア派遣会社の運営は、法律で禁止されています。

労働者派遣事業許可を取得するために満たすべき要件は、以下の通りです。

  • 該当する事業が、労働者派遣の役割を特定の者だけに提供する事を目的として行われるものではない事
  • 申請者が、該当する事業の派遣労働者に関わる雇用管理を、適正に行える能力がある事
  • 個人情報を適正に管理し、労働者の秘密を守れる措置がある事
  • 申請者が、該当する事業を的確に遂行できる能力がある事
  • 民営職業紹介事業を兼業する場合、許可要件を満たしている事
  • 海外派遣を予定する場合、許可要件を満たしている事

この他にも申請手数料や各種申請書類の準備が必須です。労働者派遣業許可の取得には、専門的な知識が必要ですので、専門的な知識や経験が無いのであれば、労務士などの専門家に依頼することが推奨されます。

必要な人材と資格

技術者・エンジニア派遣会社では、特定のスキルを有したスタッフを確保することが必須です。技術者・エンジニア派遣会社に関連する資格には、以下のようなものがあります。

資格 資格概要 取得難易度
基本情報技術者検定 ITエンジニアとして必要な知識とスキルを身に付けるための国家試験
システムアーキテクト試験 基本情報技術者試験の上位互換となる国家試験。上流工程を担当するエンジニアに推奨される。
C言語プログラミング能力認定試験 C言語プログラミング能力を獲得するための民間資格。C言語の基本的な概念やプログラミング能力が身に付く。
Javaプログラミング能力認定試験 Javaのプログラミングスキルを獲得するための民間資格。1級~3級の段階別試験となっている。
プロジェクトマネージャー試験 IPA(情報処理推進機構)が実施している国家試験。テクノロジー分野やプロジェクトマネージメント分野、ストラテジー分野などの知識が身に付く。

関連する資格には、「国家資格」と「民間資格」の両方が存在します。上記の他にも様々な関連資格が存在し、それぞれの資格で取得できる知識・スキルが細かく異なるのも特徴です。

技術者・エンジニア派遣会社の市場動向

技術者・エンジニア派遣会社の市場動向について解説していきます。

技術者・エンジニア派遣会社の需要は拡大傾向

厚生労働省が公開している「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」によれば、令和4年度のIT系技術者派遣が含まれる「情報処理・通信技術者」の合計人数は172,445人で前年度107.5%という結果です。令和元年の合計141.107人と比較すると3万人以上技術者の労働派遣人数が増えていることになります。

技術者・エンジニア派遣の需要が拡大している最たる理由は、国内企業のDX化が急激に拡大しているためです。これまで人海戦術を要していた製造業者などを筆頭にDX化が進んでおり、IT関連のノウハウを持たない企業からの派遣要請が急増している状況です。

今後しばらくは派遣技術者・エンジニアの需要は高まることが予測されています。同時に国内では需要に対してIT人材の数が不足し続けており、ITに関連した技術者・エンジニアの育成が求められています。

技術者に求められるエンジニアリングスキルの変化

現在の技術者・エンジニア派遣業界において大きな変化を見せているのが、派遣エンジニアに求められるエンジニアリングスキルの変化です。以前よりも格段に高いエンジニアリングスキルが求められており、技術者・エンジニア派遣会社はこれに対応する派遣スタッフの確保を行う必要に迫られています。

技術者・エンジニア派遣会社の派遣スタッフに求められるスキルのレベルが上がっている要因は、取引先企業のITリテラシーが高まっているためです。これまではIT技術に無頓着であった企業も情報通信分野における理解を高めており、結果的に技術者・エンジニア派遣会社に求める要求も高くなっています

また、企業によっては既にエンジニアの確保による「エンジニアリングの内製化」を進めており、これまでは技術者・エンジニア派遣会社に依頼していた業務も、自社で内製化できる動きが強まっています。エンジニア派遣会社にとっては大きな課題のひとつです。

リモートワークへの理解と対応

技術者・エンジニア派遣会社の主な業務は、自社の社員または登録スタッフのエンジニアをクライアント企業へ派遣し、エンジニアリングサービスを提供することです。近年では、派遣するエンジニアに対する働き方の見直しが業界全体で求められています。

特に2020年に発生した新型コロナウィルスによるリモートワークの一般化は、技術者・エンジニア派遣会社を含むIT関連企業全体に大きな影響を与えました。オフィスに出勤することなく業務を完遂できるシステムや環境が構築されたため、雇用主側も従業員に対し、「リモートワークを推奨すべき」という論調が強まっています

実際に、技術者・エンジニア派遣会社においても、派遣するエンジニアに対しリモートワークでの業務を依頼するケースは多いです。ただしリモートワークを確立するためには、労働条件や通信システムの確立が必要であるため、技術者・エンジニア派遣会社もリモートワークを可能にするための環境作りを求められています。

技術者・エンジニア派遣会社が抱える課題

技術者・エンジニア派遣会社が抱える課題について解説していきます。

慢性的な人手不足

経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」によれば、2018年を基準として2030年まで技術者・エンジニア派遣会社を含むIT関連人材の不足は年々増加するとされています。2030年には最大約79万人のIT人材が不足するという結果です。

IT業界が慢性的な人手不足にある原因には、以下の3つが挙げられます。

  • IT需要の拡大
    IT技術の発展に伴いIT関連市場は益々拡大していくことが予想される。既にITシステムを導入している業界であっても、更なるシステム改善のためのプログラミングが求められるため、それに比例して人材が必要。
  • 労働人口の減少
    少子高齢化により日本の労働人口は減少傾向にある。厚生労働省が公表した「平成27年厚生労働白書」では、経済成長が実現し、女性や高齢者などの労働参加が適切に進んだ場合であっても、2030年には2012年に比べて就業者数が減少すると予測されている。
  • IT技術の発展による需要構造の変化
    IT分野は他業界と比べて進化のスピードが速い。次々と新技術が生まれるため、先端技術を扱うIT人材はどうしても減少傾向にある。先端IT技術を後進に指導するための体制が整っていないことも問題視されている。

上記の通り、IT分野は他業界と比べても慢性的な人手不足に悩んでいる業界です。慢性的な人手不足解消には、業界全体としての大きな変革が求められています

市場競争の激化

技術者・エンジニア派遣業界は、需要が非常に高い業界のひとつです。しかし需要の高さと比例して技術者・エンジニア派遣会社における市場競争は年々激化の一途を辿っています。

技術者・エンジニア派遣業界の市場競争が高い理由のひとつは、技術者・エンジニア派遣会社が雇用するエンジニアには特別な資格が必要ないためです。そのため雇用条件が甘く、スキルが高くないエンジニアであっても派遣すること自体が可能です。

また「労働者派遣事業許可」の取得が必須であるとはいえ、決して取得難易度が高い訳ではありません。市場が拡大傾向であるため、多少の労力と時間を掛けても業界への新規参入を目指す企業は多いです。

案件の高難易度化

デジタルテクノロジーの発展により、技術者・エンジニア派遣会社の仕事も多角化している時代です。テクノロジーの発展と共に、クライアントから依頼される成果物の要求難易度も高まっています。

技術者・エンジニア派遣会社が引き受ける案件が高難易度化している要因は、クライアント企業側のテクノロジーに対する感受性が高まったことが要因のひとつです。今まで派遣のエンジニアに依頼していた案件も、最新のテクノロジーを使用することで、内製化出来るようになったため、派遣エンジニアには簡易的な成果物の作成を依頼しなくなりました。

また技術者・エンジニア派遣会社の数自体も増えたことにより、技術者・エンジニア派遣会社同士の競争も激化している状態です。案件に対する市場単価も次第に下がりつつあるため、安請け・低品質な制作業務を生業とする企業も残念ながら存在します。

技術者・エンジニア派遣会社におけるM&Aの動向

技術者・エンジニア派遣会社におけるM&Aの動向について解説していきます。

大手企業による中小規模事業者の買収

技術者・エンジニア派遣業界のM&Aで最も多いのが、大規模の技術者・エンジニア派遣会社による中小規模事業者の買収です。株式譲渡のスキームを用い、中小規模事業者の所有する株式の一部または全てを買収する事例が目立っています。

技術者・エンジニア派遣業界は市場が右肩上がりに伸びていることもあり、新規参入事業者も多いです。その一方で経営難に陥る中小規模事業者も少なくありません。資金不足や業績悪化により経営難に陥った中小規模事業者を大手企業が買収するケースは多いです。

また中小規模社の買収では、大手企業側も右肩上がりの成長市場での競争力と経営基盤強化といった目的を果たすことができます。中小企業の買収は大手企業にとって、IT人材の確保やエリア内の商圏獲得に非常に有効な戦略のひとつです。

人手不足解消のためのM&A

特に中小規模の技術者・エンジニア派遣会社で多発しているのが、人手不足という問題です。実際に派遣するエンジニアの不足により事業継続が難しく、別の技術者・エンジニア派遣会社にM&Aを依頼するケースも増えてきています。

技術者・エンジニア派遣会社の市場規模自体は右方上がりに成長を続けているものの、エンジニアの獲得難易度は年々上昇しており、多くの技術者・エンジニア派遣会社がエンジニア不足に悩まされている状況です。エンジニアの確保がままならず、案件を断るしかない技術者・エンジニア派遣会社も多く存在します。

事業譲渡や株式譲渡のスキームにより、大手企業をはじめとするエンジニア確保のノウハウに優れた企業をM&Aを行うことで、自社の人手不足を解消できる可能性は高いです。エンジニアの確保が安定すれば、問題なく案件を受注することができます。

異業種からの新規参入

技術者・エンジニア派遣業界は、異業種からのM&Aによる新規参入が盛んであることが特徴です。技術者・エンジニア派遣業界に新規参入することが多い異業種には、以下のものがあります。

  • ソフトウェア・システム開発企業
  • コンサルティング企業
  • バックオフィス事業者
  • 人材派遣業者
  • 不動産事業者

ソフトウェア・システム開発企業は、自社が持ち合わせるノウハウをそのまま活用できるため、技術者・エンジニア派遣業界への参入が最も顕著です。またコンサルティング事業者・バックオフィス事業者も技術者・エンジニア派遣業界に関連する業界であるため、M&Aによって本格参入するケースが増えています。

技術者・エンジニア派遣業界への新規参入が多い理由は、市場成長率が他業界に比べ高いからです。競争率が高い業界ではあるものの、資金力やノウハウに自信のある企業は、例え新規参入であっても、利益を上げられる見込みがあれば、積極的にM&Aを用いて参入を果たしてきます。

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおける成功事例

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおける成功事例を紹介していきます。

三陽工業と極東ブレインによるM&A

2021年12月に、山陽工業が極東ブレインの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社したM&A事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得金額は公開されていません。

譲り受け企業である「山陽工業」は、プラント建設、メンテナンス、給排水設備工事及びライニング工事まで総合的な給排水設備工事などを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「極東ブレイン」は、機械設計・電気設計における技術者派遣事業を手掛けている企業になります。

本件M&Aは、建設関連会社と技術者派遣会社による取引事例です。本取引により、山陽工業極東ブレインの持つCAD設計における強みを共有し、シナジー効果をもたらすことを目的としています。

株式会社極東ブレインの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

フーバーブレインによるGHインテグレーションのM&A

2021年3月に「フーバーブレイン」が「GHインテグレーション」に対し、株式譲渡および株式交換を併用し子会社化したM&Aです。譲渡金額は2億6,640万円となっています。

「フーバーブレイン」は、企業向けサイバーセキュリティツールの提供・ITサービスやネットワークをSlerに常駐して守る構築事業などを展開しています。一方の「GHインテグレーション」は、受託開発事業や国内大手SlerへのSES事業を運営している企業です。

フーバーブレインは、事業拡大はもちろん、5G・IoT・AI領域を得意とする優秀なエンジニア人材の確保を目的としてM&Aを実施。一方のGHインテグレーションは、職場環境や給料、福利厚生などのエンジニアの労働条件改善を目的としています。

参考:GHインテグレーション株式会社の完全子会社化について

平山ホールディングスと平和鉄工所によるM&A

2018年12月に、平山ホールディングスが平和鉄工所の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、取得金額は公開されていません。

譲り受け企業である「平山ホールディングス」は、製造業向けにインソーシング(請負)・派遣事業や技術者派遣事業等を行っている企業です。一方の譲渡企業である「平和鉄工所」は、鉄道会社で使用される産業機械部品、化工機械部品、船舶機械部品を製造している企業になります。

本件M&Aは、技術者派遣会社と機械・機器製造会社による取引事例です。譲り受け企業である平山ホールディングスは、平和鉄工所の技術力を獲得するとともに、同社内での技術人材の育成に取り組むことで、請負・派遣先の拡大を図っています。

株式会社平山ホールディングス

パナソニック子会社とテンプスタッフによるM&A

2015年4月にパナソニックの子会社である「パナソニック エクセルスタッフ」の株式のうち、66.1%を「テンプスタッフ」に譲渡し子会社としたM&Aです。

「パナソニック エクセルスタッフ」は、大手電気機器メーカー「Panasonic(パナソニック)」の子会社で、事務および技術者の人材派遣業を運営している企業です。一方の「テンプスタッフ」は、人材派遣・アウトソーシング・キャリア支援サービスなど、人材サービス業を多角的に運営している企業になります。

このM&Aの主な目的は、「企業価値の向上」にあると見られ、双方の有するノウハウやネットワークを共有することで、成長性や収益性の基盤強化を図るのが狙いです。人材サービス業界でも大きな話題を生んだ、大手企業同士のM&A事例になります。

テンプスタッフとパナソニックエクセルスタッフの株式譲渡に合意

夢真ホールディングスと三立機械設計によるM&A

2018年10月に、夢真ホールディングスが三立機械設計の所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&A事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「夢真ホールディングス」は、建設技術者派遣事業を主力とし、エンジニア派遣事業も展開する企業です。一方の譲渡企業である「三立機械設計」は、産業機械設計と技術者派遣事業を展開する企業になります。

本件M&Aは、技術者・エンジニア派遣会社と機械設計および技術者派遣会社による取引事例です。本取引により、譲り受け企業である夢真ホールディングスは、三立機械を取り込むことで、エンジニア派遣事業の拡大を目指しています。

三立機械設計株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

テクノプロ・ホールディングスとプロビズモによるM&A

2018年1月に、テクノプロ・ホールディングスがプロビズモの保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&A事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられ、取得金額は約17億5,500万円となっています。

譲り受け企業である「テクノプロ・ホールディングス」は、機械、電気、情報システム、情報インフラ、プラントエンジニアリングなど各種技術分野における研究開発や商品開発などの技術サービスを提供している企業です。一方の譲渡企業である「プロビズモ」は、アプリケーション開発やエンジニア派遣などを手掛ける企業になります。

本件M&Aは、IT関連企業とエンジニア派遣およびアプリケーション開発企業になる取引事例です。本取引により、譲り受け企業であるテクノプロ・ホールディングスは、より高度なソリューションを提供すると共に、請負受託プロジェクトを通じてエンジニアの能力向上を目的としています。

テクノプロ・グループ業績の現状と中期経営計画の進捗

サービス&セキュリティによるトライブのM&A

2021年7月に株式譲渡の手法を用い「サービス&セキュリティ」が「トライブ」を子会社化したM&Aの事例です。全株式を取得し完全子会社化することで発表されました。

「サービス&セキュリティ」は、システム運用/開発・セキュリティ関連のシステムエンジニアリングサービスを手掛け、さらに人材派遣事業・セキュリティ製品の研究開発・販売、保守事業を手掛ける企業です。

「トライブ(現AnyKan)」は、ゲーム・メディア業界を中心にIT人材の紹介・派遣・コンサルティングなどを手掛けています。トライブを完全子会社化することで、サービス&セキュリティはゲーム・メディア業界向けの市場シェアを獲得し、さらなる事業拡大に成功している事例です。

参考:SSKが株式会社トライブの株式を100%取得し子会社化

Success HolderとP&PによるM&A

2021年4月に、Success HolderがP&Pの保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられ、取得価額は3億5,900万円となっています。

譲り受け企業である「Success Holders」は、JASDAQの上場企業で、エンジニア派遣・メディア事業などを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「P&P」は、システム開発業の他にエンジニア派遣事業を手掛けている企業になります。

本件M&Aは、共にエンジニア派遣会社同士の取引事例です。譲り受け企業であるP&Pは、新たなメディア事業を創出できる企業またはポストコロナにおいて発展性のある事業・業種を対象として、M&Aを活用した成長戦略を推進しています。

Investor Presentation

エヌジェイホールディングスとトーテックのM&A

2018年7月に「デルタホールディングス」が「トーテック」の株式のうち70%を譲渡としたM&Aの事例です。売却金額は1億2,600万円となっており、フリーキャッシュフロー法で算出した株主価値を基準に価格が決定されています。

譲渡企業である「トーテック」は「エヌジェイホールディングス」の子会社で、化学・情報分を専門とするエンジニアの人材派遣を主力としている企業です。一方の「デルタホールディングス」は、人材派遣・人材紹介・請負サービスなど、総合的な人材サービスを提供する企業になります。

トーテックは、M&A以前に少子高齢化による人材不足に悩んでおり、訴求力や認知度の向上に役立つノウハウ等を取得する目的で、ブランディングを得意とするデルタホールディングスとの資本業務提携を決定。一方のデルタホールディングスは、トーテックの持つ顧客ネットワークを活かし経営基盤の強化を狙いとしています。

資本業務提携及び連結子会社の異動(株式の一部譲渡)に関するお知らせ

サポートシステムとUTグループのM&A

2020年3月に「サポートシステム」は自己株式を除く全株式を「UTグループ」に譲渡することで、M&Aを行いました。人材派遣会社同士のM&A事例です。

譲渡企業である「サポートシステム」は、事務・流通・医療・福祉などの分野で人材派遣事業を展開している企業になります。譲り受け企業である「UTグループ」は、製造工場・IT・建設分野などへの人材派遣事業を運営する企業です。

買い手・売り手双方が人材派遣企業であることから、互いにシナジー効果を期待したM&Aになります。派遣労働者・顧客・人材育成システムなどの基盤を双方が活用することで、市場競争力を高めることが狙いです。

株式会社サポート・システムの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

技術者・エンジニア派遣会社でM&Aを行うことのメリット

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 後継者不足の解消
  • 市場競争力の獲得
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 事業の選択と集中
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 顧客獲得の優位性

それぞれ詳しく解説していきます。

技術者・エンジニア派遣会社でM&Aの売却を行うことのメリット

技術者・エンジニア派遣会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

後継者不足の解消

特に中小規模の技術者・エンジニア派遣会社における問題として、後継者不足による廃業が挙げられます。後継者不足に悩む技術者・エンジニア派遣会社が、M&Aの売却を進めることで後継者不足の解消に繋げることができます。

実際に後継者不足解消のため、中小規模の事業者が大手企業に買収されることで、後継者問題の解消に繋がるケースは多いです。M&Aでは、会社を譲渡することで譲受企業から経営陣を迎え、これまで通り会社を存続させる事ができます。

また大手企業の経営者クラスに位置する優秀な人物が経営者となるため、売却側の事業規模がこれまでより拡大される場合が多いです。後継者不足に悩んでいる企業にとって、M&Aを行うことは廃業を避けるための大きな手段のひとつです。

市場競争力の獲得

技術者・エンジニア派遣業界は市場規模が拡大傾向にある一方で、市場競争率は年々上昇しています。技術者・エンジニア派遣会社の市場競争が激化している理由は、主に以下の通りです。

  • 市場景気が良いから
  • 顧客層の幅が広いから(見込み客が多いから)
  • 事業許可のハードルが低いから
  • 大手企業の市場独占率が低めだから
  • 低コストで開業できるから

上記のような理由により、技術者・エンジニア派遣業界に次々と新規参入する企業が増加しています。M&Aによる売却を行うことで、資金力・人材確保・ノウハウなど、あらゆる面で市場競争力を高めることが出来るでしょう。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。技術者・エンジニア派遣会社に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の技術者・エンジニア派遣会社の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

事業の選択と集中

景気悪化を辿る日本では、会社存続のために複数の事業を多角展開する企業も珍しくありません。しかし事業の多角化は一歩間違えれば、赤字を生み出し、廃業の原因とさえなり得ます。

M&Aのスキームの一つである「事業譲渡」を用いることで、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却することが可能です。実際に事業譲渡により、特定の事業のみを他者委に売却する企業は多くあります。

M&Aの事業譲渡によって事業を売却することで、事業の選択と集中が出来れば、経営状態を好転させられるかもしれません。得意分野に資金や人員を集中できるため、成功率も高まるはずです。

技術者・エンジニア派遣会社でM&Aの買収を行うことのメリット

技術者・エンジニア派遣会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • 顧客獲得の優位性

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は技術者・エンジニア派遣業界における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおいては、売手となる企業が持つ設備や建物事務所のような有形資産に加え、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産を手に入れることも可能です。特に技術者・エンジニア派遣会社にとって「顧客情報(取引先情報」などの無形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また技術者・エンジニア派遣業界においては、大手企業の市場独占率は低めなので、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

顧客獲得の優位性

技術者・エンジニア派遣会社は中小企業を含み事業者数が非常に多く、業界自体が右肩上がりの市場であるため優秀なライバル企業が多く、新規参入のハードルが非常に高い業界です。

M&Aによって技術者・エンジニア派遣会社の買収をすれば、一から顧客を獲得する労力がなく、一定の成果・実績を最初から狙うことができます。新規開拓における営業的な労力も最小限に抑えることが出来るでしょう。

また技術者・エンジニア派遣会社に関連するM&Aでは、特定の地域における商圏獲得を目的とした取引事例が多いです。たとえ小規模の技術者・エンジニア派遣会社の買収であっても、特定の地域のみ強い商圏を持っているケースは多々あるため、こういった特定商圏に強い技術者・エンジニア派遣会社を買収することは非常に有効な戦略のひとつです。

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおける注意点

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおける注意点を解説します。技術者・エンジニア派遣会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 避止義務に関して
  • 既存従業員の離職対策

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に技術者・エンジニア派遣会社を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

既存従業員の離職対策

買収先の既存従業員による離職対策は、M&Aを成功させるために留意すべきポイントのひとつです。既存授業員の離職を防ぎ、優秀な人材を雇用し続けることが重要になります。

経営者視点から見ればM&Aは立派な経営戦略であり、大きなシナジー効果を生むものです。しかし従業員にとっては、今後の働き方や会社との雇用関係に大きな変化をもたらす為、M&Aによって雇用条件や働き方が悪化すると離職を招きます

M&Aによる離職を防ぐためには、従業員の働き方や雇用関係の変化に対し、敏感に配慮することが重要です。既存従業員が不安となる要素はあらかじめ取り除いておくことが、M&Aによる離職を防ぐ手段として有効になります。

エンジニア・技術者派遣会社のM&Aを成功させるためのポイント

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。技術者・エンジニア派遣会社のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • PMI(統合後プロセス)の確立
  • 相場価格への理解

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。M&A専門業者に委託することで、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

技術者・エンジニア派遣会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

技術者・エンジニア派遣会社におけるM&Aのまとめ

今回は技術者・エンジニア派遣会社におけるM&Aについて、技術者・エンジニア派遣業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

技術者・エンジニア派遣業界は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している技術者・エンジニア派遣会社も数多く存在することから、技術者・エンジニア派遣会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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