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自動車整備会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「自動車整備会社のM&Aにおける動向は?」
「自動車整備会社のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「自動車整備会社 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、自動車整備会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

自動車整備会社におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、自動車整備会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

自動車整備会社とは

自動車整備会社とは、自動車の修理やメンテナンス、車検などの検査もしくは車検にむけた整備などを行う企業のことです。自動車整備会社の認定工場は、約7万社以上、整備工場数は約9万工場にも及ぶ巨大な業界になります。

自動車整備工場の主な業務は、「車の分解整備」を行うことです。車の分解整備とは、「原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置を取り外して行う自動車の整備又は改造のこと」と法律で定義されています。

車の分解整備は誰でも可能な訳ではなく、分解整備を行うためには地方運輸局の認証を受けることが必須です。地方運輸局からの認証を受けた工場のことを「認証工場」と呼び、一般的には認証工場を所有・運営している企業のことを自動車整備会社と呼んでいます。

自動車整備会社のビジネスモデル

自動者整備会社の主な業務は、車の分解整備を行うことです。しかし近年では自動車整備工場のビジネスモデルも多様化が進み、分解整備以外のビジネスを展開する自動車整備会社も増えてきています。自動車整備会社が手掛けているビジネスモデルは、主に以下の通りです。

  • 自動車整備事業
  • 自動車ディーラー業
  • カー用品販売

それぞれ詳しく解説していきます。

自動車整備事業

自動車整備事業とは、前述した通り「車の分解整備」を行うことです。自動車整備会社は車の分解整備を行っていることが定義の必須条件であり、主な整備業務には、以下のようなものが挙げられます。

  • 車検整備
  • 定期点検整備
  • 事故整備
  • その他整備(ETC機器・カーナビの取り付けなど)

車の分解整備を行うためには、地方運輸局の認証が必要ですが、近年では車の高度化に伴い、分解整備の基準だけでは安全を担保することは不十分と言わています。そこで、従来の「分解整備」に「電子制御装置整備」を加えた特定整備制度が2020年4月から施行されました。

この改正により「電子制御装置整備」を実施する為には、分解整備とは別に「特定整備」の認証を受ける必要があります。特定整備の認証を受けることで、分解整備と電子制御装置整備の両方を行うことが可能です。特定整備の認証を受けられるか否かが、現代における自動車整備会社にとっては重要な要素となっています。

自動車ディーラー業

自動車整備会社として「認証工場」を取得している企業のなかには、自動車ディーラー業を運営している企業も多いです。自動車整備業と自動車ディーラー業の両方を手掛ける企業のことを「ディーラー系整備工場」と言います。

ディーラー系整備工場は、その他の整備工場(「民間整備工場」とも呼ぶ)と違って、特定のメーカーの自動車に限定または中心に点検・整備・修理を行っていることが多いです。もちろん新車・中古車の販売を行っているため、消費者は購入から、その後の点検・整備・修理まで同じ店舗(会社)で一貫して行えるという利便性があります。

また特定のメーカーのみの自動車ディーラー業・自動車整備業のみを営んでいるお店は、該当メーカーの車に対しての知識・経験が豊富で専門性が高いことがメリットです。高い専門性を発揮することで、他の自動車整備会社との差別化にも繋がります。

カー用品販売

自動車整備会社の中には、自動車整備業と並行してカー用品販売を行っている企業も多いです。ワックス・ワイパー・カーナビ・ETCなどのカー用品販売と自動車整備業を並行して行うビジネスモデルになります。

カー用品販売と自動車整備業を両立する会社の代表例として挙げられるのが、「イエローハット」や「オートバックスセブン」などの大手企業です。カー用品販売を主軸事業とし、カー用品購入に訪れる顧客に対し、自動車整備サービスを提供するビジネスモデルです。

特に近年では、特定のディーラーとの深い関係を築く個人の車所有者(以下、個人オーナー)は減少傾向にあるため、大手の多店舗展開型カー用品販売店に自動車整備サービスを申し込む個人オーナーも増えてきています。需要の高まりもあり、大手カー用品販売企業の中には、M&Aを通して自社認証工場を取得する企業も存在する程です。

自動車整備会社に必要な業許可・資格・人材

自動車整備会社に必要な業許可・資格・人材について解説していきます。

自動車整備会社に必要な業許可

自動車整備会社として「分解整備」を行うためには、地方運輸局の認証を受けることが必須です。また前述しら通り、分解整備業における認証に加え、2020年4月から電子制御装置整備を行うための「特定認証」の取得も試行されています。

特定整備の定義は、「道路運送車両法第49条第2項・同施行規則第3条」によって「原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置又は自動運行装置(第四十一条第二項に規定する自動運行装置をいう。)を取り外して行う自動車の整備又は改造、その他のこれらの装置の作動に影響を及ぼすおそれがある整備又は改造」です。

つまり現在の自動車整備会社は「分解整備のみ」を行える従来同様の事業者と、「分解整備と電子制御装置整備の両方(=特定整備全て)」を行える事業者の2つに別れることになります。もちろん車の電子化が進むことも考慮すれば、電子制御装置整備も行える「特定認証」を所有していくことが望ましいです。

自動車整備会社に必要な資格

自動車整備会社で働く人材に必要な資格で第一に挙げられるのは、「自動車整備士」の国家資格です。自動車整備士の国家資格を保有した人材がいなくては、自動車の分解整備を行うことはできません。

自動車整備資格は主に3級・2級・1級の3段階で分類されており、それぞれの資格をもって「〇級自動車整備士」と呼ばれることが一般的です。資格の階級や種類(3級自動車ガソリンエンジン整備士や2級ジーゼル自動車整備士など)によって対応する整備内容は異なるので、自社工場の整備内容に見合った資格所有者を雇用することが必要になります。

またガソリンスタンドなどでも行っている「タイヤ交換サービス」や「エンジンオイル交換サービス」は、自動車整備士の資格を保有していなくても実施することが可能です。もちろん「タイヤ以外の足廻りに関わる部分」や「エンジン分解」「点検整備」など、車の安全性に関わる作業は自動車整備士の資格が必須となります。

自動車整備会社に必要な人材

自動車整備会社に勤める人材は、「自動車整備士」だけに限りません。自動車整備会社には、自動車の分解整備を行う整備士だけでなく、以下のような人材が必要とされています。

  • 自動車整備士:自動車の分解整備を行うための人材
  • 営業員:「ディーラー系自動車整備工場」における自動車の販売・買取を行う窓口人材
  • 事務員:自動車整備依頼に対する受付業務などを担当する
  • カー用品販売員:カー用品販売事業を手掛ける場合に必要となる

主に自動車整備事業以外を手掛ける場合には、営業員やカー用品販売員などが必要です。自社のビジネスモデルに応じて採用する人材を決定する必要があります。

自動車整備会社の市場動向

自動車整備会社の市場動向を解説します。現在の自動車整備会社の市場動向は、以下の通りです。

  • 市場規模は緩やかに拡大
  • ビジネスモデルの変化が加速
  • 進化するテクノロジーへの対応

それぞれ詳しく解説していきます。

市場規模は緩やかに拡大

2020年度に日本自動車整備振興会連合会が行った自動車整備業界「令和2年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について 」では、自動車整備総売上高は5兆6,561億円であり、前年度よりも0.6%増(345億円増)と拡大しているのが現状です。

自動車整備業界には様々な課題が存在するものの、4年連続で市場規模自体は拡大しています。これからも大規模な法改正が無い限りは、車検制度が続くため、自動車整備会社に一定の需要が見込まれるでしょう。

ただし市場規模が緩やかに拡大している一方で、景気悪化・人口減少・若者の車離れなど、自動車整備会社の需要が低迷する要因となる課題が存在するのも事実です。自動車整備業界が今後も拡大を続けるには、様々な課題に対し業界全体で取り組んでいく姿勢が求められています。

ビジネスモデルの多様化

近年の自動車整備業界にある特徴として、ビジネスモデルの多様化が挙げられます。つまり本業である自動車の分解整備だけでなく、ディーラー業やカー用品販売、さらには自動車保険業などを運営する自動車整備会社が増えてきているということです。

自動車整備会社のビジネスモデルが多様化している要因のひとつが、「自動車整備会社数の多さ」です。日本自動車整備振興会連合会が2022に発表した「自動車分解整備業実態調査結果」によると、自動車の整備事業場数は91,711箇所、企業数は72,370社存在します。コンビニエンスストアの数が約5万4千軒なので、約1.5倍の数が存在しているのです。

自動車整備業界の市場規模自体は緩やかに拡大傾向ですが、すべての自動車整備会社が本業である自動車の分解整備だけを生業として事業を継続できるわけではありません。自動車整備会社としての生き残りをかけ、ディーラー業やカー用品販売などの事業を展開する企業が増加しています。

進化するテクノロジーへの対応

自動車整備業界の市場に最も大きな影響を与えているのが、新テクノロジーの存在です。進化するテクノロジーに対し、如何に柔軟な対応を出来るかが自動車整備業界全体で求められています。テクノロジーへの対応は自動車整備会社にとって必須となる事項です。

次々と進化するテクノロジーに対応するための制度として、行政側も対応を見せています。2020年4年に施行された「特定整備制度」がその最たるもので、従来の「分解整備」に加え、「電子機器装置整備」を加えた認証制度となっています。

ASV(先進安全自動車)・EVシフト・SLAM技術など、自動車のテクノロジー発展速度は須磨まじい勢いです。いかに先端技術といえど故障や不良の発生確率はゼロではないため、自動車整備会社も先端技術への素早い対応を求められています。

自動車整備会社が抱える課題

自動車整備会社が抱える課題について解説していきます。現在の自動車整備会社が抱える課題は、以下の通りです。

  • 自動車整備士の不足
  • 若者による車離れ
  • 後継者不在問題

それぞれ詳しく解説していきます。

自動車整備士の不足

近年の自動車整備会社における最大の課題が、自動車整備士の不足です。国家資格である「自動車整備士」の保有者は10年間で約1.2万人減少しており、なかでも若手の自動車整備士の減少が顕著になっています。

若手の自動車整備士が減少することで発生する問題が、自動車整備士の高齢化です。自動車整備士の平均年齢は年々上昇しています。自動車整備士の高齢化が進むということは、次世代の自動車整備士が育っていないことを意味しており、近い将来は更に自動車整備士の不足が進むことでしょう。

また業界の人手不足の深刻さを分かりやすく示しているのが「有効求人倍率」です。令和3年度の全産業における有効求人倍率は平均で1.05倍。対して自動車整備士の有効求人倍率は、4,55倍という数値です。つまり全職種平均の4倍以上という数値で、企業の求人枠に対して働きたい人材が不足していることを表しています。

若者による車離れ

現代の日本では、特に20代~30代の若者の車離れが発生しています。若者の車離れが発生しているということは、自動車整備会社の需要が将来的に低下する要因のひとつです。若者の車離れが発生している要因には、以下のようなものが挙げられます。

  • 経済的理由
    現代の若者にとって、車は「高級品」という位置づけ。2000年前後の就職氷河期・非正規労働者の増大などにより、若年層の個人消費が低迷している。結果として高額消費である自動車の購入をためらう心理となっている。
  • 自動車の価値定価
    以前まで車を所有するということは、「社会的ステイタス」という概念があった。しかし近年では自動車の価値が低迷し、自動車を持つことがステイタスになるという概念自体が消えつつある。自動車の利便性は認められるものの、自動車が不要な環境でわざわざ保有する必要はないという考え方をする若者が増えている。
  • レンタカーサービスの発展
    自動車を購入するということは多額の購入費用と維持費用が生じることになる。一方でレンタカーサービスは目まぐるしい発展を遂げており、スマホの操作ひとつでレンタカーを直ぐに借りられる環境にある。高額な費用を払って車を持つより、スポット的に車を借りることが相対的にみて経済的に優しいという概念が普及しつつある。

上記の通り、現代における「自動車の価値」は、確実に低下しつつあることが分かります。20代~30代の若者が自動車に抱く概念と、40代以上が自動車に持つ概念では大きな違いがあるのです。

後継者不在問題

。日本自動車整備振興会連合会が2022に発表した「自動車分解整備業実態調査結果」によると、自動車の整備事業場数は91,711箇所、企業数は72,370社存在します。コンビニエンスストアの数が約5万4千軒なので、約1.5倍の数です。そして自動車整備会社の多くが、中小零細企業でもあります。

自動車整備会社に限らず、日本の中小零細企業で発生しているのが「後継者不在問題」です。創業オーナーもしくは2代目以降の後継者が存在せず、事業存続が危うい中小零細の自動車整備会社は多く存在します。

また後継者不在に悩む多くの自動車整備会社は、東京都や大阪府などの都市部ではなく、地方の自動車整備会社です。都市型人口化が進む日本では、地方部の人口が減少しているため、地方での後継者発掘は至難の業です。業績は悪くないにも関わらず、後継者が見つからないため、廃業する自動車整備会社は多く存在します。

自動車整備会社のM&A動向

自動車整備会社におけるM&Aの動向について解説していきます。これから自動車整備会社のM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

同業者同士のM&Aが多い

自動車整備業界におけるM&Aの特徴は、同業者同士の事例が非常に多いことです。同業者である「自動車整備会社×自動車整備会社」のM&Aによる子会社化または資本提携による取引が盛んに行われています。

自動車整備会社同士のM&Aが多い最たる理由は、自動車整備会社の主たる業務である「自動車の分解整備」が認可制であるためでしょう。認証工場を持つことでしか自動車整備業を行えないため、異業種からの新規参入は容易ではありません。

また特定整備などの認証取得だけでなく、自動車整備士の雇用も必須です。自動車整備会社同士、または自動車整備会社と自動車関連企業との取引であれば、双方いずれかの企業が自動車整備士を雇用している可能性があるため、事業承継もスムーズに行うことができます。

中小規模企業同士の小規模M&A

自動車整備会社のM&A事例として多いのが、中小規模企業同士の取引です。中小零細規模の自動車整備会社同士の小規模M&Aが盛んに行われています。小規模の取引なので大々的にトップニュースで取り上げられることはありませんが、M&A関連のニュースサイトでは度々取り上げられています。

自動車整備会社の数は実に9万社以上に及びますが、そのほとんどは中小零細規模の事業者です。大手の自動車整備会社またはディーラー系整備会社はほんの一部であり、業界のほとんどを中小規模の自動車整備会社が占めています

中小規模の自動車整備会社同士のM&Aにおける最大の目的は、市場における競争力と事業基盤の強化です。資金力や人材に勝る大手企業に対し、中小規模同士が合併し対抗するという市場構想が出来上がりつつあります。今後はますます中小規模企業同士のM&Aが盛んになっていく見通しです。

大手企業による中小規模事業者へのM&A

自動車整備業界では、中小規模企業同士のM&Aによる合併だけでなく、大手企業による中小規模事業者へのM&A事例も目立ちます。大手企業が中小規模企業の株式を取得し、中小規模企業を子会社化するというものです。

大手の自動車整備会社が中小規模事業者をM&Aによって獲得する主な目的は、「認証工場」と「自動車整備士」の確保です。認証工場と自動車整備士を一から新規で獲得することは容易ではありません。

M&Aによる株式譲渡のスキームを用いれば、認証工場と自動車整備士の人材を一度に両方獲得することが可能です。認証工場の工場審査を受ける手間とコストを省けることに加えて、即戦力となる技術を持った自動車整備士を雇用できるため、自動車整備会社大手企業にとって、中小規模自動車整備会社のM&Aは非常にメリットが大きいと言えます。

自動車整備会社でM&Aを行うことのメリット

自動車整備会社のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを参考に自動車整備会社のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 資金力やブランド力の獲得
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 従業員の雇用維持
  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • ノウハウと人材の継承
  • 事業許可の獲得

自動車整備会社でM&Aの売却を行うことのメリット

自動車整備会社でM&Aによる売却を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 資金力やブランド力の獲得
  • 資金調達・オーナーのEXIT
  • 借入における個人保証の解除
  • 従業員の雇用維持

それぞれ詳しく解説していきます。

資金力やブランド力の獲得

自動車整備会社がM&Aによる売却を行うことで、譲渡先企業の持つ資金力やブランド力を手に入れることが可能です。同業者の数が多い自動車整備業界においては、資金力はもちろんのこと、ブランド力の獲得も生存戦略において必須となります。

特に中小零細規模の自動車整備会社が大手自動車整備会社のM&Aを受けることで、資金力やブランド力を手にすることが可能です。実際に、自社だけでは十分に顧客を獲得できなかった中小規模の自動車整備会社が、大手傘下に入ることによって顧客の獲得に成功した事例は多くあります。

もちろん大手企業側も譲り受けした企業の認証工場や自動車整備士などの人材を手に入れらるというのがメリットです。もし資金力やブランド力がないことが要因で顧客獲得に悩んでいるのであれば、積極的にM&Aを検討すべきでしょう。

資金調達・オーナーのEXIT

M&Aによって売却された企業は、買収側の企業より金銭的収入を得ることができます。これは売却側のオーナーにとって大きなメリットとなる要素です。M&Aによって獲得した現金の使い道としては、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

  • 残っている借入金の返済に充てる
  • オーナー自身の引退後の生活資金とする
  • 新規事業における資金源とする

一方で、M&Aをせずに廃業となれば、有形資産を処分する費用や解雇する従業員への補償など、多くのコストがかかります。オーナーにとっては廃業を選ぶよりM&Aを選ぶことの方が、遥かにメリットは大きいでしょう。

借入における個人保証の解除

借入による資金調達を行った場合には、当然ながら返済義務が生じ、これが出来ない場合には個人資産を失うことになります。自動車整備事業者に関わらず、これは全ての経営者にとって大きな精神的負担となる事柄です。

特に中小規模の自動車整備事業者の場合、経営資金の融資調達はオーナー経営者が個人保証したり、個人資産を担保に入れることがほとんどのはず。貸倒によるオーナー個人の損害は計り知れないものです。

M&Aで会社を売却することで、会社は廃業や倒産を免れるだけでなく、基本的に債権も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れを解消することができます。オーナーにとっては肩の重い荷を下ろすことにも繋がるのです。

従業員の雇用維持

売却側の企業が廃業目前であった場合には、M&Aを実行することで、既存従業員の雇用を継続して守ることができます。実際にM&Aを行った場合、ほとんどのケースで譲受企業によって従業員の雇用が継続されます。

労働条件においても引き継がれるケースがほとんどなので、廃業に比べると既存従業員が被る影響を大きく抑えることに繋がるでしょう。給与待遇や労働条件が同じであれば、M&A後の離職率も低下させることができます。

また待遇面においては、M&A後に給与受験・労働時間・年間休日・福利厚生などの改善が行われるケースも多いです。M&A以前よりも好条件で雇用されるケースもあるので、既存従業員にとっては大きなメリットとなり得ます。

自動車整備会社でM&Aの買収を行うことのメリット

自動車整備会社でM&Aによる買収を行うことのメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大のチャンス
  • 新規事業への進出
  • ノウハウと人材の承継
  • 事業許可の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大のチャンス

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大のチャンスを得られることでしょう。M&Aによって買収側の企業は、自動車整備業界における規模・シェアの拡大を狙うことができます。

自動車整備業界のM&Aにおいては、顧客・取引先・特殊情報などの無形資産に加え、認証工場や自動車整備士などの人材を手に入れることも可能です。特に自動車整備事業者にとって認証工場や自動車整備士などの有形資産は実績に直結する要素であるため、M&Aによる早期事業拡大も視野に入れることができます。

また自動車整備事業者においては、大手企業の市場シェア率が高いですが、M&Aを行うことで自社の市場シェアを拡大させることが可能です。中小同士のM&Aを行うことで、大手企業に対抗する勢力を付けることにも繋がります。

新規事業への進出

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

ノウハウと人材の継承

自動車整備事業者において事業成功のカギを握るのは、自社が持つ「運営ノウハウ」と「自動車整備士をはじめとした人材」です。これら2つが揃っている自動車整備事業者は、市場において高い競争力を得ることができます。

もしM&Aによって自動車整備会社の買収を検討しているのであれば、まずは買収先企業が持つノウハウと人材に目を向けることが先決です。買収によって現在の自社が持たないノウハウや人材が手に入るか否かをチェックしましょう。

また自動車整備事業者の買収に関しては、買収先が持つ認証工場の如何によって、取引額に大きな差が生じます。価値のある認証工場を所有している企業ほど、高値で取引されるケースが多いです。

事業許可の獲得

自動車整備会社にとって必須となるのが、自動車の分解整備における認証工場の事業許可。そして2020年4月から施行された「電子制御装置整備」に伴う「特定整備」の認証があります。これらの事業許可を取得していなければ、自動車整備会社としての運営を行うことは不可能です。

しかし自動車整備会社としてのノウハウや知見のある人材を持たずして、自社認証工場を一から取得することは容易ではありません。自動車関連の事業にこれまで携わった経験が無いのであれば、専門家に依頼することになり、相応のコストと時間を要します。

M&Aによって自動車整備会社を買収することで、自動車整備会社にとって必要となる事業許可を買収先の企業から承継することが可能です。認証工場と合わせて自動車整備士なども承継すれば、すぐにでも自動車整備業をスタートすることができます。

自動車整備会社のM&Aにおける成功事例

自動車整備会社のM&Aにおける成功事例を紹介します。

D&Dホールディングスと室蘭ダイヤモータースによるM&A

2021年12月に、D&Dホールディングスが室蘭ダイヤモータースの全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いらましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「D&Dホールディングス」は、自動車のプライシング・コンサルティング・販売代理・修理・整備などの事業を展開する企業グループの持株会社です。一方の譲渡企業である「室蘭ダイヤモータース」は、北海道室蘭地域で三菱自動車製品の販売事業、自動車整備事業、自動車保険事業などを展開する企業になります。

本件M&Aは、自動車ディーラーとディーラー系整備会社による事例です。本取引により、譲り受け企業であるD&Dホールディングスは、レンタカー需要の大きい北海道エリアの特性に沿ったビジネス展開を図っています。

室蘭ダイヤモータース株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

北のふるさと事業承継支援ファンドと和漢自動車工場によるM&A

2021年8月に、北のふるさと事業承継支援ファンドが和漢自動車工業の全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられ、譲渡金額は1,515万6,000円となっています。

譲り受け企業である「北のふるさと事業承継支援ファンド」は、北海道・北洋銀行・北海道銀行など計9社による総合型支援ファンドです。北海道における小規模事業者の支援を行っています。一方の譲渡企業である「和漢自動車工業」は、北海道上川群で自動車整備業を展開する企業です。

本件M&Aは、北海道支援ファンドが自動車整備会社に対し行った事例となります。譲渡企業の親族外への事業承継にあたり、後継者による株式買取が可能になるまでの間、譲り受け企業が一時的に同社株式を保有することが目的です。

「北のふるさと事業承継支援ファンド」投資先の決定について

北海道トナミ運輸と道東自工によるM&A

2021年7月に、北海道トナミ運輸が道東自工の全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は非公開となっています。

譲り受け企業である「北海道トナミ運輸」は、札幌市に本拠を置き、トラック貨物運輸・引っ越し業などを展開する企業です。一方の譲渡企業である「道東自工」は、北海道帯広市に本社を置き、道東方面を中心に自動車整備業を展開している企業になります。

本件M&Aは、物流業者と自動車整備業者による事例です。譲り受け企業である北海道トナミ運輸は、自動車整備会社である道東自工を買収することで、物流事業における安全品質の向上を目指しています。

株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

SPKとデルオートによるM&A

2021年12月に、SPKがデルオートの所有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は守秘義務により公開されていません。

譲り受け企業である「SPK」は、自動車部品・自動車カスタマイズパーツ・各種機械組付部品の卸売・輸出入事業を展開する企業です。一方の譲渡企業である「デルオート」は、自動車トランスミッションの修理やリビルト、自動車整備などを手掛ける企業になります。

本件M&Aは、自動車整備会社同士の事例です。本取引によって、お互いが持つ自動車整備業におけるノウハウを共有し、整備事業・新規モビリティ事業に対するシナジー効果の発揮を目的としています。

SPK、自動車整備事業のデルオートの全株式取得、子会社へ

林自工と札幌自動車整備センターによるM&A

2021年3月に、林自工が札幌自動車整備センターの保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「林自工」は、札幌市清田区に拠点を置き、内燃機関の加工再生、産業自動車整備、新車・中古車販売、損害保険代理店などの事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「札幌自動車整備センター」は、札幌市西区に拠点を置き、自動車整備・新車中古車販売などを手掛ける企業になります。

本件M&Aは、自動車整備会社同士の事例で、同業者同士が合併することによるシナジー効果の創出が目的です。両社の事業領域・地域性の強みを活かしたサービスの向上を目指しています。

札幌自動車整備センター株式会社の全株式を取得し、グループ化のお知らせ

オートバックスセブンと近畿自動車工業によるM&A

2024年9月に、オートバックスセブンが近畿自動車工業の保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「オートバックスセブン」は、オートバックスグループのフランチャイズ本部としてカー用品販売・車検・自動車整備・販売・板金塗装業などを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「近畿自動車工業」は、自動車の修理・整備、自動車の販売・リース、自動車用品および付属品の販売を手掛けています。

本件M&Aは、オートバックスセブンによる「5ヵ年ローリングプラン」に基づき、次世代技術に対応する整備ネットワークの構築を進めることが目的です。その一環として、整備事業者とのネットワークを構築し顧客接点を増やすことで、収益力の向上を図っています。

近藤自動車工業株式会社の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ

イエローハットと溝ノ口自動車によるM&A

2020年10月に、イエローハットが溝ノ口自動車の保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「イエローハット」は、全国の系列店舗にて自動車用品販売・自動車整備・タイヤ交換・板金・修理・オイル交換サービスなどを手掛ける企業です。一方の譲渡企業である「溝ノ口自動車」は、神奈川県にて自動車整備・修理業・自動車部品販売などを行っている企業になります。

本件M&Aは、全国規模の大手自動車関連企業と中小自動車整備会社による事例です。譲り受け企業であるイエローハットは、車検・板金・整備技術の向上、ピットサービスの収益拡大を目指しています。

イエローハット、自動車の整備及び修理等を行う溝ノ口自動車の全株式取得、子会社化へ

カインズと内藤自動車によるM&A

2020年4月に、カインズが内藤自動車工業の全事業を譲受したM&Aの事例です。本取引は事業譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「カインズ」は、山梨県韮崎市に本拠を置き、輸入車・国産車の整備・販売・修理・板金塗装などの事業を展開している企業です。一方の譲渡企業である「内藤自動車工業」は、同じく山梨県韮崎市に本拠を置き、一般車両の整備・小売業、トラック・バスなどの特殊車両の整備を手掛けている企業になります。

本件M&Aは、自動車整備会社同士が合併することによるシナジー効果の創出が目的です。本取引により、譲渡企業の一般整備・新車販売ノウハウと譲り受け企業の輸入車販売・特殊整備ノウハウを融合させ、さらなる事業成長を図っています。

株式会社内藤自動車工業の事業譲受に関するお知らせ

グッドスピードとホクトーモータースによるM&A

2019年10月に、グッドスピードがホクトモータースの保有する全株式を取得し、同社を完全子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「グッドスピード」は、愛知県名古屋市に拠点を置き、SUVを中心とする新車・中古車の販売・買取・整備などの事業を展開する企業です。一方の譲渡企業である「ホクトモータース」は、名古屋市で自動車整備・修理・板金塗装などを手掛けている企業になります。

本件M&Aは、譲り受け企業であるグッドスピードの中期計画目標に基づき実施されたものです。中古車小売販売台数拡大に努めるなかで、増大する整備ニーズに対応するための体制強化を図ることを目的としています。

株式会社ホクトーモータースの株式取得に関するお知らせ

フジトランスポートとFLPによるM&A

2021年2月に、フジトランスポートがFLPの株式を取得し、同社を子会社化したM&Aの事例です。本取引は、株式譲渡のスキームが用いられましたが、譲渡金額は公開されていません。

譲り受け企業である「フジトランスポート」は、グループ会社によるトラック販売・システム開発・自動車整備事業・長距離輸送業を展開する企業です。一方の譲渡企業である「FLP」は、埼玉県でトラックの修理・整備・販売などの事業を手掛けています。

本件M&Aは、自動車整備会社と物流企業による事例です。譲り受け企業であるフジトランスポートは、全国的な事業拠点拡大戦略の一環として取引を施行しています。譲渡企業であるFLPもフジトランスポートの傘下となることで、後継者不在問題を解説しました。

フジトランスポート株式会社

自動車整備会社のM&Aにおける注意点

自動車整備会社のM&Aにおける注意点を解説します。自動車整備会社のM&Aにおいて、注意すべき事項は以下の通りです。

  • M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ
  • 競業避止義務に関して
  • 既存従業員の離職対策

それぞれ解説していきます。

M&Aの専門知識を持たない状態での引継ぎ

M&Aでは、買い手と売り手の情報格差(買い手のM&Aに関する知識・経験が圧倒的に豊富)があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手有利の条件(買収金額が相場よりも圧倒的に小さくなってしまう)という現象が起こりかねません。最悪の場合には、不利な条件でM&Aをすることによって、莫大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのがおすすめ。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

競業避止義務に関して

M&Aにおいて最も留意すべきポイントとなるのが、「競業避止義務」です。競業避止義務とは、一般的に「一定の者が自己(自社)または第三者の利益を損なうような取引をしてはならないこと」と定義されます。

M&Aにおける競業避止義務とは、M&Aの成約後に譲渡企業に課される義務です。譲渡した事業に対して、譲渡企業が競合するような事業を再度行い、譲受企業に不利益を与えることを避けることが目的となります。

会社法の規定により、事業譲渡を実施した会社は、競業避止義務を負うことになるので注意が必要です。ただし、買収側との交渉で競業避止義務期間を短くしたり、エリアを狭めたりすることはできます。将来的に自動車整備会社を再度手掛ける可能性があれば、買収側と交渉しましょう。

既存従業員の離職対策

買収先の既存従業員による離職対策は、M&Aを成功させるために留意すべきポイントのひとつです。既存従業員の離職を防ぎ、優秀な人材を雇用し続けることが重要になります。

経営者視点から見ればM&Aは立派な経営戦略であり、大きなシナジー効果を生むものです。しかし従業員にとっては、今後の働き方や会社との雇用関係に大きな変化をもたらす為、M&Aによって雇用条件や働き方が悪化すると離職を招きます

M&Aによる離職を防ぐためには、従業員の働き方や雇用関係の変化に対し、敏感に配慮することが重要です。既存従業員が不安となる要素はあらかじめ取り除いておくことが、M&Aによる離職を防ぐ手段として有効になります。

自動車整備会社のM&Aを成功させるためのポイント

自動車整備会社のM&Aを成功させるためのポイントについて解説します。自動車整備会社のM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格への理解
  • PMI(統合後プロセス)の確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化されます。

M&A戦略では、自社の分析(SWOT分析)や市場調査・業界トレンドなど様々な要素を調査することが必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収(売却)先選定や交渉を行なっていくことになります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰に・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が場当たり的だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

また自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。M&A専門業者に委託することで、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格への理解

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

自動車整備会社のM&Aでは、株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることが多いです。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を計算してみましょう。

また、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた成長を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMI(Post Merger Integration)の考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後プロセス」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

自動車整備会社のM&Aについてのまとめ

今回は自動車整備業界におけるM&Aについて、自動車整備業界の現状や特徴、市場動向やM&A事例を踏まえて解説しました。

自動車整備業界は事業者の数が非常に多いこともあり、M&Aが盛んに実行されている業界です。M&Aによる経営統合によって事業拡大に成功している自動車整備会社も数多く存在することから、自動車整備会社にとってM&Aは有効な経営戦略の一つと言えるでしょう。

しかしM&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある経営戦略です。当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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