「段ボール会社のM&Aを検討しているが、重要なポイントがわからない」
「段ボール業界の事業承継、成功の秘訣は何ですか?」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
段ボール業界におけるM&Aや事業承継は、適切な準備と戦略が成功の鍵です。しかし、多くの情報源は専門的過ぎるため、どの情報が信頼できるのか、またどのように進めれば良いのかが分かりづらいという声も多く聞かれます。
そこで、M&Aの専門企業である「M&A HACK」が、段ボール会社のM&A・事業承継についてわかりやすく解説します。
売却相場や具体的な事例、そして成功へと導くポイントを詳しく紹介するので、段ボール業界でのM&Aや事業承継を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 段ボールとは
- 2 段ボール業界の市場動向と市場規模
- 3 段ボール業の動向と今後
- 4 段ボール業界のM&Aの動向
- 5 段ボールのM&Aをするメリット
- 6 段ボールのM&Aの注意点
- 7 段ボールにおけるM&Aを成功させるためのポイント
- 8 段ボール業のM&Aにおける成功事例
- 8.1 レンゴー株式会社による株式会社Biomaterial in TokyoのM&A
- 8.2 レンゴー株式会社によるアールエム東セロ株式会社のM&A
- 8.3 レンゴー株式会社によるヴェルヴィン・コンテナーズ社のM&A
- 8.4 レンゴー株式会社による日藤ダンボール株式会社のM&A
- 8.5 レンゴー株式会社による丸福株式会社のM&A
- 8.6 レンゴー株式会社による永井鉄工株式会社のM&A
- 8.7 レンゴー株式会社によるタキガワ・コーポレーションのM&A
- 8.8 レンゴー株式会社による大津製函株式会社のM&A
- 8.9 ダイナパック株式会社によるTKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock CompanyのM&A
- 8.10 ダイナパック株式会社による株式会社城西および城西パック株式会社のM&A
- 8.11 株式会社トーモクによるKhang Thanh Manufacturing Joint Stock CompanyのM&A
- 8.12 株式会社トーモクによる株式会社コスモス工業の子会社化
- 8.13 株式会社トーモクによる宝樹運輸株式会社、関西宝樹運輸株式会社、関東宝樹運輸株式会社のM&A
- 8.14 王子ホールディングス株式会社によるWalki Holding Oy社のM&A
- 8.15 ラクスル株式会社による株式会社ダンボールワンのM&A
- 9 まとめ
段ボールとは
このセクションでは、段ボール業界の具体的な定義から始め、段ボール業界のシステムの基本構造や製造のプロセス概要などについて解説していきます。
段ボール業界の定義
段ボール業界は、段ボールの製造、加工、販売に関わる企業のことを指します。
段ボールは、複数の紙層を波状に成形し接着剤で貼り合わせた構造を持つ紙製品で、軽量かつ強度に優れた特性を活かし、主に包装材や輸送用資材として広く利用されています。
この業界は、原紙の製造から段ボールの製造、加工、そして最終製品の流通まで、幅広い工程を担っています。
また、環境への配慮から、リサイクルや持続可能な資源の活用にも力を入れており、社会に欠かせない基幹産業のひとつとして重要な役割を果たしています。
段ボールの基本構造と種類
段ボールは、主に「ライナー」と呼ばれる外側の平らな紙と、「中芯」と呼ばれる波状の紙で構成されています。
段ボールの種類については、以下の通りです。
- 中芯の層数による分類
種類 | 中芯の層数 | 特徴 |
シングル段ボール | 1層 | 軽量で経済的 |
ダブル段ボール | 2層 | 強度と耐久性が向上 |
トリプル段ボール | 3層 | 最も高い強度と耐久性 |
- 中芯の形状による分類
種類 | 波の大きさ | 特徴 |
Aフルート | 大きな波 | 高い緩衝性と堅牢性 |
Bフルート | 中間の波 | バランスの取れた強度と緩衝性 |
Cフルート | 小さな波 | 印刷適性と軽量性に優れる |
段ボールは、この基本構造と種類の組み合わせにより、様々な用途に適した製品が生み出されています。用途に応じて最適な段ボールを選択することが重要です。
段ボール製造のプロセス概要
段ボールの製造は、大きく分けて原紙の製造、段ボールシートの製造、加工の3つの工程に分けられます。
- 原紙製造:古紙やバージンパルプを原料とし、パルプ化、抄紙、乾燥などの工程を経て、ライナーと中芯用の原紙が作られる。
- 段ボールシートの製造:原紙を用いてライナーと中芯を貼り合わせ、高速・高精度な製造ラインで大量生産が可能な段ボールシートを作る。
- 加工工程:段ボールシートを顧客の要望に応じてカット、印刷、貼り合わせなどの処理を行い、最終製品を完成させる。
このように、段ボールの製造は複数の工程を経て行われ、各工程での品質管理と効率化が重要となります。
段ボール業界の市場動向と市場規模
H&Iグローバルリサーチ株式会社「段ボール原紙市場、シェアおよび業界分析、素材別(バージンおよびリサイクル)、エンドユーザー別(食品および飲料、パーソナルケアおよび化粧品、工業用、その他)、および地域予測、2024〜2032年」より
M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは、段ボール業界の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
段ボール業界が持つ課題
段ボール業界が抱える主な課題については、以下の通りです。
- 環境問題への対応
- 原材料価格の変動
- 人手不足
- EC市場の拡大に伴う課題
- 各企業の取り組み
段ボール業界は、環境問題、原材料価格の変動、人手不足、EC市場の拡大など、様々な課題に直面しています。
これらの課題に対応するために、リサイクル率の向上、森林資源の持続可能な利用、コストマネジメント、自動化・効率化による生産性向上、小ロット・多品種化への対応、物流の最適化などの取り組みが求められています。
各企業は、技術革新や業務改善を通じて、これらの課題解決に努めています。
市場規模の推移と予測
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2022年の段ボール需要は、巣ごもり需要の継続とコロナ禍で減少していた分野の回復基調により、概ね堅調に推移しているとのことです。
行動制限の緩和やインバウンド需要の上向きにより、薬品・洗剤・化粧品向けの需要がプラスに転じるなどの回復が見られました。
しかし、原燃料価格の高騰や円安を背景とした消費財の価格上昇により、秋頃から消費マインドの低下が顕在化し、加工食品向けを中心に段ボール需要が低調に転じています。
2023年に入っても、前年からのマイナス影響が継続しており、段ボール需要は低迷しています。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行し、外出機会が増加したことで、巣ごもり需要が一巡したことも低迷要因の1つです。
土産品向けの需要も低調な状況が続いています。インバウンド需要は急回復しているものの、モノ消費からコト消費へのシフトや中国人旅行客の回復が限定的であることから、段ボール需要には繋がっていません。
物価高の影響が当面続くと考えられることから、2023年の段ボール生産量は減少を避けられない見通しです。
世界の段ボール原紙市場
H&Iグローバルリサーチ株式会社の調査によると、世界の段ボール原紙市場は、2023年に1,328億8,000万米ドルの規模に達すると評価され、2032年までに1,650億2,000万米ドルに成長すると予測されています(CAGR 2.44%)。
段ボール容器のリサイクル率は高く、約88.8%が回収されています。COVID-19のパンデミックは、サプライチェーンの混乱による労働力不足と原材料不足により市場に悪影響を及ぼしましたが、eコマースの利用急増により段ボール梱包の需要が高まりました。
市場の主な動向として、持続可能な包装ソリューションの需要増加が挙げられます。メーカーは環境に優しく、リサイクル可能な段ボール箱を好んでおり、リサイクル素材の使用は環境への影響を軽減し、政府の環境規制に準拠するのに役立ちます。
競合分析と主要企業
段ボール業界の主要企業として、レンゴー株式会社、王子ホールディングス株式会社、特種東海製紙株式会社、ダイナパック株式会社などが挙げられます。
企業名 | 事業内容 | 特徴 |
レンゴー | 段ボール業界のトップ企業・ 総合パッケージングメーカー | 装資材全般を手掛ける |
王子ホールディングス | 製紙業界でトップ・国内外で段ボールの製造 | 幅広い事業展開 |
特種東海製紙 | 段ボール原紙やクラフト紙などの産業用紙や特殊紙の製 | ネット通販拡大による段ボール需要の高まりに期待 |
ダイナパック | 大手家電メーカーや食品・飲料メーカー向けに段ボールを卸す・印刷機器や軟包装材、紙製緩衝材などの製造 | 多岐にわたる事業展開 |
これらの企業は、それぞれの強みを活かしながら、段ボール業界での競争力を維持・強化しています。
段ボール業の動向と今後
段ボール業界における動向について解説します。これから段ボール業界のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。
環境保護への対応と持続可能性
段ボール業界は、環境保護と持続可能性に重点を置いた取り組みを進めています。リサイクル素材の活用拡大、森林認証紙の使用、CO2排出量の削減などです。
また、生分解性素材の開発や、軽量化による輸送時のエネルギー削減なども推進しています。こうした取り組みは、環境意識の高まりを背景に、顧客や社会からの要請にも応えるものです。
今後は、サーキュラーエコノミーの概念を取り入れ、段ボールのリサイクルシステムをさらに強化していくことが求められます。
同時に、バイオマス素材など新たな環境配慮型素材の開発にも注力し、持続可能な段ボール産業の実現を目指すことが重要になるでしょう。
技術革新と製造プロセスの進化
段ボール業界では、IoT、AI、ロボティクスなどの先進技術を活用した製造プロセスの革新が進んでいます。
デジタル印刷技術の進歩により、リアルタイムでの在庫管理や、需要予測に基づく生産計画の立案など、サプライチェーン全体の効率化も進められています。
今後は、これらの技術をさらに高度化し、カスタマイズ化や短納期化への対応力を強化していくことが求められます。
同時に、製造現場のDXを推進し、データに基づいた意思決定により、競争力の向上を図ることが重要になるでしょう。
消費者需要の変化と対応策
近年、消費者のニーズは多様化しており、段ボール業界もこれに対応する必要があります。EC市場の拡大により、小ロット・多品種の段ボール製品への需要が高まっています。
これに対し、デジタル印刷技術の活用や、生産工程の柔軟性向上により、個別のニーズに応えた製品提供が可能です。
また、環境意識の高まりから、プラスチック代替品としての段ボール製品への注目も集まっています。段ボール業界は、強度や耐水性を向上させた新素材の開発により、幅広い用途への対応を進めています。
今後は、消費者との直接的なコミュニケーションを強化し、ニーズを的確に把握することが重要です。そして、それらのニーズを製品開発に迅速に反映させ、付加価値の高い製品を提供し続けることが求められます。
段ボール業界のM&Aの動向
段ボール業界におけるM&Aの動向について解説します。これから段ボール業界のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。
最近のM&Aトレンド
段ボール業界では、近年M&Aが活発化しています。大手企業による業界再編が進む中、事業拡大を追求し、競争力を強化するためのM&Aが増加しています。
特に、原材料調達力の強化、生産能力の拡大、物流網の最適化などを目的とした水平型のM&Aが多く見られます。
また、段ボール業界以外の企業による参入も活発化しており、異業種とのシナジーを追求するM&Aも増えています。例えば、物流会社による段ボールメーカーの買収や、パッケージメーカーとの事業統合などです。
さらに、海外市場への進出を目的としたクロスボーダーM&Aも増加傾向にあります。アジアを中心とする新興国市場の獲得を目指し、現地企業との提携や買収を進める企業が増えています。
業界内での買収事例
段ボール業界では、事業拡大や市場競争力の強化を目的とした買収事例が見られます。レンゴー株式会社は日藤ダンボール株式会社を子会社化し、埼玉県および周辺地域での段ボール事業の強化を図っています。
また、ダイナパック株式会社の連結子会社である旭段ボール株式会社は、株式会社城西と城西パック株式会社を子会社化し、関東圏での事業基盤の強化とシェア拡大を目指すとしています。
これらの買収により、各社は製品供給の効率化、生産能力の向上、市場競争力の強化などの成果を期待しています。
M&Aの影響分析
段ボール業界でのM&Aは、業界構造や競争環境に大きな影響を与えています。水平型のM&Aにより、大手企業の市場支配力がさらに強まり、寡占化が進んでいます。
この結果、価格競争が激化し、中小企業の経営環境は厳しさを増しています。一方で、大手企業間の競争は、品質向上や技術革新を促す効果もあります。
また、異業種からの参入により、新たなビジネスモデルや価値提案が生まれる可能性もあります。例えば、物流会社との連携により、段ボールの供給から配送までのワンストップサービスが実現しつつあります。
さらに、クロスボーダーM&Aは、グローバル競争の激化を招く一方で、日本企業の海外展開を加速させる効果があります。
ただし、M&Aによるシナジーを実現するためには、経営統合や企業文化の融和など、PMIへの適切な対応が不可欠です。
段ボールのM&Aをするメリット
段ボール業界のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にして段ボール業界のM&Aを検討してください。
売却側のメリット | 買収側のメリット |
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売却側のメリット
段ボール業界における売却側のメリットは、以下の通りです。
- 資本の確保
- リスク分散
- 成長機会の獲得
- 経営の効率化
- 市場シェアの拡大
それぞれ詳しく解説していきます。
資本の確保
段ボール会社を売却することで、大規模な資金調達が可能になります。売却によって得られた資金は、新規事業への投資や財務体質の改善などに活用できます。
特に、設備投資や技術開発に多額の資金を必要とする場合、売却は有効な選択肢となるでしょう。また、株式の売却により、株主へのリターンを実現することもできます。M&Aによる資本の確保は、企業の成長戦略を推進する上で重要な役割を果たします。
リスク分散
事業環境が変化する中で、特定の事業に依存することはリスクを伴います。段ボール事業を売却し、他の事業に経営資源を振り向けることで、リスクの分散を図ることができます。
例えば、需要の変動が大きい段ボール事業から、安定的な収益が見込める事業への転換などです。また、海外市場への進出や新規事業の立ち上げなど、事業ポートフォリオの多角化によるリスク分散効果も期待できます。
成長機会の獲得
段ボール会社を売却することで、新たな成長機会を獲得できる可能性があります。売却先の企業との協業により、新たな事業領域への進出や販路の拡大などが実現できます。
例えば、売却先の海外ネットワークを活用した海外展開や、売却先の技術力を活かした新製品の開発などが考えられます。また、売却先との共同出資による新会社の設立や、売却先の経営ノウハウの活用など、様々な成長機会が生まれます。
経営の効率化
段ボール事業の売却は、段ボール事業に割いていた人材や資金を、他の事業に振り分けることができます。これにより、コア事業への集中投資が可能になり、経営の効率化が図れます。
また、売却先との間で、生産設備の共有やサプライチェーンの最適化など、シナジーを追求することで、さらなる効率化が期待できます。
市場シェアの拡大
段ボール会社を売却することで、売却先との協業により市場シェアの拡大が可能になります。特に、大手企業に売却する場合、売却先の販売ネットワークや顧客基盤を活用することで、短期間で市場シェアを拡大できる可能性があります。
また、売却先との共同マーケティングや、クロスセルの実施など、販売面でのシナジーも期待できます。M&Aによる市場シェアの拡大は、競争力の強化につながるでしょう。
買収側のメリット
段ボール業界における買収側のメリットは、以下の通りです。
- 競争力の向上
- 技術獲得とイノベーション
- 事業拡大
- コスト削減
- 新市場への進出
それぞれ詳しく解説していきます。
競争力の向上
段ボール会社を買収することで、規模の経済を実現し、競争力を高めることができます。また、買収先の顧客基盤や販売ネットワークを獲得することで、市場でのプレゼンスを高めることができるでしょう。
さらに、買収先の技術力や生産ノウハウを取り込むことで、品質面での差別化も可能になります。M&Aによる競争力の向上は、業界内でのポジショニングを強化する上で重要な意味を持ちます。
技術獲得とイノベーション
段ボール会社を買収することで、新たな技術や知見を獲得できます。買収先が保有する特許や製造ノウハウ、研究開発力などを自社に取り込むことで、技術面での競争優位性を確保できます。
また、買収先との共同開発により、新製品の開発スピードを加速させることも可能です。M&Aによる技術獲得は、イノベーションを促進し、差別化を図る上で重要な役割を果たします。
事業拡大
段ボール会社を買収することで、事業規模の拡大を実現できます。また、買収先との協業により、新たな事業領域への進出も可能です。
例えば、段ボール以外の包装材料分野への進出や、物流事業との連携などが考えられます。M&Aによる事業拡大は、成長戦略を加速させる上で有効な手段となります。
コスト削減
段ボール会社を買収することで、様々なコスト削減効果が期待できます。事業拡大により原材料の共同調達や生産設備の共有化などが可能になり、調達コストや生産コストの削減が図れます。
また、間接部門の統合による業務の効率化や、物流網の最適化による配送コストの削減なども実現できます。M&Aによるコスト削減は、収益性の向上につながるでしょう。
新市場への進出
段ボール会社を買収することで、新たな市場への進出が可能になります。買収先が持つ海外拠点や販売ネットワークを活用することで、自社単独では参入が難しい海外市場への展開が実現できます。
また、買収先が強みを持つ特定の業界や地域への参入も可能です。M&Aによる新市場への進出は、事業領域の拡大や成長機会の獲得につながります。
段ボールのM&Aの注意点
段ボール業界のM&Aを行う際の注意点を解説します。段ボール業界のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。
適切な評価額の算出
段ボール会社のM&Aにおいて、適切な企業価値の評価は非常に重要です。段ボール業界特有の事業リスクや市場動向を考慮し、将来のキャッシュフローを適切に予測する必要があります。
また、類似企業との比較や、資産価値の評価など、多面的な視点から企業価値を算出することが求められます。適切な評価を行わないと、買収価格が高騰し、M&Aの経済的メリットが損なわれる可能性があります。
文化的・組織的な整合性
段ボール会社のM&Aでは、企業文化や組織風土の違いに起因する統合の難しさが生じる可能性があります。
特に、長年にわたって独自の文化を築いてきた企業同士の統合では、社員のモチベーションの低下や、人材流出などのリスクがあります。
M&Aの成功には、両社の文化的・組織的な整合性を高め、社員の一体感を醸成することが不可欠です。
法規制と承認プロセスの理解
段ボール業界のM&Aでは、各国の競争法や独占禁止法など、法規制への対応が求められます。特に、大型のM&Aでは、市場の競争環境に与える影響が大きいため、規制当局の承認が必要になります。
承認プロセスが長期化すると、M&Aの実行が遅れ、シナジー効果の実現が遅れる可能性もあるでしょう。M&Aを円滑に進めるためには、法規制と承認プロセスを十分に理解し、適切に対応することが重要です。
段ボールにおけるM&Aを成功させるためのポイント
段ボール業界におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。段ボール業界におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
- M&A戦略の立案
- 相場価格の把握
- PMI(統合後プロセス)の確立
それぞれ詳しく解説していきます。
M&A戦略の立案
段ボール会社がM&Aを成功させるには、明確なM&A戦略の立案が不可欠です。まず、自社の強みや弱み、成長機会やリスクを入念に分析し、M&Aの目的を明確に定義する必要があります。
次に、買収先の選定基準を設定し、候補企業の評価を体系的に行うことが求められます。例えば、財務状況や市場シェア、技術力などを多角的に評価し、自社との適合性を判断します。
また、買収後のシナジー効果を具体的に想定し、実現可能性を検証することも重要です。こうしたM&A戦略に基づいて、適切なタイミングで、最適な買収先を選定することが、M&A成功の鍵を握ります。
相場価格をよく理解しておく
段ボール会社のM&Aにおいて、業界の相場価格を理解しておくことは非常に重要です。
M&Aの交渉では、適切な価格設定が求められますが、そのためには、段ボール業界のM&A事例を詳細に分析し、企業価値の評価方法や買収価格の水準を把握しておく必要があります。
例えば、類似企業のM&A事例における買収価格の決定要因を分析し、自社のケースに当てはめて考えることが有効です。
また、DCF法やEBITDA倍率など、様々な評価手法を理解し、適切に活用することも重要です。相場価格を理解することで、適切な価格での交渉が可能になり、売却側の場合は、最適なタイミングでのM&Aを判断することができます。
PMI(統合後プロセス)の確立
M&Aを成功させるには、PMIの確立が重要ですが、自社単独でPMIを進めようとすると、様々な困難に直面する可能性があります。
まず、M&Aに関する知識や経験が不足していると、買収後の組織統合や業務プロセスの標準化に時間がかかり、シナジー効果の実現が遅れてしまうかもしれません。また、企業文化の違いから生じる軋轢に適切に対処できず、社員のモチベーションが低下する恐れもあります。
さらに、PMIには多くの関係者との調整が必要ですが、自社単独では人的リソースが限られているため、円滑なコミュニケーションが難しくなる可能性もあります。
これらのデメリットを回避し、M&Aの効果を最大限に引き出すためには、M&A仲介会社の活用が有効です。M&A仲介会社は、豊富な経験と専門知識を持ち、PMIの各段階で適切なサポートを提供してくれます。
組織統合や業務プロセスの標準化については、M&A仲介会社のアドバイスを受けながら、効率的に進めることができます。また、企業文化の融和やコミュニケーションの活性化についても、M&A仲介会社のサポートを受けることで、スムーズに進めることが可能です。
M&A仲介会社を活用することで、PMIに関する様々な課題に対処しながら、M&Aの効果を最大限に引き出すことができるのです。
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段ボール業のM&Aにおける成功事例
段ボール業界におけるM&Aの成功事例を紹介します。これから段ボール業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
レンゴー株式会社による株式会社Biomaterial in TokyoのM&A
2024年4月に、レンゴー株式会社が株式会社Biomaterial in Tokyoの発行済株式の60%を取得し、子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材や紙製品の製造を主な事業とする大手企業で、サステナブルな製品開発にも力を入れています。bitsとのこの子会社化により、レンゴーは自社の持続可能な製品ラインをさらに拡充し、環境負荷の低減に寄与する技術を内部に取り込むことが可能となります。
株式会社Biomaterial in Tokyoは、福岡県大野城市を拠点とするバイオベンチャー企業で、微生物や酵素を用いたバイオマスの活用技術に特化しています。この技術を利用して糖類やバイオエタノール、持続可能な航空燃料を生産することで、エネルギー分野における持続可能性の追求を行っています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社がbitsを子会社化することで、技術的なシナジーを生み出し、脱炭素社会への移行を加速させることです。また、bitsの研究開発能力とレンゴーの製造および市場へのアクセスを組み合わせることで、新たなビジネスチャンスを創出し、経営基盤の安定化を図ることを目指しています。
参考:株式会社Biomaterial in Tokyoの子会社化について
レンゴー株式会社によるアールエム東セロ株式会社のM&A
2024年4月に、レンゴー株式会社がアールエム東セロ株式会社の発行済株式の51.0%を取得し、子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材や紙製品の製造を主要な事業としており、包装ソリューションの提供に力を入れています。子会社化により、同社は包装事業の拡張と、製品ラインアップの多様化を図ることができるようになりました。
アールエム東セロ株式会社は、ポリオレフィン系フィルムや発泡シートを主要製品とする製造企業で、その分野でのリーディングカンパニーです。東京都千代田区に本社を置き、国内に複数の工場を運営しており、製品の開発と供給体制の強化に注力しています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社がアールエム東セロ株式会社を子会社化することで、軟包装事業の市場での地位を強化し、技術力の向上及び製品開発能力の拡充を図ることです。また、新たな統合企業としてのシナジーを生かし、国内外の市場において競争力のあるポジションを築くことを目指しています。
レンゴー株式会社によるヴェルヴィン・コンテナーズ社のM&A
2023年11月に、レンゴー株式会社がインドの段ボールメーカーであるヴェルヴィン・コンテナーズ社の株式の30%を取得した事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材と紙製品の製造販売を行う日本の大手企業で、国際市場でのプレゼンス拡大を目指しています。この株式取得により、インド市場での事業基盤を確立し、地域市場への更なるアクセスを図る戦略の一環となります。
ヴェルヴィン・コンテナーズ社(現在のヴェルヴィン・レンゴー・コンテナーズ社)は、ムンバイに本社を置き、西部インドでの段ボール、紙袋、紙コップの製造と販売を主な事業内容としています。また、新たにタミル・ナードゥ州のチェンナイ近郊に段ボール工場を建設中であり、この新工場は2024年3月の部分操業開始を目指しています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社がヴェルヴィン・レンゴー・コンテナーズ社の株式を取得することで、インドの急成長している市場における生産拠点を確立し、地域内外でのビジネスシナジーを創出することです。人口増加と製造業振興による市場拡大が見込まれる中、同社の製品ラインと販売ネットワークを通じて市場シェアの拡大を図り、グローバル戦略の強化を進めることを目指しています。
レンゴー株式会社による日藤ダンボール株式会社のM&A
2023年2月に、レンゴー株式会社が日藤ダンボール株式会社の発行済株式の70%を取得し、子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材や紙製品の製造を行う大手企業で、国内外での事業展開を積極的に進めています。この子会社化により、レンゴー株式会社は埼玉県および周辺地域における段ボール事業をさらに強化することが可能となります。
日藤ダンボール株式会社は、1966年設立の段ボールメーカーで、埼玉県桶川市を拠点に地域社会と密接な関係を築きながら事業を展開しています。段ボールシートやケースの製造販売を主な業務とし、地元市場で確固たる顧客基盤を持っています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社が日藤ダンボール株式会社を子会社化することにより、製品供給の効率化と生産能力の向上を図ることです。また、グループ会社間の連携を強化し、地域市場での競争力を高めることにも寄与すると期待されています。
レンゴー株式会社による丸福株式会社のM&A
2022年9月に、レンゴー株式会社が丸福株式会社の発行済株式の100%を取得し、子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、梱包材料および関連製品の製造販売を手掛ける大手企業で、業界内での事業拡張と製品ラインの多様化を図っています。この完全子会社化により、特に紙器および軟包装分野での製品提供力と市場の拡大が期待されます。
丸福株式会社は、石川県白山市に本社を置き、観光土産用の菓子や食品向けの包装材料を専門に製造販売しています。全国の顧客に対して、美粧紙器から個包装に至るまでの包装一式の企画・提案が強みで、業界内での評価も高いです。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社が丸福株式会社の全株式を取得することで、包装事業における製品の多様性を高め、紙器および軟包装事業の市場シェアを拡大することです。また、丸福株式会社の強みであるデザイン性と機能性を兼ね備えた包装ソリューションを活用し、グループ全体の事業ポートフォリオの充実を図ることを目指しています。
レンゴー株式会社による永井鉄工株式会社のM&A
2022年3月に、レンゴー株式会社が永井鉄工株式会社の発行済株式の100%を取得し、子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材や紙製品の製造を主要事業とする企業であり、技術的な革新を追求しています。この子会社化により、レンゴーは製紙工場向けの機械設計および製造分野での能力を内部化し、技術的な統合を図ることができるようになりました。
永井鉄工株式会社は、兵庫県尼崎市に拠点を置く機械メーカーで、製紙工場で使用されるワインダーやロールなどの設計・製作を専門としています。高性能かつ高品質な機械設備の提供に定評があり、機械設計および制御システム開発において特に強みを持っています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社が永井鉄工株式会社の技術を取り込むことで、製紙業界向けの高度な技術ソリューションを自社内で持続的に開発し提供することです。これにより、製紙機械の効率化と品質向上を図り、グループ全体の製造能力と競争力の強化を目指しています。
レンゴー株式会社によるタキガワ・コーポレーションのM&A
2022年3月に、レンゴー株式会社が株式会社タキガワ・コーポレーション・ジャパン、株式会社コンバーティングテクノロジィーズ、およびタキガワ・コーポレーション・シンガポールの発行済株式を直接および間接的に所有し、合計で100%取得して子会社化した事例です。
レンゴー株式会社は、包装材料や紙製品の製造と販売を主要業務とする企業で、今回の子会社化により、その軟包装事業の製造・販売拠点および製品ラインアップの拡充を図っています。さらに、グローバルな市場でのプレゼンス拡大も目指しています。
タキガワ・コーポレーションは、フィルム製造から印刷、ラミネート、製袋までの一貫生産を行う軟包装メーカーで、特にチャイルド・レジスタンス機能を持つチャック付き袋や角底袋に強みを持っています。このグループは、日本、ベトナム、アメリカ、シンガポールに生産拠点と販売拠点を持ち、広範な国際顧客基盤にサービスを提供しています。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社がタキガワ・コーポレーションの経営資源を活用し、製品の多様化と市場拡大を図ることです。国内外の包装ニーズに対応するための製造・販売基盤を強化し、軟包装事業のグローバルな競争力を高めることが期待されています。
レンゴー株式会社による大津製函株式会社のM&A
2022年3月に、レンゴー株式会社が大津製函株式会社の発行済株式を全て取得し、完全子会社とした事例です。
レンゴー株式会社は、包装資材および紙製品関連の製造・販売を手がける大手企業で、長年にわたり段ボール事業を核としています。
大津製函株式会社は、滋賀県大津市に本社を置き、京滋地区を主な商圏として段ボールケースの製造・販売を行っています。レンゴー株式会社とは1964年から資本参加の形で連携しており、段ボールシートの供給や段ボールケースの生産委託など、様々なビジネス面で協力してきました。
このM&Aの主な目的は、レンゴー株式会社が大津製函株式会社を完全子会社化することにより、同社との業務連携を一層強化し、京滋地区における段ボール事業の拡充と地域市場でのプレゼンス強化を図ることです。これにより、製品の供給効率化、品質の向上、そして市場ニーズへの迅速な対応が可能となり、経営資源の最適化を目指しています。
ダイナパック株式会社によるTKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock CompanyのM&A
2023年12月に、ダイナパック株式会社がベトナムのTKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock Companyの株式の90%を取得し、子会社化した事例です。
ダイナパック株式会社は、包装材料の製造と販売を手掛ける企業で、国内外でのビジネス拡大を目指しています。
TKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock Companyは、ベトナムのビンズオン省タンウエン市に本拠を置き、軟包装材の製造販売を行っています。
このM&Aの主な目的は、ダイナパック株式会社がベトナム市場での事業基盤を確立し、地域内での成長機会を最大化することです。また、軟包装事業の拡大により、包装材料市場での競争力を高め、持続可能な成長を目指しています。
参考:子会社の異動を伴う株式取得(子会社化)に関するお知らせ
ダイナパック株式会社による株式会社城西および城西パック株式会社のM&A
2021年12月に、ダイナパック株式会社の連結子会社である旭段ボール株式会社が、株式会社城西の全株式及び城西パック株式会社の発行済株式20,000株のうち7,000株を取得し、子会社化した事例です。
ダイナパック株式会社は、包装資材および関連製品の製造販売を行う企業で、中期経営方針として関東圏での事業拡大と市場存在感の強化を目指しています。城西および城西パックの取得は、これらの地域での事業基盤を強化するための戦略的決定でした。
株式会社城西は、1953年設立で不動産賃貸を主業とし、東京都西東京市に本社を置いています。城西パック株式会社は、1970年設立で段ボールおよび包装資材の製造販売を行っており、城西の完全子会社です。
このM&Aの主な目的は、ダイナパックグループの製造および販売能力を拡充し、地域市場でのシェア拡大とサービスの向上を図ることです。また、両社の経営資源を統合することで、企業価値の向上と効率的な運営が可能となると判断されました。
参考:子会社の異動を伴う株式取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社トーモクによるKhang Thanh Manufacturing Joint Stock CompanyのM&A
2023年5月に、株式会社トーモクがKhang Thanh Manufacturing Joint Stock Company(以下、「カンタン社」)の全株式を取得し、子会社化した事例です。
株式会社トーモクは、段ボールおよび紙器製造を主業とする企業で、既に米国カリフォルニア州およびベトナムのホーチミンにて事業拡張を進めており、成果を上げています。この度のカンタン社の子会社化は、東南アジア市場、特にベトナムにおける事業拡大を目的としています。
カンタン社は、ベトナムのビエンホア市アマタ工業団地に位置し、2005年に設立された紙器製造販売を主業とする企業です。当社の生産設備や技術を活用して紙器事業の提案力および供給力を向上させ、ベトナム市場でのプレゼンスを強化することを目指しています。
このM&Aの主な目的は、カンタン社の生産ラインをトーモクの既存ビジネスに統合し、紙器製品の製造および提供能力を拡充することです。これにより、ベトナム事業の基盤を強化し、地域内での競争力を増すと共に、グループ全体の企業価値を向上させることを狙っています。
参考:Khang Thanh Manufacturing Joint Stock Company の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社トーモクによる株式会社コスモス工業の子会社化
2023年4月に、株式会社トーモクが株式会社コスモス工業の全株式を取得し、子会社化した事例です。
株式会社トーモクは、段ボールや紙器の製造販売を行う企業で、事業拡大と地域市場でのシェア強化を目指しています。
株式会社コスモス工業は、1957年に設立された長野県茅野市に本社を置く企業で、段ボール製造・加工及び梱包請負業務を主な事業内容としています。
このM&Aの主な目的は、株式会社トーモクが株式会社コスモス工業を子会社化することで、製品供給の拡充と市場のニーズに迅速に対応する能力を強化し、事業規模の拡大を図ることです。これにより、長野県および関連地域での事業基盤の強化と市場競争力の向上が期待されます。
参考:株式会社コスモス工業の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社トーモクによる宝樹運輸株式会社、関西宝樹運輸株式会社、関東宝樹運輸株式会社のM&A
2021年4月に、株式会社トーモクの連結子会社である株式会社トーウンが、宝樹運輸株式会社、関西宝樹運輸株式会社、関東宝樹運輸株式会社の全株式を取得し、子会社化した事例です。
株式会社トーモクは、紙製品および段ボール製品の製造を主業務とし、多角的な事業展開を行っています。この子会社化は、運輸倉庫事業の拡大と西日本エリアでの業績安定化を目指す戦略の一環です。
各対象会社は、和歌山県、大阪府、神奈川県、群馬県を中心に一般貨物自動車運送事業を展開しており、特に宅配輸送に強みを持っています。これらの地域での物流ニーズの増加に対応し、乗務員不足と車両不足の解消を図るために、早急な事業基盤の整備が求められています。
このM&Aの主な目的は、株式会社トーモクが西日本エリアにおける運輸倉庫事業の基盤を強化し、事業の更なる拡大と業績の安定化を図ることです。また、地域内での事業領域を拡大し、事業の多角化を進めることが目指されています。
王子ホールディングス株式会社によるWalki Holding Oy社のM&A
2024年4月に、王子ホールディングス株式会社がフィンランドのWalki Holding Oy社の買収を完了し、完全子会社化した事例です。
王子ホールディングス株式会社は、製紙およびパッケージング材料の製造を主業とする日本の大手企業です。この買収は、同社の中期経営計画における戦略投資の一環として行われ、包装資材のグローバルサプライチェーンを強化することを目的としています。
Walki社は、1930年に設立され、サステナブル包装資材に特化した加工会社です。主力製品は、リサイクル可能でバリア性を持つ紙ベースの包装資材で、特に欧州市場において高い収益性を誇っています。同社はフィンランドに本社を置き、8カ国に17の製造拠点を持つグローバル企業です。
このM&Aの主な目的は、王子ホールディングス株式会社が包装資材の原材料から加工までを一気通貫で提供する事業構造を確立し、EUの厳格な環境規制に適合した製品の提供を強化することです。また、Walki社の技術と製造ノウハウを活用して、東南アジア、インド、オセアニア市場での環境配慮型包装資材ソリューションの提供を拡大し、企業価値の向上を図ることとしています。
参考:(欧州)包装資材加工会社Walki社の買収完了のお知らせ
ラクスル株式会社による株式会社ダンボールワンのM&A
2022年2月に、ラクスル株式会社が株式会社ダンボールワンを完全子会社化した事例です。
ラクスル株式会社は、多様な印刷関連サービスを提供する企業で、事業の成長戦略としてオフィスおよび産業資材への印刷領域の拡張を推進しています。
ダンボールワンは、ダンボールおよび梱包材専門の通販ECサイトを運営し、4年連続で国内売上シェアNo.1を獲得しています。同社は、業界最大規模のダンボール製造会社/梱包材メーカーとのネットワークを活用し、低コストかつ小ロットでの商品提供を実現しています。
このM&Aの主な目的は、ラクスルとダンボールワンの両社間でのシナジー効果を最大化し、組織の拡張、プラットフォーム力の活用、開発投資を通じてさらなる成長を目指すことです。これにより、ラクスルは印刷と梱包資材の事業領域での提案力と市場競争力をさらに強化し、企業価値の最大化を図るとしています。
参考:ラクスルによる「株式会社ダンボールワン」の完全子会社化について
まとめ
段ボール業界では、M&Aが活発化しており、今後も業界再編が進むと予想されます。M&Aは、規模の拡大や競争力の強化、新市場への進出など、様々なメリットをもたらします。
一方で、企業価値の適切な評価や、組織文化の融和など、注意すべき点も多くあります。
段ボール会社がM&Aを成功させるためには、明確な戦略の立案と、PMIの確立が不可欠です。また、業界の相場価格を理解し、適切な価格での交渉を行うことも重要です。
M&Aは、段ボール業界の企業にとって、成長戦略の有効な選択肢のひとつです。今後も、M&Aを通じた業界の再編が進み、競争環境が大きく変化していくことが予想されます。
段ボール会社には、M&Aを戦略的に活用し、事業の成長と企業価値の向上を図ることが期待されます。
M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段である一方、万全を期して臨む必要のある戦略です。ぜひ今回の記事を参考に段ボール業界におけるM&Aを検討してみてください。