「金属製品・材料卸売業界のM&Aの売却相場は?」
「金属製品・材料卸売業界のM&Aについて知りたい」
この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
実際に現状「金属製品・材料卸売業界 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。
そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、金属製品・材料卸売業界のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。
金属製品・材料卸売業界におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、金属製品・材料卸売業界のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 金属製品・材料卸売業界とは
- 2 金属製品・材料卸売業界の市場動向と市場規模
- 3 金属製品・材料卸売業の動向と今後
- 4 金属製品・材料卸売業界のM&Aの動向
- 5 金属製品・材料卸売業のM&Aをするメリット
- 6 金属製品・材料卸売業のM&Aの注意点
- 7 金属製品・材料卸売業におけるM&Aを成功させるためのポイント
- 8 金属製品・材料卸売業のM&Aにおける成功事例
- 8.1 日創プロニティ株式会社による株式会社マルトクとのM&A
- 8.2 ユアサ商事株式会社による中川金属株式会社とのM&A
- 8.3 株式会社イチネンホールディングスによる前田機工株式会社とのM&A
- 8.4 コンドーテック株式会社による三和電材株式会社とのM&A
- 8.5 サイクラーズ株式会社による三立処理工業株式会社とのM&A
- 8.6 モリト株式会社による株式会社マニューバーラインとのM&A
- 8.7 西華産業株式会社による株式会社竹本の株式譲渡
- 8.8 コンドーテック株式会社による栗山アルミ株式会社とのM&A
- 8.9 中央自動車工業株式会社による株式会社ABTとのM&A
- 8.10 和田電機株式会社による横山金属株式会社及び株式会社アイアンゲートとの資本業務提携
- 8.11 株式会社ナイガイによる住金物産株式会社との資本業務提携
- 8.12 神栄株式会社による応用地質株式会社との資本業務提携
- 8.13 株式会社ゼネラル・オイスターによる阪和興業株式会社との資本業務提携
- 8.14 小野建株式会社による森田鋼材株式会社とのM&A
- 8.15 株式会社UEXによる住商特殊鋼株式会社の株式取得
- 9 まとめ
金属製品・材料卸売業界とは
金属製品・材料卸売業界は、金属製品や金属材料を製造業者から仕入れ、加工業者や最終消費者に販売する業界です。この業界は、金属製品の流通において重要な役割を果たしています。
金属製品・材料卸売業界の定義と特徴
金属製品・材料卸売業界は、以下のような特徴を持っています。
- 金属製品や金属材料を大量に仕入れ、小ロットで販売する
- 在庫管理や物流管理に優れている
- 顧客のニーズに合わせた加工や調達を行う
- 市況の変動に対応し、価格交渉力を持つ
経済産業省の調査によると、2022年の建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の売上高は約100.3兆円、となっています。この業界は、日本の製造業を支える重要な役割を担っているのです。
金属製品・材料卸売業界の歴史と発展
金属製品・材料卸売業界の歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。当時は、鍛冶屋や金物屋が金属製品の製造と販売を行っていました。明治時代になると、産業革命の影響で金属製品の需要が高まり、専門の卸売業者が登場しました。
戦後は、日本の高度経済成長とともに、金属製品・材料卸売業界も大きく発展しました。自動車産業や電機産業の拡大に伴い、金属製品や金属材料の需要が増加したのです。
近年では、グローバル化の進展により、海外との取引が増加しています。また、ITの活用により、在庫管理や受発注業務の効率化が進んでいます。
金属製品・材料卸売業界の主要な製品とサービス
金属製品・材料卸売業界では、以下のような製品やサービスを取り扱っています。
- 鉄鋼製品(鋼材、鋼板、条鋼、鋼管など)
- 非鉄金属製品(アルミニウム、銅、真鍮など)
- 金属加工品(ボルト、ナット、ネジ、ワイヤーなど)
- 金属材料(板材、棒材、線材など)
- 加工サービス(切断、曲げ、穴あけ、溶接など)
これらの製品やサービスは、自動車、電機、建設、機械などの幅広い業界で使用されています。
金属製品・材料卸売業界は、製造業と最終消費者をつなぐ重要な役割を担っています。同業界は、長年にわたり日本の産業を支えてきました。今後も、技術革新や環境変化に対応しながら、安定的な供給を続けていくことが期待されています。
金属製品・材料卸売業界の市場動向と市場規模
出典:経済産業省「令和2年商業統計調査」より
金属製品・材料卸売業界は、日本の製造業を支える重要な役割を担っています。この業界の市場動向と市場規模を理解することは、業界の将来を予測する上で欠かせません。
金属製品・材料卸売業界の市場規模と成長率
経済産業省の調査によると、2020年の建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の売上高は約94兆5,402億円で、鉄鋼製品業の売上高は約25兆円となっています。この数字は、日本の建築材料、鉱物・金属材料等卸売業全体の売上高の約12%を占めています。
2008年に発生したリーマンショックによる景気悪化の影響で、2009年の販売額は急激に落ち込んだが、2011年の東日本大震災による復興需要や2021年に開催した東京オリンピック・パラリンピック関連により需要増加を受けて2021年はリーマンショック前の水準近くまで回復しました。
金属製品・材料卸売業界の競合状況
金属製品・材料卸売業界は、大手企業から中小企業まで多数の企業が競合しています。大手企業は、規模の経済を活かして価格競争力を持ち、全国的な販売網を持っています。一方、中小企業は、地域密着型の営業や特定の製品に特化することで、競争力を維持しています。
近年では、業界内の合併・買収(M&A)が活発化しており、大手企業による中小企業の買収が増加しています。この動きは、今後も続くと予想されます。
金属製品・材料卸売業界が持つ課題
金属製品・材料卸売業界は、いくつかの課題を抱えています。
1. 人手不足
– 少子高齢化による労働力人口の減少が、業界の人手不足に拍車をかけています。
2. 価格競争の激化
– 競合他社との価格競争が激化しており、利益率の低下が懸念されています。
3. 在庫管理の効率化
– 多品種少量生産の増加により、在庫管理の複雑化が進んでいます。
4. 環境規制への対応
– 環境規制の強化により、対応コストの増加が予想されています。
これらの課題に対応するために、業界では人材育成、IT化、環境対応などの取り組みが進められています。
金属製品・材料卸売業界の技術革新の影響
金属製品・材料卸売業界では、技術革新が業界に大きな影響を与えています。
例えば、3Dプリンターの普及により、少量多品種の金属部品の製造が可能になりました。これにより、卸売業者は、在庫リスクを減らしつつ、顧客のニーズに柔軟に対応できるようになりました。
また、AIやIoTの活用により、在庫管理や受発注業務の自動化が進んでいます。これにより、業務の効率化と人件費の削減が期待されています。
金属製品・材料卸売業界の国際的な動向
金属製品・材料卸売業界は、グローバル化の影響を受けています。
近年、中国をはじめとするアジア諸国の経済成長により、金属製品の需要が拡大しています。これに伴い、日本の卸売業者も海外展開を進めています。
一方で、海外メーカーの日本市場への参入も増加しています。これにより、国内市場での競争が激化しています。
また、貿易摩擦や為替変動など、国際的な経済情勢の変化が業界に影響を与えています。
金属製品・材料卸売業界は、日本の製造業を支える重要な役割を担っています。市場規模は安定的に推移しており、今後も緩やかな成長が期待されます。一方で、人手不足や価格競争など、業界は様々な課題を抱えています。技術革新や国際化の進展により、業界は大きな変革期を迎えています。これらの変化に適応し、競争力を維持・強化することが、業界の発展に欠かせません。
金属製品・材料卸売業の動向と今後
金属製品・材料卸売業は、日本の製造業を支える重要な役割を担っています。この業界の需要動向、供給動向、そして今後の展望について見ていきましょう。
金属製品・材料卸売業の需要動向
金属製品・材料卸売業の需要は、主に自動車産業、建設業、機械産業などの下流産業の動向に大きく影響を受けます。
実例として、大手自動車メーカーのD社は、電気自動車(EV)の生産を拡大しています。これに伴い、モーターや電池に使用される非鉄金属の需要が増加しています。金属製品・材料卸売業者は、この需要増加に対応するため、供給体制の強化を進めています。
金属製品・材料卸売業の供給動向
金属製品・材料卸売業の供給は、上流の鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカーの生産動向に影響を受けます。
日本の鉄鋼メーカーは、高品質な鉄鋼製品を安定的に供給することで知られています。しかし、近年は中国をはじめとする海外メーカーとの競争が激化しており、コスト削減と技術革新が求められています。
非鉄金属メーカーも、需要の変化に対応するため、生産体制の見直しを進めています。例えば、銅や アルミニウムなどの非鉄金属は、EVの普及により需要が拡大すると予想されています。
金属製品・材料卸売業の今後の展望
金属製品・材料卸売業は、今後も日本の製造業を支える重要な役割を担い続けると予想されます。ただし、業界を取り巻く環境は大きく変化しています。
1. 脱炭素化の進展
– 脱炭素化の流れが加速する中、金属製品・材料卸売業者は、環境負荷の低い製品の取り扱いを増やすことが求められます。
2. デジタル化の加速
– AIやIoTの活用により、業務の効率化と高度化が進むと予想されます。卸売業者は、デジタル技術を活用し、付加価値の高いサービスを提供することが重要になります。
3. グローバル化の進展
– 海外メーカーとの競争が激化する中、卸売業者は、グローバルな視点で事業を展開することが求められます。現地のニーズを的確に捉え、最適な供給体制を構築することが重要です。
金属製品・材料卸売業は、日本の製造業を支える重要な役割を担っています。需要動向は下流産業の影響を受け、供給動向は上流メーカーの生産動向に左右されます。今後は、脱炭素化、デジタル化、グローバル化などの環境変化に対応しながら、付加価値の高いサービスを提供することが求められます。卸売業者は、中長期的な視点で事業戦略を立案し、競争力の強化を図ることが重要です。
金属製品・材料卸売業界のM&Aの動向
金属製品・材料卸売業界では、近年M&Aが活発化しています。業界内の競争激化や技術革新への対応、事業承継問題の解決などを目的として、多くの企業がM&Aを戦略的に活用しています。
金属製品・材料卸売業界のM&Aの目的と背景
金属製品・材料卸売業界でM&Aが行われる主な目的は、以下の通りです。
- 事業規模の拡大と市場シェアの獲得
- 新規事業への進出と事業多角化
- 技術力の獲得と商品ラインナップの拡充
- 事業承継問題の解決
特に、事業承継問題は業界内の多くの企業が直面する課題です。後継者不在により事業継続が困難になるケースも少なくありません。
M&Aを活用することで、後継者不在の企業は事業を引き継ぐ先を見つけることができ、譲受企業は新たな事業基盤の獲得や市場シェアの拡大が可能になります。
金属製品・材料卸売業界のM&Aの特徴と傾向
金属製品・材料卸売業界のM&Aには、以下のような特徴があります。
- 同業者間のM&Aが多い
- 事業承継を目的としたM&Aが増加傾向
- 大手企業による中小企業のM&Aが活発化
同業者間のM&Aが多いのは、シナジー効果を発揮しやすいためです。類似した事業基盤を持つ企業同士が統合することで、スケールメリットを活かした効率化や競争力の強化が期待できます。
また、事業承継問題を背景に、後継者不在の中小企業が大手企業にM&Aされるケースが増えています。大手企業は、中小企業のM&Aを通じて、新たな顧客基盤や優れた技術力を獲得することができます。
業界内でのM&Aの戦略的意義
金属製品・材料卸売業界では、M&Aを戦略的に活用することで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 規模の経済の追求による競争力の強化
- 事業ポートフォリオの最適化による収益性の向上
- 優れた技術力や顧客基盤の獲得による事業基盤の強化
- 事業承継問題の解決による事業の存続と発展
特に、事業承継問題の解決は、業界の持続的な発展にとって重要な意義を持ちます。M&Aを通じて、技術やノウハウを次世代に引き継ぐことができれば、業界全体の競争力の維持・向上につながります。
また、M&Aを通じて事業規模を拡大することで、仕入れや物流の効率化、販売力の強化など、規模の経済を追求することができます。これにより、業界内での競争優位性を確立し、収益性を向上させることが可能になります。
金属製品・材料卸売業界では、今後もM&Aが重要な経営戦略の一つとして活用されていくでしょう。業界内の競争環境がますます厳しくなる中で、M&Aを効果的に活用することが、企業の成長と発展につながると考えられます。
ただし、M&Aはリスクも伴う経営判断です。企業文化の違いや統合後のマネジメントの難しさなど、克服すべき課題も少なくありません。M&Aを成功させるためには、綿密な事前準備と的確な統合プロセスの実行が不可欠です。
金属製品・材料卸売業界の企業がM&Aを検討する際は、自社の経営課題や目的を明確にした上で、専門家のアドバイスを踏まえながら、慎重に意思決定を行うことが重要です。
金属製品・材料卸売業のM&Aをするメリット
金属製品・材料卸売業界でM&Aを行うことには、売却側と買収側の双方にメリットがあります。ここでは、それぞれの立場から見たM&Aのメリットについて詳しく解説します。
売却側のメリット | 買収側のメリット |
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売却側のメリット
金属製品・材料卸売業界における売却側のメリットは、以下の通りです。
- 事業の継続と発展
- 財務状況の改善
- 経営資源の有効活用
- リスクの分散と軽減
- 従業員の雇用の確保
それぞれ詳しく解説していきます。
事業の継続と発展
M&Aによって、売却企業は事業を継続・発展させることができます。特に、後継者不在の企業にとって、M&Aは事業を引き継ぐ有効な手段です。M&Aを通じて、技術やノウハウを次世代に引き継ぐことで、事業の存続と発展が可能になります。
財務状況の改善
M&Aによって、売却企業は財務状況を改善することができます。買収企業から得られる資金を活用して、借入金の返済や設備投資を行うことで、財務体質の強化が図れます。
M&Aによる資金調達は、金融機関からの借入れに比べて、柔軟性が高いというメリットがあります。
経営資源の有効活用
M&Aによって、売却企業は経営資源を有効活用することができます。自社の強みである技術力や顧客基盤を、買収企業の経営資源と組み合わせることで、新たな事業機会の創出や競争力の強化が期待できます。
例えば、特殊な金属加工技術を持つE社は、大手メーカーF社にM&Aされました。F社の販売網を活用することで、E社の技術を活かした新製品の開発と販売が可能になりました。
リスクの分散と軽減
M&Aによって、売却企業は事業リスクを分散・軽減することができます。特定の事業や顧客に依存していた企業が、買収企業の事業ポートフォリオに組み込まれることで、リスクの分散が図れます。
また、事業環境の変化に対応するための投資負担を、買収企業と共有することができます。これにより、売却企業単独では対応が難しかったリスクへの対処が可能になります。
従業員の雇用の確保
M&Aによって、売却企業は従業員の雇用を確保することができます。事業の存続が困難な状況でも、買収企業の傘下に入ることで、従業員の雇用が維持されます。
事業承継が困難な企業が増える中で、M&Aは従業員の雇用を守る有効な手段と言えます。
買収側のメリット
金属製品・材料卸売業界における買収側のメリットは、以下の通りです。
- 事業拡大と市場シェアの拡大
- 技術力の獲得と継承
- シナジー効果の創出
- 競争力の強化
- 経営資源の獲得
それぞれ詳しく解説していきます。
事業拡大と市場シェアの拡大
M&Aによって、買収企業は事業規模を拡大し、市場シェアを拡大することができます。新たな顧客基盤や販売網を獲得することで、収益機会の拡大が期待できます。
実例として、大手鉄鋼商社G社は、複数の中小金属加工業者をM&Aしています。これにより、G社は多様な加工技術を獲得し、顧客のニーズに幅広く対応できる体制を構築しました。
技術力の獲得と継承
M&Aによって、買収企業は優れた技術力を獲得し、自社の事業基盤を強化することができます。特に、中小企業が持つ独自の技術力は、大企業にとって魅力的な経営資源です。
また、M&Aを通じて、技術やノウハウを次世代に継承することができます。優れた技術力を持つ企業を自社グループに取り込むことで、技術の散逸を防ぎ、継続的な競争優位性を確保することが可能になります。
シナジー効果の創出
M&Aによって、買収企業は売却企業とのシナジー効果を創出することができます。両社の経営資源を組み合わせることで、コストの削減や生産性の向上、新製品の開発など、様々なシナジーが期待できます。
例えば、金属加工業者H社は、同業他社I社をM&Aしました。両社の生産設備を統合することで、生産効率の向上とコスト削減を実現しています。
競争力の強化
M&Aによって、買収企業は競争力を強化することができます。売却企業の顧客基盤や技術力を獲得することで、市場での競争優位性を高めることが可能になります。
また、M&Aを通じて事業規模を拡大することで、仕入れや物流の効率化、販売力の強化など、規模の経済を追求することができます。これにより、業界内での競争力を高め、収益性の向上が期待できます。
経営資源の獲得
M&Aによって、買収企業は売却企業の経営資源を獲得することができます。人材、設備、知的財産など、自社に不足する経営資源を外部から調達することで、事業基盤の強化が図れます。
特に、優秀な人材の獲得は、買収企業にとって大きなメリットです。売却企業の従業員を受け入れることで、即戦力の確保や技術継承が可能になります。
以上のように、金属製品・材料卸売業界でM&Aを行うことには、売却側と買収側の双方にメリットがあります。売却側は事業の存続と発展、財務状況の改善、リスクの分散などのメリットを享受できます。一方、買収側は事業規模の拡大、技術力の獲得、シナジー効果の創出などのメリットを得ることができます。
M&Aは、業界内の企業が直面する様々な経営課題を解決する有効な手段です。特に、事業承継問題や技術継承の課題を抱える企業にとって、M&Aは魅力的な選択肢と言えます。今後も、金属製品・材料卸売業界では、M&Aを戦略的に活用する企業が増えていくことが予想されます。
金属製品・材料卸売業のM&Aの注意点
金属製品・材料卸売業界でM&Aを行う際には、いくつかの注意点があります。ここでは、企業価値の適正な評価、デューデリジェンスの重要性、PMI(統合後プロセス)の計画と実行について解説します。
企業価値の適正な評価
M&Aを成功させるためには、対象企業の企業価値を適正に評価することが重要です。企業価値の評価には、以下の3つの方法があります。
- インカム・アプローチ(収益還元法)
- マーケット・アプローチ(類似企業比較法)
- アセット(コスト)・アプローチ(純資産価値法)
これらの方法を組み合わせて、対象企業の企業価値を多面的に評価することが求められます。
特に、金属製品・材料卸売業界では、在庫管理や物流効率が重要な要素となります。対象企業の在庫管理体制や物流ネットワークを詳細に分析し、企業価値に反映させる必要があります。
また、対象企業の顧客基盤や販売網の強みも、企業価値に大きな影響を与えます。これらの無形資産を適切に評価することが、M&Aの成否を左右すると言えるでしょう。
実例として、大手商社A社が金属加工業者B社をM&Aした際、B社の在庫管理システムと顧客基盤を高く評価したことで、適正な企業価値を算出することができました。
デューデリジェンスの重要性
M&Aにおいて、デューデリジェンス(買収監査)は欠かせないプロセスです。デューデリジェンスでは、対象企業の財務状況、法務リスク、事業リスクなどを詳細に調査します。
金属製品・材料卸売業界では、以下の点に注意してデューデリジェンスを行う必要があります。
- 在庫の適正水準と評価方法
- 主要取引先との契約関係
- 環境規制への対応状況
- 知的財産の保護状況
デューデリジェンスを通じて、対象企業の潜在的なリスクを洗い出し、M&Aの意思決定に反映させることが重要です。
例えば、ある金属卸売業者のM&Aでは、デューデリジェンスにより、対象企業が環境規制に適切に対応していないことが判明しました。この結果を踏まえ、買収企業は対象企業の環境対策に追加投資することを決定し、M&A後のリスクを軽減することができました。
PMI(統合後プロセス)の計画と実行
M&Aの成否は、PMI(Post Merger Integration:統合後プロセス)の巧拙に大きく左右されます。PMIでは、買収企業と対象企業の経営方針、業務プロセス、企業文化などを融合させ、シナジー効果を最大化することが目的です。
金属製品・材料卸売業界では、以下の点に留意してPMIを計画・実行する必要があります。
- 在庫管理システムの統合
- 物流ネットワークの最適化
- 営業体制の再編
- 企業文化の融和
特に、在庫管理システムと物流ネットワークの統合は、シナジー効果を生み出す上で重要な要素です。両社のシステムを円滑に統合し、効率的な運営体制を構築することが求められます。
また、企業文化の融和にも注力する必要があります。買収企業と対象企業の社員が一体感を持って働ける環境を整備することが、PMIの成功につながります。
M&Aは、金属製品・材料卸売業界の企業にとって、事業拡大や競争力強化の有効な手段です。一方で、M&Aには多くのリスクも伴います。企業価値の評価を誤ったり、デューデリジェンスが不十分だったり、PMIがうまくいかなかったりすると、M&Aが失敗に終わる可能性があります。
したがって、M&Aを検討する際は、専門家のアドバイスを踏まえながら、慎重に意思決定を行うことが重要です。自社の強みと弱みを冷静に分析し、M&Aによってどのようなシナジー効果が期待できるのかを見極める必要があります。
また、M&Aのプロセスにおいては、社内の関係者だけでなく、外部の専門家とも緊密に連携することが求められます。M&Aは、財務、法務、税務など、多岐にわたる専門知識が必要とされる取り組みです。社内リソースだけでは対応が難しい場合は、外部の専門家に協力を仰ぐことも検討すべきでしょう。
金属製品・材料卸売業におけるM&Aを成功させるためのポイント
金属製品・材料卸売業界でM&Aを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、以下のポイントについて解説します。
- M&A戦略の立案
- 相場価格をよく理解しておく
- PMI(統合後プロセス)の確立
M&A戦略の立案
M&Aを成功させるためには、明確な戦略の立案が不可欠です。M&A戦略では、以下の点を明確にする必要があります。
- M&Aの目的と期待効果
- 対象企業の選定基準
- 買収後の事業計画と統合プロセス
- リスク管理体制
M&A戦略を立案する際は、自社の強みと弱みを冷静に分析し、M&Aによってどのようなシナジー効果が期待できるのかを見極めることが重要です。
相場価格をよく理解しておく
M&Aを成功させるためには、対象企業の適正な価値評価が欠かせません。金属製品・材料卸売業界では、以下の点を考慮して、相場価格を理解する必要があります。
- 業界の市場規模と成長性
- 対象企業の財務状況と収益性
- 対象企業の市場シェアと競争優位性
- 対象企業の技術力と人的資源
相場価格を適切に把握するためには、業界動向に精通し、多面的な企業評価を行うことが重要です。
PMI(統合後プロセス)の確立
M&Aの成否は、PMI(Post Merger Integration:統合後プロセス)の巧拙に大きく左右されます。金属製品・材料卸売業界では、以下の点に留意してPMIを確立する必要があります。
- 事業戦略の統合と最適化
- 組織体制の再編と人材の融合
- 業務プロセスの標準化と効率化
- 企業文化の融和と社員のモチベーション管理
PMIを成功させるためには、統合プロセスを綿密に計画し、着実に実行することが重要です。
しかしM&Aを単独で行ってしまうと、これらの作業に社内リソースを割かれてしまい、本業に支障をきたす恐れがあります。また、PMIの確立が不十分だと、せっかくのM&Aの効果を十分に発揮できません。
そこで、M&A仲介を利用することをおすすめします。M&A仲介業者は、豊富な経験と専門知識を持っており、PMIの確立をサポートしてくれます。業務プロセスの統合方法や組織体制の再編方針、人事制度の統一などについて、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。また、PMIの実行計画の策定や進捗状況のモニタリングも、仲介業者に任せることができます。
M&A仲介を利用することで、自社のリソースを本業に集中させつつ、円滑なPMIを実現することができます。M&Aを成功に導くために、ぜひM&A仲介の利用を検討してみてください。
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金属製品・材料卸売業のM&Aにおける成功事例
金属製品・材料卸売業界におけるM&Aの成功事例を紹介します。これから金属製品・材料卸売業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
日創プロニティ株式会社による株式会社マルトクとのM&A
日創プロニティ株式会社は、2024年1月15日開催の取締役会において、株式会社マルトクの株式を取得し、子会社化することを決議しました。株式取得の相手先は個人株主5名で、取得株式数は700株、議決権割合は85%以上となる予定です。
日創プロニティ株式会社は、金属、ゴム、タイルなどの素材を扱う企業グループを形成しており、加工を通じてお客様のあらゆるニーズに応える「加工の総合企業」を目指しています。東証スタンダード市場および福証に上場しています。
株式会社マルトクは、1920年創業の老舗材木店で、主に内装用木材・集成材を加工、販売している企業です。自社ECサイトを立ち上げ、木材を顧客指定のオーダーサイズにカットして出荷、直接販売する新しい販売網を確立し、独自の販売力・競争力を有しています。
日創プロニティ株式会社は、株式会社マルトクが有するECチャネルとの相互送客やアイテム数の共有化等の面でシナジーを発揮できると期待しています。また、木材という新たな加工素材を得ることで、日創グループが既に有している素材との組み合わせによる新しい製品の企画開発を実施し、住宅市場・建設建材市場等へ展開することを目指しています。
参考:株式会社マルトクの株式取得(子会社化)に係る株式譲渡契約締結のお知らせ
ユアサ商事株式会社による中川金属株式会社とのM&A
ユアサ商事株式会社は、2020年12月1日に中川金属株式会社の株式を取得し、子会社化しました。取得株式数は1,000,000株、異動後の所有株式数は1,000,000株(所有割合100.0%)となりました。
ユアサ商事株式会社は、産業機器、工業機械、住設・管材・空調、建築・エクステリア、建設機械、エネルギー、その他の事業を展開する商社です。東証第一部に上場しています。
中川金属株式会社は、東京都千代田区に本社を置き、創業以来84年の業歴を有する切削工具の専門商社です。大手メーカー及びそのグループ企業への直接販売を軸とした営業基盤を有しており、全国に点在している顧客の要望把握を容易にし、顧客に合った製品を提供できる販売体制が構築されています。
ユアサ商事株式会社は、中川金属株式会社および同社子会社の永井産業株式会社との45年以上に及ぶ取引関係を通じて、両社の事業リソースを相互に活用することで、ユアサ商事株式会社産業機器部門のコア事業である切削工具販売事業の強化をはじめ、事業領域の拡大及び両社の中長期的な企業価値向上につながるものと判断し、本件株式取得を実施しました。
参考:中川金属株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
株式会社イチネンホールディングスによる前田機工株式会社とのM&A
株式会社イチネンホールディングスは、2012年6月20日開催の取締役会において、前田機工株式会社の株式を取得し、子会社化することを決議しました。株式取得の相手先は前田機工株式会社の代表取締役である屋敷高夫氏で、取得株式数は3,992,000株以上(議決権割合85%以上)となる予定です。
株式会社イチネンホールディングスは、リース事業、自動車メンテナンス受託事業、燃料販売事業、ケミカル事業、パーキング事業、カーシェアリング事業を展開する純粋持株会社です。東証・大証1部に上場しています。
前田機工株式会社は、全国9箇所に支店を有し、機械工具類の卸売を手掛けています。特に、自動車整備器具については、「NAO-SU/ナオス」、「オートライ/Autry」、「NEON」の独自ブランドを有し、企画・開発から行っています。
株式会社イチネンホールディングスは、本件の株式取得に伴い、同社グループのお取引先である全国約7,000先の自動車整備工場への前田機工株式会社の自動車整備器具をはじめとする工具等の商品販売を目指すとともに、同社グループが取り扱う化学品等を前田機工株式会社の約2,000先のお取引先への販売拡大を目指しています。
参考:前田機工株式会社の株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ
コンドーテック株式会社による三和電材株式会社とのM&A
コンドーテック株式会社は、2010年4月2日に三和電材株式会社の全株式を取得し、子会社化することを最終合意しました。株式取得数は149,201株(議決権比率100%)で、株式取得先は三和電材代表取締役社長の吉田勝彦氏と株式会社サンワコーポレーションです。株式取得予定日は2010年4月19日です。
コンドーテック株式会社は、土木用資材、建設用資材、荷役用資材、船舶用金物、鋼材、溶接資材などを取り扱う企業です。2009年10月期の売上高は6,320百万円、純資産は1,393百万円となっています。同社は建設市場の縮小という課題に対し、さまざまな業界に資材を提供することで安定した経営を実現しています。
三和電材株式会社は、照明器具、空調機器、電化製品などを取り扱う企業です。2002年より無借金経営を続けており、設立以来赤字は過去1回のみ(経常利益ベース)という優良企業です。
コンドーテック株式会社が三和電材株式会社を子会社化する目的は、建設資材以外の取扱いを強化し、周辺業界へ積極的にアプローチしていくためです。物件工事の初期と終盤の商材を取り扱うことにより、1物件に対してより多くの商材を提供できる一貫した販売体制の確立が可能になります。建設業界の卸売業としてさらなる発展を目指しています。
参考:コンドーテック株式会社による三和電材株式会社の全株式取得について
サイクラーズ株式会社による三立処理工業株式会社とのM&A
サイクラーズ株式会社は、2024年1月1日付で三立処理工業株式会社の株式を取得し、連結子会社化しました。三立処理工業株式会社の売主が保有する発行済株式50,000株をサイクラーズ株式会社が譲受けました。
サイクラーズ株式会社は、グループの事業統括、経営統括・戦略立案、管理業務統括などを行う持株会社です。2020年9月に設立され、資本金は1億円となっています。グループ会社には、金属スクラップ全般に関する業務を行う東港金属株式会社や、産業廃棄物の収集運搬業務を行うTML株式会社などがあります。
三立処理工業株式会社は、1962年6月に設立された液状産業廃棄物の収集運搬を行う老舗企業です。神奈川県川崎市に本社を置き、液状産業廃棄物の安全管理・運搬に豊富なノウハウを有しています。2023年5月期の売上高は1,012百万円、経常利益は52百万円、当期純利益は35百万円となっています。
サイクラーズ株式会社が三立処理工業株式会社を子会社化する目的は、固形の産業廃棄物、金属スクラップのリサイクルを主業とするサイクラーズグループの取引先から排出される液状産業廃棄物等を三立処理工業株式会社で引き受け、逆に三立処理工業株式会社の取引先から発生する固形産業廃棄物をサイクラーズグループで引き受けるクロスセルや、三立処理工業株式会社の産業廃棄物の長距離輸送のノウハウをサイクラーズグループで活用することにあります。
同業である三立処理工業株式会社のグループ化により、サイクラーズ株式会社の中期経営計画で目指しているグループ規模、収益力の拡大戦略を推進し、リサイクルビジネスの強化拡充を図ります。
参考:三立処理工業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
モリト株式会社による株式会社マニューバーラインとのM&A
モリト株式会社は、2018年3月15日開催の取締役会において、株式会社マニューバーラインの普通株式及び種類株式を取得し子会社化することを決議しました。株式取得数は普通株式150株、種類株式50株で、議決権割合は100%となる予定です。株式取得の相手先は、普通株式については川崎正秀氏、種類株式についてはマニューバーライン従業員持株会です。株式取得予定日は2018年4月2日です。
モリト株式会社は、履物・アパレルを中心とした服飾資材と身の回り品を中心とする生活関連資材に特化した経営を行っている企業です。第7次中期経営計画では、グループ収益基盤の拡大強化の一環としてM&Aを重点施策の1つと位置付けています。
株式会社マニューバーラインは、マリンレジャー、スノーボード、アパレル用品等の輸入販売及び卸売業界でのトップランナーです。非常に安定した業績を維持していますが、後継者不在という問題を抱えています。
モリト株式会社が株式会社マニューバーラインを子会社化する目的は、株式会社マニューバーラインが仕入販売を行っている商品に使用されている他社製付属品をモリト株式会社のコア商品であるハトメ・ホック・マジックテープ等の金属や樹脂、繊維付属品への切り替えや、モリトグループと株式会社マニューバーラインの取扱い製品の互いの販路での販売機会の増加等のシナジー効果を見込んでいるためです。後継者不在という株式会社マニューバーラインの問題解決にもつながります。
参考:株式会社マニューバーラインの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
西華産業株式会社による株式会社竹本の株式譲渡
西華産業株式会社は、2023年6月8日開催の取締役会において、連結子会社である株式会社竹本の保有株式のうち18,000株を株式会社イノウエへ譲渡することを決議しました。本件株式譲渡に伴い、株式会社竹本は2024年3月期第2四半期以降、西華産業株式会社の連結子会社から除外されることとなります。
西華産業株式会社は、経営資源の選択と集中に取り組んでおり、その一環として株式会社竹本の株式を譲渡することを決定しました。譲渡先である株式会社イノウエは、金属材料販売を中心に加工・エンジニアリング機能を持ち、幅広い分野で多くの実績とノウハウを有しています。株式会社イノウエの傘下となることで、株式会社竹本のさらなる成長が見込めると判断されました。
株式会社竹本は、兵庫県神戸市に本社を置き、配管部材・プラント機材の卸売業を行っています。1956年9月に設立され、資本金は10百万円です。
西華産業株式会社は、株式会社竹本の株式譲渡により、経営資源の選択と集中を進め、株式会社竹本のさらなる成長を目指しています。株式会社イノウエとの協業により、株式会社竹本の事業拡大と企業価値向上が期待されます。
コンドーテック株式会社による栗山アルミ株式会社とのM&A
コンドーテック株式会社は、2021年9月16日開催の取締役会において、アルミ押出型材等の製造開発事業を行う栗山アルミ株式会社の普通株式(議決権比率75.7%、発行済株式総数に対する持株比率60.9%)を取得し、子会社化することを決議しました。
コンドーテック株式会社は、土木用資材、建設用資材、荷役用資材、船舶用金物、鋼材、溶接資材などを取り扱う企業です。中期経営計画のもと、成長戦略として既存事業の収益力強化に加え、今後成長が見込まれる分野への投資を積極的に進めています。
栗山アルミ株式会社は、愛知県名古屋市に本社を置き、非鉄金属の押出、アルミ押出型材等の製造開発、型材・板材・ステンレス等の加工、アルミニュームの表面処理加工を行っています。1958年9月に設立され、資本金は96百万円(2020年9月期末時点)です。
コンドーテック株式会社が栗山アルミ株式会社を子会社化する目的は、今後需要の増加が見込まれるアルミ商材を取扱商材に含めることを通じて、持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現を図ることです。栗山アルミ株式会社の幅広い顧客基盤と技術力を活用し、コンドーテック株式会社グループの事業拡大を目指します。
参考:栗山アルミ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
中央自動車工業株式会社による株式会社ABTとのM&A
中央自動車工業株式会社は、2019年11月28日開催の取締役会において、株式会社ABTの発行済株式200株のうち、182株を三菱商事株式会社から購入し、残り18株を株式交換により取得することで、株式会社ABTを完全子会社化することを決議しました。
中央自動車工業株式会社は、自動車用品、産業用品、住設用品等の卸売業を行う企業です。東証スタンダード市場および福証に上場しています。
株式会社ABTは、自動車用品、産業用品、住設用品等の卸売業を行う企業です。非上場企業であり、市場株価法は採用できませんが、将来の収益獲得能力を評価に反映させるためにDCF法と類似会社比較法を用いて株式価値の算定が行われました。
中央自動車工業株式会社が株式会社ABTを完全子会社化する目的は、株式会社ABTが有するECチャネルとの相互送客やアイテム数の共有化等の面でシナジーを発揮できると期待されるためです。また、木材という新たな加工素材を得ることで、中央自動車工業株式会社グループが既に有している素材との組み合わせによる新しい製品の企画開発を実施し、住宅市場・建設建材市場等へ展開することを目指しています。
参考:株式会社ABTの株式取得による子会社化及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ
和田電機株式会社による横山金属株式会社及び株式会社アイアンゲートとの資本業務提携
2021年10月8日、和田電機株式会社は非鉄金属製品の卸売事業を展開している横山金属株式会社と、その純粋持株会社(親会社)である株式会社アイアンゲートと資本業務提携の契約を締結しました。横山金属株式会社と株式会社アイアンゲートは和田電機株式会社の傘下となり、和田電機株式会社の代表取締役社長である和田泰加子氏が両社の代表取締役社長に就任しました。
和田電機株式会社は、電機・電子・機械の専門商社として創業75周年を迎え、100年企業を目指す中、様々な新規事業の開発を進めています。東証スタンダード市場および福証に上場しています。
横山金属株式会社は設立62周年を迎える会社で、非鉄金属材料、加工品を主に車載向けに販売しています。
和田電機株式会社は、今回の資本業務提携締結により、グループとして新たな事業領域への参入を果たすとともに、更なる基盤ビジネス構築、グループ内シナジーによる新規ビジネス創出及び事業拡大を進めることを目的としています。
参考:株式会社アイアンゲート,横山金属株式会社との資本業務提携について
株式会社ナイガイによる住金物産株式会社との資本業務提携
株式会社ナイガイは、2012年12月21日に住金物産株式会社との資本業務提携契約を締結しました。株式会社ナイガイは、本第三者割当により、住金物産株式会社に当社の普通株式8,141,000株(本第三者割当後の所有議決権割合10.00%、発行済株式総数に対する割合9.91%)を割当てます。
株式会社ナイガイは、レッグウェア事業を中心に展開する企業です。東証スタンダード市場に上場しています。
住金物産株式会社は、鉄鋼、産機・インフラ事業、繊維、食糧の4事業において、加工メーカー型機能を有するグローバルな複合専業商社です。同社の売上高の20%強を占める繊維部門は、アパレルメーカー向け相手先ブランドの生産受託事業を主軸に、レディス衣料、メンズ衣料、機能衣料、ホームファッション等の各分野において、素材の開発から製品の企画・生産・物流までを一貫して手掛けています。
株式会社ナイガイは、住金物産株式会社が有する商社物流機能や商社生産機能を最大限活用することにより、輸入調達効率の改善や商品開発力の強化をすることができ、住金物産株式会社は株式会社ナイガイのレッグウェア商品を新たに取り込むことでその商品開発のノウハウを取得し、新たな相手先ブランドの生産受託取引に活用することにより、両者にとってシナジー効果を享受することができます。また、将来的には海外(中国・アジア)販売において、両社が共同展開することも視野に入れています。
参考:住金物産株式会社との資本業務提携、第三者割当による新株式発行及び自己株式の処分並びに主要株主の異動に関するお知らせ
神栄株式会社による応用地質株式会社との資本業務提携
神栄株式会社は、2012年12月21日開催の取締役会において、応用地質株式会社との資本業務提携契約を締結することを決議しました。神栄株式会社は、本第三者割当により、応用地質株式会社の普通株式1,000,000株(発行済株式総数に対する割合4.76%)を取得します。
神栄株式会社は、繊維、食品、物資、電子の4事業を展開する企業です。東証スタンダード市場に上場しています。
応用地質株式会社は、地盤調査・解析、防災、環境、資源・エネルギーなどの分野で事業を展開するコンサルタント会社です。東証プライム市場に上場しています。
神栄株式会社と応用地質株式会社は、両社の強みを活かした事業シナジーの創出と、新たな事業領域の開拓を目的として、資本業務提携を行うことといたしました。
具体的には、神栄株式会社の電子関連事業における計測機器の製造・販売と、応用地質株式会社の地盤調査・解析事業における計測機器の利用という両社の事業領域の重なりを活かし、計測機器の共同開発や販売網の相互活用などを進めてまいります。また、防災分野や環境分野など、両社の強みを活かせる新たな事業領域への進出も検討してまいります。
参考:神栄株式会社と応用地質株式会社の業務提携基本契約締結についてのお知らせ
株式会社ゼネラル・オイスターによる阪和興業株式会社との資本業務提携
株式会社ゼネラル・オイスターは、2022年1月27日付で阪和興業株式会社に対し第三者割当増資により新株式561,000株を発行しました。この結果、阪和興業株式会社は株式会社ゼネラル・オイスターの発行済株式総数の6.83%を保有する株主となりました。
阪和興業株式会社は、鉄鋼をはじめ金属原料、非鉄金属、食品、燃料、化成品、木材、機械等を扱う日本有数の商社です。高度な専門性と豊富な国内外の取引ネットワークを有しています。
株式会社ゼネラル・オイスターは、牡蠣の養殖、加工、販売を一貫して行う水産加工食品メーカーです。主力の店舗・卸売事業に加え、EC通販事業や受託加工事業も手掛けています。
株式会社ゼネラル・オイスターは、阪和興業株式会社との資本業務提携により、阪和興業が有する国内外ネットワークと、自社が有する牡蠣の生産から販売までの一貫したバリューチェーンを融合させ、新たな事業シナジーを創出することを目指しています。また、本第三者割当増資により調達した資金を、成長投資や設備更新投資に充当し、企業価値の向上を図ります。
参考:阪和興業株式会社との資本業務提携契約の締結及び第三者割当による新株発行に関するお知らせ
小野建株式会社による森田鋼材株式会社とのM&A
小野建株式会社は、2019年10月1日付で森田鋼材株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。
小野建株式会社は、鉄骨工事業、建設工事業、不動産賃貸業などを手掛ける企業です。東京証券取引所市場第二部に上場しています。
森田鋼材株式会社は、鉄骨工事用の鋼材の加工・販売を行う企業です。小野建株式会社の主要な仕入先でした。
小野建株式会社は、森田鋼材株式会社を子会社化することで、鉄骨工事の中核事業における安定的な資材調達と原価管理の強化を図ることができます。また、森田鋼材の技術力を活用し、付加価値の高い製品の開発や新規事業の創出を目指します。
参考:森田鋼材株式会社の株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ
株式会社UEXによる住商特殊鋼株式会社の株式取得
株式会社UEXは、2019年6月11日開催の取締役会において、住商特殊鋼株式会社の発行済株式の51%を取得し、子会社化することを決議しました。
株式会社UEXは、特殊鋼の販売を中心に、素形材事業、機能材料事業、電子材料事業などを展開する企業です。東京証券取引所市場第一部に上場しています。
住商特殊鋼株式会社は、特殊鋼の販売を手掛ける企業です。株式会社UEXの主要な仕入先の一つでした。
株式会社UEXは、住商特殊鋼株式会社を子会社化することで、特殊鋼の安定調達と在庫リスクの低減を図ることができます。また、両社の技術力を結集することで、新製品の開発や新規事業の創出を目指します。
まとめ
今回は、金属製品・材料卸売企業のM&A・事業承継について、売却相場、事例、成功ポイントを詳しく解説しました。
金属製品・材料卸売企業のM&A・事業承継のポイント
- 事業の継続と発展
- 財務状況の改善
- 技術力の獲得と継承
- M&A戦略の立案
- 相場価格の理解
- PMIの確立
金属製品・材料卸売業界では、M&Aが事業拡大や競争力強化の有効な手段となっています。一方で、M&Aには多くのリスクも伴います。M&Aを成功させるためには、専門家のアドバイスを踏まえながら、慎重に意思決定を行うことが重要です。
弊社では、金属製品・材料卸売業界に特化したM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。具体的なM&A案件についてご相談がある方や、M&Aに関する無料相談を希望される方は、ぜひお問い合わせください。業界に精通した専門家が、皆様のM&Aを全面的にサポートいたします。