この記事は、アイコムとトライアイズが2026年9月30日に公表したLIMNOの合弁化計画を、同年10月12日時点の状況に更新して解説します。トライアイズによるLIMNOの全株取得は10月1日に完了しましたが、アイコムが49%を取得する合弁化はまだ実行されていません。
トライアイズは全株を取得、アイコムの49%取得はこれから
トライアイズは2026年10月1日、LIMNOの発行済み株式12万株すべてを取得しました。取得価額は6億円で、取得後はトライアイズが議決権の100%を保有しています。
その前日の9月30日、アイコムとトライアイズは、LIMNOを共同運営するための基本合意を締結しました。合意内容は、トライアイズが取得した株式の49%をアイコムへ譲渡し、トライアイズ51%、アイコム49%の出資比率で運営するというものです。両社は10月末を目途に正式契約を結び、株式を譲渡する方向で協議しています。
ただし、基本合意は提携実行を義務づける契約ではありません。10月12日時点では、正式契約、アイコムの株式取得、譲渡価格はいずれも確定していません。また、トライアイズが全株取得に支払った6億円は100%取得の価格であり、アイコムが取得する49%の価格ではありません。
| 段階 | 状況 | 持分・価格 |
|---|---|---|
| トライアイズによる全株取得 | 2026年10月1日に完了 | 12万株、100%、6億円 |
| アイコムとの基本合意 | 2026年9月30日に締結 | 49%譲渡の方向で合意 |
| 合弁化の正式契約・株式譲渡 | 2026年10月末を目途に協議中 | 譲渡方法・価格は未確定 |
3社の技術・製造・販路を組み合わせる構想
LIMNOは鳥取県で電気機器の企画・開発・調達・製造などを担い、タブレット、表示器、IoTモジュール等を扱います。開示資料では、2023年9月期から2025年9月期にかけて売上高が3期連続で減少したことも示され、既存の製造能力を新たな受注へつなげることが課題とされています。
アイコムは無線通信技術と国内外の販売網、LIMNOは製品設計・製造・量産能力、トライアイズは経営支援と事業開発ネットワークを持ち寄る構想です。ドローン関連部品や通信モジュールの量産、電気機器の国内生産回帰に伴うODM・OEM・EMS受託などを検討対象に挙げています。
出資比率だけでなく、共同経営の決定権を契約で定める
この計画では、株式の過半数をトライアイズが持つ一方、取締役候補は両社が同数を指名し、重要事項は共同協議・承認する方向が示されています。持分比率だけでは日々の意思決定や重要事項の決め方は分からないため、正式契約で権限と手続きを定める必要があります。
共同出資や合弁を検討する経営者は、最終的な持分比率に加え、次の点を協議書・契約書で具体化してください。
- 株式の取得・譲渡価格と算定前提、価格調整の扱い
- 取締役の指名数、重要事項の範囲、意見が割れた場合の決定方法
- 資金追加、事業計画、主要な投資・借入れの承認手順
- 追加譲渡の条件、持分を手放す場合の手続き、取引先・従業員への説明
基本合意と正式契約、契約締結と株式譲渡の各段階を分けて確認すれば、発表内容を実際の取引条件と取り違えにくくなります。株式譲渡の基本は株式譲渡の仕組みと事業譲渡との違いで確認できます。自社の資本提携や株式譲渡を具体的に検討する場合は、M&A HACKへご相談ください。
出典
- アイコム「株式会社トライアイズとの株式会社LIMNOの合弁事業化に向けた戦略的資本業務提携に関する基本合意のお知らせ」(2026年9月30日)
- トライアイズ「アイコム株式会社との株式会社LIMNOの合弁事業化に向けた戦略的資本業務提携に関する基本合意のお知らせ」(2026年9月30日)
- トライアイズ「株式会社LIMNOの株式取得(完全子会社化)の完了に関するお知らせ」(2026年10月1日)
- 日本M&Aセンター「アイコムがトライアイズからLIMNO株式を取得し合弁化へ」(案件発見元)


