ワールドと日本政策投資銀行(DBJ)の合弁投資会社W&Dインベストメントデザインは2026年10月5日、タオル・ホームウェアを手掛ける内野株式会社の事業承継に向け、新会社を通じた再生支援を進める計画を公表しました。新会社が吸収分割により内野の全事業と承継対象となる金融債務を引き継ぎ、その後W&Dが出資して完全子会社化する予定です。発表時点で会社分割は完了していません。
株式買収ではなく事業と対象債務を承継する計画
内野は地域経済活性化支援機構(REVIC)による再生支援決定を受けています。今回公表された枠組みでは、現在の内野の株式をW&Dが直接取得するのではなく、新会社へ事業を移し、指定された金融債務も承継させます。分割後の内野は清算する予定と日本M&Aセンターは報じています。旧会社の株式取得と、事業・債務を新会社へ移す再生型の承継は区別が必要です。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 対象会社 | 内野株式会社(タオル・ホームウェア等) |
| 承継先 | W&Dが設立する新会社 |
| 承継方法 | 吸収分割で全事業と承継対象金融債務を移す予定 |
| 出資 | W&Dが新会社へ出資し完全子会社化する予定 |
| 資金支援 | DBJとワールドがW&Dへ優先出資を行う方針。具体額は今回確認した公表資料に記載なし |
| 主な予定日 | 債権買取決定等:2026年11月10日、会社分割・増資:同年12月1日 |
DBJは、内野の事業承継とその後の事業基盤強化に必要な資金に充てるため、ワールドと共同でW&Dに優先出資することを決議したと発表しました。優先出資は投資会社W&Dへの資本支援であり、今回の公表情報から内野の事業譲渡価額や承継債務の額を読み取ることはできません。
ブランドや販路を残し、事業を立て直せるか
内野は約90年にわたり、タオルやホームウェアのブランド、独自素材・技術、商品開発力、百貨店を中心とする顧客基盤やOEM事業を築いてきました。DBJはワールドグループの事業運営ノウハウとの組み合わせで、事業基盤の維持と成長を目指すとしています。これは将来の目標で、承継時点で改善成果が出たことを示すものではありません。
事業再生では、引き継ぐ資産だけでなく、取引先契約、ブランドやライセンス、従業員、在庫、製造委託、生産設備、金融債務の範囲を一つずつ確認します。特に「全事業」と「承継対象金融債務」の範囲、分割後に旧会社へ残る資産・債務、債権買取の条件は、事業継続と新会社の資金繰りを左右します。開示されていない金額や条件を推測で補うことはできません。
再生型の事業承継で確認したいこと
- 承継対象の確定:事業別の資産、従業員、顧客契約、債務、保証、知的財産を承継前後で対照する。
- 契約と許認可:会社分割に伴う取引先通知・同意、ブランド使用、製造委託、販売・品質管理の継続条件を整理する。
- 再生資金の使途:優先出資や債権処理の資金を、運転資金・仕入・設備・販路投資の計画に結び付ける。
- 収益回復の指標:BtoBとBtoCを分け、粗利、在庫回転、受注継続、資金繰りを定期確認する。
承継完了前は、債権買取や会社分割の決定、必要な資金調達など今後の条件が残ります。公表された予定日と最終実行を同一視せず、完了後は新会社の事業継続と顧客・取引先への影響を確認していく必要があります。
出典・関連情報
- 日本政策投資銀行「W&Dインベストメントデザインに対する優先出資について」(2026年10月5日)
- 内野「事業承継に関するお知らせ」
- 日本M&AセンターのM&A速報(2026年10月5日掲載)
- M&Aの検討から契約・実行までの流れ
事業再生を伴う承継やM&Aについて整理したい場合は、M&A HACKの相談窓口へご相談ください。


