ストライダーズ、スリランカ市場からの撤退
グローバルビジネスの世界では、企業が市場から撤退することは珍しいことではありません。特に、事業環境が急速に変化する中で、企業は常に最適な経営戦略を模索しています。ストライダーズ(9816)がスリランカのアジアキャピタル社と共同設立したStrider Asia Capital PLC(SCA)に関する全株式をアジアキャピタル社に譲渡する決定をした背景には、アジアキャピタル社の事業ドメインの変更があります。金融業からホテル・不動産事業への移行により、両社の提携によるシナジーが薄れ、ストライダーズは新たな戦略を模索することになりました。
アジアキャピタル社の事業ドメイン変更の影響
アジアキャピタル社は、かつては金融サービス業を中心に事業を展開していました。しかし、近年のスリランカにおける観光業の成長を背景に、同社はホテル・不動産事業へのシフトを決めました。この戦略変更は、スリランカ政府が観光業を経済成長の柱として位置づけ、外国からの投資を促進していることと一致しています。スリランカの観光客数は、毎年約10%の成長を遂げており、2020年には300万人を超える見込みです。アジアキャピタル社は、この成長市場において競争優位を確立するために、リソースを集中させることを選択しました。
ストライダーズの新たなM&A戦略
ストライダーズは、今回の株式譲渡を機に、今後はM&Aグローバル・パートナーズを通じた国内外のM&A及び企業進出コンサルティングビジネスに経営資源を集中させる方針です。日本国内では少子高齢化が進行し、多くの中小企業が事業承継問題に直面しています。これに対し、ストライダーズはM&Aを通じて事業承継を支援し、企業の持続的な成長を目指します。また、アジア地域における成長企業との提携や買収を通じて、グローバル展開を加速させる考えです。
M&A市場の現状と今後の展望
世界のM&A市場は、過去数年間で急速に拡大しています。2019年には、世界全体で約3兆7,000億ドルのM&Aが行われました。特にテクノロジー分野やヘルスケア分野では、積極的な買収が続いています。日本国内でも、人口減少や少子高齢化に伴う事業承継のニーズが高まっており、M&Aは企業成長の重要な手段として注目されています。中小企業庁の調査によれば、2025年までに約640万人の経営者が引退を迎えると予測されており、事業承継の問題は喫緊の課題となっています。
ストライダーズの今後の展開と期待
ストライダーズは、これまでの経験を活かし、国内外でのM&Aを通じた成長戦略を推進します。特に、アジア地域における経済成長を背景に、同地域の企業との連携を強化することで、新たな市場機会を創出することを目指しています。また、国内においては、事業承継支援を通じて地域経済の活性化に貢献することを狙っています。これにより、ストライダーズは、企業価値の最大化とともに、持続可能な成長を実現することが期待されます。
ストライダーズの新たな戦略転換は、今後の企業成長にどのように寄与するのか、注目が集まります。