ナカバヤシのTOB戦略とその背景
ナカバヤシ株式会社(証券コード: 7987)は、国際チャート株式会社(証券コード: 3956)の普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。このTOBは、ナカバヤシが国際チャートを子会社化することを目的としており、同社のビジネス戦略において重要な位置を占めています。買付価格は1株258円と設定され、買付予定数の下限を3,060,000株(発行済株式総数の51%)としています。この買収は、ナカバヤシが製本事業を基盤に展開する多岐にわたる事業の中で、特に印刷や紙製品に関連した事業の強化を図るものです。
業界動向とナカバヤシの多角化戦略
ナカバヤシは、製本事業を核として、ステーショナリー関連、デジタルガジェット、さらには発電事業に至るまで、多角的に事業を展開している企業です。この多角化戦略は、安定した収益基盤の構築と市場の変化に柔軟に対応するためのものです。最近の業界動向としては、デジタル化の進展により紙の需要が減少している一方で、特殊紙や高機能紙の需要が増加しており、ナカバヤシはこのトレンドを捉えていると考えられます。
- 製本および印刷業界の変化に対応するための多角化
- デジタル化による紙需要の変化
- 特殊紙の需要増加
国際チャートの事業概要と戦略的価値
国際チャートは、紙加工業を中心に、計測用記録紙や検針用紙、ラベル紙の製造・販売を行っている企業です。これらの製品は、特に機械器具向けの専用紙として市場で評価されています。東芝テックとの協業により、同社のサプライ商材の販売も手掛けています。国際チャートの製品ポートフォリオは、ナカバヤシの既存事業と補完関係にあり、生産効率の向上や技術ノウハウの共有を通じて、さらなる市場シェアの拡大が期待されています。
TOBによるシナジー効果と将来的な展望
ナカバヤシが国際チャートの株式を取得することにより、両社の資源を統合して生産設備の効率的運用を実現します。この統合は、ラベル紙や検針紙などの共通事業分野におけるシェア拡大に寄与し、顧客基盤の強化や技術の進化を促進します。また、人的資源の交流により、革新的な製品開発や新市場への進出が可能となるでしょう。
- 生産設備の効率化と最適化
- 共通事業分野でのシェア拡大
- 技術・ノウハウの共有
- 新製品開発・新市場開拓
TOBのスケジュールと今後の展開
TOBは、2017年11月9日から12月7日までの期間で行われ、東芝テックも一部の株式を応募することが決定しています。この期間中に、ナカバヤシは国際チャートの株式を一定割合以上取得し、実質的な子会社化を進めます。これにより、両社は連携を強化し、市場での競争力を高めながら新たな成長機会を模索することが期待されます。