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舗装工事会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「舗装工事業界のM&Aの売却相場は?」
「舗装工事業界のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「舗装工事業界 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業である「M&A HACK」が、舗装工事業界のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

舗装工事業界におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、舗装工事業界のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

舗装工事とは

舗装工事とは、道路や駐車場などの地面にアスファルトやコンクリートを敷き詰める作業のことです。この工事には、耐久性や安全性を確保するためのさまざまな種類と技術が必要です。

舗装工事の定義と種類

舗装工事には、大きく分けてアスファルト舗装とコンクリート舗装の2種類があります。

アスファルト舗装は、アスファルト混合物を敷き詰めて転圧する工法で、柔軟性があり、施工が比較的容易で経済的であるという特徴があります。一方、コンクリート舗装は、コンクリートを敷き詰めて固める工法で、耐久性が高く、重車両の通行にも適していますが、施工に時間がかかり、コストも高くなる傾向にあります。

国土交通省の道路統計年報2023によると、日本の道路舗装の約78%がアスファルト舗装であり、コンクリート舗装は約5%、未舗装が約17%となっています。この割合は、道路の種類や交通量、気象条件などによって異なりますが、アスファルト舗装が主流であることがわかります。

舗装工事の役割と重要性

舗装工事は、交通インフラを支える重要な役割を担っています。適切に舗装された道路は、車両の走行性や安全性を向上させ、物流の効率化や経済活動の発展に寄与します。また、歩行者や自転車利用者にとっても、安全で快適な通行空間を提供します。

国土交通省の社会資本整備重点計画では、舗装道路の修繕や更新を重点施策の一つとして掲げています。老朽化した舗装を適切に維持管理することで、交通事故の防止や道路ネットワークの機能維持を図ることが求められています。

例えば、東京都では、2019年度から10年間で約1,600kmの都道の舗装を更新する計画を発表しました。この計画では、アスファルト舗装の耐用年数を従来の10年から15年に延長し、ライフサイクルコストの縮減を図ることも目指しています。

舗装工事に必要な技術と資格

舗装工事を行うには、専門的な技術と知識が必要とされます。施工業者は、舗装材料の選定や配合設計、施工機械の操作、品質管理などに精通している必要があります。また、舗装工事に関連する法規や基準についても理解しておく必要があります。

舗装工事に携わる技術者には、以下のような資格が求められます。

  • 1級舗装施工管理技士
  • 2級舗装施工管理技士
  • 舗装診断士
  • アスファルト舗装工事の品質確保に必要な資格(監督・主任技術者など)

これらの資格は、一般社団法人日本道路建設業協会や一般社団法人日本建設機械施工協会などが認定しており、舗装工事の品質確保や技術力向上に重要な役割を果たしています。

国土交通省の調査によると、2020年度の1級舗装施工管理技士の合格者数は1,283名、2級舗装施工管理技士の合格者数は4,167名でした。舗装工事の需要に応えるためにも、今後さらなる人材育成が求められています。

以上のように、舗装工事は、道路インフラを支える重要な役割を担っており、専門的な技術と資格を持った人材によって支えられています。適切な舗装工事の実施は、交通の安全性や効率性の向上、経済活動の発展などに寄与するものと言えます。

舗装工事業界の市場動向と市場規模

2021年度の建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで22兆4,864億円(前年度比110.1%)となりました。

2021年度はコロナ禍により建設需要が急減した2020年度からの反動増に加え、令和4年度税制改正に伴う政府による住宅取得関連支援策の一部延長など、住宅取得を推進する施策の影響もありました。

これにより、住宅市場が回復しました。加えて、オフィスビル、工場、物流倉庫需要が拡大した結果、建設8大市場全体は前年度比110.1%と二桁増となりました。

舗装工事業界の市場規模と成長予測

矢野経済研究所の最新調査によると、2023年度の舗装工事市場規模は、前年度比2.8%増の2兆3,500億円となりました。内訳は、公共工事が1兆5,500億円(前年度比3.2%増)、民間工事が8,000億円(前年度比2.1%増)となっています。

2024年度以降の市場規模については、国土強靭化計画に基づくインフラ整備や、老朽化した道路の維持・更新需要の増加などが期待されます。また、環境配慮型の舗装材料や工法の開発・普及も、市場の成長を後押しすると予想されます。

富士経済グループの最新予測では、2028年度の舗装工事市場規模は、2兆6,000億円(2023年度比10.6%増)に達すると見込まれています。ただし、この成長を実現するためには、業界のDXの推進や、技能労働者の確保・育成、生産性向上などが引き続き重要な課題となっています。

また、2024年度は、「国土交通省 道路局 道路政策の方針」において、「道路の老朽化対策」や「災害に強い道路ネットワークの構築」、「道路空間の有効活用」などが重点施策として掲げられており、舗装工事業界にとって追い風となることが期待されます。

舗装工事業界が持つ課題

舗装工事業界は、道路インフラの整備や維持管理を担う重要な役割を果たしています。しかし、近年では、公共投資の減少や建設業界全体の人手不足、技術者の高齢化などの課題に直面しています。

国土交通省の建設投資見通しによると、2020年度の建設投資額は前年度比3.4%減の62兆1,900億円となりました。このうち、政府投資は前年度比8.2%減の22兆4,000億円、民間投資は前年度比0.5%増の39兆7,900億円となっています。公共投資の減少は、舗装工事業界にとって大きな影響を与えています。

また、建設業就業者の高齢化も深刻な問題となっています。国土交通省の建設労働需給調査(2020年10月)によると、建設技能労働者の平均年齢は45.2歳で、50歳以上の割合が34.6%を占めています。熟練技術者の引退に伴う技術継承の問題や、若手人材の確保難が業界の課題となっています。

舗装工事業界の競合状況

舗装工事業界は、大手ゼネコンから地域の中小企業まで、多様な事業者で構成されています。

大手企業は、スケールメリットを活かした価格競争力や、技術開発力、人材確保力などに優れています。一方、中小企業は、地域に密着した営業力や、きめ細かなサービス提供力などが強みとなっています。

近年では、業界の再編や企業間連携の動きも活発化しています。大手企業による中小企業のM&Aや、同業者間の業務提携などが行われています。これは、市場競争力の強化や、技術力の向上、事業承継問題の解決などを目的としたものです。

舗装工事業界におけるM&Aの必要性

舗装工事業界では、M&Aを通じた事業再編や企業成長が重要な戦略となっています。その背景には、以下のような業界特有の課題や機会があります。

  1. 事業承継問題の解決

   – 高齢化が進む舗装工事業界では、後継者不在による廃業リスクが高まっています。M&Aを活用することで、事業を存続させ、雇用を維持することができます。

  1. 技術力の向上と競争力強化

   – M&Aを通じて、先進的な技術や専門性を持つ企業を取り込むことで、自社の技術力を高め、競争力を強化することができます。

  1. 市場シェアの拡大と事業拡張

   – M&Aにより、新たな地域や事業分野に進出し、市場シェアを拡大することができます。また、関連事業への多角化により、事業ポートフォリオの最適化を図ることも可能です。

  1. 経営資源の有効活用と効率化

   – M&Aを活用して、人材や設備、ノウハウなどの経営資源を共有・統合することで、業務の効率化や生産性の向上を実現できます。

以上のように、舗装工事業界では、M&Aが事業承継問題の解決や競争力強化、成長戦略の実現に重要な役割を果たしています。今後も、業界の再編や企業間連携の動きが加速すると予想されます。

舗装工事業の動向と今後

M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは、舗装工事業の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

舗装工事業界における技術革新と新規事業機会

舗装工事業界では、技術革新が進んでおり、新たな事業機会が生まれています。例えば、IoTやAIを活用した舗装の点検・診断システムの開発が進んでいます。これにより、舗装の劣化状況を効率的に把握し、最適なメンテナンス計画を立てることが可能になります。

国土交通省は、「i-Construction」initiativeの一環として、ICT(情報通信技術)を活用した舗装工事の普及を推進しています。ICT舗装工事では、3次元データを活用した設計・施工や、自動制御機械の導入などにより、生産性の向上や品質の確保を図ることができます。

また、環境配慮型の舗装材料や工法の開発も進んでいます。例えば、再生アスファルト混合物や、遮熱性舗装、透水性舗装などの技術が注目されています。これらの技術は、資源の有効活用や都市のヒートアイランド現象の緩和などに貢献します。

M&Aを通じて、こうした先進的な技術を持つ企業を取り込むことで、自社の技術力を高め、新規事業への参入機会を得ることができます。また、技術シナジーを発揮することで、競争力の強化にもつながります。

舗装工事業界の環境対応と社会的責任

近年、環境問題への関心の高まりを受けて、舗装工事業界でも環境対応や社会的責任への取り組みが重要になっています。例えば、CO2排出量の削減や、リサイクル材の活用、生物多様性への配慮などが求められています。

国土交通省は、「グリーン購入法」に基づき、環境負荷の低い舗装材料の使用を推進しています。また、「道路法」の改正により、道路の維持修繕に関する国の責務が明確化され、予防保全型のメンテナンスへの転換が図られています。

舗装工事会社には、こうした環境規制や社会的要請に対応しつつ、事業を展開していくことが求められます。M&Aを通じて、環境技術を持つ企業や、社会貢献活動に積極的な企業と連携することで、自社の環境対応力や社会的評価を高めることができます。

実際に、大手建設会社では、環境配慮型の舗装材料を開発・販売する子会社を設立したり、地域の環境保全活動に参画したりするなどの取り組みが見られます。こうした活動は、企業イメージの向上や、ステークホルダーとの関係強化にもつながります。

舗装工事業界のグローバル化と国際競争力

舗装工事業界では、海外市場への進出や、国際競争力の強化が重要な課題となっています。新興国を中心とするインフラ需要の拡大や、日本の優れた舗装技術への関心の高まりを背景に、グローバル展開の機会が増えています。

国土交通省は、「インフラシステム海外展開行動計画」を策定し、日本企業の海外インフラプロジェクトへの参入を支援しています。また、JICA(国際協力機構)を通じた技術協力や、政府間の経済連携協定の活用なども進められています。

舗装工事会社がグローバル市場で競争力を発揮するためには、現地のニーズや規制に対応した技術・サービスの提供や、優秀な人材の確保、現地パートナーとの連携などが重要になります。M&Aを通じて、海外の有力企業や、現地に精通した企業と提携することで、リスクを軽減しつつ、効果的な海外展開を図ることができます。

例えば、大手建設会社が、東南アジアの舗装工事会社を買収し、現地の道路整備プロジェクトに参入した事例があります。また、欧米の先進的な舗装技術を持つ企業とM&Aを行い、グローバル市場での競争力を高めた例もあります。

舗装工事業界のグローバル化は、国内市場の成熟化や人口減少を背景に、今後さらに加速すると予想されます。M&Aを戦略的に活用することで、海外展開のリスクを軽減しつつ、成長機会を取り込むことが可能になります。ただし、現地の文化や商慣行の理解、人材の育成、ガバナンス体制の構築など、克服すべき課題も多いことに留意が必要です。

以上のように、舗装工事業界では、技術革新や環境対応、グローバル化などの動向を踏まえつつ、M&Aを通じて新たな事業機会を探り、競争力を高めていくことが求められています。業界の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現するためには、戦略的なM&Aの活用が鍵となるでしょう。

舗装工事業界のM&Aの動向

舗装工事業界におけるM&Aの動向について解説します。これから舗装工事企業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

舗装工事業界におけるM&Aの目的と効果

舗装工事業界では、M&Aを通じて様々な目的を達成しようとしています。主な目的としては、事業拡大、技術力の向上、経営資源の最適化、事業承継問題の解決などが挙げられます。

国土交通省の調査によると、建設業界全体でのM&A件数は年々増加傾向にあり、2020年には過去最高の300件を超えました。舗装工事業界でも、大手企業を中心にM&Aが活発化しています。

M&Aを行うことで、舗装工事会社は新たな市場や顧客を獲得し、事業を拡大することができます。また、優れた技術を持つ企業を買収することで、自社の技術力を向上させ、競争力を強化することも可能です。

さらに、M&Aを通じて経営資源を最適化し、効率的な事業運営を実現することもできます。例えば、重複する事業や拠点を整理することで、コストを削減し、収益性を高めることができます。

加えて、後継者不在などの事業承継問題を抱える企業にとって、M&Aは有効な解決策の一つです。自社の事業を引き継ぐ適切な後継者を見つけることができれば、従業員の雇用を維持しつつ、事業を継続することができます。

舗装工事業界特有のM&A戦略と成功要因

舗装工事業界では、他の業界と比べていくつかの特徴的なM&A戦略が見られます。

まず、地域密着型の事業展開を重視する傾向があります。舗装工事は地域のインフラ整備に直結するため、地域に根ざした事業運営が求められます。そのため、地方の有力企業を買収し、地域での事業基盤を強化するケースが多くあります。

また、技術力を重視するM&Aも特徴的です。舗装工事では、材料や工法の開発が競争力の源泉となります。先進的な技術を持つ企業を買収することで、自社の技術力を高め、差別化を図ることができます。

さらに、事業承継問題の解決を目的とするM&Aも少なくありません。舗装工事業界では、中小企業が多く、後継者不在に悩む企業が少なくありません。M&Aを通じて、事業を引き継ぐ適切な後継者を見つけることができれば、事業の継続と従業員の雇用維持が可能になります。

M&Aを成功させるためには、いくつかの要因が重要です。

  • 戦略的なM&A対象の選定: 自社の強みや弱みを踏まえ、戦略的に買収対象を選定することが重要です。
  • 適切な価格設定: 買収価格が高すぎると、期待したシナジー効果を発揮できない可能性があります。適切な価格設定が求められます。
  • 綿密なデューデリジェンス: 買収対象企業の財務状況や法的リスクを事前に十分に調査し、リスクを特定・評価することが重要です。
  • PMIの徹底: M&A後の統合プロセス(PMI)を円滑に進めることが、シナジー効果の発揮につながります。組織文化の融和や従業員とのコミュニケーションに配慮することが求められます。

舗装工事業界では、これらの特徴を踏まえたM&A戦略と、成功要因を意識した取り組みが重要となります。M&Aを有効に活用することで、舗装工事会社は事業の成長と企業価値の向上を実現することができるでしょう。

舗装工事業界のM&Aの売却価格相場

舗装工事業界のM&Aにおける売却価格は、企業の規模や収益性、成長性などによって大きく異なります。一般的に、売上高の0.5倍から1.5倍程度が相場と言われていますが、実際の価格は個別の案件によって決定されます。

例えば、2021年に日本道路が清水建設の連結子会社となった際の株式取得価額は、1株あたり2,700円で、総額約382億円でした。この価格は、日本道路の業績や成長性、清水建設とのシナジー効果などを考慮して決定されたものと考えられます。

舗装工事業界のM&Aの地域別動向

舗装工事業界のM&Aは、全国的に行われていますが、特に大都市圏や地方の中核都市での案件が目立ちます。これは、これらの地域では、インフラ整備や都市開発などの需要が高く、舗装工事の受注機会が多いためです。

例えば、東京都や大阪府、愛知県などの大都市圏では、大手建設会社による舗装工事子会社の再編が進んでいます。一方、地方都市では、地場の有力企業同士のM&Aが行われるケースが多く見られます。

また、北海道や東北地方などの積雪寒冷地では、冬季の工事が制限されるため、他地域との連携を強化するためのM&Aが行われる傾向にあります。例えば、2023年には、東京都の佐藤渡辺が、北海道のあすなろ道路を子会社化しています。

舗装工事のM&Aをするメリット

舗装工事業界のM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にして舗装工事業界のM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 事業継承問題の解決
  • 経営資源の有効活用
  • 財務状況の改善
  • 従業員の雇用維持
  • 新たな成長機会の獲得
  • 事業拡大と市場シェアの拡大
  • 技術力と専門性の獲得
  • シナジー効果による競争力強化
  • 優秀な人材の確保
  • 新規事業への参入機会

売却側のメリット

舗装工事業界における売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 事業継承問題の解決
  • 経営資源の有効活用
  • 財務状況の改善
  • 従業員の雇用維持
  • 新たな成長機会の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

事業継承問題の解決

多くの中小企業では、後継者不在による事業継承の問題を抱えています。M&Aを通じて事業を売却することで、この問題を解決できます。実際に、国土交通省の調査によると、建設業界の約60%が後継者問題を抱えていると報告されています。M&Aは、事業の存続と発展を確保する有効な手段の一つです。

経営資源の有効活用

売却側企業が保有する経営資源、例えば設備、技術、ノウハウなどを買収側企業に引き継ぐことで、それらの資源を有効に活用できます。これにより、事業の効率化と競争力の強化が期待できます。

財務状況の改善

M&Aによる事業売却は、売却側企業の財務状況を改善する機会となります。売却資金を得ることで、借入金の返済や新たな投資に充てることができます。また、不採算事業を切り離すことで、財務体質の強化も期待できます。

従業員の雇用維持

事業売却先の企業が従業員の雇用を維持することで、売却側企業の従業員の雇用を守ることができます。これは、従業員の生活の安定と、企業の社会的責任を果たすことにつながります。

新たな成長機会の獲得

売却側企業の経営者や従業員が、買収側企業の一員として新たな環境で働くことで、新しい成長機会を得ることができます。異なる企業文化や事業領域に触れることで、視野を広げ、スキルを向上させる機会となります。

買収側のメリット

M&Aにおける買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 事業拡大と市場シェアの拡大
  • 技術力と専門性の獲得
  • シナジー効果による競争力強化
  • 優秀な人材の確保
  • 新規事業への参入機会

それぞれ詳しく解説していきます。

事業拡大と市場シェアの拡大

M&Aを通じて、買収側企業は事業規模を拡大し、市場シェアを高めることができます。新たな顧客や販路を獲得することで、収益の拡大が期待できます。実際に、大手建設会社による舗装工事子会社の買収事例では、グループ内の連携強化とシナジー効果による事業拡大が報告されています。

技術力と専門性の獲得

買収先企業が保有する技術力や専門性を獲得することで、買収側企業の競争力を高めることができます。特に、舗装工事業界では、材料や工法に関する特許や専門知識が重要な役割を果たします。M&Aを通じてこれらを獲得することで、技術的優位性を確保できます。

シナジー効果による競争力強化

買収側企業と売却側企業の強みを組み合わせることで、シナジー効果が生まれます。例えば、営業力と技術力を融合することで、新たな市場開拓や受注機会の拡大が期待できます。また、重複する業務の統合による効率化や、スケールメリットによるコスト削減も可能です。

優秀な人材の確保

売却側企業の優秀な人材を獲得することで、買収側企業の人的資源を強化できます。特に、熟練した技術者や経験豊富な営業担当者は、事業の発展に大きく貢献します。M&Aを通じて優秀な人材を確保することは、長期的な競争力の源泉となります。

新規事業への参入機会

M&Aを通じて、買収側企業は新たな事業領域に参入する機会を得ることができます。舗装工事業界では、環境配慮型の工法や、インフラメンテナンス事業など、新たな事業機会が生まれています。M&Aにより、これらの分野に必要な技術や知見を獲得することで、新規事業への参入が可能となります。

舗装工事のM&Aの注意点

舗装工事業界におけるM&Aは、企業の成長と発展に大きく貢献する一方で、いくつかの注意点があります。舗装工事業界のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

  • 適正価格の把握と評価の難しさ
  • 文化的・組織的な統合の課題
  • 法的・財務的なリスクの管理

M&Aを成功させるためには、これらの注意点を十分に理解し、適切に対処することが重要です。それぞれ詳しく解説していきます。

適正価格の把握と評価の難しさ

M&Aにおいて、売却側企業の適正価格を把握し、評価することは非常に難しい課題です。舗装工事業界では、企業の価値を判断する際に、技術力、人材、顧客基盤、市場での評判など、様々な要素を考慮する必要があります。

経済産業省の「中小M&A実態調査報告書」によると、中小企業のM&Aにおいて、価格決定の際に最も重視される要素は、「事業の将来性」と「財務内容」であることが明らかになっています。しかし、これらの要素を正確に評価することは容易ではありません。

特に、舗装工事業界では、工事の受注状況や技術力が企業の価値に大きく影響するため、適正価格の判断が難しくなります。M&Aを検討する際は、業界に精通した専門家の助言を求めることが重要です。

文化的・組織的な統合の課題

M&Aを実行した後、買収側企業と売却側企業の文化的・組織的な統合は大きな課題となります。両社の企業文化や価値観の違いから、従業員の士気低下や離職につながるケースもあります。

デロイトトーマツ グループの調査によると、M&Aの失敗要因の上位には、「統合プロセスの問題」と「文化的な違いへの対応の失敗」が挙げられています。舗装工事業界では、長年培ってきた技術やノウハウが重要な役割を果たすため、従業員の協力と融和が不可欠です。

M&Aを成功させるためには、統合プロセスにおいて、両社の文化的な違いを理解し、尊重し合う姿勢が求められます。また、従業員とのコミュニケーションを密に取り、不安や懸念に耳を傾けることが重要です。

法的・財務的なリスクの管理

M&Aには、法的・財務的なリスクが伴います。買収側企業は、売却側企業の債務や法的責任を引き継ぐことになるため、デューデリジェンス(買収前の調査)を徹底的に行う必要があります。

舗装工事業界では、工事の品質や安全性に関する法的責任が重要な問題となります。また、環境規制への対応や、下請け業者との契約関係など、法的なリスクを管理することが求められます。

財務面では、売却側企業の債務や未回収の売掛金など、潜在的なリスクを見落とさないことが重要です。M&Aを検討する際は、弁護士や会計士など、専門家のアドバイスを求めることが不可欠です。

実際に、大手建設会社がM&Aで舗装工事子会社を買収した際、売却側企業の債務や工事の瑕疵などの問題が発覚し、多額の損失を被ったケースがあります。このような事態を避けるためには、徹底したデューデリジェンスとリスク管理が必要不可欠です。

以上のように、舗装工事業界におけるM&Aには、適正価格の評価、文化的・組織的な統合、法的・財務的なリスク管理など、様々な注意点があります。これらの課題に適切に対処することが、M&Aの成功につながります。M&Aを検討する際は、専門家の助言を求め、慎重に進めることが重要です。

舗装工事におけるM&Aを成功させるためのポイント

舗装工事業界におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。舗装工事業界におけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後のプロセス確立

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A戦略の立案

M&Aを成功させるためには、明確な戦略を立てることが不可欠です。自社の強みや弱み、市場環境、競合状況などを分析し、M&Aの目的を明確にする必要があります。

経済産業省の「中小M&A実態調査報告書」によると、M&Aを実施した企業の約70%が、「事業拡大・成長戦略」を目的としていることが明らかになっています。舗装工事業界でM&Aを検討する際は、事業拡大や技術力の向上、地域展開の強化など、具体的な目的を設定することが重要です。

また、M&A戦略の立案には、専門家の助言を求めることが有効です。M&Aアドバイザーや弁護士、会計士などの専門家は、業界の動向や法的・財務的な留意点について、豊富な知識と経験を持っています。彼らの助言を活かすことで、より実現可能性の高い戦略を立てることができます。

なお自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格をよく理解しておく

M&Aを検討する際は、業界の相場価格を十分に理解しておくことが重要です。舗装工事業界のM&Aにおける売却価格は、企業の規模や収益性、成長性などによって大きく異なります。

一般的に、売上高の0.5倍から1.5倍程度が相場と言われていますが、実際の価格は個別の案件によって決定されます。適正価格を判断するためには、業界の動向や類似案件の事例を調査し、専門家の意見を聞くことが有効です。

また、相場価格を理解することは、価格交渉においても重要な役割を果たします。売却側企業の適正価格を把握していれば、買収側企業との交渉を有利に進めることができます。

PMI(統合後プロセス)の確立

M&Aを成功させるためには、PMI(Post-Merger Integration:統合後プロセス)の確立が欠かせません。買収後の企業統合では、業務プロセスの統一や組織文化の融和など、様々な課題に直面します。

PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新経営体制の構築
  • 経営ビジョン実現のための計画策定
  • 両社協業のための体制構築・業務オペレーション

特に、舗装工事業界では、技術やノウハウの継承が重要な課題となります。買収先企業の従業員の協力を得ながら、スムーズな技術移転を実現することが求められます。

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行うことになります。

舗装工事業のM&Aにおける成功事例

舗装工事業のM&Aにおける成功事例を紹介します。これから舗装工事業におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

株式会社コンセックによる株式会社丸金建設とのM&A

株式会社コンセックは、2023年8月31日に株式会社丸金建設の株式100%を取得し、子会社化することを決議しました。このうち90%をコンセックが、残りの10%を子会社の山陰建設サービス株式会社が取得する予定です。

コンセックは、広島県広島市に本社を置く建設会社で、土木建設関連事業を展開しています。「メーカー部門」「工事部門」「商社部門」の三位一体体制で、建設・土木工事現場における安全と環境に配慮した製品や技術を提供しています。

一方、丸金建設は岡山県倉敷市に本社を構える総合建設会社です。土木工事、舗装工事、解体工事などの公共工事を多く手がけており、地域に根差した信用力のある事業を展開しています。2022年6月期の売上高は約1億6,100万円でした。

コンセックは、丸金建設を子会社化することで、工事部門における事業規模の拡大を図ります。丸金建設の地域に根差した事業展開力を活かし、グループ全体での技術交流や相互支援体制を強化することで、シナジー効果を発揮し、さらなる発展を目指します。

この株式取得により、コンセックと丸金建設は互いの強みを活かし、地域社会により貢献できる体制を築いていくことになります。建設業界におけるM&Aの成功事例の1つとして注目されるでしょう。

参考:株式会社丸金建設の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

成友興業株式会社による木本建興株式会社とのM&A

成友興業株式会社は、2024年1月29日に木本建興株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決議しました。

成友興業は、東京都に本社を置く建設会社で、環境事業、建設事業、環境エンジニアリング事業を展開しています。建設事業では、舗装工事を中心に東京都内で事業を拡大してきました。

一方、木本建興は神奈川県相模原市に本社を構える総合建設会社です。昭和52年の設立以来、官公庁から土木工事、水道工事、建築工事を請け負い、東京都や神奈川県で事業を展開しています。特に水道工事の実績が多く、高い施工能力を有しています。

成友興業は、木本建興を子会社化することで、神奈川県での事業展開を図るとともに、グループ全体での技術交流や相互支援体制の充実を目指します。また、成友興業の経営資源や人的資源を投入することで、木本建興の事業基盤をより強固なものとし、グループ全体の収益力向上と企業価値向上を図ります。

この株式取得により、成友興業は建設事業における工種の多角化や請負工事の大型化を推進し、東京都以外の首都圏への地域拡大を実現していきます。木本建興の水道工事の実績と技術力を活かし、両社のシナジーを発揮することで、建設業界におけるプレゼンス向上を目指します。

参考:木本建興株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

株式会社佐藤渡辺によるあすなろ道路株式会社とのM&A

株式会社佐藤渡辺は、2023年3月15日の取締役会において、あすなろ道路株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決議しました。

佐藤渡辺は、東京都港区に本社を置く総合建設会社です。道路舗装工事を中心に、一般土木工事、建築工事、造園工事など幅広い事業を展開しています。2022年3月期の連結売上高は1,118億円、営業利益は69億円でした。

一方、あすなろ道路は、北海道札幌市に本社を構える舗装・土木工事会社です。道路舗装工事や一般土木工事の設計・施工・監理、アスファルト合材の製造・販売を主な事業としています。2022年9月期の売上高は18億3,000万円、営業利益は1億7,500万円でした。

佐藤渡辺は、あすなろ道路を子会社化することで、北海道エリアにおける事業基盤の強化を図ります。あすなろ道路の持つ技術力や施工実績、地域に根差した営業力を活かし、シナジー効果を発揮することで、北海道での受注拡大と収益力の向上を目指します。また、佐藤渡辺グループ全体での技術交流や人材交流も促進し、グループ経営の強化につなげていく方針です。

参考:株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

コムシスホールディングス株式会社による北有建設株式会社及び北興産業株式会社とのM&A

コムシスホールディングス株式会社は、2019年2月8日に北有建設株式会社及び北興産業株式会社の全株式を取得し、子会社化することを発表しました。

コムシスホールディングスは、東京都品川区に本社を置く情報通信インフラ事業を中心とした企業グループの持株会社です。日本コムシス、サンワコムシスエンジニアリング、TOSYSの3社を中核会社とし、通信インフラ設備の設計・施工・保守、ICTソリューションの提供などを行っています。

一方、北有建設は北海道札幌市に本社を構える総合建設会社で、土木工事や舗装工事を主な事業としています。また、北興産業は北有建設の子会社で、アスファルト合材の製造・販売を行っています。両社は北海道を中心に事業を展開し、地域に根差した営業基盤を持っています。

コムシスホールディングスは、北有建設と北興産業を子会社化することで、北海道における通信インフラ工事や保守業務の強化を図ります。両社の持つ土木工事や舗装工事の技術力、地域に密着した営業力を活かし、通信インフラ事業とのシナジーを発揮することで、北海道での事業基盤を強固なものとしていく方針です。また、コムシスグループの資本や技術、ノウハウを投入することで、北有建設と北興産業の事業拡大と収益力向上を支援していきます。

この株式取得により、コムシスホールディングスは北海道における通信インフラ事業の競争力を高め、グループ全体の企業価値向上を目指します。建設業界と情報通信業界の垣根を越えたM&Aとして、注目される事例と言えるでしょう。

参考:簡易株式交換による北有建設株式会社及び北興産業株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

株式会社アクティオによる、ワールド開発工業株式会社とのM&A

新生事業承継株式会社は、2021年9月末に保有していたワールド開発工業株式会社の全株式を、共同保有していた株式会社アクティオに譲渡しました。

株式会社アクティオは、東京都中央区に本社を置く建設機械レンタル会社です。1967年1月に設立され、資本金は5億円となっています。

一方、ワールド開発工業株式会社は、長野県長野市に本社を構える道路舗装工事の専門会社です。国内の新設舗装工事や路盤再生工事のほか、ODA案件での開発途上国の道路建設工事も手がけるグローバル企業で、約3,000台の大型特殊重機を保有し、様々な現場環境に対応可能な技術力を持っています。1970年1月に設立され、資本金は2,000万円です。

新生事業承継株式会社とアクティオは、2020年9月に共同でワールド開発工業株式会社に出資し、その企業価値向上と円滑な事業承継に向けて、両社の金融ノウハウと事業ノウハウを融合させ、三位一体となって取り組んできました。その結果、ワールド開発工業株式会社の業績は順調に推移し、組織的経営体制の整備も進んだことから、新生事業承継株式会社としての役割を終えたと判断し、アクティオに全株式を譲渡することとなりました。

今回の株式譲渡により、ワールド開発工業株式会社は建設機械レンタルで培ったノウハウを持つアクティオの完全子会社となり、更なる事業拡大を目指していきます。

参考:ワールド開発工業株式会社の株式譲渡について

ENEOSホールディングスによるNIPPOの非公開化

ENEOSホールディングスは、2021年9月7日に子会社であるNIPPOの株式の一部をゴールドマン・サックスに譲渡し、共同でNIPPOを非公開化すると発表しました。

ENEOSホールディングスは、石油精製・販売、石油開発、金属、電力・ガスなどを手がける大手エネルギー企業です。一方、NIPPOは道路舗装を中心とした総合建設会社で、ENEOSホールディングスの連結子会社でした。

NIPPOは、国内トップクラスのアスファルト合材製造技術を有し、道路舗装事業で安定した利益を上げていましたが、国内市場の縮小が見込まれる中、海外展開や不動産開発事業の強化による更なる成長が課題となっていました。

ENEOSホールディングスとゴールドマン・サックスは、NIPPOを非公開化し、親子上場に伴う利益相反の可能性を回避しつつ、ゴールドマン・サックスのグローバルなネットワークや不動産開発の知見を活用することで、NIPPOの海外事業や不動産開発事業を拡大し、中長期的な企業価値向上を図ることを目的としています。ENEOSホールディングスは本取引後も50.10%の議決権を保有し、NIPPOの経営をサポートしていく方針です。

参考:子会社株式に対する公開買付け等に係る基本契約の締結に関するお知らせ

株式会社エフ・エス・エルによる滋賀県の土木工事業者とのM&A

千葉県柏市に本社を置く株式会社エフ・エス・エルは、2020年12月に滋賀県所在の土木工事業者を買収しました。この買収資金は、千葉興業銀行松戸支店と日本政策金融公庫千住支店中小企業事業が協調融資という形で支援しています。

株式会社エフ・エス・エルは、食料品等の冷蔵・冷凍輸送を主力とする運送業者ですが、建設発生土の運搬等の建設関連事業も手がけています。一方、買収された滋賀県の土木工事業者は、道路舗装工事を得意としていましたが、後継者不在のため事業承継先を探していました。

エフ・エス・エルは、この土木工事業者を買収することで、自社の建設関連部門の事業規模を拡大し、収益向上を目指しています。今回の買収により、エフ・エス・エルは運送業と建設関連事業の両方で事業基盤を強化することができます。

千葉興業銀行と日本政策金融公庫は、地域経済の発展に取り組む中小企業者を積極的に支援する方針の下、事業拡大のためM&Aを行うエフ・エス・エルに対し、官民連携で買収資金を融資しました。このように、金融機関の協調融資によって、後継者不在企業の事業承継とM&Aを行う企業の成長を同時に後押ししています。

参考:株式会社エフ・エス・エルによる後継者不在企業の買取りを協調融資で支援

株式会社マイスターエンジニアリングによる泰平建設株式会社とのM&A

株式会社マイスターエンジニアリングは、2024年3月1日付で泰平建設株式会社の株式を100%取得し、グループに迎えました。

マイスターエンジニアリングは、1974年の会社設立以来、日本の産業・社会インフラを支える技術サービス集団として、重電機器や都市土木等の超重要インフラの改修・メンテナンスや、半導体、自動車、産業機械など多様な分野への設計・開発・フィールドエンジニアリングを提供しています。高い技術力を持つ中小企業と「技術サービス連邦」を形成し、社会が当たり前に機能するためのインフラを未来に繋いでいくリーダーとなることを目指しています。

一方、泰平建設株式会社は、神奈川県横浜市に本社を構え、横浜市を中心に神奈川県広域において、道路の各種工事(主に舗装・土木工事、とび・土工工事、石工事、鋼構造物工事、しゅんせつ工事、水道施設工事)に対応する土木工事会社です。官公庁元請工事、各地元建設会社をはじめとして安定した事業を行っており、長年の実績を認められ横浜市より各種表彰を受ける高い技術力を持って、地域社会の発展に貢献しています。

今回の株式取得により、マイスターエンジニアリンググループは神奈川県の新たな事業拠点を獲得するとともに、社会機能を安定的に稼働させるために不可欠な超重要インフラの施工・運営・保全の土木領域を更に強化することになります。泰平建設株式会社は、マイスターエンジニアリング本体ならびにグループ会社との協働を通じ組織基盤を強化すると共に、中長期的には営業協力等も行い、グループとしてお客様に提供できる付加価値の拡充に取り組んでいきます。

参考:泰平建設株式会社の株式の取得に関するお知らせ

諏訪重機運輸株式会社による橋本建材興業有限会社とのM&A

株式会社タケエイの100%子会社である諏訪重機運輸株式会社は、2012年10月16日に橋本建材興業有限会社の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

諏訪重機運輸株式会社は、長野県諏訪市に本社を置き、廃棄物処理業や建築解体業を中核事業として、諏訪地域を中心に事業を展開しています。2011年7月にタケエイの子会社となり、同年12月にはM&Aにより有限会社野口木材起業を完全子会社化し、事業領域を松本市及び周辺地域へと拡大してきました。

一方、橋本建材興業有限会社は、1957年に創業し、長野県安曇野市(旧東筑摩郡明科町)を中心に中信地域全域で事業を行ってきました。建設現場で排出されるアスファルトやコンクリート等のがれき類を受け入れ、再生骨材・再生砕石に加工し、土木工事及び建設工事用の資材として供給しています。地元からの評価も高く、地域の公共工事に重要な役割を担ってきました。

諏訪重機運輸が橋本建材興業の全株式を取得した目的は、安曇野市、さらには中信地域北部という新たな事業地域への進出を図るためです。中南信地域から中信地域、さらには北信地域の一部をも視野に、建築解体業と廃棄物処理業の営業基盤強化を目指します。また、増加する解体工事により発生するコンクリートがら等のリサイクルを内製化することで、原価低減を図ります。加えて、北信越地域への中継地点となる物流拠点としての機能も期待されています。

参考:当社子会社諏訪重機運輸株式会社による橋本建材興業有限会社の株式取得に関するお知らせ

清水建設株式会社による日本道路株式会社とのM&A

清水建設株式会社は、2022年2月9日に日本道路株式会社の株式を追加取得し、同社を連結子会社化することを発表しました。

清水建設は、1804年創業の大手総合建設会社です。建築事業、土木事業を中心に、不動産開発事業、エンジニアリング事業などを展開しています。2019年に策定した長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」では、スマートイノベーションカンパニーを目指すことを掲げています。

一方、日本道路は、1933年に設立された道路舗装工事を主力とする建設会社です。道路舗装工事のほか、土木工事、建築工事、製造・販売事業などを手がけています。

清水建設は、日本道路を連結子会社化することで、インフラ整備事業の拡大や新しい事業領域の拡大を図ります。特に、日本道路の都市部を中心とした民間受注の拡大計画に対し、清水建設の営業網を活用することで効果的に支援できると考えています。また、日本道路のアスファルト合材・乳剤の製造・販売事業においても、清水建設の経営資源を活かした製造設備の更新・強化により、製造コストの低減と品質向上、環境保全に努めることで、製造・販売量の確保を目指します。

さらに、両社がより一層協業を強化することで、清水建設の土木事業における最新技術の導入・開発、道路舗装事業における技術者の確保・育成、働き方改革による職場環境改善、ESG経営の推進、コンプライアンス・ガバナンスの強化などが日本道路において可能になると期待されています。

参考:清水建設株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ

佐藤工業株式会社による株式会社佐藤渡辺との資本業務提携

2022年2月21日、佐藤工業株式会社は株式会社佐藤渡辺との間で資本業務提携契約を締結し、佐藤渡辺が実施する第三者割当増資を引き受けることを発表しました。

佐藤工業は、福島県を拠点とする総合建設会社です。1948年の創業以来、地域に根差した事業活動を行っており、2022年10月には創業75周年を迎えました。インフラ整備や維持管理、自然災害対策工事など、地域の安全・安心の確保に尽力しています。

一方、佐藤渡辺は東京都に本社を置く舗装工事の専門会社で、1923年の創業以来、全国各地で道路舗装工事に携わってきました。特に景観に配慮した舗装である「ポーラスコンクリート舗装」を得意としており、独自の技術力を強みとしています。

今回の資本業務提携により、両社は土木工事や建築工事、道路舗装工事などで連携し、受注拡大を目指します。技術・施工面での協力体制を構築するとともに、資機材の相互活用なども行う計画です。佐藤工業にとっては、佐藤渡辺の持つ高い技術力を活用し、事業領域の拡大と収益力の向上が期待できます。一方、佐藤渡辺は佐藤工業との取引関係の強化により、安定した受注の確保と、研究開発の推進による競争力の強化を図ります。

この提携を通じ、両社はシナジー効果を発揮しながら、インフラ整備という社会的使命を果たし、一層の企業価値向上を目指していきます。

参考:佐藤工業株式会社との資本業務提携契約締結および第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ

ライト工業株式会社によるFecon Underground Construction Joint Stock Company(ベトナム)とのM&A

ライト工業株式会社は、2022年12月20日開催の取締役会において、持分法適用関連会社であるFecon Underground Construction Joint Stock Company(以下、「FCU社」)の第三者割当増資を引き受け、連結子会社化することを決議しました。

ライト工業は、米国・シンガポール・ベトナムを主体に海外事業を展開している建設会社です。地盤改良工事を主力事業とし、中期経営計画「Raito2024」において総売上高一割事業に向けた持続的成長を目指しています。

FCU社は、ライト工業が36%出資するベトナムの地下関連工事会社です。深層混合処理等の地盤改良工事に加え、トンネル・シールド工事、推進工事を担っています。

今回のM&Aの目的は、ライト工業の連結子会社であるRaito-Fecon Innovative Geotechnical Engineering Joint Stock Company(以下、「RFI社」)とFCU社の経営統合を行うことです。両社の事業は地盤改良分野において重複しており、関連性が高いため、組織体制を一体化することでベトナム事業の成長・拡大に資すると判断されました。経営統合に伴い、FCU社はRFI社を子会社化し、今後の事業拡大に向けて財務基盤の更なる強化を図るため第三者割当増資を実施します。これをライト工業が引き受けることで、FCU社はライト工業の連結子会社となります。

参考:当社持分法適用関連会社である Fecon Underground Construction Joint Stock Company(ベトナム)の第三者割当増資引受(連結子会社化)に関するお知らせ

戸田建設株式会社による株式会社日新ライフ及び株式会社櫻橋商会とのM&A

2020年6月26日、戸田建設株式会社は株式会社日新ライフ及びその子会社である株式会社櫻橋商会の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

戸田建設は、建築・土木の一式工事に関する調査から施工までを総合的に手がける準大手ゼネコンです。1881年の創業以来、建築事業、土木事業を中心に、不動産開発事業、エンジニアリング事業などを展開しています。

一方、日新ライフは東京都中央区に本社を置く不動産管理会社で、ビルメンテナンス事業や不動産賃貸事業を行っています。その子会社の櫻橋商会は、ビルの清掃管理や設備管理などを手がける会社です。

戸田建設は、日新ライフと櫻橋商会を子会社化することで、ビルメンテナンス事業の強化を図ります。戸田建設が建設した建物の維持管理を一貫して行える体制を整えることで、顧客満足度の向上とストック収益の拡大を目指します。また、M&Aによる業容拡大により、グループ全体の競争力強化にもつなげていく方針です。

この株式取得により、戸田建設は建設からメンテナンスまでをグループ内で一気通貫で提供できる体制を構築し、ビル管理の分野で事業基盤を強化していきます。

参考:吸収合併に係る事後開示書面

戸田建設株式会社による佐藤工業株式会社とのM&A

戸田建設株式会社は、2018年12月に佐藤工業株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。

戸田建設は、1881年の創業以来、建築事業、土木事業を中心に、不動産開発事業、エンジニアリング事業などを展開している準大手ゼネコンです。

一方、佐藤工業は福島県福島市に本社を置く総合建設会社で、1948年の創業以来、地域に根差した事業活動を行ってきました。インフラ整備や維持管理、自然災害対策工事など、地域の安全・安心の確保に尽力しています。

戸田建設は、佐藤工業を完全子会社化することで、東北地方での事業基盤の強化を図ります。佐藤工業の持つ地域密着型の営業力や技術力を活用し、震災復興関連事業や再生可能エネルギー関連事業などでのシナジー効果を見込んでいます。また、戸田建設グループの経営資源を投入することで、佐藤工業の事業拡大と収益力向上を支援していく方針です。

この株式取得により、戸田建設は東北地域における建設事業の競争力を高め、グループ全体の企業価値向上を目指します。地域に根差した建設会社の完全子会社化という形でのM&Aは、建設業界における注目すべき事例と言えるでしょう。

参考:佐藤工業株式会社(本社:福島県)の完全子会社化に関するお知らせ

株式会社東京エネシスによる株式会社日立プラントコンストラクションとのM&A

株式会社東京エネシスは、2021年1月27日に株式会社日立プラントコンストラクションの火力発電に関連する事業の一部を会社分割により承継する統合基本契約の締結を決議しました。

東京エネシスは、発電所や土木、道路などの施工事業や、諸設備の保守・点検事業、電気供給事業などを運営する会社です。

一方、日立プラントコンストラクションは、火力発電所の主要設備であるボイラー・タービン・発電機などの据付工事を柱として、独自の工法や技術の開発に努め、特に吊搬を駆使した工事計画の立案や工期短縮に資する機材の開発などの面で優れた技術を保有しています。

東京エネシスは、2050年の脱炭素化社会実現に向けたエネルギー供給構造変革の議論が進められていく中で、これまでの電力事業を安定的に支えていくとともに、再生可能エネルギーの主力電源化等を目指した構造変革へ柔軟に対応すべく、組織力・技術力・施工力の強化・拡充を目的として、日立プラントコンストラクションの火力発電関連事業の一部を承継することを決定しました。

この事業承継により、東京エネシスは日立プラントコンストラクションが有する優れた技術による生産性の向上、直営技術や海外経験を有する優秀な人材の獲得、事業領域の拡大による収益力の強化などのシナジー効果を期待しています。

参考:会社分割(簡易分割)による株式会社日立プラントコンストラクションの事業承継に関するお知らせ

まとめ

今回は舗装工事会社のM&A・事業承継に関する知識を詳しく解説しました。

舗装工事業界は、インフラ整備や維持管理の需要が安定的に見込まれる一方で、後継者問題や技術継承の課題を抱えています。そのような状況下で、M&Aは企業の成長戦略や事業承継の有効な手段として注目されています。

M&Aを成功させるためには、明確な目的と戦略の立案、適正価格の把握、PMIの確立などが重要なポイントとなります。また、M&Aの実行には専門的な知識と経験が必要であり、M&Aアドバイザーや弁護士、会計士などの専門家の支援を受けることが不可欠です。

本記事で紹介した事例からも分かるように、M&Aを適切に活用することで、事業拡大、技術力の向上、経営課題の解決など、様々なメリットを得ることができます。舗装工事会社の経営者の方々には、M&Aを成長戦略の選択肢の一つとして検討していただければ幸いです。

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