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引越し会社のM&A・事業承継の全知識!売却相場・事例・成功ポイントを徹底解説

「引越し業界のM&Aの売却相場は?」
「引越し業界のM&Aについて知りたい」

この記事をご覧の方は、上記のような疑問をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

実際に現状「引越し業界 M&A」等と検索しても、信憑性に欠ける記事や専門家が執筆した解読が難解な記事しかなく、素人が目にしても理解できない記事が多いです。

そこで、今回はM&Aの専門企業であるM&A HACK」が、引越し会社のM&Aについて分かりやすく簡潔に解説します。

引越し業界におけるM&Aの売却相場や成功ポイントについても詳しく解説するので、引越し会社のM&Aに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

目次

引越しとは

引越しとは

引越しとは、住居や事務所を移転する行為のことを指します。引越しは様々な年齢層や家族構成の人々に必要とされているサービスです。一回の引越しが大変な分、単価はとても高くなります。そのため、顧客一人一人に丁寧に接客をすることが大切です。

また、引越しにおけるどのようなことをサポートして欲しいのかが顧客によって大きく変わります。そのため、引越しにおいては柔軟に仕事をすることも大切です。そうすることで、顧客との信頼関係が築けます。

引っ越しは単なる荷物の移動ではなく、人生の新しい一歩を後押しするサービスです。業者は、引っ越しを通じて顧客の新生活への大切な一歩を支える責任があります。

ニーズが非常に多様

引越しは、人の人生の段階を示すライフステージとの結びつきが強いです。顧客のライフステージがどこにあるかによって、引越しの目的も大きく変わります。

例えば、若めの単身者の場合は、就職や転勤で都市間を移動する人や、賃貸物件の変更が多い人です。こうした人々には荷物が少ない分、低コストで効率的な引っ越しサービスが求められます。

一方、新婚・子育て世帯は、新生活を始める新婚夫婦や、子供の成長に伴い広い住居へ移る家族です。こうした世帯には、大きな荷物の移動、大量の家具の組立・設置、子どもの引っ越しへの配慮などが必要となり大規模となります。

また、高齢者世帯では、介護が必要になり家族のもとに住んだり、便利な施設がある都会に移り住んだりする人々が多いです。このような世帯は主に家財の処分、思い出の品の移行などがメインとなります。間違って必要なものを捨ててしまわないように、丁寧に仕事をすることが必要です。

このように、引越しはライフステージに合わせて適切なプランを作る必要があり、そこが他の業界とは違う点だといえます。

リスク軽減のためのM&Aが多い

引っ越し業界では、トラックなどの車両や倉庫などの設備への高い初期投資が必要となり、それが事業リスクを高める要因となっている状況です。こうした投資リスクを分散しながら成長を続けるための一つの方策として、M&Aが注目されています。

大手企業が中小の引っ越し業者を買収することで、車両や人員、顧客基盤などの経営資源を素早く獲得できるのがメリットです。一方で中小企業側も、資金力の確保や販路の拡大、効率的な経営体制の構築などが期待できます。

M&Aによって大手企業はさらなる事業の拡大、中小企業は経営基盤を強化できます。他にも競争力が高まる、従業員の待遇改善につながるなどの良い点が多く見込めます。

引越し業界の市場動向と市場規模

図1 移動者数の推移(1954年~2021年)

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果」より

上の資料は引越しをした人の数の推移となりますが、これを見ると1970年代にあるピークを境に、少しずつ減少していっていることがわかります。ただし、都道府県内の移動者数と都道府県間の移動者数の差はほとんどありません。特に1960年代、1970年代に至っては2回も重なりあっています。

また近年は、このような引越し数の減少により競争が激化し、運送業から引っ越し事業へ参入していた兼業業者が、引っ越し事業から撤退するケースが多いです。その結果、引っ越し業界全体での事業者数が減少傾向にあります。

一般配送と比べて引っ越しは、大型車両や機材などへの継続的な設備投資が欠かせません。最近は長らく続く不況により、本業優先で引っ越し部門を縮小せざるを得ない状況に陥る業者が多いです。こうした事業環境の変化により、今後は引っ越し専業者が増えていくと考えられています。

引越し業界が持つ課題

引越し業界の市場規模は拡大傾向にありますが、引越し業界には様々な課題があります。引越し業界が持つ主な課題は、以下の通りです。

  • 少子化による人手不足
  • 業務のIT化の遅れ
  • 事業における環境汚染の拡大

それぞれ詳しく解説していきます。

少子化による人手不足

引っ越し業界における人手不足は深刻な状況が続いているのが現状です。重労働が多く、長時間の拘束時間や夜勤があるなど、過酷な労働環境が従業員の離職を引き起こす大きな要因となっています。賃金水準も他業種に比べて決して高くなく、処遇面での魅力に乏しいことも就労を避けられる理由の一つです。

加えて、若年層の入職者が大幅に減少している点も大きな問題となっています。引っ越し作業は体力労働が中心となるため、現役世代の労働者が不可欠ですが、それを十分に確保できず常に人手不足な業界です。また3K(きつい、汚い、危険)といった引っ越し業界のイメージが若者の就職を阻んでいるとの指摘もあります。

このように優秀な人材の確保が難しい状況が続き、引っ越し作業の中核を担う運転手や作業員が慢性的に少ないです。結果、安全面や品質面でのトラブルリスクが高まり、サービスの質の維持が大きな課題となっています。人材育成と労働環境改善、処遇改善による採用力の向上など、抜本的な対策が急務といえるでしょう。

業務のIT化の遅れ

引っ越し業界ではIT化が大きく遅れをとっている場合があり、無駄のある非効率な業務プロセスが多く見られます。まず、受注システムにおいてデジタル化が進んでおらず、電話やFAXベースの非IT化された受注が多数です。Web受注やクラウド型受注管理の導入が進まないことで、作業の手間が大きくなっています。

また、作業工程の自動化が不十分で、運送指示や進捗管理の多くが人手作業に頼らざるを得ず、手作業による手間とミスが発生しがちです。ドライバーの位置情報管理や発着情報のリアルタイム連携など、効率的な物流管理システムが未整備なのも問題となっています。さらに、受注・運送・売上・人事・会計などの業務がバラバラで、連携が不十分なため、重複入力が生じるなど生産性が低くなってしまうのが課題です。

IT化の遅れにより、引っ越し業務全般に無駄や手間がかかり、作業効率が落ちています。デジタル化のためのシステム投資と業務改革を進めることが、生産性の大幅な改善につながるでしょう。人手不足に対する対策としても、ITの活用は有効な手段と注目されています。

事業における環境汚染の拡大

引っ越し業界は環境負荷が大きい業種の一つと指摘されており、早急な対策が求められています。まず、ダンボールや緩衝材などの大量の梱包資材を使用しているため、ゴミ問題が深刻です。リサイクル対応がなされておらず、環境負荷が大きくなっています。

加えて、大型トラックなど大量の運送車両を使用するため、排出ガス(CO2など)の排出量が多いです。また、昔の燃費が悪いトラックを使用して業務をしている場合もあり、ガソリンの消費量も多くなる可能性があります。

業界全体として、環境に良い物流の推進に向けた取り組みが遅れているのが実情です。梱包材の削減や再利用、エコカー導入など環境配慮の取り組みが求められる中で、引っ越し会社の本格的な対応はまだ進んでいません。今後は積極的な環境経営の推進が、企業の社会的責任として欠かせない課題となるでしょう。

引越し業の動向と今後

M&Aにおいて業界の現状とこれからを理解しておくことは非常に重要です。そこで、ここでは引越し業の動向と今後について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

差別化対策の必須化

引越し業界では近年、価格競争が激化し単価が下落する傾向です。このような厳しい事業環境に対抗するため、各社は従来の物流機能の強化に加え、既存のサービスの拡充による差別化戦略を積極的に展開しています。

具体的には、家電などの物販サービス、電気工事、家電リサイクルなど、物流以外の様々な付随サービスを追加することで魅力を挙げている企業が多いです。単なる荷物の移動にとどまらず、顧客の生活やビジネスに深く関わるサービスを提供すると差別化できるかもしれません。

また、従量制の料金体系を一層細分化し、個々の顧客の荷物量や輸送距離に応じて適切な価格設定を行うことで、顧客一人ひとりが満足できるようなサービスを提供している企業もあります。

特に中小の引越し業者にとっては、大手企業に対抗するための付加価値サービスの拡充が急務となっており、新規サービスの開発や業務の多角化に力を入れざるを得ない状況です。価格競争だけでは太刀打ちできないため、きめ細かいサービスや質の高い顧客対応などで差別化を図ることが生き残りの鍵となっています。

物流技術の外部活用の増加

最近は引っ越し業界の持つ物流機能を、他の産業分野で積極的に活用する動きが広がっている状況です。従来は自社の引っ越しサービスのみに専念していましたが、近年は得意分野である物流ノウハウを生かし、外部企業から物品の輸送や搬入出作業を請け負うケースが増えてきました。

具体的には、工場や事務所の移転に伴う大規模な機器の搬出入作業やイベント物資の運搬、空港における手荷物の取り扱いなどを手がけています。重量物の取り扱いや精密機器の慎重な作業には、引っ越し業者が培った専門的なノウハウが活かせるためです。

引っ越し業界は人手不足や業界の成熟化で成長が鈍化している反面、技術の基盤は底堅く、その機能を外部に提供することで新たな収益源の開拓を図っています。既存技術の有効活用により、事業の多角化と収益基盤の強化を目指すことが可能です。

外国人労働者の雇用の増加

引っ越し業界では、日本人従業員の確保が困難なため、外国人労働者の受け入れによって人手を補おうという動きが広がっています。言語や文化の違いはあるものの、外国人労働者を積極的に雇用することで、人員の手当てを図る企業が増えてきました。

実際に外国人労働者を活用する際には、現場でのコミュニケーション円滑化や、作業上の安全確保、生活面での支援など、様々な課題に対応が求められます。外国人従業員への実務教育の徹底や、バイリンガル人材の活用なども重要です。

そして、将来の中心となる人材の確保と育成を見据え、外国人労働者の長期的な定着を狙う取り組みも行われるようになってきました。単なる人手補充にとどまらず、外国人従業員のキャリア形成支援にも力を入れる動きがあります。

引っ越し業界は人手不足対策として外国人労働者活用が本格化しており、外国人従業員の育成と定着に注力することで、企業は長期的に役立つ人材を確保することが可能です。

引越し業界のM&Aの動向

引越し業界におけるM&Aの動向について解説します。これから引越し企業のM&Aを検討している人は、ぜひ情報の一部として参考にしてください。

人手不足対策のためのM&Aが増加

現在引越し業界が慢性的な人材不足に直面する中、M&Aが有効な解決策の1つとして活用されています。M&Aによって買い取った企業の従業員を自社に入れることによって、人材を獲得することが可能です。

M&Aによって、作業員の人員を集約化し補完できるだけでなく、優秀な人材を確保し、彼らの持つノウハウやスキルを吸収することが可能になります。これにより自社の人材育成力を高め、長期的な視点から人員を確保・強化できるはずです。また、M&AでIT技術を買い取ることで、限られた人員での生産性を最大化し、人手不足を補う効果も期待できます。

さらにM&Aを契機に規模が拡大すれば、従業員の賃金アップなども実現しやすくなり、人材確保が一層しやすくなるでしょう。若手や未経験者の育成が重要課題となっている引越し業界で、M&Aを通じた教育研修体制の強化により、人材育成面での大きな効果を挙げられる可能性もあります。

大企業の買収による中小企業の減少

引越し業界では近年、大手企業による中小企業の買収が目覚ましいペースで進んでいる状況です。この動きが業界全体の再編を加速させる大きな要因となっています。

M&Aは大手企業にとって競争力強化の有力な手段です。大手各社は継続的に優良な中小企業を買収・統合することで、シェア拡大やネットワーク補完、業務基盤の強化などのメリットを享受してきました。こうした大手企業の積極的なM&A戦略の結果、上位数社による中小企業買収が相次ぎ、大企業の市場シェアが高まっている状況です。一方で、中小企業の数は年々減少の一途をたどっています。

そして、引越し業界では近年の全国的な引越し需要の減少傾向が問題です。それにより、多くの中小企業が事業の維持が困難になってきました。そうした中で、経営が厳しくなった中小企業の売却意欲が高まり、続々と中小企業が大企業とM&A契約を結んでいます。そのため、大企業と中小企業のニーズが合致していることも中小企業の買収ラッシュに拍車をかけているのです。

地方への事業拡大のためのM&Aも多数

引越しニーズには地域による偏在があるため、各地域への対応力が引越し業界にとって重要な課題となっています。このため、M&Aを活用して積極的に地域展開を図る動きも現在活発です。

新規で物流拠点を設置するよりも、M&Aで地元に強い優良な中小引越し業者を取り込む方が、スピーディーかつ低コストのエリア展開が可能になります。都道府県内で引越しをする人々も多いです。そのため、その人々をターゲットにした地元企業や営業網、人脈を広く獲得できれば、大きな利益の向上が見込めます。

それだけでなく、エリア外への事業進出の足がかりを得られることもメリットです。未展開エリアの近くに根を張る企業を買収すれば、そこを拠点に円滑な事業展開ができます。事業展開のコストも最小限に抑えられるでしょう。

引越しのM&Aをするメリット

引越しのM&Aにおいてのメリットを売却側・買収側の両方から解説します。メリットを元にして引越しのM&Aを検討してください。

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 仕事効率の向上
  • 人材不足の解決
  • 従業員の雇用先の確保
  • 担保や個人保証の解決
  • 早期リタイアが可能
  • 譲渡による利益の獲得
  • 事業規模の迅速で効果的な拡大
  • 新規事業へのハードルの低下
  • 優秀な人材の確保が可能
  • シナジー効果の発揮
  • 優秀な技術や知的財産の獲得

売却側のメリット

引越しにおける売却側のメリットは、以下の通りです。

  • 仕事効率の向上
  • 人材不足の解決
  • 従業員の雇用先の確保
  • 担保や個人保証の解決
  • 早期リタイアが可能
  • 譲渡による利益の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

仕事効率の向上

引越しにおいては、引越しをどれだけ効率的に早く行えるかが大切です。しかし、中小企業においては設備や技術への投資に限界がある状態です。なので、大企業に勝てるようなサービスを行うことは困難でしょう。

しかし、大企業の傘下に入ることにより、大企業の豊富な資金や設備を使って自社を急成長させることが可能です。また、合併した大企業と競争の必要がなくなるのも良いといえます。

人材不足の解決

昔に創業をした引越しに携わる企業は、現在後を継ぐ人がいない状態です。これには少子高齢化や過酷な労働環境などが関わっています。深刻な後継者不足によって廃業してしまうと、顧客や取引先に迷惑をかけてしまうでしょう。

M&Aをここですることにより、買い手に経営を任せることができます。それにより、会社は廃業を避けて存続することが可能です。買い手側の豊富な人材により、今までできなかったことができる可能性もあります。

従業員の雇用先の確保

先ほどの後継者問題とも関係しますが、会社が廃業となると従業員が全員失業してしまうこととなります。ここでM&Aを使うことにより従業員の雇用先を確保することが可能です。それによって、自身が従業員を解雇する必要もなくなり、従業員の暮らしが守られます。

従業員の雇用条件については買い手と売り手で詳しく相談する必要はありますが、買い手も従業員の確保は進めたいので、上手くいくケースが多いです。

M&Aに関しては黒字の会社の方が買われやすいのですが、赤字の会社でも何かユニークな技術や顧客からの人気、信頼などがあれば売却できる可能性があります。

担保や個人保証の解決

中小の引越し業者にとって、事業運営のために融資を受ける際に、経営者個人が保証や担保を差し入れることは一般的です。しかし、その個人保証や担保は、万が一の場合に経営者自身の私財を失う危険性があり、大きな心理的プレッシャーとなります。

そういった観点から、M&Aによって事業を売却することで、経営者は個人保証や担保に伴う個人的なリスクから解放されるメリットがあると言えるでしょう。つまり、M&Aを活用することで、経営者自身が破産の危機にさらされるリスクを回避できます。

早期リタイアが可能

引越し業における経営者は、後継者不足や赤字による借金など事業に対する悩みや不安を抱えています。M&Aで会社を売ることにより、経営者ではなくなり悩みや不安は無くなるでしょう。

会社を売却して得た収益を使えば、今後の生活資金も確保可能なので、老後までずっと金に困らずに生活が可能です。ですので、早期で仕事を辞めるために引越し企業におけるM&Aをすることもよくあります。

譲渡による利益の獲得

M&Aで売却をすることにより、企業価値に応じて利益を得ることができます。中小企業においてはかなりの場合経営者とその周りが株式などを保有しているので、ほとんどの利益を独占し新たな事業に活用が可能です。さらに、エグジットのためにM&Aをすることもできます。

実際、新たな事業をするために既存の企業を売却する例も多いです。しかし、M&Aのプランにより課せられる税金や売却益の獲得者が変わる可能性もあるため、そこは注意が必要となります。

買収側のメリット

引越しにおける買収側のメリットは、以下の通りです。

  • 事業規模の迅速で効果的な拡大
  • 新規事業へのハードルの低下
  • 優秀な人材の確保が可能
  • シナジー効果の発揮
  • 優秀な技術や知的財産の獲得

それぞれ詳しく解説していきます。

事業規模の迅速で効果的な拡大

M&Aにおいて買収側が得られる最大のメリットは、事業拡大ができることです。M&Aによって買収側の企業は事業規模や事業エリアの拡大などを狙うことができます。

引越しのM&Aにおいては、トラックや従業員といった有形資産と、地域からの信頼や引越し技術などの無形資産を両方手に入れることが可能です。大きな信頼や独自の強みを持つ企業を買い取ることによって、円滑な事業を展開できます。引越しにおいては競合他社に負けずに顧客のニーズに応えることが必須なので、それが円滑になるのは嬉しいことです。

新規事業へのハードルの低下

M&Aを行うことによって、買収側企業は新規事業への参入を容易に行うことが可能です。一から新規事業として立ち上げるより、はるかに早期進出が可能となります。

景気の悪化により単一分野での事業展開は非常に危険とされている現代において、M&Aによる新規事業への参入は非常にメリットが大きいとされている戦略です。リスク分散の観点からM&Aをする大手企業の数は、ここ数年で一気に増加しています。

また売却先の企業が持つノウハウや市場シェアをそのまま引き継ぐことができるため、総体的に見れば、新規事業への投資額を削減することにも繋がるでしょう。新規事業参入におけるコスト削減でも大きく貢献する要素となります。

引越し業界は、多くのトラックがなければ利益を出すことができない業界です。なので、それらを持つ企業を買い取ることにより、有利な状態でビジネスを始めることができます。

優秀な人材の確保が可能

少子高齢化が問題となっている現代では、優秀な人材の確保はどの業界においても必須の課題です。優秀な人材を確保することは、そのまま企業の行く末に作用します。

M&Aを行うことによって、売却側企業に所属する従業員をそのまま雇用すれば、優秀な人材をそのまま自社に引き入れることができます。もちろん業界におけるノウハウも既に所有しているため、研修を行う手間も省くことが可能です。

ただし売却側企業に所属する従業員全員が優秀であることの保証はないことに加え、M&A後の企業文化の変化に付いてこられず、離職する従業員が発生する可能性もあります。M&Aによって従業員を引き継ぐ場合には、非常に繊細な注意が必要です。

さらに、引越しは大変な重労働となります。そのため、従業員を前の会社よりも多く働かせると過労死などの問題が起こりかねません。従業員の心身のケアは常にする必要があります。

シナジー効果の発揮

他の企業を買収し二つの企業の経営資源や技術を融合することにより、相乗的な効果が生まれます。例えば企業が持っていた大量のトラックともう一つの企業が持っていた優秀な従業員を組み合わせて、効率的な業務体制を作るなどが一例です。

さらに、二つの企業の従業員同士が交流しながら働くことにより、お互いで技術の向上ができるかもしれません。ただし、逆に二つの企業が合わさることにより悪い効果が生まれる可能性もあるので、工夫が必要です。

優秀な技術や知的財産の獲得

買収をするとできることの一つに、優秀な技術や知的財産の獲得が挙げられます。引越し作業の効率化に関するノウハウや、物流管理、顧客管理に関するシステム、さらには地域での知名度や顧客基盤といった無形の資産は、買収先企業から獲得できれば大きな強みとなるはずです。

例えば、荷物の梱包や運搬を効率的に行う施工技術、作業工程の最適化手法などを取得できれば、業務効率の改善や生産性の向上が図れ、競争力を高められます。また、荷物追跡や最適ルート検索、配車管理などの物流システム、見積・予約管理や顧客データベースなどのITツールを入手できれば、サービスの高付加価値化や収益性の向上にもつながるでしょう。

さらに、買収した企業が長年培ってきた地域における高い信頼と顧客基盤があれば、買収企業はその顧客を自社に取り込むことで、瞬時に売上を伸ばすチャンスを得られます。特に中小企業の買収では、そうした地場に根付いた技術やノウハウ、顧客の獲得が、大手企業にとって大きなメリットとなる場合が多いです。

引越しのM&Aの注意点

引越しのM&Aを行う際の注意点を解説します。引越し業界のM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。

  • M&A前の調査(デューデリジェンス)
  • 買収先の事前の情報確認
  • 従業員、取引先や情報の流出
  • M&Aの専門知識を持たない状態での引き継ぎ

それぞれ詳しく解説していきます。

M&A前の調査(デューデリジェンス)

M&Aにおいて、買収する企業のことを詳しく調査することは必須です。企業を買収した後に問題が発見されると非常に大きな負担がかかってしまいます。そのため現在のM&Aでは先にデューデリジェンスと呼ばれる調査をすることが主流です。

例を挙げると、薄外債務の発覚で思わぬ借金を抱えることがよく起こり得ます。そのため、財務に関する調査を事前にしておくことでそれを防ぐことが可能です。全ての問題を洗い出し解決することにより、買収後スムーズに事業を進められます。

これは買う側に限ったことではありません。売る側も社内調査をしておきそれを報告する義務があります。もしデューデリジェンスで問題が発覚した場合、相手の信頼を下げてしまうことがあり危険です。

買収先の事前の情報確認

これも事前調査と関係がありますが、買収した企業の資源や過去の情報をあらかじめ確認しなければなりません。もし買収した企業が想定より少ないトラックを持っていた場合、大きな損害が生じてしまいます。

他にも、買収した企業が過去に問題を起こしていた場合も大変です。従業員の不祥事などが起こっていると、顧客の信頼度を大きく下げます。すると、サービスの利用者が減り想定よりも少ない利益を得ることになるでしょう。

売り手側もきちんとM&Aの前に情報の整理をする必要があります。もし相手側が自身の会社のことをよく理解していない場合、正しく情報を伝えることが大事です。それだけでなく、買い手が資源などを売り手と共有したくない場合もあります。それに関しても先に確認しておくことが重要です。

従業員、取引先や情報の流出

M&Aにて買収を行う企業は、売り手側の従業員や取引先を狙うことも数多くあります。しかし、環境と企業文化が変わることにより、従業員や取引先が流出してしまうかもしれません。

それを防ぐためには、従業員や取引先の事情やこだわりなどを丁寧に考えて、良い施策を打つことが大切です。

さらに、場合によってはM&Aの計画情報が交渉中に漏えいすることがあります。そうすると、従業員や取引先がM&Aの前に減少してしまい価値が下がってしまうかもしれません。そのためには、情報を明かさないために交渉相手と秘密保持契約を結び、情報の漏えい対策をすることが必須です。

M&Aの専門知識を持たない状態での引き継ぎ

引越し業界に限らず、M&Aでは、買い手が売り手より知識や経験が豊富なことから情報格差があるため、M&Aの専門知識を持たない状態での売買は非常に危険です。

買い手の知識・経験が圧倒的に売り手を上回る場合には、買い手が有利になるような企業の低額買収が起こりかねません。最悪の場合には、M&Aで得をしようとしたはずが、不利な条件でM&Aをすることによって、巨大な損害を被るケースもあります。

そこで、もしM&Aの経験が不足しているのであれば、M&Aアドバイザーを導入するのが定石です。M&Aで自社が損害を被ることを避けるのはもちろん、より有利な条件でM&Aを成功させることが出来るでしょう。

引越しにおけるM&Aを成功させるためのポイント

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引越しにおけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。引越しにおけるM&Aを成功させるためのポイントは、以下の通りです。

  • M&A戦略の立案
  • 相場価格をよく理解しておく
  • 統合後の事業計画の確立

それぞれ詳しく例を用いながら解説していきます。

M&A戦略の立案

M&A戦略とは、M&Aによってどのような効果を得るのかを検討するための準備や計画を指すものです。M&A戦略の如何によって、M&A後の事業計画もより具体化・明確化されます。

M&A戦略では、自社を分析するSWOT分析や市場調査・業界トレンドを調査して傾向の把握が必須です。明確な戦略を立てたうえで、買収、売却先の選定や交渉を行っていくこととなります。

M&A戦略において重要視すべきポイントは、以下の通りです。

  • M&Aにより何を達成したいか(売却・売却後まで視野に入れたもの)
  • 自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か(事業の一部または全部)
  • いつ・誰と・何を・いくらで・どのように売却(買収)するか
  • 買収(売却)において障壁となる要素はあるか
  • M&Aに必要な予算はどのくらいか(買収側のみ)

上記のポイントを押さえておくだけで、M&Aにおける戦略はより具体的なものになるはずです。反対にM&A戦略が雑だと、交渉において不利な条件を飲まされるなどの弊害が発生します。

以下は引越しにおける簡単な一例です。参考にしてみてください。

買収側

M&Aにより何を達成したいか

M&Aにより、引越し事業を九州にも拡大したい。それにより売上高を大幅に増やしたい。

いつ・誰と・何を・いくらで・どのように買収するか

半年後にA社の開発した事業や資産の一部を相場にあった金額で銀行融資を使って買収する。

買収において障壁となる要素はあるか

現在まだA社の財務調査が済んでおらず、買収をした際損をしてしまうリスクがある。
M&Aに必要な予算はどのくらいか 〇〇億円での買収を予定。しかし、売り手の希望による少しの変更は可。

売却側

M&Aにより何を達成したいか M&Aにより従業員の雇用先を確保したい。また、売却時に手に入れた利益を使い新たに起業をしたい。
自社は売れるのか。売れるとすればどの部分か 自社は地元に即した引越し事業をしており、従業員の教育に力を入れている。多大な信頼と優秀な従業員を持っているので、それら全部をアピールすれば多大な収益が得られる。
いつ・誰と・何を・いくらで・どのように売却するか 利益が安定している時期にB社に対して自社の在庫、従業員を含めた全ての財産を時価に会う適正な価格でM&Aアドバイザーを通して譲渡する。
売却において障壁となる要素はあるか 現在調子が悪いトラックがある。買収より前にトラックのメンテナンスと修理を行い、万全の状態にしておく必要がある。

(実際はこれよりもっと細かく正確に計画を練る必要があります)

しかし、この例を見ると「相場にあった金額」や「時価に会う適正な価格」など、どう決めれば良いかわからないものが複数あると思います。これらを決めるのに大抵の企業は専門業者に依頼や相談をするのが定石です。素人が一人でM&Aをするのは大変危険なので絶対にやってはいけません。

そこで、自社にM&Aにおいて詳しい人物が所属していないのであれば、M&A委託業者に戦略の立案・実行を依頼することを強く推奨します。費用こそ掛かりますが、よりスムーズにM&Aを成功まで導いてくれるでしょう。

当社のM&A仲介サービス「M&A HACK」では上記の戦略実行・買い手紹介を完全成功報酬でリスクなしの報酬形態で一気通貫対応しています。初回の相談は無料ですのでお気軽に下記よりご相談ください。

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相場価格をよく理解しておく

M&Aを実行する際には、売り手側・買い手側ともに相場価格をよく理解しておくことが必要です。M&Aの企業売買における相場価格は、該当の会社の価値によって算出され、事業売却・企業買収の金額目安とされます。

引越し業界のM&Aでは、例として株式譲渡もしくは事業譲渡が使われることがあります。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場は以下のように計算されます。

  • 株式譲渡:時価純資産額+営業利益×2年~5年分
  • 事業譲渡:時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分

当然ながら事業利益が多いほどに相場価格も高騰します。実際のM&A売却における相場計算はM&A委託企業に依頼することになりますが、もし可能であれば依頼前に自社の相場を簡単に計算してみましょう。

場合によっては相手側との相談により予算が変わることがあります。なので、売り手側であれば算出価格よりも安く予算を立て、買い手側であれば相場よりも高く予算を立てるのがポイントです。予算の算出においては、相場よりも多少のズレが発生することをあらかじめ考慮しておきましょう。

統合後の事業計画の確立

M&Aにおいては成約がゴールではなく、売り手側と買い手側の両者が思い描いた目標を実現させることが本当のゴールです。そこでM&AにおいてはPMIという考え方が重要になります。

PMIとは、いわばM&A成約後の「統合後にどうすれば良いか」を指す単語です。PMIにおける重要な要素には、以下のようなものがあります。

  • 新たな経営体制の構築
  • 経営における目標実現のための計画作成
  • 両社協業のための体制構築・業務システムの強化

上記の点に留意しながら、PMIを立案します。PMIを綿密に行うことで、売り手・買い手の両者に発生するリスクを最小限に抑え、成果を最大化させることが出来るでしょう。

またPMIは成約後に立案するものではなく、M&A戦略の立案時から実行すべきものです。M&Aの成約には1年以上の期間が掛かることがほとんどなので、PMIも長期的に行なわなければなりません。

引越し業のM&Aにおける成功事例

引越し業界に関係するM&Aにおける成功事例を紹介します。これから引越し業界におけるM&Aを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

鴻池運輸による中電産業のM&A

鴻池運輸は、北陸地域に深く根を張る中電産業の全株式を取得し、子会社化することで、同地域におけるエンジニアリング事業(引越しに付随する各種サービス)の拡大を企図しています。

40年以上の実績を持つ中電産業は、工場設備建設から機械整備、体育館や公園・遊具設備の建設、上下水道施設の管理受託、さらには高速道路脇の壁の一部製造に至るまで、多岐にわたる開発事業を北陸地域を中心に手がけてきました。

こうした幅広い事業領域と、同地域での確かな実績を有する中電産業を自社グループに迎え入れることで、鴻池運輸は注力するエンジニアリングサービス事業について、北陸エリアでの存在感を一層高め、より一層の成長を実現できるものと期待されている状況です。

つまり、長年北陸に根を下ろし、豊富な実績とノウハウを持つ中電産業の経営資源を取り込むことによって、鴻池運輸は同地域におけるエンジニアリング事業の基盤を大きく強化し、今後の躍進に弾みをつけようとしています。

参考:連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

トナミホールディングスによるケーワイケーとのM&A

引越し・運輸を承るトナミホールディングス株式会社は、千葉県柏市に本社を構える株式会社ケーワイケーを完全子会社化することを決定しました。この買収を通じて、トナミホールディングスは人手不足への対応と既存事業の拡大を図るとともに、新たな事業機会の創出や企業価値の向上を目指しているとのことです。

具体的には、ケーワイケーが持つ実運送力と人材を取り込むことで、グループ全体の人手不足解消につなげるとしています。また、ケーワイケーの地域密着型の配送ノウハウを活用し、グループの運送事業の規模と領域を広げる予定です。

さらに、両社の経営資源を掛け合わせることで、新規事業の立ち上げや高付加価値サービスの開発など、シナジー効果を発揮させ、新たな収益機会を創出しようとしています。こうした取り組みを通じて、トナミホールディングスグループ全体の企業価値を高めていくことが狙いです。

ケーワイケーは運送事業に加え、営業倉庫業、一般引越し・事務所移転作業、産業廃棄物の収集運搬、さらには空調設備の取付・整備など、多角的な事業を手がけてきた実績があります。このように幅広い経営資源とノウハウを持つケーワイケーを子会社化することで、トナミホールディングスは人材確保と事業拡大の両面で大きなメリットを得られると期待されています。

参考:「株式会社ケーワイケー」の株式取得のお知らせ

モノクリエイトからのシェアリングテクノロジーに対する事業譲渡

シェアリングテクノロジー株式会社(シェアテク)は、2018年8月14日の取締役会で、引越しに関する情報収集や料金比較ができるサイト「引越しチェキ!」の事業を有限会社モノクリエイトから譲り受けることを決議しました。

事業譲受の理由は、「引越しチェキ!」サイトが一定の集客力(トラフィック)を持っていたことです。シェアテクは引越し一括見積もりサイトなどの運営を行っており、この事業を取り込むことで、より一層引越しサービス全体を伸ばせると判断しました。

「引越しチェキ!」は、引越しの準備、プラン、業者比較など、引越しに関する様々な情報を提供するサイトです。シェアテクはこのサイト事業の譲受けを通じて、自社の引越しサービス分野での事業基盤をさらに強化することを狙っています。

参考:引越し情報サイト「引越しチェキ!」の事業譲受に関するお知らせ

日本通運による米国企業の子会社化

NIPPON EXPRESSホールディングスは、2020年5月に米国物流会社の出資持分取得(子会社化)を発表し、その後の手続きを経て9月1日付で米国物流会社MD Logistics, LLCおよびMD Express, LLC(併せて「MD社」)の全出資持分を取得し、子会社化を完了しました。

MD社は1996年創業の老舗物流会社で、主力事業は医薬品産業向けの運送事業です。安定的な業績を上げており、同社の強みは、医薬品の適切な取り扱いに関する許認可や各国ガイドラインを満たす管理体制の下、-40℃から+25℃の温度帯での保管が可能な設備を使い、顧客のニーズに合わせたサービスを提供できる点にあります。

今回の買収によって、NIPPON EXPRESSは米国内で医薬品物流の強化が図れるばかりでなく、自社の国際輸送ネットワークとMD社の国内ネットワークを結合することで、医薬品を中心にグローバルな配送サービスを一貫して提供できる体制が整いました。米国は世界的に見ても医薬品需要が最も大きい重要市場であり、この子会社化で北米における医薬品配送が大幅に強化されることになります。

参考:米国物流会社の出資持分取得(子会社化)完了に関するお知らせ

SBSホールディングスによるリコーロジスティックスの一部取得

SBSホールディングス株式会社は、2018年5月18日の取締役会において、株式会社リコーから同社の子会社であるリコーロジスティクス株式会社の普通株式の一部を取得し、リコーロジスティクスを連結子会社化することを決議しました。この一連の取引は関係当局の承認を前提に、最終的な株式譲渡を2018年8月1日を目途に実施される予定となっています。

物流業界は人手不足による人件費高騰や原油高に加え、経営環境がますます厳しさを増しているなか、SBSホールディングスはこの株式取得により、メーカー系物流サービスを強化し、安定的な体制を構築できると考えています。具体的には、両社の全国ネットワークの融合による大規模で効率的な物流網の構築、機械化・自動化ノウハウの活用、物流不動産開発の事業拡大や海外事業の拡大などのシナジー効果が期待できるとのことです。

SBSホールディングスは、この株式取得を通じてリコーロジスティクスの更なる成長が実現できると判断しています。なお、株式取得後もリコーロジスティクスの経営陣は留任し、SBSホールディングスから非常勤役員を派遣してグループの一体化を図る予定です。

参考:リコーロジスティクス株式会社株式の一部取得に関するお知らせ

ビックカメラによるエスケーサービスとのM&A

株式会社ビックカメラは、2018年7月19日に取締役会を開催し、簡易株式交換により株式会社エスケーサービスを完全子会社化することを決議しました。エスケーサービスは首都圏で一般貨物運送業を営む会社で、特に大型家電の配送設置に強みがあります。

ビックカメラグループがエスケーサービスを完全子会社化することで、電化製品の配送・設置・工事の品質向上を図り、顧客満足度の向上を目指します。また、エスケーサービスがビックカメラグループと連携を深めることで、新たなサービス提供や配送効率化の実現が期待されています。

このM&A事例は、大手企業が中小企業の独自の強みを手に入れるために行った高額買収です。このように、中小企業がユニークな強みや信頼を手に入れることで、多額の利益を獲得できます。

参考:簡易株式交換による株式会社エスケーサービスの完全子会社化に関するお知らせ

コープデリ生活協同組合連合会による丸和運輸機関に対する事業譲渡

株式会社丸和運輸機関は、2018年4月19日開催の取締役会において、新たに100%子会社である株式会社NS丸和ロジスティクスを設立し、同社に対して生活協同組合コープみらいの商品配達事業(商品個配事業)を譲渡することを決議しました。

この決定の背景には、商品配達事業を子会社に移管することで、事業内容の明確化、意思決定の迅速化、事業運営の効率化を図るとともに、独自の雇用体系を構築し人材を育成することで、当該事業の基盤をさらに拡大していくという目的があります。

新設子会社設立の予定日は2018年5月1日です。丸和運輸機関は子会社の取締役や監査役に自社の役員を兼任させる予定であり、子会社の会計・労務業務の受託も行うこととしています。事業譲渡日は一般貨物運送事業の許可が下りた2018年9月以降を見込んでおり、またこの事業譲渡は、丸和運輸機関の連結業績に影響を与えるものではないとのことです。

参考:子会社の設立及び子会社への事業譲渡に関するお知らせ

香港ヤマト運輸の広州威時這沛運集団有限公司に対する出資

ヤマトホールディングス傘下の香港ヤマト運輸株式会社は、2016年11月30日に中国広州市に本拠を置く国際物流事業者の広州威時沛運集団有限公司(WTD)に出資することで合意しました。この出資により、ヤマトグループは東アジア地域における自らの物流機能を大幅に強化することになります。

今回のWTDへの出資により、ヤマトグループがこれまで持っていた国際複合輸送サービスの機能に加え、WTDの持つ通関・保税倉庫・クロスボーダー陸運など広範な物流機能を取り込むことが可能です。さらにヤマトは、広州を東アジアの物流の拠点・玄関口と位置づけ、陸海空の複合輸送モードを組み合わせることで、アジア全域をカバーする本格的な物流サービスの提供を目指しています。

対象のWTDは、広州地域で20年以上の歴史を持つ総合物流事業者で、同地域の通関・フォワーディング・保税倉庫・陸運でいずれも高いシェアと実績を持っていました。ヤマトの中国現地法人と長年のパートナー関係にあり、今回の資本提携を通じてさらに連携を深める予定です。ヤマトは当初WTDの4割弱の株式を取得し、3年以内に経営権の保有を目指します。

参考:広州市に本拠地をおく国際物流事業者 広州威時沛運集団有限公司に出資

サカイ引越センターによるSDホールディングスの買収

サカイ引越センターは2016年4月に、クリーンサービス事業を展開するSDホールディングスを子会社化しました。この買収は、サカイ引越センターがクリーンサービス事業を強化し、顧客ニーズにより的確に応えるための戦略的な動きです。

両社の統合によって期待されるシナジー効果は大きく、まずは引越しサービスとクリーンサービスの一体的な提供が可能になります。サカイ引越センターの引越し運送事業と、SDホールディングスが行う清掃業務が融合することで、引越し時のクリーンサービスの品質と効率の大幅な向上が可能です。

また、サカイ引越センターは引越し業界で確固たる地位を築いてきた一方で、SDホールディングスの子会社化によりクリーンサービス事業の強化が図られ、グループ全体の事業拡充が期待できます。サカイ側が強みを持つ引越し事業と、SDホールディングスの手掛けるクリーンサービス事業を組み合わせることで、今までになかったサービスが可能となるというメリットがあるためです。

このようにサカイ引越センターは、業界の寡占化が進む中で、M&Aを通じた事業領域の拡大と高付加価値化を目指す戦略を打ち出しており、今回のSDホールディングス買収はその一環と位置づけられます。

参考:株式会社SDホールディングス社の全株式取得完了に関するお知らせ

日本郵便による豪州物流企業の子会社化

日本郵便株式会社は、2015年2月18日に豪州の大手物流企業Toll Holdings Limited(トール社)の発行済株式100%を取得し、子会社化することを発表しました。この買収により、日本郵便は国際物流事業のグローバル展開を加速させる狙いがあります。

国内郵便市場が縮小する中、日本郵便は収益力強化のため海外事業拡大を目指しており、M&Aによる事業拡大を検討してきました。トール社はアジア太平洋地域で高い実力を持ち、事業別・地域別にバランスの取れた実績を有する総合物流企業です。日本郵便はトール社の知見と経験を活用し、国際物流事業の拡充と収益拡大を図ります。

2015年3月期の連結業績への影響は軽微とされていますが、次年度以降の業績影響は現在精査中です。日本郵便は郵便局ネットワークを活かしたユニバーサルサービスを提供しつつ、お客様の多様なニーズに応えるグローバル物流企業を目指すとしています。

参考:日本郵便による豪州物流企業 Toll Holdings Limited の 株式の取得(子会社化)について

エイチームにおけるグループ内組織再編

株式会社エイチームは、2013年から大規模な組織再編を実施しています。引越し侍、A.T.サポート、エイチームライフスタイルの3社を100%子会社として新設しました。

その後10月に、エイチーム本体が運営していた引越し比較サービス事業、テレマーケティング事業、中古車一括査定サービス事業を、会社分割の手法でそれぞれこの3子会社に移管しました。この再編により、エイチーム本体はコア事業に注力できるようになり、分社化された事業については子会社運営で業務効率化を図ることができました。

そして2022年2月には、ライフスタイルサポート事業の再編を行っています。具体的には、自動車関連事業、結婚式事業、金融メディア事業などを統合しました。目的は事業の効率化・機能強化と、グループ横断でユーザーへサービスを一元提供することによる顧客生涯価値の向上です。

参考:グループ会社の再編(会社分割及び吸収合併)及び子会社の社名変更のお知らせ

日本通運によるTranscof S.r.lのM&A

日本通運株式会社は、2018年3月に欧州日本通運有限会社を通じて、イタリアに本社を置くTraconf S.r.l.の全出資持分を取得しました。Traconf S.r.l.は高級ファッションブランドなどのアパレル関連の運送サービスを欧州、米国、中国で展開する企業です。

この買収によって、日本通運はファッション運送事業の強化を図ります。国際間輸送から製品保管、小売店への配送までを一貫して手掛ける体制の構築を目指している状況です。この買収には、ファッション業界における物流ニーズの高度化に対応し、欧州を中心に事業拡大を加速させる狙いがあります。

高級ブランドのグローバル企業を効率的に管理できる機能を獲得したことで、日本通運はファッション運搬分野でのプレゼンスを飛躍的に高めることができるでしょう。Traconfの保有する専門的なノウハウと既存の顧客基盤を活用しながら、より高度なサービスを提供できるようになると期待されています。

参考:Traconf S.r.l.の出資持分取得(子会社化)完了に関するお知らせ

鴻池運輸によるエヌビーエスの買収

鴻池運輸株式会社は、生産システム開発事業を手掛けるエヌビーエス株式会社(以下NBS)の全株式を取得しました。この買収により、鴻池グループでは従来から展開してきた生産機器・設備の機械設計・据え付け工事に加えて、NBSが得意とする電気系統の設計や運転管理までの一貫した流れが可能となります。

NBSは、発電所やエネルギー関連プラントのエンジニアリング事業で約30年の実績を持つ老舗企業です。自社で技術者を擁し、豊富な経験と実績があります。今回のNBSの完全子会社化により、鴻池運輸は複数の効果を期待しています。

例えば、NBSの海外事業の顧客に対し、鴻池グループのグローバルネットワークを活用して海外における生産システム開発事業を強化可能です。さらに、両社の融合により総合力を早期に発揮し、事業拡大、異業種への参入を目指せるようになります。このように、鴻池グループは今回の買収によりエンジニアリングサービスの大幅な強化と拡大を図っている模様です。

参考:「エンジニアリングサービスの強化・拡充『鴻池運輸、エヌビーエスの全株式を取得』」に関するお知らせ

五健堂による六ツ星運送とのM&A

株式会社五健堂は、2022年2月25日開催の取締役会において、有限会社六ツ星運送の全株式を取得し、子会社化することを決議しました。五健堂グループは、食品物流を中心とした物流代行サービスを提供しており、今後の事業展開において物流事業のさらなる拡大を重要視している状況です。M&A戦略を成長のエンジンと位置づけ、今回の六ツ星運送の子会社化によって業容・エリアの拡大を実現できると考えています。

一方、六ツ星運送は徳島県に本社を置き、大型冷凍ウイングを中心に31台の車両を保有する運送業者です。近年、物流業界において2024年問題への対応が課題となっていますが、五健堂グループに参画することで、この問題解決への取り組みが期待できます。このように双方にメリットがあることから、五健堂は六ツ星運送の全株式を取得することにしました。

六ツ星運送と取引をし、100%の株を取得します。取得価額は非公開ですが、第三者による株式価値算定結果を勘案して決定されているとのことです。株式譲渡実行日は2022年4月1日を予定しています。

参考:有限会社六ツ星運送の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

株式会社ヒガシトゥエンティワンによる山神運輸工業の買収

2022年2月、株式会社ヒガシトゥエンティワンは、山神運輸工業株式会社を完全に買収し、自社の一部門にすることを決めました。

ヒガシトゥエンティワンは、物流サービス、業務委託業務、コンピューター関連のサービスなどを手掛けています。一方、山神運輸工業は、鉄鋼や機械などの重い荷物の輸送を中心に、海上コンテナ輸送なども行っており、機械の設置やメンテナンスも請け負っていました。

この買収により、ヒガシトゥエンティワンは山神運輸工業の技術と輸送手段を自社に取り入れ、全体として輸送能力を高めることが可能です。さらに、両社は海上コンテナ輸送など新しい事業分野にも進出することを目指しています。

参考:山神運輸工業株式会社の株式取得完了に関するお知らせ

まとめ

今回は、引越しM&A・事業承継の全知識ということで、引越し業界のM&Aにおける売却相場・事例・成功ポイントを解説しました。

引越し業界は、現在人手不足が慢性的に続いている状態です。そのため、今後M&Aでの人員拡大が必要になってくる企業もあるでしょう。特に、大企業が中小企業を大量買収する事例が増えており、今後は業界再編が進むと予想されています。

M&Aは企業の存続や成長のための戦略としてとても効果があります。ですが、生半可にできるものではありません。ぜひ今回の記事を参考に引越しにおけるM&Aを検討してみてください。

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