SRSホールディングスによるNISの買収背景
2023年、SRSホールディングス株式会社(証券コード: 8163)は、株式会社NISの全発行済株式を取得し、NISを子会社化しました。この買収は、SRSホールディングスが新たな市場への参入を目指し、多様な顧客ニーズに応えるための戦略的な一手です。SRSホールディングスは、和食を中心とした多様なレストランチェーンを運営しており、国内外で合計606店舗を展開しています。今回の買収によって、特に人気の高い唐揚げのテイクアウト事業に進出し、中食需要の取り込みを目指します。
唐揚げ市場とNISの役割
「鶏笑」を展開するNISは、唐揚げ専門店として国内外に約250店舗を持つ企業です。日本では唐揚げは定番の家庭料理であり、外食としても非常に人気があります。テイクアウトやデリバリーの需要が高まる中、NISの店舗数とブランド力はSRSホールディングスにとって大きな資産となるでしょう。唐揚げ市場は年々成長を続けており、市場規模は2022年には約3000億円に達したとされています。
中食需要とその背景
中食(なかしょく)とは、家庭外で調理された食品を自宅で食べることを指します。この中食市場は、仕事や家事で忙しい家庭や一人暮らしの増加に伴い、急速に拡大しています。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で外食を控える動きが強まったことで、中食の需要はさらに高まりました。SRSホールディングスが唐揚げのテイクアウト事業に参入することは、この需要に応えるための重要な戦略です。
戦略的シナジー効果の狙い
SRSホールディングスは、NISの買収を通じていくつかのシナジー効果を目指しています。主な戦略は以下の通りです。
- 原材料のコストダウン: グループ一括での買い付けにより、原材料費を削減します。
- 新商品の開発: グループ内でのノウハウを活用し、新たなメニューを開発します。
- 既存事業とのコラボレーション: 和食レストランと唐揚げの組み合わせによる新たな提案を行います。
飲食業界のM&A動向
近年、飲食業界ではM&Aが活発化しています。この背景には、企業が生き残りと成長を目指して多角化や海外展開を進めていることが挙げられます。特に、労働力不足や食材価格の高騰といった課題に直面する中で、効率的な経営を実現するための手段としてM&Aが注目されています。また、消費者の嗜好の多様化に対応するため、新しいブランドや製品ラインを取り入れる動きも見られます。